JP2012051437A - 空気入りタイヤ及び空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】サイドウォール部における振動吸収性を充分に高め、乗り心地性や操縦安定性を向上させる。
【解決手段】サイドウォール部3は、タイヤ1Aを正規リムJにリム組みしかつ50kPaの内圧を充填した無負荷の仮組み状態において、カーカス6が前記サイドウォール部3の外面So及び内面Siとともタイヤ軸方向の内外に蛇腹状に屈曲を繰り返す蛇腹状部15を具える。
【選択図】図1

Description

本発明は、路面からの衝撃吸収性に優れる空気入りタイヤ及び空気入りタイヤの製造方法に関する。
路面に接地するタイヤのトレッド部では、必要な強度や剛性を確保するためにベルト層やバンド層等のコード層によって補強されている。そのため走行時、路面の凹凸から受ける衝撃や振動が大きくなって乗り心地性や操縦安定性に悪影響を与える。
特に自動二輪車用タイヤでは、車体を大きく傾けて旋回する特性上、図9に示すように、トレッド部aのキャンバー量A/Bが大きく、トレッド部aのタイヤ全体に占める割合が大となる。そのため、サイドウォール部bの領域範囲が狭くなり、トレッド部aで受けた衝撃や振動がこのサイドウォール部で充分に吸収されずに車体側に伝達される傾向となる。その結果、乗り心地性を損ねたり、又タイヤが路面から細く飛び跳ねるような現象、所謂チャタリング現象が発生し操縦安定性を損ねるという問題が発生する。
そこで、タイヤの振動吸収性を高めてチャタリング現象を抑える手段として、カーカスcの外側に配されるサイドウォールゴムbgの厚さを一様に薄く形成することが行われている。
しかしながら、サイドウォールゴムbgを薄くした場合には、砂利道などの悪路を走行する際などにサイドウォール部の外面に異物が衝突してカーカスを損傷させる恐れを招く。又サイドウォールゴムbgが薄いと、カーカスcのジョイント部(カーカスプライのタイヤ周方向の端部同士を重ね合わせてジョイントする部分)が表面に浮き出して外観品質を損ねるという問題がある。なおサイドウォールゴムの厚さを減じるものとして下記の特許文献1がある。
特開2006−159944号公報
そこで本発明は、サイドウォール部に、カーカスがサイドウォール部の外面及び内面とともタイヤ軸方向の内外に蛇腹状に屈曲する蛇腹状部を形成する、或いはサイドウォール部の外面のみがタイヤ軸方向の内外に蛇腹状に屈曲しカーカス及びサイドウォール部の内面は屈曲しない蛇腹状部を形成することを基本として、異物の衝突等によるカーカスへの損傷、及び外観品質の低下を抑制しながら、サイドウォール部における振動吸収性を充分に高め、乗り心地性や操縦安定性を向上しうる空気入りタイヤ及び空気入りタイヤの製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部に至るトロイド状のカーカスを有する空気入りタイヤであって、
前記サイドウォール部は、タイヤを正規リムにリム組みしかつ50kPaの内圧を充填した無負荷の仮組み状態において、前記カーカスが前記サイドウォール部の外面及び内面とともタイヤ軸方向の内外に蛇腹状に屈曲する蛇腹状部を具えることを特徴としている。
又請求項2の発明では、前記蛇腹状部は、屈曲の数が3であることを特徴としている。
又請求項3の発明では、前記蛇腹状部は、前記サイドウォール部の外面において、隣り合う屈曲部の頂部間のタイヤ軸方向の距離Lxが2〜10mmの範囲であることを特徴としている。
又請求項4の発明では、前記蛇腹状部は、前記サイドウォール部の外面において、隣り合う屈曲部の頂部間のタイヤ半径方向の距離Lyが5〜10mmの範囲であることを特徴としている。
又請求項5の発明では、前記蛇腹状部は、前記サイドウォール部の外面において、隣り合う屈曲部の頂部間のタイヤ軸方向の距離Lxと、タイヤ半径方向の距離Lyとの比Lx/Lyが0.2〜2.0の範囲であることを特徴としている。
又請求項6の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部に至るトロイド状のカーカスを有する空気入りタイヤであって、
前記サイドウォール部は、タイヤを正規リムにリム組みしかつ50kPaの内圧を充填した無負荷の仮組み状態において、該サイドウォール部の外面のみがタイヤ軸方向の内外に蛇腹状に屈曲する蛇腹状部を具え、前記カーカス及びサイドウォール部の内面には蛇腹状部が形成されないことを特徴としている。
