JP5887574B2 - 自動車排ガス浄化用助触媒材およびその製造方法 - Google Patents

自動車排ガス浄化用助触媒材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車排ガスを浄化するように排ガス中のミクロの空間で酸素/燃料(A/F)比率を、調整する自動車排ガス浄化用助触媒材およびその製造方法に関する。
自動車排ガス浄化用助触媒材は、例えば特許文献1に示すようなセリアとジルコニアとが均一に固溶された均一固溶体型のセリアジルコニア材が用いられている。このような、セリアジルコニア材で構成された自動車排ガス浄化用助触媒材は、酸化還元電位が比較的小さく、周囲の雰囲気によって結晶構造中の酸素を吸放出する酸素貯蔵能(Oxygen Strage Capasity)を有している。
ところで、近年セリウム原料価格の高騰、および不安定性から自動車排ガス浄化用助触媒材のセリウムの量を低減化する必要性が指摘されており、自動車排ガス浄化用助触媒材におけるセリウムの量を低減してジルコニアの量を増加させたジルコニアリッチの組成に注目が集まっている。しかしながら、ジルコニアは、触媒活性物質である白金などの貴金属を金属状態で保たせるアンカー効果が低いため、自動車排ガス浄化用助触媒材の表面に存在するジルコニウムが多いほど触媒活性が低下すると言われている。
そこで、近年ジルコニアの周りにセリアを担持させたコアシェル構造を持つ、例えば特許文献2乃至4に示すような自動車排ガス浄化用助触媒材が開発されてきている。
特開2006−198594号公報 特開2009−279544号公報 特開2005−313029号公報 特開2004−74138号公報
ところで、近年ハイブリッド自動車などが普及してきており、エンジンの低温時或いは低回転時に排出される比較的低温の排ガスを浄化する必要性が高まっている。また、上述のようにハイブリッド自動車など比較的低温での高い排ガス浄化特性の必要性が今後増加するため、比較的低温での酸素貯蔵能が高い自動車排ガス浄化用助触媒材が必要とされている。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、比較的低温での酸素貯蔵能が高く、担持させた触媒活性物質によって比較的低温から高効率で排ガスを浄化させる自動車排ガス浄化用助触媒材およびその製造方法を提供することにある。
本発明者等は以上の事情を背景として種々検討を重ねた結果、ジルコニアのコアの表面にセリアジルコニアとセリアとが存在するセリアジルコニア材において、そのセリアとジルコニアとが固溶する固溶率(%)を所定範囲内に調整することによって、その酸素放出ピーク温度(℃)が従来のセリアとジルコニアとが均一に固溶された均一固溶体型のセリアジルコニア材よりも低くなり、比較的低温での酸素貯蔵能が高くなることを見い出した。また、上記のような固溶率(%)を所定範囲内に調整したセリアジルコニア材と均一固溶体型のセリアジルコニア材とに例えば白金等の触媒活性物質を担持させて、比較的低温で排ガスの浄化性能を評価したところ、上記固溶率(%)を所定範囲内に調整したセリアジルコニア材の方が高い浄化性能を有することを見い出した。本発明はこのような知見に基づいて為されたものである。
前記目的を達成するための本発明の自動車排ガス浄化用助触媒材の要旨とするところは、(a) コアがジルコニアでそのコアの表面にセリアジルコニアとセリアとが存在している自動車排ガス浄化用助触媒材であって、(b) 前記コアの原料であるジルコニアは、平均粒子径が50nm〜120nmのジルコニア粉、または平均粒子径が50nm〜120nmのジルコニア粒子を有するジルコニアゾルであり、(c) 前記セリアと前記ジルコニアとの固溶率が、30%〜90%である。
本発明の自動車排ガス浄化用助触媒材によれば、前記コアの原料であるジルコニアは、平均粒子径が50nm〜120nmのジルコニア粉、または平均粒子径が50nm〜120nmのジルコニア粒子を有するジルコニアゾルであり、前記セリアと前記ジルコニアとの固溶率が30%〜90%であるので、前記自動車排ガス浄化用助触媒材は、その酸素放出ピーク温度が例えば従来のようなセリアとジルコニアとが均一に固溶された均一固溶体型のセリアジルコニア材に比較して低くなり、比較的低温での酸素貯蔵能が高くなる。また、前記自動車排ガス浄化用助触媒材は、表面がセリウムリッチになっているため、触媒活性物質を担持した時に非常に高活性であり、比較的低温から高効率に排ガスが浄化される。
ここで、好適には、前記ジルコニアの平均粒子径が50nm〜120nmの範囲内であり、前記ジルコニアの比表面積が67m/g〜175m/gの範囲内であり、前記自動車排ガス浄化用助触媒材の組成がCe/Zr=(15〜25)/(75〜85)の範囲内であるものを用いた時に、特異的に低温から酸素を放出する。このため、例えば、前記自動車排ガス浄化用助触媒材の組成がCe/Zr>25/75の範囲内であるセリウムを比較的多く使用するものに比較して、前記自動車排ガス浄化用助触媒材はセリウムの使用量を低減させ且つ酸素放出ピーク温度を好適に低下させることができる。
