[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置10の構成を示すブロック図である。本実施形態の画像形成装置10は、制御部110と、記憶部130と、操作部120と、画像形成部200とを備える。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)を含む演算装置やメモリを備えたコンピュータである。制御部110の演算装置は、メモリに記憶されたプログラムを実行して、画像形成装置10の各部を制御する。操作部120は、ユーザによって操作されると、その操作内容を示す操作データを制御部110に供給する。
記憶部130は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置を備え、例えば、画像を形成するための画像データを記憶する。画像形成部200は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナーを用いて電子写真プロセスにより記録媒体に画像を形成する。記録媒体は、例えば記録用紙であるが、OHPシートなどのプラスチックや、その他の材質のシートなどであってもよく、表面に画像を記録し得る媒体であればよい。
図2は、画像形成部200の構成を示す図である。図2に示す画像形成部200の各符号のうち、その末尾に付されたアルファベットは画像形成装置が扱うトナーの色に対応する。符号の末尾のアルファベットが異なる構成は、扱うトナーの色が異なるが、その構成は互いに共通している。以下の説明において、これら各構成を特に区別する必要がない場合には、符号の末尾のアルファベットを省いて説明する。画像形成部200は、感光体ドラム211と、帯電装置212と、露光装置213と、現像装置214と、一次転写ロール220と、中間転写ベルト300と、回転ロール310と、駆動ロール320と、二次転写ロール251と、バックアップロール252と、搬送ロール260と、定着装置270と、除去装置400とを有する。
感光体ドラム211は、円筒状の部材であり、表面に形成される静電潜像を保持する。感光体ドラム211は、図示せぬ機構によって移動させられることで、中間転写ベルト300に接触する状態と、これに接触しない状態とが切り替わるようになっている。感光体ドラム211は、中間転写ベルト300と接触した状態にあるときに、中間転写ベルト300の回転に伴って、円筒の中心を軸として図中の矢印A1の方向に回転する。帯電装置212は、感光体ドラム211の表面を決められた電位に帯電させる。露光装置213は、感光体ドラム211の帯電した表面に対し画像データに応じた露光を行って、その感光体ドラム211に静電潜像を形成する。現像装置214は、Y、M、C、Kのいずれかの色のトナーと、フェライト粉などの磁性体とを含む現像剤を収容している。現像装置214は、この現像剤を用いて、感光体ドラム211に形成された静電潜像にトナーを供給することで、現像を行う。この現像により、感光体ドラム211の表面にトナー像が形成される。
中間転写ベルト300は、回転可能な無端のベルト状の部材であり、熱硬化性ポリイミド樹脂にポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene:PTFE)の粒子(PTFE粒子)を分散させて形成されている。このように中間転写ベルト300がPTFE粒子を含有していることで、PTFE粒子を含有していない場合に比べて表面からトナーが離れやすくなり、トナー像の転写率が向上している。また、中間転写ベルト300は、回転ロール310、駆動ロール320、一次転写ロール220及びバックアップロール252と接触しながら、図中の矢印A2が示す方向又はその反対の矢印A4が示す方向に回転する。以下では、前者の方向をベルト回転方向A2といい、後者の方向を反対回転方向A4という。中間転写ベルト300は、本発明に係る「回転部材」の一例である。また、ベルト回転方向A2は本発明に係る「第1の方向」の一例であり、反対回転方向A4は本発明に係る「第2の方向」の一例である。感光体ドラム211Y、211M、211C及び211Kは、中間転写ベルト300の外周面に沿うように、ベルト回転方向A2の上流側から下流側に向かって一列に並べて配置されている。
回転ロール310及び駆動ロール320は、中間転写ベルト300を支持する円筒状の部材であり、それぞれ円筒の中心を軸として回転する。駆動ロール320は、図示せぬ駆動機構により与えられた駆動力を中間転写ベルト300に伝えることで、中間転写ベルト300を回転させている。つまり、駆動ロール320は、中間転写ベルト300に駆動力を与えて回転させる駆動手段として機能している。
一次転写ロール220は、中間転写ベルト300を挟んで感光体ドラム211と対向する円筒状の部材であり、感光体ドラム211に形成されたトナー像を中間転写ベルト300に転写する。詳細には、一次転写ロール220と感光体ドラム211とに電位差が生じることにより、感光体ドラム211表面のトナーが中間転写ベルト300の表面に転写される。感光体ドラム211、帯電装置212、露光装置213、現像装置214及び一次転写ロール220が協働することで、中間転写ベルト300の表面にトナー像を形成する「形成手段」として機能する。二次転写ロール251は、中間転写ベルト300を挟んでバックアップロール252と対向する円筒状の部材であり、中間転写ベルト300に転写されたトナー像を、記録用紙に転写する。詳細には、二次転写ロール251は、中間転写ベルト300と接触する領域を形成する。この領域において、二次転写ロール251とバックアップロール252とに電位差が生じることにより、中間転写ベルト300表面のトナー像が記録用紙の表面に転写される。二次転写ロール251は、図示せぬ機構によって移動させられることで、中間転写ベルト300に接触する状態と、これに接触しない状態とが切り替わるようになっている。二次転写ロール251及びバックアップロール252が協働することで、本発明に係る「転写手段」として機能する。除去装置400は、二次転写ロール251のベルト回転方向A2の下流側に配置されており、中間転写ベルト300の外周面に付着したトナー等を除去する。
搬送ロール260は、図示せぬ駆動装置により駆動させられる円筒状の部材であり、図2に示す二点鎖線の矢印方向に記録用紙を搬送する。定着装置270は、トナー像が転写された記録用紙に熱と圧力とを加える定着処理を施し、そのトナー像を記録用紙に定着させる。以上の構成により、画像形成部200においては、図2に示す二点鎖線の矢印方向に搬送される記録用紙に画像が形成される。
図3は、除去装置400の構造を示す図である。除去装置400は、支持部材410と、クリーニングブレード420と、除去部材430と、対向ロール440と、変更装置450とを有する。このうち、支持部材410、クリーニングブレード420及び除去部材430は、中間転写ベルト300の外周面301側に配置され、対向ロール440及び変更装置450は、中間転写ベルト300の内周面302側に配置されている。