又請求項7の発明は、請求項1〜5の何れかに記載の空気入りタイヤの製造方法であって、
生タイヤを金型内で加硫成形する加硫工程とを含み、
前記金型は、タイヤのサイドウォール部の内面を成形するサイドウォール内成形面部を含むタイヤ内面成形面を有する内金型と、タイヤのサイドウォール部の外面を成形するサイドウォール外成形面部を含むタイヤ外面成形面を有する外金型とを具え、
しかも前記サイドウォール内成形面部とサイドウォール外成形面部とに、タイヤ軸方向の内外に同位相で屈曲を繰り返す内、外の蛇腹成形部が設けられるとともに、
前記加硫工程において、生タイヤが前記内金型と外金型との間に挟まれて加硫成形されることにより、前記サイドウォール部にかつ前記内、外の蛇腹成形部の間に、カーカスがサイドウォール部の外面及び内面とともタイヤ軸方向の内外に蛇腹状に屈曲を繰り返す蛇腹状部を形成したことを特徴としている。
又請求項8の発明では、前記生タイヤは、前記内金型のタイヤ内面成形面上に、未加硫のタイヤ構成部材を順次貼り付けることにより形成され、かつ前記内金型ごと外金型内に投入されることを特徴としている。
なお前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。
又前記「仮組み状態」は、カーカスコードに内圧による張力を極力作用させずにタイヤ形状を一義的に定めるための状態であって、本明細書では、特に断りがない限り、タイヤの各部の寸法等は、この仮組み状態にて特定される値とする。なお仮組み状態における内圧が低すぎると、同一のタイヤであっても形状が一義的に定まらず、逆に高すぎるとカーカスコードに張力が作用して形状変化をもたらし易くなる。そのため、仮組み状態における内圧を50kPaとしている。
本願の第1発明の空気入りタイヤは、サイドウォール部に、カーカスがサイドウォール部の外面及び内面とともタイヤ軸方向の内外に蛇腹状に屈曲する蛇腹状部を形成している。即ちサイドウォール部全体が蛇腹状に屈曲している。従って、サイドウォールゴムのゴム厚さを減じることなく、タイヤの縦バネ定数を減じることができ、カーカスの外傷、及び外観品質の低下を抑制しながら、サイドウォール部における振動吸収性を充分に高め、乗り心地性や操縦安定性を向上させることができる。
又本願の第2発明の空気入りタイヤでは、サイドウォール部に、その外面のみがタイヤ軸方向の内外に蛇腹状に屈曲する蛇腹状部を具えている。この場合には、蛇腹状部においてサイドウォールゴムのゴム厚さが変動し、凹に屈曲する部分でゴム厚さが最小となって、タイヤが屈曲変形しやすくなる。従って、この場合にも、タイヤの縦バネ定数が減じ、第1発明と同様、振動吸収性を高めて乗り心地性や操縦定性を向上させることができる。又ゴム厚さが最小となる凹の屈曲部分の両側には、ゴム厚さが相対的に大な凸の屈曲部分が配されるため、凹の屈曲部分でのカーカスの外傷を抑制でき、かつ外観品質の低下も抑制しうる。
なお前記第1、第2発明は、特に自動二輪車用タイヤの場合において、チャタリング現象の抑制に効果的である。
第1発明の空気入りタイヤの一実施例を示す断面図である。 その主要部を拡大して示す断面図である。 (A)〜(D)は、屈曲部の形成数が3〜6の場合の蛇腹状部を示す概念図である。 加硫工程を金型とともに示す断面図である。 生タイヤ形成工程を内金型とともに示す断面図である。 内金型を示す側面図である。 第1発明の空気入りタイヤの他の実施例を示す断面図である。 第2発明の空気入りタイヤの一実施例を示す断面図である。 従来の自動二輪車用タイヤの一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、第1発明の空気入りタイヤ1Aが、正規リムJにリム組みされかつ50kPaの内圧が充填された無負荷の仮組み状態における子午断面図を示す。図1において、前記空気入りタイヤ1Aは、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4に至るトロイド状のカーカス6を少なくとも具える。
本例では、前記空気入りタイヤ1Aが、自動二輪車用タイヤである場合が例示されており、前記トレッド部2は、トレッド面2Sがタイヤ赤道Cからトレッド端Teまで凸円弧状に湾曲してのび、かつトレッド端Te、Te間の巾(2×B)がタイヤ最大巾をなす自動二輪車用タイヤ特有のトレッドプロファイルを具える。特に本例では、前記トレッド部2のキャンバー量、即ちトレッド面2Sのタイヤ赤道C上の点であるタイヤ赤道点Pcからトレッド端Teまでの半径方向距離A(トレッド高さAという場合がある。)とタイヤ軸方向距離B(トレッド半幅Bという場合がある。)との比A/Bを、0.75以上、又前記トレッド高さAとタイヤ断面高さHとの比A/Hを0.55以上としたものが示される。
