JP5884601B2 - 感光性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プリント配線板用等に有用な感光性樹脂を含む感光性樹脂組成物及びその硬化物と、前記感光性樹脂の製造方法に関する。更に詳細には、フレキシブルプリント配線板用ソルダーレジスト、多層プリント配線板用層間電気絶縁材料として有用な、現像性に優れ、その硬化皮膜が、密着性、可撓性(屈曲性)、半田耐熱性、電気絶縁性等に優れた硬化物を与える、特定の感光性樹脂を含む感光性樹脂組成物及びその硬化物と、前記感光性樹脂の製造方法に関する。
基板上に形成された配線(回路)パターンを外部環境から保護したり、電子部品をプリント配線板に表面実装したりする際に行われる半田付け工程において、不必要な部分に半田が付着しないように保護するために、カバーレイもしくはソルダーマスクと呼ばれる保護層をプリント配線板上に被覆することが行われている。これまでは、硬質プリント配線板が主流であったため、硬化後のレジスト塗膜には、パターン精度の外、基板との密着性や耐熱性が主に要求されていた。ところが近年は、フレキシブルプリント配線板の利用が大幅に増え、ポリイミドフィルム上に形成された配線パターンに用いられる保護層には、ポリイミドとの密着性、可撓性、耐折性、難燃性等が求められている。
従来、フレキシブルプリント配線板用保護層としては、カバーレイフィルムと呼ばれるポリイミドフィルムをパターンに合わせた金型をつくり打ち抜いた後、接着剤を用いて貼り付けるタイプや、スクリーン印刷により塗付する熱硬化型のインキなどがあるが、近年のエレクトロニクスの進歩に伴う高密度・高精細化のため、より高精度でパターニングが可能な紫外線硬化型フォトレジストタイプのソルダーレジストインキ、又はドライフィルム型ソルダーレジストが検討されている。
一般的に、フレキシブルプリント配線板用フォトソルダーレジストにおいて、従来、リジッド基板用に使用されてきたフォトソルダーレジストでは、パターン精度は得られるものの、硬化後の塗膜が硬く、ポリイミドとの密着性が悪く、充分な可撓性、屈曲性、耐折性が得られないという問題があった。
前記のような事情から、近年、可撓性を有するフォトソルダーレジストとして数多くの提案がなされている。例えば、主鎖にビスフェノールA骨格を有するエポキシ樹脂と不飽和基含有モノカルボン酸との付加生成物に、無水コハク酸を反応させた樹脂を含むレジストインキ組成物が開示されている(特許文献1)。これは、現像性、光感度、密着性、耐熱性等に優れるものの、可撓性・耐折性についてはまだまだ不充分であるという問題があった。又、感光性熱硬化性組成物として、クレゾールノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成する2級水酸基と、飽和又は不飽和多塩基酸無水物との反応生成物、同2級水酸基と、不飽和基含有イソシアネート化合物との反応生成物などが提案されている(特許文献2)。これらは、密着性、半田耐熱性、塗膜耐性には非常に優れるものの、可撓性・耐折性については、やはり不充分であるという問題があった。
又、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーを共重合させて得られるポリマーをバインダー成分として含有させた感光性エレメントが提案されている(特許文献3)。これらは、現像性、解像性に優れているが、フレキシブルプリント配線板用途で使用する場合は、充分な密着性・可撓性・耐折性が得られない。
又、ポリオール化合物と、分子中に2個の酸無水物基を有する多塩基酸無水物と、ポリイソシアネート化合物とを反応させた重合物に、更に分子中に1個のエポキシ基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られる、カルボキシル基含有ウレタンオリゴマーを含有する感光性樹脂組成物が提案されている(特許文献4)。これらは、充分な可撓性が得られるものの、主鎖中に二塩基酸無水物によるハーフエステル化由来のエステル結合を有するため、高温では脱水反応がおこり主鎖が切断されやすいなど、化学的に不安定な構造であり、又、カルボキシル基が主鎖に直結しているため、カルボキシル基の運動性が抑制されているといった理由から、現像性や種々の塗膜耐性、及び半田耐熱性において、充分なものではなかった。
又、リン系難燃剤を添加した感光性樹脂組成物が開示されている(特許文献5)。これらは、環境への負荷を低減するため、ノンハロゲンの難燃剤を使用することで、難燃化を行っている。しかし、ノンハロゲンの難燃剤で充分な難燃性を付与するためには、多量の難燃剤を添加する必要があり、それが原因で、近年求められている数十μmオーダーでの現像性や種々の塗膜耐性、及び半田耐熱性において、充分なものではなかった。するなど、レジストに要求される難燃性以外の物性を低下させてしまうため、難燃性とそれ以外の物性を両立させるためには充分なものではなかった。
又、本発明の感光性樹脂と同様に、主鎖がエポキシ化合物とフェノール化合物から合成される樹脂についても開示されている。例えば、ビスフェノール型エポキシ化合物とビスフェノール化合物から合成されるポリヒドロキシエーテル樹脂中の水酸基に対してアルキレンオキシドを付加させた後、酸無水物と分子中に1個のエポキシ基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるカルボキシル基含有不飽和ポリヒドロキシエーテル化合物が開示されている(特許文献6)。これは、アルキレンオキシドを付加させたことにより、アルカリ水溶液による良好な現像性と解像性を発現し、可撓性、屈曲性についても優れるものの、半田耐熱性、耐薬品性を低下させる傾向があった。
又、ビスフェノール型エポキシ化合物とビスフェノール化合物と不飽和カルボン酸または分子中に1個のエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとから合成されるビニルエステルを、多塩基酸無水物で酸変性した酸変性ビニルエステルが開示されている。(特許文献7)。これは、主鎖末端に二重結合が導入されるため二重結合間距離が大きくなり、硬化塗膜の可撓性・耐折性について優れるものの、アルカリ現像液に対する溶解性に乏しく、現像性、解像性についてはまだまだ不充分であるという問題があった。同様な例として、フェノール化合物、エポキシ化合物、不飽和カルボン酸、多塩基酸無水物から合成される酸変性ビニルエステルも報告されている(特許文献8)。これも二重結合間距離が大きいため、硬化塗膜に可撓性を付与でき、屈曲性や耐冷熱サイクルクラック性に優れるものの、タックフリー性、現像性、解像性といった、相反する特性をバランス良く満足することができていなかった。
フェノール性水酸基を有する化合物と分子中に1個のエポキシ基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物とを反応させて得られる光重合性不飽和化合物と多官能ジヒドロキシベンゾオキサジンを含有することを特徴とした感光性樹脂組成物が開示されている(特許文献9)。これは、主鎖がフェノール性水酸基を有する化合物からなること、硬化塗膜にベンゾオキサジン骨格を有することから、確かに耐熱性には優れているものの、硬化時の収縮が大きく、伸びが少なく強靭性に欠けるため、熱衝撃によるクラックが発生しやすいという欠点があった。
アクリル酸ブチルを共重合成分として含有するバインダーポリマーを含む感光性樹脂組成物にカルボキシベンゾトリアゾール誘導体を含む感光性レジストの例はあるが、カルボキシベンゾトリアゾールは既に感光性レジストの分野では既に公知であり、本発明のように耐熱性と現像性に関して記述はあるものの、耐折性の向上に言及しているものはない(特許文献10、11)。
このように、従来の技術ではフレキシブルプリント配線板用保護層として要求される充分な可撓性・耐折性と、高精度なパターニングを実現できる現像性や半田耐熱性とを両立し、かつ、回路の保護層として必要な電気絶縁性、耐薬品性、難燃性等の諸物性すべてを満足し得る樹脂組成物およびその硬化物は得られていなかった。
プリント配線板には、携帯機器としての小型軽量化や通信速度の向上を目指して、高精度、高密度化が求められており、主に機器の屈曲部や接続部周辺に用いられるフレキシブルプリント配線板についても、その傾向は同じである。こういった背景から、フレキシブルプリント配線板用保護層に求められる要求も益々高度となってきており、レジストパターンの高精細化を実現しうる現像性と、従来の要求よりも、より高い可撓性・耐折性を保ちながら、半田耐熱性、基板密着性、高絶縁性、塗膜耐性、難燃性等を満足する性能が要求されている。現在市販されているフォトソルダーレジストでは、これらの要求に充分に対応できていない。
特許第3281473号公報 特許第2707495号公報 特開2004−279479号公報 特開2001−159815号公報 特開2006−251715号公報 特許第3125424号公報 特開2003−73450号公報 特許第4376290号公報 特開2006−343384号公報 特開2009-180795号公報 特開H11−024263号公報
本発明は、活性エネルギー線に対する感光性を損なうことなく、希アルカリ水溶液による現像性が向上し、より微細なパターンが形成できるとともに、後硬化(ポストキュア)工程を経て得られる硬化塗膜がフレキシブル性、絶縁性、密着性、半田耐熱性、塗膜耐性等に優れたフォトソルダーレジストに好適に使用される感光性樹脂組成物及びその硬化物更には感光性樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは前記の課題を解決するため、鋭意検討の結果、特定のる感光性樹脂組成物が前記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させるに至った。
第一の発明は感光性樹脂(A)と、エポキシ基含有化合物、非ブロック化イソシアネート化合物、ブロック化イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも一種である硬化剤(B)と、光重合開始剤(C)と、カルボキシベンゾトリアゾール誘導体(D)とを含む感光性樹脂組成物であって、
感光性樹脂(A)が、
1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)と1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)とを反応させて側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)を生成し、
前記側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)と多塩基酸無水物(d)とを反応させてカルボキシル基含有樹脂(e)を生成し、
前記カルボキシル基含有樹脂(e)と、エポキシ基またはオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(f)中のエポキシ基又はオキセタン基とを反応させてなる、ヒドロキシル基含有感光性樹脂(A−1)であるか、
前記ヒドロキシル基含有樹脂(A−1)中のヒドロキシル基と、多塩基酸無水物(d)中の酸無水物基とを反応させてなるカルボキシル基含有感光性樹脂(A−2)である、
ことを特徴とする感光性樹脂組成物に関する。
第二の発明はカルボキシベンゾトリアゾール誘導体(D)が、ベンゼン環にカルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体である、前記感光性樹脂組成物に関する。
第三の発明は、カルボキシベンゾトリアゾール誘導体(D)の含有量が、感光性樹脂(A)の固形分100重量部に対し1〜20重量部である前記感光性樹脂組成物に関する。
第四の発明は感光性樹脂(A)の酸価が、10〜200mgKOH/gで前記感光性樹脂組成物に関する。
第五の発明は感光性樹脂(A)のエチレン性不飽和基当量が、200〜5000g/eqである前記感光性樹脂組成物に関する。
第六の発明は感光性樹脂(A)の重量平均分子量が、1000〜100000である前記感光性樹脂組成物に関する。
第七の発明は前記感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化物に関する。
第八の発明は前記感光性樹脂組成物と、難燃剤とを含む、感光性ソルダーレジストインキに関する。
第九の発明は前記感光性樹脂組成物と、難燃剤とを含む、ドライフィルム型感光性ソルダーレジストに関する。
本発明により、活性エネルギー線に対する感光性に優れ、希アルカリ水溶液による現像により微細なパターンが形成できるとともに、後硬化(ポストキュア)工程を経て得られる硬化塗膜がフレキシブル性、絶縁性、密着性、半田耐熱性、塗膜耐性等に優れており、フォトソルダーレジストに好適に使用される感光性樹脂組成物及びその硬化物、更には感光性樹脂の製造方法を提供することができるようになった。本発明の感光性樹脂組成物は、フレキシブルプリント配線板用ソルダーレジスト、感光性カバーレイフィルム、メッキレジスト、線板用層間電気絶縁材料、感光性光導波路、更には、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に銀ペーストやカーボンペースト等の導電性インクを印刷して回路形成されたフレキシブルプリント基板用のカバーレイレジスト等として好適に用いることができる。
感光性樹脂(A)は主鎖中に二塩基酸無水物によるハーフエステル化由来のエステル結合やイソシアネート基と水酸基の反応由来のウレタン結合を有しないため、主鎖が化学的に安定であることから、得られる硬化塗膜は種々の塗膜耐性に優れ、半田浴等の高温条件下にさらされた場合でも優れた耐熱性を発揮し、又、高温多湿下でも優れた電気絶縁性を発揮するために更に好ましい。更には、以下の感光性樹脂(A)は、側鎖に感光性基及びカルボキシル基を有しているため、含有する感光性基およびカルボキシル基の量が少ない場合でも、非常に優れた解像性および現像性を示す。これら側鎖に導入された官能基は、主鎖に直結した場合に比べ反応性に富み、又主鎖末端のみに導入されている場合に比べると導入量を任意に調整できるため、優れた光硬化性、現像性、解像性及び塗膜耐性を発揮することができる。以下、本発明の感光性樹脂(A)、及び感光性樹脂組成物について説明する。