また、好適には、(a) 水にジルコニア粉を分散させたもの或いはジルコニアゾルに、硝酸セリウムを溶解させる溶解工程と、(b) 前記溶解工程によって得られた溶解液にアンモニア水を加え攪拌することによってその溶解液中のセリウムの少なくとも一部を担持したジルコニアを含むアルカリ性のスラリーを得る第1担持工程と、(c) 前記第1担持工程によって得られたスラリーを湿式粉砕することによって更に強固に前記セリウムを前記ジルコニアに担持させる第2担持工程と、(d) 前記第2担持工程によって得られたスラリー中からその固形分を抽出する固形分抽出工程と、(e) 前記固形分抽出工程によって得られた固形分を焼成する仮焼成工程と、(f) 前記仮焼成工程によって焼成された粉末をその仮焼成工程の焼成温度より高い温度で再度焼成する本焼成工程とを、含む製造方法によって、自動車排ガス浄化用助触媒材が製造される。
前記自動車排ガス浄化用助触媒材の製造方法によれば、前記溶解工程において水にジルコニア粉を分散させたもの或いはジルコニアゾルに、硝酸セリウムが溶解され、前記第1担持工程において前記溶解工程によって得られた溶解液にアンモニア水を加え攪拌することによってその溶解液中のセリウムの少なくとも一部を担持したジルコニアを含むアルカリ性のスラリーが得られ、前記第2担持工程において前記第1担持工程によって得られたスラリーを湿式粉砕することによって更に強固に前記セリウムが前記ジルコニアに担持され、前記固形分抽出工程において前記第2担持工程によって得られたスラリー中からその固形分が抽出され、前記仮焼成工程において前記固形分抽出工程によって得られた固形分が焼成され、前記本焼成工程において前記仮焼成工程によって焼成された粉末がその仮焼成工程の焼成温度より高い温度で再度焼成されることにより、比較的低温での酸素貯蔵能が高く、担持させた触媒活性物質によって比較的低温から高効率に排ガスを浄化させる自動車排ガス浄化用助触媒材が製造される。
また、好適には、前記溶解工程において、前記水にジルコニア粉を分散させたもの或いは前記ジルコニアゾルに溶解させる前記硝酸セリウムは、硝酸セリウム(III)六水和物、硝酸セリウム(IV)アンモニウム水和物、硝酸セリウム(III)六水和物を過酸化水素水で酸化処理してセリウムを四価にした水溶液等が使用される。
また、好適には、前記本焼成工程の焼成温度(℃)は、前記仮焼成工程の焼成温度より高い温度である。
本発明の自動車排ガス浄化用助触媒材が適用された三元触媒コンバータである自動車排ガス浄化用触媒装置の触媒相の一部を拡大して示す模式図である。 図1の自動車排ガス浄化用助触媒材を拡大して示す模式図である。 図2の自動車排ガス浄化用助触媒材の一つの製造方法を説明する工程図である。 図2の自動車排ガス浄化用助触媒材の他の製造方法を説明する工程図である。 図1の自動車排ガス浄化用触媒装置の製造方法を説明する工程図である。 図3、図4の製造方法で製造された自動車排ガス浄化用助触媒材の酸素放出ピーク温度等の測定結果を示す図である。 図6の試料名CZa、CZe、CZf、CZgの自動車排ガス浄化用助触媒材における酸素放出ピーク温度をそれぞれ示す図である。 図6の試料名CZb、CZcの自動車排ガス浄化用助触媒材における酸素放出ピーク温度をそれぞれ示す図である。 図6の試料名CZo、CZa、CZb、CZc、CZsの自動車排ガス浄化用助触媒材における粉末X線回折(XRD)による測定結果を示す図である。 図6の試料名CZaの自動車排ガス浄化用助触媒材の固溶率(%)の測定方法を説明する図である。 図6の試料名CZaの自動車排ガス浄化用助触媒材のSTEM像及びEDXマッピング像を示す図である。 図6の試料名CZbの自動車排ガス浄化用助触媒材のSTEM像及びEDXマッピング像を示す図である。 図6の試料名CZcの自動車排ガス浄化用助触媒材のSTEM像及びEDXマッピング像を示す図である。 図6の試料名CZsの自動車排ガス浄化用助触媒材のSTEM像及びEDXマッピング像を示す図である。 図11の自動車排ガス浄化用助触媒材のSTEM像を拡大した拡大図である。 図15の自動車排ガス浄化用助触媒材のSTEM像における正方形状に囲まれた3nm四方の領域すなわちArea1およびArea2に含まれるO、Zr、Ceの割合を示す図である。 図15のArea1に含まれる元素を示す図である。 図15のArea2に含まれる元素を示す図である。 図6の試料名CZa、CZsの自動車排ガス浄化用助触媒材に白金(Pt)を担持させた試料Pt/CZaおよび試料Pt/CZsの酸素放出ピーク温度を示す図である。 図19の試料Pt/CZaにおける500℃の時の模擬排ガスの浄化性能を示す図である。 図19の試料Pt/CZsにおける500℃の時の模擬排ガスの浄化性能を示す図である。 図19の試料Pt/CZaにおける600℃の時の模擬排ガスの浄化性能を示す図である。 図19の試料Pt/CZsにおける600℃の時の模擬排ガスの浄化性能を示す図である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確には描かれていない。
図1は、本発明が好適に適用された自動車排ガス浄化用触媒装置の一部である表面を拡大して示す模式図である。上記自動車排ガス浄化用触媒装置は、内燃機関からの排ガス中に含まれる有害成分である一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)および窒素酸化物(NOx)を浄化させる三元触媒コンバータであり、上記内燃機関からの排ガスを挿通させる複数の挿通穴を有し例えば多孔質セラミックで構成されたハニカム形状の図示しない本体部材と、上記内燃機関からの排ガス中に含まれる有害成分を浄化させるためにその本体部材の複数の挿通穴の内周面に設けられた触媒相10とによって構成されている。なお、図1は、前記三元触媒コンバータの触媒相10の一部を拡大させた模式図である。
