JP2016175099A - クランプ装置、及び該装置を備えたスピニング加工装置 - Google Patents

クランプ装置、及び該装置を備えたスピニング加工装置 Download PDF

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Abstract

【課題】適切な調心精度を維持しつつ把持対象を確実に把持し得るクランプ装置、及びそのクランプ装置を備えたスピニング加工装置を提供する。【解決手段】板状の固定枠部材1及び回動枠部材2が隣接して配置され、固定枠部材には、把持対象の軸を中心とする円に沿って複数の軸部材3が支持される。回動枠部材には、複数の軸部材が夫々嵌合するように上記円に沿って複数の円弧穴2aが形成されると共に、上記円に対して傾斜した長軸を有する複数の長穴2bが形成されており、各軸部材が各円弧穴内を移動可能な範囲内で、固定枠部材に対し回動可能に支持される。複数の案内部材4が、回動枠部材の複数の長穴に夫々移動可能に嵌合されると共に、径方向に移動可能に固定枠部材に支持され、複数の把持部材5の外側端部が夫々複数の案内部材に固定され、内側端部が把持対象に当接可能に配設される。【選択図】図1

Description

本発明は、把持対象を確実に把持し得るクランプ装置、及び該装置を備えたスピニング加工装置に係る。
従来、ワークの端部を、胴部に対して少なくとも偏芯、傾斜及び捩れの何れかの関係に形成するスピニング加工装置に関し、「サイジング加工が行われたワークに対しても、その胴部を確実に把持しつつ、その胴部に対して少なくとも偏芯、傾斜及び捩れの何れかの関係にあるネッキング部を、ワークの端部にスピニング加工によって適切に形成し得るスピニング加工装置を提供する」ことを目的とし、「加工対象の金属製管状ワークを把持するクランプ手段と、該クランプ手段によって把持した前記ワークの端部に対しスピニング加工を行う加工手段と、該加工手段に対し前記クランプ手段を相対的に変位させて前記ワークの端部に対し前記加工手段によってスピニング加工を行う駆動制御手段を備え、前記ワークの胴部に対して少なくとも偏芯、傾斜及び捩れの何れかの関係にあるネッキング部を、前記ワークの端部に形成するスピニング加工装置において、前記クランプ手段が、前記ワークの軸芯に対し近接及び離隔し近接時に前記ワークの胴部を把持する三つ以上のセグメントを備え、各セグメントの前記ワークの軸芯側の面を、前記ワークの胴部の外周面に適合する曲面に形成した」装置が提案されている(特許文献1の段落〔0015〕及び〔0016〕に記載)。
そして、「相互に近接及び離隔し近接時に前記ワークの胴部を把持する少なくとも二つの支持体と、該二つの支持体の一方に固定し、当該支持体と共に放射方向に移動して前記ワークの軸芯に対し近接及び離隔する少なくとも一つの固定セグメントと、前記二つの支持体の各々に対し移動可能に支持し、前記二つの支持体と共に放射方向に移動して前記ワークの軸芯に対し近接及び離隔し、少なくとも前記ワークの軸芯方向への前記固定セグメントの移動に連動して、前記ワークの軸芯方向へ移動する複数の可動セグメントとを備えた」クランプ手段が開示されている(同段落〔0018〕に記載)。また、「スピニング装置の主軸と同軸の中心に向かって径方向に移動可能な一対のチャックを備え、このチャックによってワークを保持した状態で、その軸芯回りに回転させて割り出し(インデックス)を行ない得るように構成され」たチャック装置が開示されている(同段落〔0035〕に記載。但し、引用符合は省略。)
更に、上記と同様のスピニング加工装置に関し、下記の特許文献2には、その図4にローラの駆動手段が開示され、「カム板には3条の螺旋状の案内溝が形成されており、これらの案内溝の各々に、カム板の回転に伴い径方向に移動する案内ピンが配置されている。これらの案内ピンは3個の支持部材に夫々保持されており、各支持部材には、ローラが回動自在に支持されている。而して、主軸が回転駆動されると、ローラが中心軸Xrを中心に回動すると共に、カム板の回転に応じて支持部材が径方向に駆動され、ローラが管素材の中心軸Xrに対して近接、離隔するように駆動される。」旨記載されている(特許文献2の段落〔0026〕に記載。但し、引用符合は省略。)。