支持部材410、クリーニングブレード420及び除去部材430(これらを各部材という。)は、いずれも、外周面301が移動する方向(移動方向)に交差する方向(交差方向)に延びる長尺の板状の部材である。ここでいう長尺とは、中間転写ベルト300の交差方向の長さ又はそれ以上の長さであることをいい、各部材は、交差方向の長さが前者の長さとなっている。また、各部材においては、この交差方向が長手方向となっている。
支持部材410は、長手方向に延びる面のうち面積の大きい方の面の1つである面411の外周面301に近い方の端部が、面411の外周面301から遠い方の端部よりもベルト回転方向A2の上流側にくるように外周面301に対して傾けた状態で、画像形成装置10の筐体に固定されている。
クリーニングブレード420は、例えばゴム又は樹脂等で形成されている。クリーニングブレード420は、長手方向に延びる面のうち面積の大きい方の面の1つである面421が支持部材410の面411に接着剤等で接着されている。この面421は、面411に収まらず外周面301側にはみ出している。以下では、このはみ出した部分を「はみ出し部」という。クリーニングブレード420のうち、面421が支持部材410に接着されている部分は、支持部材410によって固定されて変形しないようになっている。以下では、この部分を「固定部」という。一方、はみ出し部は、支持部材410によって固定された状態となっていないため、力が加わると変形するようになっている。図3の状態では、クリーニングブレード420の長手方向に延びる辺のうち、最も外周面301に近く且つ外周面301に沿って配置されている辺423が外周面301に接触して、外周面301から力を加えられている。この力によって、クリーニングブレード420のはみ出し部は、支持部材410側に反った状態になっている。辺423は、本発明に係る「1の辺」の一例である。
除去部材430は、例えばゴム又は樹脂等で形成されている。除去部材430は、長手方向に延びる面のうち面積の大きい方の面の1つである面431が、面421の反対側にあるクリーニングブレード420の面であり、外周面301に向かい合う面である面424に接着剤等で接着されている。除去部材430は、上記クリーニングブレード420の固定部からはみ出し部にかけて接着されており、その固定部に接着されている部分、すなわち除去部材430の固定部は、クリーニングブレード420を介して支持部材410によって固定されるため、変形しないようになっている。また、除去部材430のうち、クリーニングブレード420のはみ出し部に接着されている部分、すなわち除去部材430のはみ出し部は、クリーニングブレード420のはみ出し部と共に変形するようになっている。図3の状態では、除去部材430のはみ出し部は、支持部材410側に反った状態になっている。除去部材430のはみ出し部側の先端の面である先端面432とクリーニングブレード420のはみ出し部の先端の面である先端面422とは、互いの距離L1が予め決められた距離となっており、本実施形態では、距離L1が1mmとなっている。このように先端面432が先端面422から離れていることで、除去部材430の長手方向に延びる辺のうち、最も外周面301に近い辺(先端面432の外周面301側の辺)であり、且つ外周面301に沿って配置されている辺433が、外周面301に接触せずに、外周面301から離間した状態となっている。除去部材430は、本発明に係る「板材」の一例である。また、除去部材430と、この除去部材430(板材)が設けられたクリーニングブレード420とは、本発明に係る「第1の部材」の一例である。
対向ロール440は、上記交差方向に延びる円筒状の部材であり、クリーニングブレード420の辺423が外周面301に接触している位置の中間転写ベルト300を挟んで反対側で内周面302と接触している。対向ロール440は、辺423から押し付ける力を受けている中間転写ベルト300が内周面302側に移動しないように支持している。
変更装置450は、クリーニングブレード420及び除去部材430の中間転写ベルト300に対する位置関係を変更する装置である。ここにおいて、位置関係とは、中間転写ベルト300に対する各箇所の距離のことである。ここでいう各箇所の距離とは、中間転写ベルト300に最も近い箇所の距離だけではなく、その他のあらゆる箇所と中間転写ベルト300との距離を含むことを意味している。例えば、クリーニングブレード420の端部だけが外周面301に接触している状態とその全体が接触している状態とでは、外周面301に最も近い箇所の距離はどちらも0であるが、他の箇所では距離が異なることになる。つまり、クリーニングブレード420が前者の状態から後者の状態になると、中間転写ベルト300に対する位置関係が変更されたことになる。この位置関係が変更されることにより、クリーニングブレード420及び除去部材430の姿勢が変化したり、中間転写ベルト300に対する向きが変化したりする場合もある。以下、図3、図4を参照しながら変更装置450による位置関係の変更について説明する。
変更装置450は、移動部材451と、駆動部454とを有する。移動部材451は、中間転写ベルト300を内周面302側から外周面301側に移動させるための部材である。移動部材451は、上記交差方向に延びる柱状の部材である。移動部材451は、図3の状態では、外周面301から内周面302に向かう方向に比べてベルト回転方向A2に長い形状となっている。移動部材451は、ベルト回転方向A2の一方の端部側に上記交差方向に延びる回転軸452を有し、他方の端部側に上記交差方向に延びる平面部453を有する。平面部453は、図3の状態では、内周面302に近い方の端部が、内周面302から遠い方の端部に比べてベルト回転方向A2の下流側にくるようになっている。図3の状態では、移動部材451は、平面部453が内周面302から離れた状態で停止している。
駆動部454は、モータ455とギア456とを有する。移動部材451は、モータ455の回転により生じた駆動力をギア456を介して与えられ、回転軸452を中心にして平面部453が内周面302に近づく方向(矢印A3の方向)に回転する。移動部材451は、このように姿勢が変更可能な部材であり、本発明に係る「第2の部材」の一例である。
図4は、図3の状態から移動部材451が回転軸452を中心に回転した状態を示す図である。移動部材451が上記のとおり矢印A3の方向に回転すると、平面部453が中間転写ベルト300の内周面302と接触する。移動部材451は、さらにこの方向に回転することで、中間転写ベルト300を外周面301側に移動させる。図3では、移動前の中間転写ベルト300及び移動部材451を二点鎖線で示している。中間転写ベルト300は、移動部材451により移動させられることで、対向ロール440から離れ、外周面301を除去部材430側に押し付けることになる。その結果、除去部材430のはみ出し部は、図3の状態よりも中間転写ベルト300に近づき、支持部材410側に図3に示したよりも大きく反った状態となる。このように位置関係が変更されることにより、除去部材430の面431とは反対側の面、すなわち外周面301に向かい合う面である面434の辺433側の領域が外周面301と接触することになる。以下では、この領域を「接触領域435」という。中間転写ベルト300は、接触領域435により内周面302側に押し付けられる一方、移動部材451の平面部453によって接触領域435の反対側から支持されている。
