JP5888159B2 - 画像読取装置、画像形成装置及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、画像読取装置、画像形成装置及びプログラムに関する。
イメージセンサの読み取り精度を向上させる技術が知られている。例えば、特許文献1には、画像情報を正確に読み取るために、ラインイメージセンサのシェーディングを補正する技術が記載されている。また、画像形成装置において、イメージセンサを用いて画像の濃度を補正する技術が知られている。例えば、特許文献2には、トナー画像を走査して、画質の不均一性を検出する技術が記載されている。
特開平1−221055号公報 特開2010−26518号公報
本発明は、透明部材に付着するトナーによる迷光の影響が小さい波長域の光を用いて黒色の画像を読み取ることを目的とする。
本発明の請求項1に係る画像読取装置は、透明部材と、転写媒体上にトナーで形成された画像又は基準板に対し前記透明部材を介して複数の波長域の光を照射する照射部と、当該画像又は当該基準板で反射され、前記透明部材から入射した前記複数の波長域の光を当該波長域毎に受光する受光部とを有し、当該画像又は当該基準板を前記複数の波長域の光により前記透明部材を介して読み取る画像読取部と、前記画像読取部により前記基準板が読み取られたときに、前記受光部により受光された各々の前記波長域の光量を取得し、基準光量から当該取得した光量への低下量が最も大きい波長域の光を選択する選択部と、前記画像読取部が黒色のトナーで形成された前記画像を読み取る場合には、前記選択部により選択された波長域の光により、前記画像読取部に当該画像を読み取らせる読取制御部とを備えることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る画像読取装置は、請求項1に記載の画像読取装置において、前記画像読取部は、複数の前記受光部を有し、各々の前記受光部は、それぞれ異なる波長域の光を受光する複数の受光領域を有し、前記選択部は、各々の前記受光部について、前記複数の受光領域によりそれぞれ受光された前記波長域の光量を取得し、基準光量から当該取得した光量への低下量が最も大きい波長域の光を選択し、前記読取制御部は、各々の前記受光部について、前記選択部により選択された波長域の光を受光する受光領域を指定し、当該指定した受光領域を用いて前記画像を読み取らせることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る画像読取装置は、透明部材を有し、転写媒体上にトナーで形成された画像を複数の波長域の光により前記透明部材を介して読み取る画像読取部と、前記画像読取部が黒色のトナーで形成された前記画像を読み取る場合には、前記複数の波長域のうち、前記透明部材に付着しやすいトナーの色として予め決められた色による反射の度合いが閾値より低い波長域の光により、前記画像読取部に当該画像を読み取らせる読取制御部とを備えることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、転写媒体と、像保持体上にトナーで画像を形成し、当該形成した画像を前記転写媒体に転写する作像部と、前記転写媒体に転写された前記画像を記録媒体に転写する転写部と、前記記録媒体に転写された前記画像を当該記録媒体に定着させる定着部と、請求項1又は2に記載の画像読取装置とを備えることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、転写媒体と、像保持体上にトナーで画像を形成し、当該形成した画像を前記転写媒体に転写する作像部と、前記転写媒体に転写された前記画像を記録媒体に転写する転写部と、前記記録媒体に転写された前記画像を当該記録媒体に定着させる定着部と、請求項3に記載の画像読取装置とを備えることを特徴とする。
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、請求項5に記載の画像形成装置において、黒を含む複数の色の画像をそれぞれ形成し、当該形成した画像を前記転写媒体に順番に転写する複数の前記作像部を備え、前記予め決められた色は、前記複数の作像部のうち、黒の画像を形成する作像部を除いて最後に前記転写媒体に前記画像を転写する作像部により形成される画像の色であることを特徴とする。
本発明の請求項7に係るプログラムは、コンピュータに、透明部材と、転写媒体上にトナーで形成された画像又は基準板に対し前記透明部材を介して複数の波長域の光を照射する照射部と、当該画像又は当該基準板で反射され、前記透明部材から入射した前記複数の波長域の光を当該波長域毎に受光する受光部とを有し、当該画像又は当該基準板を前記複数の波長域の光により前記透明部材を介して読み取る画像読取部により、前記基準板が読み取られたときに、前記受光部により受光された各々の前記波長域の光量を取得し、基準光量から当該取得した受光量への低下量が最も大きい波長域の光を選択するステップと、前記画像読取部が黒色のトナーで形成された前記画像を読み取る場合には、前記選択された波長域の光により、前記画像読取部に当該画像を読み取らせるステップとを実行させるためのプログラムである。
本発明の請求項8に係るプログラムは、コンピュータに、透明部材を有し、転写媒体上にトナーで形成された画像を複数の波長域の光により前記透明部材を介して読み取る画像読取部が黒色のトナーで形成された前記画像を読み取る場合には、前記複数の波長域のうち、前記透明部材に付着しやすいトナーの色として予め決められた色による反射の度合いが閾値より低い波長域の光により、前記画像読取部に当該画像を読み取らせるステップを実行させるためのプログラムである。
請求項1に係る発明によれば、透明部材に付着するトナーによる迷光の影響が小さい波長域の光を用いて黒色の画像を読み取ることができる。
請求項2に係る発明によれば、透明部材に付着するトナーの色が部分的に異なる場合であっても、各々の部分について、付着するトナーによる迷光の影響が小さい波長域の光を用いて黒色の画像を読み取ることができる。