更に、一般的な工作機械においてワークを把持する手段として、チャック装置が知られており、例えば下記の特許文献3には「ホブ盤や旋盤などの工作機械では、ワークを把持するチャックとして、スクロールチャックを使用したものがある。このスクロールチャックは、先端部に所定の軸線回りに等間隔で配置されると共に、半径方向に移動可能に取着された複数個(一般的に、3個又は4個)の爪部材と、爪部材の後端側に上記軸線回りに回転可能に配置されるスクロール部材とを備える。そして、スクロール部材には爪部材に対面する先端部に上記軸線を中心としたうず巻状のスクロール溝を形成する一方、爪部材にはスクロール部材に対面する後端面に上記スクロール溝に噛合うラック歯を形成し、スクロール部材を回転させることによって爪部材が半径方向に移動するように構成している」旨記載されている(特許文献3の段落〔0002〕に記載)。
特許第4261899号公報 特許第3390725号公報 特開2000−308910号公報
上記特許文献1及び3に記載のように、ワークを把持する手段としては、クランプ手段、チャック装置、スクロールチャック等があり、また、特許文献2に記載の「ローラ」に代えて、特許文献3に記載の「爪部材」を用いれば、特許文献3に記載のスクロールチャックと同様の構成が想起され得る。
然し乍ら、特許文献1に記載のクランプ手段においては、各セグメントに形成された傾斜状の摺動面を互いに摺動させて、各セグメントを求心方向へ移動させるように構成されているので、摺動抵抗(摩擦抵抗)のばらつきやセグメントに歪が生じる場合にはタイムラグが発生し、全てのセグメントをワークの軸芯に対し同時かつ同距離近接させることが困難となり、ワークの外周面を均等に把持することができず、調心精度が悪化するおそれがある。また、特許文献1に記載のチャック装置や、特許文献3に記載のスクロールチャックは、上記のクランプ手段の代替手段としてそのまま用いることはできず、上記のクランプ手段として適用するためには、把持対象を均等に把持し適切な調心精度を維持する必要がある。また、何れも大型であり、近時の小型化の要請に応えることができない。
そこで、本発明は、把持対象を均等に把持し、適切な調心精度を維持しつつ把持対象を確実に把持し得るクランプ装置を提供することを課題とする。
また、本発明は、加工対象の胴部を均等に把持し適切な調心精度を維持しつつ、その端部に対し、迅速且つ確実にスピニング加工を行い得るスピニング加工装置を提供することを別の課題とする。
上記の課題を達成するため、本発明のクランプ装置は、把持対象の軸を中心とする円に沿って複数の軸部材が支持される板状の固定枠部材と、該固定枠部材に隣接して配置され、前記複数の軸部材が夫々嵌合するように前記円に沿って複数の円弧穴が形成されると共に、前記円に対して傾斜した長軸を有する複数の長穴が形成され、前記複数の軸部材が前記複数の円弧穴内を移動可能な範囲内で、前記固定枠部材に対し回動可能に支持される板状の回動枠部材と、該回動枠部材の前記複数の長穴に夫々移動可能に嵌合されると共に、前記把持対象の軸を中心とする径方向に移動可能に、前記固定枠部材に支持される複数の案内部材と、該複数の案内部材に夫々の外側端部が固定され、夫々の内側端部が前記把持対象に当接可能に配設される複数の把持部材とを備えることとしたものである。
上記のクランプ装置において、前記複数の長穴と前記複数の円弧穴は、前記円に沿って交互に、前記回動枠部材に形成されている構成とするとよい。また、前記固定枠部材の一方の板面には、前記把持対象の軸を中心とする径方向に延在する複数の溝が形成されており、該複数の溝に夫々、前記複数の案内部材が摺動可能に嵌合される構成とするとよい。
また、上記のクランプ装置において、前記固定枠部材と鏡面対称形状の固定枠部材が平行に配置され、該固定枠部材と前記固定枠部材の間に前記回動枠部材が介装され、前記複数の軸部材が前記複数の円弧穴内を移動可能な範囲内で、前記二つの固定枠部材に対し前記回動枠部材が回動可能に支持されると共に、前記複数の案内部材が前記二つの固定枠部材に摺動可能に支持されるように構成してもよい。
更に、上記のクランプ装置において、前記回動枠部材に対し揺動可能に支持されるリンク部材と、該リンク部材を介して前記把持対象の軸を中心として前記回動枠部材を回転駆動する駆動装置とを備えた構成としてもよい。更に、前記回動枠部材と前記駆動装置との間に介装され、前記リンク部材が初期位置に復帰する方向に付勢するばね部材を備えた構成としてもよい。
