JP5892553B2 - 空気精製処理装置およびこれを用いた空気の精製処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、空気精製処理装置およびこれを用いた空気の精製処理方法に関するものであり、特に、医療施設内の空気を処理対象として該空気の滅菌処理を行う空気精製処理装置およびこれを用いた空気の精製処理方法に関する。
空気浄化装置は、各種化学プラントや薬品工場等の産業分野だけではなく、一般家庭や医療施設等においても広く利用されている。このとき、医療施設において清浄化される対象には、一酸化炭素(CO)や窒素酸化物(NOx)あるいはホルムアルデヒド(HCHO)やトルエン(C)等の有害物質だけではなく、空気中に浮遊する結核菌その他の病原性微生物やそれらを含む感染性飛沫等(以下「細菌等」ということがある)が含まれる。こうした細菌等は、医療施設内において集団感染を引き起こす可能性があり、空気浄化装置には、安定した高い殺菌機能が要求される。
例えば、図7に示すような空中浮遊微生物の加熱滅菌方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。具体的には、温度分布を平準化し、それによってフィルタ素子を通過する空気中に含まれる細菌等を確実に加熱、滅菌することを可能にすることを課題とし、筒状ケース体102内に装填されたフィルタ素子103を400℃以上の所要滅菌可能温度に設定すると共に前記筒状ケース体102の外周を補助ヒータ104により補助的に加熱し、且つ前記フィルタ素子103を通過する空気Fの流量及び圧力損失を、該フィルタ素子103の中心部から周辺部に至る間の温度分布が平準化を生じる大きさ以上に保持し、それらによって前記温度分布の最大幅ΔTを100℃以下に制御することを特徴とする。
特開2011−224121号公報
しかし、上記のような加熱滅菌方法を用いた空気浄化装置では、以下に挙げるような問題点や課題が生じることがあった。
(i)加熱滅菌方法においては、常温の空気を高温加熱するために多くの熱源(エネルギー)を投入する必要がある一方、作製された精製空気は、再び常温にして供給される。つまり、エネルギーの有効利用の観点からは、投入された熱源を効率よく回収し、これを再度空気の加熱に利用する熱循環系を構成することが好ましい。しかしながら、医療施設等に設けられる小型あるいは中型の空気浄化装置においては、高温の精製された空気から効率よく回収するとともに、回収された温熱を均等にかつ効率的に低温空気の加熱に用いることは難しく、エネルギー効率の向上が大きな課題となっている。
(ii)加熱滅菌方法において、フィルタ素子103は、長期間の使用に際して、死滅した細菌等の残骸等を含めた粉塵によりフィルタ素子103自体の詰りの発生は避けることができず、定期的な交換を必要とする。また、収集された粉塵の局部的な凝集に伴う空気の流通路のショートパスによって、空気浄化装置で処理される空気Fの流量及び圧力損失を維持することができていても、温度分布が設定の通りの状態となっていない場合がある。つまり、上記装置を用いても、常に同一条件の温度分布を維持することは非常に難しく、一時的に実現しても、連続式の装置において、長期的にその性能を維持することができる実動可能な装置は皆無といえる。こうした連続式の空気浄化装置においては、長期的に安定した滅菌処理を行うことが可能な使用を確保することが、大きな課題となっている。
(iii)また、医療機関においては、緊急手術等のために迅速に手術室や集中治療室(ICU)等の医療施設内の空気を高度の無菌状態にすることが必要となる場合がある。一方、連続的にこうした高度の無菌状態を維持することは、必ずしも必要ではなく、迅速に高度の無菌状態を確保できる設備に対する強い要望があった。しかしながら、従前の装置では、平時レベルの清浄化された室内空気からこうした高度の無菌状態にするために、最低でも30分〜1時間が必要であった。数分から10分程度で迅速に高度の無菌状態を確保できる空気精製処理装置が、大きな課題となっていた。
(iv)さらに、医療機関においては、停電や地震等の異常事態にも安全性が確保された設備が必要とされる。従前の空気精製処理装置では、想定された事態における装置内の空気精製処理機能を確保できるが、ユーティリティの異常事態に対応することを想定された空気精製処理装置はなく、医療機関のリスクとして大きな課題となっていた。
そこで、本発明の目的は、空気の精製処理において必要となるエネルギーを、効率的に使用し、装置全体のエネルギー負荷を軽減する空気精製処理装置およびこれを用いた空気の精製処理方法を提供することにある。また、高価な触媒あるいは放電手段やオゾン発生器等特殊な手段を用いずに、煩雑な保守を必要とせずに、長期間、連続的に安定的に滅菌処理が可能な空気精製処理装置およびこれを用いた空気の精製処理方法を提供することを目的とする。さらに、数分から10分程度で迅速に高度の無菌状態を確保できるとともに、停電や地震等の異常事態にも安全性が確保できる空気精製処理装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す空気精製処理装置およびこれを用いた空気の精製処理方法によって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明に係る空気精製処理装置は、処理対象となる原料空気の供給を担う原料供給部と、内部に熱交換手段を有し、前記原料供給部から供給された原料空気が予備加熱処理される予備加熱部と、該予備加熱部から供給された空気が高温酸化処理される反応器と、高温酸化処理された空気が供出される該反応器の供出部と前記熱交換手段を接続する高温空気流路と、該高温空気流路を介して前記熱交換手段から供出された空気を冷却する冷却部と、を備え、医療施設内の空気を処理対象として、前記予備加熱部において300℃以上に予備加熱され、前記反応器において無触媒条件で400℃以上に加熱された該空気の滅菌処理および精製処理が行われ、精製空気として供出されることを特徴とする。