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して例えば75〜90゜の角度で配列した1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aから形成される。このカーカスプライ6Aは、前記ビード部4、4間を跨るとともに、その両端は、本例の場合、ビードコア5の廻りで折り返されることなく該ビードコア5内に挟まれて係止されている。具体的には、前記ビードコア5は、タイヤ軸方向内外のコア片5i、5oからなり、この内外のコア片5i、5o間で、前記カーカスプライ6Aの両端部が係止されている。
前記内外のコア片5i、5oは、図2に拡大して示すように、非伸張性のビードワイヤ5aをタイヤ周方向に複数回巻き付けることにより形成される。このとき、外のコア片5oでは、内のコア片5iに比し、ビードワイヤ5aの巻回数を例えば1.2〜2.0倍程度大とし、内のコア片5iよりも剛性を大とするのが好ましい。これにより、ビードワイヤ5aの総巻回数を規制しながらビード部4の曲げ剛性を相対的に高めることができ、操縦安定性などの向上に役立つ。なお図中の符号18は、ゴム硬度が例えば80〜100度の硬質のゴムからなるビードエーペックスであり、各コア片5i、5oから先細状に立ち上がり、ビード剛性を高める。なお本明細書においてゴム硬度は、JIS−K6253に基づきデュロメータータイプAにより、23℃の環境下で測定したデュロメータA硬さを意味する。
又前記カーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内部には、周知のトレッド補強層7が形成される。このトレッド補強層7は、ベルト層8及び/又はバンド層9からなり、本例では、トレッド補強層7がバンド層9から形成される場合が示される。該バンド層9は、バンドコードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列した少なくとも1枚、本例では1枚のバンドプライ9Aからなり、該バンドプライ9Aは、例えばバンドコードをゴム引きした長尺帯状のバンドストリップを、タイヤ周方向に螺旋状に巻回することにより形成される。なおベルト層8(図7に示す。)としては、ベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば10〜45°の角度で配列した少なくとも2枚のベルトプライ8A、8Bが用いられる。各ベルトプライ8A、8Bは、ベルトコードがプライ間相互で交差するように傾斜の向きを違えて配される。このようなベルト層8は、前記バンド層9とカーカス6との間、或いはバンド層9の半径方向外側に配することができ、又前記バンド層9に代えて、ベルト層8のみでトレッド補強層7を形成することもできる。
又前記カーカス6の内側には、タイヤ内腔面を形成する薄いインナーライナゴム層10が配される。このインナーライナゴム層10は、例えばブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等の非空気透過性のゴムからなり、タイヤ内腔内に充填される充填空気を気密に保持する。又前記カーカス6の外側には、サイドウォール部3の外面Soを形成するサイドウォールゴム11が配される。このサイドウォールゴム11はゴム硬度が例えば45〜60度の軟質かつ耐候性に優れるゴムからなり、カーカス6を劣化や外傷から被覆保護する。
そして第1発明のタイヤ1Aのサイドウォール部3には、前記仮組み状態において、前記カーカス6が前記サイドウォール部3の外面So及び内面Siとともタイヤ軸方向の内外に蛇腹状に屈曲を繰り返す蛇腹状部15が形成される。
前記蛇腹状部15は、前記図2に示すように、タイヤ軸方向外側に向かってく字状に屈曲する(即ち屈曲の頂部Pがタイヤの外側に突出する。)凸の屈曲部16oと、タイヤ軸方向内側に向かってく字状に屈曲する(即ち屈曲の頂部Pがタイヤの内側に凹む)凹の屈曲部16iとが交互に繰り返されて形成される。