そして、本発明のスピニング加工装置は、加工対象の金属製管状ワークの軸を中心とする円に沿って複数の軸部材が支持される板状の固定枠部材と、該固定枠部材に隣接して配置され、前記複数の軸部材が夫々嵌合するように前記円に沿って複数の円弧穴が形成されると共に、前記円に対して傾斜した長軸を有する複数の長穴が形成され、前記複数の軸部材が前記複数の円弧穴内を移動可能な範囲内で、前記固定枠部材に対し回動可能に支持される板状の回動枠部材と、該回動枠部材の前記複数の長穴に夫々移動可能に嵌合されると共に、前記ワークの軸を中心とする径方向に移動可能に、前記固定枠部材に支持される複数の案内部材と、該複数の案内部材に夫々の外側端部が固定され、夫々の内側端部が前記ワークに当接可能に配設される複数の把持部材とを備えたクランプ装置と、該クランプ装置によって把持した前記ワークに対しスピニング加工を行うスピニング装置と、該スピニング装置に対し前記クランプ装置を相対的に変位させてスピニング加工を行うように制御する駆動制御手段とを備えることとしたものである。
上記のスピニング加工装置において、前記駆動制御手段は、前記ワークの胴部に対しサイジング加工を行った後に、前記クランプ装置によって前記胴部を把持して前記ワークの端部に対しスピニング加工を行うように前記スピニング装置を制御する構成とするとよい。更に、前記クランプ装置に対し、前記ワークの軸芯と平行な面上を移動可能に支持する水平駆動装置と、前記ワークの軸芯に垂直な軸回りを回転可能に支持する回転駆動装置を備えたものとするとよい。
また、上記のスピニング加工装置において、前記クランプ装置は、前記固定枠部材の一方の板面には、前記ワークの軸を中心とする径方向に延在する複数の溝が形成されており、該複数の溝に夫々、前記複数の案内部材が摺動可能に嵌合されると共に、前記複数の長穴と前記複数の円弧穴が前記円に沿って交互に、前記回動枠部材に形成されている構成としてもよい。更に、前記クランプ装置は、前記固定枠部材と鏡面対称形状の固定枠部材が平行に配置され、該固定枠部材と前記固定枠部材の間に前記回動枠部材が介装され、前記複数の軸部材が前記複数の円弧穴内を移動可能な範囲内で、前記二つの固定枠部材に対し前記回動枠部材が回動可能に支持されると共に、前記複数の案内部材が前記二つの固定枠部材に摺動可能に支持されるように構成するとよい。
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、本発明のクランプ装置は、把持対象の軸を中心とする円に沿って複数の軸部材が支持される板状の固定枠部材と、固定枠部材に隣接して配置され、複数の軸部材が夫々嵌合するように上記の円に沿って複数の円弧穴が形成されると共に、上記の円に対して傾斜した長軸を有する複数の長穴が形成され、複数の軸部材が複数の円弧穴内を移動可能な範囲内で、固定枠部材に対し回動可能に支持される板状の回動枠部材と、回動枠部材の複数の長穴に夫々移動可能に嵌合されると共に、把持対象の軸を中心とする径方向に移動可能に、固定枠部材に支持される複数の案内部材と、複数の案内部材に夫々の外側端部が固定され、夫々の内側端部が把持対象に当接可能に配設される複数の把持部材とを備えたものであるので、把持対象を均等に把持し、適切な調心精度を維持しつつ把持対象を確実に把持することができ、コンパクトなクランプ装置を提供することができる。
上記のクランプ装置において、複数の長穴と複数の円弧穴が、円に沿って交互に、回動枠部材に形成されている構成とすれば、薄型でコンパクトなクランプ装置を提供することができる。また、固定枠部材の一方の板面に形成された複数の溝に夫々、複数の案内部材が摺動可能に嵌合される構成とすれば、各案内部材及び把持部材を円滑且つ確実に駆動することができるので、適切な調心精度を維持することができる。
また、上記のクランプ装置において、前記固定枠部材と鏡面対称形状の固定枠部材が平行に配置され、二つの固定枠部材の間に回動枠部材が介装され、複数の軸部材が複数の円弧穴内を移動可能な範囲内で、二つの固定枠部材に対し回動枠部材が回動可能に支持されると共に、複数の案内部材が二つの固定枠部材に摺動可能に支持されるように構成すれば、装置全体としての剛性を向上し得ると共に、各案内部材及び把持部材の一層円滑且つ安定した作動を維持することができる。
更に、上記のクランプ装置において、回動枠部材に対し揺動可能に支持されるリンク部材と、リンク部材を介して把持対象の軸を中心として回動枠部材を回転駆動する駆動装置とを備えたものとすれば、回動枠部材の駆動手段を小型に構成することができるので、薄型でコンパクトなクランプ装置を提供することができる。更に、回動枠部材と駆動装置との間に介装され、リンク部材が初期位置に復帰する方向に付勢するばね部材を備えたものとすれば、安価且つ簡便な駆動装置とすることができる。