上記接触領域435が外周面301に接触すると、除去部材430がクリーニングブレード420と中間転写ベルト300とに挟まれて、クリーニングブレード420が中間転写ベルト300に接触しない状態となる。また、除去部材430は、先端面432側の端部における厚さL2が、固定部の厚さL3に比べて大きくなっている。また、除去部材430のはみ出し部においては、先端面432に近づくにつれて厚さが大きくなっており、先端面432に近づくにつれて面431が外周面301から離れていくという傾斜が形成されている。このため、この面431と接着されているクリーニングブレード420のはみ出し部は、この傾斜によって先端面422に近づくにつれて外周面301から離れていき、辺423は、外周面301から距離L2よりも大きい距離L4だけ離れた状態となっている。
除去装置400は、上記構成により、中間転写ベルト300の外周面301上に存在する物体を除去する。除去装置400によって除去される物体、すなわち被除去物には、大きく分けて2つある。1つは、中間転写ベルト300が初めて使用されるときに、外周面301上に存在する被除去物である。具体的には、上記のとおり中間転写ベルト300が含有しているPTFE粒子が外周面301から露出したものである。もう1つは、画像が形成されるに従い外周面301上に付着するPTFE粒子以外の付着物であり、例えば、二次転写されずに残留したトナー、用紙の紙粉又は転写の際の放電により生成された放電生成物等である。除去装置400は、これらPTFE粒子及び付着物をそれぞれ除去する。
まず、除去装置400がPTFE粒子を除去する方法について説明する。中間転写ベルト300は、上述したとおり、PTFE粒子を含有していることで、含有していない場合に比べて、外周面301からトナーが離れやすくなっており、その結果転写率が高くなっている。より詳細には、外周面301から露出したPTFE粒子が、これが露出していない場合に比べて、トナーの外周面301への吸着力を弱めて、外周面301から離れやすくしている。この露出したPTFE粒子は、何らかの物体に接触すると、外周面301から剥がれたり、剥がれてその物体に付着したりする場合がある。例えばクリーニングブレード420にこれらのPTFE粒子が付着すると、クリーニングブレード420と外周面301とが接触するところに働く摩擦力が、PTFE粒子が付着する前に比べて小さくなる。その結果、クリーニングブレード420が外周面301側に押し付けられる力も小さくなり、クリーニングブレード420と外周面301との隙間を除去すべき物体が通り抜けやすくなる。このように除去すべき物体が除去されない、すなわち除去不良が発生すると、これらの通り抜けた物体の影響により、その後に形成される画像にムラが生じやすくなる。
除去装置400は、PTFE粒子を、図4に示す状態で除去する。以下では、この状態を「第1の状態」といい、この第1の状態でPTFE粒子を除去する工程を「第1の除去工程」という。第1の除去工程では、中間転写ベルト300が上述した反対回転方向A4に回転するようになっている。また、第1の状態では、除去部材430の面434うちの辺433側の領域が外周面301と接触する。以下、この領域を「接触領域435」という。一方、クリーニングブレード420は、外周面301との間に除去部材430を挟むことになり、外周面301と接触しない状態となる。つまり、図3では外周面301と接触していた辺423も、外周面301から離れた状態(接触していない状態)となる。このため、第1の除去工程において、PTFE粒子は、除去部材430によって除去され、かつ、クリーニングブレード420の辺423には付着しないことになる。これにより、上述した除去不良の発生が抑制される。
図5は、除去部材430により除去されるPTFE粒子の一例を示す図である。中間転写ベルト300には、PTFE303が分散されている。図5では、PTFE303のうち、中間転写ベルト300の表面から露出して除去部材430により除去されることになるものをPTFE303a、この表面から露出しているが除去部材430により除去されない程度に中間転写ベルト300に埋まっているものをPTFE303b、そして、この表面に露出していないものをPTFE303cと示している。つまり、図5におけるPTFE303aが、除去装置400により除去されるPTFE粒子である。
第1の状態では、除去部材430の接触領域435が中間転写ベルト300の外周面301に押し付けられており、除去部材430は、この接触領域435と、接触領域435の反対回転方向A4の上流側に続いている領域436とでPTFE303aを除去することになる。以下では、接触領域435及び領域436を合わせた領域、すなわち、PTFE粒子を除去する領域を「第1の領域B1」という。
続いて、上述した付着物を除去する方法について説明する。除去装置400は、付着物(トナー等)を、図3に示す状態で除去する。以下では、この状態を「第2の状態」といい、この第2の状態で付着物を除去する工程を「第2の除去工程」という。第2の状態では、上述のとおり、クリーニングブレード420の辺423が外周面301に接触して、さらに、外周面301側に押し付けられている。また、第2の除去工程では、中間転写ベルト300がベルト回転方向A2に回転するようになっている。この第2の除去工程では、外周面301上に存在する付着物は、辺423及び先端面422の辺423側の領域で除去されることになる。以下では、付着物を除去するこれらの辺及び領域を「第2の領域B2」という。
以上のとおり、第1の領域B1及び第2の領域B2は、クリーニングブレード420及び除去部材430(第1の部材)が有する領域である。また、この第1の部材において、除去部材430は、外周面301に向かって突出し、上記交差方向に延びる範囲に第1の領域B1を構成する突出部となっている。また、変更装置450は、この第1の部材の中間転写ベルト300に対する位置関係を変更して、第1の領域B1及び第2の領域B2を外周面301に接触させる変更手段として機能している。この変更手段(変更装置450)は、外周面301の上述したPTFE粒子を除去する場合に、外周面301に第1の領域B1を接触させ、外周面301の上述した付着物(トナー等)を除去する場合に、外周面301に第2の領域B2を接触させる。