この蛇腹状部15は、各屈曲部16でカーカス6とサイドウォール部3の内外面Si、Soとが同時に屈曲しているため、半径方向に容易に伸縮でき、従って、トレッド部2で受けた衝撃や振動を吸収緩和してタイヤの振動吸収性を高めることができる。又複数の屈曲部16で変形を分担するため、変形時の応力を広く分散させることができる。又サイドウォールゴム11のゴム厚さを減じる必要が無く、ゴム厚さを充分確保しうるため、タイヤの耐候性や耐カット性等を従来タイヤと同レベルに維持することができる。又カーカスプライ6Aのジョイント部の表面への浮き出しを抑えて目隠しでき、外観品質の低下を抑制しうる。
ここで、前記蛇腹状部15を形成するためには、少なくとも3つ屈曲部16が必要であるが、この屈曲部16の形成数nが多すぎると、タイヤ縦剛性に対してタイヤの横剛性が減じる割合が増し、操縦安定性を低下させる恐れを招く。そのため前記屈曲部16の形成数nは5以下、さらには4以下が好ましく、特に本例の如く3とするのが最も好ましい。
又図3(A)〜(D)に、例えば屈曲部16の形成数nが3、4、5、6の場合の蛇腹形状を概念的に示すが、形成数nが偶数の場合、いくつかの屈曲部16が、蛇腹状部15を形成していない従来タイヤのプロファイルN(標準プロファイルNという場合がある。)よりもタイヤ外側に突出してしまう。前記屈曲部16が標準プロファイルNよりもタイヤ外側に突出する場合、その頂部が路肩や路面上の突起部と接触してタイヤが損傷するという危険性を招く。このような観点から、前記形成数nは奇数であって、しかもタイヤ半径方向最外端に位置する上の屈曲部16U、及びタイヤ半径方向最内端に位置する下の屈曲部16Lが、それぞれ凸の屈曲部16oとするのが好ましい。
又蛇腹状部15では、前記屈曲部16の頂部Pにおいてクラックが発生するのを抑えるために、サイドウォール部3の内外面Si、Soにおける頂部Pを、半径Rが3〜10mmの小円弧にて形成している。
又前記図2に示すように、サイドウォール部3の外面Soにおいて、タイヤ半径方向で隣り合う屈曲部16、16の頂部P、P間のタイヤ軸方向の距離をLx、タイヤ半径方向の距離をLyとしたとき、この距離Lx、Lyは頂部P、P間である程度バラ付いても良い。しかし前記蛇腹状部15をできるだけバランス良く変形させるために、前記距離Lxがバラ付く場合、その最大値Lx1と最小値Lx2との比Lx1/Lx2である最大バラ付きが5.0以下、又頂部P、P間の距離Lyがバラ付く場合、その最大値Ly1と最小値Ly2との比Ly1/Ly2である最大バラ付きが2.0以下であるのが好ましい。なお頂部Pが円弧の場合、前記距離Lx、Lyは、円弧の中間点からの距離として定義する。
又前記形成数nが3の場合、前記距離Lxは2〜10mmの範囲、前記距離Lyは5〜10mmの範囲であることが好ましい。又隣り合う頂部P、P間の距離Lxと距離Lyとの比Lx/Lyは0.2〜2.0の範囲であることも好ましい。又前記タイヤ軸方向の距離Lxが2mm未満の場合、振動吸収性が低下する傾向があり、逆に10mmを越えると応力が集中し、カーカスが剥離する傾向が生じる。 又前記タイヤ半径方向の距離Lyが5mm未満の場合、応力が集中し、カーカスが剥離する傾向が生じ、逆に10mmを越えると振動吸収性が低下するという傾向が生じる。 又前記比Lx/Lyが0.2未満の場合、振動吸収性が低下する傾向があり、逆に2.0を越えると応力が集中し、カーカスが剥離する傾向が生じる。
前記空気入りタイヤ1Aが正規内圧が充填された場合、前記蛇腹状部15は、前記距離Lx、Lyが変化するものの蛇腹状態は維持される。なお前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE"を意味するが、乗用車用タイヤの場合には180kPaとする。
次に、前記空気入りタイヤ1Aの製造方法を説明する。この製造方法は、生タイヤ1ANを形成する生タイヤ形成工程と、図5に示すように、前記生タイヤ形成工程で形成された生タイヤ1ANを金型20内で加硫成形する加硫工程とを含む。
前記金型20は、タイヤ1Aのサイドウォール部3の内面Siを成形するサイドウォール内成形面部21siを含むタイヤ内面成形面21sを有する内金型21と、サイドウォール部3の外面Soを成形するサイドウォール外成形面部22soを含むタイヤ外面成形面22sを有する外金型22とを具える。又前記サイドウォール内成形面部21siとサイドウォール外成形面部22soとには、タイヤ軸方向の内外に同位相で屈曲を繰り返す内、外の蛇腹成形部24i、24oが設けられている。