そして、加工対象の金属製管状ワークの軸を中心とする円に沿って複数の軸部材が支持される板状の固定枠部材と、固定枠部材に隣接して配置され、複数の軸部材が夫々嵌合するように円に沿って複数の円弧穴が形成されると共に、円に対して傾斜した長軸を有する複数の長穴が形成され、複数の軸部材が複数の円弧穴内を移動可能な範囲内で、固定枠部材に対し回動可能に支持される板状の回動枠部材と、回動枠部材の複数の長穴に夫々移動可能に嵌合されると共に、ワークの軸を中心とする径方向に移動可能に、固定枠部材に支持される複数の案内部材と、複数の案内部材に夫々の外側端部が固定され、夫々の内側端部がワークに当接可能に配設される複数の把持部材とを備えたクランプ装置と、クランプ装置によって把持したワークに対しスピニング加工を行うスピニング装置と、スピニング装置に対しクランプ装置を相対的に変位させてスピニング加工を行うように制御する駆動制御手段とを備えたスピニング加工装置においては、加工対象の胴部を均等に把持し適切な調心精度を確保しつつ、その端部に対し、迅速且つ確実にスピニング加工を行うことができる。しかも、コンパクトなクランプ装置が構成され、スピニング装置との干渉を容易に回避し得るので、良好で安定した加工精度を維持することができる。
上記のスピニング加工装置において、駆動制御手段は、ワークの胴部に対しサイジング加工を行った後に、クランプ装置によって胴部を把持してワークの端部に対しスピニング加工を行うようにスピニング装置を制御する構成とすれば、サイジング加工によってワークの外径に個体差が生じても、上記のクランプ装置によってワークの外周面を均等に把持することができ、良好な加工精度を維持することができる。更に、クランプ装置に対し、ワークの軸芯と平行な面上を移動可能に支持する水平駆動装置と、ワークの軸芯に垂直な軸回りを回転可能に支持する回転駆動装置を備えたものとすれば、加工対象のワークをスピニング装置に対して所定の位置に容易かつ迅速に位置決めすることができる。
また、上記のスピニング加工装置において、クランプ装置が、固定枠部材の一方の板面には、ワークの軸を中心とする径方向に延在する複数の溝が形成されており、複数の溝に夫々、複数の案内部材が摺動可能に嵌合されると共に、複数の長穴と複数の円弧穴が円に沿って交互に、回動枠部材に形成されている構成とすれば、適切な調心精度を維持することができると共に、薄型でコンパクトなクランプ装置となるので、スピニング装置との干渉を容易に回避することができ、装置全体として一層の小型化が可能となる。更に、クランプ装置が、前記固定枠部材と鏡面対称形状の固定枠部材が平行に配置され、二つの固定枠部材の間に回動枠部材が介装され、複数の軸部材が複数の円弧穴内を移動可能な範囲内で、二つの固定枠部材に対し回動枠部材が回動可能に支持されると共に、複数の案内部材が二つの固定枠部材に摺動可能に支持されるように構成すれば、クランプ装置としての剛性を向上し得ると共に、各案内部材及び把持部材の円滑且つ安定した作動を維持することができるので、一層良好で安定した加工精度を維持することができる。
本発明の一実施形態に係るクランプ装置の一部を示す斜視図である。 本発明の一実施形態のクランプ装置に供される回動枠部材、軸部材及び案内部材の一部を示す正面図である。 本発明の一実施形態に係るクランプ装置の全体構成を示す斜視図である。 本発明の一実施形態のクランプ装置に供される案内部材の支持構造を拡大して示す断面斜視図である。 本発明の一実施形態のクランプ装置に供される軸部材及び案内部材の支持構造を拡大して示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るスピニング加工装置において、クランプ装置に把持されたワークの一端部に対するスピニング加工作動を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係るスピニング加工装置において、クランプ装置に把持されたワークの一端部に対するスピニング加工作動を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係るスピニング加工装置において、クランプ装置に把持されたワークの一端部に対するスピニング加工作動を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係るスピニング加工装置において、クランプ装置に把持されたワークの一端部に対するスピニング加工作動を示す平面図である。
