JP5890197B2 - タイヤ及びタイヤ製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ及びタイヤ製造方法に関する。
近年、環境保護の観点から、車両の燃費の低減に対する要求が高まっており、空気入りタイヤ(以下、タイヤ)のタイヤ重量の軽量化が求められている。また、タイヤ重量の軽量化を図るための一つの方法として、ビード部のトレッド幅方向における厚みを薄くする方法がある。
ここで、ビード部は、タイヤが正規リムに装着される際、正規リムに当接することによって、タイヤを正規リムに保持する。このようなビード部の厚みを薄くすると、正規リムに当接するビード部のリム当接面の面積が小さくなるため、正規リムとビード部との摩擦力が低下する。
したがって、ビード部の厚みを薄くしたタイヤでは、車両から車輪にトルクが負荷されても、タイヤと正規リムとの間にすべりが発生してしまい、トルクが路面に有効に伝達されないおそれがある。
ところで、近年では、空気入りタイヤ(以下、タイヤ)のタイヤ表面に数マイクロメートルの凹凸を形成する微細加工技術の利用が広まっている(例えば、特許文献1参照)。
かかる微細加工技術を用いて、ビード部のリム当接面に凸を形成すれば、当該凹凸が、リム表面の凸に入り込むので、リムとビード部との当接面積が広くなる。このようなタイヤによれば、リム当接面とリム表面とのファンデルワールス力が高まるとともに、ビード部と正規リムとの摩擦力を向上できるので、タイヤと正規リムとのすべり量を抑制することが可能になる。
特開平7−69010公報
しかしながら、従来技術に係るタイヤでは、微細加工技術を用いて、ビード部のリム当接面に凸を形成できるものの、最適な凸の形状及び配列間隔が考慮されていない。その結果、従来技術に係るタイヤでは、当該凸をリム表面の凸に十分に入り込めることができず、タイヤと正規リムとのすべり量を十分に抑制することができないという問題があった。
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、タイヤとリムとのすべり量をより抑制して、タイヤ重量の軽量化に寄与することが可能なタイヤ及びタイヤ製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るタイヤ(空気入りタイヤ1)の特徴は、正規リム(正規リム19)に装着される際、正規リムに当接するリム当接面(リム当接面21)を有するタイヤであって、リム当接面の少なくとも一部の領域において、リム当接面からタイヤ外側方向に向かって突出する凸部(凸部80)が、規則的に配列されており、リム当接面に沿った方向において、凸部の最大幅Lは、0.1μm以上50μm未満の範囲内であり、リム当接面から、タイヤ外側方向に向かって凸部の最も外側に位置する点までの凸部の高さHは、0.1μm以上10μm未満の範囲内であり、リム当接面に沿った方向において、凸部の配列間隔Pは、0.1μmよりも大きく50μm以下の範囲内であることを要旨とする。
かかるタイヤでは、リム当接面の少なくとも一部の領域に凸部が規則的に配列されている。凸部の最大幅Lは、0.1μm以上50μm未満の範囲内であり、凸部の高さHは、0.1μm以上10μm未満の範囲内である。凸部の配列間隔Pは、0.1μmよりも大きく50μm以下の範囲内である。
このような形状及び配列間隔の凸部は、従来技術によって形成した凸部と比べて、正規リムのリム表面の凹凸により確実に入り込むことができるので、正規リムとビード部との当接面積をより広くすることができる。このようなタイヤによれば、リム当接面とリム表面とのファンデルワールス力が高まるとともに、ビード部と正規リムとの摩擦力を向上できる。
よって、タイヤでは、従来技術に係るタイヤに比べて、正規リムとのリム当接面の面積を小さくしても、タイヤと正規リムとのすべり量をより抑制することが可能になる。つまり、タイヤでは、ビード部のトレッド幅方向の厚みを薄くしても、タイヤと正規リムとのすべり量を抑制することが可能になるため、ビード部の厚みを薄くすることが可能になる。
このように、かかるタイヤ1によれば、タイヤと正規リムとのすべり量をより抑制することができるので、ビード部の厚みを薄くすることによるタイヤ重量の軽量化に寄与することができる。