図1に示すように、触媒相10には、前記本体部材の複数の挿通穴の内周面に担持されたアルミナ粉末12と、そのアルミナ粉末12の表面12aに触媒活性物質である例えば白金14の粉末と共に担持された助触媒であるセリアジルコニア材(自動車排ガス浄化用助触媒材)16とが備えられている。
図2に示すように、セリアジルコニア材16は、コアがジルコニア粒子(ジルコニア)16aで構成され、そのジルコニア粒子16aの表面16bの周りにセリア粒子(セリア)16cが担持されたコアシェル構造である。なお、ジルコニア粒子16aとセリア粒子16cとの間は、コアのジルコニア粒子16aの周りに担持されたセリア粒子16cが焼成によりコアのジルコニアと反応し、その一部が固溶してセリアジルコニア16dとなっている。
セリアジルコニア材16は、排ガス中の酸素濃度が運転条件などにより変動することによって白金14の効率が悪くなるのを抑制するために、触媒相10の周囲の酸素が過剰な時は酸素を貯蔵し、触媒相10の周囲の酸素が不足した時は酸素を放出する酸素貯蔵能を有する酸素貯蔵能材として機能する。
セリアジルコニア材16は、セリアとジルコニアとの固溶率K(%)が所定範囲内に調整されたものであり、その固溶率K(%)が所定範囲内に調整されることによりセリアジルコニア材16の酸素放出ピーク温度(℃)が、従来のセリアとジルコニアとが均一に固溶された均一固溶体型のセリアジルコニア材よりも低くなり、比較的低温での酸素貯蔵能が高くなるものである。また、セリアジルコニア材16を用いた前記自動車排ガス浄化用触媒装置は、担持させた触媒活性物質例えば白金14によって、従来の前記均一固溶体型のセリアジルコニア材を用いた自動車排ガス浄化用触媒装置に比較して比較的低温から高効率で排ガスが浄化させられる。
以下において、セリアジルコニア材16の製造方法およびそのセリアジルコニア材16を用いた前記自動車排ガス浄化用触媒装置の製造方法を図3および図4、図5を用いて説明する。そして、図3または図4の製造方法によって製造された固溶率K(%)が所定範囲内に調整されたセリアジルコニア材16と、前記均一固溶体型のセリアジルコニア材とをそれぞれ製造して、それら酸素放出ピーク温度(℃)を測定して比較させることにより、セリアジルコニア材16の固溶率K(%)を所定範囲内にすることによって前記均一固溶体型のセリアジルコニア材より酸素放出ピーク温度(℃)が低くなることを以下に示す。また、セリアジルコニア材16を用いた自動車排ガス浄化用触媒装置が、従来の前記均一固溶体型のセリアジルコニア材を用いた自動車排ガス浄化用触媒装置に比較して、比較的低温から高効率で排ガスが浄化させられることも以下に示す。
図3に示すセリアジルコニア材16の製造方法と図4に示すセリアジルコニア材16の製造方法とは、溶解工程P1において、硝酸セリウム(III)六水和物22を溶解させるものが、水18にジルコニア粉20が分散されたものであるかジルコニアゾル21であるかの違いだけであり、その他の製造工程P2乃至P7は同じである。図3の溶解工程P1では、平均粒子径(nm)が50nm〜120nmの範囲内であり比表面積(m/g)が67m/g〜175m/gの範囲内であるジルコニア粉20を分散させた水18に、硝酸セリウム(III)六水和物(水溶性の硝酸セリウム)22を溶解させる。図4の溶解工程P1では、平均粒子径(nm)および比表面積(m/g)が上記のような範囲内となるジルコニア粒子16aを有するジルコニアゾル21に、硝酸セリウム(III)六水和物(水溶性の硝酸セリウム)22を溶解させる。なお、ジルコニア粉20およびジルコニアゾル21中のジルコニア粒子16aの平均粒子径(nm)は、電子顕微鏡(TEM)写真観測により測定された一次粒子径の平均値である。また、ジルコニアゾル21は、例えば日産化学工業株式会社のZR−20AS、ZR−30AL、ZR−30AH等を使用してもよい。
次に、第1担持工程P2において、溶解工程P1によって得られた溶解液にアンモニア水24を沈殿剤として加えて攪拌することによって、その溶解液のpHを酸性から中性、中性からアルカリ性にしてその溶解液中のセリウムの少なくとも一部を担持したジルコニアを含むアルカリ性のスラリーが得られる。
次に、第2担持工程P3において、第1担持工程P2によって得られた上記アルカリ性のスラリーを任意のジルコニアボールを使いボールミルで3〜24時間湿式粉砕することによって、第1担持工程P2よりも更に強固にセリウムをジルコニアに担持させる。
次に、ろ過工程P4において、第2担持工程P3によって得られたスラリー中からその固形分を分離させる。また、次に、乾燥工程P5において、ろ過工程P4によりスラリー中から分離された固形分を80℃で12時間以上乾燥させることによって乾燥粉が得られる。なお、上記のようなろ過工程P4および乾燥工程P5は、第2担持工程P3によって得られたスラリー中からその固形分である乾燥粉を抽出する固形分抽出工程P4およびP5に相当する。
次に、仮焼成工程P6において、固形分抽出工程P4およびP5によって得られた乾燥粉を、焼成温度(℃)300℃〜600℃の範囲内で焼成させる。
次に、本焼成工程P7において、仮焼成工程P6によって焼成された粉末を、焼成温度(℃)400℃〜800℃の範囲内で再度焼成させる。なお、本焼成工程P7の焼成温度(℃)は、仮焼成工程P6の焼成温度(℃)より高い温度になるように設定される。これによって、セリアジルコニア材16が製造される。
