JP5898858B2 - 積層板のグラデーション形成方法 - Google Patents

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本発明は、2層以上の樹脂層が押出成形によって積層された積層板のグラデーション形成方法に関する。より詳細には、本発明は、積層板の押出流れ方向に対して直交する断面において、層厚が変化する樹脂層を有する平板状の積層板のグラデーション形成方法に関する。
従来、複数の樹脂層が積層された平板状の積層板は、押出成形などによって一般的に製造されている。例えば、特許文献1には、メタクリル樹脂組成物と熱可塑性樹脂組成物とを共押出成形して得られる多層延伸フィルムが記載されている。このような積層板(多層フィルム)は、通常、各樹脂層において層厚に変化がなく(すなわち、層厚がほぼ一定)、層厚分布を有さない。
このような樹脂製の積層板は、軽量で取り扱い易いため、看板、建材、照明など様々な分野で使用されている。
しかし、層厚がほぼ一定の積層板を、例えば看板用途として用いる場合、樹脂層に染料を配合しても、積層板の各樹脂層は層厚分布を有していないため、1枚の積層板では、色の濃淡(グラデーション効果)を発現できない。そのため、グラデーション効果を発現するためには、各樹脂層を部分的に染色したり、濃淡の異なる樹脂層を何層も積層したり、非常に煩雑な加工が必要となる。
このように、従来の積層板は、グラデーション形成が煩雑となるため、その改善が要望されている。
特開2011−31499号公報
本発明の課題は、煩雑な加工を必要としない積層板のグラデーション形成方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)マルチマニホールドダイに備えられたチョークバーを調整する工程、および
チョークバーを調整したダイより、2種以上の樹脂材料を押し出すことによって2層以上の樹脂層を積層する工程、
を含み、
積層板の押出流れ方向に対して直交する断面において、層厚が変化する樹脂層を有しており、層厚分布の差が最も大きな樹脂層は、着色剤を含有しており、かつ最小層厚みと最大層厚みとの比率が、2倍以上であることを特徴とする積層板のグラデーション形成方法。
(2)前記チョークバーは、前記層厚が変化する樹脂層において、積層板の押出流れ方向に対して直交する断面が、一端から他端に向かって層厚みが増加するように調整される請求項1に記載のグラデーション形成方法。
(3)前記チョークバーは、前記層厚が変化する樹脂層において、積層板の押出流れ方向に対して直交する断面の中央部分に最大層厚みを有するように調整される請求項1に記載のグラデーション形成方法。
本発明によれば、層厚が変化する樹脂層(層厚分布を有する樹脂層)を有する積層板を製造することができ、煩雑な加工を必要としない積層板が得られるという効果がある。
本発明の一実施形態によって得られた積層板の押出流れ方向に対して直交する断面(幅方向の断面)を示す図である。 本発明の他の実施形態によって得られた積層板の幅方向の断面を示す図である。 実施例1で得られた積層板の幅方向の断面を示す図である。 実施例2で得られた積層板の幅方向の断面を示す図である。 実施例3で得られた積層板の幅方向の断面を示す図である。 比較例1で得られた積層板の幅方向の断面を示す図である。 比較例2で得られた積層板の幅方向の断面を示す図である。 比較例3で得られた積層板の幅方向の断面を示す図である。 (a)は、一端から他端に向かって層厚みが増加する樹脂層を有する積層板を得るためのダイの樹脂吐出口の例を示す模式図であり、(b)は中心部の厚みが最も厚くなる山型の樹脂層を有する積層板を得るためのダイの樹脂吐出口の例を示す模式図である。
本発明に係る積層板のグラデーション形成方法は、以下の工程を含む方法により得られる。
(A)マルチマニホールドダイに備えられたチョークバーを調整する工程(チョークバー調整工程)。
(B)チョークバーを調整したダイより、2種以上の樹脂材料を押し出すことによって2層以上の樹脂層を積層する工程(樹脂層の積層工程)。
