JP5896951B2 - 加熱調理容器 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、ガスコンロのグリル庫のような、加熱調理器の加熱庫に収容されて加熱される加熱調理容器に関する。
従来、この種の加熱調理容器として、例えば、ガスコンロのグリル庫内にスライド自在に出し入れ可能な載置台に載置される箱型の容器が知られている。このものでは、加熱調理容器内に収容された魚などの被調理物は、グリル庫内の加熱源である上火バーナによって上から、また、下火バーナによって両側方から加熱されて調理される。
特に、蓋付きの加熱調理容器を利用すれば、被調理物から滴り落ちる油は加熱調理容器の底部に溜まり、被調理物から上方へ飛散する油は、加熱調理容器の周壁や蓋で受けるため、グリル庫内に被調理物の油が付着するのを防ぐことができる。このため、調理後は、グリル庫内には被調理物の臭いが残らない上に、加熱調理容器をグリル庫内から取り出して丸洗いするだけでいいから、グリル庫の手入れが容易となる。
特開2010−42075号公報
しかしながら、この種の加熱調理容器の場合、内部に収容された被調理物の出来上がりが劣っていたり、加熱調理容器内で発火したりするおそれがある。
これは、例えば、全体が金属のような熱伝導性が良い材質からなる加熱調理容器では、上下のバーナで加熱されることにより、容器全体の温度が急激に上昇するため、内部に収容されている魚などの被調理物は、内部まで火が通り難く、表面だけが焼けるという不具合がある。また、被調理物の内部まで十分火が通るまで加熱を続けると、容器内の温度が高温になり過ぎ、被調理物が焦げたり、被調理物から出た油が発火するおそれがある。
逆に、陶器のような熱伝導性の悪い材質からなる加熱調理容器の場合では、加熱庫の両側に位置する下火バーナによって加熱調理容器の両側面が加熱されるが、この熱が底部中央にまで伝わるのが遅い。そのため、底部の両端側に載置された被調理物と比べて、底部中央に載置された被調理物が焼け難く、被調理物を載置する底部の位置によって焼きムラができる問題があった。そこで、底部中央の焼き性能を向上させようとしてバーナの火力を上げると、前記両端側が過熱されて温度が上昇し、両端側に溜まった油が発火するおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、加熱調理器の加熱庫内に出し入れ自在に収容されて魚等の被調理物を加熱調理するための加熱調理容器であって、被調理物をムラなく焼き上げることができるようにすると共に、容器内での発火の可能性を低減できる加熱調理容器を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明の加熱調理容器は、
加熱源により加熱される加熱庫内に収容されて使用可能な加熱調理容器であって、
底部と、この底部を囲む周壁とから形成され、
前記加熱庫内において前面開放部方向と直交する両側方に設けられている加熱源によって前記周壁が加熱され、
高熱伝導性材料からなる場合は、前記両側方の加熱源からの加熱による前記底部の熱伝導を低減させるように前記底部が前記周壁よりも厚肉に形成され、
低熱伝導性材料からなる場合は、前記両側方の加熱源からの加熱による前記底部の熱伝導を増加させるように前記底部が前記周壁よりも薄肉に形成されていることを特徴とするものである。
上記構成は次のように作用する。
底部の上面に魚などの被調理物が載置された加熱調理容器を、加熱庫内にその前面開放部から収容して加熱する。加熱庫内の加熱源は、前面開放部方向と直交する両側方に設けられているため、周壁は両側方から加熱される。これにより、加熱源からの熱は、周壁から底部に向かって伝導される。このとき、底部の肉厚が周壁の肉厚よりも厚く形成されているものでは、周壁から底部へ熱伝導しても、肉厚の底部全体の温度が上昇するのに時間がかかる。これにより、容器全体の温度が急激に上昇することはない。
また、周壁の肉厚が底部の肉厚よりも厚く形成されているものでは、周壁の温度上昇に時間がかかるが、底部は周壁よりも薄肉に形成されているから、周壁に与えられた熱が底部全体へ速やかに熱伝導する。
