図1に、加工装置の一例として、パイプなどの棒状部材を加工対象(ワーク)Wとして、そのワークWの中間部のチャックで把持し、ワークの端末側から中間部方向にひねりユニットを移動させながら順次曲げを行う両端同時曲げ装置を示している。以下においては、ワークWの一例はパイプである。図2は、加工装置1の平面図である。
加工装置1は、架台2と、架台2の中央に配置されたチャックユニット160と、チャックユニット160を挟んで対面するように配置された一対のひねりユニット100と、一対のひねりユニット100にそれぞれ搭載された一対の曲げユニット(加工ユニット)10と、チャックユニット160に対する一対のひねりユニット100のそれぞれ距離を制御する一対の送りユニット140と、これらを制御する制御ユニット90とを有する。一対のひねりユニット100、一対の曲げユニット10および一対の送りユニット140のそれぞれは同一の構成のユニットを、チャックユニット160を挟んで対面するように配置している。
制御ユニット90は、送りユニット140を制御することによりワークWの曲げ加工する位置を決める(位置合わせする)位置制御機能(位置制御ユニット)93と、ひねりユニット100および曲げユニット10による曲げ加工方法を制御する加工制御機能(加工制御ユニット)95と、ワークWの給排を制御する給排制御機能(給排制御ユニット)97と、ワークWの持ち替え(掴み替え)を制御する掴み替え制御機能(掴み替え制御ユニット)98とを含む。加工制御ユニット95は、左引き曲げ加工を行うモード1(M1)と、右引き曲げ加工を行うモード2(M2)と、左押し曲げ加工を行うモード3(M3)と、右押し曲げ加工を行うモード4(M4)とを含む。加工制御ユニット95は、さらに、これら4つの曲げ加工モードとひねりユニット100による制御と組み合わせることが可能であり、3次元方向の曲げ加工(ロータリー曲げ加工)を行うことができる。
この加工装置1は、曲げユニット10とひねりユニット100とを含むロータリー曲げユニットを送りユニット140に搭載した曲げ送りユニット150を2組含み、それらが、ワークWが加工する際にセットされる第2の軸200に沿って(同軸上に)対向配置されている。加工装置1は、制御ユニット90に実装されたプログラム(曲げデータ)91に従いチャックユニット160および両側の送り曲げユニット150を制御し、パイプWの両端末側から中間部方向に向かって順次両端同時曲げを自動で行う。さらに、それぞれの送り曲げユニット150のひねりユニット100は、曲げユニット10を第2の軸200の周りにひねることにより、ロータリー曲げ加工が可能であり、曲げ方向を決めるひねりと所定角度の曲げとを行うことができる。
それぞれの送りユニット140は、架台2のレール149の上に前後(左右)にスライドするように取り付けられた移動架台148と、移動架台148を、ボールねじ147を介して駆動する送りモータ145とを含む。ひねりユニット100は移動架台148に搭載され、送りユニット140によりチャックユニット160との距離が制御される。
ひねりユニット100は、棒状部材(ワーク、パイプ)Wを第1の軸11の周りに曲げ加工する曲げユニット10を、第2の軸200の周りに回転するように支持する。ひねりユニット100は、曲げユニット10を支持するリング状のひねり歯車101と、ひねり歯車101を駆動するひねり駆動ユニット110と、ひねり歯車101が第2の軸200を中心に回転するようにひねり歯車101の外周面(外周部)106を支持するガイドローラ120と、ガイドローラ120を介してひねり歯車101を支持する支持板(支持ユニット)130とを含む。支持板130が移動架台148に搭載されており、ひねりユニット100とチャックユニット160との距離が送りユニット140により制御される。曲げユニット10は、第1の軸(曲げ軸)11の角度を制御するターンユニット80を介してひねり歯車101に取り付けられている。
ひねり歯車101は、中心に向かって一部が欠けた第1の切欠き部102を含む。支持板130は、リング状のひねり歯車101の内側の開口(第1の開口、内部空間)105よりも大きな第2の開口(貫通領域)135を含み、本例では、ひねり歯車101が第2の開口135に収納されている。すなわち、支持板130は、第2の軸200を中心として、リング状のひねり歯車101の内の第1の開口105より大きな第2の開口135を含む。第1の開口105はほぼ円形であり、第2の開口135は第1の開口105の内径より大きな径の円形の開口であることが望ましい。
支持板(支持ユニット)130は、さらに、第2の開口135に至る第2の切欠き部132であって第2の軸200に直交する方向に開いた第2の切欠き部132を含む。リング歯車(ひねり歯車)101の第1の切欠き部102と、支持板130の第2の切欠き部132とが直線状に配置されることにより、ワークWを加工する際の位置(第2の軸)200に給排するための給排路139が形成される。本例の加工装置1では、給排路139は鉛直方向に設けられており、チャックユニット160に把持されたワークWは、給排(ロードアンロード)される際に、鉛直方向(上下)に動かされる。支持ユニット130は板状であるが、フレームで構成されていてもよい。
このため、チャックユニット160は、ワーク加工時の第2の軸200に沿って延びたチャック板161と、チャック板161を開閉する開閉シリンダー163と、ワークWを給排する際にチャック板161を上下に移動する昇降シリンダー165と、ワークWを持ち替えるときに一時的にチャック板161を第2の軸200よりも下方に下げる退避シリンダー164とを含む。チャック板161は、中央が凹んだ形状で開閉シリンダー163に対し第2の軸200に沿って送りユニット140の移動方向(以降では左右)に突き出ている。チャック板161の中央の凹んだ部分が加工済みのワークWを逃して把持するための逃し部168であり、左右に突き出た部分がワークWを把持する把持部(ワーク把持部)167である。
図3〜図5に、ひねりユニット100を抜き出して示している。図3はひねりユニット100の正面図、図4はひねりユニット100の第2の軸200を含む縦断面図、図5はひねりユニット100の平面図である。図3は、曲げユニット10の第1の軸(曲げ軸)11がワークWを給排する状態にセットされた状態を示し、図4および図5は、第1の軸11が鉛直方向にセットされた状態を示している。また、図4においては、説明のため、ひねり駆動ユニット110の構成を実線で断面図に重ねて示している。
ひねりユニット100は、曲げユニット10をターンユニット80を介して第2の軸200の周りに回転するように支持するリング状のひねり歯車101と、ひねり歯車101をガイドローラ120を介して支持する支持板130と、ひねり歯車101を駆動するひねり駆動ユニット110とを含む。
ひねり歯車101はリング状で軸なしの平歯車であり、内径(リング内径)R1がひねり歯車101の外径の1/3程度あるいはそれ以上の第1の開口(リング開口、内部空間、貫通孔)105を含む。ひねり歯車101の第1の開口105は、ワークWが通過するだけではなく、チャックユニット160のチャック板161の把持部167を出し入れ(挿入)できる大きさを含み、チャック挿通穴として機能する。ひねり歯車101は、さらに、第2の軸200に直交する方向に開いた第1の切欠き部102を含み、この第1の切欠き部102は、ワークWを第1の開口105に出し入れするための給排用開放溝として機能する。
支持板(支持ユニット)130は、鉛直方向に延びた板状の部材であり、中央上部にひねり歯車101を収納する第2の開口135を含む。本例の加工装置1においては支持板130にひねり歯車101が収納されているが、ひねり歯車101を支持板130の外側に取り付けることも可能であり、その場合、ひねり歯車101の第1の開口105をチャック挿通穴として機能させるために第2の開口135の内径は第1の開口105の内径R1以上であることが望ましい。本例では、ひねり歯車101を支持板130に収納してひねり歯車101が支持板130の前後に飛び出すことを抑制している。このため、第2の開口135の径(内径)はひねり歯車101の外径と同じまたはそれ以上である。ひねり歯車101を支持板130の内部に収納し、ひねり歯車101の飛び出しを抑制することにより支持板130と第1の軸(曲げ軸)11との距離L1を小さくすることができ、ワークWの加工が難しい領域を短くできる。