チョークバー調整工程では、得られる積層板の押出流れ方向に対して直交する断面(以下、「幅方向」と記載する場合がある)に層厚が変化する樹脂層を有しており、層厚分布の差が最も大きな樹脂層における最小層厚みと最大層厚みとの比率が2倍以上となるように、マルチマニホールドダイに備えられたチョークバーを調整する。押出装置は、積層体製造の際に一般的に用いられる装置であり、積層する層の数に応じて、押出機の数を調整すればよい。
本発明において、樹脂層の積層は、マルチマニホールド方式で行われる。マルチマニホールド方式は、マルチマニホールドダイを直接押出機に取り付けて押出成形を行う方式であり、各樹脂層は押し広げられてから積層される。
チョークバーは、ダイ内の樹脂の流量や圧力を微調整して樹脂層の厚みを均一にするために、ダイに設けられている。本発明では、チョークバーを、樹脂の流量や圧力の微調整といった本来の使い方と異なり、層厚分布を有する樹脂層を得るために、チョークバーの位置を調整するためのチョークバーボルトを緩めたり閉めたりして使用する。
図1(a)の積層体を得る場合、図9(a)に示すように、一端のチョークバーボルト31から他端のチョークバーボルト31まで、順次緩めていき、一端のチョークバーボルト31を一番閉めた状態にして、他端のチョークバーボルト31を一番緩めた状態にすればよい。図2(a)の積層体を得る場合、図9(b)に示すように、両端のチョークバーボルト41を一番閉めた状態にして、中央付近のチョークバーボルト41を一番緩めた状態にすればよい。図2(b)および(c)の積層体を得る場合、図9(a)において、一端のチョークバーボルト31から所望の位置までのチョークバーボルト31を完全に閉めた状態にして、該所望の位置のチョークバーボルト31から他端のチョークバーボルト31まで順次緩めていき、他端のチョークバーボルト31を一番緩めた状態にすればよい。チョークバーボルト31、41の開閉により、ダイに設けられたチョークバー303、403の傾きが調節され、樹脂層に層厚分布を付与することができる。なお、図9(a)および(b)において、301および401はダイの樹脂吐出口上部を示し、302および402はダイの樹脂吐出口下部を示す。
樹脂層の積層工程では、各押出機内の樹脂材料を、上記チョークバーが調整されたダイに供給して各樹脂層を積層する。樹脂材料の供給温度やダイの温度は、用いる樹脂材料の融点を考慮して、適宜設定すればよい。
ダイから共押出された溶融状態の積層板は、例えば金属ロール、ゴムロール、金属弾性ロール、金属ベルト、ゴムベルトなどの冷却ユニットで冷却される。冷却は、積層板の表面を整えるため、ロールやベルトなどで溶融状態の積層板に圧力をかけて挟み込みながら行うのが好ましい。
本発明において、「2種以上の樹脂材料」とは、広義の2種以上の樹脂材料のことをいい、モノマー単位が異なる2種以上の樹脂だけではなく、モノマー単位が同一であっても、分子量が異なる重合体や、モノマー単位および分子量が同一であっても、添加される添加剤(例えば、染料や顔料などの着色剤、紫外線吸収剤など)が異なる重合体は、異なる重合体(樹脂材料)とみなす。
樹脂層を構成する樹脂としては、積層板に通常使用される樹脂であれば、特に限定されない。このような樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂などが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、例えば、二価フェノールとカルボニル化剤とを界面重縮合法や溶融エステル交換法などで反応させることにより得られるものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法などで重合させることにより得られるもの、環状カーボネート化合物を開環重合法で重合させることにより得られるものなどが挙げられる。
二価フェノールとしては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステルなどが挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
中でも、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンから選ばれる二価フェノールを単独で、または2種以上用いるのが好ましく、特に、ビスフェノールAの単独使用や、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンと、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンから選ばれる1種以上の二価フェノールとの併用が好ましい。
