JP5888067B2 - 多孔質シート及びこれを用いた二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔質シート及びこれを用いた二次電池に関する。
近年の携帯機器の発展は目覚ましく、その原動力として高エネルギー電池によるところが大きい。特に、リチウムイオン二次電池は、次世代電池の主力として期待されている。このようなリチウムイオン二次電池の開発では、より高性能化を図るため、正極、負極、及び電解液等の構成要素の改良が進められている。特に、負極表面での電解質の分解による特性の劣化を抑制するため、種々の改良が進められている。
例えば、特許文献1には、電解液溶媒としてエチレンカーボネート(EC)のような環状カーボネートを用いた電解液中に、添加剤として1,3−プロパンスルトンを含有させることにより、初期充電時のEC還元分解前に負極炭素材料表面にて1,3−プロパンスルトンを還元させ、炭素材料表面を不動態皮膜で被覆する技術が開示されている。ここで、不動態皮膜は、電解液中に添加された添加剤の分解に起因して、電極である負極表面を被覆するように形成される膜であって、リチウムイオンの透過性が良好で、負極おける電解液の分解反応を抑制する作用を有する膜である。これにより、電解液の分解やこれに伴う負極の劣化を抑制しようとしている。
また、例えば特許文献2や特許文献3には、電解液溶媒として低温特性を向上させるために好適なプロピレンカーボネート(PC)に、添加剤としてビニレンカーボネート(VC)を含有させることにより、初期充電時、PCの還元分解前に負極炭素材料表面にてVCを還元分解させ、炭素材料表面を不動態皮膜で被覆する技術が開示されている。これにより、電解液の分解やこれ伴う負極の劣化を抑制しようとしている。
これら特許文献1〜3に開示の技術では、電解液に添加剤を加えることで、電極である炭素材料表面の不動態皮膜を形成するものであり、もし電極表面に添加剤が供給されない部分があれば、不動態皮膜が形成されない。特に大型電池はセルのサイズが大きい分、電解液の拡散に時間がかかり、電解液の局所的な劣化の影響が顕著になりやすい。このような電解液の局所的な劣化によりリチウムイオン二次電池としてもサイクル特性の劣化を生じてしまう。このようにセル構造全体として、電解液中の添加剤の濃度分布については考慮されていないため、電解液起因の特性劣化に対する対策としてはまだ不十分である。
特開2000−3724号公報 特開平8−45545号公報 特開2001−167797号公報
本発明は、上記課題に鑑み、電極と対向する多孔質シート上に電解液の拡散や対流を促進可能な多孔質シートとサイクル特性を向上させた二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の発明に至った。
本発明にかかる多数の空孔を有する多孔質シートにおいて、前記多孔質シートは、その表面に前記空孔よりも大きな無孔部を有することを特徴とする。多孔質シートをこの様な構成にすることにより、電解液の拡散や対流が促進され、電解液の劣化に対して有効に作用する。また二次電池に適応した場合にはサイクル特性の向上も可能にするものである。
この原理は必ずしも明確ではないが、例えば電極表面に劣化成分が局所的に発生した場合、その劣化成分は多孔質シート内に拡散し、そのまま停滞してしまう場合がある。この様な状況にならない様、たとえ電極表面に劣化成分が発生したとしても、電極から多孔質シートに拡散される電解液の流れが、上述した無孔部が存在することで膜面方向に広げることができるため、本発明にかかる多孔質シートは、劣化成分が停滞することなく電解液の拡散が促進されるものと考えている。
本発明にかかる二次電池は、正極と、負極と、電解質と、を含み、前記正極と前記負極との間に上述した多孔質シートを有し、前記正極及び前記負極は、その一端で所定方向に引き出された電極端子と電気的に接続し、前記正極又は前記負極の少なくとも一方の電極に対向する前記多孔質シートの表面には、前記所定方向を横断する方向に無孔部が延びて形成されていることが好ましい。
電極、あるいは電極内部の集電体自身にも抵抗成分が存在するため、電極端子に近いほど電極反応は強くなる。よって、電解液の劣化も端子からの距離が近いほど劣化が激しくなる。かかる構成によれば、電極端子の引き出し方向に対し横断する方向に無孔部を配置することで、拡散性は大幅に向上し、局所的な電極劣化を防止することができる。ひいては二次電池としてサイクル特性のさらなる向上も可能となる。
本発明にかかる二次電池は、正極と、負極と、電解質とを含み、前記正極と前記負極との間に上述した多孔質シートを有し、前記正極及び前記負極は、その一端で所定方向に引き出された電極端子と電気的に接続し、前記正極又は前記負極の少なくとも一方の電極の前記電極端子の近傍において対向する前記多孔質シートの表面に無孔部が多数偏在していることが好ましい。
この様な構成とすることで、拡散性は大幅に向上し、局所的な電極劣化をさらに防止することができる。ひいては二次電池としてサイクル特性のさらなる向上も可能となる。
本発明にかかる二次電池は、正極と、負極と、電解質と、を含み、前記正極と前記負極との間に上述した多孔質シートを有し、前記正極及び前記負極は、その一端で所定方向に引き出された電極端子と電気的に接続し、前記正極又は前記負極の少なくとも一方の電極に対向する前記多孔質シートの表面には、前記所定方向と同一方向に延びる同一線上に前記無孔部が断続的に配置されていることが好ましい。
前記無孔部が上述した同一線上に連続的に存在するよりも電解液の拡散や対流が促進されるため、断続的に配置した方が好ましい。