本発明に係るタイヤ製造方法の特徴は、加硫前のタイヤである生タイヤを成型するタイヤ成型用金型(例えば、上側サイドモールド133)を用いて、タイヤを製造するタイヤ製造方法であって、前記タイヤは、正規リムに装着される際、正規リムに当接するリム当接面を有しており、前記タイヤ成型用金型の内周面(例えば、内周面133a)には、リム当接面の少なくとも一部の領域に前記凸部を型付けする凸形成部(凸形成部133c)が形成されており、前記タイヤ成型用金型を用いて、前記生タイヤに凸部を型付けし、請求項1に記載のタイヤを成型する加硫工程(工程S20)を含むことを要旨とする。
本発明の他の特徴は、上記タイヤ製造方法の特徴において、前記凸形成部は、レーザー加工処理によって前記タイヤ成型用金型の内周面に形成されることを要旨とする。
本発明によれば、タイヤとリムとのすべり量をより抑制して、タイヤ重量の軽量化に寄与することが可能なタイヤ及びタイヤ製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤ1の構成を説明するタイヤ幅方向断面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る凸部80が形成されるビード部20のリム当接面21の拡大斜視図である。 図3は、本発明の実施形態に係るタイヤ成型金型100のタイヤ幅方向(トレッド幅方向)の断面図である。 図4は、本発明の実施形態に係る上側サイドモールド133の凸形成部133cを示す拡大断面図である 図5は、本発明の実施形態に係るタイヤ製造方法を示すフローチャートである。 図6は、本発明の本変更例に係る凸部80の一例を示す一部斜視図である。 図7は、本発明の本変更例に係る凸部80の一例を示す一部斜視図である。 図8は、本発明の本変更例に係る凸部80の一例を示す一部斜視図である。
次に、本発明に係るタイヤの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
[第1実施形態]
(1)タイヤの全体概略構成
以下、図面を参照して、空気入りタイヤの全体構成を説明する。図1は、空気入りタイヤ1の構成を説明するトレッド幅方向断面図である。空気入りタイヤ1は、タイヤ赤道線CLを基準として線対称のパターンを有しており、図1には、空気入りタイヤ1のタイヤ赤道線CLに対する一方側のみ記されている。
空気入りタイヤ1は、主に乗用自動車に装着される空気入りタイヤである。なお、リムホイールに組み付けられた空気入りタイヤ1には、空気ではなく、窒素ガスなどの不活性ガスを充填してもよい。
本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、ビードコア15を有する一対のビード部20と、一対のタイヤサイド部30と、一対のタイヤサイド部30に連なるトレッド部40とを有する。なお、図1において、ビード部20、タイヤサイド部30、トレッド部40は、空気入りタイヤ1のタイヤ赤道線CLに対する一方側のみ記されている。
また、空気入りタイヤ1は、一対のビードコア15間にトロイダル状に跨るカーカス16を備える。トレッド部40とカーカス16との間には、複数のベルト17a乃至17bによって構成されるベルト層17が設けられている。
また、空気入りタイヤ1は、正規リム19に装着される。正規リム19とは、規格に定められたリムである。規格とは、タイヤが生産又は使用される地域において有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では“The TIRE and rim association inc.のyear book”、欧州では“The european TIRE and rim technical organizationのstandards manual”、日本では日本自動車タイヤ協会の“jatma year book”に規定されている。
トレッド部40には、タイヤ周方向又はタイヤ周方向に交差する方向に延びる溝10が形成されている。なお、タイヤ周方向は、トレッド幅方向Tw及びタイヤ径方向Tdに直交する方向である。
トレッド部40のトレッド幅方向Twの幅は、正規内圧を有する空気入りタイヤに正規荷重をかけた際に、路面に接地する範囲である。図1の例では、トレッド部40のトレッド幅方向Tw外側の端部が、端部Z21として示されている。
正規内圧とは、JATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2008年度版のタイヤの測定方法で規定された空気圧である。また、正規荷重とは、“JATMA Year Book”に規定されている単輪を適用した場合の最大負荷能力に相当する荷重である。