以下に、図3または図4の製造工程P1〜P7によって製造されたセリアジルコニア材16を用いた前記自動車排ガス浄化用触媒装置の製造方法を示す。図5に示すように、先ず、第1混合工程P8において、触媒活性物質である白金(Pt)14などの貴金属の硝酸塩などの水溶液中に、アルミナ12などの耐火性無機酸化物の粉末とセリアジルコニア材16とを混合させる。
次に、第1乾燥・焼成工程P9において、第1混合工程P8によって得られた混合液を、乾燥させてその後焼成させる。
次に、第2混合工程P10において、第1乾燥・焼成工程P9によって得られた粉末を、ボールミル等を用いて湿式粉砕してスラリー化させる。
次に、スラリー塗布工程P11において、第2混合工程P10によって得られたスラリーを前記本体部材に塗布する。
次に、第2乾燥・焼成工程P12において、スラリー塗布工程P11によってスラリーが塗布された前記本体部材を、乾燥させてその後焼成させる。これによって、セリアジルコニア材16が用いられた前記自動車排ガス浄化用触媒装置が製造される。
ここで、上記製造工程P1〜P7において、図6に示すように、溶解工程P1における硝酸セリウム(III)六水和物22を溶解するものを、水18にジルコニア粉20を分散させたもの、ジルコニアゾル21、硝酸ジルコニル二水和物に変更させ、溶解工程P1におけるジルコニア粉20或いはジルコニアゾル21中のジルコニア粒子16aの平均粒子径を50(nm)〜120(nm)の範囲内すなわちジルコニア粒子16aの平均粒子径を50(nm)、ジルコニア粉20の平均粒子径を100(nm)や120(nm)に変化させると共にジルコニア粉20の比表面積を67(m/g)〜175(m/g)の範囲内すなわち67(m/g)、175(m/g)に変化させ、仮焼成工程P6における焼成温度を300(℃)〜600(℃)の範囲内すなわち300(℃)、500(℃)、600(℃)に変化させ、本焼成工程P7における焼成温度を400(℃)〜800(℃)の範囲内すなわち400(℃)、800(℃)に変化させ、セリアジルコニア材16の組成Ce/Zrを、15/85、20/80、25/75、40/60に変化させることによって、8種類のセリアジルコニア材16すなわち試料名CZl、CZa、CZb、CZc、CZd、CZe、CZf、CZgのセリアジルコニア材16を製造し、それらセリアジルコニア材16の酸素放出ピーク温度(℃)を測定した。また、比較例として、高純度セリア粉と高純度ジルコニア粉とを混合して作製した固溶率0%である試料名CZoのセリアジルコニア材16と、従来公知の所定の方法によりセリアとジルコニアとが均一に固溶された固溶率100%である試料名CZsの均一固溶体型のセリアジルコニア材16とを製造し、それらセリアジルコニア材16の酸素放出ピーク温度(℃)を測定した。
以下、図6を用いてその測定結果を示す。なお、試料名CZl、CZa、CZb、CZc、CZf、CZgのセリアジルコニア材16が実施例に対応し、それ以外すなわち試料名CZo、CZd、CZe、CZsのセリアジルコニア材16が比較例に対応している。また、試料名CZo、CZl、CZa、CZb、CZe、CZf、CZgのセリアジルコニア材16におけるジルコニア粉20の平均粒子径(nm)および試料名CZcのセリアジルコニア材16におけるジルコニアゾル21中のジルコニア粒子16aの平均粒子径(nm)は、電子顕微鏡(TEM)写真観測により測定された粒子径の平均値である。なお、試料名CZdおよびCZsのセリアジルコニア材16におけるジルコニアの平均粒子径はZr原料が硝酸ジルコニウム水和物であって測定できなかった。また、試料名CZo、CZl、CZa、CZb、CZe、CZf、CZgのセリアジルコニア材16におけるジルコニア粉20の比表面積(m/g)は、例えば窒素ガスなどの物理吸着を用いて吸着等温線を測定し、良く知られたBET法により算出したものである。なお、試料名CZc、CZd、CZsのセリアジルコニア16における比表面積の測定は、Zr原料がゾル或いはイオンのため測定ができない。
図6におけるセリアジルコニア材16の酸素放出ピーク温度(℃)およびCe1mol当たりのOSC量(L/mol)は、大倉理研製固定床ガス吸着装置BP−1により測定した。すなわち、セリアジルコニア材16の酸素放出ピーク温度(℃)の測定は、ペレット状にしたセリアジルコニア材16の試料を石英ガラス管内に設置し、5%水素/アルゴン雰囲気下で昇温速度10℃/minで800℃まで昇温還元し、熱伝導度検出器(TCD)によってガス組成変化をモニタリングすることでセリアジルコニア材16の試料からの酸素放出挙動を示す例えば図7および図8に示すようなTPR曲線を検出し、そのTPR曲線に基づいて酸素放出ピーク温度(℃)を求めた。なお、図7には試料名CZa、CZe、CZf、CZgのセリアジルコニア材16のTPR曲線がそれぞれ示されており、図8には試料名CZb、CZcのセリアジルコニア材16のTPR曲線がそれぞれ示されている。また、セリアジルコニア材16の試料中の酸素が水素と反応して水となることで、図7および図8に示すように熱伝導度の比較的高い水素が消費されてその雰囲気の熱伝導度が下がる。また、セリアジルコニア材16におけるCe1mol当たりのOSC量の測定は、セリアジルコニア材16の試料の酸素放出ピーク温度(℃)の測定後に、5%水素/アルゴン雰囲気下からアルゴン雰囲気下に切り換え600℃に降温させTPR曲線のTCDsignalの値が一定になるまで不活性ガスによる雰囲気置換処理を行い、その後100%酸素パルスを飽和するまでセリアジルコニア材16の試料に導入して、その導入された酸素量を測定することによって、セリアジルコニア材16の試料のCe1mol当たりのOSC量を算出した。なお、上記OSC量とは、酸素を貯蔵供給する能力の量すなわち酸素放出量(単位:リットルL)である。