また本発明にかかる二次電池は、正極と、負極と、電解質と、を含み、前記正極と前記負極との間に上述した多孔質フィルムを有し、前記正極及び前記負極は、その一端で所定の方向に引き出された電極端子と電気的に接続し、前記多孔質シートの一方の主面および他方の主面にはそれぞれ無孔部が形成され、前記多孔質シートの前記一方の面に形成された無孔部と前記他方の面に形成された無孔部は、前記主面に垂直な方向から見たときの投影像において、互いに重ならないように配置されていることが好ましい。
この様な構成とすることで、拡散性は大幅に向上し、局所的な電極劣化を防止することができる。ひいては二次電池としてサイクル特性の向上も可能となる。
本発明によると、多孔質シート表面に無孔部を形成することにより、電解液の拡散や対流を促進可能にし、ひいてはサイクル特性を向上させた二次電池を提供することができる。
本実施形態の多孔質シートの断面模式図である。 正極とセパレータと負極を積層し作製した積層体のセパレータ上面から投影したときの本実施形態の一例である。 本実施形態の二次電池の捲回構造を示す模式図である。
以下、本発明の多孔質フィルムについて、好適な実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に用いられる多孔質構造体を示す模式的な説明図である。正極12と負極13の間に本実施形態に係る多孔質シート14は配置される。多孔質シート14自体は多孔部15で構成されるが、多孔質シート14の表面に無孔部16が形成されている。
多孔質シートをこの様な構成にすることにより、電解液の拡散や対流が促進され、電解液の劣化に対して有効に作用する。また二次電池に適応した場合にはサイクル特性の向上も可能にするものである。
図1では、この無孔部は多孔質シートの両面に形成しているが、片面だけでも効果は得られる。つまり、この無孔部は負極側のみに存在していても、正極側のみに存在していてもよい。高温環境下では特に正極活物質の酸化触媒能力が高くなるため、電解液中の溶媒の酸化分解が正極表面上で起こりやすくなる。そのため、電解液の組成が変化する。無孔部が存在することにより、多孔質シート膜厚方向、すなわち負極方向に対して組成が変化した電解液は効果的に拡散される。
本実施形態において用いる多孔質シートのための素材は、特に限定されるわけではないが、熱可塑性樹が好ましく用いることができる。この熱可塑性樹としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等の単独重合体、共重合体又はこれらの混合物を挙げることができる。しかし、なかでも、本実施形態においては、超高分子量ポリエチレン樹脂が好ましく用いられる。
上記超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物は、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂と共に、それ以外のポリオレフィン樹脂を含んでいてもよい。この超高分子量ポリオレフィン樹脂以外のポリオレフィン樹脂は、重量平均分子量が1×10 以上、5×10 未満の範囲にあり、好ましくは、1×10〜3×10 の範囲にある。このようなポリオレフィン樹脂としても、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等の単独重合体、共重合体又はこれらの混合物を挙げることができる。しかし、なかでも、本実施形態においては、高密度ポリエチレン樹脂が好ましく用いられる。
本実施形態において、超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物を用いるとき、この組成物は、超高分子量ポリオレフィン樹脂を少なくとも15重量%含むことが必要である。
本実施形態による多孔質シートの製造には、先ず、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂(組成物)5〜30重量%、好ましくは、8〜20重量%と、凝固点が−10℃以下である溶媒95〜70重量%、好ましくは、92〜80重量%を均一なスラリー状に混合し、これを加熱攪拌して、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂(組成物)を上記溶媒中に溶解させ、得られた溶液状混合物を115〜185℃の範囲の温度で混練りして、混練り物を調製する。
上記溶媒としては、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂(組成物)をよく溶解すると共に、凝固点が−10℃以下のものであれば、特に、限定されるものではないが、特に、本実施形態においては、凝固点が−10℃から−45℃の範囲のものが好ましく用いられる。そのような溶媒の好ましい具体例として、例えば、デカン、デカリン、流動パラフィン等の脂肪族又は環式炭化水素や、凝固点がこれらに対応する鉱油留分を挙げることができる。しかし、なかでも、流動パラフィンのような不揮発性溶媒が好ましく、特に、凝固点が−15℃以下であり、40℃における動粘度が65cSt以下の不揮発性溶媒が好ましく用いられる。