また、タイヤサイド部30の範囲は、トレッド部40の端部Z21から、空気入りタイヤ1が正規リム19と当接する端部Z22までの範囲である。
ビード部20は、空気入りタイヤ1が正規リム19に装着される際、正規リム19に当接するリム当接面21を有する。本実施形態において、リム当接面21の範囲は、空気入りタイヤ1が正規リム19と当接するトレッド幅方向Tw内側の端部Z22から、トレッド幅方向Tw外側の端部Z23までの範囲である。
なお、端部Z22乃至23は、正規リム19に装着される空気入りタイヤに正規荷重をかけた際に、空気入りタイヤ1が正規リム19と当接する両端部である。
また、本実施形態において、リム当接面21の少なくとも一部の領域において、リム当接面21からタイヤ外側方向に向かって突出する凸部80が、規則的に配列されている。なお、本実施形態において、タイヤ内側方向は、リム当接面21の法線方向において、タイヤの内側に向かう方向である。一方、タイヤ外側方向は、リム当接面21の法線方向において、タイヤの外側に向かう方向である。
凸部80は、微細加工技術を用いて形成されている。凸80の形状及び配列の詳細については、後述する。また、本実施形態において、凸部80は、リム当接面21の全ての領域に凸部80が形成されていることとする。なお、凸部80は、リム当接面21の少なくとも一部の領域に形成されていてもよく、この場合、凸部80が形成される範囲は、範囲が広いほど効果がある。凸部80が形成される範囲は、ビードコアのしめ代、又は、コストなどを考慮して決定すべきであるが、少なくともリム当接面21の領域の30%以上であれば、その効果が得られる。
(2)凸部の形状及び配列
次に、図2を参照して、凸部80の形状及び配列について説明する。図2は、微細加工技術を用いて、リム当接面21に形成される凸部80の拡大斜視図である。
同図に示すように、本実施形態に係る空気入りタイヤ1では、リム当接面21を法線方向に面視した際、リム当接面21に円形状の凸部80が形成されている。
また、リム当接面21に沿った方向において、凸部80の最大幅Lは、0.1μm以上50μm未満の範囲内である。なお、リム当接面21に沿った方向とは、リム当接面21に平行な方向と言い換えることができる。本実施形態では、凸部80が円形状(円柱形状)であるため、凸部80の最大幅Lは、凸部80の直径になる。本実施形態では、凸部80の最大幅Lは、0.4μmとする。また、凸部80の最大幅Lは、凸部の最大幅Lの平均値Laveとしてもよい。ここで、平均値Laveとは、無作為に抽出した複数(例えば、100個)の凸部80の最大幅Lの平均値である。
なお、凸部80の最大幅Lは、上述した範囲の中で、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましい。最大幅Lが、0.1μmよりも小さい場合、製造過程の加硫後において、モールドからタイヤが抜ける際、ゴムがモールドから抜けづらくなり、微小凸部80が切れてしまい、意図とした形状にできない。一方、最大幅Lが、5μmよりも大きい場合、タイヤをリムに組む時に引っかかり、形状が崩れる。
また、リム当接面21から、タイヤ外側方向に向かって凸部80の最も外側に位置する点DZまでの凸部80の高さHは、0.1μm以上10μm未満の範囲内である。本実施形態では、凸部80の高さHは、2μmとする。なお、凸部80の高さHは、凸部80の高さHの平均値Haveとしてもよい。ここで、平均値Haveは、無作為に抽出した複数(例えば、100個)の凸部の高さHの平均値である。
更に、凸部80の高さHは、凸部80の最大幅Lとの比によって規定してもよい。具体的に、凸部80の高さHと、最大幅Lとは、0.1≦H/L≦10の関係を満たすようにしてもよい。本実施形態では、凸部80の高さH(2μm)と凸部80の最大幅L(0.4μm)とは、H/L=5となる。
なお、凸部80の高さHは、上述した関係を満たす範囲の中で、0.1μm以上5μm以下の範囲内であることがより好ましい。凸部80の高さHは、0.1μmよりも小さい場合、高温にさらされる地域においては、ゴムのクリープ変形が大きいため、形状が大きく変形してしまい効果が低下する。凸部80の高さHは、5μmより大きい場合、加硫時にゴムが入り込みにくくなるため、凸部80の形状が整いにくくなる。