そして前記加硫工程において、生タイヤ1ANが前記内金型21と外金型22との間に挟まれて加硫成形されることにより、前記サイドウォール部3にかつ前記内、外の蛇腹成形部24i、24oの間に、カーカス6がサイドウォール部3の外面So及び内面Siとともタイヤ軸方向の内外に蛇腹状に屈曲を繰り返す蛇腹状部15が形成される。
又前記生タイヤ形成工程では、図5に示すように、前記内金型21のタイヤ内面成形面21s上に、未加硫のタイヤ構成部材30を順次貼り付けることにより生タイヤ1ANが形成される。前記タイヤ構成部材30として、本例では、前記インナーライナゴム層10形成用のゴムシート10N、カーカスプライ6A形成用のプライシート6AN、バンド層9形成用のプライシート9AN(バンドストリップ)、内外のコア片5i、5o、ビードエーペックスゴム18形成用のゴムシート18N、サイドウォールゴム11形成用のゴムシート11N、トレッドゴム12形成用のゴムシート12Nが含まれる。そして生タイヤ1ANは、前記内金型21ごと外金型22内に投入され加硫工程が行われる。
なお前記内金型21は、図6に示すように、タイヤ周方向に分割される複数のセグメント25から形成される。この複数のセグメント25は、周方向に交互に配される第1、第2のセグメント25A、25Bから構成される。各セグメント25は、その内孔に配される内リング26によって半径方向内方への移動が阻止されトロイド状に保持される。
前記第1のセグメント25Aは、周方向巾が大であり、かつその周方向両端面を、半径方向内方に向かって周方向巾が減じる向きに傾斜する内向き傾斜面25Asとしている。又前記第2のセグメント25Bは、周方向巾が小であり、かつその周方向両端面を、半径方向内方に向かって周方向巾が増す向きに傾斜するとともに前記内向き傾斜面25Asと突き合わされる外向き傾斜面25Bsとしている。このように構成することにより、前記内金型21は、第2のセグメント25Bから順次半径方向内方に一つずつ移動させることで、その内孔側から分解して取り外すことができる。
なお図7に、前記空気入りタイヤ1Aが乗用車用ラジアルタイヤとして形成された場合が示されている。本例のタイヤでは、前記蛇腹状部15がタイヤ最大幅位置Mよりも半径方向外側のサイドウォール上領域に形成される場合が示されるが、タイヤ最大幅位置Mよりも半径方向内側のサイドウォール下領域に形成することもできる。又図示しないが、前記空気入りタイヤ1Aは重荷重用タイヤとして形成することもできる。
次に、図8に、第2発明の空気入りタイヤ1Bの仮組み状態における子午断面図を示す。前記空気入りタイヤ1Bでは、前記サイドウォール部3は、その外面Soのみがタイヤ軸方向の内外に蛇腹状に屈曲する蛇腹状部31を具え、前記カーカス6及びサイドウォール部3の内面Siには蛇腹状部が形成されない。
即ち第2発明では、蛇腹状部においてカーカス6からのゴム厚さTが変動し、凹の屈曲部16iにおいてゴム厚さTが最小値Tiとなって、タイヤが屈曲変形しやすくなる。従って、この場合にも、タイヤの縦バネ定数が減じ、第1発明と同様、振動吸収性を高めて乗り心地性や操縦定性を向上させることができる。又ゴム厚さTが最小となる凹の屈曲部16iの両側には、ゴム厚さTが相対的に大な凸の屈曲部16oが配されている。そのため、走行中にサイドウォール部6が異物と衝突する場合にも、前記凸の屈曲部16oで衝突が生じるため、カーカス6が外傷を受けるのを防止しうる。又ゴム厚さTが大な凸の屈曲部16oを有するため、カーカスプライ6Aのジョイント部を目隠しでき、外観品質の低下を抑制しうる。なお第1発明の空気入りタイヤ1Aの場合、サイドウォールゴム11のゴム厚さは、1.0〜4.0mmの間でほぼ一定としている。
なお前記蛇腹状部31は、具体的には、前記前記蛇腹状部15と同様、外面Soが、タイヤ軸方向外側に向かってく字状に屈曲する凸の屈曲部16oと、タイヤ軸方向内側に向かってく字状に屈曲する凹の屈曲部16iとが交互に繰り返されて形成される。
前記蛇腹状部31における屈曲部16の形成数nは3以上であるが、多すぎると剛性が過度に減じて操縦安定性を低下させる恐れを招く。そのため前記屈曲部16の形成数nは5以下、さらには4以下が好ましく、特に自動二輪車用タイヤの場合には、n=3であるのが最も好ましい。