こうした構成によって、反応器からの高温の空気の顕熱を予備加熱部の熱源として利用することによって、エネルギー効率の高い空気精製処理装置が可能となった。特に大量の空気を消費する設備において、非常に大きな効果を得ることができた。また、既述のように、医療施設内の空気に対して高度の精製処理を行うことは非常に難しく、特に、触媒等を用いずに、空気中に存在する細菌等を含む不純物を長期間安定的に低減することは、従前の方法では実現することはできなかった。本発明は、予備加熱段階で300℃以上に予備加熱された空気を準備し、これをさらに400℃以上に加熱することによって、触媒等を用いずに細菌等が除去され清浄化された空気を得ることを可能とした。加熱のみの酸化処理を可能とすることによって、長期間の使用における保守の大幅軽減、ランニングコストの低減を図ることを可能とした。
本発明は、上記空気精製処理装置であって、前記反応器の内部流路が前記熱交換手段の上部に配設され、前記冷却器の内部流路が前記熱交換手段の下部に配設されるとともに、前記予備加熱部の内部流路に前記高温空気流路から供出された高温の空気が流通され、その外周流路に前記原料供給部から供給された原料空気が流通され、前記冷却器の内部流路に前記予備加熱部から供出された低温の空気が流通され、その外周流路に冷却用冷媒が流通されることを特徴とする。
こうした構成によって、空気の精製処理において必要となるエネルギーを、効率的に使用し、装置全体のエネルギー負荷を軽減することができる、無触媒式の優れた空気精製処理装置を提供することが可能となった。つまり、本発明に係る空気精製処理装置は、高温処理が行われる反応器と、常温レベルの冷却処理が行われる冷却部と、を備えるとともに、常温レベルの原料空気と高温の加熱空気の熱交換処理が行われる予備加熱部を備える。これらを流通する空気に対するエネルギーの効率的な授受を図るとともに、各デバイスの最適な作動条件を確保し、デバイス間におけるエネルギーロスの少ない配置関係を確保することによって、装置全体のエネルギー負荷を軽減することができる。また、熱交換機能を有する予備加熱部および冷却器において、内部流路に高温流体が流通され、外周流路に低温流体が流通されることによって、高温流体のエネルギーを効率よく低温流体に伝達し、周囲温度との温度差が大きい高温流体からの直接的な放熱による大きなエネルギーロスを回避・軽減することができる。
本発明は、上記空気精製処理装置であって、前記熱交換手段が、前記予備加熱部の内部にジャバラ状の管状部を有する複数の細管を備え、該細管の内外部に流通する空気間での熱交換を行い、前記反応器が、メッシュ状または網目状の加熱素子からなる加熱体または/および加熱素子が内壁に密着して設けられた複数の細孔を有する加熱体を有し、該加熱体が反応器上流から下流に複数段に配設されるとともに、前記高温酸化処理された空気の流量および温度に対応して該複数段の加熱体の内の作動する数量あるいは供給電力を制御する機能を有する制御部を有することを特徴とする。(請求項3)
上記のように、原料空気を急速に300℃以上に予備加熱する機能と合せて400℃以上の高温で酸化処理された空気の1次冷却する機能を有する予備加熱部と、400℃以上の高温で酸化処理する機能を有する反応器と、高温処理された空気を徐々に冷却する機能を有する多段の冷却部と、が一体として、無触媒式で優れた空気精製処理装置を構成する。本発明は、こうした個々の機能を確保するために各構成要素を最適な構成としたもので、こうした構成によって、予備加熱部に要求される高い熱交換効率と耐熱性を確保するとともに、特に急速で、かつ大幅な温度変化に伴う熱歪を吸収することを可能とし、反応器に要求される空気の均等な高温加熱機構と耐熱性を確保することができる。また、空気精製処理装置の立ち上りや定常運転あるいは夜間の精製空気の給送量の低下等の条件に対応して、複数段の加熱体の作動段数や供給電力を制御することによって、数分から10分程度で迅速に高度の無菌状態を確保できるとともに、空気の精製処理において必要となるエネルギーを、効率的に使用し、装置全体のエネルギー負荷を軽減することができる。
また、前記反応器が、該反応器内部の上流から下流に、反応空間部を介在させて複数段に配設された加熱体を有し、該加熱体として、板状体に多数の細孔を設け、ニクロムを含む線状の加熱素子を細孔の内壁に密着して設けられたタイプを用いることを特徴とする。こうした構成によって、反応器の内部において被加熱空気の均等な流れを形成することが可能となった。具体的には、分散素子として機能する加熱体によって、被加熱空気は乱流状態を形成し、流れに垂直な方向に均等な熱分布を形成することができる。反応空間部では、こうした状態で受けて、層流に近い状態で下流の加熱体に被加熱空気が送給される。こうした流れを複数段経由することによって、反応器に導入された予熱空気は、均等に加熱され、均等な高温酸化処理を安定的に行うことができる。
本発明は、上記空気精製処理装置であって、前記冷却部において冷却された供出された空気中の残存不純物等が、濾過処理され精製空気として供出される濾過処理部、または吸着処理され精製空気として供出される吸着処理部を備えるとともに、前記原料空気を吸引する原料供給部と、該原料供給部から供出された該原料空気の一部を前記原料供給部に供給し前記濾過処理部または吸着処理部から供出された前記精製空気を吸引する精製空気供給部と、該精製空気供給部から供出された前記精製空気の一部を前記原料供給部の吸引側に供出される還流流路と、を有し、前記精製空気の供給流量に応じて前記精製空気供給部から前記原料供給部の吸引側に供出される精製空気の添加量を制御することを特徴とすることを特徴とする。
