JP5899884B2 - 偏光変換装置及びプロジェクターシステム - Google Patents

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Description

本発明は、偏光変換装置及びプロジェクターシステムに関する。
従来、プロジェクターに用いる偏光変換装置であって、プロジェクターの投写レンズの前段に配置される偏光板と、投写レンズの後段に配置される1/2波長板とを備える偏光変換装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。従来の偏光変換装置によれば、プロジェクターから射出される光を、偏光方向が揃った光からなる投写画像としてスクリーン上に投写することが可能となる。
なお、このように偏光方向が揃った光からなる投写画像は、例えば、立体視可能な投写画像を投写するために用いることができる。
特開2005−43656号公報
しかしながら、従来の偏光変換装置においては、偏光を扱う光学素子(従来の偏光変換素子においては偏光板及び1/2波長板)が歪んだり、短期間で劣化したりしてしまうという問題がある。光学素子が歪むと光学的な軸がずれてしまって面内位相差ムラが発生し、投写画像における面内照度ムラや面内色ムラが発生する原因となってしまう。また、光学素子が劣化すると、偏光変換装置として使用できなくなってしまう。
そこで、本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、偏光を扱う光学素子が歪んだり、短期間で劣化したりしてしまうのを抑制することが可能な偏光変換装置を提供することを目的とする。また、本発明の偏光変換装置を備えるプロジェクターシステムを提供することも目的とする。
本発明の発明者は、鋭意研究を重ねた結果、偏光変換装置の一部又は全部をプロジェクターに内蔵したり、偏光を扱う光学素子同士を密着させたりすると、偏光を扱う光学素子が過熱しやすくなり、その結果、当該光学素子が歪んだり、短期間で劣化したりしてしまうという知見を得た。偏光を扱う光学素子としては、コストは安いものの熱に弱い有機材料を有するものも広く使われており、この場合、偏光変換装置における過熱の問題が一層深刻なものとなる。本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、以下の事項により構成される。
[1]本発明の偏光変換装置は、プロジェクターに用いる外付型の偏光変換装置であって、前記プロジェクターからの光を偏光方向の揃った偏光とする第1素子と、前記第1素子の後段であって、前記第1素子との間に空間が存在するように配置され、前記第1素子からの偏光を、前記第1素子からの偏光とは異なる所定の偏光に変換する第2素子とを備えることを特徴とする。
本発明の偏光変換装置によれば、第2素子が第1素子との間に空間が存在するように配置されているため、第1素子と第2素子との間の空間により第1素子及び第2素子の放熱を促進することが可能となり、その結果、偏光を扱う光学素子(第1素子及び第2素子)が歪んだり、短期間で劣化したりしてしまうのを抑制することが可能となる。
また、本発明の偏光変換装置によれば、偏光を扱う光学素子(第1素子及び第2素子)が歪んだり、短期間で劣化したりしてしまうのを抑制することが可能であるため、偏光状態(偏光がどの程度揃っているかという状態)が非常に良好な偏光を生成することが可能となる。
また、本発明の偏光変換装置によれば、第1素子と第2素子との間の空間により、第1素子の熱が第2素子に伝導することを抑制し、特に第2素子の過熱を抑制することが可能となる。
また、本発明の偏光変換装置によれば、外付型の偏光変換装置であるため、第1素子と第2素子との位置関係を固定することで、第1素子及び第2素子の光学的な軸(透過軸や遅相軸等)を精度よく揃えることが可能となる。
また、本発明の偏光変換装置によれば、第1素子と第2素子とを備えるため、従来の偏光変換装置と同様に、プロジェクターから射出される光を、偏光方向が揃った光からなる投写画像としてスクリーン上に投写することが可能となる。
[2]本発明の偏光変換装置においては、前記第1素子及び前記第2素子を冷却する冷却装置をさらに備えることが好ましい。