又特に蛇腹状部31は、隣り合う凸の屈曲部16oの頂部Poと、凹の屈曲部16iの頂部Piとの間を斜面31S、31Sで継ぐ断面V字状の凹部として形成することが好ましい。この時、前記頂部Po、Po間を継ぐ基準線Zに対する、各斜面31Sの傾斜角度θを、20〜30°の範囲とするのが好ましく、又前記基準線Zからの前記頂部Piの距離Liを2〜5mmの範囲とするのが好ましい。なお各頂部Pi、Poは、応力集中を避けるため、半径5〜10mmの円弧で形成するのが好ましい。
前記傾斜角度θが30°をこえる、及び前記距離Liが5mmをこえると、凹の屈曲部16iの頂部Piに応力が過度に集中して、前記頂部Piでカーカス6にコードルースが生じるなど耐久性に悪影響を与える恐れが生じる。又前記傾斜角度θが20°未満、及び前記距離Liが2mm未満では振動吸収性を充分に高めることが難しくなる。
なお凹の屈曲部16iの頂部Piにおけるカーカス6からのゴム厚さTiは、1.0〜5.0mmであって、又凸の屈曲部16oの頂部Poにおけるカーカス6からのゴム厚さToとの差(To−Ti)は2.0mm以上が好ましい。
又本例のタイヤ1Bでは、前記カーカスプライ6Aは、ビードコア5、5間を跨るプライ本体部6aの両端に、前記ビードコア5をタイヤ軸方向内側から外側に折り返すプライ折返し部6bを一連に具え、このプライ折返し部6bによって、前記ビードコア5に係止されている。前記プライ折返し部6bのビードベースラインBLからの半径方向高さH1は、ビードベースラインBLからタイヤ半径方向最内の頂部Piまでの高さH2より小であり、かつその差H2−H1は、5.0mm以上であるのが好ましい。前記差H2−H1が3.0mm以下では、プライ折返し部6bの外端にコードルース等が発生しやすくなる。
なお第2発明のタイヤ1Bにおいても、乗用車用ラジアルタイヤとして、さらには重荷重用タイヤとして形成することもできる。係る場合には、屈曲部16の形成数nは4以上であっても良く、このとき斜面31Sの傾斜角度θは20〜80°とすることができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示す構造をなす第1発明に係わる自動二輪車用タイヤ(タイヤサイズ120/70ZR)を表1の仕様で試作するとともに、各試供タイヤの、縦バネ、横バネ、耐久性能、及び振動吸収性をテストしその結果を表1に記載した。表1に記載以外は実質的に同仕様である。
同様に、図8に示す構造をなす第2発明に係わる自動二輪車用タイヤ(タイヤサイズ120/70ZR)を表2の仕様で試作するとともに、各試供タイヤの、縦バネ、横バネ、耐久性能、及び振動吸収性をテストしその結果を表2に記載した。表2に記載以外は実質的に同仕様である。
又表1、2の共通仕様は、以下の通りである。
トレッド高さA=47mm
トレッド半幅B=61.5mm
タイヤ断面高さH=83.6mm
(キャンバー量A/B=0.76)
(比A/H=0.56)
カーカス
プライ数(2枚)、
コード角(+88°/−88°)、
コード(ナイロン、1400dtex/2)、
コードエンズ(41本/5cm)、
バンド層:
プライ数(1枚)、
コード角(0°)、
コード(芳香族ポリアミド、1670dtex/2)、
コードエンズ(35本/5cm)
表1、2において、頂部Pは、半径方向最外側のものをP1とし、順次P2、P3としている。又頂部P1のタイヤ赤道点Pcからの半径方向距離は、各タイヤとも47mm、即ち頂部P1とトレッド端Teとは一致している。
又表1では、比較例1、実施例A1〜A19は、カーカスからサイドウォール外面までのゴム厚さは、3.5mmでほぼ一定である。又屈曲部の頂部は半径3mmの円弧で形成している。又表2では、各屈曲部の頂部は半径5mmの円弧で形成している。
(1)縦バネ、横バネ:
台上試験機を用い、タイヤをリム(MT3.50×17)、内圧(200kPa)、荷重(2.2kN)の条件下において、それぞれ縦バネ定数、横バネ定数を測定し、縦バネ定数を比較例1を150とする指数、横バネ定数を比較例1を100とする指数で表示した。指数が大きい程、バネ定数は大である。
(2)耐久性能:
JIS D4230に規定される耐久性能試験に準拠し、タイヤをリム(MT3.50×17)、内圧(225kPa)、荷重(1.62kN)の条件下において、ドラム上を速度65km/hにて走行させ、タイヤに損傷が発生するまでの時間を測定した。比較例1を100とする指数で表示した。数値が大きいほど良好である。
(3)振動吸収性:
タイヤをリム(MT3.50×17)、内圧(180kPa)の条件下において、自動二輪車(750cc)の前輪に装着してタイヤテストコースのドライアスファルト路面を走行し、振動吸収性をドライバーの官能評価により、比較例1を100とする指数で表示した。数値が大きいほど良好である。
