JP5892850B2 - 工作機械およびその熱変位補正方法 - Google Patents

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Description

本発明は、工作機械およびその熱変位補正方法に関するもので、より詳細には、熱変位量の変化に対応可能な工作機械および熱変位量が変化した時の工作機械の熱変位補正方法に関するものである。
一般に、工作機械は各部に熱源を持っており、さらに機械が置かれる部屋の温度が変化することで、機械各部の温度分布が時間的に変化し、構成要素の熱変位(熱変形)を引き起こす。熱変位は加工精度に大きく影響するため、その防止対策として、従来から機械の温度を計測し、その温度情報に基づき、熱変位を推定して補正する方法が広く採用されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
このような工作機械においては、工作機械が置かれる環境での周囲空気温度変化によって加工機温度が時間変化する。また、加工時間の増加に伴って加工機内に熱がこもるため、加工開始直後では加工機自体の温度も時間の経過に対して徐々に高くなる。さらに、工作機械においては、加工中に加工条件を変えることが一般的である。
例えば、被加工物に対して始めに荒加工を行ない、その後に加工精度を得るための仕上げ加工を行う。荒加工と仕上げ加工では、機械に加える電力の相違によって発熱量が異なる。これらによって、加工機各部の温度分布も時間に伴って変化する。
特許第3136464号公報 特許第3079510号公報
しかしながら、上記従来の技術によれば、加工中に熱変位補正を行うと、例えば切削面に凸凹が発生するなどの問題があり、かえって加工精度を悪化させてしまうという課題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高い精度で加工を行うことができる工作機械およびその熱変位補正方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、被加工物を加工する工作機械であって、前記工作機械の少なくとも2箇所の温度を計測可能な温度センサと、前記温度センサの少なくとも2つの異なる時刻での計測値に基づき、熱による前記工作機械の熱変位量を算出する熱変位量算出手段と、前記被加工物を加工している加工時に、前記熱変位量に基づいて、絶対値に上限値を設けた補正量にて前記被加工物と前記工作機械の相対位置を補正する制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、加工時に熱変位補正する場合においても、十分な加工精度を得ることができるという従来得られなかった顕著な効果を奏するものである。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる工作機械(ワイヤ放電加工機)を示す断面図である。 図2は、実施の形態1にかかる工作機械の熱変位補正方法を説明するための図である。 図3は、実施の形態1にかかる工作機械の熱変位補正方法の手順を示すフローチャートである。 図4は、実施の形態1にかかる熱変位補正量についての概念図である。 図5は、実施の形態1にかかる工作機械の別の熱変位補正方法を説明するための図である。 図6は、実施の形態2にかかる工作機械の熱変位補正方法を説明するための図である。 図7は、熱変位量が急激に変化する場合に実施の形態1にかかる工作機械の熱変位補正方法を適用したときの様子を示すための図である。 図8は、実施の形態3にかかる工作機械の熱変位補正方法を説明するための図である。 図9は、実施の形態3にかかる工作機械の熱変位補正方法の手順を示すフローチャートである。 図10は、実施の形態3にかかる工作機械の熱変位補正方法の手順を示すフローチャートの変形例である。 図11は、従来の工作機械における熱変位量の時間変化を説明するための図である。
以下に、本発明にかかる工作機械およびその熱変位補正方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による工作機械100の構成を示す断面図である。ここでは、工作機械100の例としてワイヤ放電加工機について説明する。
ベース1の上に架台としてのコラム2が立てられ、コラム2の側面にアーム3が取り付けられている。アーム3は図1において左右方向に伸び縮みし、さらに上下にスライドする構造となっている。さらにアーム3の先端には上ガイド4が配置されている。一方、ベース1の上には水や油などの加工液が溜められた加工槽5が配置され、加工槽5の中には下ガイド6が配置される。上ガイド4および下ガイド6の間にはワイヤ7(ワイヤ電極)が張られ、通電により、ワイヤ7近傍に配置された被加工物10とワイヤ7との間に放電が生じ、被加工物10が加工される。