本発明の感光性樹脂(A)は、以下に示すように、ヒドロキシル基含有感光性樹脂(A−1)またはカルボキシル基含有感光性樹脂(A−2)であることを特徴とする。本発明のヒドロキシル基含有感光性樹脂(A−1)は、第一の工程として、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)と1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)とを反応させて側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)を作製する。次に、第二の工程として、前記側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)と多塩基酸無水物(d)とを反応させてカルボキシル基含有樹脂(e)を作製する。更に、第三の工程として、前記カルボキシル基含有樹脂(e)と、エポキシ基またはオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(f)中のエポキシ基又はオキセタン基とを反応させることにより得ることができる。更に、本発明のカルボキシル基含有感光性樹脂(A−2)は、第四の工程として、前記ヒドロキシル基含有樹脂(A−1)中の水酸基多塩基酸無水物(d)中の酸無水物基により得ることができる。以下、感光性樹脂(A)の製造方法について詳細に説明する。
まず、本発明の第一の工程で得られる側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)について説明する。側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)と1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)とを反応させることで得ることができ、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)中のエポキシ基と1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)中のフェノール性水酸基とを、エポキシ基/フェノール性水酸基=1/1〜1/2.5のモル比で反応させて作製することが好ましい。上記モル比の範囲よりフェノール性水酸基が少ないと、残存する余剰のエポキシ基が後の合成工程で反応してゲル化する場合がある。また、上記モル比の範囲よりフェノール性水酸基が多い場合、最終的に得られる感光性樹脂(A)の分子量が低くなり、所望の塗膜耐性や成膜性が得られにくくなる。更には、余剰の1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)が半田耐熱性や電気絶縁性などの物性に悪影響を及ぼす場合がある。
なお、本発明でいう、モル比とは、実際に官能基同士が反応するモル比であり、各種出発材料は、前記モル比での反応を可能にする量を使用する。従って、例えば、「1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)」と、「1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)」との反応において各出発材料を仕込む際、「1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)」中のエポキシ基1.0モルに対して「1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)」中のフェノール性水酸基が2.5モルを超える量で仕込んで(好ましくは2.7モルを上限として仕込んで)反応させることがある。
本発明で用いる1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)は、好ましくはエポキシ基を分子内に2個含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビフェノール・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、グリセリン・エピクロロヒドリン付加物のポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ジヒドロキシアントラセン型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジフェニルスルホンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ジフェニルメタンジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、特開2004−156024号公報、特開2004−315595号公報、特開2004−323777号公報に開示されている柔軟性に優れたエポキシ化合物や、下記式(1)−(3)で表される構造のエポキシ化合物等が挙げられる。
式(1)
Figure 0005884601
式(2)
Figure 0005884601
式(3)
Figure 0005884601
中でも、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルは、最終的に得られるヒドロキシル基含有感光性樹脂(A−1)に柔軟性やアルカリ現像液に対する溶解性を付与させる場合に好ましく、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂は、最終的に得られるカルボキシル基含有変性エステル樹脂(A)に耐熱性を付与させる場合に好ましい。このように本発明において、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(d)は目的に応じて選択することが可能であり、これらは単独で使用しても良いし、複数を併用することも好ましい。
本発明で用いる1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)としては、フェノール性水酸基を分子内に2個含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン (別名:ビスフェノールA)が代表例であり、その他にも、ビス(4−ヒドロキシフェノル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ ル)−n−ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ヘプタン、1,1−ビス (4−ヒドロキシフェニル)−n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−デカ ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)トルイルメタン、ビ ス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−エチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−n−プロピルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロ キシフェニル)−(4−イソプロピルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−n−ブチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニ ル)−(4−ペンチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−ヘキシルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−フル オロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−クロロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(2−フルオロフェニル)メタ ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(2−クロロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキ シフェニル)テトラクロロフェニルメタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタ ン、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ フェニル)−1−フェニルメタン、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メ タン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒ ドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタ ン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−フ ルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキ シフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン等の中心炭素に水素原子が結合しているビスフェノール類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ ル)−n−ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−オクタン、2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル)−n−ノナン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニル エタン(通称ビスフェノールP)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−トルイル エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−n−プロピル フェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−イソプロピルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ ル)−1−(4−n−ブチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ペンチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロ キシフェニル)−1−(4−ヘキシルフェニル)エタン、1,1−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス (3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−フルオロフェニル)エタン、 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−クロロフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(2−フルオロフェニル)エ タン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(2−クロロフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−テトラフルオロフェニ ルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−テトラクロロフェニルエタン等の中心炭素に1つのメチル基が結合しているビスフェノール類;
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールC)、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ パン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス (3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ −4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の中心炭素に2つのメチル基が結合しているビ スフェノール類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、ビス(3−t−ブ チル−4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、ビス(3−クロ ロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン等のジフェニルメタン誘導体であるビスフェノール類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(通称ビスフェノールZ)、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、 1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、 1,1−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、 1,1−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、 1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のシクロヘキサン誘導体であるビスフェノール類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−ト リメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル −4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフルオロ −4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン誘導体であるビスフェノール類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(3,5−ジメチル −4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシ フェニル)フルオレン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル) フルオレン等のフルオレン誘導体であるビスフェノール類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ ル)シクロオクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン等のシクロアルカン誘導 体であるビスフェノール類;