第1の状態では、クリーニングブレード420及び除去部材430が上述のとおり第2の状態に比べて大きく反っているため、これらを中間転写ベルト300に押し付ける力が大きくなっている。一方、第1の領域B1及び第2の領域B2において外周面301に接触していない部分の面積は概ね共通しており、かつ、第1の領域B1の面積は、第2の領域B2の面積に比べて大きい。これはつまり、第1の領域B1における外周面301と接触している領域(接触領域435)の面積が、第2の領域B2における外周面301と接触している領域(辺423)の面積よりも大きいことを表している。この面積の違いは、前述の押し付ける力の違いよりも大きい。このため、第2の状態では、単位面積あたりの中間転写ベルト300が押し付けられる力が第1の状態に比べて大きくなる。例えば、図5の例では、除去部材430は、PTFE303aを除去したが、仮にクリーニングブレード420により除去されたとしたら、PTFE303aだけでなく、PTFE303bも除去される場合がある。この場合、PTFE303aだけが除去される場合と比べて、外周面301に露出するPTFE粒子の数が減るため、この面に形成されたトナー像が離れにくくなり、転写効率が低下することになる。言い換えれば、画像形成装置10においては、第1の領域B1でPTFE粒子を除去することで、第2の領域B2でPTFE粒子を除去する場合に比べて、外周面301に露出するPTFE303を多く残すことになり、転写効率の低下が抑制されることになる。
また、第1の領域B1で除去してこの第1の領域B1に付着したPTFE粒子は、何らかの力を受けると、第1の領域B1から離脱し、他の場所に飛び移って付着する場合がある。一方、上述のとおり、除去部材430の先端面432とクリーニングブレード420の先端面422とは、互いに離れている。つまり、先端面432よりも先端面422から離れている第1の領域B1と、先端面422の第2の領域B2とは離れた位置にあることになる。これにより、第1の領域B1に付着したPTFE粒子が第2の領域B2に飛び移って付着することが抑制される。
さらに、上記の第1の除去工程及び第2の除去工程においては、クリーニングブレード420及び除去部材430を移動させることなく固定したままで、外周面301に接触させる領域(第1の領域B1及び第2の領域B2)を変化させている。部材を移動させると、それを移動させずに固定しておく場合に比べて、その部材の位置合わせの精度が悪くなる。つまり、除去装置400においては、クリーニングブレード420及び除去部材430を移動させる場合に比べて、位置合わせの精度が高くなっている。
また、除去装置400においては、上述した除去工程(第1の除去工程及び第2の除去工程)を行わせる部材として、クリーニングブレード420及び除去部材430を互いに接着させた一体の部材を用いながら、その反らせ方を変化させることで、外周面301に接触する領域を変化させている。これにより、一体でない複数の部材を用いる場合に比べて、除去工程を行わせる部材を配置するために必要な空間が小さくなる。
さらに、上記の第1の除去工程及び第2の除去工程においては、中間転写ベルト300を回転させる方向が反対(ベルト回転方向A2及び反対回転方向A4)になっている。これにより、クリーニングブレード420及び除去部材430を一体の部材と見たときに、この部材は、反対回転方向A4の上流側に第1の領域B1を有し、ベルト回転方向A2の上流側に第2の領域B2を有することになる。つまり、一方の領域に対してこの部材を挟んで反対側に他方の領域が配置されることになる。このため、これらの領域をいずれか一方の側(上流側又は下流側)に配置する場合に比べて、これらの領域を互いに離れた位置に配置しやすくなっている。
続いて、画像形成装置10の制御部110が除去装置400を制御して、上記の第1の状態及び第2の状態でそれぞれ除去の動作をさせる処理の手順について説明する。
図6は、制御部110が行う処理の手順を示すフローチャートである。この手順は、例えば、画像形成装置10に電源が投入されたときに行われる。まず、制御部110は、画像形成装置10に中間転写ベルト300が新たに取り付けられたか否かを判断する(ステップS110)。具体的には、制御部110は、中間転写ベルト300とともに交換する図示せぬメモリ装置に取り付けが「初めて」か「初めてではない」かを表すフラグを記憶させる。そして、制御部110は、中間転写ベルト300が取り付けられたときにこのフラグを参照し、「初めて」を表すものである場合、ステップS110でYESと判断しつつ、「初めてでない」というフラグに更新する。また、制御部110は、このフラグが「初めてではない」を表すものである場合、ステップS110でNOと判断する。なお、制御部110は、これ以外の方法でこの判断をしてもよく、例えば、ユーザの操作部130の操作により中間転写ベルト300を新たに取り付けたことを示す通知がされた場合、中間転写ベルト300が新たに取り付けられたと判断し、この通知がない場合、否と判断してもよい。ステップS110でNOと判断した場合、制御部110は、この手順を終了する。一方、ステップS110でYESと判断した場合、制御部110は、除去装置400が上記の第2の状態であるか否かを判断する(ステップS120)。
ステップS120でYESと判断した場合、、制御部110は、除去装置400を第1の状態に切り替える(ステップS130)。具体的には、制御部110は、図4に示した状態、すなわち、除去部材430の接触領域435が中間転写ベルト300の外周面301と接触し、クリーニングブレード420の辺423が外周面301から離れた状態となるまで、図3に示す矢印A3の方向に上記の移動部材451を回転させる。また、制御部110は、各感光体ドラム211及び二次転写ロール251が外周面301から離れた状態となるように、これらを移動させる。これにより、除去部材430の接触領域435だけが外周面301に接触している状態になる。次に、制御部110は、第1の状態となった除去装置400による第1の除去工程を開始する(ステップS140)。具体的には、制御部110は、中間転写ベルト300を図4の反対回転方向A4の方向に回転させ始める。中間転写ベルト300がこのように回転すると、図5に示す外周面301から露出したPTFE303aが除去部材430により除去される。ステップS120でNOと判断した場合は、制御部110は、ステップS130の処理を飛ばしてステップS140の処理を行う。
続いて、制御部110は、中間転写ベルト300が閾値以上回転したか否かを判断する(ステップS150)。この閾値は、除去部材430が除去するPTFE粒子の目標とする量が多いほど、大きい数が定められる。なお、この閾値は、整数でもよいし、少数を含んでいてもよい。ここで否と判断した場合(ステップS150;NO)、制御部110は、ステップS150の処理を再び行う。一方、ステップS150において、中間転写ベルト300が閾値以上回転した(YES)と判断した場合、制御部110は、第1の除去工程を終了させる(ステップS160)、すなわち、中間転写ベルト300の回転を終了させる。つまり、制御部110は、中間転写ベルト300が閾値以上回転したと判断するまで、第1の除去工程を継続する。そして、制御部110は、除去装置400を第2の状態に切り替える(ステップS170)。具体的には、制御部110は、移動部材451を、図3に示した状態、すなわち、クリーニングブレードの辺423が中間転写ベルト300の外周面301と接触し、除去部材430の接触領域435が外周面301から離れる状態となるまで、矢印A3の反対の方向に移動部材451を回転させる。また、制御部110は、各感光体ドラム211及び二次転写ロール251が外周面301と接触する状態となるように、これらを移動させる。そして、制御部110は、この手順を終了する。