上記のように、空気精製処理装置であっては、常温・常圧の原料空気に対して加熱処理や冷却処理および吸着処理という複数の処理が行われる。従って、各処理を安定的に行うには、流量条件および圧力条件の安定性が不可欠である。本発明は、原料空気を吸引する原料供給部と各処理がされた後の精製空気を吸引する精製空気供給部を、いわゆるPush−Pullタイプの給送機能として組合せることによって、各処理部における圧力条件を略常圧とし、各処理部およびその間の流路での負荷を軽減し、そこでの流量条件および圧力条件の安定性を確保することができた。また、原料供給部と精製空気供給部から供出される空気を分岐し、それぞれ原料供給部の吸引側に添加可能な構成とすることによって、各処理部での負荷を軽減するとともに、要求される精製空気の供給流量が変動しても、これに対応可能な空気精製処理装置を構成することが可能となった。
本発明は、上記いずれかの空気精製処理装置を用い、医療施設内の空気を処理対象として該空気の滅菌処理を行う精製処理方法であって、少なくとも、
(1)処理対象となる原料空気を、300℃以上に急速予備加熱処理する工程と、
(2)予備加熱された空気を、400℃以上に急速高温酸化処理する工程と、
(3)酸化処理された空気を、前記原料空気と熱交換し1次冷却処理する工程と、
(4)1次冷却処理された空気に対し、2次冷却処理を行う工程と、
(5)2次冷却処理された空気中の残存不純物を、濾過処理または吸着処理する工程と、
を有することを特徴とする。
こうした精製プロセスによって、触媒等を用いずに滅菌処理され、清浄化された空気を得ることを可能とし、長期間の使用における保守の大幅軽減、ランニングコストの低減を図り、さらに、エネルギー効率の高い空気精製処理を可能とした。また、急速加熱による高温酸化処理によって、一気に酸化処理を行い、酸化処理後の2次副生物の発生を抑制することができるとともに、多段階の冷却処理によって、吸着処理までの処理手段の材質的あるいは構造的な負荷を軽減することができる。
本発明は、上記精製処理方法であって、少なくとも、前記原料空気の供給流量,前記予備加熱処理および高温酸化処理の処理温度,前記2次冷却処理に用いる冷媒の供給流量,および前記処理工程(1)〜(5)によって処理された精製空気の給送流量を測定し、各々所定量に制御するとともに、
前記測定値のいずれかが前記所定量を含む所定の範囲を超えた場合に、前記処理工程(1)〜(5)の停止,および/または前記原料空気および/または冷媒の供給停止,および/または前記精製空気の給送停止,および/または警告信号の発信を含む、制御機能を有することを特徴とする。
こうした制御機能を有することによって、停電や地震等の異常事態にも安全性が確保できる空気精製処理装置を提供することが可能となる。つまり、医療機関における最重要課題である安全性の高い医療の提供に供することができる。
本発明に係る空気精製処理装置の基本構成を例示する全体構成図。 本発明に係る空気精製処理装置の構成を例示する全体構成図。 予備加熱部の内部構成を例示する構成図。 反応器の構成を例示する構成図。 本発明に係る空気精製処理装置の第2構成例を示す全体構成図。 本装置による精製機能の検証結果を例示する説明図。 従来技術に係る空中浮遊微生物の加熱滅菌方法を例示する全体構成図。
本発明に係る空気精製処理装置(以下「本装置」という)は、処理対象となる原料空気の供給を担う原料供給部と、内部に熱交換手段を有し、原料供給部から供給された原料空気が予備加熱処理される予備加熱部と、予備加熱部から供給された空気(以下「予熱空気」という)が高温酸化処理される反応器と、高温酸化処理された空気(以下「高温空気」ということがある)が供出される反応器の供出部と熱交換手段を接続する高温空気流路と、高温空気流路を介して予備加熱部からから供出された空気(以下「低温空気」ということがある)を冷却する冷却部と、を備え、医療施設内の空気を処理対象として、予備加熱部において300℃以上に予備加熱され、反応器において無触媒条件で400℃以上に加熱された該空気の滅菌処理および精製処理が行われ、精製空気として供出されることを特徴とする。高価な触媒等を用いずに、煩雑な保守なく、長期間、連続的に安定的に、滅菌処理および精製処理が可能となるとともに、装置全体のエネルギー負荷を軽減することが可能となった。以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
<本装置の構成例>
本装置の実施態様として、基本的な概略全体構成を、図1(A)および(B)に例示する(第1構成例)。本装置は、原料供給部1、予備加熱部2、反応器3、冷却部4を備える。空気精製処理開始において、原料空気が、原料供給部1から予備加熱部2に導入される。原料供給部1では、原料空気が、原料吸引流路L1を介して吸引され、ろ過フィルタ(図示せず)によって粉塵や微粒子が除去された後、ポンプやブロア等の給送手段によって、原料供給流路L2を介して予備加熱部2に給送される。予備加熱部2に導入された原料空気は、予備加熱部2内に設けられた熱交換手段20(後述)において反応器3からの高温の高温空気との熱交換によって、300℃以上に予備加熱される(予熱空気)。予熱空気は、反応器3に導入され、400℃以上の高温条件下において高温酸化処理される(高温空気)。高温空気は、高温空気流路L4を介して予備加熱部2に還流され、熱交換手段20における原料空気との熱交換によって、約100〜200℃に冷却される(低温空気)。低温空気は、低温空気流路L5を介して冷媒が供給される冷却部4に導入され、冷媒との熱交換によって、約20〜30℃に冷却される(冷却空気)。冷却空気は、精製空気流路L6を介して精製空気として供出される。このとき、後述するように、冷却空気を吸着剤が配設された濾過処理部または吸着処理部に導入され、残存する不純物が濾過処理または吸着処理されることによって、より清浄化された精製空気を得ることができる。図1(A)は、向流式の熱交換手段20が予備加熱部2内に設けられた構成例を示し、図1(B)は、並流式の熱交換手段20が予備加熱部2内に設けられた構成例を示す。前者は、熱交換手段20における熱交換効率が高く、後者は原料空気の流量による低温空気の温度制御が容易であり、本装置の設置条件や使用条件(精製空気の給送量)等によって選択することができる。