4,4’−ビフェノール等の芳香族環が直接結合したビフェノール類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スル ホン、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロ キシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン等のスルホン誘導体であるビスフェノール類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エー テル、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロ キシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のエーテル結合を有するビスフェノール類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル) スルフィド、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−フルオロ −4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド等のスルフィド結合を有するビスフェノール類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ ル)スルホキシド、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3− フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等のスルホキシド誘導体であるビス フェノール類;
フェノールフタレイン等のヘテロ原子含有脂肪族環を有するビスフェノール類;
ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、1,1−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシフェ ニル)パーフルオロエタン、2,2−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン等の炭素−水素結合のないビス フェノール類等を挙げることができる。
さらに、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、メチルヒドロキノン等のジヒドロキシベンゼン類;
1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類等を挙げることができる。
本発明において、側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)の合成条件は特に限定されるものではなく、公知の条件で行うことができる。例えば、フラスコに、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)、1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)、および溶剤を仕込み、撹拌しながら100〜150℃で加熱することで側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)を得ることができる。この際、必要に応じてトリフェニルホスフィンや、3級アミノ基含有化合物等の触媒を使用してもよい。
次に、本発明の第二の工程で得られるカルボキシル基含有樹脂(e)について説明する。カルボキシル基含有樹脂(e)は、前記側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)と多塩基酸無水物(d)とを反応させて得ることができ、側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)中の水酸基と多塩基酸無水物(d)中の酸無水物基とを、水酸基/酸無水物基=1/0.1〜1/1のモル比で反応させて作製することが好ましい。上記モル比の範囲より酸無水物基が少ないと、最終的に得られる感光性樹脂(A)中で架橋点として機能するカルボキシル基濃度が少なくなるため所望の耐熱性やアルカリ現像液に対する溶解性が得られにくくなる。また、上記モル比の範囲より酸無水物基が多い場合、余剰の多塩基酸無水物(d)が後の合成工程において副生成物を生じさせるため最終塗膜のフレキシブル性や半田耐熱性、絶縁信頼性が低下する傾向にある。
本発明で用いる多塩基酸無水物(d)は、酸無水物基を分子内に1個以上含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルペンタヒドロ無水フタル酸、メチルトリヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロへキセンジカルボン酸無水物、無水ヘット酸、テトラブロモ無水フタル酸などの脂環構造、又は芳香環構造を有する、酸無水物基を含む化合物が挙げられる。その他の化合物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、ブチルコハク酸無水物、ヘキシルコハク酸無水物、オクチルコハク酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、ブチルマレイン酸無水物、ペンチルマレイン酸無水物、ヘキシルマレイン酸無水物、オクチルマレイン酸無水物、デシルマレイン酸無水物、ドデシルマレイン酸無水物、ブチルグルタミン酸無水物、ヘキシルグルタミン酸無水物、ヘプチルグルタミン酸無水物、オクチルグルタミン酸無水物、デシルグルタミン酸無水物、ドデシルグルタミン酸無水物などが挙げられる。本発明において、多塩基酸無水物(d)は、一種のみを単独で用いても良いし、複数を併用しても良い。
なかでも、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸などは、本発明において、現像性、パターン形成性および塗膜耐性が非常に優れるため特に好ましい。
本発明において、カルボキシル基含有樹脂(e)の合成条件は特に限定されるものではなく、公知の条件で行うことができる。例えば、フラスコに、側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)、多塩基酸無水物(d)、および溶剤を仕込み、撹拌しながら25〜150℃で加熱することで側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)を得ることができる。この反応は無触媒下でも進行するが、必要に応じて、3級アミノ基含有化合物等の触媒を使用してもよい。
次に、本発明の第三の工程で得られるヒドロキシル基含有樹脂(A−1)について説明する。本発明のヒドロキシル基含有樹脂(A−1)は、前記カルボキシル基含有樹脂(e)とエポキシ基又はオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(f)とを反応させて得ることができ、カルボキシル基含有樹脂(e)中のカルボキシル基と、エポキシ基又はオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(f)中のエポキシ基又はオキセタン基とを、カルボキシル基/エポキシ基又はオキセタン基=1/0.1〜1/1のモル比で反応させて作製することが好ましい。上記モル比の範囲よりエポキシ基又はオキセタン基が少ないと、最終的に得られる感光性樹脂(A)中で光架橋点として機能する二重結合当量が高くなるため、所望の耐熱性や塗膜耐性が得られにくくなる。また、上記モル比の範囲よりエポキシ基又はオキセタン基が多い場合、余剰のエポキシ基又はオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(f)により最終塗膜のフレキシブル性が低下する傾向にある。
本発明で用いるエポキシ基又はオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(f)は、エポキシ基又はオキセタン基とエチレン性不飽和基とを分子内に1個以上含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル桂皮酸、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、グリシジルアリルエーテル、2,3−エポキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ビニル−1−シクロヘキセン−1,2−エポキシド、1,3−ブタジエンモノエポキシド、オキセタニル(メタ)アクリレート、オキセタニル桂皮酸、又、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどの、水酸基含有多官能アクリルモノマーの水酸基に、エピクロルヒドリンを反応させた多官能アクリレート基含有モノエポキシドや、フェノールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の大半をアクリル酸などでアクリレート基に変性することで得られる、平均で1分子中に1つのエポキシ基を残した多官能アクリレート基含有モノエポキシド、カルボキシル基含有多官能アクリルモノマーのカルボキシル基に、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物のエポキシ基の一部を反応させることで得られる多官能アクリレート基含有モノエポキシド等が挙げられ、これらのエポキシ基又はオキセタン基を、カルボキシル基含有樹脂(e)中のカルボキシル基と反応させることで、ヒドロキシル基含有樹脂(A−1)が得られる。本発明において、エポキシ基又はオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(f)は、一種のみを単独で用いても良いし、複数を併用しても良い。
なかでも、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルなどは、本発明において、カルボキシル基と反応性に富み、又、感光性が非常に優れるため特に好ましい。
又、本発明において、エチレン性不飽和基を有さず、エポキシ基又はオキセタン基を有する化合物を、エポキシ基又はオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(b)と併用して用いることもできる。この場合、本発明のカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂(A)の感光性をより幅広く制御することが可能である。本発明の、エチレン性不飽和基を有さず、エポキシ基又はオキセタン基を有する化合物としては、例えば、スチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル、p−フェニルフェノールグリシジルエーテル、グリシジルシンナメート、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシドール、N−グリシジルフタルイミド、1,3−ジブロモフェニルグリシジルエーテル、セロキサイド2000(ダイセル化学工業株式会社製)、オキセタンアルコール等が挙げられる。
本発明において、ヒドロキシル基含有樹脂(A−1)の合成条件は特に限定されるものではなく、公知の条件で行うことができる。例えば、フラスコに、酸素存在下、前記カルボキシル基含有樹脂(e)、エポキシ基又はオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(f)、および溶剤を仕込み、撹拌しながら25〜150℃で加熱することでヒドロキシル基含有樹脂(A−1)を得ることができる。この際、反応促進のために必要に応じて3級アミノ基含有化合物等の反応触媒を添加したり、あるいは、重合反応や重合進行によるゲル化等を起こすことのないよう、エチレン性不飽和基の重合禁止剤や分子状酸素を用いたりすることもできる。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、p−ベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチルベンゾキノン、ナフトキノン、フェノチアジン、N−オキシル化合物等を用いることができる。また、分子状酸素を反応容器内に存在させても重合禁止効果があり、例えば空気、あるいは空気と窒素等の不活性ガスとの混合ガス等を反応容器に吹き込む、いわゆるバブリングを行えばよい。重合禁止効果を高めるには、重合禁止剤と分子状酸素とを併用することが好ましい。