なお、工作機械100(ワイヤ放電加工機)の上部構造物と下部構造物、例えば、上ガイド4とベース1には温度を計測するための第一の温度センサ8および第二の温度センサ9が取り付けられている。この2つの温度センサによる温度計測値の時間変化に基づいて、熱変位量を予測する。工作機械100(ワイヤ放電加工機)の上部構造物に搭載される第一の温度センサ8は例えばアーム3に接続された上ガイド4に設けられ、第二の温度センサ9は例えばベース1の中央付近に設けられる。
熱変位量は、例えばワイヤ7の両端を保持して張架する工作機械100の2つの部位にそれぞれ設置されている第一の温度センサ8および第二の温度センサ9により測定された温度をパラメータとする所定の関係式を計算することにより、演算により推定することができる。ここでは、熱変位量として上ガイド4とベース1の位置ずれとしているが、熱変位量は、上ガイド4と下ガイド6、あるいは上ガイド4と被加工物10の位置ずれとしてもよい。すなわち、熱変位量は加工精度に影響する部分の位置ずれ量である。例えば、熱変位量として、上ガイド4と下ガイド6の位置ずれ量とする場合には、第二の温度センサ9はベース1ではなく、下ガイド6、あるいは加工槽5内の水や油中に配置してもよい。このように、温度センサの位置は、それに基づいて熱変位量が算出できるのであれば、任意の位置であってよい。
加工機には、第一の温度センサ8および第二の温度センサ9によって、温度を計測するための温度計測装置11、熱変位量を予測するための演算回路12(熱変位量算出手段)、熱変位を補正するための制御装置13が接続されている。
熱変位量の予測は、第一の温度センサ8および第二の温度センサ9による計測温度と熱変位量の関係を表す式(熱変位量予測式)によって行う。この式の算出は、工作機械100(ワイヤ放電加工機)に変位計を取り付け、工作機械100が置かれた環境温度を変えるなどによって加工機の温度分布を変え、事前に求めておく。
例えば、熱変位量予測式は、時間tでの熱変位量をδ(t)、第一の温度センサ8の時間tにおける温度をT1(t)、第二の温度センサ9の時間tにおける温度をT2(t)とすれば、以下の式(1)のようなものとする。
δ(t)=A×(B×(T1(t)−T1(0))−(T2(t)−T2(0))) (1)
ここで、A、Bは係数であり、T1(0)、T2(0)は各々、基準時間(t=0)における第一の温度センサ8および第二の温度センサ9の温度(基準温度)である。すなわち、熱変位量δ(t)は、温度の変化量の関数としている。なお、ここでは説明を容易とするため、熱変位量予測式は式(1)としたが、当然ながら、熱変位量予測式はワイヤ放電加工機の形態などによって変わる。例えば、式(1)に温度の絶対値の項を加えてもよい。さらに時間遅れを考慮するために時間tとして数分から数十分前の時間を用いてもよい。すなわち、熱変位量予測式の形態は熱変位量を精度よく予測できればどのようなものであってもよい。
図2は、実施の形態1における工作機械の熱変位補正方法を説明するための図である。
一般に、工作機械100が置かれる環境における周囲空気温度の変化によって工作機械100(ワイヤ放電加工機)の温度が時間変化する。また、加工時間の増加に伴って工作機械100内に熱がこもるため、加工開始直後では工作機械100自体の温度も時間の経過に対して徐々に高くなる。さらに、工作機械100においては、加工中に加工条件を変えることが一般的である。例えば、被加工物10に対して始めに荒加工を行ない、その後に加工精度を得るための仕上げ加工を行う。荒加工と仕上げ加工では、工作機械100に加える電力の相違によって発熱量が異なる。これらの理由によって、工作機械100各部の温度分布も時間に伴って変化する。そのため、図2の実線の「補正なしの場合の変位」で示すように熱変位量も時間経過に伴い徐々に変化していく。なお、荒加工と仕上げ加工が交互に繰り返される場合は、より詳細には図11のように熱変位量が時間変化する。しかしここでは説明を分かりやすくするため、図2の実線の「補正なしの場合の変位」のように簡略化して示す。
図3は、実施の形態1における工作機械100の熱変位補正方法の手順を示すフローチャートである。
