JP5895660B2 - 半導体用コーティング剤 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体素子の保護膜、層間絶縁膜などに好適に用いられるコーティング剤に関するものである。
半導体素子を汚れや水分などの外部環境から守るため、半導体表面に保護膜が形成されている。従来より、保護膜の材料としてポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリアミドイミド樹脂など、が最も汎用的に使用されてきている。ポリイミド樹脂は、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、耐湿性などの優れた特性を有し、信頼性の高い保護膜材料である。しかし、被塗物にポリアミド酸として塗布した後、通常は250℃前後の熱処理による閉環工程を必要とするため、材料の劣化の要因になる。また、何より作業に手間がかかるため、工程の簡略化が望まれてきた。
一方、ポリアミドイミド樹脂は、ポリイミド樹脂のような後工程での熱処理による閉環イミド化工程は必要としない。しかし、耐熱性が不十分であったり、熱収縮が大きいため基材のウエハーが変形したり、割れが発生する問題があった。これらの課題を解決するため、架橋剤を配合して耐熱性を改善したり、無機の微粒子を大量に配合して、熱膨張係数を低下させる提案がなされている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。しかし、架橋剤配合、安定性の低下、或いは塗膜(樹脂膜)表面の平滑性低下が問題となっている。また、熱架橋するための工程が必要となってくるため、作業の簡略化が求められている。
特許文献3では、希釈溶剤としてジグライムやトリグライムの記載があるものの、その混合比率に関する記載や、表面張力に関する記載は無い。また、表面平滑性やスピンコート適性に関する記載もない。
特開平06−053208号公報 特許第3427713号公報 特開平07−204714号公報
本発明は、上記課題を解決するもので、イミド化閉環工程、或いは架橋剤との熱硬化反応を省略でき、製造工程の簡略化に繋がる熱可塑性ポリアミドイミドからなる半導体用コーティング剤を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示すような手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、熱可塑性ポリアミドイミド樹脂を含有する半導体用コーティング剤、当該半導体用コーティング剤より構成される樹脂膜、及び当該樹脂膜を層間絶縁膜及び/又は保護膜として有する半導体素子に関する。
(項1)アミド系溶剤を主成分とする溶剤に、グリコールエーテル系溶剤又はグリコールエステル系溶剤が混合されてなり、表面張力が40(mN/m)未満である該溶剤に、一般式(I)で表される単位を繰り返し単位として分子鎖中に含有するポリアミドイミド樹脂を、固形分濃度5wt%以上30wt%以下溶解してなることを特徴とする半導体用コーティング剤。

(R1およびR2は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を表し、aおよびbは、それぞれ独立して1〜4の整数を表す。)
(項2)
ポリアミドイミド樹脂が、以下の(i)〜(iii)の特徴を有する項1記載の半導体用コーティング剤;
(i)ポリアミドイミド樹脂を0.5g/dlの割合で含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液の30℃における対数粘度が0.40dl/g以上;
(ii)ガラス転移温度が250℃以上;
(iii)熱膨張係数が35ppm/K以下。
(項3)
ポリアミドイミド樹脂が、以下の(iv)〜(v)の特徴を有する項1〜のいずれかに記載の半導体用コーティング剤;
(iv)ポリアミドイミド樹脂を構成する全酸成分中、
トリメリット酸成分が50モル%以上;
(v)ポリアミドイミド樹脂を構成する全ジイソシアネート成分中、
ビトリレンジイソシアネート成分が40モル%以上。
(項4)
ポリアミドイミド樹脂が、以下の(vi)〜(vii)の特徴を有する項1〜のいずれかに記載の半導体用コーティング剤;
(vi)ポリアミドイミド樹脂を構成する全酸成分中、
トリメリット酸成分が50モル%以上95モル%以下であり、かつ
他の芳香族環含有のポリカルボン酸成分が5モル%以上50モル%以下;
(vii)ポリアミドイミド樹脂を構成する全ジイソシアネート成分中、
