JP6155946B2 - 工作機械の各部材の線膨張係数の決定方法および工作機械の熱変位補正装置 - Google Patents
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Description
(請求項1)本手段に係る工作機械の熱変位補正量を算出するために用いる前記工作機械の各部材の線膨張係数の決定方法は、前記工作機械の各部材の温度変化を複数のパターンにした場合のそれぞれについて、前記工作機械の各部材の線膨張係数を変数として複数に変化させて、前記線膨張係数を用いた演算により前記工作機械の所定位置の熱変位推定値を算出する工程と、前記工作機械の各部材の温度変化を前記複数のパターンにした場合のそれぞれについて、前記工作機械の前記所定位置における実際の熱変位量を計測する工程と、変数として複数に変化させた前記各部材の線膨張係数の中から、前記複数のパターンのそれぞれにおける前記熱変位推定値と前記実際の熱変位量との差を小さくするような前記各部材の線膨張係数を同定する工程とを備える。
(請求項2)好ましくは、前記熱変位推定値を算出する工程において、前記工作機械における各部材の線膨張係数は、1つずつの値とする。
各部材の線膨張係数を1つずつの値とするということは、当該部材の部位に関係なく、線膨張係数は同一値とするという意味である。このように、部材単位で、1つの線膨張係数を設定することで、演算回数を低減することができ、確実に各部材の線膨張係数を得ることができる。また、各部材の線膨張係数を1つずつの値としたとしても、得られた線膨張係数は、十分に高精度に個体に応じた線膨張係数とすることができる。
(請求項6)本手段に係る工作機械の熱変位補正装置は、上述した工作機械の各部材の線膨張係数の決定方法により決定された前記各部材の線膨張係数を用いて、前記工作機械の熱変位補正量を算出する手段と、算出した前記熱変位補正量に基づいて、前記工作機械の移動体の位置を補正する手段と、を備える。
(工作機械の構成)
本発明を適用する工作機械1の構成について説明する。工作機械1の一例として、横型マシニングセンタを例に挙げ、図1を参照して説明する。つまり、当該工作機械1は駆動軸として、相互に直交する3つの直進軸(X,Y,Z軸)および鉛直方向の回転軸(B軸)を有する工作機械である。なお、本発明は、横型マシニングセンタ以外の工作機械に対しても適用可能である。
熱変位補正装置90は、上述したように、温度センサ70により検出された温度情報に基づいて、各軸方向の熱変位補正量を算出する。熱変位補正装置90の詳細について、図1を参照して説明する。
上述したように、工作機械1の各部材10、・・・の線膨張係数αa1、・・・、αan、αb1、・・・、αbnは、線膨張係数記憶部91に記憶させている。ここで、例えば、ベッド10やコラム20などの構造体は、鉄を主成分とする材料により形成されている。つまり、これら構造体10、20、30、40、50、60の主成分は、鉄で一致する。しかし、これらの線膨張係数αは、個体差があり、厳密には異なる。そこで、線膨張係数記憶部91には、個体毎の線膨張係数αa1、αa2、・・・、αanを記憶している。また、構造体以外の部材22、32、52の線膨脹係数αについても同様に、個体差がある。そこで、線膨張係数記憶部91には、個体毎の線膨張係数αb1、αb2、・・・、αbnを記憶している。
上述した式(2)の導出方法について以下に説明する。FEMによる構造解析の基本式は、式(4)により表される。この式(4)は、構造体の剛性方程式である。ここで、剛性マトリックス[K]は、コラム20の材料定数およびコラム20の形状により得られる既知の値である。なお、式(4)において、行数および列数、もしくは要素数を示す表記としている。また、本明細書において用いるベクトルは、すべて列ベクトルを意味する。
上記実施形態において、ある工作機械1の各部材10、・・・の線膨張係数αを決定し、当該線膨張係数αを用いて熱変位補正を行った。ここで、線膨張係数αは、工作機械1毎に決定し、それぞれの工作機械1における線膨張係数記憶部91に記憶してもよい。仮に、同一構造の複数の工作機械1において、同一種類の部材であっても、部材自体が異なれば、線膨張係数αは個体毎に異なる。そこで、工作機械1毎に、各部材10、・・・の線膨張係数αを決定することで、工作機械1個体に応じた熱変位推定値を得ることができる。
上記実施形態においては、式(2)には、コラム20の熱変位推定値に相当する変位ベクトルを示した。つまり、各構造体10,20,30,・・・の熱変位推定値に相当する変位ベクトルδZa1,δZa2,δZa3に関する関係式は、構造体毎の関係式を用いた。この他に、複数の構造体10,20,30を全体としての関係式を用いることもできる。この場合、第一実施形態における式(2)は、式(7)のように置換される。
上記実施形態において、実際の熱変位量は、変位センサ110により計測される値そのものを用いた。しかしながら、変位センサ110が、温度に応じてばらつきを有する場合がある。この場合、線膨張係数決定装置100における実際の熱変位量計測部103が、変位センサ110の温度によるばらつきを考慮して、計測された実際の熱変位量を修正する。
Claims (6)
- 工作機械の熱変位補正量を算出するために用いる前記工作機械の各部材の線膨張係数の決定方法であって、
前記工作機械の各部材の温度変化を複数のパターンにした場合のそれぞれについて、前記工作機械の各部材の線膨張係数を変数として複数に変化させて、前記線膨張係数を用いた演算により前記工作機械の所定位置の熱変位推定値を算出する工程と、
前記工作機械の各部材の温度変化を前記複数のパターンにした場合のそれぞれについて、前記工作機械の前記所定位置における実際の熱変位量を計測する工程と、
変数として複数に変化させた前記各部材の線膨張係数の中から、前記複数のパターンのそれぞれにおける前記熱変位推定値と前記実際の熱変位量との差を小さくするような前記各部材の線膨張係数を同定する工程と、
を備える、工作機械の各部材の線膨張係数の決定方法。 - 前記熱変位推定値を算出する工程において、
前記工作機械における各部材の線膨張係数は、1つずつの値とする、請求項1の工作機械の各部材の線膨張係数の決定方法。 - 前記熱変位推定値を算出する工程において、前記各部材の線膨張係数は、前記各部材の主成分である純金属の物理的性質としての線膨張係数を含む前後の値に変化させる、請求項1または2の工作機械の各部材の線膨張係数の決定方法。
- 工作機械毎に、当該工作機械の前記各部材の線膨張係数を決定する、請求項1〜3の何れか一項の工作機械の各部材の線膨張係数の決定方法。
- 前記実際の熱変位量を計測する工程は、変位センサにより前記工作機械の前記所定位置における前記実際の熱変位量を計測した後に、前記変位センサの温度および前記変位センサの温度特性に基づいて、計測した前記実際の熱変位量を修正し、
前記線膨張係数を同定する工程は、前記熱変位推定値と修正された前記実際の熱変位量との差を小さくするような前記各部材の線膨張係数を同定する、請求項1〜4の何れか一項の工作機械の各部材の線膨張係数の決定方法。 - 請求項1〜5の何れか一項の工作機械の各部材の線膨張係数の決定方法により決定された前記各部材の線膨張係数を用いて、前記工作機械の熱変位補正量を算出する手段と、
算出した前記熱変位補正量に基づいて、前記工作機械の移動体の位置を補正する手段と、
を備える工作機械の熱変位補正装置。
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