JP5900170B2 - 車体部材の接合構造 - Google Patents

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Description

この発明は、一方の車体部材の接合端部を他方の車体部材に重ね合せて接着剤で接着接合するような車体部材の接合構造に関する。
従来、図9に示すように、フロアフレームなどの一方の車体部材71の接合端部72(いわゆる接合フランジ部)を、フロアパネルなどの他方の車体部材73に重ね合せて接合する場合、図9のB部の拡大図を図10に示すように、熱硬化性の接着剤74を用いて接合することが行なわれている。
また、上述の車体部材71,73には、その鋼板の錆防止のために電着塗装を施して耐食性を確保することが一般的であり、この場合、上述の熱硬化性接着剤74は、電着塗装乾燥時の熱を利用して固化する。
ウエルドボンド接合を例示して、従来構造の問題点を説明すると、まず、図10に示すように、一方の車体部材71の接合端部72と他方の車体部材73の重ね合せ部βに予め熱硬化性の接着剤74を塗布し、その後、両者72,73をスポット溶接手段にて接合する。
次に、一体接合された両車体部材71,73を図示しないハンガを介してマイナスに荷電すると共に、これら両者71,73を、プラスに荷電した電着塗料タンクに浸漬すると、電気化学作用により、塗料が車体部材71,73に電着塗装され、図10に示すように接着剤74の端部表面を含む車体部材71,73に電着塗膜75が形成される。
次に、電着塗料タンクから引き上げた車体部材71,73を乾燥炉に移動して、その熱を利用して電着塗膜75を車体部材71,73の表面に焼付け乾燥させると共に、接着剤74を熱硬化させるが、この電着塗装乾燥時において、接着剤74の粘度が低く、該接着剤74がペースト状の時、この接着剤74が接合端部72の端面72aおよび車体部材71のコーナ部71aから離れる方向(図11の矢印参照)に流動し、図11に示すように、接着剤74にはみ出し部74a,74bが形成されて、電着塗膜75が引きちぎられ、塗膜の欠陥部として接合端部72の端面72aと接着剤74との間、並びに、コーナ部71aと接着剤74との間に、電着塗膜75が存在しない隙間76が形成され、鋼板が部分的にむき出しになる。
鋼板製の車体部材71がむき出しになると、隙間76(塗膜の欠陥部)から水分が侵入し、錆が発生する。このように、接着剤74を用いて車体部材71,73を接着する場合、加熱時(電着塗装乾燥時)に接着剤74が鋼板フランジ端部(接合端部72の端面72aおよびコーナ部71a参照)から離れる方向に流動し、電着塗膜75が引きちぎられ、塗膜の欠陥部(隙間76参照)が生じることに起因して錆が発生するという問題点があった。
ところで、特許文献1には、一方の部材と他方の部材とを接着剤を用いて接合する接合構造において、発泡膨張させた接着層部によって一方の部材の端部接着面の切断端面を覆い、これにより、一方の部材の端面の防錆を図るように成した構成が開示されている。
しかしながら、該特許文献1には、接着剤が加熱時に流動して電着塗膜が引きちぎられるという本発明の課題それ自体が全く開示されておらず、その示唆もない。
特開2011−144256号公報
そこで、この発明は、一方の車体部材の接合端部と他方の車体部材とを重ね合せた重ね合せ面部と、接合端部の縁部に形成され重ね合せ面部から離れる方向に立ち上がる立ち上がり部と、他方の車体部材に形成され立ち上がり部と対向する段差部と、を備え、重ね合せ面部から離れるに従い立ち上がり部と段差部との間隔が狭くなるように構成することで、接着剤の流動の方向を接合端部から離れないように制御し、電着塗膜に欠陥が生じるのを防止して、以て、錆の発生を防止することができる車体部材の接合構造の提供を目的とする。
この発明による車体部材の接合構造は、一方の車体部材の接合端部他方の車体部材に接着層を介して接合されて、重ね合せ面部が形成された車体部材の接合構造であって、一方の車体部材の接合端部と他方の車体部材とが重ね合わされた重ね合せ面部と、上記接合端部の縁部に形成され上記重ね合せ面部から離れる方向に立ち上がる立ち上がり部と、上記他方の車体部材に形成され上記立ち上がり部と対向する段差部と、を備え、上記重ね合せ面部から離れるに従い上記立ち上がり部と上記段差部との間隔が狭くなるよう構成され、上記一方の車体部材が、接合端部の内方側において上記重ね合せ面部から離れる方向に延びる壁部を有し、上記他方の車体部材が、上記重ね合せ面部と壁部とをつなぐコーナ部に対向する第2段差部を備え、上記重ね合せ面部から離れるに従い上記コーナ部と上記第2段差部との間隔が狭くなるよう構成されたものである。