また、図6のセリアジルコニア材16の固溶率K(%)の測定は、例えば以下のように測定される。先ず、セリアジルコニア16の試料に粉末X線回折(XRD)を行い、図9に示す測定値すなわち図9の50°付近の一点鎖線で囲まれた部分の測定値に基づいてセリアとジルコニアとが固溶したセリアジルコニア結晶相を確認する。図9には、試料名CZo、CZa、CZb、CZc、CZsのセリアジルコニア材16の測定値が示されており、例えば、固溶率K(%)が低くなるに連れて50°付近の測定値のピークが小さくなり低角側にピークが現れるようになっている。次に、セリアジルコニア材16の固溶率K(%)を例えば図10のTPR曲線を用いて算出する。なお、図10は、試料名CZaのセリアジルコニア材16を5%水素/アルゴン雰囲気下で昇温速度10℃/minで図7で示した800℃よりも高い温度例えば1100℃程度まで昇温還元した時のTPR曲線を示すものである。また、図10のTPR曲線は、600℃付近に低温側ピークと800℃付近に高温側ピークとを有するものであり、一般的に、上記低温側ピークはセリアジルコニア材16におけるセリアとジルコニアとが固溶したセリアジルコニアから放出された酸素量を示すものであり、上記高温側ピークはセリアから放出された酸素量を示すものである。先ず、図10のTPR曲線からセリアジルコニアから放出された酸素量とセリアから放出された酸素量とを算出する。すなわち、図10に示すようにTPR曲線を、カーブフィッティングによりピーク分離をし、そのピーク分離によって分離された曲線Ll、LhとベースラインLbとに囲まれた面積Sl、Shすなわちセリアジルコニアから放出された酸素量Slとセリアから放出された酸素量Shとを算出する。なお、図10において、一点鎖線の曲線LlはTPR曲線をピーク分離したセリアジルコニアから放出される酸素量を示す曲線であり、二点差線の曲線LhはTPR曲線をピーク分離したセリアから放出される酸素量を示す曲線であり、破線の直線Lbは任意にひかれたベースラインである。次に、上記のように算出されたセリアジルコニアから放出された酸素量Slとセリアから放出された酸素量Shとを下記の数式(1)に代入することによりセリアジルコニア材16の固溶率K(%)が算出される。
固溶率K%=Sl/(Sl+Sh)×100 ・・・(1)
図6のセリアジルコニア材16の粒子構造は、STEM−EDX(Scanning Transmission Electron Microscope −Energy Dispersive X-ray Spectoroscopy)により観察した。なお、図11は試料名CZaのセリアジルコニア材16のSTEM像及びEDXマッピング像であり、図12は試料名CZbのセリアジルコニア材16のSTEM像及びEDXマッピング像であり、図13は試料名CZcのセリアジルコニア材16のSTEM像及びEDXマッピング像であり、図14は試料名CZsのセリアジルコニア材16のSTEM像及びEDXマッピング像である。また、図15は、図11のセリアジルコニア材16のSTEM像を拡大した拡大図であり、その拡大図には正方形状に囲まれた3nm四方の2つの領域すなわちArea1およびArea2が示されている。また、図16乃至図18は、図15のArea1およびArea2のSTEM−EDXによる判定量結果を示す図である。図15乃至図18により、特に固溶率K%が50%と比較的低い試料名CZaのセリアジルコニア材16の表面構造は、ジルコニアの周りにセリアがアイランド状に担持されており、セリア単独部、ジルコニア単独部、セリアジルコニア固溶部の3種類の表面状態があった。
図6の測定結果に示すように、試料名CZl、CZa、CZb、CZc、CZf、CZgのセリアジルコニア材16は、試料名CZo、CZd、CZe、CZsのセリアジルコニア材16に比較して酸素放出ピーク温度(℃)が低くなった。また、図6、図7の測定結果から示すように、組成Ce/Zr=20/80である試料名CZaのセリアジルコニア材16は、組成Ce/Zr=40/60である試料名CZeのセリアジルコニア材16よりも60℃酸素放出ピーク温度(℃)が低く、300℃〜500℃の低温域での酸素放出量も明らかに多い。また、組成Ce/Zr=15/85である試料名CZfのセリアジルコニア材16および組成Ce/Zr=25/75である試料名CZgのセリアジルコニア材16とは、組成Ce/Zr=40/60である試料名CZeのセリアジルコニア材16よりも50℃〜80℃酸素放出ピーク温度が低く、300〜500℃の低温域での酸素放出量も明らかに多い。また、組成Ce/Zr=20/80がそれぞれ同じである試料名CZl、CZaのセリアジルコニア材16において、ジルコニア粉20の平均粒子径および比表面積が同じ場合に、仮焼成工程P6の焼成温度(℃)および本焼成工程P7における焼成温度(℃)が変化することによって、セリアジルコニア材16の固溶率K(%)が変化している。すなわち、仮焼成工程P6の焼成温度および本焼成工程P7における焼成温度を高くすることによって固溶率K(%)が高くなっている。また、組成Ce/Zr=20/80がそれぞれ同じである試料名CZb、CZcのセリアジルコニア材16において、仮焼成工程P6の焼成温度(℃)および本焼成工程P7の焼成温度(℃)が同じ場合に、ジルコニア粉20、ジルコニア粒子16aの平均粒子径(nm)を変えることによって、セリアジルコニア材16の固溶率K(%)が変化している。