このように、底部と周壁との厚みを変えておくことにより、加熱庫の両側方に位置する加熱源から容器の周壁を加熱した熱が底部へ熱伝導する時間を増減させることができ、容器全体の温度が急激に上昇したり、周壁のみが温度上昇することはないから、容器内部は過熱されることなく、底部と周壁とが均一に加熱された空間を形成することができる。これにより、被調理物をムラなく焼き上げることができる。
特に、加熱調理容器が高熱伝導性材料から構成されている場合は、加熱庫の両側方の加熱源からの加熱によって、周壁の温度が急激に上昇するが、底部はそれより厚肉に形成されているから、周壁から底部に熱伝導することによる底部全体の急激な温度の上昇が抑えられる。よって、加熱調理容器全体が急激に高温になることはない。
低熱伝導性材料製の加熱調理容器では、加熱源によって周壁が集中的に加熱されても、底部の温度が上がり難い。そのため、長時間加熱する必要がある。底部と周壁を均一な厚みにしておくと、周壁から底部全体に熱伝導する前に周壁の温度が上昇し過ぎてしまうが、上記加熱調理容器では、周壁の厚みは底部の厚みよりも厚肉に設定されているから、周壁が加熱され過ぎることはない。そして、底部は周壁よりも薄肉に形成されているから、周壁から底部全体への熱伝導は向上する。
また、請求項2のように、前記底部の内面は、中央部から外周部に向かって降下する斜面状に形成され、
前記外周部には被調理物から出た油を溜める油溜り用凹部が形成され、
前記油溜り用凹部は、前記加熱庫の両側方に設けられている加熱源から離れて位置する前記底部の前後外周部に沿って形成されている油溜り用凹部の方が、前記底部の左右外周部に沿って形成されている油溜り用凹部よりも低い位置に形成されていることが望ましい。
被調理物から発生した油は、底部の斜面に沿って外周部に向かって流れていき、外周部に設けられている油溜り用凹部に溜まる。底部の左右外周部に設けられている油溜り用凹部よりも、前後外周部に沿って設けられている油溜り用凹部の方が低く設けられているから、左右外周部側の油溜り用凹部へ流れ落ちた油も、前後外周部に沿って設けられている油溜り用凹部に向かって流れていき、最終的に、両側方に位置する加熱源から離間した前後外周部の油溜り用凹部に溜まる。
また、請求項3のように、加熱調理容器が低熱伝導性材料からなる場合は、前記底部の熱伝導を増加させるように、前記底部の内面に、高熱伝導性材料からなるプレートが載置され、前記プレートの上に、被調理物が載置されることが望ましい。
低熱伝導性材料からなる加熱調理容器の場合、底部の内面に高熱伝導性材料からなるプレートを載置することで、底部への熱伝導が向上する。
さらに、請求項4のように、前記底部は矩形状に形成され、この底部の四方を周壁で囲む矩形箱型に形成され、
前記加熱源によって前記周壁のうち左右両側壁が加熱されるように、前記加熱庫内に配置されるようにしてもよい。
この場合、加熱調理容器の底面積をより広く形成することができる。


以上のように、本発明によれば、加熱調理容器を構成している底部の肉厚と周壁との肉厚とを異なる厚みに設定しておくことにより、加熱庫内の加熱源からの加熱によって、容器全体の温度が急上昇したり、周壁のみが温度上昇することを防止できる。よって、底部に載置される被調理物の表面だけが焼けて内部にまで火が通らなかったり、被調理物の内部まで十分火が通るまで加熱を続けることにより被調理物の表面が焦げたり、被調理物を載置する位置によって焼きムラが生じたり、さらには、被調理物から出た油が内部の温度上昇によって過熱されるといった不都合がない。
特に、金属製の加熱調理容器のように、高熱伝導性材料製のものでは、周壁よりも底部の肉厚を厚くして、周壁から底部へ熱が急激に伝わることによる内部の急激な温度上昇を防止している。同時に、底部の全体的な体積が増加し、温度上昇時間が遅くなるため、万一、使用者が蓋のセットをし忘れた場合でも、発火し難くなる。また、陶器製の加熱調理容器のように、低熱伝導性材料製のものでは、周壁の肉厚を底部の肉厚よりも厚く設定して、底部に熱伝導させるために周壁を長時間加熱しても、周壁が温度上昇して周壁に沿って溜まっている油が過熱されないように設定されている。