以上の手順で制御部110が処理を行うことで、変更装置450は、外周面301に初めてトナー像が形成されるよりも前に、回転させられている中間転写ベルト300の外周面301に第1の領域B1を接触させて上述した第1の除去工程を行わせ、その第1の除去工程を経た後に外周面301に形成されたトナー像が用紙に転写されてから、回転させられている中間転写ベルト300の外周面301に第2の領域B2を接触させて上述した第2の除去工程を行わせる。より詳細には、変更装置450は、第1の除去工程を行わせる場合には、図4に示すとおり、移動部材451の姿勢を変更してその移動部材451に中間転写ベルト300の内周面302を押させて、外周面301を第1の領域B1に接触させる。このとき、変更装置450は、外周面301を除去部材430に押し当てて除去部材430及びクリーニングブレード420を反らせ、第2の領域B2である辺423を外周面301から離間させる。また、このとき、駆動ロール320は、反対回転方向A4に中間転写ベルト300を回転させる。また、変更装置450は、第2の除去工程を行わせる場合には、図3に示すとおり、移動部材451の姿勢を変更して外周面301を第2の領域B2に接触させる。このとき、変更装置450は、外周面301を第2の領域B2である辺423に接触させる。また、このとき、駆動ロール320は、ベルト回転方向A2に中間転写ベルト300を回転させる。
図4で説明したように、第2の状態でPTFE粒子及び付着物の両方を除去する構成(比較構成1)では、第2の領域B2にPTFE粒子が付着して、その影響で除去不良が発生することになる。一方、本実施形態では、PTFE粒子と付着物とを、第1の領域B1と第2の領域B2という異なる領域で除去している。つまり、第1の領域B1に付着したPTFE粒子が、画像を形成する際の付着物の除去に影響することが比較構成1に比べて少なくなる。このため、本実施形態によれば、比較構成1に比べて、画像形成装置10が備える中間転写ベルト300に付着した付着物の除去不良が抑制されることになる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る画像形成装置10について説明する。以下では、第1実施形態と共通する構成については、共通の符号を付し、その説明を省くものとする。本実施形態が第1実施形態と大きく異なる点は、図6のステップS140において開始された第1の除去工程の終了を、中間転写ベルト300の回転数ではなく、中間転写ベルト300を回転させる力の大きさによって判断するという点である。
本実施形態においては、画像形成部200は、図1に破線で示したトルク測定装置330を備える。トルク測定装置330は、駆動ロール320に取り付けられ、駆動ロール320が中間転写ベルト300を回転させているときに発生するトルクを測定する。トルク測定装置330は、測定した結果を、制御部110に出力する。トルク測定装置330は、本発明に係る「検出手段」の一例である。制御部110は、上記中間転写ベルト300を回転させる力の大きさとして、トルク測定装置330から出力されてきた測定結果が表すトルクの値を用いる。
図7は、第2実施形態において制御部110が行う処理の手順を示すフローチャートである。この手順は、図6に示した手順のうち、ステップS150のところで行われる処理が異なっているため、ここで行われる処理を中心に説明する。制御部110がステップS140において第1の除去工程を開始すると、中間転写ベルト300を回転させるため、駆動ロール320が回転する。すると、トルク測定装置330が駆動ロール320のトルクを測定してその結果を制御部110に出力する。制御部110は、トルク測定装置330から出力されてきた結果により、駆動ロール320のトルクを検出する(ステップS210)。次に、制御部110は、検出したトルクが閾値未満であるか否かを判断する(ステップS220)。ここで否と判断した場合(ステップS220;NO)、制御部110は、ステップS210の処理を行う。一方、ステップS220において、検出したトルクが閾値以上である(YES)と判断した場合、制御部110は、第1の除去工程を終了させる(ステップS160)。制御部110が以上の処理を行うことにより、変更装置450は、トルク測定装置330により検出された力の大きさが閾値未満になるまで、移動部材451に第1の除去工程を継続させることになる。
除去部材430がPTFE粒子を除去し続けていくと、図5に示すように、除去部材430の面434と中間転写ベルト300の外周面301とに挟まれた領域にPTFE粒子が滞留してくる。このPTFE粒子が滞留してくると、面434と外周面301とに働く摩擦力が小さくなる。このため、中間転写ベルト300が回転する速度を維持するために必要な駆動ロール320のトルクが小さくなる。つまり、駆動ロール320のトルクの減少は、面434と外周面301とに働く摩擦力の減少を表していることになり、さらには、除去部材430に滞留するPTFE粒子の増加を表していることになる。よって、上記閾値を小さくするほど、第1の除去工程が終了したときに除去部材430に滞留しているPTFE粒子、すなわち、外周面301から除去されたPTFE粒子が多くなる。以上の第2実施形態によれば、除去装置400は、ステップS210において検出したトルクの大きさが、外周面301に露出するフッ素系樹脂の粒子が目標の量になるものとして定められた力の大きさになるまで、第1の除去工程を継続又は繰り返し行うことになる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る画像形成装置10について説明する。以下では、第1及び第2実施形態と共通する構成については、共通の符号を付し、その説明を省くものとする。第2実施形態では除去部材430がPTFE粒子を除去させているときのトルクが用いられたのに対し、本実施形態では、除去部材430及びクリーニングブレード420のいずれとも異なる部材を中間転写ベルト300の外周面301に接触させたときのトルクが用いられるという点が異なる。
本実施形態に係る変更装置450の移動部材451は、駆動部454により、第1の状態における位置と第2の状態における位置の中間の位置(中間位置)に移動する。