次に、本発明の第四の工程で得られるカルボキシル基含有感光性樹脂(A−2)について説明する。本発明のカルボキシル基含有感光性樹脂(A−2)は、前記ヒドロキシル基含有樹脂(A−1)と多塩基酸無水物(d)とを反応させて得ることができ、ヒドロキシル基含有樹脂(A−1)中の水酸基と、多塩基酸無水物(d)中の酸無水物基とを、水酸基/酸無水物基=1/0.01〜1/1のモル比で反応させて作製することが好ましい。上記モル比の範囲より酸無水物基が少ないと、最終的に得られる感光性樹脂(A)中で架橋点として機能するカルボキシル基濃度が少なくなるため所望の耐熱性やアルカリ現像液に対する溶解性が得られにくくなる。また、上記モル比の範囲より酸無水物基が多い場合、余剰の多塩基酸無水物(d)により最終塗膜のフレキシブル性や半田耐熱性、絶縁信頼性が低下する傾向にある。
本発明で用いる多塩基酸無水物(d)は、前述の通り、酸無水物基を分子内に1個以上含有する化合物であればよく、特に限定されるものではなく、一種のみを単独で用いても良いし、複数を併用しても良い。なかでも、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸などは、本発明において、現像性、パターン形成性および塗膜耐性が非常に優れるため特に好ましい。
本発明において、カルボキシル基含有感光性樹脂(A−2)の合成条件は特に限定されるものではなく、第三の工程と同様、フラスコに、酸素存在下、前記ヒドロキシル基含有樹脂(A−1)、多塩基酸無水物(d)、および溶剤を仕込み、25〜150℃で加熱撹拌しながら加熱することで反応させることが好ましく、必要に応じて適した反応触媒及びエチレン性不飽和基の重合禁止剤を新たに追加することもできる。
以上の工程により得られる本発明の感光性樹脂(A)の酸価は、10〜200mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは30〜150mgKOH/gである。酸価が10mgKOH/g未満の場合、充分な現像性が得られにくいことがあり、例えば、現像時に皮膜を溶解させて取り除きたい部分に、残渣として皮膜が残る場合がある。又、酸価が200mgKOH/gを超える場合、現像液に対する塗膜の溶解性が高くなり、光硬化させてパターンとして残したい部分までもが溶解し、パターンの形状が悪化する場合がある。
本発明の感光性樹脂(A)のエチレン性不飽和基当量は、200〜5000g/eqであることが好ましく、より好ましくは、300〜3000g/eqである。エチレン性不飽和基当量が200g/eq未満の場合、光感度が高すぎることがあり、現像時に皮膜を溶解させて取り除きたい部分までもが光で硬化してしまい、良好なパターン形状が得られない場合がある。エチレン性不飽和基当量が5000g/eqを超える場合、光感度が低すぎることがあり、光硬化させたい部分が充分硬化せず、現像時にパターンが溶解することで、良好なパターン形状が得られない場合がある。なお、本発明でいう「エチレン性不飽和基当量」とは、樹脂の合成時に使用した原材料の重量から算出される理論値であって、樹脂の重量を、樹脂中に存在するエチレン性不飽和基の数で除したものであり、エチレン性不飽和基1モルあたりの樹脂の重量、すなわち、エチレン性不飽和基濃度の逆数に相当するものである。
本発明の感光性樹脂(A)の重量平均分子量は、1000〜100000であることが好ましく、より好ましくは、3000〜60000である。重量平均分子量が1000未満の場合、充分な半田耐熱性および可撓性が得られない可能性がある。又、重量平均分子量が100000を超える場合は、半田耐熱性に優れるものの、現像性が悪化する可能性があり、又、塗工時の粘度やハンドリングが課題となる場合がある。
感光性樹脂(A)の合成に使用する溶剤は、最終用途や、反応物の溶解性に応じて適宜選択することができる。例えば、ドライフィルム型感光性ソルダーレジストを最終用途とする場合、ドライフィルム作成工程において、溶剤をすばやく乾燥させる必要があるため、低沸点の溶剤を用いることが好ましい。この場合の低沸点溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、トルエン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。又、液状ソルダーレジストインキを最終用途とする場合、インキ作成工程において、フィラーや顔料等をロールで混錬する過程や、インキとしての保存安定性を考慮すると、極力溶剤の揮発を抑制する必要があるため、高沸点の溶剤を用いることが好ましい。この場合の高沸点溶剤としては、カルビトールアセテート、メトキシプロピルアセテート、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン等が挙げられる。
本発明において、これらの溶剤は、必要に応じて一種のみを単独で用いても良いし、複数を併用しても良く、又、反応過程で脱溶剤を行ったり、脱溶剤後、新たに別の溶剤を添加したりしても良い。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記感光性樹脂(A)と、エポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、およびブロック化イソシアネート基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である硬化剤(B)および光重合開始剤(C)を含むものである。ここで、エポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、およびブロック化イソシアネート基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である硬化剤(B)〔以下、単に「硬化剤(B)」とも表記する。〕について説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、上述した感光性樹脂(A)の硬化剤として、硬化剤(B)を使用することを特徴とする。
本発明におけるエポキシ基含有化合物としては、分子内にエポキシ基を含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。例えば、分子内にエポキシ基を1個有する化合物としては、N−グリシジルフタルイミド、グリシドール、グリシジル(メタ)アクリレート等の化合物が挙げられる。これらは、次に例示する分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物と、必要に応じて併用することで、硬化物の架橋密度を制御する目的で好適に用いることができる。また、エポキシ基を分子内に2個以上含有する化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビスフェノールS・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビフェノール・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体もしくはプロピレンオキシド付加体のエピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、グリセリン・エピクロロヒドリン付加物のポリグリシジルエーテル、ナフタレンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジフェニルスルホンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ジフェニルメタンジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、特開2004−156024号公報、特開2004−315595号公報、特開2004−323777号公報に開示されている柔軟性に優れたエポキシ化合物や、下記式(4)〜(6)で表される構造のエポキシ化合物等が挙げられる。
式(4)
Figure 0005884601
式(5)
Figure 0005884601
式(6)
Figure 0005884601
さらに、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートトリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、三菱化学株式会社製「エピコート1031S」、「エピコート1032H60」、「エピコート604」、「エピコート630」の他、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、特開2001-240654号公報に開示されているジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、エチレングリコール・エピクロルヒドリン付加物のポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、等が挙げられる。また、エポキシ基以外の他の熱硬化性基を併有する化合物も使用できる。例えば、特開2001−59011号公報や、2003−48953号公報に開示されているシラン変性エポキシ樹脂が挙げられる。
特に、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートトリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のイソシアヌレート環含有エポキシ化合物は、本発明に使用した場合、ポリイミドや銅に対して接着強度が向上する傾向があり、好ましい。また、三菱化学株式会社製「エピコート1031S」、「エピコート1032H60」、「エピコート604」、「エピコート630」は、多官能であり、かつ、耐熱性に優れるため、本発明において非常に好ましく、また、脂肪族系のエポキシ化合物や、特開2004−156024号公報、特開2004−315595号公報、特開2004−323777号公報記載のエポキシ化合物は、硬化塗膜の柔軟性に優れるため、好ましい。また、特開2001−240654号公報記載のジシクロペンタジエン型エポキシ化合物や、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、などは、本発明において、熱硬化性および吸湿性や耐熱性をはじめとする硬化塗膜の耐久性の面で優れており好ましい。
イソシアネート基含有化合物としては、イソシアネート基を分子内に有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、ジイソシアネート化合物としては、例えば、炭素数4〜50の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えばω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート[別名:イソホロンジイソシアネート]、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
分子中にイソシアネート基を1個または3個以上有するイソシアネート基含有化合物としては、具体的には、1分子中に1個のイソシアネート基を有する単官能イソシアネートとして、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]エチルイソシアネート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、1,6−ジイソシアナトヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン、ジイソシアン酸4,4’−ジフェニルメタン、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアン酸トリレン、ジイソシアン酸トルエン、2,4−ジイソシアン酸トルエン、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸4−メチル−m−フェニレン、ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のジイソシアン酸エステル化合物と水酸基、カルボキシル基、アミド基含有ビニルモノマーとを等モルで反応せしめた化合物もイソシアン酸エステル化合物として使用することができる。
また、1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、リジントリイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられ、前述したジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体が挙げられる。
ブロック化イソシアネート基含有化合物としては、イソシアネート基がε−カプロラクタムやMEKオキシム等で保護されたイソシアネート基含有化合物であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、上記イソシアネート基含有化合物のイソシアネート基を、ε−カプロラクタム、MEKオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピラゾール、フェノール等でブロックしたものなどが挙げられる。
本発明において、硬化剤(B)は、一種のみを単独で用いてもよいし、複数を併用しても良い。硬化剤(B)の使用量は、本発明の硬化性樹脂組成物の用途等を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、感光性樹脂(A)100重量部に対して、0.5重量部〜100重量部の割合で加えることが好ましく、1重量部〜80重量部の割合で加えることがより好ましい。硬化剤(B)を使用することにより、本発明の感光性樹脂組成物の架橋密度を適度な値に調節することができるので、硬化後の塗膜の各種物性をより一層向上させることができる。硬化剤(B)の使用量が0.5重量部よりも少ないと、加熱硬化後の塗膜の架橋密度が低くなり過ぎ、所望の接着強度や耐熱性が不充分となる場合がある。また、該使用量が100重量部よりも多いと、加熱硬化後の架橋密度が高くなり過ぎ、その結果、塗膜の屈曲性、可撓性が低下し、接着強度をも著しく悪化させる場合がある。