超高分子量ポリオレフィン樹脂(組成物)と上記溶媒の溶液状混合物において、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂(組成物)が30重量%を越えるときは、特に、超高分子量ポリオレフィン樹脂の溶媒に対する溶解性が不十分であって、混練り時に超高分子量ポリオレフィン樹脂が延び切り状態近くに解されず、ポリマー鎖の十分な絡み合いを得ることが困難である。更に、後述するように、混練り物を冷却しながら、シートに成形して、樹脂を結晶化させた後、延伸処理して、延伸フィルムとする際に、延伸倍率が比較的低いとき、微多孔を有する特性を備えた多孔質シートを得ることが困難であり、他方、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂(組成物)が5重量%を下回るときは、得られる多孔質シートが強度に劣る。
本実施形態においては、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂(組成物)を溶媒に溶解させてなる溶液を混練りするに際して、185℃を越える温度で混練りするときは、溶液の粘度が低すぎて、混練り物に十分なせん断力を作用させることができず、他方、混練温度が115℃よりも低いときは、上記混合物を効果的に混練することができず、かくして、上記混合物の混練りにおいて、上述したような超高分子量ポリオレフィン樹脂のポリマー鎖の十分な絡み合いを得ることが困難である。
このような超高分子量ポリオレフィン樹脂のポリマー鎖の十分な絡み合いを得るために、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂(組成物)と溶媒との溶液状混合物に高いせん断力を作用させつつ、混練りすることが好ましい。混練り時に、十分なせん断力を作用させることができないときは、超高分子量ポリオレフィン樹脂のポリマー鎖の十分な絡み合いを得ることができないことがある。従って、本実施形態によれば、超高分子量ポリオレフィン樹脂(組成物)と溶媒との溶液状混合物の混練りには、通常、混合物に強いせん断力を与えることができるニーダや二軸押出機等が好ましく用いられる。
次いで、本実施形態によれば、このようにして得られた超高分子量ポリオレフィン樹脂(組成物)と溶媒との溶液状の混練り物を用いた溶媒の凝固点以下の温度、好ましくは、−10℃から−45℃の範囲の温度、好ましくは、−15℃〜−40℃の範囲の温度に冷却しながら、ゲル状シートに成形して、超高分子量ポリオレフィン樹脂(と高密度ポリエチレン樹脂)を結晶化させる。ゲル状シートの厚みは、通常、0.1〜5.0mmの範囲が適当である。
このように、超高分子量ポリオレフィン樹脂(組成物)と溶媒との溶液状の混練り物を用いた溶媒の凝固点以下の温度に冷却するには、特に、限定されるものではないが、例えば、予め2枚の金属板をドライアイスにて冷却しておき、これら金属板の間に上記混練り物を挟み、混練り物を加圧して、シートに成形すればよい。
本実施形態によれば、混練り物を冷却しながら、シートに成形する際、得られるシートの表面層のみならず、シートの中心部まで、樹脂を微細に結晶化させるために、混練り物を急冷することが好ましく、従って、その冷却速度は平均で50℃/分以上が好ましい。溶液状態、即ち、混練り物からシートへの成形時の冷却速度が遅いときは、混練りによって、引き伸ばされ、絡み合っているフィブリルが毛毬状に戻って、太い繊維を形成するので、細く、且つ、均一なフィブリルからなる多孔質膜構造が形成されにくく、大きな貫通孔を有する多孔質膜構造が部分的に形成されてしまう。
即ち、一般に、結晶性高分子量樹脂を結晶化させると、ラメラ結晶が生成し、このラメラ結晶の厚みは、結晶化温度に大きく依存し、融点と結晶化温度との差が大きいほど、ラメラ結晶の厚みは小さくなる。本実施形態によれば、超高分子量ポリオレフィン樹脂(組成物)と溶媒との混練り物を115〜185℃の高い温度から、用いた溶媒の凝固点以下の温度、即ち、−10℃以下の温度に冷却しながら、好ましくは、急冷しながら、ゲル状シートに成形するので、ラメラ結晶の厚みは非常に小さく、従って、ゲル状シートを延伸して、延伸フィルムを得る際に、ラメラ結晶が微結晶に分割される結果、繊維径が小さく、且つ、均一であるフィブリルからなり、膜厚に対する貫通経路の比率である曲路率が非常に大きく、ミクロフィブリル構造を有する多孔質シートを得ることができるとみられる。
本実施形態に従って、混練り物を溶液状態から急冷しながら、ゲル状シートに成形して、樹脂を結晶化させても、このようなゲル状シートにおける樹脂の結晶構造は、用いた溶媒の凝固点以上の温度でこのゲル状シートを保存するときは、上記冷却速度が遅いときと同様、混練りによって、引き伸ばされ、絡み合っているフィブリルが毛毬状に戻って、太い繊維を形成して、微細で均一な多孔構造が形成され難く、大きな貫通孔が部分的に形成される。従って、超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物と溶媒との混練り物を急冷しながら、ゲル状シートに成形し、かくして、結晶構造を有せしめたゲル状シートを直ちに延伸するか、又は保存するとすれば、得られたゲル状シートを溶媒の凝固点未満の温度に保存することが望ましい。
このように、混練り物のシートへの成形時の冷却速度が遅い場合や、得られたシートを用いた溶媒の凝固点以上の温度で保存した場合には、上述したような現象を生じ、得られる多孔質シートは、微多孔部分の構造の微細性と均一性に欠けるものとなって、比較的大きい空孔ができるので、強度、特に、突刺し強度において劣るようになる。
次いで、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂の融点をM℃とするとき、上記ゲル状シートを(M+5)℃から(M−30)℃の範囲の温度、好ましくは、M℃から(M−25)℃の範囲の温度にて、二軸延伸する。この二軸延伸は、逐次又は同時二軸延伸のいずれによってもよいが、好ましくは、同時二軸延伸する。本実施形態において、ゲル状シートの延伸倍率は、一方向に3〜32倍であり、面積延伸倍率は9〜1024倍の範囲が適当であり、好ましくは、一方向に3〜20倍であり、面積延伸倍率は9〜400倍の範囲である。
