JP5900896B2 - 血糖値上昇抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明は、式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを含有する血糖値上昇抑制剤に関する。また、本発明は、式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを含有する、生活習慣病及びこれに関連する疾患の予防又は治療用組成物に関する。
近年、食生活の欧米化が進むにつれて、国民一人あたりの脂肪摂取量も上昇し、糖尿病、高脂血症、高血圧、肥満等の生活習慣病と呼ばれる疾患が急激に増えている。これらの疾患はお互いに合併し易く、その根底にはインスリン抵抗性の存在が大きく関与するとされている。したがって、糖尿病の予防又は治療を行うことにより、すなわち、血糖値の上昇を抑制させることにより、高脂血症、高血圧、肥満等の他の生活習慣病の予防又は治療にも繋がるとも考えることができる。
インスリン抵抗性に起因する糖尿病患者及びその予備群とされる人の総数は日本で1300万人を超えるとされ、その数は増加の一途をたどっている。
糖尿病治療薬としては、チアゾリジン誘導体等の薬剤が知られている。しかし、チアゾリジン誘導体等の薬剤は、インスリン抵抗性には有効ではあるが、長期の服用による体脂肪増加の副作用があることが報告されている。糖尿病治療及びその予防のため、体脂肪増加等の副作用の少ない新たな血糖値上昇抑制剤の開発が必要であり、また、糖尿病が生活習慣と密接に関連している性質上、日常の食事で改善作用をもつ安価で、かつ、簡便に摂取可能な飲食品を継続的に摂取できることも望ましい。
一方、ブドウ種子抽出物は、ポリフェノールに代表される抗酸化物質を多く含んでおり、殊に強力な抗酸化力を有するプロアントシアニジンを高含有する。プロアントシアニジンは、血中ヘモグロビン糖化率を低値に制御し、糖尿病性白内障を含む種々な合併症の進行の予防と治療に有効であることが見出されている(例えば、特許文献1参照)。プロアントシアニジンとイソフラボンの併用投与で抗動脈硬化作用が見られたことも報告されている(例えば、特許文献2参照)。
また、血糖値上昇を抑制する天然物由来の化合物として、紅茶水溶性画分から単離した、6単糖3分子と5単糖1分子からなる糖鎖を有する特定のナリンゲニン配糖体に、筋肉細胞へのグルコース取込み作用や血糖上昇抑制作用があることが見出されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2000−044472号公報 特開2000−325039号公報 特開2008−013525号公報
本発明は、体脂肪増加等の副作用の少ない血糖値上昇抑制剤を提供することを目的とする。また、本発明は、生活習慣病及びこれに関連する疾患の予防又は治療用組成物を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者は、鋭意研究を重ね、以下に詳述する式(I)で表される特定の化合物とプロアントシアニジンを組み合わせることにより、優れた血糖値上昇抑制作用が得られることを発見した。
本発明者による前記の知見に基づく本発明は、以下のとおりである。
[1]
式(I):
Figure 0005900896
(式中、
及びRのいずれか一方は、以下の式(II):
Figure 0005900896
(式中、
〜Xは、それぞれ独立して、H、OH又はOMeである)
で表される置換又は非置換ベンゼン環Aであり、他方はH又はOHであり;
〜Rは、それぞれ独立して、H、OH又はOMeであり;
------ は、単結合又は二重結合である)
で表される化合物及びプロアントシアニジンを含有する血糖値上昇抑制剤。
[2]
プロアントシアニジンがブドウの種子又は皮の抽出物である、[1]に記載の血糖値上昇抑制剤。
[3]
式(I)で表される化合物が:
が、式(II)で表される置換又は非置換ベンゼン環Aであり;
が、Hであり;
------ が、単結合である化合物である、[1]又は[2]に記載の血糖値上昇抑制剤。
[4]
[1]〜[3]のいずれかに記載の血糖値上昇抑制剤を含む、医薬品又は飲食品。
[5]
式(I):
Figure 0005900896
(式中、
及びRのいずれか一方は、以下の式(II):
Figure 0005900896
(式中、
〜Xは、それぞれ独立して、H、OH又はOMeである)
で表される置換又は非置換ベンゼン環Aであり、他方はH又はOHであり;
〜Rは、それぞれ独立して、H、OH又はOMeであり;
------ は、単結合又は二重結合である)
で表される化合物及びプロアントシアニジンを含有する、生活習慣病及びこれに関連する疾患の予防又は治療用組成物。
[6]
式(I):
Figure 0005900896
(式中、
及びRのいずれか一方は、以下の式(II):
Figure 0005900896
(式中、
〜Xは、それぞれ独立して、H、OH又はOMeである)
で表される置換又は非置換ベンゼン環Aであり、他方はH又はOHであり;
〜Rは、それぞれ独立して、H、OH又はOMeであり;
------ は、単結合又は二重結合である)