次に、光重合開始剤(C)について説明する。光重合開始剤(C)は、紫外線により感光性化合物を硬化させる場合に添加される。光重合開始剤としては、光励起によってビニル重合を開始できる機能を有するものであれば特に限定はなく、例えばモノカルボニル化合物、ジカルボニル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アシルフォスフィンオキシド化合物、アミノカルボニル化合物等が使用できる。
具体的にモノカルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、4−メチル−ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル−エネタノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−(1,3−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイル−フェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミン塩酸塩、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−n−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシエチル)]メタアンモニウム臭酸塩、2−/4−iso−プロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9Hチオキサントン−2−イロキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミン塩酸塩、ベンゾイルメチレン−3−メチルナフト(1,2−d)チアゾリン等が挙げられる。
ジカルボニル化合物としては、1,7,7−トリメチル-ビシクロ[2.1.1]ヘプタン−2,3−ジオン、ベンザイル、2−エチルアントラキノン、9,10−フェナントレンキノン、メチル−α−オキソベンゼンアセテート、4−フェニルベンザイル等が挙げられる。
アセトフェノン化合物としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−ジ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−スチリルプロパン−1−オン重合物、ジエトキシアセトフェノン、ジブトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,2−ジエトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノ−フェニル)ブタン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノ−プロパノニル)−9−ブチルカルバゾール等が挙げられる。
ベンゾインエーテル化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテル等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキシド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−n−プロピルフェニル-ジ(2,6−ジクロロベンゾイル)ホスフィンオキシド等が挙げられる。
アミノカルボニル化合物としては、メチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−nブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、イソアミル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、4,4’−ビス−4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス−4−ジエチルアミノベンゾフェノン、2,5’−ビス−(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン等が挙げられる。
なかでも、本発明において、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンとチオキサントン類とを組み合わせて使用する場合は、安価でありながら感光性が非常に優れるため、特に好ましい。
これらは上記化合物に限定されず、紫外線により重合を開始させる能力があればどのようなものでも構わない。これらは単独使用または併用することができ、使用量に制限はないが、感光性樹脂(A)の乾燥重量の合計100重量部に対して1〜20重量部の範囲で添加されるのが好ましい。又、増感剤として公知の有機アミンを加えることもできる。
次に本発明で耐熱性と現像性、折り曲げ性を改善する目的で添加するカルボキシベンゾトリアゾール誘導体(D)について説明する。本発明のカルボキシルベンゾトリアゾール誘導体(D)とは、置換または無置換のカルボキシルベンゾトリアゾールのことを示し、カルボキシル基がエステル化されたものも含む。カルボキシルベンゾトリアゾール誘導体(D)は特に限定されないが、好ましくは一般式(7)で表されるカルボキシベンゾトリアゾール誘導体である。
一般式(7)
Figure 0005884601
一般式(7)中、R水素または炭素数1〜20のアルキル基であり、Rは水素、炭素数1〜20のアルキル基、又はアミノアルキル基である。一般式(7)で表されるカルボキシルベンゾトリアゾール誘導体(D)は特に限定されないが、好ましい具体例としては、N(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N(N,N−ジ−2 −ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N(N,N−ジ− 2−エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール、5−カルボキシベンゾトリアゾール、3−メチル−5−カルボキシベンゾトリアゾール、3−エチル−5−カルボキシベンゾトリアゾール、及び3−へキシル−5−カルボキシベンゾトリアゾール、5-カルボキシベンゾトリアゾール、5−カルボキシベンゾトリアゾールメチルエステル、5−カルボキシベンゾトリアゾールフェニルエステルなどが挙げられ、好ましくは5-カルボキシベンゾトリアゾール、5−カルボキシベンゾトリアゾールメチルエステル、5−カルボキシベンゾトリアゾールフェニルエステルである。より好ましくは分子内に酸性基と塩基性基を有し分子内塩を形成する5-カルボキシベンゾトリアゾールであり、特に耐熱性、現像性、折り曲げ性に対する効果が高い。
また、添加量は樹脂100重量部に対して1〜30重量部が好ましい。1重量部未満では耐熱性、現像性、折り曲げ性の改善が不十分であり、また30重量部以上になると回路への密着性の低下や耐熱性が低下するため望ましくない。
本発明の感光性樹脂組成物は、更に熱硬化助剤を含んでもよい。熱硬化助剤とは、熱硬化時に硬化反応に直接又は触媒的に寄与する化合物を表す。
熱硬化時に硬化反応に直接的に寄与する化合物としては、アミノ樹脂、フェノール樹脂、多官能ポリカルボン酸無水物、多官能ビニルエーテル化合物、高分子量ポリカルボジイミド類、アジリジン化合物等が挙げられる。
アミノ樹脂、フェノール樹脂としては、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、フェノール、クレゾール類、ビスフェノール類等の化合物とホルムアルデヒドとの付加化合物または、その部分縮合物が挙げられる。
多官能ポリカルボン酸無水物は、カルボン酸無水物基を2つ以上有する化合物であり特に限定されるものではないが、テトラカルボン酸二無水物、ヘキサカルボン酸三無水物、ヘキサカルボン酸二無水物、無水マレイン酸共重合樹脂などの多価カルボン酸無水物類等が挙げられる。又、反応中に脱水反応を経由して無水物と成りうるポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハーフエステルなどは、本発明でいう「2つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物」に含まれる。
更に詳しく例示すると、テトラカルボン酸二無水物としては、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、新日本理化株式会社製「リカシッドTMTA−C」、「リカシッドMTA−10」、「リカシッドMTA−15」、「リカシッドTMEGシリーズ」、「リカシッドTDA」などが挙げられる。
無水マレイン酸共重合樹脂としては、サートマー社製SMAレジンシリーズ、株式会社岐阜セラック製造所製GSMシリーズなどのスチレン−無水マレイン酸共重合樹脂、p−フェニルスチレン−無水マレイン酸共重合樹脂、ポリエチレン−無水マレイン酸などのα−オレフィン-無水マレイン酸共重合樹脂、ダイセル化学工業株式会社製「VEMA」(メチルビニルエ−テルと無水マレイン酸の共重合体)、無水マレイン酸アクリル変性ポリオレフィン(「アウローレンシリーズ」:日本製紙ケミカル株式会社製)、無水マレイン酸共重合アクリル樹脂などが挙げられる。
多官能ビニルエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、グリセリンジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシルシクロヘキサンジビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサンジビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ハイドロキノンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性レゾルシンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールSジビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、ジペンタエリスリトールポリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンポリビニルエーテルなどが挙げられる。
高分子量ポリカルボジイミド類としては日清紡績株式会社のカルボジライトシリーズが挙げられる。その中でもカルボジライトV−01、03、05、07、09は有機溶剤との相溶性に優れており好ましい。
アジリジン化合物としては、例えば、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
その他の熱硬化時に硬化反応に直接的に寄与する化合物としては、ベンゾオキサジン化合物、ベンゾシクロブテン化合物、マレイミド化合物、ナジイミド化合物、アリルナジイミド化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物等、加熱によって硬化する化合物であればいずれも有効に用いることができる。これら光重合性基や、カルボキシル基と反応し得る官能基、水酸基と反応し得る官能基を有する化合物は、特に硬化後の塗膜の耐熱性を向上することができるため、より有効に使用することができる。
熱硬化時に硬化反応に触媒的に寄与する化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N−メチルピペラジン等の3級アミン類、及びその塩類;
2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジシアノ−6−[2−メチルイミダゾリル−1]−エチル−S−トリアジン等のイミダゾール類、及びその塩類;
1,5−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデカン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン、1,4−ジアビシクロ[2,2,2,]オクタン等のジアザビシクロ化合物類;
トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(ヒドロキシプロピル)ホスフィン、トリス(シアノエチル)ホスフィン等のホスフィン類;
テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリシアノエチルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスホニウム塩類;
その他、触媒的かつ自らも直接硬化反応に寄与する化合物として、ジシアンジアミド、カルボン酸ヒドラジド等が挙げられる。カルボン酸ヒドラジドとしては、コハク酸ヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド等が挙げられる。
これら熱硬化助剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。熱硬化助剤の使用量は、感光性樹脂組成物の用途等を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、感光性樹脂(A)100重量部に対して、0.1重量部〜100重量部の範囲内がより好ましく、0.5重量部〜80重量部の範囲内が更に好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の架橋密度を適度な値に調節することができるので、感光性樹脂組成物の各種物性をより一層向上させることができる。熱硬化助剤の使用量が0.1重量部よりも少ないと、加熱硬化後の塗膜の架橋密度が低くなり過ぎ、凝集力や耐久性が不充分となる場合がある。又、該使用量が100重量部よりも多いと、加熱硬化後の架橋密度が高くなり過ぎ、その結果、塗膜の屈曲性、可撓性が低下し、基板の反りをも著しく悪化させる場合がある。
本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて上記記載の(A)以外の樹脂を含有しても良い。(A)以外の樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、ウレタンウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらは、現像性の観点から、カルボキシル基を含有しているものが好ましく、又、(A)との相溶性に優れるものが好ましい。本発明において、(A)以外の樹脂を含有する場合は、単独又は複数を併用して用いることができる。