このような構成とすることにより、第1素子及び第2素子を能動的に冷却することが可能となり、その結果、偏光を扱う光学素子(第1素子及び第2素子)が歪んだり、短期間で劣化したりしてしまうのを一層効果的に抑制することが可能となる。
[3]本発明の偏光変換装置においては、前記冷却装置は、前記第1素子と前記第2素子との間の前記空間に冷媒を流通させることにより、前記第1素子と前記第2素子とを冷却する装置であることが好ましい。
このような構成とすることにより、第1素子及び第2素子を効率よく冷却することが可能となる。
冷却装置としては、例えば送風ファンを有する冷却装置を用いることができる。この場合、冷媒としては空気を用いることができる。
[4]本発明の偏光変換装置においては、前記第1素子は、前記プロジェクターからの光を偏光方向の揃った直線偏光とし、前記第2素子は、前記第1素子からの直線偏光を、回転方向が揃った円偏光とすることが好ましい。
直線偏光よりも円偏光の方が反射角度依存性が少ないため、このような構成とすることにより、偏光変換装置で変換した偏光の角度依存性を小さくすることが可能となる。
プロジェクターシステムにおいては、視聴者は投写画像を様々な方向や距離から見ることとなるため、偏光変換装置をプロジェクターシステムに用いて、角度依存性の少ない投写画像を投射するときには、上記の効果が非常に重要なものとなる。
[5]本発明のプロジェクターシステムは、プロジェクターと、本発明の偏光変換装置とを備えることを特徴とする。
本発明のプロジェクターシステムによれば、偏光を扱う光学素子(第1素子及び第2素子)が歪んだり、短期間で劣化したりしてしまうのを抑制することが可能な本発明の偏光変換装置を備えるため、信頼性が高く、かつ、精度のよい投写画像を得られるプロジェクターシステムとすることが可能となる。
なお、本発明のプロジェクターシステムは、他の構成要素として、スクリーンや偏光メガネをさらに備えることが好ましい。
この場合、スクリーンとしては、高ゲインの(正反射など、特定の角度成分の反射率が高い)スクリーンを用いることが好ましい。
[6]本発明のプロジェクターシステムにおいては、3次元画像として認識可能な投写画像を投写することが好ましい。
このような構成とすることにより、本発明の偏光変換装置を利用して、精度のよい3次元画像を投写することが可能となる。
実施形態1に係るプロジェクターシステム1を説明するために示す図。 実施形態1に係る偏光変換装置200を説明するために示す図。 実施形態2に係るプロジェクターシステム2を説明するために示す図。 実施形態2に係る偏光変換装置202の横断面図。 実施形態3に係る偏光変換装置204の横断面図。 実施形態4に係るプロジェクターシステム3を説明するために示す図。 実施形態5に係る偏光変換装置205、207の横断面図である。
以下、本発明の偏光変換装置及びプロジェクターシステムについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るプロジェクターシステム1を説明するために示す図である。なお、図1はプロジェクターシステム1を上面から見たときを想定した模式図である。プロジェクター100から偏光メガネ400に向かう矢印は光の流れを簡易的に表したものであり、上記矢印に付属する巻き矢印は光が円偏光であることを示す。これは、後述する図3及び図6においても同様である。
図2は、実施形態1に係る偏光変換装置200を説明するために示す図である。図2(a)は偏光変換装置200の斜視図であり、図2(b)は偏光変換装置200の側面図であり、図2(c)は、図2(b)のA−A断面図である。なお、後述する図4及び図5でいう「横断面図」は、図2(c)に相当する断面図のことをいう。
図2中の破線矢印は偏光方向が揃っていない光の光軸を簡易的に表すものであり、実線矢印は偏光方向が揃った光の光軸を簡易的に表すものである。また、実線矢印に付属する両矢印はその位置の光が直線偏光からなるものであることを表し、実線矢印に付属する巻き矢印はその位置の光が円偏光からなるものであることを表す。後述する図4及び図5においても同様である。
まず、実施形態1に係るプロジェクターシステム1について説明する。