まず、加工を行いながら、工作機械100の温度変化を計測していく。第一の温度センサ8、第二の温度センサ9、および温度計測装置11によって任意時間間隔に設けられた変位量算出点(図2の中の●印)における温度T1(t)、T2(t)を計測する(ステップS1)。計測された温度から演算回路12中に組み込まれた熱変位量予測式、例えば式(1)によって、熱変位量を予測(算出)する(ステップS2)。具体的には、前回の変位量算出点で測定した第一の温度センサ8および第二の温度センサ9の温度をT1(0)およびT2(0)、今回測定した第一の温度センサ8および第二の温度センサ9の温度をT1(t)およびT2(t)として、式(1)により演算回路12(熱変位量算出手段)が熱変位量δ(t)を求める。なお、ここで予め、補正量の絶対値の上限値として最大補正量Δhmaxを決めておき、ステップS2で求められた熱変位量が最大補正量Δhmaxより小さいか否かを判定する(ステップS3)。予測された熱変位量が最大補正量Δhmaxより大きい場合には(ステップS3:No)、補正量=最大補正量とする(ステップS5)。逆に、予測された熱変位量が最大補正量より小さい場合には(ステップS3:Yes)、補正量=予測された熱変位量とする(ステップS4)。
なお、上記では、熱変位量、補正量が全て正の値であるとして説明したが、ここでの基本的な考え方は、補正量の絶対値に上限値を設けるということである。従って、予測された熱変位量が負である場合は、ステップS3では、予測された熱変位量の絶対値が最大補正量Δhmax(正の値とする)より小さいか否かを判定する。そして、予測された熱変位量の絶対値が最大補正量Δhmaxより大きい場合には(ステップS3:No)、補正量=−最大補正量(−Δhmax)とする(ステップS5)。逆に、予測された熱変位量の絶対値が最大補正量より小さい場合には(ステップS3:Yes)、補正量=予測された熱変位量とし(ステップS4)、いずれにせよ負の補正量となるように読み替えるものとする。従って、予測された熱変位量の正負によらずより一般的に記載すれば、ステップS3においては、熱変位量の絶対値が最大補正量Δhmax(正の値とする)より小さいか否かを判定し、ステップS5においては、補正量を最大補正量Δhmaxに熱変位量と同一符号を付した値とし、ステップS4においては、(予測された熱変位量の正負によらず)補正量を熱変位量とする。このことは、以下の実施の形態2および3においても同様である。
ステップS4およびS5にて補正量が決定された後は、その補正量に基づいて制御装置13から制御信号を出力することでアーム3を伸び縮みさせるなどにより、位置を補正する(ステップS6)。なお、ステップS3からS5で行う熱変位量から絶対値に上限を設けた補正量を決定する作業は、演算回路12と制御装置13のいずれで実行してもよいし、別途補正量決定手段を設けても構わない。その後、加工終了か否かが判定され(ステップS7)、加工終了(ステップS7:Yes)でない場合(ステップS7:No)はステップS1に戻る。
この操作(変位量算出および位置補正)を各変位量算出点(図2の中の●印)において繰り返し行うことによって、図2の破線の「補正後の変位」で示すように基準状態からの熱変位量を低減することができる。
図4は、実施の形態1における熱変位補正量についての概念図である。ケース1は予測された熱変位量が最大補正量Δhmaxより大きい場合、ケース2は予測された熱変位量が最大補正量Δhmaxより小さい場合である。図4に示すように補正量は、最大補正量より常に小さい値とする。
なお、上述したように最大補正量Δhmaxは予め決めておく必要があるが、これは加工時の補正によって切削面に凸凹が発生しない程度となるようにする。この量は工作機械100の種類や、加工条件、加工に必要な精度、さらには熱変位補正の頻度にもよるが、一般に1〜2ミクロン以下とする場合が多い。
このような構成の工作機械100によれば、補正量の絶対値に上限を設けているため、加工中に熱変位補正を行った場合においても切削面に凸凹を生じることは無く、加工精度を悪化させることはない。また、熱変位量を低減することができるため、高精度の加工を行なうことができる。
最大補正量を加工条件に依存させる具体例について以下に説明する。図5は、実施の形態1における工作機械の別の熱変位補正方法を説明するための図である。
図2においては、加工条件によらず最大補正量Δhmaxは一定値であった。しかし、一般に使用電力の変化により加工精度は変化し、荒加工時における加工精度は仕上げ加工時とは異なる。即ち、荒加工時においては、仕上げ加工時より使用電力が大きく、仕上げ加工時ほどの高い加工精度は必要ない。そのため、図5に示すように(荒加工時の最大補正量Δhamax>仕上げ加工時の最大補正量Δhsmax)として、荒加工時には熱変位に対する最大補正量を大きくし、仕上げ加工時には熱変位に対する最大補正量を小さくして補正するようにしてもよい。
このような構成の工作機械100によれば、発熱量が大きい荒加工時に大きな熱変位が生じた場合においても、十分な補正量で熱変位補正を行うことができるため、より高精度な加工を行なうことができる。
実施の形態2.