請求項3に係る発明によれば、透明部材に付着するトナーによる迷光の影響が小さい波長域の光を用いて黒色の画像を読み取ることができる。
請求項4に係る発明によれば、透明部材に付着するトナーによる迷光の影響が小さい波長域の光を用いて黒色の画像を読み取ることができる。
請求項5に係る発明によれば、透明部材に付着するトナーによる迷光の影響が小さい波長域の光を用いて黒色の画像を読み取ることができる。
請求項6に係る発明によれば、画像を転写する順番によらず透明部材に付着しやすいトナーの色を決める場合に比べて、透明部材に付着しやすいトナーの色を容易に決めることができる。
請求項7に係る発明によれば、透明部材に付着するトナーによる迷光の影響が小さい波長域の光を用いて黒色の画像を読み取ることができる。
請求項8に係る発明によれば、透明部材に付着するトナーによる迷光の影響が小さい波長域の光を用いて黒色の画像を読み取ることができる。
第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図 濃度センサの部分断面図 ラインセンサの構成を示す図 受光素子の分光感度特性を示すグラフ 第1実施形態に係る制御部の機能構成を示す図 中間転写ベルト上に形成されたトナー像を示す図 トナーの分光反射率を示すグラフ 従来技術において、ラインセンサから出力される信号を示すグラフ 従来技術において、黒色のパッチ画像を読み取ったときの迷光の影響を示すグラフ 第1実施形態において、黒色のパッチ画像を読み取ったときの迷光の影響を示すグラフ 第2実施形態に係る制御部の機能構成を示す図 透明部材にシアンのトナーが付着している場合において、青色光の受光領域を用いて黒色のパッチ画像を読み取ったときの迷光の影響を示すグラフ 透明部材にシアンのトナーが付着している場合において、赤色光の受光領域を用いて黒色のパッチ画像を読み取ったときの迷光の影響を示すグラフ
1.第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置1の構成を示す図である。画像形成装置1は、画像形成部10と、制御部11と、画像処理部12とを備えている。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)とメモリとを備えており、画像形成部10を制御する。具体的には、制御部11は、制御パラメータに従って画像形成部10に画像を形成させる。この制御パラメータは、画像形成部10が画像を形成するときに従う条件として用いられる。画像処理部12は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)とメモリとを備えており、図示せぬクライアント装置又はスキャナ装置から入力された画像データに各種の画像処理を施す。
画像形成部10は、電子写真方式により画像データに応じた画像を形成する。画像形成部10は、画像形成エンジン21Y、21M、21C、21Kと、中間転写ベルト22と、二次転写ローラ23と、定着器24とを備えている。画像形成エンジン21Y、21M、21C、21Kは、図中の矢印A方向に沿って、画像形成エンジン21K、21Y、21M、21Cの順番に配置されている。画像形成エンジン21Y、21M、21C、21Kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒色(K)のトナーを用いてトナー像を形成する。画像形成エンジン21Y、21M、21C、21Kは、本発明に係る「作像部」の一例である。具体的には、画像形成エンジン21Y、21M、21C、21Kは、それぞれ、感光体ドラム31と、帯電器32と、露光装置33と、現像器34と、一次転写ローラ35とを備えている。
感光体ドラム31は、軸を中心に図中の矢印B方向に回転する円筒状の部材である。感光体ドラム31の表面には、光導電膜が形成されている。感光体ドラム31は、本発明に係る「像保持体」の一例である。感光体ドラム31の周りには、回転方向(矢印B方向)に沿って、帯電器32、露光装置33、現像器34、一次転写ローラ35が配置されている。帯電器32は、感光体ドラム31の表面を定められた電位に帯電させる。露光装置33は、帯電器32により帯電させられた感光体ドラム31の表面を、画像データに応じて露光し、静電潜像を形成する。
現像器34は、感光体ドラム31の表面に形成された静電潜像をトナーで現像し、トナー像を形成する。具体的には、現像器34には、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤が収容されている。現像器34には、図示せぬ電源回路により現像バイアスが印加される。現像バイアスが印加されると、現像器34と感光体ドラム31との間に電位差が生じる。これにより、現像器34内に収容されたトナーが感光体ドラム31の表面に移動し、静電潜像に付着する。
一次転写ローラ35は、感光体ドラム31の表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト22の表面に転写する。具体的には、一次転写ローラ35には、図示せぬ電源回路により転写バイアスが印加される。転写バイアスが印加されると、中間転写ベルト22を挟んで、一次転写ローラ35と感光体ドラム31との間に電位差が生じる。これにより、感光体ドラム31の表面から中間転写ベルト22の表面にトナー像が転写される。
中間転写ベルト22は、図中の矢印A方向に回転し、画像形成エンジン21Y、21M、21C、21Kの感光体ドラム31から転写されたトナー像を二次転写ローラ23へと搬送する。中間転写ベルト22は、本発明に係る「転写媒体」の一例である。具体的には、中間転写ベルト22は、カーボンブラックを分散したポリイミド樹脂により形成された黒色のベルト状部材である。中間転写ベルト22は、駆動ローラ22aとバックアップローラ22bにより支持されており、駆動ローラ22aにより回転駆動される。また、中間転写ベルト22には、中間転写ベルト22がその幅方向に蛇行するのを防ぐために位置調整機構22cが設けられている。