図8は、この中間位置に移動部材451が移動してきた状態の除去装置400を示す図である。この状態では、第1の状態に比べて、中間転写ベルト300が内周面302側に移動して、除去部材430が支持部材410側へ反る度合いが小さくなる。その結果、除去部材430は、接触領域435の辺433で中間転写ベルト300の外周面301に接触し、除去部材430の接触領域435が外周面301に接触しない状態となる。また、クリーニングブレード420の辺423も、外周面301に接触しない状態となる。以下では、この状態を、第3の状態という。
図9は、第3実施形態において制御部110が行う処理の手順を示すフローチャートである。この手順は、図6に示した手順のうち、ステップS160以降に行われる処理が異なっているため、ここで行われる処理を中心に説明する。この手順では、制御部110は、ステップS140からS160にかけて第1の除去工程を実施した後に、除去装置を第3の状態に切り替える(ステップS310)。具体的には、制御部110は、移動部材451を図8に示す中間位置に停止させ、回転ロール310及び駆動ロール320をベルト回転方向A2に回転させる。この状態で、制御部110は、駆動ロール320のトルクを検出する(ステップS320)。
続いて、制御部110は、ステップS320において検出されたトルクが閾値以上か否かを判断し(ステップS330)、閾値以上である(YES)と判断した場合、ステップS170で除去装置400を第2の状態に切り替えて、この手順を終了する。第3の状態では、除去部材430の辺433が外周面301に接触しており、この辺433には、上述した第1の除去工程においてPTFE粒子が付着していない。このため、ステップS140からS160までの第1の除去工程が実施されることによって外周面301から露出しているPTFE粒子が少なくなっているほど、外周面301と辺433とに働く摩擦力が大きくなり、ステップS320で検出されるトルクが大きくなる。つまり、制御部110は、検出したトルクが閾値以上となったときに、外周面301から露出しているPTFE粒子が目標とする量よりも少なくなったと判断するのである。制御部110が以上の処理を行うことにより、変更装置450は、トルク測定装置330により検出された力の大きさが閾値以上になるまで、移動部材451に第1の除去工程を繰り返し行わせることになる。
なお、第3の状態で中間転写ベルト300を回転させすぎると、最初はPTFE粒子が付着していなかった辺433にも、徐々にPTFE粒子が付着することになる。そうなると、外周面301から露出しているPTFE粒子が少なくなっているにも関わらず、付着したPTFE粒子によって摩擦力が小さくなり、トルクが小さくなってしまう。このため、制御部110は、ステップS310、S320において、除去装置400を第3の状態に切り替えた後、トルクが計測されるとすぐにステップS330の判断を行う。そして、制御部110は、その判断を行った後もすぐにステップS130又はS170の処理を行い、第3の状態以外の状態になるように除去装置400を切り替える。以上のとおり、制御部110は、辺433が外周面301に接触している時間を可能な限り短くするように各部を制御する。それにより、制御部110がこの制御を行わない場合に比べ、辺433に付着するPTFE粒子が少なくなり、ステップS320において検出するトルクが外周面301から露出しているPTFE粒子の量を表す際の精度が高くなる。
また、制御部110は、検出されたトルクが閾値未満であると判断した場合(ステップS330;NO)、ステップS130以降の処理を再び実行する。これにより、制御部110は、検出したトルクが閾値未満であるときには、外周面301から露出しているPTFE粒子が目標とする量よりも多く残っていると判断し、このPTFE粒子が目標とする量よりも少なくなるまで第1の除去工程を繰り返す。このように、本実施形態によれば、除去装置400は、外周面301から露出しているPTFE粒子が目標とする量よりも少なくなるまで、PTFE粒子を除去することになる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る画像形成装置10について説明する。以下では、上述した各実施形態と共通する構成については、共通の符号を付し、その説明を省くものとする。本実施形態では、中間転写ベルト300に初めてトナー像が形成されるよりも前に除去工程(第1の除去工程)を行うのに加え、トナー像が形成された後にも除去工程(第3の除去工程)を行う点が上述した各実施形態と異なる。以下では、図10、図11を参照しながら、この異なる点を説明する。
図10は、第4実施形態において制御部110が行う処理の手順を示すフローチャートである。また、図11は、この手順が行われるときの中間転写ベルト300の外周面301の様子を示す図である。この手順は、図6に示した手順のうち、ステップS160より後に行われる処理が異なっているため、それらの処理を中心に説明する。制御部110は、まず、ステップS160までの処理を行い、第1の除去工程を終了する。ここまでの処理では、図10(a)に示すように、除去部材430の第2の領域B2によってPTFE303aが除去される。
続いて、制御部110は、除去装置400を第2の状態に切り替える(ステップS410)。次に、制御部110は、二次転写を行わない状態で、中間転写ベルト300にトナー像を形成する処理を行う(ステップS420)。ここで形成されるトナー像は、中間転写ベルト300の幅方向の長さを中間転写ベルト300の全幅とし、中間転写ベルト300の周方向の長さを中間転写ベルト300の外周面301をこの周方向に1周する長さとするものである。これにより、外周面301の全体にトナー像が形成される。このとき、ステップS160までの処理で行われた第1の除去工程で除去されなかったPTFE303aがあった場合、それらのPTFE303aは、図11(b)に示すように、トナー像を形成するトナーTに埋もれることになる。ステップS420では、上記のとおり二次転写が行われておらず、また、除去装置400が第2の状態にあるので、トナーTは、図11(c)に示すように、クリーニングブレード420の第1の領域B1で除去される。このとき、トナーTとともに、これらの埋もれているPTFE303aも、第1の領域B1で除去されることになる。このように、ステップS420では、上述した第1及び第2の除去工程とは異なる第3の除去工程でPTFE303aが除去される。
続いて、制御部110は、図9のステップS310、S320、S330と共通する処理を行い、除去装置400を第3の状態に切り替え(ステップS430)、回転ロールのトルクを検出し(ステップS440)、検出したトルクが閾値以上か否かを判断する(ステップS450)。ここでトルクが閾値未満(NO)と判断した場合、制御部110は、ステップS410の処理を実行する。こうして、制御部110は、図9に示したのと共通の手順で、外周面301から露出しているPTFE粒子が目標とする量よりも少なくなるまで第3の除去工程を繰り返す。そして、トルクが閾値以上(YES)と判断した場合、制御部110は、除去装置を第2の状態に切り替える(ステップS460)。