この他、本発明の感光性樹脂組成物には目的を損なわない範囲で任意成分として、更に溶剤、染料、顔料、難燃剤、酸化防止剤、重合禁止剤、レベリング剤、保湿剤、粘度調整剤、防腐剤、抗菌剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、電磁波シールド剤、フィラー等を添加することができる。特に電子材料用途で回路に直接接するような絶縁部材(例えば回路保護膜、カバーレイ層、層間絶縁材料など)や、回路周辺の高熱となりうる部材(プリント配線板接着剤、支持基板など)に使用する場合は、難燃剤を併用するのが好ましい。
難燃剤としては、例えば、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、リン酸グアニジン、ポリリン酸グアニジン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸アミドアンモニウム、ポリリン酸アミドアンモニウム、リン酸カルバメート、ポリリン酸カルバメートなどのリン酸塩系化合物やポリリン酸塩系化合物、赤リン、有機リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスホン酸化合物、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、メチルエチルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、エチルブチルホスフィン酸アルミニウム、メチルブチルホスフィン酸アルミニウム、ポリエチレンホスフィン酸アルミニウムなどのホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、ホスホルアミド化合物などのリン系難燃剤、メラミン、メラム、メレム、メロン、メラミンシアヌレートなどのトリアジン系化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、トリアゾール系化合物、テトラゾール化合物、ジアゾ化合物、尿素などの窒素系難燃剤、シリコーン化合物やシラン化合物などのケイ素系難燃剤、ハロゲン化ビスフェノールA、ハロゲン化エポキシ化合物、ハロゲン化フェノキシ化合物などの低分子ハロゲン含有化合物、ハロゲン化されたオリゴマーやポリマーなどのハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化アンチモン、酸化ニッケル、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、ホウ酸亜鉛、水和ガラスなどの無機系難燃剤などが挙げられる。本発明において、近年取り沙汰されている、環境への影響を配慮すると、リン系難燃剤や窒素系難燃剤等のノンハロゲン系難燃剤を使用することが望ましく、中でも本発明の熱硬化性樹脂組成物との併用によって、難燃性により効果のあるホスファゼン化合物、ホスフィン化合物、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、メラミンシアヌレート等を用いることが好ましい。本発明において、これら難燃剤は、単独又は複数を併用して用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物及びその硬化物は、アルカリ現像性に優れるという特徴があるため、光硬化、アルカリ現像、ポストキュアを含む塗膜形成プロセスが用いられる用途に好適に用いることができる。更に、半田耐熱性、塗膜耐性に優れ、かつ、可撓性、屈曲性も同時に優れることから、特に、フレキシブルプリント配線板用ソルダーレジストインキや、感光性カバーレイフィルム用途で好適に用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、基材として、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木材、スレート等に塗工することができ、特に制限されるものではない。具体的なプラスチックの種類としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。又、基材の形状としてはフィルムシート、板状パネル、レンズ形状、ディスク形状、ファイバー状の物が挙げられるが、特に制限されるものではない。
本発明の感光性樹脂組成物は、公知のラジエーション硬化方法により硬化させ硬化物とすることができ、活性エネルギー線としては、電子線、紫外線、400〜500nmの可視光を使用することができる。照射する電子線の線源には熱電子放射銃、電界放射銃等が使用できる。又、紫外線および400〜500nmの可視光の線源(光源)には、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ等を使用することができる。具体的には、点光源であること、輝度の安定性から、超高圧水銀ランプ、キセノン水銀ランプ、メタルハライドランプ、が用いられることが多い。照射する活性エネルギー線量は、5〜2000mJ/cm2の範囲で適時設定できるが、工程上管理しやすい50〜1000mJ/cm2の範囲であることが好ましい。又、これら活性エネルギー線と、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等による熱の併用も可能である。
本発明の感光性樹脂組成物は、フォトソルダーレジストとして使用する場合、溶剤に溶解させた液状レジストインキや、予め溶剤を乾燥させたドライフィルム型レジストとして使用できる。
液状レジストインキとして使用する場合、本発明の感光性樹脂組成物は、基材に塗工後、自然または強制乾燥によって溶剤を揮発させた後にラジエーション硬化を行っても良いし、塗工に続いてラジエーション硬化させた後に自然又は強制乾燥しても構わないが、自然又は強制乾燥後にラジエーション硬化した方が好ましい。又、液状レジストインキの場合、保存工程、塗工工程など、基材への塗工が完了するまでの間は、取扱い上、溶剤の揮発が起こらないことが好ましいため、樹脂合成時に用いる溶剤や、インキ作成時の希釈溶剤としては、高沸点のものが好ましい。例えば、カルビトールアセテート、メトキシプロピルアセテート、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン等を用いることが特に好ましい。又、液状レジストインキの場合、保存安定性やハンドリングを考慮して、予め硬化剤を別にして保存しておき、塗工前に必要に応じて硬化剤を混合して使用する2液型もある。本発明の場合も、エポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、およびブロック化イソシアネート基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である硬化剤(B)や、光重合開始剤(C)や、エチレン性不飽和基含有化合物(D)や、熱硬化助剤を、必要に応じて、それ以外のものと分けて保存するなど、2液型として使用することもできる。
一方、ドライフィルム型レジストとして使用する場合、まずセパレートフィルム等の離形性の良いフィルム基材に、溶剤に溶解させた感光性組成物を塗工後、溶剤を乾燥させることにより、ドライフィルム型レジストを作成する。この場合、使用する溶剤としては、前記の液状レジストインキとは異なり、短時間で完全に溶剤を乾燥させる必要があるため、低沸点の溶剤が好ましい。例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、トルエン、イソプロピルアルコール等を用いることが特に好ましい。セパレートフィルム上に作成したドライフィルムは、ポリイミド上に形成された銅回路等に張り合わせたのち、ラミネートや真空ラミネートによって、気泡等の除去および回路への密着が行われる。この張り合わせ工程の後、セパレートフィルムを介してラジエーション硬化が行われる場合や、セパレートフィルムを剥がしてから現像パターンを接触させてラジエーション硬化を行う場合がある。現像パターンを接触させてラジエーション硬化を行う場合、ドライフィルムにタックがあると、現像パターンを汚染する場合があるため、ドライフィルム型レジストとしては、乾燥塗膜のタックが少ないものが要求される。本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じてタックを低減できるため、ドライフィルムレジストとしても有用に使用できる。
更に、本発明の感光性樹脂組成物は、ラジエーション硬化後、現像することでパターンを形成し、ポストキュアとして熱硬化させることで耐性に優れる皮膜を形成する。ポストキュアは、100℃〜200℃で30分〜2時間が好ましい。又、更に塗膜の耐性を向上するために、ポストキュアの後にも必要に応じて活性エネルギー線を照射することができる。ポストキュアの後に活性エネルギー線を照射することで、半田耐熱性などを更に向上することができる。
以下に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は、「重量部」を表す。
なお、GPCの測定条件は以下のとおりである。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
Mwの測定は東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。本発明における測定は、カラムに「LF−604」(昭和電工株式会社製:迅速分析用GPCカラム:6mmID×150mmサイズ)を直列に2本接続して用い、流量0.6ml/min、カラム温度40℃の条件で行い、重量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。
<分子量分布(Mw/Mn)>
分子量の分散度をあらわし、本発明においては、上記分子量の測定結果より、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)により求めた。
[製造例1]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、ビスフェノールA64.8部、YD8125(新日鐵化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ化合物)57.1部、EX861(ナガセケムテックス株式会社製:ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)128.1部、触媒としてトリフェニルホスフィン1.25部、N,N−ジメチルベンジルアミン1.25部、溶剤としてトルエン250部を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら110℃に昇温し8時間反応させ、ヒドロキシル基含有樹脂を得た。次に、酸無水物としてリカシッドSA(新日本理化株式会社製:無水コハク酸)54.6部を投入し、110℃のまま4時間反応させた。FT−IR測定にて酸無水物基の吸収が消失しているのを確認後、室温まで冷却した。次に、このフラスコに、窒素導入管からの窒素を停止し乾燥空気の導入に切り替え、攪拌しながらGMA(日油株式会社製:グリシジルメタクリレート)26.0部、重合禁止剤としてヒドロキノン0.165部を投入し、80℃で8時間反応させた。反応終了後、この溶液にメチルエチルケトンを加えて固形分が50.0%になるように調整した。本設計によるヒドロキシル基含有感光性樹脂(A−1)のエチレン性不飽和基当量は1803g/eqであり、ポリスチレン換算の重量平均分子量が23500、実測による樹脂固形分の酸価は63mgKOH/gであった。
[製造例2]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、ビスフェノールA60.8部、YD8125(新日鐵化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ化合物)43.4部、EX861(ナガセケムテックス株式会社製:ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)145.8部、触媒としてトリフェニルホスフィン1.25部、DMBA1.25部、溶剤としてトルエン250部を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら110℃に昇温し8時間反応させ、ヒドロキシル基含有樹脂を得た。次に、酸無水物としてリカシッドSA(新日本理化株式会社製:無水コハク酸)49.8部を投入し、110℃のまま4時間反応させた。FT−IR測定にて酸無水物基の吸収が消失しているのを確認後、室温まで冷却した。次に、このフラスコに、窒素導入管からの窒素を停止し乾燥空気の導入に切り替え、攪拌しながらGMA(日油株式会社製:グリシジルメタクリレート)41.1部、重合禁止剤としてヒドロキノン0.17部を投入し、80℃で8時間反応させた。反応終了後、乾燥空気を導入した状態のフラスコに、酸無水物としてリカシッドSA(新日本理化株式会社製:無水コハク酸)26.0部を投入し、80℃のまま4時間反応させた。FT−IR測定にて酸無水物基の吸収が消失しているのを確認後、室温まで冷却した。この溶液にメチルエチルケトンを加えて固形分が50.0%になるように調整した。本設計によるカルボキシル基含有感光性樹脂(A−2)のエチレン性不飽和基当量は1269g/eqであり、ポリスチレン換算の重量平均分子量が20200、実測による樹脂固形分の酸価は73mgKOH/gであった。
[製造例3〜4]
表2に示す原料を用い、製造例7と同様な操作を行うことにより、製造例3〜4のカルボキシル基含有感光性樹脂(A−2)を得た。
製造例1〜4で得られた感光性樹脂のスペックを表1に示す。
Figure 0005884601

BisA:ビスフェノールA
YD8125:新日鐵化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ化合物