二次転写ローラ23は、中間転写ベルト22により搬送されたトナー像を用紙等の記録媒体Pに転写する。二次転写ローラ23は、本発明に係る「転写部」の一例である。具体的には、二次転写ローラ23には、図示せぬ電源回路により転写バイアスが印加される。転写バイアスが印加されると、二次転写ローラ23と中間転写ベルト22との間に電位差が生じる。図示せぬ給紙部から二次転写ローラ23と中間転写ベルト22との間に記録媒体Pが搬送されると、中間転写ベルト22の表面から記録媒体Pの表面にトナー像が転写される。トナー像が転写された記録媒体Pは、定着器24へと搬送される。定着器24は、加熱ローラと加圧ローラとを備えており、熱と圧力とを加えることによりトナー像を記録媒体Pに定着させる。定着器24は、本発明に係る「定着部」の一例である。トナー像が定着された記録媒体Pは、画像形成装置1から排出される。
また、画像形成装置1は、画像の濃度または濃度むらを補正するために、濃度センサ40と、濃度補正部13と、読取制御部15とを備えている。この濃度補正部13及び読取制御部15は、制御部11により実現される機能である。例えば、濃度補正部13及び読取制御部15は、CPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。このプログラムは、単一のプログラムであってもよいし、複数のプログラムであってもよい。
濃度センサ40は、中間転写ベルト22上のトナー像を光学的に読み取る。濃度センサ40は、本発明に係る「画像読取部」の一例である。濃度センサ40は、画像形成エンジン21Cよりも搬送方向(矢印A方向)の下流側であり、二次転写ローラ23よりも搬送方向(矢印A方向)の上流側に配置されている。
図2は、濃度センサ40の部分断面図である。濃度センサ40は、筐体41と、光源42と、レンズアレイ43と、ラインセンサ44と、透明部材47とを備えている。筐体41は、光源42と、レンズアレイ43と、ラインセンサ44とを収容している。筐体41には、中間転写ベルト22側に開口する開口部45が設けられている。透明部材47は、ガラス板等の透明な板状部材であり、開口部45に設けられている。
光源42は、透明部材47を介して中間転写ベルト22の表面に赤色光、緑色光、青色光を順番に照射する。光源42は、本発明に係る「照射部」の一例である。光源42は、例えば赤色の発光素子、青色の発光素子及び緑色の発光素子と導光体とを備えている。赤色の発光素子、青色の発光素子及び緑色の発光素子は、導光体の端部に設けられており、それぞれ赤色光、青色光、緑色光を発光する。これらの発光素子には、例えばLED(Light Emitting Diode)が用いられる。導光体は、各々の発光素子から発せられた光を中間転写ベルト22の幅方向(主走査方向)に拡散して照射する。光源42は、光を照射する照射面42aを有する。
レンズアレイ43は、中間転写ベルト22上のトナー像で反射され、透明部材47から入射した光をラインセンサ44に結像する。レンズアレイ43には、複数の結像レンズが中間転写ベルト22の幅方向に沿って配置されている。この結像レンズには、例えばセルフォック(登録商標)レンズが用いられる。レンズアレイ43は、中間転写ベルト22と対向し、反射された光が入射する入射面43aを有している。
ラインセンサ44は、レンズアレイ43により結像された光を受光し、受光した光に応じた信号を出力する。ラインセンサ44には、中間転写ベルト22の幅方向に沿って複数の受光素子48が並べて配置されている。受光素子48は、本発明に係る「受光部」の一例である。この受光素子48には、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサが用いられる。
図3は、ラインセンサ44の構成を示す図である。図3に示すように、各受光素子48は、受光領域48R、48G及び48Bを有している。受光領域48Rには、赤色フィルタが設けられている。受光領域48Gには、緑色フィルタが設けられている。受光領域48Bには、青色フィルタが設けられている。図4は、受光素子48の分光感度特性を示すグラフである。グラフの横軸は、光の波長(nm)を示し、グラフの縦軸は、受光素子48の相対感度を示す。受光領域48Bにおいては、青色フィルタにより、主に400〜500nmの波長域の光が感知される。受光領域48Gにおいては、緑色フィルタにより、主に500〜580nmの波長域の光が感知される。受光領域48Rにおいては、赤色フィルタにより、主に575〜700nmの波長域の光が感知される。つまり、受光素子48は、受光領域48R、48G、48Bを用いて、赤色光の波長域、緑色光の波長域、青色光の波長域毎に光を受光する。
また、シェーディング補正を行う場合、濃度センサ40は、基準板49を光学的に読み取る。この基準板49は、図2に示すように、図示せぬ支持部材により支持され、図中の矢印C方向に移動されるようになっている。濃度センサ40によりトナー像が読み取られる場合、基準板49は、光源42から照射される光が当たらない位置に配置される。一方、シェーディング補正を行う場合、基準板49は、透明部材47と中間転写ベルト22との間であって、光源42から照射される光が当たる位置に移動される。この場合、光源42は、透明部材47を介して基準板49の表面に赤色光、緑色光、青色光を順番に照射する。レンズアレイ43は、基準板49で反射され、透明部材47から入射した光をラインセンサ44に結像する。ラインセンサ44は、レンズアレイ43により結像された光を受光し、受光した光に応じた信号を出力する。