また、被調理物から底部の内面上に流れ出る油は、傾斜面となっている底部の内面を外周部に向かって流れていき、さらに、より低い位置に形成されている前後外周部に沿った油溜り用凹部に溜まる。これにより、加熱庫の両側方に位置する加熱源によって加熱調理容器の周壁が加熱されても、前後外周部に沿った油溜り用凹部は前記加熱源と離れて位置することから、油溜り用凹部に溜まった油の過熱が防止される。
また、被調理物を加熱調理容器に収容して調理することにより、加熱調理器の加熱庫内には、被調理物による油汚れが着き難くなり被調理物臭の発臭を防止することができ、加熱庫内の清掃作業の手間が大幅に軽減される。
なお、低熱伝導性材料製の加熱調理容器の場合、底部内面に、高熱伝導性材料製のプレートを載置して、底部への熱伝導率を向上させることにより、加熱庫内の加熱源による加熱時間を短縮でき、調理時間を短縮することができる上に、被調理物から出た油が、長時間の加熱によって温度が上昇し発火するおそれを一層確実に防止することができる。
本発明の第1番目の実施の形態の加熱調理容器とそれを利用するガスコンロの外観構成を示した斜視図である。 本発明の第1番目の実施の形態の加熱調理容器がグリル庫内に収容された状態を示す断面図である。 本発明の第1番目の実施の形態の加熱調理容器を容器本体と蓋体とに分離した状態を示した分解斜視図である。 本発明の第2番目の実施の形態の加熱調理容器の断面図である。 本発明の第2番目の実施の形態の加熱調理容器を容器本体と蓋体とに分離した状態を示した分解斜視図である。 本発明の第2番目の実施の形態の加熱調理容器の底部の裏側を示す斜視図である。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、天板(13)上に3つのコンロ部(11)と、本体ケース(10)の前面中央に加熱庫としてのグリル庫(20)が備えられているガスコンロ(1)の斜視図であり、グリル扉(21)を引き出して、グリル庫(20)の前面開放部(200)を開放させた状態を示している。
グリル庫(20)内には、図2に示すように、上部加熱源として赤外線照射式バーナからなる上火バーナ(24)と、下部加熱源としてブンゼン式バーナからなる下火バーナ(25)とが設置されている。上火バーナ(24)は、グリル庫(20)の天井面(201)に設置されており、下火バーナ(25)は、グリル庫(20)の左右両側板(202)(202)の下部に前後方向に沿って設けられている。
グリル庫(20)の後部上方は、図1に示すように、ガスコンロ(1)の上面後部のグリル排気口(12)に連通している。
グリル扉(21)の背面には、トレー受け(210)が連結されており、このトレー受け(210)に、皿状のトレー(22)が、金属線材製の容器載置網(23)と共にセットされる。グリル扉(21)を手前に引くと、トレー受け(210)が、トレー(22)及び容器載置網(23)と共にグリル庫(20)の前面開放部(200)からスライド式に引き出すことができ、グリル扉(21)を前方に引き出した状態で、容器載置網(23)に形成されている凹部(230)内に、加熱調理容器(3)を載置してグリル扉(21)を押し込んで閉じることにより、加熱調理容器(3)がグリル庫(20)内に収容される。
なお、加熱調理容器(3)を使用しない場合は、容器載置網(23)に替えて焼網(図示せず)をトレー(22)上にセットすることができる。
図1から図3に示す第1番目の実施の形態の加熱調理容器(3)は、鉄・銅・アルミ等の金属製のものとし、グリル庫(20)の前後方向に長い略矩形箱状の容器本体(3A)と、この容器本体(3A)の上部開口に被せる略矩形状の蓋体(3B)とから構成される。
蓋体(3B)には煙通過用の透孔(30)が多数貫通している共にその略中央に突設されている摘み部(33)内にも内部に貫通する貫通孔(33a)が形成されている。また、蓋体(3B)及び容器本体(3A)の長手方向に沿って把手部(34)が張り出している。