第2の開口135には内側に面して複数のガイドローラ120が配置されている。これらのガイドローラ120により、第2の開口135に収納されているひねり歯車101の外周部106を前後(左右)から挟むように回転可能に支持し、軸なしの平歯車であるひねり歯車101が支持板130の内部でスムーズに回転するようにしている。ひねり歯車101の回転支持形態は、ひねり歯車101の外周両面にガイド面用の傾斜面を設け、そのガイド面をカムフォロア等のガイドローラ120で両側から挟み込む形態としている。支持板130にひねり歯車101の前後方向の動きを制限するストッパとしての機構を設け、ガイドローラ120は水平にひねり歯車101を支持するものであってもよい。
支持板130は、さらに、第2の軸200に対して鉛直方向に開いて第2の開口135に繋がった第2の切欠き部132を含む。第2の切欠き部132は、第2の開口135にワークWを出し入れする(給排する)ための開放溝として機能する。したがって、第2の開口135の内部で回転するひねり歯車101を、第1の切欠き部102が鉛直方向になるように回転することにより、第1の切欠き部102と第2の切欠き部132とが直線状にならび、ワークWをひねり歯車101の第1の開口105に出し入れするための給排溝139が構成される。後述するように曲げユニット10は上型23、下型22およびプレッシャ30を3方向に開くことによりワークWを直線的に加工時の設定位置(設定中心)Cである第2の軸200の位置に出し入れ(給排)できる。このため、給排溝(給排路)139を通って、ワークWを鉛直方向に直線的な経路13により退避位置Eへ移動することができる。なお、この際、図3の経路13の上にある上型23のクランプ部は上型23および下型22を曲げ軸11の周りに回転させることにより経路13から退避させることができる。
ひねりユニット100は、さらに、支持板130の内部に取り付けた複数対、本例では8対程度のガイドローラ120で前後から挟んで回転可能に支持されたひねり歯車101を回転駆動するひねり駆動ユニット110を含む。ひねり駆動ユニット110は、支持板130に取り付け板119を介して固定されたひねりモータ115と、ひねりモータ115の駆動力をひねり歯車に伝達する複数の駆動歯車112とを含む。ひねり歯車101は支持板130の内部で、ひねりモータ115により360度の範囲でひねり回転する。
複数の駆動歯車112は、ひねり歯車101に接続された一対の駆動歯車112aおよび112bと、それらの駆動歯車112aおよび112bを同期して駆動する駆動歯車112cと、共通の駆動歯車112cを駆動する傘歯車112dおよび112eとを含む。傘歯車112dおよび112eによりひねりモータ115の駆動軸を90度変えて支持板130に沿って延びた方向とし、ひねりモータ115が支持板130から突き出る長さ(寸法)を短くしている。また、一対の駆動歯車112aおよび112bは、第1の切欠き部102が駆動歯車112aおよび112bの間に回転して到来したときに、第1の切欠き部102を挟んで両側でひねり歯車101に接し、ひねり歯車101の駆動力を安定して確保できるようにしている。また、これら一対の駆動歯車112aおよび112bは、軸方向の半分が支持板130の内部でひねり歯車101に接し、半分が支持板130の外側で同期用の歯車112cに接している。一部が欠けたひねり歯車101に複数の駆動歯車を接して同期駆動することにより、欠けた部分102がどの位置に動いても、回転角度を精度よく制御できる。
このように、ひねりユニット100は、チャック挿通穴となる第1の開口105と給排用開放溝となる第1の切欠き部102とを備えたひねり歯車101を、開放溝となる第2の切欠き部132を備えた支持板130の板厚内で回転駆動可能にガイドローラ120で直接支持し、専用のひねり軸を無くしたひねり軸レスひねりユニット構造となっている。ひねり軸レス構造で回転ガイド機構(ガイドローラ)120とひねり歯車101とを支持板130の板厚内に配置したことで、支持板端面から曲げ軸中心11までのL寸法(L1)を短縮することができ、両端同時曲げの最終曲げ可能な曲げ点間長さを短縮できる。
すなわち、パイプ中間部の最終曲げの曲げ点間長さは、最終曲げのチャック把持部が曲げ軸近傍まで入り込める構造であっても、例えば両側90度のコの字曲げの場合に、コの字曲げのパイプ内側の間隔は、曲げ後の排出のためL寸法以上が必要で、この長さ以下は曲げ不能域になる。このため、ひねり軸レスでひねりユニット100を薄くした分、最終曲げの曲げ不能域長さを短縮できる。
図6に、曲げユニット(加工ユニット)10を抜き出して概要を示している。図7に、曲げユニット10の曲げ軸11に沿った断面を用いて概略の構成を示している。曲げユニット10は、曲げ軸(第1の軸)11を中心に回転する曲げ型クランプ20と、曲げ型クランプ20と協働してワークWを曲げるローラータイプのプレッシャ(プレッシャローラー)30と、曲げ型クランプ20を曲げ軸11を中心に回転する第1の駆動ユニット(引き曲げ機構)40と、プレッシャローラー30を第1の駆動ユニット40とは独立して曲げ軸11を中心に回転する第2の駆動ユニット(押し曲げ機構)50と、曲げ型クランプ20を上下に開閉する型開閉機構60と、型開閉機構60と連動してプレッシャローラー30を曲げ型クランプ20に対して搖動させるリンクユニット(プレッシャ搖動機構)70とを含む。曲げユニット10は、ターンユニット(移動ユニット)80を介して架台2に対しスライド可能に取り付けられるスライド板49を有し、これらの機構40〜70はスライド板49を介して支持される。
曲げ型クランプ20は円弧状の部分、本例ではリング状の曲げ溝24を含む上下一対の割り型部(上下型)23および22を含み、曲げ溝24に沿ってパイプなどのワークWを曲げ加工するために用いられる。プレッシャローラー30は、曲げ型クランプ20の断面が半円状の曲げ溝24に棒状のワークWを、曲げ溝24の外周側から保持する断面が半円状の保持溝31を含む。保持溝31は、円弧状の部分を含み、本例ではプレッシャローラー30の全周にわたりリング状の溝が設けられている。
曲げ型クランプ20を回転駆動する引き曲げ機構(第1の駆動ユニット)40は、スライド板49に対し曲げ軸11の周りに回転するように支持された中空軸45と、中空軸45を駆動する第1のモータ(引き曲げモータ)41と、引き曲げモータ41と中空軸45とを連結する歯車42aおよび42bとを含む。引き曲げモータ41は、スライド板49に対し支持板48aを介して固定されている。中空軸45は、スライド板49に固定された支持板48bおよび48cに対し軸受け47aおよび47bを介して回転可能に取り付けられている。中空軸45が引き曲げモータ41により回転駆動されると、中空軸45とともに回転する上型開閉軸63および下型開閉軸62を介して曲げ型クランプ20が曲げ軸11を中心に回転駆動される。
プレッシャローラー30を回転駆動する押し曲げ機構(第2の駆動ユニット)50は、中空軸45の周りに回転可能に取り付けられたハウジング55と、ハウジング55を回転駆動する第2のモータ(押し曲げモータ)51と、押し曲げモータ51とハウジング55とを連結する歯車52aおよび52bとを含む。プレッシャローラー30は、プレッシャ搖動機構70を介してハウジング55に取り付けられており、押し曲げモータ51がハウジング55を回転駆動すると、ハウジング55とともにプレッシャローラー30が曲げ軸11の周りに回転する。ハウジング55は、中空軸45の外周に設けられた軸受け57aおよび57bにより中空軸45に取り付けられている。押し曲げモータ51は支持板48cによりスライド板49に固定されている。