図5は、制御部11の機能構成を示す図である。濃度補正部13は、濃度センサ40を用いてトナー像の濃度または濃度むらを取得し、取得した濃度または濃度むらに応じた濃度補正処理を行う。具体的には、画像形成エンジン21Y、21M、21C、21Kは、制御部11の制御の下、予め決められた濃度を有するパッチ画像を形成し、中間転写ベルト22の表面に転写する。このパッチ画像は、中間転写ベルト22により濃度センサ40と対向する位置に搬送される。濃度センサ40は、中間転写ベルト22上のパッチ画像を読み取り、パッチ画像の濃度に応じた信号を出力する。なお、濃度センサ40は、黒色のパッチ画像を読み取る場合には、光源42から照射される光量を、例えば他の色のパッチ画像を読み取る場合の数十倍に増やす。これは、上述したように、中間転写ベルト22の表面は黒色であるため、中間転写ベルト22上の黒色のパッチ画像を読み取る場合には、地色と読み取り対象の色とのコントラストが低くなるためである。
濃度センサ40から出力された信号は、濃度補正部13に入力される。濃度補正部13は、入力された信号に応じてパッチ画像の濃度を特定する。このパッチ画像の濃度は、濃度センサ40から照射された光の量を、濃度センサ40において受光された反射光の量で除することによって得られる。濃度補正部13は、特定した濃度が目標濃度となるように制御パラメータを補正する。この制御パラメータには、例えば露光装置33の露光量、現像器34の現像バイアス値、又は一次転写ローラ35や二次転写ローラ23の転写バイアス値が含まれる。なお、具体的な制御パラメータの補正方法は、例えば特開2010−26518号公報にも記載されているように公知技術であるため、詳細な説明は省略する。
ところで、中間転写ベルト22上のトナー像は未定着であるため、トナー像が濃度センサ40の上を通過するときに、トナーTが落下することがある。濃度センサ40においては、筐体41の開口部45に透明部材47が設けられているため、中間転写ベルト22から落下したトナーTは透明部材47の表面に付着してしまう。図6は、中間転写ベルト22上に形成されたトナー像を示す図である。画像形成装置1では、中間転写ベルト22の搬送方向(図1中の矢印A方向)に沿って、画像形成エンジン21K、21Y、21M、21Cがこの順番で並べて配置されている。そのため、中間転写ベルト22の表面には、黒色のトナー像、イエローのトナー像、マゼンタのトナー像、シアンのトナー像がこの順番で重ねて転写される。この場合、トナー像の最上層にあるシアンのトナーTcが落下しやすい。したがって、透明部材47には、シアンのトナーTcが付着しやすくなる。透明部材47にトナーTcが付着すると、光源42から照射された光が透明部材47の表面に付着したトナーTcで乱反射し、この反射光が迷光としてラインセンサ44に到達する。
読取制御部15は、濃度センサ40による画像の読み取りを制御する。具体的には、読取制御部15は、濃度センサ40が黒色以外の色のパッチ画像を読み取る場合には、その色の読み取りに適した波長域の光により濃度センサ40に画像を読み取らせる。一方、読取制御部15は、濃度センサ40が黒色のパッチ画像を読み取る場合には、赤色光、青色光、緑色光のうち、透明部材47に付着しやすいトナーの色による反射の度合いが閾値より低い波長域の光により濃度センサ40に画像を読み取らせる。この透明部材47に付着しやすいトナーの色は、予め定められてメモリに記憶されている。本実施形態では、透明部材47に付着しやすいトナーTの色は、上述したようにシアンである。
図7は、トナーの分光反射率を示すグラフである。グラフの横軸は、光の波長(nm)であり、グラフの縦軸は、光の反射率を示す。図7に示すように、シアンのトナーTcは、概ね550nmより長い波長域において、光の反射率が低い。赤色光、緑色光、青色光のうち、赤色光は、概ね550nmより長い波長域を有する。したがって、読取制御部15は、赤色光を受光する受光領域48Rを用いて黒色のパッチ画像を読み取らせる。この場合、他の受光領域48G、48Bは、黒色のパッチ画像の読み取りには使用されない。
図8は、従来技術において、ラインセンサ44から出力される信号を示すグラフである。なお、従来技術では、読取制御部15が設けられておらず、上述したような読み取り制御は行われない。このグラフの横軸は、読み取り対象となる画像の輝度(%)を示し、グラフの縦軸は、ラインセンサ44から出力される信号のレベル(任意単位)を示す。信号51は、透明部材47にトナーTが付着していない場合において、ラインセンサ44から出力される信号である。信号52は、透明部材47にトナーTが付着している場合において、ラインセンサ44から出力される信号である。信号53は、トナーTが付着している場合において、基準板49を用いてシェーディング補正を行った後、ラインセンサ44から出力される信号である。
輝度0%(黒色)の画像を読み取った場合、信号51のレベルは0になるのに対し、信号52のレベルは0にはならず、オフセットFが生じる。これは、透明部材47にトナーTが付着している場合には、上述したように迷光が発生するため、ラインセンサ44から迷光による信号(ノイズ)が出力されるためである。また、この場合、基準板49を用いてシェーディング補正をしても、輝度が100%未満の画像を読み取るときに発生する迷光によるノイズは解消されないため、信号53と信号51との間に誤差Eが残る。
図9は、従来技術において、透明部材47にトナーTが付着している場合において、黒色のパッチ画像を読み取ったときの迷光の影響を示すグラフである。このグラフの横軸は、主走査方向における位置(mm)を示す。透明部材47において、領域R1に対応する部分にはシアンのトナーTcが付着しており、領域R2に対応する部分にはトナーTが付着していない。グラフの左側の縦軸は、黒色のパッチ画像を読み取ったときに、ラインセンサ44から出力される信号と基準信号との差(任意単位)を示す。この基準信号は、例えば透明部材47にトナーTが付着していない状態において、シェーディング補正をした後に黒色のパッチ画像を読み取ったときに、ラインセンサ44から出力される信号である。この信号差が大きいほど、ラインセンサ44から出力される信号に含まれる迷光によるノイズの量が多いことを示す。グラフの右側の縦軸は、黒色のパッチ画像を読み取ったときに、ラインセンサ44により受光される光量と基準光量との差(%)を示す。この基準光量は、例えば透明部材47にトナーTが付着していない状態において、黒色のパッチ画像を読み取ったときに、ラインセンサ44により受光される光量である。この光量差が大きいほど、透明部材47に付着しているトナーTcの量が多いことを示す。なお、光量差は、受光量と基準光量との差分の基準光量に対する割合により求められる。