次いで、このように得られた二軸延伸フィルムを適宜の溶剤で洗浄して、フィルム中に残留する溶媒を除去して、多孔質シートとし、好ましくは、この後、このフィルムの熱収縮を防止するために、加熱して、ヒートセット(熱固定)する。上記脱溶媒処理に用いる溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素等の塩素化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の易揮発性のものが好ましく用いられる。これらの溶剤は、超高分子量ポリオレフィン樹脂(組成物)の溶液の調製に用いた溶媒に応じて適宜に選ばれる。シート中に残留する溶媒を除去するには、例えば、シートを溶剤に浸漬すればよい。
この様にして、平均空孔サイズ0.05μm〜0.3μm、空孔率が20〜70%である多孔質シートを得ることができる。
次に、得られた多孔質シート上に無孔部を形成する。無孔部は多孔質シートに加温ゴムロール等の加温部を多孔質シート表面に押し付けることにより形成できる。多孔質シート表面上には多孔が存在するが、ゴムロールを接触した部分のみが溶融し、閉孔し、無孔部が形成される。多孔質シートの溶融温度をTmとすると、加温温度は(Tm−15)℃が目安温度となる。ポリエチレン多孔質シートの場合、ゴムロールの加温温度は100〜140℃で、好ましくは105〜125℃である。ゴムロールの加温温度が高すぎると閉孔領域が膜内部にも進行し、膜全体の空孔率を低下させ、ついてはイオン導電性が低下してしまう。
無孔部は表面のみに形成され、その厚みは0.1〜1.0μmが好ましい。上記と同様に、無孔部の厚みが厚くなるとイオン導電性が低下し、電池の充放電特性を低下させてしまう。
また、多孔質シート自身は単層あるいは複数の積層多孔膜からなっていても良い。
経験的にはこの無孔部は多孔部に形成されるフィブリルの最短部の5倍以上必要で、より好ましくは10倍以上ある。このフィブリルよりも大きい無孔部が存在することにより、負極側から排出される電解液の拡散が促進される。ここでフィブリルの最短部とは、繊維状に形成されているフィブリルの繊維径を指し、走査型電子顕微鏡により確認できる。
無孔部の最短部方向の幅は0.3〜10.0μmが好ましく、より好ましくは1.0〜7.0μmである。10.0μm以上の無孔部は電解液の拡散性よりもイオン導電性を大きく低下させてしまう。
無孔部はランダムに配置してもよいし、規則的なパターン、例えば線状、あるいはグリッド状であっても良い。
無孔部をパターン、例えば線状またはグリッド状として配置する場合は電極端子の引き出し方向を横断する方向に配置することが望ましい。
なお、無孔部とは、セパレータの主面において、多数の空孔を有する多孔質シートの表面に有する空孔の存在しない領域を意味する。その断面において空孔と空孔の間にはセパレータを構成する樹脂が存在するが、空孔と空孔の距離がその空孔の平均孔径よりも小さい距離で隣接する場合は、無孔部ではなく多孔質部と判断する。また、無孔部は多孔質シートを構成する樹脂からなるため、多孔質シート状に付着した樹脂は意図していない。よって無孔部は多孔質シートの主面よりも内側に形成される。
図2は多孔質シート上の無孔部と電極端子の位置関係を表した一例である。正極端子17、負極端子18の引き出されている方向に対して、それらを横断する方向に多孔質シート141に形成された無孔部161が配置されている。この様な構成が好ましい。
また、正極端子17、負極端子18の引き出されている方向と同一に延びる同一線上に配置される無孔部は断続的に配置される構造としても好ましい。
集電体、活物質での抵抗成分を考えると、端子に近づくほど電極での反応は強くなる。よって、電解液の劣化も端子からの距離が近いほど劣化が激しくなる。このような横断する配置にすることにより電解液をより効果的に端子から遠ざけ、拡散させることができ、電解液中の劣化成分の局所的な濃度分布を効果的に低減できる。
上記観点から、無孔部の形成位置は電極端子引き出し方向に偏在する構造とすることも好ましい。この様な構造でも多孔質シート141の正極面側及び負極面側の両方に無孔部を形成する場合には、それぞれの無孔部は互いに重ならない位置関係に配置することが好ましい。無孔部同士が重なった部分は対流が滞りやすく、そのため逆に添加剤の濃度分布が拡大してしまう。
このようにして得られる本実施形態による多数の空孔を有する多孔質シートは、厚みが1〜60μm、好ましくは、5〜45μmの範囲にある。
多数の空孔を有する多孔質シートは、空孔率が35〜75%、好ましくは、50〜70%、通気度が100〜800秒/100cc、好ましくは、100〜500秒/100ccである。なお、空孔率は、水銀圧入法により測定すればよい。
続いて、上述の多孔質シートを用いた二次電池に関して、特に二次電池を例に挙げて説明する。
(電極捲回体)
図3は二次電池の電極捲回体の構成を示す断面の模式図である。場合によりリチウムイオン二次電池の構成を例に挙げ説明する。図3に示す二次電池の構造は、正極12と、点線で示した多孔質シート14と、負極13と、とを重ね、正極端子18を中心にこれらを捲回して作製する。そして最外周に位置する多孔質シート14はその端部で固定テープ19により固定されている。なお図中の17は負極端子を示す。