で表される化合物及びプロアントシアニジンを含有する、糖尿病の予防又は治療用組成物。
[7]
有効量の、上記式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを対象者に投与する工程を含む、血糖値上昇抑制方法。
[8]
予防的又は治療的に有効な量の、上記式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを対象者に投与する工程を含む、生活習慣病及びこれに関連する疾患の予防又は治療方法。
[8]
予防的又は治療的に有効な量の、上記式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを対象者に投与する工程を含む、糖尿病及びこれに関連する疾患の予防又は治療方法。
実施例1におけるHbA1cの測定結果を示す。
本発明は、式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを含有する血糖値上昇抑制剤に関する。
本発明の血糖値上昇抑制剤は、天然起源の化合物の組み合わせであってもよい。
また、本発明においては、式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを含有することにより、体脂肪増加の副作用の少ない血糖値上昇抑制剤を提供することができる点でより効果的である。
本発明においては、式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを含有する生活習慣病及びそれに関連する疾患の予防又は治療用組成物を提供することができる。中でも、本発明においては、該予防又は治療用組成物が、糖尿病を治療又は予防するための組成物であることが好ましい態様である。
該予防又は治療用組成物は、天然起源の化合物の組み合わせを含むものであってもよい。
また、本発明においては、式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを含有することにより、体脂肪増加の副作用の少ない生活習慣病及びそれに関連する疾患の予防又は治療用組成物を提供することができる点でより効果的である。
生活習慣病及びそれに関連する疾患としては、例えば、高血糖並びに肥満、高脂血症及び糖尿病等の高血糖に関連する疾患が挙げられる。
生活習慣病のうち、糖尿病とは、高血糖又はケトアシドーシス、並びに長期の高血糖状態又はグルコース耐性の低下から生じる慢性の一般的な代謝異常をいう。また、糖尿病は、1型及び2型(非インシュリン依存性糖尿病、すなわちNIDDM)疾患の両方を含む。
本発明の組成物は、生活習慣病及びそれに関連する疾患の予防又は治療において、予防的又は治療的に有効な量で、式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを含有することが好ましく、予防的又は治療的に有効な量は、疾患又は症状の予防又は治療できる範囲で、対象者及び予防又は治療される疾患又は症状、対象者の体重及び年齢、疾患又は症状の重篤度、投与等の方法により変動し、当業者により容易に決定され得る。
本発明は、予防的又は治療的に有効な量の式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを含む組成物を対象者に投与して、対象者における生活習慣病及びそれに関連する疾患の予防又は治療することを含む。該組成物は、ダイエット用のサプリメントとして、又は食品への添加物として対象者に投与することもできる。本発明の、式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを含む組成物は、対象者に投与する際に、式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを混合して含む組成物であってもよく、式(I)で表される化合物とプロアントシアニジンを組み合わせて投与するような組成物であってもよい。組み合わせて投与する場合、一の混合物として、同時に投与してもよく、それぞれを別の形態として同時に投与してもよく、また、それぞれを別々に投与してもよい。本発明においては、式(I)で表される化合物とプロアントシアニジンを含む一の組成物として同時に投与することが好ましい。
本発明は、式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを投与することによる、好ましくは体脂肪増加の副作用の少ない、血糖値上昇を抑制する方法にも関する。
本発明の、式(I)で表される化合物とプロアントシアニジンを含有する血糖値上昇抑制剤並びに生活習慣病及びそれに関連する疾患の予防又は治療用組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう。)において、式(I)で表される化合物:プロアントシアニジンの比は、重量比で1:10000〜10000:1であり、好ましくは1:1000〜1000:1であり、より好ましくは1:100〜100:1である。
本発明の組成物における式(I)で表される化合物は、以下の構造を有する。
Figure 0005900896
式(I)中、R及びRのいずれか一方は、以下の式(II):