図9に示すように、領域R2では、信号差61はほとんどないが、領域R1では、信号差61が発生している。つまり、領域R2では、迷光によるノイズはほとんど発生していないが、領域R1では、迷光によるノイズが発生している。これは、透明部材47の領域R1に対応する部分にはトナーTcが付着しているため、光源42から照射された光がこのトナーTcで乱反射し、これが迷光としてラインセンサ44に到達するためである。また、領域R1では、光量差62が大きいほど、信号差61が大きくなっている。つまり、透明部材47に付着しているトナーTcの量が多いほど、迷光によるノイズの量が多くなっている。これは、透明部材47に付着したトナーTcの量が多いほど、迷光の量が多くなるためである。
図10は、本実施形態において、透明部材47にトナーTが付着している場合において、黒色のパッチ画像を読み取ったときの迷光の影響を示すグラフである。このグラフの横軸は、主走査方向における位置(mm)を示す。透明部材47において、領域R1に対応する部分にはシアンのトナーTcが付着しており、領域R2に対応する部分にはトナーTが付着していない。グラフの左側の縦軸は、黒色のパッチ画像を読み取ったときに、ラインセンサ44から出力される信号と基準信号との差(任意単位)を示す。グラフの右側の縦軸は、黒色のパッチ画像を読み取ったときに、ラインセンサ44により受光される光量と基準光量との差(%)を示す。
図10に示すように、領域R1では、図9に示す信号差61に比べて、信号差71が小さくなっている。つまり、領域R1では、ラインセンサ44から出力される信号に含まれる迷光によるノイズの量が少なくなっている。これは、本実施形態では、透明部材47に付着しやすいトナーTcの色による反射率が低い赤色光により黒色のパッチ画像を読み取っているため、透明部材47に付着したトナーTcによる迷光の影響が小さいためである。
上述した第1実施形態では、濃度センサ40と読取制御部15とが画像読取装置として用いられる。第1実施形態によれば、透明部材47に付着しやすいトナーTによる迷光の影響が小さい波長域の光を用いて黒色のパッチ画像が読み取られる。これにより、透明部材47にトナーTが付着していても、黒色のパッチ画像の読み取り精度の低下が抑制される。特に、黒色のパッチ画像を読み取る場合には、他の色のパッチ画像を読み取る場合に比べて、光源42から照射される光量が多いため、迷光による影響も大きくなる。そのため、第1実施形態のように、黒色のパッチ画像を読み取るときに迷光による影響が小さくなれば、濃度センサ40の読み取り精度の低下の抑制に大きな効果がある。また、第1実施形態では、透明部材47に付着しやすいトナーの色がトナー像を転写する順番により決められているため、画像形成エンジン21K、21Y、21M、21Cの配列により、透明部材47に付着しやすいトナーの色が容易に決められる。
2.第2実施形態
上述した第1実施形態では、透明部材47に付着しやすいトナーの色が予め決められていたが、透明部材47に実際に付着するトナーの色は必ずしも予め決められた色であるとは限らない。そこで、第2実施形態では、透明部材47に実際に付着しているトナーの色に応じて黒色のパッチ画像の読み取りに用いる光を選択する。なお、画像形成装置1及び濃度センサ40の構成は、第1実施形態で説明した構成と同じであるため、その説明を省略する。
図11は、第2実施形態に係る制御部11Aの機能構成を示す図である。制御部11Aは、濃度補正部13と、選択部14と、読取制御部15Aとを備えている。濃度補正部13は、第1実施形態で説明したものと同じである。
選択部14は、赤色光、青色光、緑色光から、透明部材47に付着しているトナーによる迷光の影響が小さい波長域の光を選択する。具体的には、濃度センサ40は、例えば基準板49を用いてシェーディング補正を行うときに、受光領域48R、48B、48Gを順番に用いて基準板49を読み取り、基準板49の濃度に応じた信号を出力する。この基準板49は、例えば黒色であることが好ましい。濃度センサ40から出力された信号は、選択部14に入力される。選択部14は、入力された信号に基づいて、受光領域48R、48G、48Bにおいてそれぞれ受光された赤色光の光量、青色光の光量、緑色光の光量を取得する。選択部14は、赤色光、青色光、緑色光から、基準光量から取得した光量への低下量が最も大きい波長域の光を選択する。この基準光量とは、例えば透明部材47にトナーTが付着していない状態において、基準板49を読み取ったときに受光素子48により受光される光量、又は前回、基準板49を読み取ったときに受光素子48により受光された光量である。後者の場合、メモリには、基準板49を読み取ったときに受光素子48により受光された光量の履歴が記憶される。
読取制御部15Aは、濃度センサ40による画像の読み取りを制御する。具体的には、読取制御部15Aは、濃度センサ40が黒色以外の色のパッチ画像を読み取る場合には、その色の読み取りに適した波長域の光により濃度センサ40に画像を読み取らせる。一方、読取制御部15Aは、濃度センサ40が黒色のパッチ画像を読み取る場合には、選択部14により選択された波長域の光により濃度センサ40に画像を読み取らせる。