ビトリレンジイソシアネート成分が40モル%以上95モル%以下であり、かつ
他の芳香族環を含有するジイソシアネート化合物成分が5モル%以上60モル%以下。
(項5)
項1〜のいずれかに記載の半導体用コーティング剤より構成される樹脂膜。
(項6)
に記載の樹脂膜を、層間絶縁膜及び/又は保護膜として有する半導体素子。
本発明の半導体用のコーティング剤は、特に優れた耐熱性(ガラス転移温度)、低熱収縮性(熱膨張係数)、溶剤溶解性、塗膜(樹脂膜)の平滑性を同時に発揮することができ、かつ、溶液の経時安定性が特に優れる効果を呈する。
次に、本発明を詳しく説明する。
<ポリアミドイミド樹脂>
本発明のポリアミドイミド樹脂は、一般式(I)で表される単位を繰り返し単位として分子中に含有する。
一般式(I)において、R1およびR2は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を表し、aおよびbは、それぞれ独立して1〜4の整数を表す。好ましくは、一般式(I)において、R1はメチル基、R2はメチル基である。
(酸成分)
本発明のポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂を構成する全酸成分を100モル%としたときに、トリメリット酸無水物を50モル%以上含有するものである。
本発明のポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂を構成する全酸成分を100モル%としたときに、50モル%以下の範囲で、トリメリット酸無水物以外に、他のポリカルボン酸(無水物)を使用することができる。例えば、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物などの芳香族テトラカルボン酸無水物、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ジカルボキシナフタレン、2,6−カルボキシナフタレンなどの芳香族ジカルボン酸を使用することができる。また、これらの化合物は、単独でも或いは2種類以上併用することもできる。好ましくは、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、イソフタル酸、または3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物である。
これらのトリメリット酸無水物以外のポリカルボン酸(無水物)を共重合する場合、1モル%以上50モル%以下、好ましくは5モル%以上40モル%以下の使用量の範囲で、特に優れた耐熱性、低熱収縮性、溶剤溶解性、塗膜(樹脂膜)の平滑性を発揮する。
これらのトリメリット酸無水物以外のポリカルボン酸(無水物)の量は、ポリアミドイミド樹脂を構成する全酸成分を100モル%としたときに、50モル%未満の範囲で適宜、選択して使用することができるが、50モル%を超えて使用すると、溶解性や塗膜(樹脂膜)の平滑性、或いは耐熱性などが低下し、実用性に問題が生じる。
(ジイソシアネート成分)
本発明のポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂を構成する全ジイソシアネート成分を100モル%としたときに、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジイソシアネートビフェニル、3,3’−ジフロロ−4,4’−ジイソシアネートビフェニル、及び3,3’−ジメチルー4,4’ジイソシアネートビフェニル(ビトリレンジイソシアネートと称することがある)からなる群から選択される一種又は二種以上のジイソシアネート成分を40モル%以上、含有するものである。好ましくは、ビトリレンジイソシアネートを40モル%以上含有するものである。
本発明のポリアミドイミド樹脂は、前述のジイソシアネート成分以外の他のジイソシアネート成分(以下、「他のジイソシアネート成分」という)を60モル%以下で使用できる。使用できる他のジイソシアネート成分としては、4,4’−ジフェニールメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニールエーテルジイソシアネート、p−フェニーレンジイソシアネート、m−フェニーレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートを挙げることができる。好ましくは、4,4’−ジフェニールメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートである。