Figure 0005900896
(式中、
〜Xは、それぞれ独立して、H、OH又はOMeである)
で表される置換又は非置換ベンゼン環Aであり、他方はH又はOH(好ましくは、H)であり;
〜Rは、それぞれ独立して、H、OH又はOMeであり;
------ は、単結合又は二重結合である。
本発明の一態様において、好ましくは、上記式(I)中:
は、H又はOHであり;
は、H又はOMeであり;
は、OHであり;
は、Hであり;
上記式(II)中:
は、Hであり;
は、H又はOHであり;
は、H、OH又はOMeであり;
は、Hであり;
は、H又はOMeである。
本発明の一態様において、好ましくは、上記式(I)中:
は、式(II)で表される置換又は非置換ベンゼン環A(式(II)中、X〜Xは、それぞれ独立して、H、OH又はOMeである)であり;
は、Hであり;
〜Rは、それぞれ独立して、H、OH又はOMeであり;
------ は、単結合であり;
より好ましくは、上記式(I)中:
は、H又はOHであり;
は、Hであり;
は、OHであり;
は、Hであり;
上記式(II)中:
は、Hであり;
は、H又はOHであり、
は、H、OH又はOMeであり;
は、Hであり;
は、H又はOMeである。
該構造を有する化合物(及びその配糖体)は、一般に、フラバノン類と総称される。フラバノン類は、柑橘系に多くみられる色素成分であり、例えば、ナリンゲニン、ナリンジン、ヘスペリジン、ヘスペレチン、シトロニン、シトロネチン、リキリチン、リキリチゲニン等が挙げられる。
特に好ましくは、式(I)で表される化合物は、ナリンゲニン又はヘスペレチンである。
ナリンゲニンは、式(I)中:Rが、式(II)で表される置換ベンゼン環A(ここで、X、X、X及びXが、それぞれHであり;Xが、OHである)であり;R、R及びRが、それぞれHであり;R及びRが、それぞれOHであり;------が、単結合である化合物である。
ヘスペレチンは、式(I)中:Rが、式(II)で表される置換ベンゼン環A(ここで、X、X及びXが、それぞれHであり;Xが、OHであり;Xが、OMeである)であり;R、R及びRが、それぞれHであり;R及びRが、それぞれOHであり;------が、単結合である化合物である。
本発明の一態様において、好ましくは、上記式(I)中:
は、Hであり;
は、式(II)で表される置換又は非置換ベンゼン環Aであり;
〜Rは、それぞれ独立して、H、OH又はOMeであり;
------ は、二重結合であり;
より好ましくは、上記式(I)中:
は、H又はOHであり;
は、H又はOMeであり;
は、OHであり;
は、Hであり;
上記式(II)中:
は、Hであり;
は、Hであり;
は、OH又はOMeであり;
は、Hであり;
は、Hである。
該構造を有する化合物(及びその配糖体)は、一般に、イソフラボン類と総称される。イソフラボン類は、大豆等のマメ科植物に多く含まれる成分であり、例えば、ゲニステイン、ゲニスチン、ダイジン、ダイゼイン、グリシテイン、ビオカニン、フォルモノネチン等が挙げられる。
特に好ましくは、式(I)で表される化合物は、ゲニステインである。ゲニステインは、式(I)中:Rが、式(II)で表される置換ベンゼン環A(ここで、X、X、X及びXが、それぞれHであり;Xが、OHである)であり;R、R及びRが、それぞれHであり;R及びRが、それぞれOHであり; ------が、二重結合である化合物である。
本発明の一態様において、好ましくは、上記式(I)中:
は、式(II)で表される置換又は非置換ベンゼン環Aであり;
は、Hであり;
〜Rは、それぞれ独立して、H、OH又はOMeであり;
------ は、二重結合である。
該構造を有する化合物(及びその配糖体)は、一般に、フラボン類と総称される。フラボン類は、様々な植物中で見出される植物色素であり、例えば、アビゲニン、ルテオリン、タンゲリチン、ジオスミン、フラボキサート等が挙げられる。
本発明の一態様において、生活習慣病及びこれに関連する疾患の予防又は治療用組成物は、好ましくは、上記式(I)で表される化合物(式(I)中:Rが、式(II)で表される置換又は非置換ベンゼン環Aであり;Rが、H又はOH(より好ましくは、H)であり;------ が、単結合又は二重結合(より好ましくは、単結合)である)及びプロアントシアニジンを含有する。
式(I)で表される化合物は、構造の一部が改変又は修飾された誘導体であってもよい。式(I)で表される化合物の誘導体としては、例えば、生理学的に許容される塩、配糖体、エステル、プロドラッグ又は代謝産物等が挙げられる。
式(I)で表される化合物の生理学的に許容される塩としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)塩等が挙げられ、これらアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩、アルカリ金属アルコキサイド(ナトリウムメトキサイド、カリウムt−ブトキサイド等)を付加した塩基付加塩が挙げられる。