図6は、実施の形態2にかかる工作機械の熱変位補正方法を説明するための図である。図2および図5で示した実施の形態1にかかる熱変位補正方法においては、任意時間間隔に設けられた変位量算出点において計測した第一の温度センサ8および第二の温度センサ9の温度に基づいて熱変位量を算出するとした。しかし、変位量算出点のみでなく、変位量算出点より短い周期の温度計測点で温度計測を実施し、前回の変位量算出点から今回の変位量算出点までの間に得られた複数の温度データの平均値によって、熱変位量を求めるようにしてもよい。
例えば、図6における小さい○印の温度計測点のように、加工中にも一定時間間隔(例えばΔt)ごとに温度を計測する。温度計測の時間間隔Δtは、各変位量算出点の間において温度を数点以上計測することができる周期とする。
この時、変位算出点(時間t)までの値を計測しておき、それらの値から現在の加工条件における平均温度を算出する。
開始時間をt’とした時、第一の温度センサ8の温度計測値を、T1(t’+Δt)、T1(t’+2×Δt)、T1(t’+3×Δt)、・・・・、T1(t’+n×Δt)とし、第二の温度センサ9の温度計測値をT2(t’+Δt)、T2(t’+2×Δt)、T2(t’+3×Δt)、・・・・、T2(t’+n×Δt)とすれば、
第一の温度センサ8の温度平均値
T1mean(t)=(T1(t’+Δt)+T1(t’+2×Δt)+T1(t’+3×Δt)+・・・・+T1(t’+n×Δt))/n
第二の温度センサ9の温度平均値
T2mean(t)=(T2(t’+Δt)+T2(t’+2×Δt)+T2(t’+3×Δt)+・・・・+T2(t’+n×Δt))/n
となる。
ここで例えば、実施の形態1で用いた式(1)を用いると、変位量算出点(時間t)における熱変位補正量予測式は、以下の式(2)のようになる。
δ(t)=A×(B×(T1mean(t)−T1(0))−(T2mean(t)−T2(0))) (2)
本実施の形態においては、このように、得られた平均温度に基づいて、例えば式(2)によって、変位量算出点において熱変位補正量を算出し、熱変位補正をおこなう。
実施の形態1においては、前回の変位量算出点以降の1点のみの温度測定による熱変位量に基づいて熱変位補正を行ったが、本実施の形態2のような構成をとると、温度計測値にノイズが載りやすい場合などにおいても熱変位補正量をより的確に求めることができる。従って、より正確に熱変位補正を行うことができるため、さらに安定した高精度の加工が可能となる。
実施の形態3.
図7は、熱変位量が急激に変化する場合に実施の形態1にかかる工作機械の熱変位補正方法を適用したときの様子を示すための図である。例えば、図7の実線の「補正なしの場合の変位」ように熱変位量が急激に変化した場合には、実施の形態1における熱変位補正方法のように予め定めた最大補正量Δhmax以下の補正量による補正しかできないとすると、図7に示すように大きな変位が残ってしまうことが考えられる。この変位の残りは加工精度の悪化につながる。
図8は、実施の形態3にかかる工作機械の熱変位補正方法を説明するための図である。実施の形態1では、加工中の変位量算出点において熱変位補正を行ったが、熱変位補正は変位量算出点の他に加工条件変化時に行ってもよい。加工条件変化時である仕上げ加工から荒加工への切り替え時、あるいは荒加工から仕上げ加工への切り替え時には加工を行わないため、本実施の形態3においては、そのタイミングで大きな補正量の熱変位補正を行う。
図9は、実施の形態3にかかる工作機械の熱変位補正方法の手順を示すフローチャートである。まず始めに、実施の形態1のフローチャートを示した図3と同様に、変位量算出点において最大補正量Δhmax以下の補正量の熱変位補正を行う(ステップS1〜S6)。図9のステップS1〜S6は、図3のステップS1〜S6と同じである。その後、加工条件変化時か否かの判定をして(ステップS8)、加工条件変化時(ステップS8:Yes)に温度計測を行い(ステップS9)、変位量を計算する(ステップS10)。得られた変位量を補正量とし、補正量に制限を加えることなく、熱変位補正を行う(ステップS11)。その後、加工終了か否かが判定され(ステップS12)、加工終了(ステップS12:Yes)でない場合(ステップS12:No)はステップS1に戻る。なお、ステップS8で、加工条件変化時でない場合(ステップS8:No)は、ステップS12にそのまま進む。