以下、本発明の望ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係るクランプ装置を示すもので、板状の固定枠部材1及び回動枠部材2が隣接して配置されている。固定枠部材1には、把持対象(例えば図6に示す金属製管状ワークW(以下、単にワークWという)の軸を中心とする円(図2にLで示す)に沿って六個の軸部材(代表して3で表す)が支持されている。また、回動枠部材2には、六個の軸部材3が夫々嵌合するように上記の円(L)に沿って六つの円弧穴(代表して2aで表す)が形成されると共に、上記の円(L)の接線(N)に対して角度θ(約30°)傾斜した長軸を真中に有する六つの長穴(代表して2bで表す)が形成されている。而して、板状の回動枠部材2は、各軸部材3が各円弧穴2a内を移動可能な範囲内で、固定枠部材1に対し回動可能に支持されている。図2に示すように、上記の長穴2bと円弧穴2aは、円(L)に沿って交互に、回動枠部材2に形成されている。
回動枠部材2の六つの長穴2bには、六個の案内部材(代表して4で表す)が夫々移動可能に嵌合され、各案内部材4は、把持対象(例えば図6のワークW)の軸を中心とする径方向に移動可能に、固定枠部材1に支持されている。即ち、固定枠部材1の一方の板面には、把持対象の軸を中心とする径方向に延在する六つの溝(代表して1aで表す)が形成されており、これらの溝1aに各案内部材4が摺動可能に嵌合されるように構成されている。そして、各案内部材4は、六個の把持部材(代表して5で表す)の外側端部に固定され、各把持部材5の内側端部が把持対象(例えば図6のワークW)に当接可能に配設される。図2に示すように、各軸部材3には、各円弧穴2a内を円滑に移動し得るようにローラ3aが軸支されており、各案内部材4にもローラ4aが設けられているが、案内部材4については後に図4及び図5を参照して詳述する。
更に、リンク部材6が駆動装置(図1にはその一部の連結部材7aを示す)と回動枠部材2に対し、初期位置で鉛直線に対し角度α(例えば約20°)を成すように、揺動可能に支持されており、リンク部材6を介して、把持対象(例えば図6のワークW)の軸を中心として回動枠部材2を回転駆動するように構成されている。リンク部材6の一端部は、回動枠部材2の腕部2cに形成された孔2dに回転可能に軸支され、この孔2dを中心に揺動するように支持されており、所謂トグル機構が構成されている。即ち、図1に示す連結部材7aが下方に移動するときには、リンク部材6を介して回動枠部材2が図2の反時計方向に回転駆動され、連結部材7aが上方に移動するときには、リンク部材6を介して回動枠部材2が図2の時計方向に回転駆動されるように構成されている。而して、案内部材4のカムと長穴2bのカム溝による所謂カム機構が構成され、後述するように、回動枠部材2の回動に応じて各案内部材4が各長穴2bに案内されて径方向に移動し、各把持部材5が近接及び離隔方向に駆動される。
本実施形態においては、図3に示すように、更に、固定枠部材1と鏡面対称形状の固定枠部材1xが平行に配置され、これらの間に回動枠部材2が介装され、各軸部材3が各円弧穴2a内を移動可能な範囲内で、固定枠部材1及び1xに対し回動枠部材2が回動可能に支持されると共に、各案内部材4が固定枠部材1及び1xに摺動可能に支持されるように構成され、これがクランプ装置CLとして後述のスピニング加工装置に供される。
上記の連結部材7aは可動ブロック7bに保持され、両者は鉛直方向(図3の上下方向)に移動可能に支持されている。即ち、駆動装置7は連結部材7a及び可動ブロック7bを有し、例えば流体圧シリンダ(図示せず)によって可動ブロック7b(及び連結部材7a)が下方に駆動されると、リンク部材6を介して回動枠部材2が反時計方向に回転駆動される。これにより、図2に示すように、各案内部材4が各長穴2bに案内されて径方向に移動し、各把持部材5が把持対象(例えば図6のワークW)に近接する方向に駆動され、把持対象は各把持部材5によって把持される。逆に、可動ブロック7b(及び連結部材7a)が上方に駆動されると、回動枠部材2が時計方向に回転駆動され、各把持部材5が把持対象(例えば図6のワークW)から離隔する方向に駆動される。
この場合において、リンク部材6が初期位置に復帰する方向に付勢するばね部材として、例えば圧縮コイルばね(図示せず)を固定枠部材1及び1xと駆動装置7の可動ブロック7bとの間に介装する構成とするとよい。これにより、可動ブロック7bには圧縮コイルばね(図示せず)によって図3の上方への付勢力が付与されており、リンク部材6を介して下方に駆動された後に、その駆動力を解除すれば、上記の圧縮コイルばねの付勢力によって自動的に上方に移動して初期位置に戻される。即ち、上記の圧縮コイルばねがリターンスプリングとして機能するので、駆動装置7は可動ブロック7bを下方に駆動する機能を有すればよく、従って、例えば一方向駆動の流体圧シリンダ(図示せず)を駆動源として用いることができるので、安価な装置とすることができる。