式(I)で表される化合物の配糖体としては、特に限定されないが、例えば、グルコース、ラムノース、ルチノース(グルコース+ラムノース)、アピオース等(好ましくは、グルコース又はルチノース)の、六炭糖若しくは五炭糖、又はそれらの誘導体(例えばアセチル化、マロニル化等された修飾糖)あるいはそれらの2種以上の組み合わせである糖のOH基に、式(I)で表される化合物のOH基が縮合したO−グリコシドが挙げられる。式(I)で表される化合物の多くは、配糖体の形で天然に存在することが知られる。例えば、ダイゼインの配糖体はダイズインであり、ヘスペリチンの配糖体はヘスペリジンであり、ナリンゲニンの配糖体はナリンギンである。
式(I)で表される化合物のプロドラッグとしては、生体に投与された後に式(I)で表される化合物に変化し得る化合物であれば、特に限定されるものではなく、安定性や吸収性の改善、副作用の低減等を目的として、公知の手法によりプロドラッグ化された式(I)で表される化合物が挙げられる。また、上述の配糖体は、生体に投与後、体内で酵素(グリコシダーゼ)により分解されて式(I)で表される化合物に変化し得るため、式(I)で表される化合物のプロドラッグとなり得る。
プロドラッグの一態様として、エステルであってもよい。また、エステルとは、プロドラッグに該当するエステルもあるが、単に、酸とアルコール水酸基とが結合した化合物であれば特に限定されず、式(I)で表される化合物のエステルとしては、好ましくは、公知の酸とのエステル結合を有する化合物(カルボン酸エステルに限られず、リン酸エステル、硝酸エステル、硫酸エステル等も挙げられる)をいう。
式(I)で表される化合物の代謝産物としては、式(I)で表される化合物を生体に投与した後に代謝の過程で生産される化合物であれば、特に限定されるものではなく、中間生産物であっても最終生成物であってもよい。例えば、生体内の酵素、生体内の微生物が産生する酵素又は微生物自体が産生する酵素の作用で、式(I)で表される化合物から生産される化合物が挙げられる。例えば、ダイゼインの代謝産物としてエクオールが、フラバノンの代謝産物としてジヒドロフラボノールが、挙げられる。
式(I)で表される化合物としては、市販品を用いてもよいし、化学的に合成したものを用いてもよい。式(I)で表される化合物が植物等天然物に含まれる化合物である場合、より簡便には、式(I)で表される化合物を、それらの植物等起源から入手することができる。式(I)で表される化合物の代謝産物であれば、式(I)で表される化合物に代謝関連酵素を作用させて入手することもできる。
例えば、式(I)で表される化合物のうち:ナリンゲニンは、グレープフルーツ、トマトの果皮等に;ヘスペレチンは、レモンやオレンジに;ゲニステインは、大豆等のマメ科植物に;それぞれ存在することが知られるため、このような植物起源から抽出して入手することができる。また、式(I)で表される化合物の代謝産物のうち、エクオールは、イソフラボンから特定の腸内細菌の作用により生産して入手することができる。
例えば、ナリンゲニンの場合、以下のような手法でトマト果皮を含むトマト果実由来物から抽出することができる。
例えば、トマト果皮を含むトマト果実由来物に、5〜20倍量の50〜90%エタノールを加え、40〜80℃で1〜5時間抽出を行うことで、ナリンゲニンを含む抽出物を得ることができる。これを、酢酸エチル、n−ヘキサン等の有機溶剤を溶出液としたシリカゲルによる精製や、水−アセトニトリル溶剤を溶出液としたODS逆相系樹脂による精製に供することにより、ナリンゲニンを精製することができる。得られた組成物にナリンゲニンが含まれているかは、例えば、標準品を用いたHPLC等、常法により確認することができる。
原料となるトマト果実由来物は、トマト果皮を含むものであれば特に限定されない。トマト果実の搾汁液を得る過程において得られる搾汁粕は、一般的に廃棄されるか、家畜飼料となるが、この搾汁粕を用いれば、廃棄原料を有効利用でき、しかも高濃度のナリンゲニンを含む組成物を容易に効率よく得ることができるため好ましい。
トマトジュース、トマトピューレ、トマトペースト等に用いるトマト果実の搾汁液は、常法により、トマト果実を洗浄し、破砕したのち予備加熱を行い、次いで、これを搾汁して得られる。この搾汁の過程において、果実の約1〜5%が搾汁粕として発生する。搾汁粕は、主として果皮と種子から構成されており、この中には水溶性食物繊維であるペクチンや不溶性食物繊維であるセルロース、ヘミセルロース等の繊維質が豊富に含まれるだけでなく、ポリフェノール類も残存しているため、ナリンゲニンを含む組成物として好適に用いることもできる。
本発明の組成物は、上述のように精製された式(I)で表される化合物のみを含むものに限定されず、式(I)で表される化合物の粗精製物を含むものであってもよい。得られた精製物や粗精製物は、そのまま本発明の組成物としてもよいし、下記の医薬品、飲食品等に添加してもよい。
本発明において用いられるプロアントシアニジンは、各種植物体中に存在する縮合型タンニン、すなわちフラバン−3−オール又はフラバン−3,4−ジオールを構成単位として重合により結合した化合物群であって、酸処理によりシアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニジン等のアントシアニジンを生成するものである。結合の様式によってA型、B型が存在する。