本発明において、他のジイソシアネート成分は、ポリアミドイミド樹脂を構成する全ジイソシアネート成分中、60モル%以下で使用できる。60モル%を超えると熱収縮率が大きくなり、ウエハー変形の要因となる。5モル%以上60モル%以下、好ましくは5モル%以上50モル%以下の範囲であれば、溶液の経時安定性が特によくなる。
本発明のポリアミドイミド樹脂は、一般式(I)で表される単位を繰り返し単位として分子中に含有する。以下に本発明において、特に好ましいポリアミドイミド樹脂の酸成分とジイソシアネート成分の配合を以下に開示するが、本発明がこれに限定されるものではない。
(A)酸成分
ポリアミドイミド樹脂を構成する全酸成分を100モル%としたときに、
トリメリット酸無水物を50モル%以上、
イソフタル酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物からなる群から選択される一種又は二種以上を50モル%以下。
(B)ジイソシアネート成分
ポリアミドイミド樹脂を構成する全ジイソシアネート成分を100モル%としたときに、
ビトリレンジイソシアネート成分が40モル%以上95モル%以下、
4,4’−ジフェニールメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニールエーテルジイソシアネート、p−フェニーレンジイソシアネート、及びm−フェニーレンジイソシアネートからなる群から選択される一種又は二種以上を5モル%以上60モル%以下。
本発明の最も重要な開示の一つは、前述に組成によって、半導体用のコーティング剤が、特に優れた耐熱性、低熱収縮性、溶剤溶解性、塗膜(樹脂膜)の平滑性を同時に発揮することができ、溶液の経時安定性が特によくなることである。本発明以前に、様々な試みがなされてきたが、前述に組成によって、前述の効果を同時に満たすことは当業者にとって驚倒すべきことであった。
(製造方法)
本発明のポリアミドイミド樹脂は、従来公知の方法により合成することができるが、酸成分とジイソシアネート化合物との重合反応により得る方法が好ましい。ジイソシアネート成分の使用量は、酸成分の合計量1モルに対して0.8モル以上1モル以下とすることが好ましい。
また、上記反応において用いられる溶剤は、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N−エチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどの非プロトン性極性溶剤、或いはこれら非プロトン性極性溶剤とグリコールエステル系溶剤又はグリコールエーテル系溶剤との混合物を使用することができる。グリコールエステル系溶剤としては、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテートなどを挙げることができる。グリコールエーテル系溶剤としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどを挙げることができる。
これらのアミド系溶剤とグリコールエステル系溶剤又はグリコールエーテル系溶剤との混合比率は、アミド系溶剤100〜50wt%、望ましくは90〜60wt%、グリコールエステル又はグリコールエーテル系溶剤0〜50wt%、望ましくは10〜40wt%の範囲である。
また、反応後の希釈溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N−エチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン系溶剤、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのグリコールエステル系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤、水などが挙げられる。
(対数粘度)
本発明のポリアミドイミド樹脂は、0.5g/dlの割合で含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液の30℃における対数粘度が0.4dl/g以上であればよい。対数粘度が0.4dl/g未満の場合、機械的物性が著しく低下し、保護膜としての機能を果たせなくなる。
(ガラス転移温度)
本発明のポリアミドイミド樹脂は、ガラス転移温度が250℃以上であればよい。ガラス転移温度が250℃未満では、要求される耐熱性を保持できない。ガラス転移温度の上限に特に制限はなく高ければ高いほどよい。
(熱膨張係数)