容器本体(3A)は、図2及び図3に示すように、容器載置網(23)の凹部(230)内にちょうど収容可能な大きさの略矩形状の底部(31)と、その四方を囲む周壁(32)とから、上方に開放する箱状に形成されているもので、底部(31)は、図2に示すように、中央部の位置を外周部よりも高く位置するように、中央部から外周部に向かって降下する斜面状に形成されている。これにより、前記外周部が、底部(31)に載置された魚などの被調理物を加熱することにより発生する油が流れていく油溜り用凹部として機能することとなる。
また、油溜り用凹部のうち、グリル庫(20)の左右両側板(202)(202)に沿って設けられている下火バーナ(25)から離れて位置する底部(31)の前後辺に沿って形成されている油溜り用凹部(36a)(36a)の方が、底部(31)の左右両側辺に沿って形成されている油溜り用凹部(36b)(36b)よりも低く位置するように形成されている。
これにより、前記被調理物からの油は、底部(31)に滴下された後、前記斜面に沿って外周部に向かって流れていき、さらに、前後方向の油溜り用凹部(36a)(36a)に溜まる。
また、底部(31)の内面には、図3に示すように、長手方向に対して直交する多数のリブ(35)が突設されている。
魚などの被調理物は、これらリブ(35)上に載置されて、加熱調理されるため、前記被調理物からの油は、リブ(35)とリブ(35)の間に滴下され、前記斜面に沿って、底部(31)の外周部の油溜り用凹部に流れていき、さらに、より低く位置する前後辺に向かって流れていき、油溜り用凹部(36a)(36a)に溜まる。従って、被調理物からの油は、加熱調理容器(3)の底部(31)の平面視で四隅(36c)(36c)に溜まる。
なお、上記実施の形態の加熱調理容器(3)のように、金属のような高熱伝導性材料から形成されているものの場合は、容器本体(3A)の底部(31)の肉厚を、周壁(32)の肉厚よりも厚肉に設定してある。
この金属製の加熱調理容器(3)を利用して、魚などの被調理物を加熱調理するには、容器本体(3A)内の底部(31)のリブ(35)上に、前記被調理物を載置し、蓋体(3B)で上方開放部を覆った後、図1に示すように、グリル庫(20)からグリル扉(21)と共に引き出されたトレー(22)上の容器載置網(23)の凹部(230)内に加熱調理容器(3)をセットし、グリル扉(21)を押し戻す。これにより、加熱調理容器(3)はグリル庫(20)内に収容される。
上火バーナ(24)と下火バーナ(25)が点火されることにより、加熱調理容器(3)は、蓋体(3B)の上方からと、容器本体(3A)の周壁(32)のうち、左右両側壁(320)(320)側が集中して加熱される。
加熱調理容器(3)は高熱伝導性の金属製であるから、下火バーナ(25)で熱せられた左右両側壁(320)(320)の熱は底部(31)へ速やかに伝導するが、底部(31)の肉厚は周壁(32)の肉厚よりも厚く形成されているから、この部分の体積が増加するので、底部(31)全体に熱が伝わるのに時間がかかる。このため、容器本体(3A)全体の温度が急激に上昇することはない。
このように、容器本体(3A)内の温度が急激に上昇することはないから、底部(31)のリブ(35)上に載置した被調理物の表面だけが焼け焦げて内部にまで火が通らないといった不都合はなく、被調理物の内部までじっくり火を通して全体的にこんがりと焼き上げることができる。
また、被調理物から出た油は、下火バーナ(25)から離れて位置する底部(31)の四隅(36c)(36c)及びそれに続く前後辺に沿って位置する油溜り用凹部(36a)(36a)に溜まるから、被調理物の内部まで火を通すために容器本体(3A)の加熱を続け、左右両側壁(320)(320)が下火バーナ(25)によって過熱されても、下火バーナ(25)から離れて位置する四隅(36c)(36c)及び油溜り用凹部(36a)(36a)に溜まった油が異常に過熱されることによる発火のおそれも低減できる。
なお、底部(31)全体の肉厚は均等でもよいが、中央部をより厚く設定しておく方が焼きムラを防止することができる。
また、均等な厚みの周壁及び底部を有する加熱調理容器の場合、底部の肉厚が周壁の肉厚に対し、約1.4倍程度が好ましい。
図4〜図6に示すものは、第2番目の実施の形態の加熱調理容器(4)であり、図4はその断面図、図5は分解斜視図、図6は底面から見た斜視図である。