型開閉機構60は、曲げ型クランプ20の上下一対の割り型部である上型(第1のユニット)23と下型(第2のユニット)22とを上下に開閉する機構である。型開閉機構60は、中空軸45の内部に曲げ軸11に沿って上下にスライド可能に挿入された下型開閉軸62と、下型開閉軸62の内部に曲げ軸11に沿って上下にスライド可能に挿入された上型開閉軸63と、下型開閉軸62および上型開閉軸63と左右異なるネジを備えた左右ネジ65と、左右ネジ65を回転駆動する第3のモータ(型開閉モータ)61とを含む。型開閉モータ61は支持部48dを介してスライド板49に固定されており、左右ネジ65は軸受け67を介して回転可能に支持板48aに取り付けられている。
曲げ型クランプ20の上型23は上型開閉軸63にねじ固定され、下型22は下型開閉軸62にネジ固定されている。上型開閉軸63および下型開閉軸62は、上型23、下型22および中空軸45と繋がる部分(貫通する部分)の少なくとも一部は四角断面等の回り止め形状を含み、相互に曲げ軸11の周りに連動して回転するようになっている。左右ネジ65は、上型開閉軸63に接続する部分にたとえば左ネジ部(左雄ネジ)65bを備え、下型開閉軸62に接続する部分に右ネジ部(右雄ネジ)65aを備えている。上型開閉軸63は左雌ねじ部63aを含み、下型開閉軸62はナット64に形成された右雌ねじ部62aを含む。左ネジと右ネジとは逆であってもよい。したがって、左右ネジ65を型開閉モータ61により正逆回転すると、上型開閉軸63および下型開閉軸62は上下異なる方向に動き、上型23および下型22を上下に平衡(均等)に開閉(平衡開閉)する。下型開閉軸62には型閉め高さ調整を可能するためナット64を任意の回転位相で固定できるように取り付けてある。
左右ネジ65は摩擦力でセルフロックできるリード角以内程度の台形ネジ等を用いることが望ましい。一般的なボールネジや油空圧シリンダ開閉と比べ曲げ軸周りの小径化と型開き力のセルフロックにより、型開閉モータ61を小型化できる。また、左右ネジ65を採用することにより曲げ軸11の周りの干渉域を低減でき、スペース効率を高め、コンパクトな曲げユニット10を提供できる。
プレッシャ搖動機構(リンクユニット)70は、曲げ軸11の周りを回動するハウジング55とプレッシャローラー30とをリンクする機構であり、プレッシャローラー30を回転可能に支持するホルダ71と、支点ピン72を介してホルダ71が搖動するようにハウジング55に対して支持するステー74と、ホルダ71を開いた状態に引っ張る力を与える開きバネ77と、下型開閉軸62と一体になり上下動する円筒カム75と、円筒カム75の外周に接し、開きバネ77の力に対抗してホルダ71を搖動するカムフォロア73とを含む。
曲げ型クランプ20の上下型23および22を開くとき(型開き時)は開きバネ77でプレッシャローラー30が開く。上下型23および22を閉じるとき(型閉じ時)は下型開閉軸62に設けた曲げ型クランプ20の方向が狭く下側に広がったスカート状の円筒カム75でカムフォロア73を円筒カム75の傾斜面75aに沿って揺動させる。カムフォロア73と一体になり、ステー74に対して支点ピン72で曲げ軸11に対して斜めに搖動するように支持されたホルダ71がカムフォロア73とともに搖動し、プレッシャローラー30をワークWに当接する位置まで閉じる。曲げ加工の際は、カムフォロア73が円筒カム75の傾斜面75aの外側の外筒部75bに接し、カムフォロア73が曲げ軸11から離れた位置で曲げ軸11の周りに回転する。このカムフォロア73がプレッシャローラー30の開き力を受けて、曲げ型クランプ20とともにワークWを型締めする。
このため、曲げユニット10においては、型締め力の保持エネルギーが不要となる。また、上下型23および22とプレッシャローラー30とを型開閉モータ61により開閉でき、型開閉機構60とプレッシャ搖動機構70とにより1モータ三方向開閉の機構を実現できる。このため、曲げユニット10においては、小型省エネの開閉手段により上下型23および22とプレッシャローラー30とを同期して開閉している。プレッシャ搖動機構(リンクユニット)70は、支点ピン72を介してホルダ71を搖動可能に支持するステー74を下型開閉軸62の周りに回転可能に連結する連結部を備えていてもよい。ワークWを上型23、下型22およびプレッシャローラー30で挟んで曲げ加工するときにリンクユニット70に作用する曲げ反力を曲げ加工部である曲げ型クランプ20の近くで受けることができ、いっそう精度よくワークWを把持できる。
図8に、上下型23および22、およびプレッシャローラー30の開閉の様子を示している。図8(a)は型開き状態を示す。曲げ型クランプ20の上型23と下型22とプレッシャローラー30とが、ワークWがセットされる位置(ワークWの中心軸の位置、設定中心)Cを中心として三方向に開いた状態を示している。図8(b)は、型閉め状態を示す。曲げ型クランプ20の上型23と下型22とプレッシャローラー30とが閉じた状態を示している。
この曲げユニット10においては、曲げ型クランプ20の上型23と下型22とを開閉する型開閉機構60とプレッシャローラー30を開閉するプレッシャ搖動機構70とがスカート状円筒カム75を介して連動して動き、プレッシャローラー30の開閉が上下型23および22の開閉に従動して同時に行われる。このため、プレッシャローラー30の開閉用アクチュエータが不要となり、開閉位置を検出するセンサも不要であり、プレッシャローラー30の動作を制御するための機構も不要となる。
この例では、プレッシャローラー30は丸ロールを回転可能に支持した形態であるが、矩形外形のプレッシャを左右曲げに必要な範囲で揺動可能に支持または揺動とパイプ軸方向にスライド可能に支持した形態であってもよい。
図8(a)に示したように、開閉機構上型(第1のユニット)23と下型(第2のユニット)22とは型開閉機構60により曲げ軸11に沿って上下均等(平衡)に開閉し、プレッシャ30はプレッシャ搖動機構70により型開閉機構60に連動して曲げ軸11に対してほぼ垂直な方向(直交する方向)12に開閉する。したがって、これら上型23、下型22およびプレッシャ30は、曲げ加工するための、すなわち、未加工のワークWのセンター(中心軸、設定中心)Cを中心に3つの異なる方向に、ワークWが移動する際に干渉しない程度の距離を開けて開閉できる。このため、ワークWを設定中心Cと退避位置Eとの間で直線的な経路13に沿って動かすことができる。加工装置1においては、設定中心Cは、加工時にチャックユニット160がワークWをセットする第2の軸200に対応する。
この加工装置1においては、ワークWの位置(鉛直方向の位置、高さ)はチャックユニット160により制御できる。また、曲げユニット10がターンユニット80により上下に動くのでこの際にもワークWと曲げユニット10との相対的な位置関係は変化する。ターンユニット80は、曲げユニット10をひねり歯車101の回転中心(第2の軸200)に遠ざけたり近づけたりして(図8においては、ひねり歯車101に対して上下に動かして)、第1の軸11に対して第2の軸200が右方向にセットされる第1の位置と、第1の軸11に対して第2の軸200が左方向にセットされる第2の位置とに切り替える。したがって、ワークWを鉛直方向(垂直方向)に出し入れする場合は、図8(c)に示すように、左曲げ加工するときは、ターンユニット80がワークWに対して曲げ軸11を図面上左側に鉛直方向にワークWが干渉しないで移動できる隙間が上型23およびプレッシャ30の間に生じるように傾ける(回転させる、搖動させる)。これにより、曲げユニット10に上方(鉛直方向)から直線的な経路13に沿ってワークWを動かすことにより第2の軸200(設定中心C)にワークWをセットできる。この際、曲げユニット10は、上型23のクランプ部23bが経路13と干渉しない角度まで傾けてもよく、曲げ型クランプ20を曲げ軸11の周りに回転することによりクランプ部23bを経路13と干渉しない位置に退避してもよい。曲げユニット10の傾きが大きくなるとモータ等の重量物の負荷(モーメント)が大きくなるので、曲げ型クランプ20を回転させてクランプ部23bの干渉を回避することが望ましい。ワークWが第2の軸200に達した状態で上型23、下型22およびプレッシャ30を閉じることによりワークWをクランプして曲げ加工を開始できる。