以上のとおり制御部110が処理を行うことで、除去装置400は、第2の領域B2を外周面301に接触させて、上述した第3の除去工程をクリーニングブレード420及び除去部材430に行わせることになる。
これにより、除去装置400は、外周面301から露出しているPTFE粒子が目標とする量よりも少なくなるまで、PTFE粒子を除去することになる。また、PTFE粒子がトナーに含まれている状態でトナーとともにこのPTFE粒子を除去することで、除去されたPTFE粒子が除去装置400において回収されやすくなり、外周面301に再度付着することが抑制される。
[変形例]
上述した各実施形態は、それぞれが本発明の実施の一例に過ぎず、次のように様々に変形させてもよい。また、上述した各実施形態及び以下の各変形例は、必要に応じて組み合わせてもよい。
(変形例1)
中間転写ベルト300は、上述した各実施形態では、PTFE粒子を含有していたが、PTFE粒子以外の樹脂の粒子を含有していてもよい。その例としては、PTFEとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体、PTFEと6フッ化プロピレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの3元共重合体、又はPTFEとエチレンとの共重合体等が挙げられる。中間転写ベルト300が含有する樹脂としては、外周面301からトナーを離れやすくするため、望ましくは、フッ素系樹脂が用いられるとよく、その中でも、PTFEが用いられるとよい。なお、中間転写ベルト300は、フッ素系樹脂を厚さ方向の全体に含有しているものに限らず、少なくとも外周側の表層にフッ素系樹脂の粒子を含有しているものであればよい。
(変形例2)
変更装置450は、上述した各実施形態では、移動部材451を回転させる、すなわち、移動部材451の姿勢を変えることで中間転写ベルト300を移動させたが、これに限らず、例えば、位置が変更可能な部材の位置を変更させる(移動させる)ことで、中間転写ベルト300を移動させてもよい。
図12は、本変形例に係る除去装置400aを示す図である。除去装置400aは、図3に示す変更装置450に代えて、図示せぬ駆動機構により内周面302に近づく方向(矢印A5の方向)又は遠ざかる方向(矢印A5の反対の方向)に移動させられるロール状の移動部材451aを有している。この駆動機構が移動部材451aをこれらの方向に移動させることで、中間転写ベルト300の内周面302から移動部材451aが離れている状態と、移動部材451aが内周面302に接触して、中間転写ベルト300を外周面301側に移動させている状態とが切り替わるようになっている。図12では、後者の状態を示しており、上述した第1の状態のように、除去部材430の接触領域435が外周面301に接触し、クリーニングブレード420は外周面301に接触しない状態となっている。この場合、除去部材430から押し付ける力を受けている中間転写ベルト300を、移動部材451aが支持している。移動部材451aは、本発明に係る「第2の部材」の一例である。
要するに、変更手段は、姿勢又は位置が変更可能な部材(第2の部材)を有し、上記第1の除去工程では、この部材の姿勢又は位置を変更してこの部材に内周面302を押させて、外周面301を上記第1の領域B1に接触させ、上記第2の除去工程では、この部材の姿勢又は位置を変更して外周面301を第2の領域B2に接触させればよい。そして、望ましくは、この部材が、外周面301に接触した第1の領域B1又は第2の領域B2により中間転写ベルト300が受ける力を内周面302側から支持するものであるとよい。
(変形例3)
除去装置400は、上述した各実施形態では、クリーニングブレード420及び除去部材430という2つの部材で被除去物(PTFE粒子及び付着物)を除去していたが、1つの部材でこれを除去してもよい。
図13は、本変形例に係る除去装置400bを示す図である。この図では、移動部材451が第1の状態の位置に来ているところが示されている。除去装置400bは、クリーニングブレード420及び除去部材430に代えて、除去部材470を有している。除去部材470は、長尺で板状の部材であり、支持部材410の面411に接着剤等で固定されている。除去部材470は、支持部材410からはみ出す部分(はみ出し部)を有しており、このはみ出し部の形状は、クリーニングブレード420及び除去部材430が形作る形状と共通するようになっている。つまり、除去部材470の長手方向に延びる辺のうち、はみ出し部の先端の面472の中間転写ベルト300側にある辺473は、クリーニングブレード420の辺423に相当し、第2の状態において外周面301に接触するようになっている。
また、除去部材470は、はみ出し部の外周面301側に突出する突出部476を有し、上記交差方向に延びる範囲に第1の領域B1を構成している。この突出部476の外周面301側は、上記の接触領域435に相当する接触領域475となっている。また、除去部材470の長手方向に延びる辺のうち、突出部476において最も外周面301に近い辺である辺477は、除去部材430の辺433に相当し、第3の状態において外周面301に接触するようになっている。以上のとおり、クリーニングブレード420及び除去部材430という2つの部材の代わりに除去部材470という1つの部材を有することで、2つの部材を固定するという工程が省けることになり、また、接着されている2つの部材が剥がれて除去がされなくなるというおそれもなくなる。
(変形例4)
除去装置400は、上述した各実施形態では、移動部材451により中間転写ベルト300を移動させることで、中間転写ベルト300の外周面301が接触する領域を変化させたが、これに限らず、例えば、支持部材410を移動させることで、この領域を変化させてもよい。
図14は、本変形例に係る除去装置400cを示す図である。除去装置400cは、図3に示す支持部材410に代えて、図示せぬ機構により移動させられて、外周面301との距離が変化する支持部材410cを有している。また、除去装置400cは、図3に示す対向ロール440及び移動部材451に代えて、対向部材480を有している。対向部材480は、クリーニングブレード420及び除去部材430に対して中間転写ベルト300を挟んで対向する位置に設けられている。対向部材480は、平面状の平面部481を有し、この平面部481を中間転写ベルト300の内周面302に接触させる位置で、画像形成装置10の筐体に固定されている。対向部材480は、クリーニングブレード420及び除去部材430が外周面301に接触して中間転写ベルト300に押し付ける力を加えたときに、中間転写ベルト300が内周面302側に移動しないように支持する。