上述の接着層を形成する接着剤としては、熱硬化性の接着剤が好ましい。
上記構成によれば、重ね合せ面部から離れるに従って上記立ち上がり部と上記段差部との間隔が狭くなるように構成し、所謂上記間隔を先細り形状と成したので、接着剤の流動の方向を接合端部から離れないように制御することができ、これにより電着塗膜が接着剤流動により引きちぎられて、塗膜の欠陥部としての隙間が発生するのを防止し、以て、錆の発生を防止することができる。
しかも、上記一方の車体部材が、接合端部の内方側において上記重ね合せ面部から離れる方向に延びる壁部を有し、上記他方の車体部材が、上記重ね合せ面部と壁部とをつなぐコーナ部に対向する第2段差部を備え、上記重ね合せ面部から離れるに従い上記コーナ部と上記第2段差部との間隔が狭くなるよう構成されたものであり、このように、重ね合せ面部から離れるに従ってコーナ部と第2段差部との間隔が狭くなるように構成し、所謂上記間隔を先細り形状と成したので、接着剤の流動の方向をコーナ部から離れないように制御することができ、これにより電着塗膜が接着剤流動により引きちぎられて、塗膜の欠陥部としての隙間が発生するのを防止し、以て、錆の発生を防止することができる。
上述のコーナ部は、円弧状のアール形状部や線分状のテーパ形状部、あるいは、これらの組合せであってもよい。
この発明によれば、一方の車体部材の接合端部と他方の車体部材とを重ね合せた重ね合せ面部と、接合端部の縁部に形成され重ね合せ面部から離れる方向に立ち上がる立ち上がり部と、他方の車体部材に形成され立ち上がり部と対向する段差部と、を備え、重ね合せ面部から離れるに従い立ち上がり部と段差部との間隔が狭くなるように構成したので、接着剤の流動の方向を接合端部から離れないように制御し、電着塗膜に欠陥が生じるのを防止して、以て、錆の発生を防止することができる効果がある。
本発明の車体部材の接合構造を示す概略断面図 加熱前における図1のA部の拡大断面図 ウエルドボンド接合におけるスポット溶接部の断面図 接着剤の流動現象を示す図2の左側要部拡大断面図 接着剤の流動現象を示す図2の右側要部拡大断面図 接着剤の固化終了時点における断面図 接着剤による接着とリベットによる結合とを併用した実施例を示す接着剤加熱前の断面図 (a)は車体部材の接合構造の他の実施例を示す概略断面図、(b)は車体部材の接合構造のさらに他の実施例を示す概略断面図 従来の車体部材の接合構造を示す概略断面図 加熱前における図9のB部の拡大断面図 電着塗膜の欠陥状態を示す断面図
接着剤の流動の方向を接合端部から離れないように制御し、電着塗膜に欠陥が生じるのを防止して、以て、錆の発生を防止するという目的を、一方の車体部材の接合端部他方の車体部材に接着層を介して接合されて、重ね合せ面部が形成された車体部材の接合構造において、一方の車体部材の接合端部と他方の車体部材とが重ね合わされた重ね合せ面部と、上記接合端部の縁部に形成され上記重ね合せ面部から離れる方向に立ち上がる立ち上がり部と、上記他方の車体部材に形成され上記立ち上がり部と対向する段差部と、を備え、上記重ね合せ面部から離れるに従い上記立ち上がり部と上記段差部との間隔が狭くなるよう構成され、上記一方の車体部材が、接合端部の内方側において上記重ね合せ面部から離れる方向に延びる壁部を有し、上記他方の車体部材が、上記重ね合せ面部と壁部とをつなぐコーナ部に対向する第2段差部を備え、上記重ね合せ面部から離れるに従い上記コーナ部と上記第2段差部との間隔が狭くなるよう構成するという構成にて実現した。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図1は車体部材の接合構造を示す概略断面図、図2は図1のA部の拡大断面図(但し、接着剤が塗布され、かつ電着塗膜が形成された接着剤加熱前の状態を示す)である。
図1,図2に示すように、この実施例の車体部材の接合構造は、一方の車体部材10の接合端部11いわゆる接合フランジ部を、他方の車体部材20に重ね合せて接着剤30(図2参照)で接着したものである。