また、図9のフローチャートの変形例として、図10のようにしてもよい。この場合、変位量算出点を加工中、加工条件変化時(非加工中)を問わずに設定して、温度計測(ステップS1)、変位量算出(ステップS2)の後に、変位量算出点が加工条件変化時(非加工中)か否かの判定をする(ステップS8)。変位量算出点が加工条件変化時(非加工中)である場合(ステップS8:Yes)には、補正量に制限をかけないで、算出した変位量をそのまま補正量とする(ステップS4)。変位量算出点が加工条件変化時でない加工中の場合(ステップS8:No)は、補正量に制限をかけるためにステップS3に入って、ステップS2で求められた熱変位量が最大補正量Δhmaxより小さいか否かを判定する。ステップS3から先は図3と同様である。
加工条件変化時か否かの判定として、仕上げ加工から荒加工への切り替え時か否かの判定としてもよい。この場合、仕上げ加工から荒加工への切り替え時にのみ、補正量に制限をかけないで熱変位に対する補正を行う。同様に、荒加工から仕上げ加工への切り替え時か否かの判定として、荒加工から仕上げ加工への切り替え時にのみ、補正量に制限をかけないで熱変位に対する補正を行うようにしてもよい。さらに、仕上げ加工から荒加工への切り替え時および荒加工から仕上げ加工への切り替え時の両方の時点で、補正量に制限をかけない補正を行うようにしてもよい。また、非加工中に補正量に制限をかけないで補正をすれば、本実施の形態3のメリットは得られるので、図9および図10のいずれのフローチャートにおいても、加工条件変化時か否かの判定は、単に非加工時か否かの判定としてもよい。
このような構成の工作機械100によれば、加工中の補正量の絶対値に上限を設けることにより加工精度を悪化させずに熱変位補正を行った上で、非加工時の補正量には制限を設けないので、大きな熱変位が生じた場合においても的確な熱変位補正を行うことができる。このため、さらに高精度の加工が可能となる。
なお、本実施の形態3では、実施の形態1に追加して加工条件変化時(非加工時)にも熱変位補正を行う例について説明したが、さらに、実施の形態2の手法を組み合わせることも可能である。即ち、変位量を算出する時点のみならず、それより短い周期で温度計測を実施して得られた温度データを含んだ複数の温度データの平均値によって、熱変位量を求めてもよい。
この場合、加工条件変化時(非加工時)の熱変位補正においても、前回変位量を算出した時点以降に計測された複数の温度データの平均値を使用して補正量を求める。工作機械100をこのような構成とすることで、さらに高精度で安定した加工が可能となる。
さらに、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。例えば、上記実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出されうる。更に、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
以上のように、本発明にかかる工作機械およびその熱変位補正方法は、機械各部の温度分布が時間的に変化し、構成要素の熱変位(熱変形)を引き起こす工作機械に有用であり、特に、熱変位補正により高い精度で加工を行うことが求められるワイヤ放電加工機などの工作機械に適している。
1 ベース
2 コラム
3 アーム
4 上ガイド
5 加工槽
6 下ガイド
7 ワイヤ
8 第一の温度センサ
9 第二の温度センサ
10 被加工物
11 温度計測装置
12 演算回路(熱変位量算出手段)
13 制御装置
S1〜S12 ステップ

Claims (16)

  1. 被加工物を加工する工作機械であって、
    前記工作機械の少なくとも2箇所の温度を計測可能な温度センサと、
    前記温度センサの少なくとも2つの異なる時刻での計測値に基づき、熱による前記工作機械の熱変位量を算出する熱変位量算出手段と、
    前記被加工物を加工している加工時に、前記熱変位量に基づいて、絶対値に上限値を設けた補正量にて前記被加工物と前記工作機械の相対位置を補正する制御手段と、
    を備え
    前記制御手段は、前記被加工物を加工していない非加工時に、前記熱変位量に基づいて、上限値を有さない補正量にて前記被加工物と前記工作機械の相対位置を補正する
    ことを特徴とする工作機械。
  2. 前記非加工時は、仕上げ加工から荒加工への切り替え時、荒加工から仕上げ加工への切り替え時、の何れか一方あるいは両方である
    ことを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
  3. 前記熱変位量算出手段は、前記加工時の前記計測値の平均値に基づき、前記熱変位量を算出する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の工作機械。
  4. 被加工物を加工する工作機械であって、