カルボニル化剤としては、例えば、ホスゲンなどのカルボニルハライド、ジフェニルカーボネートなどのカーボネートエステル、二価フェノールのジハロホルメートなどのハロホルメートなどが挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
メタクリル樹脂としては、メタクリル酸メチル単位を主成分とするもの、具体的にはメタクリル酸メチル単位を通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上含むメタクリル酸メチル樹脂であるのが好ましく、メタクリル酸メチル単位100重量%のメタクリル酸メチル単独重合体であってもよいし、メタクリル酸メチルと、該メタクリル酸メチルと共重合し得る他の単量体との共重合体であってもよい。
メタクリル酸メチルと共重合し得る他の単量体としては、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのアクリル酸エステル類などが挙げられる。また、スチレンや置換スチレン類(例えば、クロロスチレン、ブロモスチレンなどのハロゲン化スチレン類)や、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどのアルキルスチレン類なども挙げられる。さらに、メタクリル酸、アクリル酸などの不飽和酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなども挙げられる。これらメタクリル酸メチルと共重合し得る他の単量体は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のグラデーション形成方法によって得られる積層板は、2層以上の樹脂層が幅方向において、層厚が変化する樹脂層を有しており、層厚分布の差が最も大きな樹脂層における最小層厚みと最大層厚みとの比率が、2倍以上である。以下、図1を参照して、本発明のグラデーション形成方法によって得られる積層板を説明する。
図1は、本発明の一実施形態によって得られる積層板の押出流れ方向に対して直交する断面(幅方向の断面)を示す図である。
本発明のグラデーション形成方法によって得られる積層板は平板であり、その厚みにムラがないことが好ましいが、厚み精度が±10%以下であれば、平板として扱っても差し支えない。例えば、1mmの厚みの積層板を作製する場合、積層板の最も薄い部分が0.9mm以上であり、最も厚い部分が1.1mm以下であれば、平板として扱っても差し支えない。
本発明のグラデーション形成方法によって得られる積層板の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.5〜5mm、より好ましくは1〜3mmである。
本発明のグラデーション形成方法によって得られる積層板は、2種以上の樹脂材料を用いて2層以上の樹脂層が積層されていればよく、例えば、2種の樹脂層11、21からなる2層の積層板(図1(a));2種の樹脂層13、23a、23bからなる3層の積層板(図1(c));あるいは3種の樹脂層からなる3層の積層板などが挙げられ、用途に応じて適宜設定し得る。
本発明のグラデーション形成方法によって得られる積層板は、層厚分布の差が最も大きな樹脂層の最大層厚み(図1(a)のT1)が、該樹脂層の最小層厚み(図1(a)のT2)に対して2倍以上である。層厚分布の差が最も大きな樹脂層の最大層厚みを、該樹脂層の最小層厚みの2倍以上とすることにより、例えば、該樹脂層に染料や顔料などの着色剤、紫外線吸収剤など他の成分を配合した場合、得られる積層体内部でこれらの成分の濃度に差を設けることが可能となる。層厚分布の差が最も大きな樹脂層の最大層厚みが、該樹脂層の最小層厚みの2倍未満の場合、積層板の用途によっては、所望の効果を得るために、従来の積層板と同様に煩雑な加工が必要となる。
例えば、図1(a)に示すように、2層の積層板の場合、いずれの樹脂層も層厚分布の差は同じになる。この場合、いずれか一方の樹脂層、例えば、図1(a)の樹脂層21の最大層厚みT1が、最小層厚みT2に対して2倍以上であればよい。