本装置は、反応器3の内部流路(図示せず)が、熱交換手段20の上部に配設され、冷却器4の内部流路(図示せず)が、熱交換手段20の下部に配設されることが好ましい。図2に例示するように構成することによって、エネルギーの効率的に使用を可能とし、本装置全体のエネルギー負荷を軽減することができる(例示された構成は熱交換手段20)。冷却水等の冷媒を使用し低温での処理が行われる冷却部4の内部流路を最下部に設け、高温処理が行われる反応器3の内部流路を最上部に設け、その中間部に常温レベルの原料空気と高温の加熱空気の熱交換処理が行われる予備加熱部を設けることによって、これらを流通する空気に対するエネルギーの効率的な授受を図るとともに、各デバイスの最適な作動条件を確保し、デバイス間におけるエネルギーロスの少ない配置関係を確保することができ、装置全体のエネルギー負荷を軽減することができる。
また、予備加熱部2の内部流路に高温空気流路L4から供出された高温空気が流通され、その外周流路(図示せず)に原料供給部1から供給された原料空気が流通され、冷却器4の内部流路に予備加熱部2から供出された低温空気が流通され、その外周流路(図示せず)に冷媒が流通されることが好ましい。予備加熱部2において、高温流体である高温空気(400℃以上)のエネルギーを効率よく低温流体である原料空気(約20〜30℃)に伝達ことができるとともに、冷却器4において、高温流体である予備加熱部2から供出された低温空気(約100〜200℃)のエネルギーを効率よく低温流体である冷媒(例えば約5〜20℃)に伝達ことができる。また、高温流体と予備加熱部2の周囲環境との中間に低温流体が介在する構成とすることによって、高温流体の温度と周囲温度との大きな温度差が推進力となって生じる放熱による大きなエネルギーロスを低減することができる。エネルギーの効率的に使用を可能とし、本装置全体のエネルギー負荷を軽減することができる。
〔予備加熱部〕
予備加熱部2は、図3に例示するような構成が挙げられる。外部との取合いフランジ部に2つの空気導入口(第1導入口2a,第2導入口2d)と2つの空気供出口(第1供出口2c,第2供出口2e)を有し、内部空間2bに複数のジャバラ状の管状部21と細管部22を有する熱交換手段20が配設されている。第1導入口2aから導入された低温の原料空気は、内部空間2bにおいて管状部21外壁からの温熱を吸収して急速に温度上昇し、さらに細管部22の外壁からの温熱を吸収して、第1供出口2cから300℃以上の高温の予熱空気として供出される。一方、第2導入口2dから導入された400℃以上の高温の高温空気は、細管部22において温熱(顕熱)を放出して徐々に温度低下し、さらに管状部21において温熱を吸収して、第2供出口2eから約100〜200℃に冷却された低温空気として供出される。
なお、ここでは、熱交換手段20の外部に原料空気を供給し、内部に高温空気を向流式に供給する構成を例示したが、原料空気と原料空気を入れ替えた場合や並流式の構成を用いることができることはいうまでもない。また、予備加熱部2は、400℃以上の高温の高温空気が導入されることから、熱伝導性に加え、弾性を有する耐熱性の高い素材によって構成されることが要求され、例えばステンレス鋼としてSUS−310S等を用いることが好ましい。さらに、予備加熱部2には、精製空気の需要量が多くなり、還流される高温空気の温熱だけでは予備加熱に必要な熱源が不足する場合に備え、別途加熱手段を設けることが好ましい。このとき、原料空気の導入側に近く、高温空気の供出側に遠い部位に加熱手段を設けることが好ましい。
また、管状部21における「ジャバラ状」とは、管状体の断面が、近似的に波状や三角状あるいは半球状またはこれらの組合せの形状、またはこうした断面がスパイラル状に配設された形状を含む。熱交換に資する管体の表面積を大きくすることができるとともに、菅壁の一面に高温の高温空気(最大約400℃)が流通し、他面に低温の原料空気(最低常温:例えば20℃)が流通することから生じる熱歪に伴う管体の変形を緩衝することができる。また、ジャバラ状部分は、自在性を確保するために菅の肉厚を小さくすることができることから、この部分において高い熱交換効率を得ることができる。つまり、予備加熱部2における原料空気の急速加熱を可能とし、同時に高温空気の1次冷却に寄与する。
一方、細管部22は、管状部21に比較して単位長さ当りに大きな熱容量を有する直管状に構成されることによって、高温空気の高い顕熱を細管部22に保持し、原料空気を穏やかに安定的に加熱することができる。従って、予熱空気の予熱温度の安定化を図ることができ、後段の反応器3での加熱温度(反応温度)の安定化に寄与することができる。また、予備加熱部2の内部流路に高温空気流路L4から供出された高温空気が流通され、その外周流路に原料供給部1から供給された原料空気が流通されることによって、高温空気のエネルギーを効率よく原料空気に伝達ことができるとともに、高温空気と予備加熱部2の周囲環境との中間に低温流体が介在する構成とすることによって、高温空気の温度と周囲温度との大きな温度差が推進力となって生じる放熱による大きなエネルギーロスを低減することができる。
〔反応器〕