実施形態1に係るプロジェクターシステム1は、図1に示すように、プロジェクター100と、偏光変換装置200と、スクリーン300と、偏光メガネ400とを備える。プロジェクターシステム1は、3次元画像として認識可能な投写画像を投写するプロジェクターシステムである。
プロジェクター100は、光変調装置として透過型の光変調装置である液晶光変調装置を3つ備え、赤色光、緑色光及び青色光からフルカラーの投写画像を生成する3板式プロジェクターである。プロジェクター100の構成に関しては公知であるため、詳細な説明を省略する。プロジェクター100は、一定周期ごと(例えば、60分の1秒ごと、30分の1秒ごと等)に右目用の投写画像となる光と左目用の投写画像となる光とを交互に射出する(いわゆる時分割。)。
なお、プロジェクター100においては、液晶光変調装置で変調した各色光をクロスダイクロイックプリズムで合成する構成をとっており、赤色光及び青色光をS偏光として、緑色光をP偏光として射出する。
偏光変換装置200は、プロジェクター100に用いる外付型の偏光変換装置であり、プロジェクター100からの光を偏光方向が揃った円偏光(例えば、光軸に沿って見たときに右回りの偏光)に変換する。偏光変換装置200に関しては、後で詳細を説明する。偏光変換装置200は、プロジェクター100の投写レンズから射出される光が第1素子210及び第2素子220(後述)の光軸に沿って通過するように配置されている。なお、偏光変換装置200は、図1においてはプロジェクター100と離れて配置されているが、プロジェクター100の投写レンズ、またはプロジェクター100の外装に直接取り付けるように配置してもよい。
スクリーン300は、プロジェクター100の投写対象であり、プロジェクター100から射出され偏光変換装置200を経た光は、スクリーン300上で投写画像を形成する。
偏光メガネ400は、右目用の偏光シャッター(例えば、液晶素子)と左目用の偏光シャッターを有する、いわゆるアクティブシャッター式の偏光メガネである。偏光メガネ400の構成に関しては公知であるため、詳細な説明を省略する。偏光メガネ400は、使用時にはプロジェクター100と同期しており、プロジェクター100が右目用の投写画像となる光を射出するときは右目用の偏光シャッターのみが当該光(例えば、光軸に沿ってみたときに左回りの偏光)を通過させ、プロジェクター100が左目用の投写画像となる光を射出するときは左目用の偏光シャッターのみが当該光を通過させる。なお、図示及び例示において、スクリーン300の前後で円偏光の方向が異なるのは、スクリーン300に反射されたときに偏光の方向が逆になるためである。後述する実施形態2及び実施形態4においても同様である。
次に、実施形態1に係る偏光変換装置200について説明する。
偏光変換装置200は、図2に示すように、第1素子210と、第2素子220と、冷却装置230と、蓋部240,242とを備える。
第1素子210は、プロジェクター100からの光を偏光方向の揃った偏光とする。さらにいえば、第1素子210は、プロジェクター100からの光を偏光方向の揃った直線偏光とする。
第1素子210は、偏光板212及び透明基板214を有する。
偏光板212は、吸収型の有機偏光板からなる。有機偏光板としては、各種の有機偏光板(例えば、染料系の有機偏光板、ヨウ素系の有機偏光板、ポリビニレンブロック系の有機偏光板等)を用いることができる。また、有機偏光板の代わりに無機偏光板を用いることもできる。さらにまた、吸収型の偏光板の代わりに反射型の偏光板を用いることもできる。
なお、本実施例のように赤色光及び青色光がS偏光(0度)、緑色光がP偏光(90度)の場合、偏光板212の透過軸は45度とすることが望ましい。このような配置とすることで、偏光板212がS偏光とP偏光をほぼ均等に吸収することで、各色のバランスを適切なものとすることができる。
なお、偏光板212は、透明基板214に対して外側(空間Sとは反対側)に配置されている。このような構成とすることにより、偏光板212のリワーク(部品交換)が容易となる。また、このような構成とすることで後述する冷却装置230の流路となる空間Sの表面に凹凸がなくなり、その結果、流路の空気抵抗が低減され、冷却効率を向上させることが可能となる。これは、後述する第2素子220の1/4波長板222についても同様である。