ここで、一方の車体部材10と他方の車体部材20との組合せは、一方の車体部材10をフロアフレームに設定し、他方の車体部材20をフロアパネルに設定してもよく、以下同様に、エプロンレインフォースメントとエプロンパネルの組合せに設定してもよく、ダッシュクロスメンバとダッシュロアパネルの組合せに設定してもよく、クロスメンバとフロアパネルの組合せに設定してもよく、リヤサイドフレームとリヤフロアパネルの組合せに設定してもよく、リヤエンドクロスメンバとリヤエンドパネルの組合せに設定してもよく、トンネルサイドメンバとトンネル部の組合せに設定してもよく、車幅方向に延びるフロントヘッダとルーフパネルの組合せに設定してもよく、リヤヘッダとルーフパネルの組合せに設定してもよい。
何れにしても、一方の車体部材10としては主に断面ハット形状のものが適用され、他方の車体部材20としては少なくとも一方の車体部材10の接合フランジ部11が接合される対向部材が適用されるが、一方の車体部材10および他方の車体部材20として共に、断面ハット形状の部材を適用することも可能である。
図2に拡大断面図で示すように、一方の車体部材10はその接合端部11(いわゆる接合フランジ部)が他方の車体部材20と重ね合わされる平坦な重ね合せ面部12と、接合端部11の外方側の縁部に形成され重ね合せ面部12から離れる方向に立ち上がる舌片形状の立ち上がり部13と、接合端部11の内方側(図1で示す閉断面40側)において重ね合せ面部12から離れる方向に延びる壁部14と、重ね合せ面部12と壁部14とをつなぐアール形状のコーナ部15と、を有している。
他方の車体部材20は一方の車体部材10の重ね合せ面部12に重ね合わされる平坦な重ね合せ面部23と、上述の立ち上がり部13と離間して対向する段差部としての第1段差部21と、上述のコーナ部15に離間して対向する第2段差部22と、第1段差部21の重ね合せ面部23とは反対の側から接合端部11の外側方向に延びる外側パネル部24と、第2段差部22の重ね合せ面部23とは反対の側から接合端部11の内側方向(図1で示す閉断面40側)に延びるパネル部25と、を有している。
すなわち、一方の車体部材10は、外側から内側にかけて、直線状の立ち上がり部13と、直線状の重ね合せ面部12と、アール形状のコーナ部15と、直線状の壁部14とが、この順に一体形成されたものである。
また他方の車体部材20は、両部材10,20の接合により形成される閉断面40(図1参照)の外側から内側にかけて、直線状の外側パネル部24と、直線状の第1段差部21と、直線状の重ね合せ面部23と、直線状の第2段差部22と、直線状の内側パネル部25とが、この順に一体形成されたものである。
上述の一方の車体部材10の重ね合せ面部12の平坦部分の長さW1は、他方の車体部材20の重ね合せ面部23の平坦部分の長さW2よりも小さく形成されており、W1<W2の関係式が成立するように形成されている。
また、この実施例では第1段差部21の高さH1と、第2段差部22の高さH2とが等しく、H1=H2の関係式が成立するが、これらの各段差部21,22の高さH1,H2は異なっていてもよい。
しかも、一方の車体部材10において重ね合せ面部12と立ち上がり部13との成す角度θ1は、他方の車体部材20において重ね合せ面部23と第1段差部21との成す角度θ2よりも小さく、θ1<θ2の関係式が成立するように構成されていて、これにより、重ね合せ面部12,23から離れるに従って立ち上がり部13と第1段差部21との間隔g1が次第に狭くなり、いわゆる間隔g1が先細り形状になるように構成されている。
同様に、接合端部11の内方側においても、重ね合せ面部12,23から離れるに従ってコーナ部15と第2段差部22との間隔g2が次第に狭くなり、いわゆる間隔g2が先細り形状になるように構成されている。
この実施例では、一方の車体部材10の接合端部11を他方の車体部材20に重ね合せて接着剤30で接着するのみならず、これら両車体部材10,20をスポット溶接で接合しているので、図3に示すように、スポット溶接箇所にはナゲット41(溶接部)が形成されている。つまり、この実施例では両車体部材10,20をウエルドボンド接合したものである。
なお、上述の各間隔g1,g2の最狭部の間隔は、後述する電着塗膜50が両車体部材10,20で囲まれた内部に形成できるために必要な寸法、つまり、電着塗膜50の付きまわり性が確保される程度の寸法に設定する。
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下作用を説明する。