プロアントシアニジンには、上記構成単位の重合体(2量体以上)であるプロシアニジン、プロデルフィニジン、プロペラルゴニジン等が含まれる。また、プロアントシアニジンは、上記化合物の立体異性体、配糖体、没食子酸エステル、又はカフェ酸エステル等の各種誘導体が含まれる。本発明においてプロアントシアニジンは、種々の分子量(重合度)のプロアントシアニジンとして使用できる。また、分子量(重合度)に応じて分画したプロアントシアニジン組成物を単独又は混合して使用することもできる。
プロアントシアニジンは、植物体や微生物体から、当業者に公知の任意の抽出法、発酵法、化学的又は酵素的合成法等により得ることができる。また、プロアントシアニジンとしては、ブドウの種子又は皮の抽出物であってもよく、市販品であってもよい。プロアントシアニジンを含む市販品としては、例えば、ブドウ種子由来のプロアントシアニジン、商品名「グラヴィノール」(登録商標 キッコーマン社製)、りんご果由来のプロアントシアニジン、商品名「アップルフェノン」(登録商標 アサヒビール社製)、海岸松の樹皮由来のプロアントシアニジン、商品名「ピクノジェノール」(登録商標 ホーファーリサーチ社製)、「フラバンジェノール」(登録商標 東洋新薬社製)等が使用できる。
本発明の組成物は、0.1〜1,000mgの式(I)で表される化合物及び0.1〜1,000mgのプロアントシアニジンを含んでいてもよい。
本発明の組成物は、重量比で1:10000〜10000:1であり、好ましくは1:1000〜1000:1であり、より好ましくは1:100〜100:1である式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンの混合物からなり、そして、さらに、0.1〜1,000mgの式(I)で表される化合物及び0.1〜1,000mgのプロアントシアニジンを含む組成物であってもよい。
式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンに加えて、本発明の組成物は一つ以上の添加物を含んでいてもよい。
本発明の組成物を医薬品とする場合、薬学的に許容可能な賦形剤を添加して医薬製剤とすることができる。
医薬製剤は、特に限定されないが、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、チュアブル、トローチ等の経口剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、貼付剤等の外用剤、注射剤、舌下剤、吸入剤、点眼剤、坐剤等の剤型であることができる。好ましい剤型は、経口剤である。また、医薬製剤として、ナリンゲニンとプロアントシアニジンを含むキットであってもよい。
本発明の組成物には、湿潤剤、乳化剤、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、並びに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香料、保存剤及び抗酸化剤が含まれていてもよい。
薬学的に許容可能な抗酸化剤の例は、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等のような水溶性の抗酸化剤、(2)アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガレート、アルファ−トコフェロール等のような油溶性の抗酸化剤、並びに(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等のような金属キレート剤が挙げられる。
経口投与に適した医薬製剤は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤、散剤、顆粒剤、又は水性若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液、又は水中油型若しくは油中水型の液体エマルジョン、エリキシル剤あるいはシロップ剤の形態であってよく、これらの製剤は、所定量のナリンゲニン及びプロアントシアニジンを有効成分として含む。
経口投与用の固形の投与形態において、賦形剤として、(1)クエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウムのような薬学的に許容可能な担体、(2)澱粉、乳糖、蔗糖、グルコース、マンニトール及びケイ酸のような増量剤、(3)カルボキシメチルセルロース、アルギネート類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、蔗糖及びアカシアのような結合剤、(4)グリセロールのような湿潤剤、(5)寒天、炭酸カルシウム、バレイショ若しくはタピオカ澱粉、アルギン酸、ある種のシリケート及び炭酸ナトリウムのような崩壊剤、(6)パラフィンのような溶解遅延剤、(7)4級アンモニウム化合物のような吸収促進剤、(8)セチルアルコール及びグリセロールモノステアレートのような湿潤剤、(9)カオリン及びベントナイトクレーのような吸着剤、(10)タルク、ステアリン酸カルシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びこれらの混合物のような滑沢剤並びに(11)着色剤等が挙げられる。これら賦形剤は、適宜複数種を組み合わせて用いることができる。