透明基板214は、偏光板212を搭載する。透明基板としては、透明度(可視光を通過させる度合い)が高く、偏光状態を乱さない材料からなるものが好ましく、例えば、各種光学ガラスからなるものを用いることができる。後述する透明基板224についても同様である。
第1素子の透明基板と第2素子の透明基板とについては、同じ材料からなるものを用いてもよいが、第1素子の透明基板が、第2素子の透明基板に比べて熱伝導性の高い材料からなることが好ましい。このような構成とすることにより、第1素子の放熱を促進するとともに、第2素子における1/4波長板等への伝熱を抑制することが可能となる。
第2素子220は、第1素子210の後段であって、第1素子210との間に空間Sが存在するように配置され、第1素子210からの偏光を、第1素子210からの偏光とは異なる所定の偏光に変換する。さらにいえば、第2素子220は、第1素子210からの直線偏光を、回転方向が揃った円偏光とする。
第2素子220は、1/4波長板222及び透明基板224を有する。
1/4波長板222は、1/4波長板222の遅相軸と偏光板212の透過軸とのなす角度が45°又は135°となるように配置されている。
冷却装置230は、第1素子210及び第2素子220を冷却する。冷却装置230は、第1素子210と第2素子220との間の空間Sに冷媒を流通させることにより、第1素子210と第2素子220とを冷却する装置である。冷却装置230は、送風ファン232を有し、冷媒として空気を用いる。
蓋部240,242は、偏光変換装置200の上端と下端とを覆う。蓋部240,242は、第1素子210と第2素子220とを固定することで、第1素子210と第2素子220との光学軸の一致に寄与する。また、蓋部240,242は、空間Sの上下を覆うことで、冷媒(空気)の流路を形成し、冷却装置230による冷却効果を向上させる。
次に実施形態1に係る偏光変換装置200及びプロジェクターシステム1の効果を説明する。
実施形態1に係る偏光変換装置200によれば、第2素子220が第1素子210との間に空間Sが存在するように配置されているため、第1素子と第2素子との間の空間により第1素子及び第2素子の放熱を促進することが可能となり、その結果、偏光を扱う光学素子(第1素子及び第2素子)が歪んだり、短期間で劣化したりしてしまうのを抑制することが可能となる。
また、実施形態1に係る偏光変換装置200によれば、偏光を扱う光学素子(第1素子210及び第2素子220)が歪んだり、短期間で劣化したりしてしまうのを抑制することが可能であるため、偏光状態(偏光がどの程度揃っているかという状態)が非常に良好な偏光を生成することが可能となる。
また、実施形態1に係る偏光変換装置200によれば、第1素子210と第2素子220との間の空間により、第1素子210の熱が第2素子220に伝導することを抑制し、特に第2素子の過熱を抑制することが可能となる。
また、実施形態1に係る偏光変換装置200によれば、外付型の一体化された偏光変換装置であるため、第1素子と第2素子との位置関係を固定することで、第1素子及び第2素子の光学的な軸(透過軸や遅相軸等)を精度よく揃えることが可能となる。
また、本発明の偏光変換装置によれば、第1素子と第2素子とを備えるため、従来の偏光変換装置と同様に、プロジェクターから射出される光を、偏光方向が揃った光からなる投写画像としてスクリーン上に投写することが可能となる。
また、実施形態1に係る偏光変換装置200によれば、第1素子210及び第2素子220を冷却する冷却装置230を備えるため、第1素子及び第2素子を能動的に冷却することが可能となり、その結果、偏光を扱う光学素子(第1素子及び第2素子)が歪んだり、短期間で劣化したりしてしまうのを一層効果的に抑制することが可能となる。
また、実施形態1に係る偏光変換装置200によれば、冷却装置230が第1素子210と第2素子220との間の空間Sに冷媒(空気)を流通させることにより、第1素子210と第2素子220とを冷却する装置であるため、第1素子及び第2素子を効率よく冷却することが可能となる。