正負極の各電極が接触することがないように多孔質シートを介する様に配置し、捲回する捲芯を回転運動することで、各電極と多孔質シートを渦巻き状に捲き込むことで、捲回型電極体を作製することができる。各電極は少なくともどちらか一方の電極が一回以上折り曲げられていればよい。
電極捲回体を構成する際に多孔質シートに存在する無孔部は、多孔質シートの一方の主面又は他方の主面に存在し、前記主面上から見たときに一方の主面上の無孔部と他方の主面の無孔部は互いに重ならないような配置をとることが好ましい。
正負極の電極および多孔質シートを捲芯に供給する方法は、一般的な方法を用いることができる。例えば、リール状にして連続的に供給し、捲回の操作中もしくは終了と同時に電極を所定の長さに切断する。または、あらかじめ所定の長さに電極または多孔質シートを切断し、供給し捲回することも可能である。供給する電極および多孔質シートはそれぞれ捲回する方向に対して負荷を印加しながら供給することが捲回時に電極の密着性を得られるので好ましい。
捲回する際、少なくともどちらか一方の電極を捲回機の捲芯の長手方向の中心に位置するように配置するか、電極の長手方向の一端が捲回機の捲芯に向く様に配置することができる。また、正負極の電極の長手方向の一端は両方が同一方向を向いていても良いが、正負極の電極の長手方向の一端が対向するように配置することもできる。
多孔質シートも電極と同様に配置できる。
捲回する際、電極および/または多孔質シートを捲芯に介した状態で正負の電極は捲芯上に配置した状態で捲回を行う。その際、電極の長手方向の端点と捲芯の端点を揃えることができる。捲回後に捲芯を引き抜かず、一方の電極のリードとして利用する事もできる。捲芯がリードを兼ねる場合、捲芯と電極は電気的接続をしていればよいが、リードと電極は一般的な方法で溶接してあることが好ましい。
捲芯は捲回後渦巻き状捲回型電極体内部には残さず引き抜く場合に、引き抜く時に捲芯と電極の間に接触抵抗が生じるために巻きズレを生じやすく、電極合剤の剥離の原因となり、剥離した合剤がショートの原因となることがある。そのため、捲芯には直接電極が当たらないように、多孔質シートが捲芯に接する様に配置してから捲き始めることで捲きズレの予防となる。
また、多孔質シートと捲芯の接触により多孔質シートの亀裂、切断、磨耗による強度低下と絶縁不良を起こす可能性もあり、捲芯に接する多孔質シートは2回以上巻き付けることが好ましい。該正極と該負極を渦巻き状に捲回する際に用いる捲芯の形状は、真円であっても良いが、楕円、長方形、菱形、その他多角形やその角(かど)を面取り等の加工した様な形状であっても良い。捲芯の材質は特に限定しないが、ステンレス製であることが好ましい。捲芯は必ずしも単一の部品で構成する必要はなく、複数の部品に分割された構造で合っても良い。
正負極の電極を渦巻き状に捲回し、捲き終わったところで捲回型電極体の最外周に位置する電極又は多孔質シートの最外周の全周又は一部を固定する。最外周が特に熱溶融する材質を多孔質シートに用いたの場合は、多孔質シートを直接、熱溶着により固定できる。また、最外周を固定するには、粘着テープまたは矩形筒体状の固定テープを用ることもできる。多孔質シートに耐熱性の材料を用いた場合には最外周に熱収縮チューブを使用することができる。また、最外周が電極であり、外装ケースに電気的接続を保ちかつ固定すればそれぞれ正・負極端子を設ける必要はない。又その際は電気的接続を有利にするために電子導電性の材料を使うことが望ましい。
これらの固定によって、電極の捲回に対する垂直方向の捲きのズレや捲回方向での捲きの緩みを最小限に押さえることで電池の性能劣化を防ぎ、脱落物が両電極間を短絡することを防ぎ、捲回型電極体を用いる次工程への搬送を容易にし、捲回型電極体の外装ケースへの挿入を容易にできる。
外装ケースに捲回型電極体を挿入した後に電解液の注液を行う。電解液の注入は、全量を一回で行ってもよいが、2回以上の複数に分けて行うことが好ましい。また、2回以上に分けて電解液を注入する場合それぞれの電解液の組成を替えても良いが、同一の電解液を用いることが好ましい。
外装ケース、電池封口蓋、電極、リード、電極端子の溶接法は直流または交流を用いた電気抵抗溶接、レーザー溶接、超音波溶接等を用いることができる。また、パッキンを介して外装ケース及び電池封口蓋を機械的カシメやネジ止めによる封口や樹脂製封止材を用いた封口も可能である。とくに、樹脂製封止材としてはマレイン酸変成ポリエチレン樹脂/高密度ポリエチレン樹脂/マレイン酸変成ポリエチレン樹脂の二種三層ラミネートフィルムを用いることが好ましい。外装ケースおよび/又は電池封口蓋にフランジ等設けて封口することも可能である。
外装ケースの材料には、特に制限はなく、従来公知の二次電池に採用されている筒形(角筒形や円筒形など)のスチール缶やアルミニウム缶などが挙げられる。また、樹脂フィルムに金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体に用いることもできる。
外装ケース及び電池封口蓋とが金属製であり、且つそれらの接合部を例えばレーザー溶接などにより電気的接続を保ちながら固定すれば電池封口蓋にそれぞれ正・負極端子を設ける必要はない。電池外装ケースが電極の集電体を兼ねる場合には外装ケースがリードとして兼用できる。
(正極)
次に正極を説明する。正極は正極集電体の両面に正極活物質層を形成し作製する。
正極集電体は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミ、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質層は、活物質、結合剤、必要に応じた量の導電助剤を含むものである。