尚、リンク部材6が初期位置に復帰する方向に付勢するばね部材として、引張コイルばね(図示せず)を用いて可動ブロック7b(及び連結部材7a)を上方に付勢するように構成してもよく、あるいは、ねじりコイルばね(図示せず)を用い、リンク部材6を直接付勢するように構成することもできる。何れの場合も、各把持部材5にリターンスプリングを設けることなく、単一のばね部材によって、全ての把持部材5を同時に退避位置(離隔位置)に戻すことができる。
本実施形態の各案内部材4は、図4に示すように構成され、固定枠部材1及び1xに摺動可能に支持されている。即ち、長穴2bに嵌合されるローラ4aが、一対の連結部材4b、4bの間に挟持されるようにボルト4cによって接合されており、ボルト4cを介して連結部材4b、4bに対する両端支持構造が構成されている。尚、連結部材4b、4bは図1及び図5に示すように略直方体形状で、前述のように、固定枠部材1(及び1x)に形成された溝1aに摺動可能に嵌合される。而して、各把持部材5を把持対象(例えば図6のワークW)の中心方向に円滑に移動させることができ、把持対象を確実に把持することができる。
図3に示すように構成されたクランプ装置CLにおいて、駆動装置7が駆動され、可動ブロック7b及び連結部材7aが下方に駆動されると、リンク部材6を介して回動枠部材2が反時計方向に回転駆動され、前述のように、各把持部材5が近接方向に駆動され、把持対象(例えば図6のワークW)が把持される。駆動装置7による駆動が解除されると、前述のリターンスプリングとして機能する圧縮コイルばね(図示せず)によって、可動ブロック7b及び連結部材7aが初期位置の方向(上方)に駆動され、回動枠部材2が時計方向に回転駆動され、前述のように、各把持部材5が離隔方向に駆動され、退避位置(離隔位置)に戻される。上記のクランプ装置CLは、従来に比し薄型でコンパクトであるので、駆動装置7等と共に、後述のスピニング加工装置をはじめ、種々の加工装置に容易に組み込むことができる。
次に、上記のクランプ装置CLを備えたスピニング加工装置について図6乃至図9を参照して説明する。本実施形態の最終製品は、例えば自動車用の触媒コンバータ(図示せず)に供されるものであり、本実施形態のスピニング加工装置は、その製造工程の一環として、触媒担体(図示せず)が収容され所謂サイジングによって胴部が縮径された状態のワークW(金属製管状ワークW)を加工対象とし、その少なくとも一方の端部に対しスピニング加工を行うものである。
図6に示すように、ベースBS上に、加工対象のワークWの一方の端部に対しスピニング加工を行うスピンニング装置SPと、ワークWの胴部を把持する上記のクランプ装置CLと、ワークWの他方の端部側に配置し、クランプ装置CLに対しワークWを着脱するチャック装置CHが並設されている。そして、駆動制御手段たるコントローラCTによる制御に応じて、クランプ装置CLを駆動し、把持部材5(図5)によってワークWを把持すると共に、スピンニング装置SPに対しクランプ装置CLを相対的に変位させてワークWの端部に対し、スピンニング装置SPによってスピニング加工を行い、ワークWの端部を、胴部に対して少なくとも偏芯、傾斜及び捩れの何れかの関係に(例えば図6のワークWの右側の形状に)形成するように構成されている。
クランプ装置CLは、前述(図1乃至図5)のように構成されており、水平駆動装置HDによってワークWの軸芯と平行な面上を移動可能に支持されると共に、回転駆動装置RDによってワークWの軸芯に垂直な軸回りを回転可能に支持されている。スピンニング装置SPは、X軸(図6の左右方向)に沿って移動可能とされ、例えば三個のローラRL(図6には二個のみが表れている)によってワークWの端部にスピニング加工を行うように構成されており、その構造は前掲の特許文献2に記載された装置と同じであるので説明は省略する。尚、スピンニング装置SPの主軸と同軸上に、ワークWの開口端内側の形状に合致するように形成されたマンドレルMAが配置されている。