両車体部材10,20をウエルドボンド接合する場合、図2に示すように、一方の車体部材10の接合端部11と他方の車体部材20の重ね合せ面部12,23に予め熱硬化性の接着剤30を塗布する。
ここで、上述の接着剤30の塗布条件は次のように設定する。
つまり、図2に示すように、接着剤30の端部が第1段差部21と立ち上がり部13とで挟まれた空間内に位置すると共に、第2段差部22とコーナ部15とで挟まれた空間内に位置するように塗布する。
仮に、接着剤30の塗布範囲が小さく重ね合せ面部12の中間部分のみの場合には、従来同様の問題点が発生し、接着剤30の塗布範囲が過大で、間隔g1,g2から外にはみ出した場合にも、従来同様の課題が発生するので、電着塗装前の接着剤30は、上述の如く各要素21,13で挟まれた空間内、各要素22,15で挟まれた空間内に位置するように設定する。
次に、両車体部材10,20の重ね合せ面部12,23をスポット溶接して、図3に示すように、ナゲット41を形成する。図3では、図示の便宜上、ナゲット41を一箇所のみ示したが、このナゲット41は車体部材10の長手方向に間隔を隔てて複数形成されることは周知の通りである。
次に上述の接着剤30およびナゲット41で一体接合された両車体部材10,20を、例えば、オーバヘッドコンベアのハンガ(図示せず)を介してマイナスに荷電すると共に、これら両者10,20をプラスに荷電した電着塗料タンクに浸漬すると、電気化学作用により、塗料が車体部材10,20に電着塗装され、図2,図3に示すように、接着剤30の端部表面を含む車体部材10,20に電着塗膜50が形成される。
次に、電着塗料タンクから引き上げた車体部材10,20を乾燥炉に移動させて、乾燥炉の熱を利用して電着塗膜50を車体部材10,20の表面に焼付け乾燥させ、かつ接着剤30を熱硬化させる場合の作用について説明する。
図4に位置1、時刻t1で示す乾燥初期においては、接着剤30の粘度増加が小さく、該接着剤30はペースト状であって、この接着剤30は流体として挙動する。
位置1、時刻t1において接着剤30が電着塗膜50を押さえ付ける方向の圧力(静圧)をP1、接着剤30の流速をV1とすると、位置1で接着剤30は相対的に高い静圧P1(つまり、P1>P2)で電着塗膜50の末端を押さえながら、相対的に小さい流速V1(つまり、V1<V2)で電着塗膜50の上部を流動し始める。
接着剤30の先端が位置1から位置2へ進行すると、立ち上がり部13と第1段差部21との間隔g1が狭くなるので、接着剤30の流速V2は相対的に大きくなり、(つまり、V2>V1)、これに伴って静圧P2は相対的に小さくなる(つまり、P2<P1)。
ここに、上述の静圧と流速との関係は、摩擦損失も考慮したベルヌーイの定理により、下記式となる。
従って、立ち上がり部13と第1段差部21によって流経路が狭まる形状効果による速度増加(V1<V2)と摩擦損失によって、静圧はP1>P2の関係となる。
Figure 0005900170
上述の静圧P1により電着塗膜50の末端が押さえられると、接着剤30の流動によって該電着塗膜50は立ち上がり部13、第1段差部21から剥がされることなく、これら鋼板上に電着塗膜50が残り、接着剤30は電着塗膜50上を流動する。
加熱により接着剤30の硬化が進み、その粘度が高くなると、接着剤30の押し出されたはみ出し先端30a(図6参照)は固体のように挙動するので、重ね合せ面部12,23間で発生する力で押されてもはみ出し先端30aはその粘度が高く、高粘度化しているため、その移動が止まる。
この場合、図6に示すはみ出し先端30aの位置は、他方の車体部材20における外側パネル部24の外郭ラインL1よりも外方へ出ないように、予め接着剤30の塗布量を設定する。仮に、接着剤30のはみ出し先端30aが上記外郭ラインL1より外方へ出た場合には、接着剤30が一方の車体部材10の立ち上がり部13から離れるので好ましくない。
上述の接着剤30の乾燥初期から高粘度化に至るまでの作用は、一方の車体部材10のコーナ部15と他方の車体部材20の第2段差部22との間においても同様である。
すなわち、図5に位置3、時刻t3で示す乾燥初期においては、接着剤30の粘度増加が小さく、該接着剤30はペースト状であって、この接着剤30は流体として挙動する。
位置3、時刻t3において接着剤30が電着塗膜50を押さえ付ける方向の圧力(静圧)をP3、接着剤30の流速をV3とすると、位置3で接着剤30は相対的に高い静圧P3(つまり、P3>P4)で電着塗膜50の末端を押さえながら、相対的に小さい流速V3(つまり、V3<V4)で電着塗膜50の上部を流動し始める。