正極活物質としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、層状マンガン酸リチウム(LiMnO)又は複数の遷移金属を配合した複合酸化物であるLiMnNiCo(x、y及びzは、x+y+z=1、0≦y<1、0≦z<1、0≦x<1の式を満たす)などの層状化合物、これらの化合物において1種以上の遷移金属元素を置換したもの、マンガン酸リチウム(Li1+xMn2−x(ただし、xは0〜0.33の数を示す)、Li1+xMn2−x−y(ただし、MはNi、Co、Cr、Cu、Fe、Al、Mgからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含み、xは0〜0.33の数を示し、yは0〜1.0の数を示し、かつ、x及びyは、2−x−y>0の式を満たす)、LiMnO、LiMn、LiMnO、LiMn2−x(ただし、MはCo、Ni、Fe、Cr、Zn、Taからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含み、xは、0.01〜0.1の数を示す)、LiMnMO(ただし、MはFe、Co、Ni、Cu、Znからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を示す)、銅−リチウム酸化物(LiCuO)、鉄−リチウム酸化物(LiFe)、LiFePO、LiV、V、Cu等のバナジウム酸化物、ジスルフィド化合物、Fe(MoOが挙げられる。
(導電助剤)
導電助剤としては、例えば、ニッケル、アルミニウム、銅、銀等の金属及び導電性炭素材料が挙げられる。上記導電性炭素材料としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノファイバー等の炭素繊維が挙げられる。導電助剤としては、特にカーボンブラックが好ましい。なお、導電助剤は含有しなくてもよい。
(結着剤)
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−塩化3フッ化エチレン(CTFE)共重合体(PVDF−CTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンフッ素ゴム、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンフッ素ゴム(PVDF−TFE−HFP)、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルフッ素ゴム等のフッ素系高分子などが好ましい。フッ化ビニリデン系ポリマーとしては、フッ化ビニリデンが50重量%以上、特に70重量%以上であるものが好ましく、特に、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体、フッ化ビニリデンと塩化3フッ化エチレンとの共重合体(PVDF−CTFE〕が好ましい。
次に負極を説明する。負極は正極集電体の両面に負極活物質層を形成し作製する。
負極集電体は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの、リチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si,Sn、Ge,Bi,Sb、Inなどの元素およびその合金、リチウム含有窒化物、もしくは酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物、またはリチウム金属やリチウム/アルミニウム合金も負極活物質として用いることができる。そして、これらの負極活物質に導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)やPVDFなどの結着剤などを適宜添加した負極合剤を、集電体を芯材として成形体に仕上げることで、集電体表面に負極合剤層を形成することができる。
(電解質)
電解質は、図面上も図示していないが、電極捲回体の内部に含有させるものである。電解質としては、特に限定されず、例えば、本実施形態では、リチウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いことにより、充電時の耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。電解質溶液としては、リチウム塩を非水溶媒(有機溶媒)に溶解したものが好適に使用される。例えば、非水溶媒としては、メチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸メチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールサルファイト、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどの1種のみからなる有機溶媒、あるいはこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。
リチウム塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
リチウム塩の電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/Lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/Lとすることがより好ましい。