水平駆動装置HDにおいては、ベースBS上に固定された一対のY軸ガイドレールHDb(上記X軸に垂直)に沿って、テーブルHDaが移動可能に配置されている。このテーブルHDaの下部にはボールソケット(図示せず)が固定され、これに螺合するボールスクリュー(図示せず)がY軸ガイドレールHDbと平行に配置され、サーボモータMTによって回動可能に支持されている。而して、サーボモータMTによってボールスクリューが回転駆動されると、テーブルHDaはY軸に沿って移動するように構成されている。回転駆動装置RDは上記のテーブルHDa上に配設され、ベースBSに対し垂直な軸、即ちZ軸を中心にクランプ装置CLを回転駆動し得るように構成されているので、ワークWをスピニング装置SPに対して所定の位置に容易かつ迅速に位置決めすることができる。
一方、本実施形態のチャック装置CHは、前掲の特許文献2に記載された装置と同様であり、図6に示すように、スピニング装置SPの主軸と同軸の中心に向かって径方向に移動可能な一対のチャックCHaを備え、このチャックCHaによってワークWを保持した状態で、その軸芯回りに回転させて割り出し(インデックス)を行ない得るように構成されている。そして、チャック装置CHはスピニング装置SPの主軸に平行に配置されたレールCHbに沿って、クランプ装置CLに対し進退可能に配設されている。尚、チャック装置CHの駆動手段としては、電動モータ(図示せず)が用いられ、前述のようにコントローラCTによってスピニング加工の一環として制御される。
図6は、ワークWの一端部にスピニング加工が行なわれワークWの胴部に対して傾斜した端部が形成された後、チャックCHaが外方に移動してワークWの保持が解除され、チャック装置CHがレールCHbに沿って後退した状態を示している。この状態から、クランプ装置CLが回転駆動装置6によって回転駆動され、図7に示すようにワークWがその軸芯と同軸の原位置に復帰する。そして、ローラRLが主軸に沿って図7の右方の原位置に復帰すると共に、クランプ装置CLがアンクランプ状態(前述の把持部材5が退避位置にある状態)とされる。
次に、図8に示すように、チャック装置CHがレールCHbに沿って前進駆動され、ワークWの他端部がチャックCHaによって保持される。そして、チャック装置CHがワークWと共にワークWの軸芯回りに回転駆動され、割り出しが行なわれる。即ち、ワークWが所定の回転角度だけ回転駆動されるとワークWは前述の把持部材5に把持される。この後、チャック装置CHは図8の左方に後退駆動される。尚、ワークWの両端部の軸が同一の平面内にある場合には、割り出しは行なわれず、以下の反転作動のみが行なわれる。
上記の状態から、クランプ装置CLによってワークWが保持された状態で鉛直軸(図8の紙面に垂直な軸)を中心に略180°回転駆動されると、ワークWは図9に示すように反転した状態となる。このとき、必要に応じ、スピニング装置に搭載された、あるいはスピニング装置に隣接配置された切断装置(図示せず)によって、スピニング加工後の端部に対しトリム処理が行なわれ、軸芯に垂直な開口端面(図示せず)が形成される。そして、図9に示す状態でワークWの他端部(図9の右方側)にスピニング加工が行なわれ、胴部に対して傾斜した端部が形成される。この後、クランプ装置CLによる把持状態が解除され、加工後の製品が取り出される。尚、スピニング加工時にローラRLをワークWの内側面に当接するように配置して加工することにより、端部を拡径した拡径部(図示せず)を形成することもでき、その軸も胴部に対し同軸に限らず、偏心、傾斜及び捩れの少なくとも一つの非同軸に形成することができる。
而して、本実施形態によればワークWの両端部に対するスピニング加工を一工程中で連続して行なうことができるので、従来の個別加工に比べ、加工時間を大幅に短縮することができる。例えば、サイジング加工によってワークWの外径に個体差が生じても、調心精度に優れる上記のクランプ装置CLを用いれば、ワークWの外周面を均等に把持することができる。尚、クランプ装置CLに上記のチャック装置CHのような割出し機構を付加すれば、別途チャック装置CHを設ける必要がなく、装置の簡略化及び加工時間の一層の短縮が可能である。
1 固定枠部材
1a 溝
2 回動枠部材
2a 円弧穴
2b 長穴
2c 腕部
3 軸部材
4 案内部材
5 把持部材
6 リンク部材
7 駆動装置
7a 連結部材
W ワーク(把持対象、加工対象)
RL ローラ
CT コントローラ
CL クランプ装置
SP スピニング装置
CH チャック装置
HD 水平駆動装置
RD 回転駆動装置

Claims (11)