図12は、透明部材47にシアンのトナーTcが付着している場合において、受光領域48Bを用いて黒色のパッチ画像を読み取ったときの迷光の影響を示すグラフである。このグラフの横軸は、主走査方向における位置(mm)を示す。透明部材47において、領域R1に対応する部分にはシアンのトナーTcが付着しており、領域R2に対応する部分にはトナーTが付着していない。グラフの右側の縦軸は、受光領域48Bの光量低下率(%)を示す。この光量低下率は、基準光量から受光領域48Bにより受光された光量を引いた値の基準光量に対する割合により求められる。光量低下率が正の値である場合には、受光量が低下したことを示す。光量低下率が負の値である場合には、受光量が増加したことを示す。グラフの左側の縦軸は、受光領域48Bにおけるシェーディング補正後の輝度のムラ量(任意単位)を示す。この輝度のムラ量は、シェーディング補正を行った後、受光領域48Bを用いて黒色のパッチ画像を読み取ったときにラインセンサ44から出力される信号と基準信号との差である。この輝度のムラ量が多いほど、ラインセンサ44から出力された信号に含まれる迷光によるノイズの量が多いことを示す。
図12に示すように、受光領域48Bを用いて黒色のパッチ画像を読み取った場合、領域R1では光量低下率81が負の値になっている。つまり、領域R1では、受光領域48Bの受光量が増えている。これは、以下のような理由による。透明部材47の領域R1に対応する部分には、シアンのトナーTcが付着している。図7に示すように、シアンのトナーTcは、概ね550nm以下の波長域において光の反射率が高い。そのため、透明部材47に付着したトナーTcにより反射される迷光の波長域は、概ね550nm以下になる。ここで、図4に示すように、受光領域48Bは、この波長域に大きな感度を有する。そのため、受光領域48Bの受光量は、シアンのトナーTcにより反射された迷光分だけ増えることになる。また、領域R1では、受光領域48Bにおけるシェーディング補正後の輝度のムラ量82が多い。つまり、領域R1では、シェーディング補正を行っても、受光領域48Bにおける輝度のムラが残っている。このように、透明部材47にシアンのトナーTcが付着している場合には、受光領域48Bを用いて黒色のパッチ画像を読み取ると、迷光の影響を受けて、ラインセンサ44から出力される信号に含まれる迷光によるノイズの量が多くなる。
図13は、透明部材47にシアンのトナーTcが付着している場合において、受光領域48Rを用いて黒色のパッチ画像を読み取ったときの迷光の影響を示すグラフである。このグラフの横軸は、主走査方向における位置(mm)を示す。透明部材47において、領域R1に対応する部分にはシアンのトナーTcが付着しており、領域R2に対応する部分にはトナーTが付着していない。グラフの右側の縦軸は、受光領域48Rの光量低下率(%)を示す。グラフの左側の縦軸は、受光領域48Rにおけるシェーディング補正後の輝度のムラ量(任意単位)を示す。
図13に示すように、受光領域48Rを用いて黒色のパッチ画像を読み取った場合、領域R1では、光量低下率91が正の値になっている。つまり、領域R1では、受光領域48Rの受光量が低下している。これは、以下のような理由による。透明部材47の領域R1に対応する部分には、シアンのトナーTcが付着している。図7に示すように、シアンのトナーTcは、概ね550nm以下の波長域において光の反射率が高い。そのため、透明部材47に付着したトナーTcにより反射される迷光の波長域は、概ね550nm以下になる。ところが、図4に示すように、受光領域48Rは、この波長域にほとんど感度を持っていない。そのため、受光領域48Rの受光量は、シアンのトナーTcにより反射された迷光を感知しない分だけ低下することになる。この場合、シェーディング補正を行うと、領域R1では、図12に示す受光領域48Bにおける輝度のムラ量82に比べて、受光領域48Rにおける輝度のムラ量92が少なくなっている。このように、透明部材47にシアンのトナーTcが付着している場合には、受光領域48Rを用いて黒色のパッチ画像を読み取ると、迷光の影響が少なくなり、ラインセンサ44から出力される信号に含まれるノイズの量が減る。
このように、図12及び図13に示す例では、受光領域48Bの受光量は増加し、受光領域48Rの受光量は低下している。例えば、受光領域48Gの受光量が増加している場合、又は受光量は低下しているが、その低下量が受光領域48Rよりも少ない場合には、受光領域48Rの受光量の低下量が最も大きくなる。この場合、選択部14は、受光領域48Rにおいて受光される赤色光を選択する。選択部14により赤色光が選択された場合、読取制御部15Aは、濃度センサ40に受光領域48Rを用いて黒色のパッチ画像を読み取らせる。この場合、他の受光領域48G、48Bは、黒色のパッチ画像の読み取りには使用されない。
上述した第2実施形態では、濃度センサ40と選択部14と読取制御部15Aとが画像読取装置として用いられる。第2実施形態によれば、透明部材47に付着しているトナーによる迷光の影響が小さい波長域の光を用いて黒色のパッチ画像が読み取られる。これにより、透明部材47に付着するトナーの色が変わっても、黒色の画像の読み取り精度の低下が抑制される。特に、黒色のパッチ画像を読み取る場合には、他の色のパッチ画像を読み取る場合に比べて、光源42から照射される光量が多いため、迷光による影響も大きくなる。そのため、第2実施形態のように、黒色のパッチ画像を読み取る場合に迷光による影響が小さくなれば、濃度センサ40の読み取り精度の低下の抑制に大きな効果がある。
3.変形例
上述した実施形態は、本発明の一例であり、本発明はこの実施形態に限定されない。上述した実施形態を以下のように変形して実施してもよい。また、以下の変形例を組み合わせて実施してもよい。
(1)変形例1
第1実施形態において、透明部材47に付着しやすいトナーの色は、画像形成エンジン21Y、21M、21C、21Kの配列に応じて変更される。例えば、図1中の矢印A方向に沿って、画像形成エンジン21K、21Y、21C、21Mがこの順番で並べて配置されている場合には、画像形成エンジン21Mが最後にトナー像を中間転写ベルト22に転写することになる。したがって、画像形成エンジン21Mによって形成されるトナー像の色であるマゼンタが透明部材47に付着しやすいトナーの色としてメモリに記憶される。図7に示すように、マゼンタのトナーTmは、概ね600nmより短い波長域において、光の反射率が低い。赤色光、緑色光、青色光のうち、青色光は、概ね600nmより短い波長域を有する。したがって、読取制御部15は、青色光を受光する受光領域48Bを用いて黒色のパッチ画像を読み取らせる。