Figure 2012051437
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1 空気入りタイヤ
1N 生タイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
6 カーカス
15 蛇腹状部
16 屈曲部
20 金型
21 内金型
21s タイヤ内面成形面
21si サイドウォール内成形面部
22 外金型
22s タイヤ外面成形面
22so サイドウォール外成形面部
24i、24o 蛇腹成形部
31 蛇腹状部
J 正規リム
P 頂部
So 外面
Si 内面

Claims (8)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部に至るトロイド状のカーカスを有する空気入りタイヤであって、
    前記サイドウォール部は、タイヤを正規リムにリム組みしかつ50kPaの内圧を充填した無負荷の仮組み状態において、前記カーカスが前記サイドウォール部の外面及び内面とともタイヤ軸方向の内外に蛇腹状に屈曲する蛇腹状部を具えることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記蛇腹状部は、屈曲の数が3であることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記蛇腹状部は、前記サイドウォール部の外面において、隣り合う屈曲部の頂部間のタイヤ軸方向の距離Lxが2〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記蛇腹状部は、前記サイドウォール部の外面において、隣り合う屈曲部の頂部間のタイヤ半径方向の距離Lyが5〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項2又は3記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記蛇腹状部は、前記サイドウォール部の外面において、隣り合う屈曲部の頂部間のタイヤ軸方向の距離Lxと、タイヤ半径方向の距離Lyとの比Lx/Lyが0.2〜2.0の範囲であることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の空気入りタイヤ。
  6. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部に至るトロイド状のカーカスを有する空気入りタイヤであって、
    前記サイドウォール部は、タイヤを正規リムにリム組みしかつ50kPaの内圧を充填した無負荷の仮組み状態において、該サイドウォール部の外面のみがタイヤ軸方向の内外に蛇腹状に屈曲する蛇腹状部を具え、前記カーカス及びサイドウォール部の内面には蛇腹状部が形成されないことを特徴とする空気入りタイヤ。
  7. 請求項1〜5の何れかに記載の空気入りタイヤの製造方法であって、
    生タイヤを金型内で加硫成形する加硫工程を含み、
    前記金型は、タイヤのサイドウォール部の内面を成形するサイドウォール内成形面部を含むタイヤ内面成形面を有する内金型と、タイヤのサイドウォール部の外面を成形するサイドウォール外成形面部を含むタイヤ外面成形面を有する外金型とを具え、
    しかも前記サイドウォール内成形面部とサイドウォール外成形面部とに、タイヤ軸方向の内外に同位相で屈曲を繰り返す内、外の蛇腹成形部が設けられるとともに、
    前記加硫工程において、生タイヤが前記内金型と外金型との間に挟まれて加硫成形されることにより、前記サイドウォール部にかつ前記内、外の蛇腹成形部の間に、カーカスがサイドウォール部の外面及び内面とともタイヤ軸方向の内外に蛇腹状に屈曲する蛇腹状部を形成したことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
  8. 前記生タイヤは、前記内金型のタイヤ内面成形面上に、未加硫のタイヤ構成部材を順次貼り付けることにより形成され、かつ前記内金型ごと外金型内に投入されることを特徴とする請求項7記載の空気入りタイヤの製造方法。
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