EX861:ナガセケムテックス株式会社製、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル
SA:新日本理化株式会社製、無水コハク酸
GMA:日油株式会社製、グリシジルメタクリレート
EX830:ナガセケムテックス株式会社製、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル
YL7410:三菱化学株式会社製、ゴム弾性型エポキシ樹脂
[製造例5]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、エポキシ当量650、軟化点81.1℃、溶融粘度(150℃)12.5ポイズのビスフェノールA型エポキシ樹脂371部、エピクロルヒドリン925部、ジメチルスルホキシド463部を投入し、均一に溶解させた後、攪拌下70℃で98.5%水酸化ナトリウム水溶液52.8部を100分かけて添加した。添加後、更に70℃で3時間反応を行った。次いで、過剰の未反応エピクロルヒドリン及びジメチルスルホキシドの大半を減圧下に留去し、副生塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750部に溶解させ、更に30%水酸化ナトリウム水溶液10部を加え、70℃で1時間反応させた。反応終了後、水200部で2回水洗を行った。油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量287、加水分解性塩素含有量0.07%、軟化点64.2℃、溶融粘度(150℃)7.1ポイズのエポキシ樹脂340部を得た。
このエポキシ樹脂287部を、別の撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに投入し、更にアクリル酸72部、メチルハイドロキノン0.3部、シクロヘキサノン194部を仕込み、90℃に加熱、攪拌し、反応混合物を溶解した。次いで、反応液を60℃に冷却し、トリフェニルフォスフィン1.7部を仕込み、酸素存在下、100℃で約32時間反応し、実測酸価1mgKOH/gの反応物を得た。次に、これに無水コハク酸78部、シクロヘキサノン42部を仕込み、95℃で約6時間反応し、主骨格がビスフェノールA型エポキシ樹脂であるカルボキシル基含有感光性樹脂を得た。次いでこの溶液にシクロヘキサノンを加えて、固形分が50.0%になるように調整した。本設計による樹脂固形分のエチレン性不飽和基当量は450eq/gであり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は7400、分子量分布2.23、実測による樹脂固形分の酸価は100mgKOH/g、であった。
[製造例6]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、エポキシ当量が218g/eqのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製:YDCN−702)330部を入れ、90〜100℃で加熱溶融し、攪拌した。次にアクリル酸120部、ハイドロキノン0.6部、ジメチルベンジルアミン5部を加え、酸素存在下、攪拌しながら115℃に昇温して12時間反応させた。次に、このフラスコにシクロヘキサノン400部を投入し、70℃に加温して溶解させた。次に、無水コハク酸を81部投入し、95℃に昇温し、8時間攪拌・反応させた。FT−IR測定にて酸無水物基の吸収が消失しているのを確認後、室温まで冷却し、主骨格がクレゾールノボラック骨格であるカルボキシル基含有感光性樹脂を得た。次いでこの溶液にシクロヘキサノンを加えて、固形分が50.0%になるように調整した。本設計による樹脂固形分のエチレン性不飽和基当量は319g/eqであり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は11000、分子量分布2.90、実測による樹脂固形分の酸価は85mgKOH/g、であった。
[製造例7]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、滴下漏斗を設置し、フラスコにシクロヘキサノン400部を仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら90℃に昇温した。別容器にメタクリル酸15部、メタクリル酸メチル30部、メタクリル酸ブチル30部、ベンジルメタクリレート25部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル20部、シクロヘキサノン100部を仕込み、攪拌して均一に溶解した。このモノマー溶液を、フラスコに設置した滴下漏斗に仕込み、フラスコを窒素雰囲気下、90℃で攪拌しながら、滴下漏斗のモノマー溶液を2時間かけてフラスコに滴下した。滴下終了後も90℃のまま攪拌を続け、滴下終了から2時間後、アゾビスイソブチロニトリル0.5部をフラスコに投入した。1時間後、再びアゾビスイソブチロニトリル0.5部をフラスコに投入し、更に2時間攪拌を継続した。その後、フラスコを冷却して反応を停止した。少量サンプリングを行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量が18700、分子量分布2.58、樹脂固形分の酸価98mgKOH/gのカルボキシル基含有アクリルプレポリマーを得た。
次に、このフラスコに窒素導入管からの窒素を停止し、乾燥空気の導入に切り替え、攪拌しながらグリシジルメタクリレート111部、ジメチルベンジルアミン6部、更に重合禁止剤としてヒドロキノン0.3部を投入し、90℃で8時間反応させた。反応終了後、少量サンプリングを行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量が19900、分子量分布2.72、実測による樹脂固形分の酸価5mgKOH/gの水酸基含有アクリルプレポリマーを得た。
次に、このフラスコに無水コハク酸63部を投入し、乾燥空気雰囲気下、90℃で攪拌しながら6時間反応させた。FT−IR測定にて酸無水物基の吸収が消失しているのを確認後、室温まで冷却し、主骨格がアクリル樹脂であるカルボキシル基含有感光性樹脂を得た。次いでこの溶液にシクロヘキサノンを加えて、固形分が50.0%になるように調整した。本設計による樹脂固形分のエチレン性不飽和基当量は863g/eqであり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は22000、分子量分布2.81、実測による樹脂固形分の酸価は70mgKOH/g、であった。
[製造例8]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、PTG850(保土ヶ谷化学株式会社製:ポリテトラメチレングリコール、水酸基価=129mgKOH/g)212部、エチレングリコール75部、無水ピロメリット酸(ダイセル化学工業株式会社製)159部、ジメチルベンジルアミン2部、溶剤としてシクロヘキサノン375部を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら100℃で10時間攪拌し、ハーフエステル化の反応を行った。続いてこのフラスコに、イソホロンジイソシアネート54部を投入し、90℃で8時間攪拌し、ウレタン化の反応を行った。反応終了後、少量サンプリングを行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量が15200、分子量分布2.87、実測による樹脂固形分の酸価170mgKOH/gのカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーを得た。
次に、このフラスコに窒素導入管からの窒素を停止し、乾燥空気の導入に切り替え、攪拌しながらグリシジルメタクリレート110部、ジメチルベンジルアミン6部、更に重合禁止剤としてヒドロキノン0.3部を投入し、90℃のまま8時間反応させた。冷却後、少量サンプリングを行い、主骨格が酸無水物変性ウレタン骨格であるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂を得た。次いでこの溶液にシクロヘキサノンを加えて、固形分が50.0%になるように調整した。本設計による樹脂固形分のエチレン性不飽和基当量は896g/eqであり、ポリスチレン換算の重量平均分子量が18800、分子量分布3.12、実測による樹脂固形分の酸価72mgKOH/gであった。
[製造例9]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、PTG850(保土ヶ谷化学株式会社製:ポリテトラメチレングリコール、水酸基価=129mgKOH/g)218部、エチレングリコール47部、無水ピロメリット酸(ダイセル化学工業株式会社製)125部、ジメチルベンジルアミン2部、溶剤としてシクロヘキサノン375部を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら100℃で10時間攪拌し、ハーフエステル化の反応を行った。続いてこのフラスコに、イソホロンジイソシアネート111部を投入し、90℃で8時間攪拌し、ウレタン化の反応を行った。反応終了後、少量サンプリングを行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量が17000、分子量分布2.60、実測による樹脂固形分の酸価110mgKOH/gのカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーを得た。
次に、このフラスコに窒素導入管からの窒素を停止し、乾燥空気の導入に切り替え、攪拌しながらグリシジルメタクリレート131部、ジメチルベンジルアミン6部、更に重合禁止剤としてヒドロキノン0.3部を投入し、90℃のまま8時間反応させた。反応終了後、少量サンプリングを行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量が19200、分子量分布3.00、実測による樹脂固形分の酸価4mgKOH/gの水酸基含有ウレタンプレポリマーを得た。
次に、このフラスコに無水コハク酸74部を投入し、乾燥空気雰囲気下、90℃のまま更に6時間反応させた。FT−IR測定にて酸無水物基の吸収が消失しているのを確認後、室温まで冷却し、主骨格が酸無水物変性ウレタン樹脂であるカルボキシル基含有ウレタン樹脂を得た。次いでこの溶液にシクロヘキサノンを加えて、固形分が50.0%になるように調整した。本設計による樹脂固形分のエチレン性不飽和基当量は765g/eqであり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は21400、分子量分布3.20、実測による樹脂固形分の酸価は67mgKOH/g、であった。
製造例5〜9で得られた樹脂について、スペックをまとめたものを表2に示す。
Figure 0005884601

以下の方法にて感光性樹脂組成物を作製し、感光性ドライフィルム並びに感光性レジストインキとして評価を行った。
<感光性樹脂組成物の作製>
[実施例1〜15]
製造例で得られた感光性樹脂溶液の固形分100部に対して表3に示す固形分比に従い、硬化剤(B)として、エピコート1031S(三菱化学株式会社製:多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂)、BL3175(住化バイエルウレタン株式会社製:イソシアヌレート型ブロックイソシアネート)、難燃剤(E)としてホスフィン酸アルミニウムEXOLITOP−935(クラリアントジャパン製)とホスファゼンSPB−10(大塚化学(株)製およびシアノフェノキシホスファゼンFP−300((株)伏見製薬所製)、カルボキシベンゾトリアゾール誘導体(D)として城北化学工業製の5-カルボキシベンゾトリアゾール、5-カルボキシベンゾトリアゾールフェニルエステル、5-カルボキシベンゾトリアゾールメチルエステル、着色剤として銅フタロシアニン顔料LIONOL BLUE FG7350(トーヨー ケム(株))、光重合開始剤(C)としてイルガキュアー907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン)、光増感剤としてDETX−S(日本化薬株式会社製:2,4−ジエチルチオキサントン)を均一に溶解・混合し、横型サンドミルDYNO−MILL((株)シンマルエンタープライズ製)で分散し、グラインドゲージで粗粒子が10μ未満になるまで分散し、感光性樹脂組成物を得た。
[比較例1〜14]
表5に示す材料および使用量に変更した以外は実施例と同様にして感光性樹脂組成物を作製した。
使用したカルボキシベンゾトリアゾール誘導体並びにベンゾトリアゾール誘導体の種類を以下に示す。
Figure 0005884601

カルボキシベンゾトリアゾール(CBT-1:城北化学工業製)
Figure 0005884601

5-カルボキシベンゾトリアゾールフェニルエステル(5−CBT−PE:城北化学工業製)
Figure 0005884601
5-カルボキシベンゾトリアゾールメチルエステル(5−CBT−ME:城北化学工業製)
Figure 0005884601

2,6-ヒ゛ス〔(1H-ヘ゛ンソ゛トリアソ゛ール-1-yl)メチル〕4-メチルフ゜ロハ゜ノール(BT−3700:城北化学工業製)
Figure 0005884601

2,4-シ゛-ter-フ゛チル-6-〔(1H-ヘ゛ンソ゛トリアソ゛ール―1イル)メチル〕フェノール(BT−337:城北化学工業製)
Figure 0005884601

1-〔N,N-ヒ゛ス(2エチルヘキシル)アミノメチル〕ヘ゛ンソ゛トリアソ゛ール(BT−LX:城北化学工業製)
Figure 0005884601
Figure 0005884601
<感光性ドライフィルムの作製、評価>
実施例1〜8と比較例1〜10で得られた感光性樹脂組成物を、12μPETフィルム(東レ・デュポン株式会社製S-12)上に乾燥膜厚が40μmとなるように均一塗工して100℃で5分乾燥させた後、室温まで冷却し、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)を感光性樹脂組成物面にラミネートして感光性のドライフィルムを得た。以下の方法で評価し、評価結果を表3および表4に示す。
(1)基板反り