曲げ加工の角度を変える必要があるときは、図8(a)の型開き状態で曲げユニット10の曲げ軸11の角度をひねりユニット100により制御する。ワークWを開放するときは、再び、上型23、下型22およびプレッシャ30を3方向に開き、曲げユニット10を下方に経路13に沿って下げてもよいし、ワークWを開放した状態でチャックユニット160によりワークWを適当な距離だけ移動してもよい。
一方、ワークWを右曲げ加工するときは、図8(d)に示すように、ターンユニット80により、ワークWに対して曲げ軸11を図面上右側に傾けた状態で、曲げユニット10を上方(鉛直方向)に直線的な経路13に沿って動かすことによりワークWにアクセスできる。図8(c)と図8(d)における直線的な経路13は、左右曲げ共通の経路である。したがって、ワークWの右曲げおよび左曲げの切り替えをターンユニット80により曲げユニット10を上下に動かしながら、曲げ軸11の周りのプレッシャ30の配置と、曲げ軸11の傾きを変えるだけで簡単に行うことができる。
図9に、曲げ型クランプ20の概要を示している。図9(a)に、曲げユニット10を上方、すなわち曲げ型クランプ20の方向から見た状態を拡大して、曲げ型クランプ20の部分を中心に示している。図9(b)に曲げ型クランプ20のクランプ溝25によりワークWを把持した状態をワークWの延長方向(クランプ溝25の延長方向)から見た様子を示している。図9(c)は、曲げ型クランプ20の第2のクランプ溝26によりワークWを把持した状態を第2のクランプ溝26の延長方向から見た様子を示している。
図10は、曲げ型クランプ20の下型22を代表して抜き出して示しており、図10(a)は平面図、図10(b)はクランプ溝25の延長方向の側面図、図10(c)は第2のクランプ溝26の延長方向の側面図である。下型22と一対をなす上型23の構成も、下型22と共通であり、図示を省略する。
曲げ型クランプ20は、円弧状の部分を含む曲げ溝24を含む上下一対の割り型部23aおよび22aと、曲げ溝24に挿入された棒状のワークWを保持する上下一対のクランプ部23bおよび22bとを含む。上下一対のクランプ部23bおよび22bは、上下一対の割り型部23aおよび22aから曲げ溝の周方向に突き出ている。このため、上側のクランプ部23bと上側の割り型部23aとは一体となり上型(第1のユニット)23を構成し、下側のクランプ部22bと下側の割り型部22aとは一体となり下型(第2のユニット)22を構成する。
上下一対のクランプ部23bおよび22bのそれぞれは、X字状に交差し、曲げ溝24に対し曲げ溝24の接線方向に延びるようにそれぞれ繋がったクランプ溝25と第2のクランプ溝26とを含む。クランプ部23bおよび22bは、上下割り曲げ型外周の一箇所から外周側に台形状に突き出た突起部であり、そこに曲げ溝24の曲げ半径に接線で繋がる左右曲げ用の2条のパイプクランプ用の半円溝25および26が左右対称にX字状に交差して集約して設けられている。クランプ溝25および第2のクランプ溝26は、その一方を左曲げ、他方を右曲げ用のパイプ狭持溝として使用される。本例では、クランプ溝25が上から見てワークWを左に曲げるためのクランプ溝であり、第2のクランプ溝26が上から見てワークWを右に曲げるためのクランプ溝である。
この曲げ型クランプ20は、1つで左曲げおよび右曲げに対応しており、左右曲げ共通の曲げ型クランプである。このため、この曲げ型クランプ20を採用した曲げユニット10および加工装置1においては、パイプ、チューブ等の棒状部材(ワーク)Wをフレキシブルに、効率よく加工できる。
図11に曲げユニット10により実行できるいくつかの曲げ加工を示している。図11(a)は左引き曲げ加工(第1のモード)を示し、図11(b)は右引き曲げ加工(第2のモード)を示し、図11(c)は左押し曲げ加工(第3のモード)を示し、図11(d)は左押し曲げ加工(第4のモード)を示す。それぞれの図は、曲げ開始位置を示す。曲げ型クランプ20は360度回転可能である。プレッシャローラー30はスライド板49およびスライド板49と曲げユニット10とを接続する支持板48bなどに干渉しない範囲を回動可能である。
図11(a)の左引き曲げ加工(第1のモード)においては、ワークWを曲げ型クランプ20の右側にセットし、プレッシャローラー30に対して曲げ型クランプ20のクランプ部23bおよび22bを曲げ方向にセットする。引き曲げモータ41を駆動して引き曲げ機構40を使い、曲げ型クランプ20を上から見て左側(時計方向、第1の方向)に回転する。プレッシャローラー30は回転させず、プレッシャローラー30に対して曲げ型クランプ20を回転させる。
図11(b)の右引き曲げ加工(第2のモード)においては、ワークWを曲げ型クランプ20の左側にセットし、プレッシャローラー30に対して曲げ型クランプ20のクランプ部23bおよび22bを曲げ方向にセットする。引き曲げモータ41を駆動して曲げ型クランプ20を上から見て右側(反時計方向、第2の方向)に回転する。プレッシャローラー30は回転させず、プレッシャローラー30に対して曲げ型クランプ20を回転させる。
図11(c)の左押し曲げ加工(第3のモード)においては、ワークWを曲げ型クランプ20の右側にセットし、曲げ型クランプ20のクランプ部23bおよび22bに対してプレッシャローラー30を曲げ方向にセットする。押し曲げモータ51を駆動して押し曲げ機構50を使い、プレッシャローラー30を上から見て左側(時計方向)に回転する。曲げ型クランプ20は回転させず、曲げ型クランプ20に対してプレッシャローラー30を回転させる。
図11(d)の右押し曲げ加工(第4のモード)においては、ワークWを曲げ型クランプ20の左側にセットし、曲げ型クランプ20のクランプ部23bおよび22bに対してプレッシャローラー30を曲げ方向にセットする。押し曲げモータ51を駆動してプレッシャローラー30を上から見て右側(反時計方向)に回転する。曲げ型クランプ20は回転させず、曲げ型クランプ20に対してプレッシャローラー30を回転させる。
曲げユニット10においては、曲げ型クランプ20の回転を引き曲げモータ41、プレッシャローラー30の回動を押し曲げモータ51で独立して選択的に行うことで、左右曲げと引き押し曲げの4パターンの混合曲げが可能となっている。
さらに、曲げ型クランプ20においては、曲げ軸11の方向に開閉する上下割り型22および23の外周の一箇所に左右曲げ用のクランプ溝25および26を左右対称に集約して設けている。このため、クランプ機構(クランプ部)23bおよび22bの曲げ軸11の径方向と回転方向の干渉を最小化できる。さらに、プレッシャローラー30と曲げ型クランプ20とを独立して回転させることで、プレッシャ位置とクランプ位置とを、左右引き押し曲げの開始位置および終了位置を含め、曲げ軸11の周りのさまざまな角度に自由に回転移動させることができる。このため、曲げ型クランプ20は、大きな曲げ角度に対応可能な左右引き押し曲げ共用の曲げ型クランプであり、曲げ型クランプ20を採用してプレッシャローラー30と独立して回転可能にした曲げユニット10は、さまざまな曲げ加工が可能であり、大きな曲げ角にも対応できる。
図12および図13にターンユニット80の概略構成を示している。図12(a)は図12(d)に示すように、ターンユニット80により曲げユニット10を左曲げの状態にセットした状態を示している。図12(c)は図12(f)に示すように、ターンユニット80により曲げユニット10を右曲げの状態にセットした状態を示している。図12(b)は図12(e)に示すように、移動ユニット(クイックターンユニット)80により曲げユニット10をいったん下方に移動して左曲げから右曲げ、あるいはその逆に切り替える(クイックターンする)状態を示している。また、図13(a)はターンユニット80の横方向の断面図であり、図13(b)はターンユニット80の中心軸に沿った縦方向の断面図である。
ターンユニット80は、ひねり歯車101に連結され固定される連結板(ベース)81と、連結板81に対して搖動軸82を中心に(支点として)左右に搖動するように支持される板状のホルダ83と、ホルダ83の長手方向(軸線方向)83cにスライドするスライド板49とを有する。スライド板49に曲げユニット10が取り付けられる。