更に、非水電解質溶液には、電池の充放電サイクル特性や負荷特性の向上を目的として、ビニレンカーボネートなどの二重結合を有するエステルのプロパンスルトンなどのイオウ含有有機化合物;フルオロベンゼンなどのフッ素含有芳香族化合物などの添加剤を添加することが好ましい。
なお、本実施形態において、電解質は液状以外にゲル化剤を添加することにより得られるゲル状の電解質であってもよい。また、電解質溶液に代えて、固体電解質(固体高分子電解質又はイオン伝導性無機材料からなる電解質)が含有されていてもよい。
以上、本実施形態の多孔質シートの製造方法、及び多孔質シートを用いた二次電池の一例を説明したが、本実施形態は上記実施形態に限定されるものではない。本実施形態の多孔質シート等は、用途等に応じて適宜設定することができる。
例えば、本実施形態の多孔質シートは、二次電池以外の電気化学素子にも用いることができる。電気化学素子としては、金属リチウム二次電池(カソードとして本実施形態の活物質を用い、アノードに金属リチウムを用いたもの)等の二次電池以外の二次電池や、リチウムキャパシタ等の電気化学キャパシタ等が挙げられる。これらの電気化学素子は、自走式のマイクロマシン、ICカードなどの電源や、プリント基板上又はプリント基板内に配置される分散電源の用途に使用することが可能である。
(実施例1)
重量平均分子量200万の超高分子量ポリエチレン樹脂(融点134℃)15重量%と流動パラフィン(凝固点−15℃、40℃における動粘度59cSt)83.5重量%と分子量*のポリアクリロニトリル1.5重量%をスラリー状に均一に混合し、これを小型ニーダに仕込み、160℃の温度で約50分間、加熱し、溶解させ、混練りして、超高分子量ポリエチレン樹脂と溶媒との混練り物を得た。この後、この混練り物を−15℃まで急冷しながら、厚み0.5mmのシートに成形して、超高分子量ポリエチレン樹脂を結晶化させた。
このシートを約115℃の温度で縦横4×4倍に同時二軸延伸した後、塩化メチレンに浸漬して脱溶媒した。このようにして得られた多孔質シートを更に120℃で10秒間ヒートセットして、厚み20.4μm、空孔率40%の多孔質シートを得た。
次いで、この多孔質シートに線状のパターンのある加温ロールを押し当て、無孔部を多孔質シートの片面に線状に形成した。電極端子と平行方向の無孔部形成幅は3μm、形成間隔は10μmとした。加温ロールの温度は110℃、ロール圧300g/cm、加温速度3m/分とした。
多孔質シートの特性については、次のようにして評価した。
(厚み)
多孔質シートの断面を1万倍の走査電子顕微鏡(SEM)にて測定した。
(透気度)
JIS P8117に準拠する方法で測定した。
得られた多孔質シート用いて図3のような電極捲回体を作製する。多孔質シートは幅45mm、長さ1080mmに切断される。正極の集電体の材質はアルミニウム製で平滑表面を有する薄型平板状である。正極の集電体の長さ425mm、幅39mm、厚さは10μmである。正極の集電体上に導電ペーストの層を有する。導電ペーストの層は微粒径のグラファイトを水溶性のバインダーで分散させたペーストをあらかじめ塗布し、温風加熱乾燥後、圧延圧着処理を施してある。導電ペーストの塗布した面は長さ412mm、幅39mm、厚み5μmである。導電ペースト層の上に正極合剤の塗布面がある。正極合剤はLiCoOとPVDFポリマー製のバインダーと導電助剤としてグラファイトの混合物である。その混合重量比率はそれぞれ85:10:5wt%である。正極合剤はn−メチル−2−ピロリドンを分散媒として用いたペーストを導電ペースト上に塗布、乾燥、圧延して用いる。成形後の正極は長さ425mm、幅39mm、厚み130μmである。3は負極である。負極の集電体の材質は銅製で平滑表面を有する薄型平板状である。負極の集電体の長さ492mm、幅41mm、厚さは20μmである。負極の集電体上に導電ペーストの層を有する。導電ペーストの層は微粒径のグラファイトをエポキシ系のバインダーで分散させたペーストをあらかじめ塗布し、温風加熱乾燥を施してある。導電ペーストの塗布した面は長さ487mm、幅41mm、厚み5μmである。導電ペースト層の上に負極合剤の塗布面がある。負極合剤は酸化ケイ素とグラファイトとポリアクリル酸ポリマー製のバインダーの混合物である。その混合重量比率はそれぞれ45:40:15wt%である。負極合剤は純水を分散媒として用いたペーストを導電ペースト上に塗布、乾燥、圧延して用いる。成形後の負極は長さ492mm、幅41mm、厚み70μmである。
負極リードはニッケル製で、長さ49mm、幅2.5mm、厚み0.1mmである。負極リードは捲回に使用する前に、負極集電体の導電ペーストが塗布されていない面に直接超音波溶接した。リードの超音波溶接した面上を覆うように補強用と絶縁のためのテープを貼り付けた。テープはポリイミドを基材とし、粘着剤はアクリル系である。テープの幅は6〜10mm、長さは20〜41mm、粘着層を含む総厚は55μmである。18は正極リードである。正極リードはアルミニウム製で、長さ49mm、幅2.5mm、厚み0.1mmである。正極リードは捲回に使用する前に、正極集電体の導電ペーストが塗布されていない面に直接超音波溶接した。リードの超音波溶接した面上を覆うように補強用と絶縁のため、テープを貼り付けた。また、絶縁のため、このテープを用いて負極リードの溶接面以外を覆うようにテープを貼り付けた。19は捲回型電極体の最終部を固定するためのテープである。テープはポリプロピレン製の基材で、ゴム系の粘着剤を有する。
多孔質シートは捲芯の中央に位置するように配置し、正負の各電極はそれぞれ対向する方向から供給し、加熱しながら捲芯に挟んで固定した。実施例1は無孔部の形成方向が電極端子引き出し方向を横断する方向に配置し、捲回体を作製した。表1に積層捲回体を作製する際の無孔部と電極端子の位置関係を示している。