5cm×5cmのニッカン工業製3層銅貼り積層板(電解Cu18μm/接着剤20μm/PI25μm)上に2mmの銅の縁取りをして、その内側にパターン:線幅125μm/線間125μmのパターンを形成したものにドライフィルムレジストを真空ラミネートした。真空ラミネート条件は加熱温度60℃、真空時間60秒、真空到達圧2hPa、圧力0.4MPa、加圧時間60秒でおこなった。
真空ラミネートしたサンプルを12μPET上に120μmPETマイラーシート越しに水銀ショートアークアンプ( 5kW)にて300mJ露光後、12μPETフィルムを剥がし、150℃の熱風乾燥器で1時間熱硬化(ポストキュア)させた。260℃、10秒のピーク温度の半田リフロー炉に通した後、25℃、湿度50%の条件で、平坦な台の上に12時間静置した。静置後のサンプルについて、正方形の四隅が台から浮き上がっている高さを測定し、その平均値を算出し、以下の基準で評価した。この値が小さいほどサンプルの反りは少なく、良好であることを示す。
◎・・・2mm以下
○・・・5mm以下
△・・・6mm以上〜10mm以下
×・・・11mm以上
(2)現像性
感光性ドライフィルムからOPPフィルムを剥がし、ポリアミドフィルム(東レ・デュポン株式会社;カプトン100H)に真空ラミネートした。真空ラミネート条件は加熱温度60℃、真空時間60秒、真空到達圧2hPa、圧力0.4MPa、加圧時間60秒でおこなった。真空ラミネートしたサンプルを12μPET上に120μmPETマイラーシート/ Stoufferステップタブレット21段越しに水銀ショートアークアンプ( 5kW)にて露光後、12μPETフィルムを剥がし、現像機で以下の現像条件(液温30℃の1% Na2CO3 水溶液を0.2 MPaのスプレー圧)で40秒現像した。現像後、150℃の熱風乾燥器で1時間熱硬化(ポストキュア)させた。得られた硬化膜を室温まで冷却し、現像性を評価した。
塗膜が現像液によってきれいに洗い流されている段数を剥離段数とし、剥離段数が6段となる露光量を求めて評価した。露光量は株式会社オーク製作所の積算露光量計UV−351を用いて測定した。
◎・・・200mJ/cm未満
○・・・200〜400mJ/cm
△・・・400〜600mJ/cm
×・・・600mJ/cmより大きい
(3)解像性
現像性の評価で使用したものと同じ硬化膜について評価した。塗膜が現像液によって膨潤している段数を膨潤段数とし、現像性の評価で確認した剥離段数について、下記式により解像段差を求めた。
[解像段差]= [剥離段数]−[膨潤段数]
解像段差が小さいほど、実際のパターン形成工程において、よりシャープなパターンを形成することができ、解像性に優れることが言える。この解像段差を用いて、解像性を次の基準で判断した。
◎・・・解像段差≦1
○・・・解像段差 =2〜3
△・・・解像段差 = 4〜7
×・・・解像段差 ≧ 8
(4)耐折性
感光性ドライフィルムからOPPフィルムを剥がし、の2cm×9cmの2層基板(新日鉄化学社製:エスパネックスMC-18-25-00FRM)上に感光性ドライフィルムを真空ラミネートした。真空ラミネート条件は加熱温度60℃、真空時間60秒、真空到達圧2hPa、圧力0.4MPa、加圧時間60秒で行った。真空ラミネートしたサンプルを12μPET上に120μmPETマイラーシート越しに水銀ショートアークアンプ( 5kW)にて紫外線露光装置で積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射した後、150℃の熱風乾燥器で1時間熱硬化(ポストキュア)させた。
このサンプルを導体パターン幅/スペース幅=50/50の部分で180度折り曲げて、折り曲げ部位に500gの錘を5秒間乗せ、これを折り曲げ回数を1回とした。
2層基板の銅側に設けたドライフィルムにクラックが発生したかどうかを(株)キーエンス製マイクロスコープ「VHX−900」で観察し、クラックが発生しないで折り曲げられた回数を評価した。
◎・・・20回以上
○・・・11回以上
△・・・5〜10回
×・・・5回未満
(5)絶縁信頼性
感光性ドライフィルムからOPPフィルムを剥がし、65mm×65mmの大きさのシートを、ポリイミド上に銅回路が形成された櫛型パターン(導体パターン幅/スペース幅=50μm/50μm)印刷回路基板に真空ラミネートした。真空ラミネート条件は加熱温度60℃、真空時間60秒、真空到達圧2hPa、圧力0.4MPa、加圧時間60秒で行った。真空ラミネートしたサンプルを12μPET上に120μmPETマイラーシート越しに水銀ショートアークアンプ(5kW)にて紫外線露光装置で積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射した後、150℃の熱風乾燥器で1時間熱硬化(ポストキュア)させ、評価用試験片を作成した。この試験片の導体回路をプレッシャークッカー(平岡製作所製PC−422R8)に入れ、温度130℃、相対湿度85%、2気圧の雰囲気下で直流電圧50Vを連続的に100時間加え、100時間後の導体間の絶縁抵抗値を測定した。評価基準は以下の通りである。
○・・・絶縁抵抗値107以上
△・・・絶縁抵抗値106以上107Ω未満
×・・・絶縁抵抗値106Ω未満
(6)耐熱性
5cm×5cmのニッカン工業製3層銅貼り積層板(電解Cu18μm/接着剤20μm/PI25μm)上に2mmの銅の縁取りをして、その内側にパターン:線幅125μm/線間125μmのパターンを形成したものに感光性ドライフィルムレジストを真空ラミネートした。真空ラミネート条件は加熱温度60℃、真空時間60秒、真空到達圧2hPa、圧力0.4MPa、加圧時間60秒でおこなった。
真空ラミネートしたサンプルを12μPET上に120μmPETマイラーシート越しに水銀ショートアークアンプ( 5kW)にて300mJ露光後、12μPETフィルムを剥がし、150℃の熱風乾燥器で1時間熱硬化(ポストキュア)させた。その後、260℃、10秒のピーク温度の半田リフロー炉に通した。通した後の変色程度で評価した。
○・・・変色無し
△・・・若干変色
×・・・著しい変色
<感光性レジストインキの評価>
実施例9〜15と比較例11〜14で得られた感光性樹脂組成物を以下の方法で評価し、評価結果を表3および表4に示す。
(1)基板反り
5cm×5cmのニッカン工業製3層銅貼り積層板(電解Cu18μm/接着剤20μm/PI25μm)上に2mmの銅の縁取りをして、その内側にパターン:線幅125μm/線間125μmのパターンを形成したものに感光性樹脂組成物を乾燥膜厚が40μmとなるように均一塗工して100℃で5分乾燥させた後、サンプル上に120μmPETマイラーシート越しに水銀ショートアークアンプ( 5kW)にて300mJ露光後、150℃の熱風乾燥器で1時間熱硬化(ポストキュア)させた。260℃、10秒のピーク温度の半田リフロー炉に通した後、25℃、湿度50%の条件で、平坦な台の上に12時間静置した。静置後のサンプルについて、正方形の四隅が台から浮き上がっている高さを測定し、その平均値を算出し、以下の基準で評価した。この値が小さいほどサンプルの反りは少なく、良好であることを示す。
◎・・・2mm以下
○・・・5mm以下
△・・・6mm以上〜10mm以下
×・・・11mm以上
(2)現像性
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社;カプトン100H)に感光性樹脂組成物を乾燥膜厚が40μmとなるように均一塗工して100℃で5分乾燥させた後、サンプル上に120μmPETマイラーシート/ Stoufferステップタブレット21段越しに水銀ショートアークアンプ( 5kW)にて露光後、現像機で以下の現像条件(液温30℃の1% Na2CO3 水溶液を0.2 MPaのスプレー圧)で40秒現像した。
現像後、150℃の熱風乾燥器で1時間熱硬化(ポストキュア)させた。得られた硬化膜を室温まで冷却し、現像性を評価した。塗膜が現像液によってきれいに洗い流されている段数を剥離段数とし、剥離段数が6段となる露光量を求めて評価した。露光量は株式会社オーク製作所の積算露光量計UV−351を用いて測定した。

◎・・・200mJ/cm未満
○・・・200〜400mJ/cm
△・・・400〜600mJ/cm
×・・・600mJ/cmより大きい
(3)解像性
現像性の評価で使用したものと同じ硬化膜について評価した。塗膜が現像液によって膨潤している段数を膨潤段数とし、現像性の評価で確認した剥離段数について、下記式により解像段差を求めた。
[解像段差]= [剥離段数]−[膨潤段数]
解像段差が小さいほど、実際のパターン形成工程において、よりシャープなパターンを形成することができ、解像性に優れることが言える。この解像段差を用いて、解像性を次の基準で判断した。
◎・・・解像段差≦1
○・・・解像段差 =2〜3
△・・・解像段差 = 4〜7
×・・・解像段差 ≧ 8
(4)耐折性
2cm×9cmの2層基板(新日鉄化学社製:エスパネックスMC-18-25-00FRM)上に感光性樹脂組成物を乾燥膜厚が40μmとなるように均一塗工して100℃で5分乾燥させた後、サンプル上に120μmPETマイラーシート越しに水銀ショートアークアンプ( 5kW)にて300mJ露光後、150℃の熱風乾燥器で1時間熱硬化(ポストキュア)させた。
このサンプルを導体パターン幅/スペース幅==50/50の部分で180度折り曲げて、折り曲げ部位に500gの錘を5秒間乗せ、これを折り曲げ回数を1回とした。
2層基板の銅側に設けたドライフィルムにクラックが発生したかどうかを(株)キーエンス製マイクロスコープ「VHX−900」で観察し、クラックが発生しないで折り曲げられた回数を評価した。
◎・・・20回以上
○・・・11〜19回
△・・・5〜10回
×・・・5回未満
(5)絶縁信頼性
65mm×65mmの大きさのシートを、ポリイミド上に銅回路が形成された櫛型パターン(導体パターン幅/スペース幅=50μm/50μm)印刷回路基板に感光性樹脂組成物を乾燥膜厚が40μmとなるように均一塗工して100℃で5分乾燥させた後、サンプル上に120μmPETマイラーシート越しに水銀ショートアークアンプ( 5kW)にて300mJ露光後、150℃の熱風乾燥器で1時間熱硬化(ポストキュア)させた。この試験片の導体回路をプレッシャークッカー(平岡製作所製PC−422R8)に入れ、温度130℃、相対湿度85%、2気圧の雰囲気下で直流電圧50Vを連続的に100時間加え、100時間後の導体間の絶縁抵抗値を測定した。評価基準は以下の通りである。
○・・・絶縁抵抗値107以上
△・・・絶縁抵抗値106以上107Ω未満
×・・・絶縁抵抗値106Ω未満
(76)耐熱性
5cm×5cmのニッカン工業製3層銅貼り積層板(電解Cu18μm/接着剤20μm/PI25μm)上に2mmの銅の縁取りをして、その内側にパターン:線幅125μm/線間125μmのパターンを形成したものに、感光性樹脂組成物を乾燥膜厚が40μmとなるように均一塗工して100℃で5分乾燥させた後、サンプルを120μmPETマイラーシート越しに水銀ショートアークアンプ( 5kW)にて300mJ露光後、150℃の熱風乾燥器で1時間熱硬化(ポストキュア)させた。260℃、10秒のピーク温度の半田リフロー炉に通した。通した後の変色程度で評価した。
○・・・変色無し
△・・・若干変色
×・・・著しい変色
実施例及び比較例の評価結果から、カルボキシベンゾトリアゾール誘導体(D)を添加することによって、現像性、解像性、耐折性、耐熱性が改善し、カルボキシベンゾトリアゾールを添加した場合が最も効果があることが分かった。

Claims (7)

  1. 感光性樹脂(A)と、エポキシ基含有化合物、非ブロック化イソシアネート化合物、ブロック化イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも一種である硬化剤(B)と、光重合開始剤(C)と、カルボキシベンゾトリアゾール誘導体(D)とを含む感光性樹脂組成物の製造方法であって、
    感光性樹脂(A)が、
    1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)と1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)とを反応させて側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)を生成し、
    前記側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)と多塩基酸無水物(d)とを反応させてカルボキシル基含有樹脂(e)を生成し、
    前記カルボキシル基含有樹脂(e)と、エポキシ基またはオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(f)中のエポキシ基又はオキセタン基とを反応させてなる、ヒドロキシル基含有感光性樹脂(A−1)であるか、
    前記ヒドロキシル基含有樹脂(A−1)中のヒドロキシル基と、多塩基酸無水物(d)中の酸無水物基とを反応させてなるカルボキシル基含有感光性樹脂(A−2)である、
    ことを特徴とする感光性樹脂組成物の製造方法
  2. カルボキシベンゾトリアゾール誘導体(D)が、ベンゼン環にカルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物の製造方法
  3. カルボキシベンゾトリアゾール誘導体(D)の含有量が、感光性樹脂(A)の固形分100重量部に対し1〜30重量部である請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物の製造方法
  4. 感光性樹脂(A)の酸価が、10〜200mgKOH/gである請求項1〜3いずれか記載の感光性樹脂組成物の製造方法
  5. 感光性樹脂(A)のエチレン性不飽和基当量が、200〜5000g/eqである請求項1〜4いずれか記載の感光性樹脂組成物の製造方法
  6. 感光性樹脂(A)の重量平均分子量が、1000〜100000である請求項1〜5いずれか記載の感光性樹脂組成物の製造方法
  7. 請求項1〜6いずれか記載の感光性樹脂組成物の製造方法により得られる感光性樹脂組成物を硬化する、硬化物の製造方法
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