連結板81の上部はリング状のひねり歯車101に取り付けるために、ひねり歯車101の第1の開口105に対応した位置およびサイズの開口87と、開口87に繋がる第3の切欠き部88とを含む。連結板81の下端81aは搖動軸82の中心を中心として円弧の一部をなすように凸状に湾曲している。ホルダ83は連結板81の下端81aに沿ってホルダ83が左右に搖動するようにガイドするガイド駒83aを含む。ガイド駒83aの上面83bは、連結板81の下端81aに接触する凹状のガイド面となっている。
ターンユニット80は、ホルダ83の中央の軸線(軸線方向)83cに沿った位置に外周ガイドで回転可能に組み込まれたターン歯車84と、ホルダ83に保持され、ターン歯車84を連結歯車86aおよび86bを介して駆動するターンモータ85とを含む。ターン歯車84は、ホルダ83にスライド板49と連結板81との間に挟まれた状態で組み込まれており、軸線83cに沿った位置で、偏心した位置に前後(表裏)に突き出たターンローラ84aを含む。ターンローラ84aは、裏側が連結板81の軸線81cに沿って鉛直方向(垂直方向)に延びた第1のカム溝81xに挿入されており、ターン歯車84が回転すると、第1のカム溝81xに沿って上下に動く。ターンローラ84aは、表側がスライド板49のスライド方向(軸線方向)83cに対し直交する方向に延びた第2のカム溝49xに挿入されており、ターン歯車84が回転すると、ターンローラ84aが第2のカム溝49xに沿って動くことによりホルダ83が搖動軸82を中心に左右に揺れ動き、スライド板49が上下に動く。
ワークWは連結板81の軸線81cの上にチャックユニット160により支持される。曲げユニット10は曲げ軸11がホルダ83およびスライド板49の軸線83cに一致するように支持される。したがって、図12(b)に示した状態からターンモータ85によりターン歯車84が時計方向に回転駆動されると、ターンローラ84aが第2のカム溝49xに沿って動き、スライド板49は搖動軸82を中心に反時計方向に旋回する。さらに、ターンローラ84aは第1のカム溝81xに沿って動き、スライド板49は軸線83cに沿って上方に移動し、図12(a)に示した状態になる。
この結果、図12(d)に示すように、スライド板49に取り付けられた曲げユニット10は、曲げ軸11が傾いた状態で上方に移動し、ワークWは、左曲げの初期位置にある上型23、下型22およびプレッシャ30が開いた状態の設定中心Cに到達する。従って、曲げユニット10はこの状態で上型23、下型22およびプレッシャ30を閉じてワークWを所定の位置で把持し、左曲げ加工を開始する。
左曲げ加工が済んだ後に、右曲げ加工にシフトする場合は、図12(a)に示した状態からターンモータ85によりターン歯車84を反時計方向に回転駆動すると、ターンユニット80は図12(b)に示した状態になる。したがって、図12(e)に示すように、スライド板49に取り付けられた曲げユニット10は、下方に移動し、ワークWは、第2の軸200に対応する設定中心Cから、曲げユニット10から上方に離れた退避位置Eに移動(相対的に移動)する。
さらにターンモータ85によりターン歯車84を反時計方向に回転駆動すると、ターンローラ84aが第2のカム溝49xに沿って動き、スライド板49は搖動軸82を中心に時計方向に旋回する。ターンローラ84aは第1のカム溝81xに沿って動き、スライド板49は軸線83cに沿って上方に移動し、図12(c)に示した状態になる。
この結果、図12(f)に示すように、スライド板49に取り付けられた曲げユニット10は、曲げ軸11が図12(d)とは逆の方向に傾いた状態で上方に移動し、ワークWは、左曲げの初期位置にある上型23、下型22およびプレッシャ30が開いた状態の設定中心Cに到達する。従って、曲げユニット10はこの状態で上型23、下型22およびプレッシャ30を閉じてワークWを所定の位置で把持し、右曲げ加工を開始する。
したがって、曲げユニット10は、いったん下方に下がって左右逆方向に揺れ動き、U字またはC字を描くように移動し、上型23、下型22およびプレッシャ30の向きを変えて再び上昇することにより右曲げから左曲げ、またはその逆にワークWを曲げ加工できる。
搖動軸82の位置、ターン歯車84の回動半径と回動角度は、曲げユニット10を上方に動かしたときに左右曲げの棒状部材(ワーク)Wの動きと曲げユニット10の給排経路13とを一致させるように選択できる。また、搖動軸82の位置、ターン歯車84の回動半径と回動角度は、左右を切り替えるときに、曲げユニット10が、ワークWが逃げた位置Eに適当なクリアランスを持って迂回するために必要な軌道と昇降ストロークとが確保できるように選択できる。この際、ワークWの直線的な移動経路(給排経路)13に対して、クランプ一体型の曲げ型クランプ20のクランプ部分が干渉することがあれば、曲げ型クランプ20を第1の軸11の周りに回転することにより干渉を避けることができ、ワークWを直線的に給排できる。
なお、上記では、ターンモータ85により連結歯車86aおよび86bとターン歯車84とを介してターンローラ84aを回動し、スライド板49の上下昇降とホルダ83の左右揺動を同時に行い、曲げユニット10がU字状に動く例を説明している。スライド板49に設けられた第2のカム溝49xを、水平方向の直線溝に変えて、中心線対称の円弧溝またはV字溝にすることも可能である。また、曲げユニット10の上下動と左右の傾きの切り替えとを順番に行ってもよい。曲げユニット10が昇降するストロークや、ターン軌跡を適当に変えることも可能である。曲げユニット10がワークWから退避している間は、上下型23、22およびプレッシャ30を開き状態で適当な角度だけ曲げ軸11の周りに旋回し、曲げ型クランプ20のクランプ(突起)23bおよび22bがワークWに干渉しない位置にセット(回転退避)することが望ましい。
ターンユニット80は、スライド板49を加工ユニット(曲げユニット)10の重量とともに上方に押し上げるエアーシリンダなどのバランス機構を備えていてもよい。また、ターンユニット80は、ホルダ83が左右に搖動した状態で連結板81に対しロックするロック機構を備えていてもよい。
曲げユニット10の向きを切り替えるターンユニット(クイックターンユニット、移動ユニット)80としては、XY直交スライドなどの他の機構を備えていてもよい。このターンユニット80は、アクチュエータおよび構成部品が少なく小型軽量化できる特徴と、パイプ軸固定で、曲げ点間のパイプ送り・ひねりとラップして、ターン歯車84の1回転未満の回転で左右曲げ位置に瞬時に切替えできる。このため、左右曲げ切替え時間を大幅に短縮できる。
また、曲げ方向を切り替える際に、曲げユニット10を昇降する代わりに、ワークWをチャックユニット160により昇降し、クイックターンユニット80で曲げユニット10の昇降機能を省略することも可能である。そのようなターンユニット80は、スライド板49とホルダ83を一体にして、スライド板49の昇降用水平溝とその溝に挿通された表側のターンローラ84aを省いた形態とすることもできる。
昇降機能を省いたターンユニット80は、左右曲げ位置に曲げ軸11を傾ける機能のみになる。したがって、左右曲げ切り替え時は、ワークWと移動する曲げ軸11との干渉を避ける必要がある。このため、一旦ひねり角度を、ひねり歯車101の開放溝(第1の切欠き部)102の中心を垂直位置(鉛直方向)に戻し、次にワークWを曲げ軸11に干渉しない位置まで上昇して逃してから左右曲げ位置の切り替え(曲げ軸11の逆曲げ方向への傾け)を行う。曲げユニット10の昇降をクイックターンユニット80の側で行う場合は、このひねり戻し動作とワークWの上昇逃し動作の必要がない分、左右曲げ位置の切り替えを短時間で行うことができる。