なお、この加熱調理容器(4)は陶器製とし、上記した金属製の加熱調理容器(3)と同様に、図1のようなグリル庫(20)内の容器載置網(23)上に載置されてグリル庫(20)内に収容されて使用される。
加熱調理容器(4)は、グリル庫(20)の前後方向に長い底部(41)とその周囲を囲む周壁(42)とから略矩形箱状に形成された容器本体(4A)と、これに被せる略矩形状の蓋体(4B)とからなり、外周部に油溜り用凹部が形成されるように、底部(41)は、中央を高く形成されていると共に、底部(41)の前後辺に沿って形成されている油溜り用凹部(46a)(46a)の方が、底部(41)の左右両側辺に沿って形成されている油溜り用凹部(46b)(46b)よりも低く位置するように形成されている。
図4に示すように、蓋体(4B)の中央に突設する摘み部(49)には内部に貫通する貫通孔(49a)が形成されていると共に、蓋体(4B)の裏面に複数の突起(47)を部分的に設けておくことで、容器本体(4A)と蓋体(4B)との間に隙間(48)が形成されている。これら貫通孔(49a)と隙間(48)とから被調理物からの煙を逃がすことができる。
また、底部(41)の内面には、被調理物を載置するための、長手方向に対して直交する多数のリブ(45)が設けられている。
さらに、この実施の形態の容器本体(4A)では、底部(41)の肉厚よりも周壁(42)の肉厚が厚肉に設定されている。
加熱調理容器(4)を低熱伝導性の陶器製としたから、下火バーナ(25)で容器本体(4A)の周壁(42)のうち、左右両側壁(420)(420)が加熱されても、それが、底部(41)にまで伝導し難い。このため、周壁(42)と底部(41)との厚みを同じにして、底部(41)に熱伝導するまで下火バーナ(25)で加熱を続けると、左右両側壁(420)(420)のみが集中的に加熱される。その結果、左右両側壁(420)(420)に沿って設けられている油溜り用凹部(46b)(46b)に溜まっている油が過熱されるおそれがある。しかしながら、この実施の形態のように、周壁(42)の肉厚を底部(31)よりも肉厚に設定しておくことにより、左右両側壁(420)(420)の温度が異常に上昇することはなく、加熱調理容器(4)内での発火のおそれを低減できる。
底部(41)は左右両側壁(420)(420)よりも薄肉に形成されているから、左右両側壁(420)(420)から底部(41)に伝導された熱は比較的速やかに底部(41)全体に伝導される。これにより、底部(41)の左右両側壁(420)(420)側の両端縁部のみの温度が上昇し、中央部の温度が上昇しないといった温度差を生じさせることなく、底部(41)全体の温度を均一に上昇させることができる。これにより、焼きムラを防止することができ、底部(41)の載置場所に係らず全ての被調理物をうまく焼き上げることが可能となる。
なお、底部(41)全体の肉厚は均等でもよいが、中央部をより薄くした方が焼き性能が向上する。
また、均等な厚みの周壁及び底部を有する加熱調理容器の場合、周壁の肉厚が底部の肉厚に対し、約1.5倍程度が好ましい。
第2番目の実施の形態のように、低熱伝導性の素材として、陶器のほかに、セラミックスや磁器製のものも採用可能であり、これら低熱伝導性の素材からなる加熱調理容器(4)の場合、底部(41)の熱伝導を少しでも向上させるために、図示しないが、金属のような熱伝導性の良い材質からなるプレートをリブ(45)の上に載置し、その上に、被調理物を載置するようにしてもよい。
なお、上記プレートとしては、その上面にリブを設けた構成のものでもよい。
また、底部(41)の内面を、リブ(45)を設けず平面状とし、上面にリブを設けたプレートを平面である底部(41)上に載置して、前記プレートのリブの上に被調理物を載置するようにしてもよい。
底部(41)の下面には、図4及び図6に示すように、長手方向に沿った中心線上に、縦リブ(43)が突設されている。この縦リブ(43)は、陶器製の容器本体(4A)に釉薬を塗布する際の支持部として利用すると同時に、底部(41)の補強部材としても機能する。
また、底部(41)の下面周縁に設けられている周辺リブ(44)には、部分的に切込み(40)が設けられている。この切込み(40)によって、下火バーナ(25)からの熱が周辺リブ(44)で囲まれた底部(41)の下方に回り易く、底部(41)の温度上昇が促進される。