反応器3は、図4に例示するような構成が挙げられる。外部との取合いフランジ部に予熱空気導入口3aと高温空気供出口3bを有し、加熱体3cが反応空間部3dを介在させて、反応器3内部の上流から下流に複数段に配設されている。予熱空気導入口2aから導入された300℃以上の高温の予熱空気は、加熱体3cによってさらに400℃以上の高温に加熱され、空気中のメタン等の炭化水素や一酸化炭素を含む低濃度成分が酸化処理される。酸化処理された高温空気は、高温空気供出口3bから高温状態を維持した状態で供出される。ここで、反応器3は、400℃以上の高温酸化処理が行われることから、耐熱性が高く高温破壊に強い素材によって構成されることが要求され、例えばステンレス鋼としてSUS−310S等を用いることが好ましい。
加熱体3cは、メッシュ状または網目状の加熱素子からなる構成、または/および加熱素子が内壁に密着して設けられた複数の細孔を有する構成が挙げられる。こうした構成によって、被加熱空気を効率的に分散することができるとともに、均等な流れを形成することができ、400℃以上の高温に加熱することが可能となり、かつ長期的に安定な加熱が可能となった。また、被加熱空気との接触時間が長く、均一な流通を形成することが可能となった。さらに、こうした構成は、高温加熱に伴い発生する熱歪による加熱体3cの変形を防止し、高熱破壊を回避することが可能となった。具体的には、ニクロム等からなる抵抗式加熱素子をメッシュ状に成形し、周端部を反応器3の内壁に接触させたタイプ,網目状に形成された平面状の抵抗式加熱素子を巻回し、周回部を反応器3の内壁に接触させたタイプ,あるいは板状体に多数の細孔を設け、線状の加熱素子を細孔の内壁に密着して設けられたタイプを用いることができる。
また、反応器3の内部に加熱体3cが反応空間部3dを介在させて複数段に配設された構成によって、反応器3の内部において被加熱空気の均等な流れを形成することが可能となった。具体的には、分散素子として機能する加熱体3cによって、被加熱空気は乱流状態を形成し、流れに垂直な方向に均等な熱分布を形成することができる。反応空間部3dでは、こうした状態で受けて、層流に近い状態で下流の加熱体3cに被加熱空気が送給される。こうした流れを複数段経由することによって、反応器3に導入された予熱空気は、均等に加熱され、均等な高温酸化処理を安定的に行うことができる。また、このとき、投入される電源を連続供給式とせずに、間欠供給式とすることによって供給エネルギーを大幅に低減することができる。従前方法と異なり、上記のような加熱素子の構造および分散素子として機能によって、反応器3が有する熱容量を大きくすることができ、非連続的に電源投入を投入することによって、空気の滅菌処理および精製処理に十分な加熱条件を確保することができる。具体的には、後述する検証結果のように、従来品に比較し約半分以下の投入電力で、同一効果を得ることができた。
また、反応器3は、上流から下流に複数段の加熱体3cが配設されることから、加熱体3cの作動段数や供給電力を制御することによって、高温酸化処理された空気の流量および温度に対応して迅速に反応温度まで加熱することができる。具体的には、例えば6段の加熱体3cが配設された反応器3において、本装置の立ち上りにおいて6段全ての加熱体3cを作動させることによって、迅速に反応温度まで加熱することができる。一方、例えば定常運転状態あるいは夜間の精製空気の給送量が低下した状態においては、こうした条件に対応して1あるいは5段以下の加熱体3cを作動させることによって、空気の精製処理において必要となるエネルギーを、効率的に使用し、装置全体のエネルギー負荷を軽減することができる。さらには、加熱体3cの一部が破損しても、他の加熱体によって補完することが可能となり、長期間の使用や部品交換等による使用の中断が難しい医療機関においては、不可欠な機能を有することができる。
〔反応温度の設定〕
本装置は、反応器3において、無触媒条件で400℃以上に反応温度が設定される。後述するように、細菌等を含む空気を反応器3に導入し、そのときの細菌等の残存率と反応温度の関係を実証した結果、反応温度が約300℃を超えると急激に酸化反応が進み、約400℃において略0%近い残存率となることが判った。本装置では、こうした反応特性を有効に活かし、予備加熱を、反応が進行する温度に近い約300℃以上に設定し、反応器3における反応温度を約400℃以上に設定することが好ましい。予備加熱を約300℃以上とすることによって、反応器3における負荷を軽減するとともに、予備加熱部2において高温空気が有する温熱を効果的に吸収することができる。
〔冷却部〕
本装置では、低温空気がさらに冷却部4に導入され、約20〜30℃の冷却空気が形成される。冷却部4には、低温空気と熱交換をする冷媒が導入される。冷媒としては、処理対象の空気が多量の場合には、熱容量の大きい例えば常温の市水や工場用水等を用いることができる。また、チラー等熱媒体用冷却機を用いて例えば5〜20℃に冷却された市水や工場用水等あるいはブライン水を用いることができる。
精製空気の需要量が大きい場合には、冷却部4の前段(1次冷却処理)あるいは後段(2次冷却処理)に更なる冷却器(1次冷却部または2次冷却部)を設け、多次の冷却処理を行うことも可能である。ここで、2次冷却部から供出された2次冷媒を、1次冷媒として1次冷却部に供給し、供出された1次冷媒をさらに2次冷媒の原水として利用する構成を用いることが可能である。複数の冷媒を準備することなく、循環的に冷媒を利用することによって、コンパクトな本装置を構成し、エネルギーの効率的利用ができる。また、冷却部4の内部流路に予備加熱部2から供出された低温空気が流通され、その外周流路に冷媒が流通されることによって、低温空気のエネルギーを効率よく冷媒に伝達ことができるとともに、低温空気と冷却部4の周囲環境との中間に冷媒が介在する構成とすることによって、低温空気の温度と周囲温度との温度差が推進力となって生じる放熱による大きなエネルギーロスを低減することができる。
〔本装置の他の構成例〕