医薬組成物は、上記以外の賦形剤を含んでいてもよく、カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、医薬製剤は緩衝剤を含んでいてもよい。また、固形の組成物として、ラクトース又は乳糖、並びに高分子量のポリエチレングリコール等のような充填剤を用いたソフト及びハードゼラチンカプセルであってもよい。
本発明の組成物の投与量は、対象疾患及び状態、疾患の程度、対象者の年齢、体重等に応じて適宜設定することができる。重量比で1:10000〜10000:1であり、好ましくは1:1000〜1000:1であり、より好ましくは1:100〜100:1である式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンの混合物からなる組成物の有効な投与量は、食品とともに消耗される式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンの混合組成物において0.2〜2,000mgの範囲、好ましくは例えば0.4〜200mg/kg体重程度である。
一つの態様において、その日のはじめに摂取される本発明の組成物の1日当たりの1回投与量は、1,000mgである。もう一つの態様において、本発明の組成物は、1日1,000mg投与量となるように、分割して服用してもよい。
典型的な1人前あたり1,000mgの組成物を投与するために、組成物を飲食品に配合する際の濃度は、飲食品のタイプ及び典型的な1人前の飲食品の量に従って変動する。
例えば、本発明の組成物は、飲料1mLにつき0.01〜100mgの量で添加され、食品1gにつき0.01〜100mgの量で添加され得る。
本発明の組成物の投与経路は、特に限定されず、経口投与でも非経口投与でも投与可能であるが、簡便には経口投与により投与することができる。
本発明の組成物は、摂取容易性の観点から、飲食品に配合することができる。
飲食品としては、サプリメント、特定保健用食品、栄養機能食品、健康食品、機能性食品、健康補助食品、通常の飲食品等が挙げられる。
飲食品の形状としては、ジュース、清涼飲料、ドリンク剤、茶等の液状、ビスケット、タブレット、顆粒粉末、粉末、カプセル等の固形、ペースト、ゼリー、スープ、調味料、ドレッシング等の半流動状等が挙げられる。これらの飲食品は、いずれも当業者に公知の手法を用いて、式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを添加して製造することができる。
飲食品は、生活習慣病(例えば肥満、高血糖、高脂血症、糖尿病、動脈硬化症等)予防作用、血糖上昇抑制作用、生活習慣病改善作用、脂質代謝促進作用、糖質代謝促進作用、脂肪蓄積抑制作用、運動持久力向上作用、運動代替作用等の作用を有する旨の表示を付した飲食品であってもよい。また、体脂肪増加抑制作用を有する旨の表示を付した飲食品であってもよい。
飲食品の摂取量は、用途に応じて適宜調整することができるが、例えば、式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを乾燥物換算で、それぞれ、0.1〜1000mg/日、好ましくは10〜1000mg/日摂取する量とすることができる。
摂取回数は特に制限されないが、好ましくは1日1〜3回であり、必要に応じて摂取回数を増減してもよい。
飲食品は、好ましくはトマト加工飲食品、柑橘類加工飲食品、大豆加工飲食品又はブドウ加工品食品である。トマト加工飲食品の例としては、トマトジュース、トマトミックスジュース、トマトケチャップ、トマトソース、チリソース、トマト果汁飲料、固形トマト、トマトピューレ、トマトペースト、トマトスープ等が挙げられる。柑橘類加工飲食品の例としては、レモン、オレンジ、グレープフルーツ等の柑橘類を用いたジュース、柑橘類をミックスしたジュース、固形の柑橘類、柑橘類を含むジャム、ピューレ、ソース等が挙げられる。大豆加工飲食品の例としては、豆乳、豆乳をミックスしたジュース、固形大豆、大豆を含むスープ、ソース等が挙げられる。ブドウ加工飲食品の例としては、ブドウ種子又は皮を原料として用いた、ジュース、ジャム、ワイン、グレープシードオイル等、ならびにこれらを含むスープ、ソース、オイル漬等が挙げられる。これらのトマト、柑橘類、大豆又はブドウ加工飲食品は、通常のトマト、柑橘類、大豆又はブドウ加工飲食品の製造法(レシピ等)に従い、式(I)で表される化合物及びプロアントシアニジンを添加してそれぞれ通常の製法に従って調製される。例えば、式(I)で表される化合物であるナリンゲニンを高含量で含むトマト加工食品である場合には、プロアントシアニジンを添加することにより、飲食品を調製してもよい。
本発明の一態様において、飲食品は飲料又は食品のいずれの形態であってもよく、例えば、クッキー、ナッツ入りチョコレートケーキ、クラッカー、ブレクファストバー、エナジーバー、コーンフレーク等の穀物食及びケーキのようなベークされた食品であっても、果汁飲料、野菜飲料、炭酸飲料、スポーツ飲料、コーヒー又は茶飲料であってもよい。
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの記載によって何ら制限されるものではない。