図14にチャックユニット160を抜き出して示している。図14(a)はチャックユニット160の正面図であり、第2の軸200に直交する方向から見た様子を示す。図14(b)はチャックユニット160の側面図であり、第2の軸200の方向から見た様子を示す。チャックユニット(パイプチャック)160は、第2の軸200に沿って延びた一対のチャック板161と、一対のチャック板161を開いた状態に保持する開きバネ162と、開きバネ162に対抗して一対のチャック板161を開閉する開閉シリンダー163と、チャック板161を第2の軸200に対して昇降する昇降シリンダー165と、チャック板161を第2の軸200に対して下方に退避させる退避シリンダー164とを含む。一対のチャック板161はピンチのようにチャック軸166の周りに回動するように支持されており、チャック板161の作動側161aに開閉シリンダー163がローラ163aを出し入れすることによりチャック板161は開閉される。
一対のチャック板161は、シリンダー163〜165に対し、第2の軸200の方向(左右)に張り出し、中央が凹んだ形状であり、左右両側の2箇所がパイプなどの円筒状の部材Wを把持するように円筒状の溝が形成される把持部167となっている。チャック板161の中央部分(把持部167の中間部、逃し部)168はワーク(パイプ)Wの下面より下まで凹状に切り欠き開放した形状であり、ワークWの曲げ加工された近傍を片側一箇所の把持部167で把持できるようになっている。したがって、ワークWを持ち替える際に、逃し部168で加工済みの部分を逃がして、ワークWを一方の把持部167で持ち直すことができる。
シリンダー163〜165に対して左右に突き出た把持部167は、全体がひねり歯車101の中央の開口105より小さい。また、ひねりユニット100のひねり駆動機構110は、支持板130の前後一方の端に配置されており、シリンダー163〜165に対し、ひねり駆動機構110は第2の軸200から前後に離れた状態で配置され、チャックユニット160とひねりユニット100とが最接近したときに干渉しない。したがって、ひねりユニット100が送りユニット140によりチャックユニット160に最接近するように移動されると、ひねりユニット100は支持板130がシリンダー163〜165に近接する位置まで送られる。
その際、把持部167はひねり歯車101の中央の第1の開口105に挿入され、支持板130およびひねり歯車101をほとんど貫通する。このため、ワークWのチャックユニット160によりチャックされている位置を、支持板130の反対側に支持されている曲げユニット10のきわめて近傍まで近づけることができ、ワークWをチャックユニット160にチャックされている近傍まで曲げ加工できる。
さらに、ワークWをチャックユニット160に最接近させた一方のひねりユニット100の曲げユニット10を用いて持ち替える(持ち直す)ことができる。すなわち、ワークWを曲げユニット10の上下ユニット(上下型)22および23とプレッシャ30とで一時的に把持し、チャック板161を開いてワークWを開放して、退避シリンダー164によりチャック板161を第2の軸200に対して下方に退避し、ひねりユニット100をチャックユニット160から適当な距離だけ離した後に、チャック板161を上昇させてワークWを持ち直すことができる。この際、チャック板161は逃し部168を備えているので、他方のひねりユニット100で曲げ加工された部分を逃し部168で逃がして、一方の把持部167でワークWを把持できる。したがって、一方の把持部167で把持するために必要な最小限の直管部(直線部)を残してワークWを曲げ加工できる。
図15および図16に、加工装置1によりワークWを加工する方法(加工方法、加工装置の制御方法)の概要をフローチャートにより示している。ステップ211においてワークWの給排が必要なタイミングであれば、制御ユニット90の給排制御ユニット97は、ステップ212において、ひねり歯車101を回転して第1の切欠き部102と、支持板130の第2の切欠き部132とを鉛直方向に位置合わせし、給排路139をセットする。ステップ212と前後して、または並列に、ステップ213において、給排制御ユニット97はターンユニット80および曲げユニット10を制御して、上型(第1のユニット)23、下型(第2のユニット)22およびプレッシャ30を3方向に開放し、供給路(給排路)139と給排方向(給排経路)13が直線になり、鉛直方向にワークWが出し入れできるように曲げユニット10の曲げ軸11の角度を設定する。この際、必要であれば、曲げ型クランプ20を回転してクランプ部23bおよび22bを給排に干渉しない位置に退避させる。
その後、ステップ214において、給排制御ユニット97はチャックユニット160を昇降し、加工位置である第2の軸200からワークWを排出(アンロード)したり、第2の軸200にワークWを供給(設定、ロード)したりすることができる。ワークWの給排は、主に、ワークWに一連の曲げ加工を開始するためにワークWを加工装置1にセットするとき、また、一連の曲げ加工が終了した後に、ワークWを加工装置1から排出するときに行われる。ターンユニット80が昇降機能を持たない加工装置1においては、右曲げと左曲げとを切り替えるために給排機能を使うことが可能である。
ステップ221において、ワークWの持ち替えが必要なタイミングか判断をおこなう。ワークWの持ち替えは、チャックユニット160の最初のチャック位置で加工可能な左右両側の曲げ加工が終了し、ステップ211において、チャックユニット160の上昇によりワークWを退避位置Eに移動した後にチャック幅内に未加工部分が残る場合に、チャック幅内の未加工部分をチャック幅外の加工可能位置に掴み替える動作である。
持ち替えが必要なタイミングであれば、制御ユニット90の掴み替え制御ユニット98が曲げ送りユニット150を制御して、ステップ222において、左右一対の曲げ送りユニット150の任意の片側を曲げ完了側とし、その曲げ完了側のユニットを片側加工済みのワークWを下降したときに干渉しない退避位置(チャックユニットから離れた位置、通常は端末側の第1曲げ開始位置)まで後退する。ステップ223において、チャックユニット160を設定中心Cに下降し、掴み替え制御ユニット98は、曲げ完了側の逆側の曲げユニット10の上型23、下型22およびプレッシャ30を閉じて一時的にワークWを把持する。
ステップ224において、掴み替え制御ユニット98は、チャックユニット160にワークWをいったん開放させ、チャック板161を下方に退避させて送りユニット140で一方のひねりユニット100の位置を調整する。チャック板161の一方の把持部167で把持する場所が少なくとも直管になるようにひねりユニット100の位置を制御し、その後、ステップ225において、チャック板161を再上昇させてワークWを再把持する。この持ち替えを行うことにより、一方の把持部167で把持される部分を除き、ワークWのほぼ全域を曲げ加工の対象にすることができる。
給排、掴み替えが終了し、または、そのような必要がなければ、ステップ200において、制御ユニット90の位置制御ユニット93と加工制御ユニット95とは、加工データ91にしたがって、双方のひねりユニット100を移動し、ワークWの所定の箇所に所定の曲げ加工を施す。ステップ230で曲げ加工が終了したかを確認し、給排処理も含めて次の処理が残っていたらステップ211に戻って上述した各処理を繰り返し行う。
図16に曲げ加工のさらに詳しい処理を示している。ステップ201で、位置制御ユニット92が型開閉機構60を制御して上型23、下型22およびプレッシャ30を設定中心Cを中心として3つの異なる方向に開いて、ワークWを開放する。さらに、両側の送りユニット140により一対のひねりユニット100を次の曲げ加工の位置にセットする。
ひねりユニット100が曲げ加工するポイントに到達すると、加工制御ユニット95が、ステップ202で加工モードを判断し、第1のモードM1の左引き曲げ加工であればステップ203で第1のモード(左引き曲げ加工)に加工ユニット10をセットする。ステップ209で、加工制御ユニット95が、上型23、下型22およびプレッシャ30を閉じてワークWをクランプし、曲げ型クランプ20を回転させてセットされたモードで曲げ加工を行う。この際、曲げ方向を制御する必要があれば各ひねりユニット100のひねり歯車101をそれぞれ所定の角度だけ回転する。各ひねりユニット100ではひねり歯車101の回転角度を独立して制御できるので、各曲げユニット10の曲げ軸11の角度を独立して制御でき、両端から曲げ加工を独立して行うことができる。