本装置の第2構成例を、図5に示す。基本的な構成は、第1構成例と同様であるが、原料空気を吸引する原料供給部1と各処理がされた後の精製空気を吸引する精製空気供給部6を、いわゆるPush−Pullタイプの給送機能として組合せた構成を特徴とする。具体的には、第1構成例の構成に加え、原料供給部1から供出された原料空気の一部を分流し原料供給部1の吸引側に供出されるバイパス流路L3と、吸着処理部5から供出された精製空気を吸引する精製空気供給部6と、精製空気供給部6から供出された精製空気の一部を原料供給部1の吸引側に供出される還流流路L7と、を有するとともに、精製空気の供給流量に応じて精製空気供給部6から原料供給部1の吸引側に供出される精製空気の添加量が制御される。複数の処理が行われ、特に高温処理される流路では、流通抵抗の増大に伴う圧力損失の増加・圧力の不安定化を将来する可能性があり、Push−Pullタイプの給送機能を設けることによって、各処理部における圧力条件を略常圧とし、各処理部およびその間の流路での負荷を軽減し、そこでの流量条件および圧力条件の安定性を確保することができる。
つまり、各処理部の上流段の原料供給流路L2にバイパス流路L3に繋がる分岐を設けることによって、原料供給部1によりPushされた原料空気は、原料供給流路L2において原料吸引流路L1と略同じ圧力条件(略常圧)となる。また、各処理部の下流段の精製空気流路L6に還流流路L7に繋がる分岐を設けることによって、精製空気供給部6によりPullされた精製空気の圧力は、精製空気流路L6において原料吸引流路L1と略同じ圧力条件(略常圧)となる。このように、原料空気の吸引側および精製空気の供給側を含む各処理部での圧力は、原料吸引流路L1と略同じ圧力条件を維持することができ、各処理部での不安定要素を低減し安定した条件を確保することができる。
原料供給部1から供出される原料空気の一部を原料供給部1の吸引側に添加可能な構成は、原料供給部1についての原料空気の循環系を形成することができ、原料供給部1の適正流量での連続稼動により負荷を軽減することができるとともに、原料空気の吸引流量を精度よく調整することができる。また、精製空気供給部6から供出される精製空気の一部を原料供給部1の吸引側に添加可能な構成は、処理対象となる原料空気を前置的に清浄化することとなり、反応器3や吸着処理部5の負荷を軽減することができる。と同時に、精製空気供給部6(および原料供給部1)についての精製空気(および原料空気)の循環系を形成することができ、精製空気供給部6の適正流量での連続稼動により負荷を軽減することができるとともに、要求される精製空気の供給流量(および原料空気の吸引流量)が変動しても、これに対応して精度よく調整することができる。
また、冷却部4において冷却された供出された空気中の残存不純物等が、濾過処理され精製空気として供出される濾過処理部5、または吸着処理され精製空気として供出される吸着処理部5を備えることが好ましい。より清浄化された精製空気を得ることができる。濾過処理部5では、冷却部4から導出された冷却空気が、濾過材5a(図示せず)によって気固分離処理される。分離された固体成分(反応器3において生成した塵埃を含む)が、粉塵として取り出される。分離され清浄化された気体成分は、精製空気として供出される。濾過材5aとしては、ガラス繊維やPTFE、セラミック系の濾過材等を主成分とする濾過織布や濾過不織布,粒状体あるいは粉状体等を用いることが好ましい。医療施設等に用いられる場合には、臭気や非常に微量な成分が吸着された微粒子を含めて除去することによって、さらに感染性細菌等が低減された精製空気を作製することが可能となった。
冷却部4から供出された冷却空気は、吸着剤が充填された吸着処理部5に導入される。冷却部4において低温化された状態で該吸着材と接することによって、高い吸着機能を得ることができる。吸着処理部5は、粒状体や粉状体あるいはハニカム状体の吸着材が配設された構成が挙げられる。冷却空気との接触が均等で、かつ大きな空間速度を確保することができる。吸着材としては、微量の不純物の除去可能な吸着材であれば、特に限定されるものではないが、医療施設等に用いられる場合には、臭気や非常に微量な成分を、さらに低濃度まで除去することができる素材の選定が好ましい。例えば、安価な活性炭を用いることができる。本装置では、さらに焼結処理された活性炭が好適である。高温酸化処理された後の低濃度成分に対する吸着能力と耐久性を確保し、高度な精製機能を長期間維持することができる。また、細砕化されることによって、強固な状態を維持した状態で、より大きな空間速度を確保するができる。ここで用いる吸着材は、比表面積が1000m/g以上、より好ましくは1500m/g以上であることによって、原料空気中に含まれる微量の不純物を除去することができる。また、充填密度が0.3g/cm以上、より好ましくは0.4g/cm以上であることによって、より均等な冷却空気との接触を確保し、大きな空間速度を得ることができる。
<本装置を用いた有機物質を含む原料の処理方法>
次に、本装置を用いた原料の処理方法(以下「本処理方法」という)を詳述する。本処理方法は、少なくとも以下の工程を有し、医療施設内の空気を処理対象として該空気の滅菌処理を行う。
(1)処理対象となる原料空気を、300℃以上に急速予備加熱処理する工程
(2)予備加熱された空気を、400℃以上に急速高温酸化処理する工程
(3)酸化処理された空気を、原料空気と熱交換し1次冷却処理する工程と、
(4)1次冷却処理された空気に対し、2次冷却処理を行う工程と、
(5)2次冷却処理された空気中の残存不純物を、濾過処理または吸着処理する工程
触媒等を用いずに滅菌処理され、清浄化された空気を得ることを可能とし、長期間の使用における保守の大幅軽減、ランニングコストの低減を図り、さらに、エネルギー効率の高い空気精製処理を可能とした。