図14(a)では、クリーニングブレード420及び除去部材430が、上述した第2の状態となっているところを示している。このとき、支持部材410cと外周面301との距離はL5となっている。また、図14(b)では、図14(a)の状態から支持部材410cが矢印A6の方向に移動して外周面301に近づくことで、クリーニングブレード420及び除去部材430が、第1の状態となっている。つまり、接触領域435が外周面301に接触している。このとき、支持部材410cと外周面301との距離は、L5よりも小さいL6となっている。また、図14(c)では、図14(b)の状態から支持部材410cが矢印A7の方向に移動して外周面301から離れることで、クリーニングブレード420及び除去部材430が、第3の状態となっている。つまり、除去部材430の辺433が外周面301に接触している。このとき、支持部材410cと外周面301との距離は、L5よりも小さく、L6よりも大きいL7となっている。これらのいずれの状態においても、クリーニングブレード420又は除去部材430が外周面301に接触している位置に対して中間転写ベルト300を挟んで対向する位置において、対向部材480の平面部481が中間転写ベルト300を支持している。
本変形例によれば、中間転写ベルト300を外周面301側や内周面302側に移動させることがないため、回転ロール310、駆動ロール320及びバックアップロール252の位置を移動させなくとも、各状態の切り替えの前後で、中間転写ベルト300の張力が維持されることになる。言い換えれば、中間転写ベルト300を外周面301側や内周面302側に移動させる場合に比べて、中間転写ベルト300の張力を維持することが容易になる。
(変形例5)
除去装置400は、上述した各実施形態では、除去部材430がPTFE粒子及びPTFE粒子を含むトナーをともに除去したが、一方を他の部材で除去してもよい。また、除去部材430は、クリーニングブレード420に固定されていたが、固定されていなくてもよい。
図15は、本変形例に係る除去装置400dを示す図である。除去装置400dは、クリーニングブレード420d、420e及び除去部材430fと、これらの部材が固定されてそれぞれを支持している支持部材410d、410e及び410fと、これらと中間転写ベルト300を挟んで対向する位置に設けられている対向ロール440d、440e及び440fとを有する。これらの支持部材は、図示せぬ機構により移動させられて、外周面301との距離が変化するようになっている。また、これらの対向ロールは、内周面302とそれぞれ接触している。
図15(a)では、クリーニングブレード420dが外周面301に接触し、クリーニングブレード420e及び除去部材430fは外周面301に接触しない位置で、各支持部材が停止している。この状態は、上述した第2の状態に相当し、この状態で制御部110が中間転写ベルト300をベルト回転方向A2に回転させることで、クリーニングブレード420dが付着物を除去するようになっている。
図15(b)では、図15(a)の状態から、支持部材410dが矢印A8の方向に移動することでクリーニングブレード420dが外周面301から離れ、支持部材410fが矢印A9の方向に移動することで除去部材430fの接触領域435fが外周面301に接触する状態となっている。この状態は、上述した第1の状態に相当し、この状態で制御部110が中間転写ベルト300を図4で示した反対回転方向A4に回転させることで、除去部材430fがPTFE粒子を除去するようになっている。
また、図15(c)では、図15(b)の状態から、支持部材410fが矢印A10の方向に移動することで除去部材430fが外周面301から離れ、支持部材410eが矢印A11の方向に移動することでクリーニングブレード420eが外周面301に接触する状態となっている。この状態は、上述した第3の状態に相当し、この状態で制御部110が中間転写ベルト300をベルト回転方向A2に回転させることで、クリーニングブレード420eが、トナーに含まれるPTFE粒子を、トナーとともに除去するようになっている。これらのクリーニングブレード420d、420e及び除去部材430fは、まとめて本願発明に係る「第1の部材」の一例である。
本変形例では、互いに離れて配置されている部材(クリーニングブレード420d、420e及び除去部材430f)に、上述した第1、第2、第3の除去領域が分散することになる。このため、これらの除去領域が1つの部材又は互いに密着して一体となっている2つの部材に分散している構成(比較構成1)よりも、第1の領域を第2、第3の除去領域から離して配置することが容易となる。これにより、本変形例によれば、比較構成1に比べて、第2、第3の除去領域に付着したPTFE粒子が第1の領域に飛び移って付着するということが起こりにくく、このPTFE粒子に起因した画像が形成される際のクリーニング不良が発生しにくくなる。
(変形例6)
被除去部材を除去する部材は、上述したクリーニングブレードや除去部材などの長尺で板状の部材には限らない。例えば、ブラシ状の部材であってもよいし、布状の部材であってもよい。要するに、中間転写ベルト300の外周面301から被除去部材を除去できるものであればよく、望ましくは、上述したPTFE粒子と付着物とで、異なる除去領域でこれらを除去するものであるとよい。
(変形例7)
除去部材430は、上述した実施形態では、先端面432に近づくにつれて厚さが大きくなる形状をしていたが、これに限らず、厚さが変わらない形状となっていてもよい。その場合、望ましくは、クリーニングブレード420のはみ出し部が、第1の状態において、先端面422に近づくにつれて外周面301から離れるように屈曲又は反っているとよい。要するに、第1の状態において、このようにクリーニングブレード420の先端面422側が外周面301から離れていることで、第3の状態に切り替えられたときに、辺423が外周面301から離れることになり、辺423にPTFE粒子が接触しにくくなる。
(変形例8)
変更装置450は、上述した各実施形態では、移動部材451が駆動部454により駆動力を与えられて回転することで、中間転写ベルト300を移動させ、被除去物が第1の領域B1で除去される状態(第1の状態)から第2の領域B2で除去される状態(第2の状態)に切り替えたが、例えば、移動部材451の回転軸452を回転させるレバー等の機構をユーザが操作することで、手動で移動部材451が回転するように構成されていてもよい。これにより、駆動部を設ける場合に比べて、第2の状態と第1の状態とが切り替えられるときに消費される電力が少なくなる。
(変形例9)
本発明は、除去装置及びその除去装置を備える画像形成装置に限らず、これらを実現するための方法や、コンピュータに制御部110が実行する処理を実現させるためのプログラムとしても把握されるものである。かかるプログラムは、これを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されたり、インターネット等の通信回線を介して、コンピュータにダウンロードさせ、これをインストールして利用させるなどの形態でも提供されたりするものである。