図1(c)に示すように3層あるいは3層以上の場合、ある1つの樹脂層が層厚分布を有すると、その樹脂層に接する少なくとも一方の樹脂層も層厚分布を有する。例えば、図1(c)に示すような3層の積層板の場合、層厚分布を有する2層の樹脂層13、23(b)の層厚分布の差は同じになる。この場合、上記のように、いずれか一方の樹脂層の最大層厚みが、最小層厚みに対して2倍以上であればよい。3層以上の場合は、層厚分布の差が最も大きな樹脂層の最大層厚みが、最小層厚みに対して2倍以上であればよい。
本発明のグラデーション形成方法によって得られる積層板において、層厚分布の差が最も大きな樹脂層の最大層厚みは、最小層厚みに対して、好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上である。なお、上限については、図1(b)に示すように、樹脂層22の最小層厚みが0の場合、無限大となるため、特に限定されない。図1(a)のように、樹脂層21の最小層厚みが0でない場合、最大層厚みは、最小層厚みに対して、好ましくは100倍以下、より好ましくは50倍以下である。
層厚分布の差が最も大きな樹脂層において、最大層厚みは、特に限定されないが、積層体総厚みの10%以上を占めることが好ましく、積層体総厚みの20%以上を占めることがより好ましい。層厚分布の差が最も大きな樹脂層において、最大層厚みが積層体総厚みの5%未満の場合、積層板の用途によっては、所望の効果を得るために、従来の積層板と同様に煩雑な加工が必要となるおそれがある。
さらに、層厚分布を有する樹脂層は、図1(a)〜(c)に示すように、樹脂層の厚みが一端から他端に向かって増加する形態である必要はなく、図2(a)に示すように、樹脂層24の中心部が最も厚くなるような形態(山型)であってもよい。また、図2(b)および(c)に示すように、樹脂層25、26の少なくとも一端が積層体の一端と一致していなくてもよい。すなわち、図2(b)および(c)に示す積層板は、それぞれ幅方向の所定の位置まで樹脂層15、16のみが占め、該所定の位置から樹脂層25、26が積層される。図2(b)および(c)では、樹脂層25、26の最小層厚みは0となる。
本発明のグラデーション形成方法によって得られる積層板は、看板、建材、照明における前面板などの用途に好ましく用いられるが、これらの用途に限定されない。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で使用した押出装置の構成は、以下の通りである。
押出機1:スクリュー径130mm、一軸、ベント付きの押出機(日立造船(株)製)。
押出機2:スクリュー径50mm、一軸、ベント付きの押出機(日立造船(株)製)。
ダイ(I):Tダイ(樹脂吐出口幅1650mm、リップ間隔1mm(日立造船(株)製))とフィードブロック(樹脂吐出口幅150mm、2種3層分配(日立造船(株)製))との組み合わせ。
ダイ(II):マルチマニホールドダイ(樹脂吐出口幅1650mm、2種3層分配(日立造船(株)製))。
ダイ(III):マルチマニホールドダイ(樹脂吐出口幅1650mm、2種2層分配(日立造船(株)製))。
冷却ユニット:横型、面長1800mm、径400mmφの冷却ロール3本。
実施例および比較例で使用した樹脂は、以下の通りである。
ポリカーボネート樹脂1(PC1):住友ダウ(株)製の「カリバー301−10」。
メタクリル樹脂1(PMMA1):メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=94/6(質量比)の共重合体。
メタクリル樹脂2(PMMA2):メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=98/2(質量比)の共重合体に、1000ppmの紫外線吸収剤(住友化学(株)製:スミソーブ200)を添加した樹脂。
メタクリル樹脂3(PMMA3):メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=94/6(質量比)の共重合体に、30ppmのスモーク染料を添加した樹脂。
メタクリル樹脂4(PMMA4):メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=94/6(質量比)の共重合体に、2000ppmの架橋スチレン系顔料(積水化成品工業(株):テクポリマーSBX−6)を添加した樹脂。