また、本処理方法は、急速加熱による高温酸化処理によって、一気に滅菌処理を行い、サーマルNOx等酸化処理後の2次副生物の発生を抑制することができるとともに、冷却処理において過冷却による凝縮物発生や局部冷却による腐食の発生等を防止し、吸着処理までの処理手段の材質的あるいは構造的な負荷を軽減することができる。以下、各工程について、図1のような構成を有する本装置を用いた場合に基づき、詳述する。
(1)処理対象となる空気を300℃以上に急速予備加熱処理する工程
原料供給部1から予備加熱部2に導入された低温(常温)の原料空気が、後段(3)において作製された高温空気と熱交換し、300℃以上に予備加熱される。このとき、急速に反応温度に近く、かつ副次的な反応が生じない約300℃以上にまで加熱することによって、さらに高温に加熱する反応器3における負荷を軽減するとともに、高温空気が有する温熱を効果的に吸収することができる。後述するように、反応温度は、約500℃を下回ることが好ましい。反応によって作製された高温空気との熱交換において、特殊な耐熱性材料を用いずに予備加熱部2を構成することができる。
(2)予備加熱された空気(予熱空気)を400℃以上に急速高温酸化処理する工程
非常に低濃度成分の酸化処理は、処理される予熱空気を迅速に反応温度にまで上げて所定時間その状態を確保することが好ましい。反応器3では、300℃以上にまで加熱された予熱空気を、迅速に反応温度まで上げ、多段の加熱体3cによる加熱によって反応温度を維持し、低濃度のメタンを含む不純物に対して高い高温酸化処理効率を確保した。反応温度は、約500℃を下回ることが好ましい。サーマルNOx等酸化処理後の2次副生物の発生を抑制するとともに、特殊な耐熱性材料を用いずに反応器3を構成することができる。
(3)酸化処理された空気(高温空気)を原料空気と熱交換し1次冷却処理する工程
酸化処理された高温空気は、吸着機能を確保するために常温付近まで冷却する必要があるとともに、それが有する大きな温熱(顕熱)をそのまま放出するのはエネルギー損失が大きい。従って、高温空気を原料空気と熱交換することによって、この顕熱を原料空気に伝達するとともに、自らは低温化された低温空気として次なる処理がなされる。
(4)1次冷却処理された空気(低温空気)に対し2次冷却処理を行う工程
400℃以上の高温空気を常温まで一気に冷却するのは、エネルギーのロスも大きく、また上記のように、過冷却による凝縮物発生や局部冷却による腐食の発生が生じるおそれがある。多次の冷却処理を行うことによって、こうしたリスクを回避し、高度に酸化処理された高温空気の性状を維持したまま安定的に後段の処理を行うことができる。
(5)2次冷却処理された空気中の残存不純物を、濾過処理または吸着処理する工程
常温近くに冷却された高温空気は、例えば無機化合物や窒素酸化物等、酸化処理では除去できない不純物を処理することが要求される。本装置では、濾材あるいは焼結活性炭等の吸着剤によって、こうした不純物を処理することによって、非常に高い精製処理がなされた精製空気を得ることができる。
〔処理方法における制御機能について〕
上記処理工程(1)〜(5)において、少なくとも原料空気の供給流量,予備加熱処理および高温酸化処理の処理温度,2次冷却処理に用いる冷媒の供給流量,および精製空気の給送流量を測定することが好ましい。各々適正な所定量に制御するとともに、仮に停電や地震等の異常事態において、測定値のいずれかが該所定量を含む所定の範囲を超えた場合に、上記処理工程(1)〜(5)の停止,および/または原料空気および/または冷媒の供給停止,および/または精製空気の給送停止,および/または警告信号の発信を含む、制御処理を行うことができる。つまり、こうした機能を有することによって、停電や地震等の異常事態にも高い安全性が確保でき、医療機関における最重要課題である安全性の高い医療の提供に役立つことができる。
<本装置におけるエネルギーの低減機能および精製機能の検証>
本装置を用い、従来製品との比較によるエネルギーの低減機能の検証試験を行った。また、原料空気(外気)を所定量採取し、所定条件で所定時間培養した試料を測定し、本装置の精製機能の検証試験を行った。
(ア)エネルギー低減機能の検証
(ア−i)検証条件
400℃に設定された加熱処理部を有する従前装置(連続電力供給式)および本装置(間欠電力供給式)を用いて、昼間において約15m/min、夜間において約7.5m/minの空気を精製し、そのときの消費電力を比較した。本装置は、電力供給時間5分に対し停止時間6分で設定された。
(ア−ii)検証結果
従来製品および本装置において消費電力を測定した結果を、表1に例示する。従前装置約54KW/hrに比較し、本装置においては約52〜56%低減することができるとの結果を得た。以上のように、本装置では、滅菌処理された精製空気を作製する反応温度400℃以上を確保するために必要な供給エネルギーを大幅に低減することができることが確認された。
Figure 0005892553
(イ)精製機能の検証
(イ−i)検証条件
エアサンプラー(MAS−100(TM);Merk millipore社製)を用い、本装置に流量約100L/minで供給された原料空気を約500L採取し、本装置から供出された精製空気約500Lを採取し、下記の条件によって培養された試料(各空気)中の細菌および真菌を測定した。本装置における反応器3は、反応温度400〜600℃で設定した。細菌は、寒天平板培地(栄研化学社製)を用い、30〜35℃で5〜7日間培養し、真菌は、寒天平板培地およびポテトデキストロース寒天培地(栄研化学社製)を用い、20〜25℃で7〜10日間培養した。
(イ−ii)検証結果