また、実施形態1に係る偏光変換装置200によれば、第1素子210はプロジェクター100からの光を偏光方向の揃った直線偏光とし、第2素子220は第1素子210からの直線偏光を、回転方向が揃った円偏光とするため、偏光変換装置で変換した偏光の角度依存性を小さくすることが可能となる。
また、実施形態1に係る偏光変換装置200によれば、第1素子210が偏光板212を有するため、プロジェクターからの光の偏光方向を揃えることが可能となる。
また、実施形態1に係る偏光変換装置200によれば、第2素子220が1/4波長板222を有するため、第1素子からの直線偏光を円偏光に変換することが可能となる。
実施形態1に係るプロジェクターシステム1によれば、偏光を扱う光学素子(第1素子210及び第2素子220)が歪んだり、短期間で劣化したりしてしまうのを抑制することが可能な実施形態1に係る偏光変換装置200を備えるため、信頼性が高く、かつ、精度のよい投写画像を得られるプロジェクターシステムとすることが可能となる。
また、実施形態1に係るプロジェクターシステム1によれば、3次元画像として認識可能な投写画像を投写するため、実施形態1に係る偏光変換装置を利用して、精度のよい3次元画像を投写することが可能となる。
[実施形態2]
図3は、実施形態2に係るプロジェクターシステム2を説明するために示す図である。図3において、偏光変換装置202の後段の実線矢印に、それぞれ巻き方向が異なる巻き矢印が2つ付属しているのは、回転方向の異なる円偏光を時分割的に射出することを表している。図4においても同様である。
図4は、実施形態2に係る偏光変換装置202の横断面図である。
なお、実施形態2以降については、実施形態1のときと基本的に差異のない構成要素については同一の符号で示し、基本的に説明を省略する。
実施形態2に係る偏光変換装置202は、基本的には実施形態1に係る偏光変換装置200と同様の構成を有するが、第2素子の構成が実施形態1に係る偏光変換装置200とは異なる。また、これに伴って、実施形態2に係るプロジェクターシステム2の構成も、実施形態1に係るプロジェクターシステム1とは異なる。
プロジェクターシステム2におけるプロジェクター100は、図3に示すように、実施形態1に係るプロジェクターシステム1におけるプロジェクター100と同様の構成を有するが、偏光変換装置及び偏光メガネの構成が実施形態1に係るプロジェクターシステム1とは異なる。
偏光変換装置202は、図4に示すように、第2素子250は液晶素子を有する。当該液晶素子は、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶を密閉封入した透過型の液晶素子であり、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子とするものである。第2素子は、プロジェクター100と同期しており、プロジェクター100が右目用の投写画像となる光を射出しているときは、第1素子210からの直線偏光を一方の方向(例えば、光軸に沿って見たときに右回り)に回転方向が揃った円偏光とし、プロジェクター100が左目用の投写画像となる光を射出しているときは、第1素子210からの直線偏光を他方の方向(例えば、光軸に沿ってみたときに左回り)に回転方向が揃った円偏光とする。
偏光メガネ402は、実施形態1における偏光メガネ400とは異なり、アクティブシャッター式の偏光メガネではない。偏光メガネ402は、右目用の投写画像(例えば、光軸に沿って見たときに左回りの偏光)のみを通過させる右目用偏光板と、左目用の投写画像(例えば、光軸に沿って見たときに右回りの偏光)のみを通過させる左目用偏光板とを備える(いわゆるパッシブ式。)。実施形態2においては、偏光変換装置202が右目用の投写画像と左目用の投写画像とを異なる種類の円偏光とするため、このように比較的簡易な構成の偏光メガネ402を用いることができる。
このように、実施形態2に係る偏光変換装置202は、第2素子の構成が実施形態1に係る偏光変換装置200とは異なるが、第2素子250が第1素子210との間に空間Sが存在するように配置されているため、実施形態1に係る偏光変換装置200と同様に、第1素子と第2素子との間の空間により第1素子及び第2素子の放熱を促進することが可能となり、その結果、偏光を扱う光学素子(第1素子及び第2素子)が歪んだり、短期間で劣化したりしてしまうのを抑制することが可能となる。