また、図1中の矢印A方向に沿って、画像形成エンジン21Y、21M、21C、21Kがこの順番で並べて配置されている場合には、画像形成エンジン21Kが最後にトナー像を中間転写ベルト22に転写することとなる。ただし、画像形成エンジン21Kによって形成されるトナー像の色は黒であるため、迷光の発生にはあまり影響がない。したがって、この場合には、画像形成エンジン21Kを除いた画像形成エンジン21Y、21M、21Cのうち、最後に中間転写ベルト22にトナー像を転写するのは画像形成エンジン21Cが対象となり、画像形成エンジン21Cによって形成されるトナー像の色であるシアンが透明部材47に付着しやすいトナーの色としてメモリに記憶される。この場合、読取制御部15は、上述したように、赤色光を受光する受光領域48Rを用いて黒色のパッチ画像を読み取らせる。
また、画像形成部10は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒以外の色のトナーも用いて画像を形成してもよい。例えば、画像形成部10がイエロー、マゼンタ、シアン、黒に加えて、特殊色のトナーを用いて画像を形成する場合を想定する。この特殊色とは、例えばライトシアンやライトマゼンタである。この場合、画像形成部10には、特殊色のトナー像を形成する画像形成エンジン21Sが設けられる。例えば、図1中の矢印A方向に沿って、画像形成エンジン21Y、21M、21C、21K、21Sがこの順番で並べて配置される場合には、画像形成エンジン21Sが最後にトナー像を中間転写ベルト22に転写することになる。したがって、画像形成エンジン21Sによって形成されるトナー像の色である特殊色が透明部材47に付着しやすいトナーの色としてメモリに記憶される。この場合、読取制御部15は、濃度センサ40が黒色以外の色のパッチ画像を読み取る場合には、赤色光、青色光、緑色光のうち、この特殊色のトナーによる反射の度合いが閾値より低い波長域の光により濃度センサ40に画像を読み取らせる。
(2)変形例2
第2実施形態において、選択部14は、各々の受光素子48について、透明部材47に付着しているトナーによる迷光の影響が小さい波長域の光を選択してもよい。この場合、選択部14は、各々の受光素子48について、受光領域48R、48G、48Bにおいてそれぞれ受光された赤色光の光量、青色光の光量、緑色の光量を取得し、基準光量から取得した光量への低下量が最も大きい波長域の光を選択する。この場合、読取制御部15Aは、各々の受光素子48について、選択部14により選択された波長域の光を受光する受光領域48R、48G又は48Bを指定し、指定した受光領域48R、48G又は48Bを用いて、黒色のパッチ画像を読み取らせる。例えば、第1の受光素子48について青色光が選択され、第2の受光素子48について赤色光が選択された場合を想定する。この場合、読取制御部15Aは、第1の受光素子48については、受光領域48Bを指定し、この受光領域48Bを用いて黒色のパッチ画像を読み取らせる。また、読取制御部15Aは、第2の受光素子48については、受光領域48Rを指定し、この受光領域48Rを用いて黒色のパッチ画像を読み取らせる。この変形例によれば、透明部材47に付着しているトナーの色が部分的に異なる場合であっても、各々の部分について、付着しているトナーによる迷光による影響が小さい波長域の光により黒色のパッチ画像が読み取られる。
(3)変形例3
第1実施形態及び第2実施形態において、各受光素子48は、1つの受光領域だけを有していてもよい。この場合、受光素子48には、色フィルタを設ける必要はない。光源42は、赤色光、青色光、緑色光を順番に照射する。受光素子48は、光源42から照射され、パッチ画像又は基準板49で反射された赤色光、青色光、緑色光を順番に受光する。つまり、受光素子48は、時分割により赤色光の波長域、青色光の波長域、緑色光の波長域毎に光を受光する。
この場合、第1実施形態に係る読取制御部15は、黒色のパッチ画像を読み取る場合には、光源42から透明部材47に付着しやすいトナーの色による反射の度合いが閾値より低い波長域の光を照射させる。例えば、上述したように透明部材47に付着しやすいトナーの色がシアンである場合には、読取制御部15は、光源42から赤色光のみを照射させる。この場合、青色光及び緑色光は光源42から照射されない。第2実施形態に係る読取制御部15Aは、黒色のパッチ画像を読み取る場合には、光源42から選択部14により選択された波長域の光を照射させる。例えば、上述したように選択部14により赤色光が選択された場合には、読取制御部15Aは、光源42から赤色光を照射させる。この場合、青色光及び緑色光は光源42から照射されない。
(4)変形例4
第1実施形態及び第2実施形態において、濃度補正部13は、濃度補正処理において、濃度センサ40により読み取られた濃度に応じて、画像データを補正してもよい。この場合、濃度補正部13は画像処理部12により実現されてもよい。具体的には、濃度補正部13のメモリには、補正テーブルが記憶されている。この補正テーブルには、画像データの各階調値について入力値と出力値とが対応付けて格納されている。画像処理部12に入力された画像データは、この補正テーブルに基づいて階調値が補正される。具体的には、画像データの階調値は、補正テーブルにおいてその階調値の入力値に対応付けられた出力値に変換される。濃度補正部13は、上述した実施形態と同様に、濃度センサ40を用いてトナー像の濃度を取得する。濃度補正部13は、取得した濃度が目標濃度に近づくように、補正テーブルに格納された出力値を変更する。なお、この変形例に係る濃度補正処理は、単独で行ってもよいし、実施形態に係る濃度補正処理と併せて行ってもよい。
(5)変形例5