表2は、原料空気および精製空気に係る培養された試料を測定した結果を例示する。原料空気に関しては、(a)60〜80CFU/mの細菌が確認され、(b)100〜320CFU/mの真菌が確認され、精製空気に関しては、(c)および(d)0〜3CFU/mの細菌が確認され、(e)および(f)0CFU/mの真菌が確認された。精製空気に関しては、いずれも医療施設において要求される最も高いクリーン度である「清浄度クラスI」(高度清潔区域)の基準値3.5個/m以下をクリアするものであるが確認された。ここで、(c)は、反応温度500℃において0CFU/mの細菌が確認された試料を例示し、(d)は、反応温度400℃において3CFU/mの細菌が確認された試料を例示する。また、図6は、そのときの細菌および真菌の残存率と反応温度の関係を検証した結果を示す。確認された細菌として、放射菌,環境菌,枯草菌等の芽胞菌等が同定された。また、確認された真菌として、アカパンカビやアスペルギルス属のカビ等が同定された。以上のように、本装置において反応温度を400℃以上に設定することによって、十分に滅菌処理された精製空気を供給することができることが確認された。
Figure 0005892553
1 原料供給部
2 予備加熱部
3 反応器
4 冷却部
5 吸着処理部
6 精製空気供給部
L1 原料吸引流路
L2 原料供給流路
L3 バイパス流路
L4 高温空気流路
L5 低温空気流路
L6 精製空気流路
L7 還流流路

Claims (6)

  1. 処理対象となる原料空気の供給を担う原料供給部と、内部に熱交換手段を有し、前記原料供給部から供給された原料空気が予備加熱処理される予備加熱部と、該予備加熱部から供給された空気が高温酸化処理される反応器と、高温酸化処理された空気が供出される該反応器の供出部と前記熱交換手段を接続する高温空気流路と、該高温空気流路から供出された空気を冷却する冷却部と、を備え、
    前記反応器の内部流路が前記熱交換手段の上部に配設され、前記冷却器の内部流路が前記熱交換手段の下部に配設されるとともに、
    前記予備加熱部の内部流路に前記高温空気流路から供出された高温の空気が流通され、その外周流路に前記原料供給部から供給された原料空気が流通され、前記冷却器の内部流路に前記予備加熱部から供出された低温の空気が流通され、その外周流路に冷却用冷媒が流通され、
    医療施設内の空気を処理対象として、前記予備加熱部において300℃以上に予備加熱され、前記反応器において無触媒条件で400℃以上に加熱された該空気の滅菌処理および精製処理が行われ、精製空気として供出されることを特徴とする空気精製処理装置。
  2. 前記冷却部において冷却された供出された空気中の残存不純物等が、濾過処理され精製空気として供出される濾過処理部、または吸着処理され精製空気として供出される吸着処理部を備えるとともに、前記原料空気を吸引する原料供給部と、該原料供給部から供出された該原料空気の一部を前記原料供給部に供給し前記濾過処理部または吸着処理部から供出された前記精製空気を吸引する精製空気供給部と、該精製空気供給部から供出された前記精製空気の一部を前記原料供給部の吸引側に供出される還流流路と、を有し、前記精製空気の供給流量に応じて前記精製空気供給部から前記原料供給部の吸引側に供出される精製空気の添加量を制御することを特徴とする請求項記載の空気精製処理装置。
  3. 前記熱交換手段が、前記予備加熱部の内部にジャバラ状の管状部を有する複数の細管を備え、該細管の内外部に流通する空気間での熱交換を行い、
    前記反応器が、メッシュ状または網目状の加熱素子からなる加熱体または/および加熱素子が内壁に密着して設けられた複数の細孔を有する加熱体を有し、該加熱体が反応器上流から下流に複数段に配設されるとともに、前記高温酸化処理された空気の流量および温度に対応して該複数段の加熱体の内の作動する数量あるいは供給電力を制御する機能を有する制御部を有することを特徴とする請求項1または2記載の空気精製処理装置。
  4. 前記反応器が、該反応器内部の上流から下流に、反応空間部を介在させて複数段に配設された加熱体を有し、該加熱体として、板状体に多数の細孔を設け、ニクロムを含む線状の加熱素子を細孔の内壁に密着して設けられたタイプを用いるとともに、前記高温酸化処理された空気の流量および温度に対応して該複数段の加熱体の内の作動する数量あるいは供給電力を制御する機能を有する制御部を有することを特徴とする請求項1または2記載の空気精製処理装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の空気精製処理装置を用い、医療施設内の空気を処理対象として該空気の滅菌処理を行う精製処理方法であって、少なくとも、
    (1)処理対象となる原料空気を、300℃以上に急速予備加熱処理する工程と、
    (2)予備加熱された空気を、400℃以上に急速高温酸化処理する工程と、
    (3)酸化処理された空気を、前記原料空気と熱交換し1次冷却処理する工程と、
    (4)1次冷却処理された空気に対し、2次冷却処理を行う工程と、
    (5)2次冷却処理された空気中の残存不純物を、濾過処理または吸着処理する工程と、
    を有することを特徴とする空気の精製処理方法。
  6. 少なくとも、前記原料空気の供給流量,前記予備加熱処理および高温酸化処理の処理温度,前記2次冷却処理に用いる冷媒の供給流量,および前記処理工程(1)〜(5)によって処理された精製空気の給送流量を測定し、各々所定量に制御するとともに、
    前記測定値のいずれかが前記所定量を含む所定の範囲を超えた場合に、前記処理工程(1)〜(5)の停止,および/または前記原料空気および/または冷媒の供給停止,および/または前記精製空気の給送停止,および/または警告信号の発信を含む、制御機能を有することを特徴とする請求項5記載の空気の精製処理方法。
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