また、実施形態2に係る偏光変換装置202によれば、第2素子250が液晶素子を有するため、第1素子からの直線偏光を円偏光に変換することが可能となる。また、液晶素子の状態を切り替えて円偏光の偏光方向を変化させることが可能となる。
なお、実施形態2に係る偏光変換装置202は、第2素子の構成が実施形態1に係る偏光変換装置200とは異なる以外は、実施形態1に係る偏光変換装置200と同様の構成を有するため、実施形態1に係る偏光変換装置200が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態3]
実施形態3に係るプロジェクターシステムを説明する。
実施形態3に係るプロジェクターシステムは、実施形態1と偏光変換装置の構成が異なるが、その他の構成要素については実施形態1と同様であるので、説明を省略する。
図5は、実施形態3に係る偏光変換装置204の横断面図である。
実施形態3に係る偏光変換装置204は、基本的には実施形態1に係る偏光変換装置200と同様の構成を有するが、第1素子の構成が実施形態1に係る偏光変換装置200とは異なる。すなわち、実施形態3に係る偏光変換装置204における第1素子260は、図5に示すように、偏光板262と、透明基板264と、波長選択偏光回転素子266とを有する。
透明基板264は実施形態1における透明基板214と同様の構成を有するものであるため、説明は省略する。
ところで、プロジェクターが3板式の液晶プロジェクターである場合には、クロスダイクロイックプリズムで3種の色光を合成する。その際、クロスダイクロイックプリズムの光学特性において、誘電体多層膜を透過させたい色光はP偏光、当該誘電体多層膜で反射させたい色光はS偏光に優位性があるため、1の色光と他の色光とで偏光方向が異なる光としてクロスダイクロイックプリズムから光が射出される。
波長選択偏光回転素子266は、特定の波長の光に関してのみ、直線偏光の方向性を変換する。実施形態1におけるプロジェクター100に偏光変換装置204を適用する場合においては、波長選択偏光回転素子266として、緑色光のみをP偏光からS偏光に変換するものや、赤色光及び青色光をS偏光からP偏光に変換するものを用いることができる。
偏光板262は、波長選択偏光回転素子266で偏光状態を変換されずに透過した各色の偏光を透過する透過軸とする。これにより、偏光板262での光の吸収による損失を最小限にすることができる。
このように、実施形態3に係る偏光変換装置204は、第1素子の構成が実施形態1に係る偏光変換装置200とは異なるが、第2素子220が第1素子260との間に空間Sが存在するように配置されているため、実施形態1に係る偏光変換装置200と同様に、第1素子と第2素子との間の空間により第1素子及び第2素子の放熱を促進することが可能となり、その結果、偏光を扱う光学素子(第1素子及び第2素子)が歪んだり、短期間で劣化したりしてしまうのを抑制することが可能となる。
また、実施形態3に係る偏光変換装置204によれば、第1素子260が波長選択偏光回転素子266を有するため、1の色光又は他の色光の偏光方向を選択的に変換して、プロジェクターからの光の偏光方向を効率よく揃えることが可能となる。
なお、実施形態3に係る偏光変換装置204は、第1素子の構成が実施形態1に係る偏光変換装置200とは異なる以外は、実施形態1に係る偏光変換装置200と同様の構成を有するため、実施形態1に係る偏光変換装置200が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態4]
図6は、実施形態4に係るプロジェクターシステム3を説明するために示す図である。
実施形態4に係るプロジェクターシステム3は、基本的には実施形態1に係るプロジェクターシステム1と同様の構成を有するが、プロジェクター及び偏光変換装置の数が実施形態1に係るプロジェクターシステム1とは異なる。すなわち、実施形態4に係るプロジェクターシステム3は、図6に示すように、2つのプロジェクター102,104と、偏光変換装置206,208を備える(いわゆるスタック式のプロジェクターシステム。)。また、これに伴って偏光メガネ404の構成も実施形態1における偏光メガネ400の構成とは異なるものとなっている。