第1実施形態及び第2実施形態で説明した濃度センサ40の構成は、あくまで例示であり、本発明はこれに限定されない。例えば、光源42の数は、1個であってもよい。また、光源42は、赤色光、青色光及び緑色光に代えて、白色光を照射してもよい。さらに、光源42は、実施形態で説明した構成に代えて、中間転写ベルト22の幅方向に沿って複数の発光素子が並べて配置されていてもよい。
(6)変形例6
制御部11のCPUによって実行されるプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、メモリなどの記録媒体に記録した状態で提供され、画像形成装置1にインストールされてもよい。また、このプログラムは、インターネット等の通信回線を介して画像形成装置1にダウンロードされてもよい。
(7)変形例7
本説明では、透明部材がガラス板等の透明な板状部材である場合について説明してきたが、レンズアレイ43でも図9に示す現象は発生するため、レンズアレイ43を透明部材として取り扱ってもよい。
1…画像形成装置、11…制御部、14…選択部、15、15A…読取制御部、20…画像形成部、21Y、21M、21C、21K…画像形成エンジン、22…中間転写ベルト、23…二次転写ローラ、24…定着器、40…濃度センサ

Claims (8)

  1. 透明部材と、転写媒体上にトナーで形成された画像又は基準板に対し前記透明部材を介して複数の波長域の光を照射する照射部と、当該画像又は当該基準板で反射され、前記透明部材から入射した前記複数の波長域の光を当該波長域毎に受光する受光部とを有し、当該画像又は当該基準板を前記複数の波長域の光により前記透明部材を介して読み取る画像読取部と、
    前記画像読取部により前記基準板が読み取られたときに、前記受光部により受光された各々の前記波長域の光量を取得し、基準光量から当該取得した光量への低下量が最も大きい波長域の光を選択する選択部と、
    前記画像読取部が黒色のトナーで形成された前記画像を読み取る場合には、前記選択部により選択された波長域の光により、前記画像読取部に当該画像を読み取らせる読取制御部と
    を備えることを特徴とする画像読取装置。
  2. 前記画像読取部は、複数の前記受光部を有し、
    各々の前記受光部は、それぞれ異なる波長域の光を受光する複数の受光領域を有し、
    前記選択部は、各々の前記受光部について、前記複数の受光領域によりそれぞれ受光された前記波長域の光量を取得し、基準光量から当該取得した光量への低下量が最も大きい波長域の光を選択し、
    前記読取制御部は、各々の前記受光部について、前記選択部により選択された波長域の光を受光する受光領域を指定し、当該指定した受光領域を用いて前記画像を読み取らせる
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
  3. 透明部材を有し、転写媒体上にトナーで形成された画像を複数の波長域の光により前記透明部材を介して読み取る画像読取部と、
    前記画像読取部が黒色のトナーで形成された前記画像を読み取る場合には、前記複数の波長域のうち、前記透明部材に付着しやすいトナーの色として予め決められた色による反射の度合いが閾値より低い波長域の光により、前記画像読取部に当該画像を読み取らせる読取制御部と
    を備えることを特徴とする画像読取装置。
  4. 転写媒体と、
    像保持体上にトナーで画像を形成し、当該形成した画像を前記転写媒体に転写する作像部と、
    前記転写媒体に転写された前記画像を記録媒体に転写する転写部と、
    前記記録媒体に転写された前記画像を当該記録媒体に定着させる定着部と、
    請求項1又は2に記載の画像読取装置と
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  5. 転写媒体と、
    像保持体上にトナーで画像を形成し、当該形成した画像を前記転写媒体に転写する作像部と、
    前記転写媒体に転写された前記画像を記録媒体に転写する転写部と、
    前記記録媒体に転写された前記画像を当該記録媒体に定着させる定着部と、
    請求項3に記載の画像読取装置と
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  6. 黒を含む複数の色の画像をそれぞれ形成し、当該形成した画像を前記転写媒体に順番に転写する複数の前記作像部を備え、
    前記予め決められた色は、前記複数の作像部のうち、黒の画像を形成する作像部を除いて最後に前記転写媒体に前記画像を転写する作像部により形成される画像の色である
    ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. コンピュータに、
    透明部材と、転写媒体上にトナーで形成された画像又は基準板に対し前記透明部材を介して複数の波長域の光を照射する照射部と、当該画像又は当該基準板で反射され、前記透明部材から入射した前記複数の波長域の光を当該波長域毎に受光する受光部とを有し、当該画像又は当該基準板を前記複数の波長域の光により前記透明部材を介して読み取る画像読取部により、前記基準板が読み取られたときに、前記受光部により受光された各々の前記波長域の光量を取得し、基準光量から当該取得した受光量への低下量が最も大きい波長域の光を選択するステップと、
    前記画像読取部が黒色のトナーで形成された前記画像を読み取る場合には、前記選択された波長域の光により、前記画像読取部に当該画像を読み取らせるステップと
    を実行させるためのプログラム。
  8. コンピュータに、
    透明部材を有し、転写媒体上にトナーで形成された画像を複数の波長域の光により前記透明部材を介して読み取る画像読取部が黒色のトナーで形成された前記画像を読み取る場合には、前記複数の波長域のうち、前記透明部材に付着しやすいトナーの色として予め決められた色による反射の度合いが閾値より低い波長域の光により、前記画像読取部に当該画像を読み取らせるステップ
    を実行させるためのプログラム。
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