接着剤30の先端が位置3から位置4へ進行すると、コーナ部15と第2段差部22との間隔g2が狭くなるので、接着剤30の流速V4は相対的に大きくなり(つまり、V4>V3)、これに伴って静圧P4は相対的に小さくなる(つまり、P4<P3)。
ここに、上述の静圧と流速との関係は、摩擦損失も考慮したベルヌーイの定理により、下記式となる。
従って、コーナ部15と第2段差部22によって流経路が狭まる形状効果による速度増加(V3<V4)と摩擦損失によって、静圧はP3>P4の関係となる。
Figure 0005900170
上述の静圧P3により電着塗膜50の末端が押さえられると、接着剤30の流動によって該電着塗膜50はコーナ部15、第2段差部22から剥がされることなく、これら鋼板上に電着塗膜50が残り、接着剤30は電着塗膜50上を流動する。
加熱により接着剤30の硬化が進み、その粘度が高くなった場合、該接着剤30の押し出されたはみ出し先端30b(図6参照)は固体のように挙動し、重ね合せ面部12,23間で発生する力で押されても、はみ出し先端30bはその粘度が高く、高粘度化しているので、このはみ出し先端30bも他方の車体部材20における内側パネル部25の外郭ラインL2よりも内側でその移動が止まる。
このようにして、乾燥炉での乾燥が終了すると、電着塗膜50は車体部材10,20の表面に焼付け乾燥され、かつ接着剤30の固化完了により、両車体部材10,20は面接合構造にて接着接合され、しかも、接着剤30の流動方向を接合端部11から離れないように制御することで、電着塗膜50に欠陥が生じるのを防止することができる。
また、接着剤30と電着塗膜50との境界部の密着面積も増加するので、シール性能を高めることができる。
このように、上記実施例の車体部材の接合構造は、一方の車体部材10の接合端部11を他方の車体部材20に重ね合せて接着剤30で接着した車体部材の接合構造であって、一方の車体部材10の接合端部11と他方の車体部材20とが重ね合わされた重ね合せ面部12,23と、上記接合端部11の縁部に形成され上記重ね合せ面部12から離れる方向に立ち上がる立ち上がり部13と、上記他方の車体部材20に形成され上記立ち上がり部13と対向する段差部(第1段差部21参照)と、を備え、上記重ね合せ面部12,23から離れるに従い上記立ち上がり部13と上記段差部(第1段差部21参照)との間隔g1が狭くなるよう構成されたものである(図2,図4参照)。
この構成によれば、重ね合せ面部12,23から離れるに従って上記立ち上がり部13と上記段差部(第1段差部21)との間隔g1が狭くなるように構成し、所謂上記間隔g1を先細り形状と成したので、接着剤30の流動の方向を接合端部11から離れないように制御することができ、これにより電着塗膜50が接着剤流動により引きちぎられて、塗膜の欠陥部としての隙間が発生するのを防止し、以て、錆の発生を防止することができる。
また、上記一方の車体部材10が、接合端部11の内方側において上記重ね合せ面部12,23から離れる方向に延びる壁部14を有し、上記他方の車体部材20が、上記重ね合せ面部12と壁部14とをつなぐコーナ部15に対向する第2段差部22を備え、上記重ね合せ面部12,23から離れるに従い上記コーナ部15と上記第2段差部22との間隔g2が狭くなるよう構成されたものである(図2,図5参照)。
この構成によれば、重ね合せ面部12,23から離れるに従ってコーナ部15と第2段差部22との間隔g2が狭くなるように構成し、所謂上記間隔g2を先細り形状と成したので、接着剤30の流動の方向をコーナ部15から離れないように制御することができ、これにより電着塗膜50が接着剤流動により引きちぎられて、塗膜の欠陥部としての隙間が発生するのを防止し、以て、錆の発生を防止することができる。
さらに、実施例で開示したように、上記構成を、スポット溶接(図3に示すナゲット41参照)と接着剤30との両者で鋼板を接合するウエルドボンド接合に適用すると、単に接着剤30のみによる接着、並びに、単にスポット溶接のみによる点接合に対して、スポット溶接による点接合と、接着剤30による面接合とが併用されるので、強度および剛性が向上すると共に、耐振動性能の向上と、耐衝突性能の向上を図ることができる。