上記第1番目の実施の形態の、金属等の高熱伝導性材料からなる加熱調理容器(3)では底部(31)の厚みを周壁(32)の厚みよりも厚肉に設定し、第2番目の実施の形態の、陶器等の低熱伝導性材料からなる加熱調理容器(4)では、底部(31)の厚みを周壁(42)の厚みよりも薄肉に設定することで、容器本体(3A)(4A)において、全体又は部分的な温度の急上昇を抑えることができるから、フッ素樹脂等のコーティング剤の耐熱温度(250度)以下での使用も可能となる。
また、加熱調理容器(3)(4)は蓋付きとしたから、被調理物は容器本体(3A)(4A)内に収容された状態で加熱調理される被調理物から噴出・飛散等する油のほとんどが加熱調理容器(3)(4)内に溜り、グリル庫(20)に付着するのを防ぐことができる。
これにより、グリル庫(20)内の清掃作業の手間が大幅に軽減される上に、グリル庫(20)で魚焼き調理をしても、グリル庫(20)内に魚焼き臭が残ることはないから、グリル庫(20)を、魚以外の食材の調理用としても抵抗感なく使用することができる。
この加熱調理容器(3)(4)は、グリル庫(20)に出し入れ自在であるから、調理後に加熱調理容器(3)(4)を取り出して洗浄することができる。
上記実施の形態の加熱調理容器は、矩形状の箱型のものを採用したが、容器の平面視が、楕円形、円形、多角形のものでもよい。
また、上記各実施の形態では、ガスコンロを例に挙げたが、電磁誘導式や電熱式のコンロにおけるグリル装置に適用してもよいし、また、ガスコンロとは独立のオーブン等の加熱調理器に適用してもよい。
また、下部加熱源や上部加熱源は、上記の下火バーナ(25)や上火バーナ(24)に限らず、電気ヒータ等の電熱加熱式のものでもよい。
(20)・・・・・・グリル庫(加熱庫)
(200) ・・・・・前面開放部
(25)・・・・・・下火バーナ(加熱源)
(3) ・・・・・・加熱調理容器
(31)・・・・・・底部
(32)・・・・・・周壁
(320) ・・・・・左右両側壁

Claims (4)

  1. 加熱源により加熱される加熱庫内に収容されて使用可能な加熱調理容器であって、
    底部と、この底部を囲む周壁とから形成され、
    前記加熱庫内において前面開放部方向と直交する両側方に設けられている加熱源によって前記周壁が加熱され、
    高熱伝導性材料からなる場合は、前記両側方の加熱源からの加熱による前記底部の熱伝導を低減させるように前記底部が前記周壁よりも厚肉に形成され、
    低熱伝導性材料からなる場合は、前記両側方の加熱源からの加熱による前記底部の熱伝導を増加させるように前記底部が前記周壁よりも薄肉に形成されている加熱調理容器。
  2. 請求項1に記載の加熱調理容器において、
    前記底部の内面は、中央部から外周部に向かって降下する斜面状に形成され、
    前記外周部には被調理物から出た油を溜める油溜り用凹部が形成され、
    前記油溜り用凹部は、前記加熱庫の両側方に設けられている加熱源から離れて位置する前記底部の前後外周部に沿って形成されている油溜り用凹部の方が、前記底部の左右外周部に沿って形成されている油溜り用凹部よりも低い位置に形成されている加熱調理容器。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の加熱調理容器において、
    低熱伝導性材料からなる場合は、前記底部の熱伝導を増加させるように、前記底部の内面に、高熱伝導性材料からなるプレートが載置され、前記プレートの上に、被調理物が載置される加熱調理容器。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の加熱調理容器において、
    前記底部は矩形状に形成され、この底部の四方を周壁で囲む矩形箱型に形成され、
    前記加熱源によって前記周壁のうち左右両側壁が加熱されるように前記加熱庫内に配置される加熱調理容器。
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