(実施例1〜3および比較例1〜3)
表1に記載の樹脂を、それぞれ押出機1および2内で溶融混練し、Tダイが取り付けられたフィードブロック(比較例1)またはマルチマニホールドダイ(実施例1〜3および比較例2〜3)に供給した。なお、チョークバーの調整の有無については、表1に記載の通りである。
押出機1内の樹脂からなる樹脂層が主層(実施例1および比較例2)または中間層(実施例1および比較例2以外)、押出機2内の樹脂からなる樹脂層が表層(実施例1および比較例2)または両表層(実施例1および比較例2以外)となるように、共押出成形を行った。
次いで、押出された溶融状態の溶融樹脂を、3本の冷却ロールを有する冷却ユニットで製膜し、表1に記載の総厚み(目標値)を有する2層(実施例1および比較例2)または3層(実施例1および比較例2以外)の積層板を作製した。なお、表1に記載の「総厚み」は、得られた積層板の厚み範囲を示し、「押出機1の層の厚み」は、押出機1内の樹脂からなる樹脂層の厚み範囲を示し、「押出機2の層の厚み」は、押出機2内の樹脂からなる樹脂層の厚み範囲を示している。
実施例1〜3および比較例1〜3で得られた積層板の両端部を切断して、幅1350mm×長さ1200mmで切り出した。切り出した積層板の厚みを、幅方向に一端から他端まで90mm間隔で測定した。いずれの積層板においても、厚み精度は、総厚みの目標値に対して、±10%以下であった。実施例1〜3および比較例1〜3で得られた積層板の断面図を図3〜9に示す。
Figure 0005898858
実施例1および比較例2で得られた積層体は、PMMA3層に染料が配合されている。実施例1で得られた積層体は、染料が配合されたPMMA3層が層厚分布を有するため、色の濃淡(グラデーション効果)を発現することができる。一方、比較例2で得られた積層体は、各層に層厚分布がなく均一であるため、色の濃淡を発現することができない。
実施例2および比較例1で得られた積層体は、PMMA2層に紫外線吸収剤が配合されている。実施例2で得られた積層体は、紫外線吸収剤が配合されたPMMA2層が層厚分布を有するため、例えば建材用途の場合、耐衝撃性が必要な箇所(人が通る足元の部分など)には、PMMA2層の薄い(PC1層の厚い)部分が使われるように設計し、照明の近傍など耐光性が必要な箇所には、PMMA2層の厚い(PC1層の薄い)部分が使われるように設計して用いることができる。一方、比較例1で得られた積層体は、各層に層厚分布がなく均一であるため、実施例2で得られた積層体のように用いることができない。
実施例3および比較例3で得られた積層体は、PMMA4層に顔料が配合されている。実施例3で得られた積層体は、顔料が配合されたPMMA4層が層厚分布を有するため、色の濃淡(グラデーション効果)を発現することができる。一方、比較例3で得られた積層体は、各層に層厚分布がなく均一であるため、色の濃淡を発現することができない。
31、41 チョークバーボルト
301、401 ダイの樹脂吐出口上部
302、402 ダイの樹脂吐出口下部
303、403 チョークバー

Claims (3)

  1. マルチマニホールドダイに備えられたチョークバーを調整する工程、および
    チョークバーを調整したダイより、2種以上の樹脂材料を押し出すことによって2層以上の樹脂層を積層する工程、を含み、
    積層板の押出流れ方向に対して直交する断面において、層厚が変化する樹脂層を有しており、層厚分布の差が最も大きな樹脂層は、着色剤を含有しており、かつ最小層厚みと最大層厚みとの比率が、2倍以上であることを特徴とする積層板のグラデーション形成方法。
  2. 前記チョークバーは、前記層厚が変化する樹脂層において、積層板の押出流れ方向に対して直交する断面が、一端から他端に向かって層厚みが増加するように調整される請求項1に記載のグラデーション形成方法。
  3. 前記チョークバーは、前記層厚が変化する樹脂層において、積層板の押出流れ方向に対して直交する断面の中央部分に最大層厚みを有するように調整される請求項1に記載のグラデーション形成方法。
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