[実施例1]
(プロアントシアニジンとナリンゲニンの同時摂取による血糖値上昇抑制効果)
KKAyマウス(5週齢)雄41匹(日本クレア社生産)を用いてナリンゲニン及びプロアントシアニジンによる血糖値上昇抑制作用について確認した。
5週齢雄性マウスを1週間、飼料AIN−93G(オリエンタル酵母社製)にて予備飼育後、体重、血糖値及びHbA1cを測定し、血糖及び体重に群間で差が生じないように群分けした。
1群を基本9匹とし、群分けは、以下のように行った:
(1)普通食群(コントロール群);
(2)アクトス(登録商標 武田薬品工業社製、ピオグリタゾンを15mg/錠含むアクトス錠を粉砕して混餌した。)0.03%混餌群;
(3)プロアントシアニジン水(GSE水:グラヴィノールSL(登録商標 キッコーマン食品社製):プロアントシアニジン濃度として、300mg/350mLになるように水に溶解)自由摂取群;
(4)ナリンゲニン(Aldrich社製)1%混餌群;及び
(5)プロアントシアニジン水自由摂取+ナリンゲニン1%混餌群;
の計5群(1、3、4、5群は9匹、2群は5匹)。
プロアントシアニジンは、飲水による自由摂取とした。コントロール群のKKAyマウス1匹の一日あたりの飲水量が約11〜17gなのに対し、プロアントシアニジン水自由摂取+ナリンゲニン1%混餌群のKKAyマウス1匹の一日あたりの飲水量は、約5〜7gであり、プロアントシアニジンの摂取量は、約5〜7mgであった(表1)。
プロアントシアニジン水自由摂取+ナリンゲニン1%混餌群において、開始1週間の間、わずかに摂餌量の減少が見られたため、試験開始1週間後より、他の全ての給餌量をプロアントシアニジン水自由摂取+ナリンゲニン1%混餌群と同じにした。プロアントシアニジン水自由摂取+ナリンゲニン1%混餌群の摂餌量は約5gであり、ナリンゲニンの摂取量は約5mgであった。
飲水量(g)(平均±標準誤差で示す。)
*はコントロール群に対する各群のFisher’s PLSD法による危険率5%の有意差を示す(以下も同様である。)。
Figure 0005900896
(測定項目及び測定方法)
試験期間は、4週間(28日間)行い、体重、摂餌量及び飲水量を測定し、随時血糖値はアントセンスIII(堀場製作所社製)、HbA1cは、DCA2000+(Siemens社製)を用いて測定した。試験終了後、脂肪(皮下、腸間膜、腎周囲、精巣上体)、腓腹筋及び肝臓を摘出し、脂肪組織の重量を測定した。
KKAyマウスの体重については、アクトス0.03%混餌群で大きな増加が観察された(表2)。一方、プロアントシアニジン水自由摂取+ナリンゲニン1%混餌群の体重増加は、アクトス0.03%混餌群に比較して小さかった。
体重(g)(平均±標準誤差で示す。)
Figure 0005900896
脂肪組織の総重量について、アクトス0.03%混餌群で大きな増加が見られたが、その他の群について、脂肪組織の増加は見られなかった。プロアントシアニジン水自由摂取+ナリンゲニン1%混餌群では、アクトス0.03%混餌群のような脂肪組織重量の増加は、観察されなかったが、体重の増加が見られた(表3)。
各種組織重量(g)
Figure 0005900896
プロアントシアニジン水自由摂取+ナリンゲニン1%混餌群では、プロアントシアニジンとナリンゲニンの同時摂取により、アクトス0.03%混餌群と同程度の血糖値及びHbA1c上昇抑制効果が観察された(表4、図1)。一方、プロアントシアニジン水自由摂取群では、血糖値及びHbA1c上昇抑制効果は見られず、ナリンゲニン1%混餌群では血糖値及びHbA1c上昇抑制効果は弱かった。プロアントシアニジンとナリンゲニンを摂取することで、単独で摂取するよりも強い血糖値及びHbA1c上昇抑制効果が見られることが分かった。
なお、HbA1c(ヘモグロビンA1c)は、グリコヘモグロビンの一種である。血中HbA1cの量は赤血球産生時から現在までの血糖値に比例し、糖尿病の診断基準ともされている。
随時血糖値(mg/dL)(平均±標準誤差で示す。)
Figure 0005900896
〔実施例2〕
(プロアントシアニジンとヘスペレチンの同時摂取による血糖値上昇抑制効果)
KKAyマウス(10週齢)雄40匹(日本クレア社生産)を用いてヘスペレチン及びプロアントシアニジンによる血糖値上昇抑制作用について確認した。
10週齢KKAyマウスの体重及び血糖値を測定し、血糖及び体重に群間で差が生じないように群分けした。
1群を基本10匹とし、群分けは、以下のように行った:
(1)コントロール群(0.5%CMCNa溶液強制経口投与群);
(2)GSE10mg/day 強制経口投与群(実施例1におけるGSE摂取量と同等(体重あたり));
(3)ヘスペレチン(Aldrich社製)52mg/day 強制経口投与群(実施例1におけるナリンゲニン摂取量と同等(体重あたり));及び
(4)GSE10mg/day+ヘスペレチン52mg/day強制経口投与群;
の計4群。2〜4群の各サンプルは0.5%CMCNa(カルボキシメチルセルロースナトリウム)溶液に溶解し、各群0.4mLの溶液を強制経口投与した。
(測定項目及び測定方法)
試験は11日間行い、体重、摂餌量及び飲水量を測定し、随時血糖値はアントセンスIII(堀場製作所社製)を用いて測定した。