本発明のポリアミドイミド樹脂は、熱膨張係数が35ppm/K以下の特性を有している。熱膨張係数が35ppm/Kを超える場合、塗布したウエハーなどにそり変形をもたらすこととなる。
<半導体用コーティング剤>
通常、ポリアミドイミド樹脂は、溶剤に溶解しにくいが、本発明のポリアミドイミド樹脂は、溶剤溶解性に特に優れるという性質を呈する。特に、本発明のポリアミドイミド樹脂をアミド系溶剤、或いはアミド系溶剤とグリコールエステル系溶剤又はグリコールエーテル系溶剤との混合溶剤に溶解する。従って、本発明のポリアミドイミド樹脂をこれらの溶剤に溶解せしめ、本発明の半導体用コーティング剤とすることができる。
具体的な溶剤として、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N−エチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどの非プロトン性極性溶剤、或いはこれら非プロトン性極性溶剤とグリコールエステル系溶剤又はグリコールエーテル系溶剤との混合物を使用することができる。グリコールエステル系溶剤としては、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどを挙げることができる。グリコールエーテル系溶剤としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどを挙げることができる
これらのアミド系溶剤とグリコールエステル系溶剤又はグリコールエーテル系溶剤との混合比率は、アミド系溶剤100〜50wt%好ましくは90〜55wt%、グリコールエステル又はグリコールエーテル系溶剤0〜50wt%、望ましくは10〜45wt%の範囲である。
本発明の半導体用コーティング剤は、前述のポリアミドイミド樹脂を前述の溶剤にて固形分濃度5wt%以上30wt%以下に調整すればよい。固形分濃度が5wt%未満の場合、乾燥効率が悪くなり、残存溶剤が多くなり、30wt%を越える場合は、得られるコーティング塗膜が脆くなってしまう。
また、溶剤成分の表面張力を40(mN/m)未満とすることで、被塗物への塗布が容易になる。好ましくは38(mN/m)以下である。溶剤成分の表面張力が40(mN/m)以上の場合、スピンコートした際の塗膜の平滑性が低下する。
また、本発明の半導体コーティング剤の溶液粘度は、0.1(dPa・s)以上、30(dPa・s)以下であることが好ましい。溶液粘度が0.1(dPa・s)未満の場合、スピンコート時にピンホールを生じ易く、30(dPa・s)を越える場合、スピンコート適性に劣る。
(経時安定性)
本発明の半導体用コーティング剤は、経時安定性に特に優れる。本発明の半導体用コーティング剤の経時安定性は、室温で半年以上保管し、溶液粘度が変化しないなど特に優れている。
<使用方法>
本発明の半導体用コーティング剤を、0.1mm〜5.0mm程度の膜厚を有するシリコン、セラミックなどのウエハーや銅箔、金属板などの表面に、塗布・乾燥することにより、樹脂膜を形成できる。この樹脂膜は、半導体の層間絶縁膜及び/又は保護膜として好適に使用することができる。
例えばスピンコートなどの方法で塗布し、薄膜を形成すれば、厚み斑の少ない、極めて平滑な塗面を形成することができる。また、熱膨張係数の小さい本発明のポリアミドイミド樹脂を選定することで、ウエハーの反りなどの変形を改善することができる。
塗布後の乾燥方法は空気下や窒素等の不活性ガス化で、150℃以上の熱をかけて熱風乾燥させる方法や、真空乾燥器中で150℃以上で真空乾燥させる方法等が挙げられる。
(平滑性)
本発明の半導体用コーティング剤により形成される樹脂膜は、厚み斑が少なく、極めて平滑性に優れる。
本発明の半導体用コーティング剤は、ウエハーなどに塗布後、溶剤を乾燥除去するだけで、優れた耐熱性、機械特性などを有する保護膜を形成することができ、従来、閉環イミド化工程或いはエポキシ樹脂などによる熱架橋工程などの後工程を簡略化できることで、生産性の大幅な向上が可能となる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
以下に、測定方法を説明する。
<ポリアミドイミド樹脂の対数粘度>
ポリアミドイミド樹脂サンプルの対数粘度は、ポリアミドイミド樹脂(固形)の濃度が0.5g/dlとなる様、N−メチル−2−ピロリドンに溶解させた溶液の溶液粘度、及び、溶媒(N−メチル−2−ピロリドン)粘度を、30℃でウベローデ型の粘度管により測定し、下記の式で計算した。
対数粘度(dl/g)=[ln(V1/V2)]/V3