プロジェクター102,104は、それぞれ構成自体は実施形態1におけるプロジェクター100と同様であるが、プロジェクター102とプロジェクター104とで異なる投写画像となる光を投写する。例えば、プロジェクター102は左目用の投写画像となる光を投写し、プロジェクター104は右目用の投写画像となる光を投写する。
偏光変換装置206,208は、それぞれ構成自体は実施形態1に係る偏光変換装置200と基本的に同様であるが、偏光変換装置206はプロジェクター102に対応し、偏光変換装置208はプロジェクター104に対応する。偏光変換装置206は、例えば、プロジェクター102からの左目用の投写画像となる光を一方の方向(例えば、光軸に沿ってみたときに左回り)に回転方向が揃った円偏光とし、偏光変換装置208は、例えば、プロジェクター104からの右目用の投写画像となる光を他方の方向(例えば、光軸に沿ってみたときに右回り)に回転方向が揃った円偏光とする。
偏光メガネ404は、実施形態2における偏光メガネ402と同様の構成を有するため、説明を省略する。
このように、実施形態4に係るプロジェクターシステム3は、実施形態1に係るプロジェクターシステム1とはプロジェクター及び偏光変換装置の数が異なるが、偏光を扱う光学素子(第1素子及び第2素子)が歪んだり、短期間で劣化したりしてしまうのを抑制することが可能な実施形態4に係る偏光変換装置206,208を備えるため、実施形態1に係るプロジェクターシステム1と同様に、信頼性が高く、かつ、精度のよい投写画像を得られるプロジェクターシステムとすることが可能となる。
なお、実施形態4に係るプロジェクターシステム3は、プロジェクター及び偏光変換装置の数以外は、実施形態1に係るプロジェクターシステム1と同様の構成を有するため、実施形態1に係るプロジェクターシステム1が有する効果をそのまま有する。
[実施形態5]
図7は、実施形態5に係る偏光変換装置205、207の横断面図である。
実施形態5に係る偏光変換装置205は、基本的には実施形態1に係る偏光変換装置200と同様の構成を有するが、冷却装置の構成が実施形態1に係る偏光変換装置200とは異なる。すなわち、実施形態5に係る偏光変換装置205における冷却装置270は、図7(a)に示すように、ファン232と空間Sの間にダクト271を有する。
ダクト271の効果で、ファン232の外形よりも、第1光学素子と第2光学素子の間隔を狭めることができる。この構成によって、冷却風の風速上昇による冷却効果上昇と、第2光学素子220がプロジェクター100に近づくことによる偏光変換装置205の小型化が実現できる。
また、実施形態5に係る偏光変換装置207における冷却装置275は、図7(b)に示すように、ファン232が空間Sと隣接する空間Tの位置に配置される。空間Sと空間Tには壁がないため、ファン232によって空間Tの風速を上げると、空間Sに負圧が発生し、空間Sの空気が流れる。この構成によっても、第1光学素子と第2光学素子の間隔を狭めることができるため、第2光学素子220をプロジェクター100に近づけて偏光変換装置207の小型化が実現できる。
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
(1)上記各実施形態において記載した各構成要素の寸法、個数、材質及び形状は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
(2)上記各実施形態においては、偏光変換装置200〜206は冷却装置による冷媒の流れの向きを横向きにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、冷媒の流れの向きを下から上(縦向き)とすることで、プロジェクターが天吊りのときに下方から冷たい空気が取り込みやすい配置や、当該向きを上から下にすることで、プロジェクターが床置き/机置きのときに十分な空間のある上方から空気を取り込みやすい配置を選択してもよい。また外付型の一体化された偏光変換装置を、上下反転させて取り付けを可能にすることで、プロジェクターの配置に合わせて最適な構成が選択可能である。