また、リム当接面21に沿った方向において、凸部80の配列間隔Pは、0.1μmよりも大きく50μm以下の範囲内である。配列間隔Pとは、凸部80の中心と、最も近くに隣接する他の凸部80の中心との距離を示す。本実施形態では、凸部80の配列間隔Pは、0.8μmとする。なお、凸部80の配列間隔Pは、凸部80の配列間隔Pの平均値Paveとしてもよい。ここで、平均値Paveは、無作為に抽出した複数(例えば、100個)の凸部80間(中心間)の距離の平均値である。
更に、凸部80の配列間隔Pは、凸部80の幅Lとの比によって規定されるようにしてもよい。具体的に、凸部80の配列間隔Pと凸部80の最大幅Lとは、1.0<P/Lの関係を満たすことが好ましく、特に、1.05≦P/L≦10の関係を満たすようにしてもよい。本実施形態では、凸部80の配列間隔P(0.8μm)と凸部80の最大幅L(0.4μm)とは、P/L=2となる。
なお、凸部80の配列間隔Pの平均値Paveは、上述した関係を満たす範囲の中で、0.1μmよりも大きく5μm以下の範囲であることがより好ましい。配列間隔Pは、0.1μm以下の場合、凸部80の形状を整えることができない。配列間隔Pは、5μmよりも大きい場合、凸部80間に作用する引張歪みが大きくなるため、加硫時に凸部80がモールドから抜けずに切れ易くなる。
(3)タイヤ成型用金型の構成
次に図面を参照して、本実施形態に係る空気入りタイヤ1を成型するタイヤ成型金型100について説明する。図3は、セクターモールド130、下側サイドモールド131、及び上側サイドモールド133が互いに組み合わされた状態におけるタイヤ成型金型100のタイヤ幅方向(トレッド幅方向)の断面図である。
加硫前のタイヤTRは、ブラダー121と、セクターモールド130と、下側サイドモールド131と、上側サイドモールド133との間に形成される空間(加硫空間という)の内部に収容される。タイヤTRは、ビードコア、カーカス、ベルト層(不図示)を備える一般的なタイヤである。タイヤTRは、トレッド部TR1(図1のトレッド部40に相当する)、サイドウォール部(図1のタイヤサイド部30に相当する)、ビード部TR2,TR3(図1のビード部20に相当する)を有する。
上側サイドモールド133及び下側サイドモールド131は、サイドウォール部及びビード部TR2,TR3を型付けする。また、上側サイドモールド133の内周面133a及び下側サイドモールド131の内周面131aには、ビード部TR2,TR3のリム当接面21に凸部80を型付けする凸形成部が形成されている。なお、凸形成部の詳細な構成は後述する。
セクターモールド130の内周面は、溝10などのトレッドパターンを形成する凹凸が形成されるトレッドパターン形成面130aと、傾斜面130bとを有する。セクターモールド130は、タイヤ幅方向の断面において、下側端部の長さが上側の端部の長さよりも長い。
アウターリング134は、傾斜面130bに当接する傾斜面134aを有する。アウターリング134は、タイヤ幅方向の断面において、上側の端部の長さが下側の端部の長さよりも長い。
従って、アウターリング134の傾斜面134aがセクターモールド130の傾斜面130bに当接した状態から、更に矢印Vの下方向にアウターリング134が下降されると、アウターリング134の傾斜面134aとセクターモールド130の傾斜面130bとが摺動する。
このとき、セクターモールド130と、下側サイドモールド131と、上側サイドモールド133とを互いに密着させる方向(すなわち、タイヤ径方向に沿ってタイヤの外側から中心に向かう方向)に力が作用する。これにより、セクターモールド130と、下側サイドモールド131と、上側サイドモールド133とは互いに強固に密着させられて、加硫空間が形成される。
なお、セクターモールド130、下側サイドモールド131及び上側サイドモールド133は、図示しない移動機構によってタイヤ径方向内外に移動可能である。また、加硫時には、加熱及び加圧された流体Rがブラダー121に吹き込まれることにより、タイヤTRの内側でブラダー121が膨張する。タイヤTRは、膨張したブラダー121が膨張することによって、セクターモールド130、下側サイドモールド131、及び上側サイドモールド133に型付けされる。
(4)サイドモールドの構成
次に図面を参照して、サイドモールドの構成について説明する。図4は、上側サイドモールド133の凸形成部133cのタイヤ幅方向断面を示す拡大断面図である。