上記式中、V1はウベローデ型粘度管により測定した溶液粘度を示し、V2はウベローデ型粘度管により測定した溶媒粘度を示すが、V1及びV2はポリマー溶液及び溶媒(N−メチル−2−ピロリドン)が粘度管のキャピラリーを通過する時間から求めた。また、V3は、ポリマー濃度(g/dl)である。
<ポリアミドイミド樹脂の耐熱性(ガラス転移温度)>
ポリアミドイミド樹脂サンプルを金属箔に塗工、乾燥した後、金属箔を35%の塩化第二鉄(40℃)でエッチング除去し、単層の樹脂フィルムを得た。この樹脂フィルム(サンプルサイズ4mm巾×15mm長さ)を動的粘弾性測定装置(オリエンテック社製レオバイブロン)を用いて、周波数1Hz、昇温速度10℃/分、の条件でTanδのピークトップからガラス転移温度求めた。
<ポリアミドイミド樹脂の低熱収縮性(熱膨張係数)>
ポリアミドイミド樹脂サンプルを金属箔に塗工、乾燥した後、金属箔を35%の塩化第二鉄(40℃)でエッチング除去し、単層の樹脂フィルムを得た。この樹脂フィルムの熱膨張係数をTMA(熱機械分析/理学株式会社製)引張荷重法により、以下の条件で測定した。なおフィルムは、窒素中、昇温速度10℃/分で、一旦、変曲点まで昇温し、その後室温まで冷却したフィルムについて測定を行った。
荷重:5g
サンプルサイズ:4(幅)×20(長さ)mm
昇温速度:10℃/分
雰囲気:窒素
測定温度範囲;100℃〜200℃
<ポリアミドイミド樹脂の溶剤溶解性>
ポリアミドイミド樹脂サンプルを、25℃3日静置後、カスミや白濁、沈降物が無いか目視により確認した。
<半導体用コーティング剤の経時安定性>
ポリアミドイミド樹脂サンプルを、25℃の恒温槽内に6ヶ月間静置し、外観(カスミや白濁、沈降物が無いか確認)および溶液粘度の変化が無いか確認した。
<樹脂膜の平滑性>
ポリアミドイミド樹脂サンプルをスピンコーターでシリコンウェハ上に2μm厚みとなる様塗布後、200℃のイナートオーブン内で1時間乾燥し、外観を目視で評価した。
○:平滑性良好。ピンホール、ムラや欠点無し
×:ピンホールやムラ、欠点有り
<樹脂膜の密着性>
ポリアミドイミド樹脂サンプルをスピンコーターでシリコンウェハ上に2μm厚みとなる様塗布後、200℃のイナートオーブン内で1時間乾燥した後、碁盤目剥離試験を行った。数値は、碁盤目剥離実施後の塗膜残存率を示しており、90%以上の残存率を有する場合、高い密着性を有していると判断できる。
<半導体用コーティング剤の溶液粘度>
溶液粘度は、東京計器(株)製BL型粘度計を用いて測定した。
<ポリアミドイミド樹脂組成>
ポリアミドイミド樹脂中の酸成分及びジイソシアネート成分の含有量(モル%比)は、合成時の比率と同じであることは、当業者にとって自明である。
実施例1(樹脂1)
ポリアミドイミドの重合
反応容器に下記重合成分を仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながら100℃で5時間反応させた。反応終了後、2946gのN−メチル−2−ピロリドンと1308gのジエチレングリコールジメチルエーテルで希釈し、半導体コーティング剤1を得た。
重合成分
トリメリット酸 0.7モル
イソフタル酸 0.3モル
o−トリジンジイソシアネート 0.5モル
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート 0.5モル
1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン 0.01モル
N−メチル−2−ピロリドン 1414g
実施例2〜実施例7、比較例1〜比較例3も実施例と原料および希釈溶剤を変更した以外は、同等な条件で重合し、半導体用コーティング剤を得た。
表1に、実施例・比較例の半導体用コーティング剤の組成および溶剤の表面張力をまとめた。なお、表1中の酸成分及びジイソシアネート成分のそれぞれの含有量(モル%)は、ポリアミドイミド樹脂中の含有量であって、ポリアミドイミド樹脂を構成する全酸成分を100モル%としたときの酸成分の含有量(モル%)、ポリアミドイミド樹脂を構成する全ジイソシアネート成分を100モル%としたときのジイソシアネート成分の含有量(モル%)をそれぞれ示す。
表中の略号は以下を示す。
酸成分
TMA:トリメリット酸無水物
BTDA:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物
IPA:イソフタル酸
SA:セバシン酸
ジイソシアネート成分
TODI:o−トリジンジイソシアネート
MDI:4,4’−ジフェニールメタンジイソシアネート
TDI:2,4−トリレンジイソシアネート