    前記工作機械の少なくとも2箇所の温度を計測可能な温度センサと、
    前記温度センサの少なくとも2つの異なる時刻での計測値に基づき、熱による前記工作機械の熱変位量を算出する熱変位量算出手段と、
    前記被加工物を加工している加工時に、前記熱変位量に基づいて、絶対値に上限値を設けた補正量にて前記被加工物と前記工作機械の相対位置を補正する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記熱変位量の絶対値が前記上限値より大きいときは前記補正量を前記上限値に前記熱変位量と同一符号を付した値とし、前記熱変位量の絶対値が前記上限値より小さいときは前記補正量を前記熱変位量とする
    ことを特徴とする工作機械。
  5. 前記工作機械は、ワイヤ電極を備えたワイヤ放電加工機であって、
    前記制御手段は、前記被加工物と前記ワイヤ電極の相対位置を補正する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の工作機械。
  6. 前記温度センサは、前記ワイヤ電極の両端を保持して張架する前記工作機械の2つの部位にそれぞれ設置されている
    ことを特徴とする請求項に記載の工作機械。
  7. 前記上限値は、前記加工時の加工条件に依存した値とする
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の工作機械。
  8. 荒加工時における前記上限値を、荒加工よりも使用電力が小さく且つ加工精度が高い仕上げ加工における前記上限値よりも大きな値とする
    ことを特徴とする請求項7に記載の工作機械。
  9. 被加工物を加工する工作機械の熱変位補正方法であって、
    前記工作機械の少なくとも2箇所の温度を少なくとも2つの異なる時刻で計測して計測値を取得する工程と、
    前記計測値に基づき、熱による前記工作機械の熱変位量を算出する工程と、
    前記被加工物を加工している加工時に、前記熱変位量に基づいて、絶対値に上限値を設けた補正量にて前記被加工物と前記工作機械の相対位置を補正する工程と、
    前記被加工物を加工していない非加工時に、前記熱変位量に基づいて、上限値を有さない補正量にて前記被加工物と前記工作機械の相対位置を補正する工程と、
    を備える
    ことを特徴とする工作機械の熱変位補正方法。
  10. 前記非加工時は、仕上げ加工から荒加工への切り替え時、荒加工から仕上げ加工への切り替え時、の何れか一方あるいは両方である
    ことを特徴とする請求項に記載の工作機械の熱変位補正方法。
  11. 前記加工時の前記計測値の平均値に基づき、前記熱変位量を算出する
    ことを特徴とする請求項9または10に記載の工作機械の熱変位補正方法。
  12. 被加工物を加工する工作機械の熱変位補正方法であって、
    前記工作機械の少なくとも2箇所の温度を少なくとも2つの異なる時刻で計測して計測値を取得する工程と、
    前記計測値に基づき、熱による前記工作機械の熱変位量を算出する工程と、
    前記被加工物を加工している加工時に、前記熱変位量に基づいて、絶対値に上限値を設けた補正量にて前記被加工物と前記工作機械の相対位置を補正する工程と、
    を備え、
    前記補正する工程において、前記熱変位量の絶対値が前記上限値より大きいときは前記補正量を前記上限値に前記熱変位量と同一符号を付した値とし、前記熱変位量の絶対値が前記上限値より小さいときは前記補正量を前記熱変位量とする
    ことを特徴とする工作機械の熱変位補正方法。
  13. 前記工作機械は、ワイヤ電極を備えたワイヤ放電加工機であって、
    前記補正する工程は、前記被加工物と前記ワイヤ電極の相対位置を補正する
    ことを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載の工作機械の熱変位補正方法。
  14. 前記2箇所は、前記ワイヤ電極の両端を保持して張架する前記工作機械の2つの部位である
    ことを特徴とする請求項13に記載の工作機械の熱変位補正方法。
  15. 前記上限値は、前記加工時の加工条件に依存した値とする
    ことを特徴とする請求項9から14のいずれか1項に記載の工作機械の熱変位補正方法。
  16. 荒加工時における前記上限値を、荒加工よりも使用電力が小さく且つ加工精度が高い仕上げ加工における前記上限値よりも大きな値とする
    ことを特徴とする請求項15に記載の工作機械の熱変位補正方法。
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