同図に示すように、上側サイドモールド133の内周面133aには、タイヤTRのタイヤサイド部30とビード部TR3のリム当接面21とを型付けするサイドウォール形成面133bと、リム当接面21の少なくとも一部の領域に凸部80を型付けする凸形成部133cが形成されている。具体的に、凸形成部133cは、サイドウォール形成面133bから、タイヤ外側方向に向けて凹むように形成されている。なお、本実施形態では、上側サイドモールド133の内周面133aには、ビード部TR3のリム当接面21の全ての領域に凸部80を型付けする凸形成部133cが形成されている。
また、凸形成部133cは、レーザー加工処理によって上側サイドモールド133の内周面131aに形成される。ここで、上側サイドモールド133の内周面133aを加工する技術としては、化学研磨処理技術などを用いることが可能であるが、本実施形態では、レーザー加工処理技術を用いて、凸形成部133cが形成されている。これは次の理由による。すなわち、凸部80の最適な形状及び最適な配列間隔を、より正確にリム当接面21に形成するためである。なお、リム当接面21に凸部80を形成するためには、リム当接面21を構成するゴム部材に、ゴム硬度の低いゴム部材を適用することがより好ましい。
また、下側サイドモールド131の内周面131aにも、同様に凸形成部が形成されている。下側サイドモールド131と上側サイドモールド133とは、同様の構造を有するため、下側サイドモールド131の詳細な説明は省略する。このような構成の上側サイドモールド133及び下側サイドモールド131を用いて、ビード部TR2,TR3のリム当接面21に凸部80が形成される。
(5)タイヤ製造方法
次に、図面を参照して、空気入りタイヤ1のタイヤ製造方法について説明する。ここで、図5には、空気入りタイヤ1のタイヤ製造方法を示すフローチャートが示されている。
まず、生タイヤ準備工程S10は、生タイヤを準備する工程である。具体的に、キャップゴム、ベースゴム、ベルト層、カーカスやビードコアなどを備えるタイヤを構成するために必要な部材を準備する。成型機を用いて、準備した上記各部材を一本のタイヤの形に組み立てる。これにより、生タイヤが準備される。
加硫工程S20は、生タイヤを加硫して、空気入りタイヤ1を成型する工程である。具体的に、加硫工程S20では、セクターモールド130、上側サイドモールド133及び下側サイドモールド131などを用いて、空気入りタイヤ1を成型する。
加硫工程S20では、生タイヤ準備工程S10により生成された生タイヤをタイヤ成型用金型100に入れる。
生タイヤが入れられたタイヤ成型用金型100の内部を高温・高圧にすることにより、生タイヤを加硫する。この加硫の際、ビード部20には、上側サイドモールド133の凸形成部及び下側サイドモールド131の凸形成部によって、リム当接面21に凸部80が形成される。すなわち、上側サイドモールド133及び下側サイドモールド131を用いて、生タイヤに凸部80を型付けし、空気入りタイヤ1を成型する。
また、加硫された生タイヤをタイヤ成型用金型100から取り出し、ビード部20のリム当接面21に凸部80が形成された空気入りタイヤ1が製造される。
(6)作用・効果
本実施形態に係る空気入りタイヤ1では、ビード部20のリム当接面21に凸部80が規則的に配列されている。また、凸部80の最大幅Lは、0.1μm以上50μm未満の範囲内であり、凸部80の高さHは、0.1μm以上10μm未満の範囲内である。凸部80の配列間隔Pは、0.1μmよりも大きく50μm以下の範囲内である。
このような形状及び配列間隔の凸部80は、従来技術によって形成した凸部と比べて、正規リム19のリム表面の凹凸により確実に入り込むことができるので、正規リム19とビード部20との当接面積をより広くすることができる。このような空気入りタイヤ1によれば、リム当接面21とリム表面とのファンデルワールス力が高まるとともに、ビード部20と正規リム19との摩擦力を向上できる。
よって、本実施形態に係る空気入りタイヤ1では、従来技術に係る空気入りタイヤ1に比べて、正規リム19とのリム当接面21の面積を小さくしても、空気入りタイヤ1と正規リム19とのすべり量をより抑制することが可能になる。
つまり、本実施形態に係る空気入りタイヤ1では、ビード部20のトレッド幅方向の厚みを薄くしても、空気入りタイヤ1と正規リム19とのすべり量を抑制することが可能になるため、ビード部20の厚みを薄くすることが可能になる。
このように、本実施形態に係る空気入りタイヤ1によれば、空気入りタイヤ1と正規リム19とのすべり量をより抑制することができるので、ビード部20の厚みを薄くすることによるタイヤ重量の軽量化に寄与することができる。
(7)変更例