図7は車体部材の接合構造の他の実施例を示し、この実施例では、一方の車体部材10の接合端部11を他方の車体部材20に重ね合せて接着剤30で接着すると共に、この接着剤30による接着と、リベット42による結合とを併用したものである。なお、図7では、図示の便宜上、接着剤30の加熱前の状態を示している。また、リベット42を1つのみ示しているが、このリベット42は車体部材10の長手方向に間隔を隔てて複数設けられることは周知の通りである。
図7で示したように、リベット42と接着剤30との両者で鋼板を接合すると、単に接着剤30のみによる接着、並びに、単にリベット42のみによる結合に対して、リベット42の鋲締めによる締結力と、接着剤30による面接合力とが併用できるので、強度および剛性が向上すると共に、耐振動性能の向上と、耐衝突性能の向上とを図ることができる。
図8は車体部材の接合構造のさらに他の実施例を示し(但し、接着剤30の加熱前の状態を示す)、同図の(a)に示す構造は、一方の車体部材10における立ち上がり部13と、コーナ部15と、他方の車体部材20における第1段差部21と、第2段差部22とを、それぞれアール形状に構成し、重ね合せ面部12,23から離れるに従って、立ち上がり部13と第1段差部21との間隔g1が狭くなるように構成すると共に、重ね合せ面部12,23から離れるに従ってコーナ部15と第2段差部22との間隔g2も狭くなるように構成したものである。
つまり、上記各要素13,15,21,22を全てアール形状に形成したもので、立ち上がり部13の曲率半径を第1段差部21の曲率半径よりも大きく設定すると共に、コーナ部15の曲率半径を第2段差部22の曲率半径よりも大きく設定することで、重ね合せ面部12,23から離れるに従って各間隔g1,g2が狭くなるように構成したものである。
図8の(b)に示す構造は、一方の車体部材10における立ち上がり部13と、コーナ部15とを直線状に形成し、他方の車体部材20における第1段差部21と、第2段差部22とを、アール形状に形成し、重ね合せ面部12,23から離れるに従って、立ち上がり部13と第1段差部21との間隔g1が狭くなるように構成すると共に、重ね合せ面部12,23から離れるに従ってコーナ部15と第2段差部22との間隔g2も狭くなるように構成したものである。
図2,図8の(a)、図8の(b)から明らかなように、重ね合せ面部12,23から離れるに従って上記間隔g1,g2が狭くなり、所謂先細り形状の間隔g1,g2に形成されるならば、各要素13,15,21,22は直線同士の組合せであってもよく、アール形状の曲線同士の組合せであってもよく、直線と曲線の組合せであってもよい。
図8の(a)、(b)の何れの実施例においても、先の実施例と同様の作用、効果を奏するので、図8の(a)、(b)において、前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
この発明の構成と上述の実施例との対応において、
この発明の段差部は、実施例の第1段差部21に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
以上説明したように、本発明は、一方の車体部材の接合端部を他方の車体部材に重ね合せて接着剤で接着した車体部材の接合構造について有用である。
10…一方の車体部材
11…接合端部
12,23…重ね合せ面部
13…立ち上がり部
14…壁部
15…コーナ部
20…他方の車体部材
21…第1段差部(段差部)
22…第2段差部
30…接着剤
g1,g2…間隔

Claims (1)

  1. 一方の車体部材の接合端部他方の車体部材に接着層を介して接合されて、重ね合せ面部が形成された車体部材の接合構造であって、
    一方の車体部材の接合端部と他方の車体部材とが重ね合わされた重ね合せ面部と、
    上記接合端部の縁部に形成され上記重ね合せ面部から離れる方向に立ち上がる立ち上がり部と、
    上記他方の車体部材に形成され上記立ち上がり部と対向する段差部と、を備え、
    上記重ね合せ面部から離れるに従い上記立ち上がり部と上記段差部との間隔が狭くなるよう構成され
    上記一方の車体部材が、接合端部の内方側において上記重ね合せ面部から離れる方向に延びる壁部を有し、
    上記他方の車体部材が、上記重ね合せ面部と壁部とをつなぐコーナ部に対向する第2段差部を備え、
    上記重ね合せ面部から離れるに従い上記コーナ部と上記第2段差部との間隔が狭くなるよう構成された
    車体部材の接合構造。
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