すなわち、データ91において3次元方向の曲げ(ロータリー曲げ)が指定されていれば、曲げ型クランプ20を回転させるのと同時にひねり歯車101を回転し、曲げユニット10の角度を変えて曲げ軸11の角度を変えながら順次曲げ加工を行う。また、先に行った曲げ加工と異なるモードであれば、ステップ203において、加工制御ユニット95がターンユニット80を用いて上述したように曲げユニット10を上げ下げし、ワークWに対する曲げユニット10の向きを変える処理を行う。
曲げ型クランプ20のクランプ位置とプレッシャローラー30の左右曲げ位置切り替えは、曲げユニット10の下降後にプレッシャローラー30を次の曲げ開始位置に回動移動し、上昇端で曲げ型クランプ20のクランプ部(突起部)22bおよび23bを曲げ開始位置に回転移動する。これらの左右曲げ、押し曲げ、引き曲げの切り替え処理は、ステップ201のワーク送りと並列に行うことも可能である。
同様に、ステップ204で第2のモードM2の右引き曲げ加工であればステップ205で第2のモード(右引き曲げ加工)に曲げユニット10をセットし、ステップ209で、ワークWをクランプし、セットされたモードで曲げ加工またはロータリー曲げ加工を行う。ステップ206で第3のモードM3の左押し曲げ加工であればステップ207で第3のモード(左押し曲げ加工)に曲げユニット10をセットし、ステップ209で、ワークWをクランプしてセットされたモードで曲げ加工またはロータリー曲げ加工を行う。これらのモードでなければ、ステップ208で第4のモード(右押し曲げ加工)M4に曲げユニット10をセットし、ステップ209で、ワークWをクランプしてセットされたモードで曲げ加工を行う。
曲げ加工では、曲げ型クランプ20の上下型23および22とプレッシャローラー30とを閉じた状態で、上下型23および22の一方のクランプ溝部25または26でワークWを把持する。上下型23および22を回転する引き曲げの場合は引き曲げモータ41により歯車42aおよび42bを介して曲げ中空軸45とともに上下型23および22を回転させる。ハウジング55に支持されたプレッシャローラー30を回動する押し曲げの場合は、押し曲げモータ51により歯車52aおよび52bを介してプレッシャローラー30を曲げ型クランプ20の周りを回動させて、ワークWを上下型23および22に形成した曲げ溝24に沿わせて曲げ加工する。
この加工方法(制御方法)を制御する制御ユニット90はCPUおよびメモリを備えたコンピュータ資源で実現でき、加工方法(制御方法)はプログラム(プログラム製品)として適当な記録媒体に記録して提供できる。
この方法により、パイプなどの棒状のワークWの中央(中間部付近)をチャックユニット160でチャックし、ワークWの両端末から中央に向かってひねりユニット100を送りながら、さまざまな形状にワークWを加工できる。特に、加工装置1は、ロータリー曲げユニット(ひねりユニット)100を2組、同軸上に対向配置し、パイプ中間部付近をパイプチャック160で把持し、両端末側から中間部に向けてロータリー曲げユニット100を順次移動させて両端同時曲げを行う。さらに、この加工装置1では、曲げユニット10の曲げ型クランプ20を用いて持ち替える処理を用意しており、補助チャックの追加やパイプチャックのパイプ軸線上からの退避無しで中間部の曲げ不能域長さを短縮できる。
さらに、この加工装置1は両端同時曲げ装置であり、架台2の中央部付近に設けられたパイプチャック160を中心に、曲げ送りユニット150の2組を同軸上に対向配置し、それぞれの支持板130を挟んでパイプチャック160の反対側に曲げユニット10を設ける構成としている。また、パイプチャック160の把持部167は、ひねり歯車101の開口(チャック挿通穴)105に挿通可能となっている。このため、チャック160を曲げユニット10の直近まで接近させることができ、この点でもワークWの曲げ不能領域の長さを短縮できる。
曲げ動作は、最初にパイプWの左右の曲げ数がほぼ同数になる最終曲げ可能な曲げ点間隔の曲げ点近傍をチャック板161の両側の把持部167で把持し、曲げ送りユニット150をパイプ端末側から中間部方向に移動しながらチャック板161に干渉しない範囲の曲げを両端同時に行う。最初の把持位置で曲げた任意の片側を曲げ完了側として、曲げ完了側の最終曲げ点近傍をチャック板161の逆側の把持部167に掴み替える。掴み替えにより、最初のチャック位置でチャック幅内に残った曲げ点をチャック幅外の曲げ可能位置に移動して、残りの曲げを行う。
ステップ222〜225の掴み替え処理を給排処理を含めて行うことも可能である。すなわち、まず、曲げユニット10の上型23と下型22およびプレッシャ30を三方向に開放し、次に曲げ加工されたパイプWが上昇できるように曲げ送りユニット150のチャック方向への寸送りとクランプ部23bおよび22bの回転回避とひねり歯車101の開放溝102の中心が垂直位置になるようにひねり戻しを行う。次にパイプWを昇降シリンダー165と退避シリンダー164でひねりユニット100の支持板130の上面より上に上昇させ、次に曲げ完了側の曲げ送りユニット150をパイプWに干渉しない位置まで後退させてから再度曲げ加工高さに下降し、次に残りの曲げを行う側の曲げ送りユニット150の曲げ型クランプ20を曲げ開始位置に戻してパイプWを把持する。チャック板161を開閉シリンダー163で開き、退避シリンダー164で下方向に退避させてから、パイプWを把持した曲げ送りユニット150を掴み替えストローク分後退させ、チャック板161を曲げ高さに戻して再度パイプWをチャックすることで、曲げ完了側の最終曲げ点近傍をチャック板161の逆側の把持部167に掴み替えることができる。
以上の掴み替えは、パイプ曲げに必要な曲げユニット10のクランプ機能、送りユニット140の送り機能、パイプチャック160のチャック機能と昇降機能を使って行うため、掴み替えのための移動機構を新たに追加することなく行うことができる。
なお、両端同時曲げ後の曲げ完了側の曲げ経路が水平より下方向に向いていて、曲げ送りユニット150の後退退避又はチャック板161に干渉する場合は、最初のチャック位置を干渉の無い曲げ点に設定するか、ロータリー曲げユニット100のひねり機能等を使って最初の曲げ前にパイプひねり方向を変えるひねり動作を入れることで、掴み替えの干渉を回避できる。
これらの処理は、掴み替えポイントを指示するフラグと掴み替えストロークデータを含む加工データ91により、自動的に行うことができる。
このように、加工装置1は、ひねり軸レス構造で両端同時曲げの中間部最終曲げの曲げ不能域長さを短縮した直線経路給排可能なロータリー曲げユニット(ひねりユニット)100と、曲げ部近傍を把持し昇降可能なオーバーハングチャックタイプのチャックユニット160とを含み、パイプ曲げに必要な曲げ送りユニット150のクランプ機能、送り機能を用いて掴み替え行う。このため、パイプチャック160の曲げ送りユニット150進行方向からの退避機構、ロータリー曲げユニット100の昇降退避機構、補助チャック等を追加すること無く中間部曲げ不能域を短縮できる。したがって、加工装置1は両端同時曲げの装置でありながら構造を簡素化できる。
また、この加工装置1においては、左右曲げ方向および引き押し曲げ方式にロータリー曲げ(3次元曲げ)を混合した(組み合わせた)連続曲げ加工が行える。このため、曲げ加工用の制御プログラム(加工データ)は、曲げ箇所毎に干渉が無い曲げ方向と曲げ方式を選択指定して生成できる。たとえば、一般的な一方向一方式の曲げ制御のプログラム(データ)に対し、曲げ箇所毎の送り・ひねり・曲げの加工データテーブルに曲げ方向と曲げ方式の識別フラグを追加してもよい。選択指定された識別フラグに対応した制御プログラムにより、加工装置1では、曲げ型クランプ20とプレッシャローラー30とを曲げ開始位置へ回転移動し、必要であれば左右曲げ位置の切り替えを移動ユニット80により行う。それ以降の曲げ動作は一般的な一方向一方式の曲げ動作制御と同様でよい。曲げ方向および曲げ方式の切替え動作は、曲げ点間の送り・ひねり動作とラップして自動で連続的に行うように制御できる。