次に、第1実施形態に係る変更例について説明する。凸部80の構成は、第1実施形態に係る凸部80の構成に限定されない。以下に、他の凸部80の構成について説明する。
(7.1)変更例1
例えば、上述した実施形態では、リム当接面21の法線方向に沿って、リム当接面21をタイヤ内側方向に向かって面視した際、凸部80は、円形状に形成されていたが、凸部80は、長方形状であってもよい。
図6には、本変更例に係る凸部80aの一例が示されている。同図に示すように、凸部80aは、リム当接面21の法線方向に沿って、リム当接面21をタイヤ内側方向に向かって面視した際、長方形状に形成されている。
なお、この場合、凸部80aの最大幅Lは、0.5μmとすることが好ましい。凸部80aの高さHは、2.5μmとすることが好ましく、凸部80aの配列間隔Pは、2.5μmとすることが好ましい。
(7.2)変更例2
また、図7には、変更例2に係る他の凸部80bの一例が示されている。同図に示すように、リム当接面21の法線方向に沿って、リム当接面21をタイヤ内側方向に向かって面視した際、凸部80は、円形状に形成されていたが、凸部80bは、多面体形状(図7の例では、正六角形状)に形成されている。
なお、この場合、凸部80bの最大幅Lは、5μmとすることが好ましい。凸部80bの高さHは、0.5μmとすることが好ましい。凸部80bの配列間隔Pは、10μmとすることが好ましい。
(7.3)変更例3
また、図8には、変更例3に係る他の凸部80cの一例が示されている。同図に示すように、凸部80cでは、凸部80cの突出する方向が、リム当接面21の法線方向に対して傾斜するように形成されている。
なお、この場合、凸部80cの最大幅Lは、2μmとすることが好ましい。凸部80cの高さHは、9μmとすることが好ましい。凸部80cの配列間隔Pは、4μmとすることが好ましい。
以上のように、本変更例に係る空気入りタイヤ1のように、上述の凸部80a乃至80cを規則的に配列することで、空気入りタイヤ1とリム19とのすべり量を抑制することが可能になる。すなわち、本変更例に係る空気入りタイヤ1によれば、空気入りタイヤ1と正規リム19とのすべり量をより抑制することができるので、ビード部20の厚みを薄くすることによるタイヤ重量の軽量化に寄与することができる。
(8)比較評価
次に、本発明の効果を更に明確にするために、以下の比較例及び実施例に係る空気入りタイヤを用いて行った比較評価について説明する。なお、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(8.1)比較例及び実施例の説明
凸部を有する空気入りタイヤと正規リム19との保持性能を評価するため、以下の比較評価を実施した。具体的に、次の従来例と、比較例A1乃至A5と、実施例A1乃至A15とを用意した。表1を用いて説明する。
なお、従来例と、比較例と、実施例とに係る空気入りタイヤは、タイヤサイズが155/65R13であるものを用いた。また、下記に示す構成を除き、他の構成は、従来例と、比較例と、実施例とにおいて同様の構成である。
まず、従来例に係る空気入りタイヤについて説明する。従来例に係る空気入りタイヤは、ビード部20のリム当接面21に凸部が形成されていないものを用いた。
次に、比較例に係る空気入りタイヤと実施例に係る空気入りタイヤとについて説明する。比較例A1乃至A5に係る空気入りタイヤと、実施例A1乃至A15に係る空気入りタイヤとは、いずれもビード部20のリム当接面21に凸部が形成されているものを用いた。なお、詳細な構成は、表1の通りである。
ここで、表1に示すように、比較例A1及びA5に係る空気入りタイヤでは、製造時に凸部を形成することが極めて困難であることがわかった。これは、次の理由による。すなわち、凸部の幅Lが0.1μm未満であるため、製造過程の加硫時において、ゴムがモールドの凹部の縁部に入りにくくなり、凸部の形状が整わないためであった。従って、実現性を考慮すると凸部の幅Lは、0.1μm以上である必要があった。
なお、このように、凸部の幅Lが0.1μm以上の場合、配列間隔Pの下限値は、必然的に0.1μmよりも大きい値になる。かかる点を考慮して、比較例A1乃至A5に係る空気入りタイヤと、実施例A1乃至A15に係る空気入りタイヤとにおいて、凸部の幅L、深さD、及び配列間隔Pを設定している。
(8.2)評価方法
従来例、比較例A1乃至A5、実施例A1乃至A15の空気入りタイヤを用いて、保持性能を評価するための試験を実施した。評価試験は、以下に示す条件において測定された。