(3)上記実施形態2においては、直線偏光を円偏光に変換する液晶素子を有する第2素子を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。直線偏光を偏光方向の異なる直線偏光に変換する液晶素子と、直線偏光を円偏光に変換する1/4波長板とを有する第2素子を用いてもよい。
(4)上記実施形態3においては、偏光板と波長選択偏光回転素子とを有する第1素子を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。波長選択偏光回転素子のみで偏光方向が揃った偏光とすることができるならば、波長選択偏光回転素子を有し、偏光板を有しない第1素子を用いてもよい。
(5)上記実施形態1,2,4においては、透過型の光変調装置である液晶光変調装置を3つ備えるプロジェクターを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。反射型の液晶光変調装置を備えるプロジェクターを用いてもよい。また、液晶光変調装置を2つ以下、又は4つ以上備えるプロジェクターを用いてもよい。
(6)上記実施形態1,2,4においては、液晶光変調装置を備えるプロジェクターを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。一般に、画像情報に応じて入射光を変調する光変調装置を備えるプロジェクターであればよく、マイクロミラー型光変調装置等を備えるプロジェクターを用いてもよい。マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)(TI社の商標)を用いることができる。このようなプロジェクターを備えるプロジェクターシステムにおいては、無偏光状態の光が偏光変換装置に入射するため、偏光変換装置において約半分の光が吸収され、光学素子の過熱の問題が深刻となる。このため、本発明の偏光変換装置は、上記のようなプロジェクターシステムにおいて特に有効に用いることができる。
1,2,3…プロジェクターシステム、100,102,104…プロジェクター、200,202,204,205,206,207,208…偏光変換装置、210,260…第1素子、212,262…偏光板、214,224,264…透明基板、220,250…第2素子、222…1/4波長板、230,270,275…冷却装置、232…送風ファン、240,242…蓋部、266…波長選択偏光回転素子、271…ダクト、300…スクリーン、400,402,404…偏光メガネ、S,T…空間

Claims (4)

  1. プロジェクターに用いる外付型の偏光変換装置であって、
    偏光板を有し、前記プロジェクターからの光を偏光方向の揃った偏光とする第1素子と、
    前記第1素子の後段であって、前記第1素子との間に空間が存在するように配置され、前記第1素子からの偏光を、前記第1素子からの偏光とは異なる所定の偏光に変換する第2素子と
    前記第1素子及び前記第2素子を固定する一対の蓋部と、
    前記第1素子及び前記第2素子を冷却する冷却装置と、を備え
    前記冷却装置は、前記第1素子と前記第2素子との間の前記空間に冷媒を流通させることにより、前記第1素子と前記第2素子とを冷却する装置であることを特徴とする偏光変換装置。
  2. 請求項1に記載の偏光変換装置において、
    前記第1素子は、前記プロジェクターからの光を偏光方向の揃った直線偏光とし、
    前記第2素子は、前記第1素子からの直線偏光を、回転方向が揃った円偏光とすることを特徴とする偏光変換装置。
  3. プロジェクターと、
    請求項1または請求項2に記載の偏光変換装置とを備えることを特徴とするプロジェクターシステム。
  4. 請求項に記載のプロジェクターシステムにおいて、
    3次元画像として認識可能な投写画像を投写することを特徴とするプロジェクターシステム。
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