すなわち、ジルコニア粉20、ジルコニア粒子16aの平均粒子径が小さくなることによって固溶率K(%)が高くなっている。また、固溶率Kが30%〜90%の範囲内、且つジルコニア粉20、ジルコニア粒子16aにおける平均粒子径が50nm〜120nmの範囲内であり比表面積が67m/g〜175m/gの範囲内である試料名CZl、CZa、CZb、CZc、CZe、CZf、CZgのセリアジルコニア材16において、セリアジルコニア材16の組成がCe/Zr=(15〜25)/(75〜85)の範囲内である試料名CZl、CZa、CZb、CZc、CZf、CZgのセリアジルコニア材16は、組成Ce/Zrが上記範囲外である試料名CZeのセリアジルコニア材16に比較して酸素放出ピーク温度(℃)が低下している。また、試料名CZl、CZa、CZb、CZc、CZe、CZf、CZgのセリアジルコニア材16の粒子構造は、コアがジルコニア(ZrO)でそのコアの表面にセリアジルコニア(CeZrO)とセリア(CeO)とが存在しているコアシェルであり、試料名CZsのセリアジルコニア材16の粒子構造は、ジルコニアとセリアとが均一に固溶された固溶体である。なお、試料名CZoのセリアジルコニア16の粒子構造は、高純度セリア粉と高純度ジルコニア粉とを混合した混合粉である。
このため、図6の試料名CZo、CZl、CZa、CZb、CZc、CZd、CZe、CZf、CZg、CZsのセリアジルコニア材16において、実施例である固溶率K(%)が所定範囲すなわち30%〜90%内に調整された試料名CZl、CZa、CZb、CZc、CZf、CZgのセリアジルコニア材16が、固溶率K(%)がその所定範囲外に調整された比較例である試料名CZo、CZdのセリアジルコニア材16や、従来のようなセリアとジルコニアとが均一に固溶された均一固溶体型である試料名CZsのセリアジルコニア材16よりも酸素放出ピーク温度(℃)が低くなると考えられる。なお、試料名CZeのセリアジルコニア材16は、その組成がCe/Zr=40/60であり組成がCe/Zr=(15〜25)/(75〜85)の範囲から外れるので、酸素放出ピーク温度(℃)が試料名CZsのセリアジルコニア材16よりも高くなったと考えられる。また、セリアジルコニア材16において、ジルコニアの原料が、平均粒子径が100nm〜120nmであるジルコニア粉20または平均粒子径が50nmであるジルコニア粒子16aを有するジルコニアゾル21であり、そのセリアジルコニア材16が、仮焼成工程P6における焼成温度(℃)が300℃〜600℃の範囲内である仮焼成と本焼成工程P7における焼成温度(℃)が400℃〜800℃の範囲内である本焼成とによる二段階焼成により製造されることによって、セリアジルコニア材16におけるセリアとジルコニアとの固溶率K(%)が30%〜90%の範囲内に調整されると考えられる。なお、仮焼成工程P6の焼成温度(℃)および本焼成工程P7の焼成温度(℃)を変化させることによって、セリアジルコニア材16におけるセリアとジルコニアとの固溶率K(%)を調整することができると考えられる。また、ジルコニア粉20、ジルコニア粒子16aの平均粒子径(nm)を変えることによって、セリアジルコニア材16におけるセリアとジルコニアとの固溶率K(%)を調整することができると考えられる。また、セリアジルコニア材16は、そのセリアジルコニア材16の組成をCe/Zr=(15〜25)/(75〜85)の範囲内にすることによって、その組成が上記の範囲外の試料名CZeのセリアジルコニア16よりも酸素放出ピーク温度(℃)が低下すると考えられる。
ここで、更に、固溶率K(%)が30%〜90%の範囲内の試料例えば固溶率K(%)が50%である試料名CZaのセリアジルコニア材16と、前記均一固溶体型である試料名CZsのセリアジルコニア材16とに白金(Pt)14を担持させた試料Pt/CZaと試料Pt/CZsとを作製して、セリアジルコニア材16の白金担持後の酸素放出ピーク温度(℃)を測定した。図6および図19にその測定結果を示す。なお、試料Pt/CZaと試料Pt/CZsとの酸素放出ピーク温度(℃)は、前述と同様に大倉理研製固定床ガス吸着装置BP−1により測定した。また、試料Pt/CZaおよび試料Pt/CZsは、セリアジルコニア材16に白金14をセリアジルコニア材16全体に対して1wt%担持させたものである。また、試料Pt/CZaおよび試料Pt/CZsは、酸素放出ピーク温度(℃)測定前に1〜2回の酸化還元エージング処理が行われたものである。
また、更に、上記の試料Pt/CZaおよび試料Pt/CZsにおいて、プロピレン、一酸化炭素、一酸化窒素等が所定の割合で混合された模擬排ガスを用いて、三元活性すなわち上記模擬排ガスの浄化特性の評価を行った。図6および図20乃至図23にその評価結果を示す。なお、上記模擬排ガスの条件において、ガス濃度は、NO=1000ppm、C=400ppm、CO=0.3%、O=0.33%、H=0.1%、HO=2%、Nbalanceであり、空燃比(A/F)条件は、Rich +0.1%〜0.5%H、Lean +0.1%〜0.5%O、変動周期0.004Hzである。また、上記模擬排ガスのガス流量Q(m/h)は、空間速度(SV)が300000h−1となるようにしてある。なお、空間速度SVは、次式SV(h−1)=Q(m/h)/V(m)により算出されるものであり、上記式のVは試料Pt/CZa、試料Pt/CZsの触媒量の体積である。また、図20および図21は、500℃での上記模擬排ガスの浄化特性を示す図であり、図22および図23は、600℃での上記模擬排ガスの浄化特性を示す図である。また、図20乃至図23の横軸が空燃比(A/F)であり、縦軸が上記模擬排ガス中に含まれるプロピレン、一酸化炭素、一酸化窒素の浄化率(%)である。また、図20および図21の上記模擬排ガス中に含まれるプロピレン(炭化水素)のA/F=0.99の時の浄化率(%)を図6に示す。