正負極の電極及び多孔質シートにはそれぞれ負荷を印加し続けるように捲芯を回転運動させることで、渦巻き状の捲回型電極体を得た。捲回型電極体の最終部をテープにより固定した。得られた捲回型電極体をAとし、金属製の電池外装ケースの内径に合わせる為に圧縮し、角形の電池外装ケースに挿入した。正負極のリードと電池封口蓋に取り付けられた電極を溶接し、さらに、電池封口蓋をレーザー溶接後、電池封口蓋に設けられた電解液注入口より電解液を注入し、電解液注入口を封止した。
できあがったリチウムイオン二次電池を一定期間放置し、電解液が電極に含浸した頃合を見はからい、充放電試験を実施した。試験条件は電流400mA、上限電圧4.2Vの定電流かつ定電圧で2.5V充電した。その後、0.5Cでの放電試験を実施した。その結果、720mAhの放電容量を得た。これを初期放電容量とした。
(サイクル特性と高温保存試験)
サイクル特性として、放電レート0.5Cでの500サイクル充放電試験後の放電容量も測定し、事前に測定した初期放電容量を100として相対値(単位:%)を計算し、表1に500サイクル後の放電容量を初期放電容量に対する比率として記載した。また高温保存試験として、60℃の温度環境下で1000時間保持した後の出力電圧(単位V)を測定した。その結果も合わせて表1に保存電圧として示した。
(実施例2)
無孔部の形成パターン以外は実施例1と全く同じ構成の部材を用い、同様は方法で電池を得た。電極端子と平行方向の無孔部形成幅は3μm、電極端子と横断方向に位置する無孔部長さは5μm、電極端子と平行方向の無孔部形成間隔は10μm、電極端子と横断方向の無孔部形成間隔は5μmとした。電極端子と横断方向の各々の無孔部はそれぞれ端子側から5μmだけ電極端子横断方向にずらした位置に配置し、電極端子平行方向に無孔部が連続しないように配置した。このように無孔部を配置した多孔質シートを無孔部短手方向が電極端子引き出し方向と同方向になるように、正極と、負極と、多孔質シートを重ね、捲回型電極体を得た。出来上がった電池は、実施例1と同様の評価試験を行った。その結果、720mAhの放電容量を得た。
(実施例3)
無孔部の形成パターン以外は実施例1と全く同じ構成の部材を用い、同様は方法で電池を得た。
電極端子と平行方向の無孔部形成幅は3μm、電極端子と横断方向に位置する無孔部長さは5μm、電極端子と平行方向の無孔部形成間隔は10μm、電極端子と横断方向の無孔部形成間隔は5μmとした。電極端子と平行方向の各々の無孔部はそれぞれの方向で無孔部端が揃うように配置した。無孔部の形状は縦30μm、横50μmで、長手方向に100μm間隔に形成した。また、短手方向の間隔は100μmとした。出来上がった電池は、実施例1と同様の評価試験を行った。その結果、720mAhの放電容量を得た。
(実施例4)
無孔部の形成パターンは実施例1と同様にし、その両面に無孔部を形成して全く同じ構成の部材を用い、同様は方法で電池を得た。無孔部は電極端子引き出し方向と同方向にシートの上下面に形成し、無孔部の線幅は3μm、線間隔は10μmとし、上下面で5μmずらした位置に無孔部を形成し、膜面上下の無孔部がそれぞれ重複しないようにした。
(比較例1)
無孔部を形成しない多孔質シート用いた以外は実施例1と全く同じ構成の部材を用い、同様な方法で電池を得た。

Figure 0005888067
表1に示したとおり、実施例は比較例に比して電解液の拡散や対流が促進されたことによるものと思われるサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池であることがわかる。
12 正極
13 負極
14 多孔質シート
15 多孔部
16 無孔部

Claims (3)

  1. 多数の空孔を有する非水電解二次電池用セパレータにおいて、前記セパレータは、厚みが5〜45μmであり、その表面にのみ、前記表面を平面視した際に隣接する空孔と空孔の距離がそれら前記空孔の平均孔径以上であるとともに、前記空孔と空孔の距離の最短部の幅が1.0μm〜7.0μmである、空孔の存在しない領域である無孔部を有し、前記無孔部の断面における厚みが0.1〜1.0μmであることを特徴とする非水電解二次電池用セパレータ
  2. 正極と、負極と、電解質と、を含み、前記正極と前記負極との間に請求項1記載の非水電解二次電池用セパレータを有し、
    前記正極及び前記負極は、その一端で所定の方向に引き出された電極端子と電気的に接続し、
    前記正極又は前記負極の少なくとも一方の電極に対向する前記セパレータの表面には、前記所定の方向を横断する方向に無孔部が延びて形成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  3. 正極と、負極と、電解質と、を含み、前記正極と前記負極との間に請求項1記載の非水電解二次電池用セパレータを有し、
    前記正極及び前記負極は、その一端で所定の方向に引き出された電極端子と電気的に接続し、
    前記セパレータの一方の主面および他方の主面にはそれぞれ無孔部が形成され、
    前記セパレータの前記一方の主面に形成された無孔部と前記他方の主面に形成された無孔部は、前記主面に垂直な方向から見たときの投影像において、互いに重ならないように配置されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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