<評価試験>
・ リムサイズ :JATMA規定の標準リム
・ 内圧条件 :210kPa
・ 荷重条件 :成人男性乗車相当の荷重
・ 評価方法 :各タイヤと正規リムとをリム組後、タイヤと正規リムとの位置をマーキング(例えば、チョークを用いてタイヤと正規リムとの位置をマーキング)した。また、各タイヤを60km/hの速度で2万km走行させた後に、タイヤと正規リムとのずれ量を測定した。
(8.3)評価結果
各空気入りタイヤの評価結果について、表1を参照しながら説明する。なお、表1において、保持性能は、従来例に係る空気入りタイヤの測定結果を基準(1.0)として、比較例及び実施例のタイヤの計測結果を指数によって示している。なお、表1において、保持性能として示す指数の値が大きいほど、保持性能が優れていることを示す。
表1に示す結果から、実施例A1乃至A15に係るタイヤは、従来例及び比較例A1乃至A5に係るタイヤに比べて、保持性能が優れていることが証明された。
つまり、凸部の最大幅Lが、0.1μm以上50μm未満であり、高さHが、0.1μm以上10μm未満であり、配列間隔Pが、0.1μmよりも大きく50μm以下である実施例に係るタイヤは、タイヤと正規リムとの保持性能が優れていることが証明された。よって、ビード部20の厚みを薄くしても、保持性能を確保できることが証明されたため、ビード部20の厚みを薄くすることによって、タイヤ重量の軽量化を図れることが証明された。
更に、凸部の最大幅Lが、0.1μm以上5μm未満であり、高さHが、0.1μm以上1μm未満であり、配列間隔Pが、0.1μmよりも大きく5μm以下である実施例に係るタイヤは、保持性能がより一層優れていることが証明された。
[その他の実施形態]
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。上述した実施形態では、リム当接面21の全ての領域に、凸部80を形成されていたが、リム当接面21の一部の領域に、凸部80を形成してもよい。
また、上述した実施形態及び変更例は組み合わせることも可能である。このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
1…空気入りタイヤ、2…空気入りタイヤ、10…溝、15…ビードコア、16…カーカス、17…ベルト層、19…正規リム、20…ビード部、21…リム当接面、30…タイヤサイド部、40…トレッド部、80…凸部、100…タイヤ成型金型、130…セクターモールド、131…下側サイドモールド、131a…内周面、133…上側サイドモールド、133a…内周面、133b…サイドウォール形成面、133c…凸形成部、

Claims (3)

  1. 正規リムに装着される際、正規リムに当接するリム当接面を有するタイヤであって、
    リム当接面の少なくとも一部の領域において、リム当接面からタイヤ外側方向に向かって突出する凸部が、規則的に配列されており、
    前記タイヤ外側方向に直交する方向において、凸部の最大幅Lは、0.1μm以上50μm未満の範囲内であり、
    リム当接面から、タイヤ外側方向に向かって凸部の最も外側に位置する点までの凸部の高さHは、0.1μm以上10μm未満の範囲内であり、
    リム当接面において、互いに隣接する凸部の配列間隔Pは、0.1μmよりも大きく50μm以下の範囲内であり、
    前記リム当接面の前記一部の領域は、前記リム当接面の領域の30%以上の領域である
    ことを特徴とするタイヤ。
  2. 加硫前のタイヤである生タイヤを成型するタイヤ成型用金型を用いて、タイヤを製造するタイヤ製造方法であって、
    前記タイヤは、正規リムに装着される際、正規リムに当接するリム当接面を有しており、
    前記タイヤ成型用金型の内周面には、リム当接面の少なくとも一部の領域に前記凸部を型付けする凸形成部が形成されており、
    前記タイヤ成型用金型を用いて、前記生タイヤに凸部を型付けし、請求項1に記載のタイヤを成型する加硫工程を含み、
    前記リム当接面の前記一部の領域は、前記リム当接面の領域の30%以上の領域である
    ことを特徴とするタイヤ製造方法。
  3. 前記凸形成部は、レーザー加工処理によって前記タイヤ成型用金型の内周面に形成される
    ことを特徴とする請求項2に記載のタイヤ製造方法。

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