図19に示すように、セリアジルコニア材16の粒子構造がコアシェル型の試料Pt/CZaは、750℃付近の高温側に少しの酸素放出ピークが確認されたものの、200℃以下の低温側の酸素放出ピーク温度(℃)は160℃であり、セリアジルコニア材16の粒子構造が均一固溶体型の試料Pt/CZsより酸素放出ピーク温度が約20℃も低く特異的に低温から酸素を放出することが明らかである。
図20〜図23に示すように、理論空燃比(A/F=1)では炭化水素(プロピレン)、一酸化炭素、窒素酸化物が効率良く浄化されているが、セリアジルコニア材16が均一固溶体型である試料Pt/CZsは、酸素不足領域になると比較的大きくCO或いはCOおよびCの浄化率が下がる一方で、セリアジルコニア材16がコアシェル型である試料Pt/CZaは、酸素不足領域におけるCO或いはCOおよびCの浄化率の低下が試料Pt/CZsより小さくなっている。例えば、図20および図21に示すように、500℃、A/F=0.99での炭化水素(プロピレン)の浄化率は、試料Pt/CZaでは85%であり試料Pt/CZsでは65%であり、試料Pt/CZaの方が試料Pt/CZsよりも約33%も高かった。すなわち、理論空燃比からずれた条件でも三元活性のウインドウがコアシェル型の試料Pt/CZaは比較的広く、三元活性の高い浄化率を維持し、均一固溶体型の試料Pt/CZsよりも助触媒として優位性があった。また、図20〜図23に示すように、600℃よりも500℃で模擬排ガスの浄化性能に差が顕著に見られ、コアシェル型の試料Pt/CZaは、比較的低温での模擬排ガスの浄化性能が均一固溶体型の試料Pt/CZsより良いことが分かった。なお、図6には記載していないが、実施例であるコアシェル型の試料CZl、CZb、CZc、CZf、CZgのセリアジルコニア材16に白金14を担持させると、その白金14を担持させたコアシェル型のセリアジルコニア材16は、試料Pt/CZaと同様に、酸素放出ピーク温度(℃)が試料Pt/CZsの酸素放出ピーク温度(℃)よりも低くなり、上記模擬排ガスすなわち炭化水素の浄化率が試料Pt/CZsの浄化率よりも高くなる。
上述のように、実施例である試料名CZl、CZa、CZb、CZc、CZf、CZgのセリアジルコニア材16によれば、セリア16cとジルコニア16aとの固溶率Kが30%〜90%であるので、セリアジルコニア材16、その酸素放出ピーク温度が例えば従来のようなセリア16cとジルコニア16aとが均一に固溶された均一固溶体型すなわち試料名CZsのセリアジルコニア材16に比較して低くなり、比較的低温での酸素貯蔵能が高くなる。また、試料名CZl、CZa、CZb、CZc、CZf、CZgのセリアジルコニア材16は、コアがジルコニア16aでそのコアの表面16bにセリアジルコニア16dとセリア16cとが存在しているコアシェル構造であり、そのセリアジルコニア材16の表面がセリウムリッチになっているため、白金14を担持した時に非常に高活性であり、比較的低温から高効率に排ガスが浄化される。
また、実施例である試料名CZl、CZa、CZb、CZc、CZf、CZgのセリアジルコニア材16によれば、そのセリアジルコニア材16のコアの原料であるジルコニア16aは、平均粒径が100nm〜120nmのジルコニア粉20、または平均粒径が50nmのジルコニア粒子16aを有するジルコニアゾル21であり、セリアジルコニア材16は、焼成温度が300℃〜600℃の範囲内の仮焼成工程P6における仮焼成と焼成温度が400℃〜800℃の範囲内の本焼成工程P7における本焼成とによる二段階焼成により製造される。このため、このような平均粒径と2段階焼成条件とによりコアシェル構造のセリアジルコニア材16におけるセリア16cとジルコニア16aとの固溶率K(%)が30%〜90%の範囲内に調整される。
また、実施例である試料名CZl、CZa、CZb、CZc、CZf、CZgのセリアジルコニア材16によれば、ジルコニア粉20、ジルコニア粒子16aの平均粒子径が50nm〜120nmの範囲内であり、ジルコニア粉20の比表面積が67m/g〜175m/gの範囲内であり、そのセリアジルコニア材16の組成がCe/Zr=(15〜25)/(75〜85)の範囲内であるものを用いた時に、特異的に低温から酸素を放出する。このため、例えば、セリアジルコニア材16の組成がCe/Zr>25/75の範囲内すなわち組成がCe/Zr=40/60であるセリウムを比較的多く使用する試料名CZeのセリアジルコニア材16に比較して、試料名CZl、CZa、CZb、CZc、CZf、CZgのセリアジルコニア材16は、セリウムの使用量を低減させ且つ酸素放出ピーク温度を好適に低下させることができる。