NDI:1,5−ナフタレンジイソシアネート
溶剤成分
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
DGLm:ジエチレングリコールジメチルエーテル
TGLm:トリエチレングリコールジメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート
GBL:γ−ブチロラクトン
表2に、
実施例・比較例のポリアミドイミド樹脂の対数粘度、ガラス転移温度、熱膨張係数及び溶剤溶解性、半導体用コーティング剤の経時安定性及び樹脂膜の平滑性および密着性を示す。
表2より、一般式(I)の骨格を有する剛直なポリアミドイミド樹脂を、非プロトン性極性溶剤と低表面張力のグリコールエステル系溶剤又はグリコールエーテル系溶剤に溶解することにより、塗膜平滑性・基材密着性に優れ、溶解性・保存安定性の良好な、低熱膨張係数の半導体コート剤が得られることが分かる。
本発明の半導体用のコーティング剤は、特に優れた耐熱性(ガラス転移温度)、低熱収縮性(熱膨張係数)、溶剤溶解性、塗膜(樹脂膜)の平滑性を同時に発揮することができ、かつ、溶液の経時安定性が特に優れる効果を呈する。
これらの効果により、本発明の半導体用のコーティング剤を、シリコン、セラミックなどのウエハーや銅箔などの表面に薄膜を形成した時に、厚み斑の少ない、極めて平滑な塗面を形成することができる。また、本発明のポリアミドイミド樹脂は、熱膨張係数の小さいため、ウエハーの反りなどの変形を改善することが可能である。
さらに本発明の半導体用コーティング剤は、ウエハーなどに塗布後、溶剤を乾燥除去するだけで、優れた耐熱性、機械特性などを有する樹脂膜を形成することができる。この樹脂膜を、半導体用の層間絶縁膜及び/又は保護膜として用いることにより、信頼性に優れた半導体素子を提供できる。
また、従来、閉環イミド化工程或いはエポキシ樹脂などによる熱架橋工程などの後工程を簡略化できることで、生産性の大幅な向上が可能となる。

Claims (6)

  1. アミド系溶剤を主成分とする溶剤に、グリコールエーテル系溶剤又はグリコールエステル系溶剤が混合されてなり、表面張力が40(mN/m)未満である該溶剤に、一般式(I)で表される単位を繰り返し単位として分子鎖中に含有するポリアミドイミド樹脂を、固形分濃度5wt%以上30wt%以下溶解してなることを特徴とする半導体用コーティング剤。
    (R1およびR2は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を表し、aおよびbは、それぞれ独立して1〜4の整数を表す。)
  2. ポリアミドイミド樹脂が、以下の(i)〜(iii)の特徴を有する請求項1記載の半導体用コーティング剤;
    (i)ポリアミドイミド樹脂を0.5g/dlの割合で含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液の30℃における対数粘度が0.40dl/g以上;
    (ii)ガラス転移温度が250℃以上;
    (iii)熱膨張係数が35ppm/K以下。
  3. ポリアミドイミド樹脂が、以下の(iv)〜(v)の特徴を有する請求項1〜のいずれかに記載の半導体用コーティング剤;
    (iv)ポリアミドイミド樹脂を構成する全酸成分中、
    トリメリット酸成分が50モル%以上;
    (v)ポリアミドイミド樹脂を構成する全ジイソシアネート成分中、
    ビトリレンジイソシアネート成分が40モル%以上。
  4. ポリアミドイミド樹脂が、以下の(vi)〜(vii)の特徴を有する請求項1〜のいずれかに記載の半導体用コーティング剤;
    (vi)ポリアミドイミド樹脂を構成する全酸成分中、
    トリメリット酸成分が50モル%以上95モル%以下であり、かつ
    他の芳香族環含有のポリカルボン酸成分が5モル%以上50モル%以下;
    (vii)ポリアミドイミド樹脂を構成する全ジイソシアネート成分中、
    ビトリレンジイソシアネート成分が40モル%以上95モル%以下であり、かつ
    他の芳香族環を含有するジイソシアネート化合物成分が5モル%以上60モル%以下。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の半導体用コーティング剤より構成される樹脂膜。
  6. 請求項に記載の樹脂膜を、層間絶縁膜及び/又は保護膜として有する半導体素子。
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