また、曲げの円弧長分のパイプ送りのために、制御ユニット90は、曲げ半径と曲げ角度に応じた円弧長の自動計算機能を備えていてもよい。引き曲げ時は曲げ回転と同期して送り、押し曲げ時は曲げ点間の直管長分の送りに加えて曲げ加工の前に送るようにワークWの送りを制御できる。
図17〜図22に、ひねりユニット100の異なる例を示している。このひねりユニット100は、左引き曲げ専用の曲げユニット10を搭載している。左右曲げの切り替えが不要なため、曲げユニット10は、ターンユニットは省略されており連結板81により、直に、第1の軸(曲げ軸)11が傾いた状態でひねり歯車101に取り付けられている。したがって、ひねりユニット100の構成はさらに簡素化されており、支持板130と曲げ軸11との距離L1はさらに短くなり、ワークWの中間部の曲げ不能域をさらに短縮できる。
図17は、ひねりユニット100の正面図であり、図18は、ひねりユニット100の側面図であり、図19はひねりユニット100の平面図である。
図20は、ひねりユニット100に搭載された引き曲げ専用の曲げユニット10を抜き出して示している平面図である。図21は、引き曲げ専用の曲げユニット10の断面図であり、この曲げユニット10は型開閉モータ61と、引き曲げモータ41とを有する。上型(第1のユニット)23、下型(第2のユニット)22およびプレッシャ30の型開閉機構60の構成は共通している。したがって、図22(a)および(b)に示すように、型開閉機構60とプレッシャ搖動機構70とにより、上型23、下型22およびプレッシャ30は第2の軸200を中心に3方向に開閉する。このため、上型23、下型22およびプレッシャ30を開放し、上型22および下型23を含む曲げ型クランプ20をクランプ部23bが干渉しない位置に回転させることにより、ワークWを直線(給排経路)13に沿って給排することができる。
図23にひねりユニット100に搭載可能な曲げユニット(加工ユニット)10のさらに異なる例を示している。この曲げユニット10は、片方向の引き曲げ加工と、逆方向の押し曲げ加工とを行う。図23(a)および図23(b)に示す曲げユニット10は、曲げ溝24に連続したクランプ溝を1つ備えた片方向の曲げ型クランプ20aと、プレッシャローラータイプのプレッシャ30とを含む。図23(a)に示すようにプレッシャローラー30でワークWを押えて曲げ型クランプ20aを時計方向に回転すると左引き曲げ加工を行うことができる。図23(b)に示すように曲げ型クランプ20aでワークWを押えてプレッシャローラー30を反時計方向に回転すると右押し曲げ加工を行うことができる。
図23(a)および(b)に示した曲げ型クランプ20aは左引き曲げと右押し曲げの曲げ型であるが、クランプ位置が逆方向の曲げ型に交換すれば上記とは逆に左引き曲げ加工と右押し曲げ加工を行う加工ユニット10を提供できる。
なお、一般的な引き曲げのみの機能でよい場合は、プレッシャ30を固定してもよく、プレッシャ30を回転駆動する第2の駆動ユニット(押し曲げ機構)50を省き、プレッシャ30を支持するハウジング55をスライド板49に固定した構成を採用してもよい。また、プレッシャ30を左右曲げの位置へ手動あるいは治具により回動移動し、その位置で固定する構成で左右曲げ共用の曲げユニット10を構成してもよい。
また、上記で示した加工装置1の送りユニット140はボールネジの事例であるが、ラックピニオン機構として、送りモータ145をロータリー曲げユニット100側に設置してもよい。また、チャックユニット160の昇降シリンダー165と退避シリンダー164はその両方のストロークに対応可能な電動スライダーとしてもよい。
以上に説明したように、加工装置1は、中間部曲げ不能域を簡素な装置構造で短縮し、長尺パイプなどの棒状部材のワークWの両端同時曲げ加工を短距離直線経路給排およびパイプ軸固定の一方向送りで高精度に高速で効率的に行うことができる。また、左右引き押し曲げユニットとクイックターンユニットを備えることで、左右引き押し曲げの混合曲げをパイプ軸固定で効率的に行うことができる。
さらに、この加工装置1は、高速でパイプをひねると慣性力で曲げ加工された形状がクズレ変形する小径長尺パイプ曲げを精度よく行う方式として、パイプひねりをなくして曲げユニット10の側を、パイプ軸を中心に回動する所謂ロータリー曲げ方式でパイプを加工できる。パイプチャック160でパイプの中間部付近を把持し、パイプチャック160の両側にパイプ軸と同軸上に対向配置された2組のロータリー曲げ手段100と送り手段140によりパイプ端末側から中間部に向かって曲げ手段を移動させながら順次曲げ加工を行うことができる。この加工装置1では、両端同時ロータリー曲げを行い、パイプひねりによるクズレ変形を生じることなく、両端曲げにより曲げの振り長さも半減し曲げの振り回しによるクズレ変形も少なくできる。このため、ひねり速度と曲げ速度を高めた両端同時曲げで小径長尺パイプの曲げ加工を短時間に高精度で行うことが出来る。
また、従来の前述曲げ方式は曲げ部へのパイプ供給と排出の際に、上下一体曲げ型の曲げ成形用の半円溝の開放方向とひねり機構の給排用開放溝中心が直角方向のため、パイプ給排経路が給排用開放溝内を垂直に昇降させる動きと、曲げ型の半円溝に入れ込む水平方向の2方向の動きが必要で給排時間が長くなる欠点と、給排機構が複雑になる問題がある。
また、ロータリー曲げユニットのひねり構造が、曲げユニットの回動を支持するひねり軸(ひねり板)と回転駆動用のひねり歯車が別体で、ひねり歯車が支持板の外側に配置されているため、その分支持板端面から曲げ軸中心までの距離が長くなり、両端同時曲げで最後に曲げる中間部の曲げ不能域が長くなる欠点がある。この中間部曲げ不能域は、パイプチャックの曲げユニット送り方向からの退避機構が無い場合は、支持板端面から曲げ軸中心間距離の2倍とパイプチャック機構部の幅の和以上となり、曲げ間隔の短い曲げに対応できない問題がある。中間部の曲げ不能域を短縮するために、パイプチャックをパイプの軸線上から退避する機構とパイプチャック退避時にパイプを把持する別の補助チャックおよび片側の曲げ機構部の下降退避機構等を設けることも可能であるが、装置構造が複雑になる問題がある。尚、このような退避機構を設けた場合でも、最終曲げ部の曲げ点間隔は支持板端面から曲げ軸中心間距離程度が必要である。
上記の加工装置1は、これらの問題点を解決でき、簡素な構造でパイプ中間部の曲げ不能域長さを短縮し、パイプ軸直交方向の直線経路給排及び一方向送りで加工時間が短い曲げ加工装置を提供できる。
なお、パイプ等のワークWの軸方向と回転方向の位置決めは、自動搬送給排の場合は、供給前の位置決めユニットで行い、その位置を保つ状態で本発明の曲げ装置に供給すればよく、また手動給排で使用する場合は、基準側端末側に軸方向に移動可能なパイプ位置決めユニットを備えればよい。
また、上記では、チャックユニット160を挟んで対面するように配置された一対のひねりユニット100を有する加工装置1の例を示しているが、ひねりユニット100がチャックユニット160の片側に配置された片端曲げ装置であってもよい。
上記で開示した加工装置1は、ロータリー曲げユニットを直線経路給排及びパイプ軸固定の一方向送りが可能で、アクチュエータ数を減らした簡素な構造で小型軽量化し、ロータリー曲げユニット側でひねりと送り行い、パイプを固定した状態で両端同時曲げを行うことで、振り長の増加による曲げ及びパイプひねりの慣性力によるくずれ変形を抑えた高精度な高速曲げ加工が可能で、加えてひねり軸レスで曲げ不能域の短い曲げ機構とそのひねり歯車の挿通穴にパイプチャックの把持部が挿通可能な構成として、両端同時曲げの弱点である中間部の曲げ不能域を短縮できる特徴があり、その特徴を生かした組み合わせ利用形態はこのような実施形態に何等限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。