試料名CZl、CZa、CZb、CZc、CZf、CZgのセリアジルコニア材16の製造方法によれば、溶解工程P1において水18にジルコニア粉20を分散させたもの或いはジルコニアゾル21に、硝酸セリウム(III)六水和物22が溶解され、第1担持工程P2において溶解工程P1によって得られた溶解液にアンモニア水24を加え攪拌することによってその溶解液中のセリウムの少なくとも一部を担持したジルコニアを含むアルカリ性のスラリーが得られ、第2担持工程P3において第1担持工程P2によって得られたスラリーを湿式粉砕することによって更に強固に前記セリウムが前記ジルコニアに担持され、固形分抽出工程すなわちろ過工程P4および乾燥工程P5において第2担持工程P3によって得られたスラリー中からその固形分である乾燥粉が抽出され、仮焼成工程P6において前記固形分抽出工程によって得られた乾燥粉が焼成され、本焼成工程P7において仮焼成工程P6によって焼成された粉末がその仮焼成工程P6の焼成温度より高い温度で再度焼成されることにより、比較的低温での酸素貯蔵能が高く、担持させた白金14によって比較的低温から高効率に排ガスを浄化させるセリアジルコニア材16が製造される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
本実施例のセリアジルコニア材16において、そのセリアジルコニア材16には、触媒活性物質である白金14が担持されていたが、白金14に代えて例えば、パラジウム、ロジウム等の触媒が使用されても良い。
また、本実施例のセリアジルコニア材16において、そのセリアジルコニア材16は、仮焼成工程P6における仮焼成と本焼成工程P7における本焼成とによる二段階焼成により製造されたが、必ずしも二段階焼成によって製造される必要はなく一回の焼成で製造されても良い。
また、本実施例のセリアジルコニア材16において、溶解工程P1において、水18にジルコニア粉20を分散させたもの、或いはジルコニアゾル21に、硝酸セリウムである硝酸セリウム(III)六水和物22を溶解させたが、硝酸セリウム(III)六水和物22に代えて例えば、硝酸セリウム(IV)アンモニウム水和物、硝酸セリウム(III)六水和物22を過酸化水素水で酸化処理をしてセリウムを四価にした水溶液等が使用されても良い。
また、本実施例のセリアジルコニア材16において、試料名CZl、CZa、CZb、CZf、CZgのセリアジルコニア材16では、水18に平均粒子径が100(nm)、120(nm)のジルコニア粉20が分散されたものが使用されたが、例えば平均粒子径が100(nm)、120(nm)のジルコニア粒子16aを有するジルコニアゾル21が使用されても上記試料名CZl、CZa、CZb、CZf、CZgのセリアジルコニア材16と同様なセリアジルコニア材16を製造することができる。また、本実施例のセリアジルコニア材16において、試料名CZcのセリアジルコニア材16では、平均粒子径が50(nm)のジルコニア粒子16aを有するジルコニアゾル21が使用されたが、例えば水18に平均粒子径が50(nm)のジルコニア粉20が分散されたものが使用されても上記試料名CZcのセリアジルコニア材16と同様なセリアジルコニア材16を製造することができる。要するに、平均粒径が50nm〜120nmのジルコニア粉20、または平均粒径が50nm〜120nmのジルコニア粒子16aを含むジルコニアゾル21が用いられる。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
16:セリアジルコニア材(自動車排ガス浄化用助触媒材)
16a:ジルコニア粒子(ジルコニア)
16b:表面
16c:セリア粒子(セリア)
16d:セリアジルコニア
18:水
20:ジルコニア粉
21:ジルコニアゾル
22:硝酸セリウム(III)六水和物(硝酸セリウム)
24:アンモニア水
P1:溶解工程
P2:第1担持工程
P3:第2担持工程
P4およびP5:ろ過工程および乾燥工程(固形分抽出工程)
P6:仮焼成工程
P7:本焼成工程

Claims (3)

  1. コアがジルコニアで該コアの表面にセリアジルコニアとセリアとが存在している自動車排ガス浄化用助触媒材であって、
    前記コアの原料であるジルコニアは、平均粒子径が50nm〜120nmのジルコニア粉、または平均粒子径が50nm〜120nmのジルコニア粒子を有するジルコニアゾルであり、
    前記セリアと前記ジルコニアとの固溶率が、30%〜90%であることを特徴とする自動車排ガス浄化用助触媒材。
  2. 前記ジルコニアの平均粒子径が50nm〜120nmの範囲内であり、前記ジルコニアの比表面積が67m/g〜175m/gの範囲内であり、前記自動車排ガス浄化用助触媒材の組成がCe/Zr=(15〜25)/(75〜85)の範囲内であるものを用いた時に、特異的に低温から酸素を放出することを特徴とする請求項の自動車排ガス浄化用助触媒材。
  3. 請求項1または2の自動車排ガス浄化用助触媒材の製造方法であって、
    水にジルコニア粉を分散させたもの或いはジルコニアゾルに、硝酸セリウムを溶解させる溶解工程と、
    前記溶解工程によって得られた溶解液にアンモニア水を加え攪拌することによって該溶解液中のセリウムの少なくとも一部を担持したジルコニアを含むアルカリ性のスラリーを得る第1担持工程と、
    前記第1担持工程によって得られたスラリーを湿式粉砕することによって更に強固に前記セリウムを前記ジルコニアに担持させる第2担持工程と、
    前記第2担持工程によって得られたスラリー中からその固形分を抽出する固形分抽出工程と、
    前記固形分抽出工程によって得られた固形分を焼成する仮焼成工程と、
    前記仮焼成工程によって焼成された粉末を該仮焼成工程の焼成温度より高い温度で再度焼成する本焼成工程と
    を含む自動車排ガス浄化用助触媒材の製造方法。
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