KKAyマウスの体重については、各群、差は見られなかった(表5)。
体重(g)(平均±標準誤差で示す。)
Figure 0005900896
血糖値に関して、GSE又はヘスペレチン単独摂取群ではコントロール群と比較し、血糖値の降下が見られなかったが、GSEとヘスペレチンの同時摂取群において、血糖値の降下が観察された(表6)。
随時血糖値(mg/dL)(平均±標準誤差で示す。)
Figure 0005900896
実施例1及び実施例2より、ナリンゲニン又はヘスペレチン(いずれもフラバノン類)とプロアントシアニジンを同時に摂取することで、相乗的な血糖上昇抑制効果が得られることが明らかとなった。このナリンゲニン又はヘスペレチンとプロアントシアニジンとの組合せは、自然界で単一の原材料中には見出し得ない。
〔実施例3〕
(プロアントシアニジンとゲニステインの同時摂取による血糖値上昇抑制効果)
KKAyマウス(13週齢)雄40匹(日本クレア社生産)を用いてゲニステイン及びプロアントシアニジンによる血糖値上昇抑制作用について確認した。
13週齢KKAyマウスの体重、血糖値を測定し、血糖及び体重に群間で差が生じないように群分けした。
1群を基本10匹とし、群分けは、以下のように行った:
(1)コントロール群(0.5%CMCNa溶液強制経口投与群);
(2)GSE10mg/day 強制経口投与群(実施例1におけるGSE摂取量と同等(体重あたり));
(3)ゲニステイン(フナコシ株式会社製)52mg/day 強制経口投与群(実施例1におけるナリンゲニン摂取量と同等(体重あたり));及び
(4)GSE10mg/day+ゲニステイン52mg/day強制経口投与群;
の計4群。2〜4群の各サンプルは0.5%CMCNa溶液に溶解し、各群0.4mLの溶液を強制経口投与した。
(測定項目及び測定方法)
試験は11日間行い、体重、摂餌量及び飲水量を測定し、随時血糖値はアントセンスIII(堀場製作所社製)を用いて測定した。
KKAyマウスの体重については、各群、差は見られなかった(表7)。
体重(g)(平均±標準誤差で示す。)
Figure 0005900896
血糖値に関して、GSE単独摂取群ではコントロール群と比較し、血糖値の降下が見られなかった。ゲニステイン単独摂取群において、血糖値の降下が確認されたが、GSEとゲニステインの同時摂取群では、ゲニステイン単独摂取群よりも大きな血糖値降下が観察された(表8)。
随時血糖値(mg/dL)(平均±標準誤差で示す。)
Figure 0005900896
ゲニステイン(イソフラボン類)とプロアントシアニジンを同時に摂取することで、相乗的な血糖上昇抑制効果を示すことが明らかとなった。このゲニステインとプロアントシアニジンの組合せは、自然界で単一の原材料中には見出し得ない。
〔実施例4〕
(ナリンゲニン及びプロアントシアニジンを含有するトマト加工飲食品の製造)
以下にナリンゲニン及びプロアントシアニジンを原料の一部として使用するトマト加工飲食品の製造例を示す。
1.トマトジュース
シーズンパックトマトジュースの製造方法には、トマト洗浄、選別、破砕、加熱、搾汁、調合、脱気、殺菌、充填、冷却及び箱詰め工程があり、この調合工程で、搾汁したトマトジュースに、表9の組成で、ナリンゲニン及びプロアントシアニジンを添加して調合し、有塩の場合のみ食塩が加えられ、窒素ガスを混合して減圧脱気して、溶存酸素濃度を3ppm以下とした後、121℃、約1分の加熱殺菌をして、90℃まで冷され、缶に充填される。また、濃縮還元品の製造法は、開けだし工程で、トマト濃縮物を開けだし、規定の無塩可溶性固形分(4.5以上)に水希釈する。その後、ナリンゲニン及びプロアントシアニジンを添加して調合し、脱気、殺菌、充填、冷却及び箱詰め工程を経て製造される。
Figure 0005900896
2.野菜ミックスジュース
搾汁したトマトジュース、あるいは、トマト濃縮物を規定の無塩可溶性固形分(4.5以上)に水希釈して得たトマトジュースに、表10の組成で、各種野菜汁、ナリンゲニン及びプロアントシアニジンを添加して調合し、脱気、殺菌、充填、冷却及び箱詰め工程を経て製造される。
Figure 0005900896
3.トマトソース
表11に示す全原材料を混合して、窒素ガスを混合して減圧脱気して溶存酸素濃度を3ppm以下とした後、2号缶に充填し、110℃、30分のレトルト殺菌をする。
Figure 0005900896
ナリンゲニン以外の式(I)で表される化合物とプロアントシアニジンを原料の一部として使用する加工飲食品の製造例は上記の実施例4と同様の手順で作製することができる。
本出願は、2011年4月27日に出願された日本国特許出願第2011−99664号に基づく優先権を主張するものであり、この内容はここに参照として組み込まれる。

Claims (2)

  1. ナリンゲニン、ナリンジン、ヘスペリジン、ヘスペレチン、シトロニン、シトロネチン、リキリチン及びリキリチゲニンから選択されるフラバノン類である化合物並びにプロアントシアニジンを含有する、血糖値上昇抑制用医薬製剤。
  2. フラバノン類である化合物が、ナリンゲニン又はヘスペレチンである、請求項1に記載の医薬製剤。
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