  1. 把持対象の軸を中心とする円に沿って複数の軸部材が支持される板状の固定枠部材と、該固定枠部材に隣接して配置され、前記複数の軸部材が夫々嵌合するように前記円に沿って複数の円弧穴が形成されると共に、前記円に対して傾斜した長軸を有する複数の長穴が形成され、前記複数の軸部材が前記複数の円弧穴内を移動可能な範囲内で、前記固定枠部材に対し回動可能に支持される板状の回動枠部材と、該回動枠部材の前記複数の長穴に夫々移動可能に嵌合されると共に、前記把持対象の軸を中心とする径方向に移動可能に、前記固定枠部材に支持される複数の案内部材と、該複数の案内部材に夫々の外側端部が固定され、夫々の内側端部が前記把持対象に当接可能に配設される複数の把持部材とを備えたことを特徴とするクランプ装置。
  2. 前記複数の長穴と前記複数の円弧穴が前記円に沿って交互に、前記回動枠部材に形成されていることを特徴とする請求項1記載のクランプ装置。
  3. 前記固定枠部材の一方の板面には、前記把持対象の軸を中心とする径方向に延在する複数の溝が形成されており、該複数の溝に夫々、前記複数の案内部材が摺動可能に嵌合されることを特徴とする請求項1又は2記載のクランプ装置。
  4. 前記固定枠部材と鏡面対称形状の固定枠部材が平行に配置され、該固定枠部材と前記固定枠部材の間に前記回動枠部材が介装され、前記複数の軸部材が前記複数の円弧穴内を移動可能な範囲内で、前記二つの固定枠部材に対し前記回動枠部材が回動可能に支持されると共に、前記複数の案内部材が前記二つの固定枠部材に摺動可能に支持されるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のクランプ装置。
  5. 前記回動枠部材に対し揺動可能に支持されるリンク部材と、該リンク部材を介して前記把持対象の軸を中心として前記回動枠部材を回転駆動する駆動装置とを備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のクランプ装置。
  6. 前記回動枠部材と前記駆動装置との間に介装され、前記リンク部材が初期位置に復帰する方向に付勢するばね部材を備えたことを特徴とする請求項5記載のクランプ装置。
  7. 加工対象の金属製管状ワークの軸を中心とする円に沿って複数の軸部材が支持される板状の固定枠部材と、該固定枠部材に隣接して配置され、前記複数の軸部材が夫々嵌合するように前記円に沿って複数の円弧穴が形成されると共に、前記円に対して傾斜した長軸を有する複数の長穴が形成され、前記複数の軸部材が前記複数の円弧穴内を移動可能な範囲内で、前記固定枠部材に対し回動可能に支持される板状の回動枠部材と、該回動枠部材の前記複数の長穴に夫々移動可能に嵌合されると共に、前記ワークの軸を中心とする径方向に移動可能に、前記固定枠部材に支持される複数の案内部材と、該複数の案内部材に夫々の外側端部が固定され、夫々の内側端部が前記ワークに当接可能に配設される複数の把持部材とを備えたクランプ装置と、該クランプ装置によって把持した前記ワークに対しスピニング加工を行うスピニング装置と、該スピニング装置に対し前記クランプ装置を相対的に変位させてスピニング加工を行うように制御する駆動制御手段とを備えたことを特徴とするスピニング加工装置。
  8. 前記駆動制御手段は、前記ワークの胴部に対しサイジング加工を行った後に、前記クランプ装置によって前記胴部を把持して前記ワークの端部に対しスピニング加工を行うように前記スピニング装置を制御することを特徴とする請求項7記載のスピニング加工装置。
  9. 前記クランプ装置に対し、前記ワークの軸芯と平行な面上を移動可能に支持する水平駆動装置と、前記ワークの軸芯に垂直な軸回りを回転可能に支持する回転駆動装置を備えたことを特徴とする請求項7又は8記載のスピニング加工装置。
  10. 前記クランプ装置は、前記固定枠部材の一方の板面には、前記ワークの軸を中心とする径方向に延在する複数の溝が形成されており、該複数の溝に夫々、前記複数の案内部材が摺動可能に嵌合されると共に、前記複数の長穴と前記複数の円弧穴が前記円に沿って交互に、前記回動枠部材に形成されていることを特徴とする請求項7乃至9の何れか一項に記載のスピニング加工装置。
  11. 前記クランプ装置は、前記固定枠部材と鏡面対称形状の固定枠部材が平行に配置され、該固定枠部材と前記固定枠部材の間に前記回動枠部材が介装され、前記複数の軸部材が前記複数の円弧穴内を移動可能な範囲内で、前記二つの固定枠部材に対し前記回動枠部材が回動可能に支持されると共に、前記複数の案内部材が前記二つの固定枠部材に摺動可能に支持されるように構成されていることを特徴とする請求項7乃至10の何れか一項に記載のスピニング加工装置。
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