JP3830330B2 - 感光性材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多分野に有用な、新規な感光性材料に関するものであり、更に詳しくは、プリント配線板用のソルダーレジスト膜や各種電子部品の絶縁樹脂層の形成に有用なエネルギー線硬化型の感光性材料及びこれを用いた薄膜の形成方法並びにレジストインクの硬化物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板では、回路の永久保護皮膜としてソルダーレジストが広く用いられている。ソルダーレジストとは回路導体のはんだ付けする部分を除いた全面に形成される皮膜で、プリント配線板に電子部品を配線する際、はんだが不必要な部分に付着するのを防ぐとともに、回路が直接空気に暴露されるのを防止する保護皮膜として使用されるものである。現在プリント配線板用のソルダーレジストとしては高精度、高密度、環境問題への配慮の観点から、液状の現像可能なソルダーレジストインクが使用されている。液状のソルダーレジストインクとしては、例えば特開昭60−208337号公報、特開昭61−59447号公報には、ノボラック型エポキシ樹脂のアクリル酸との部分反応物を主成分とするソルダーレジストインク組成物が提案されている。しかしながらこれらのインク組成物は、露光後の硬化性が十分でない、塗膜形成後にタックが残る等の問題があった。
【0003】
また特公平1−54390号公報にはノボラック型エポキシ樹脂と不飽和モノカルボン酸の反応物と多塩基酸無水物を反応させてなるエネルギー線硬化性樹脂、光重合開始剤、希釈剤、エポキシ化合物からなる感光性樹脂組成物が提案されている。しかしながら、この感光性樹脂組成物は、エネルギー線硬化性樹脂中に含まれるカルボキシル基とエポキシ化合物の反応が室温でも進行するために長時間インキを放置したり、塗膜乾燥時間を長くすると未露光部に現像むらが発生する等の問題があった。また特開平2−169602号公報には、不飽和基含有カルボン酸化合物とオキサゾリン化合物、光重合開始剤、希釈剤からなる感光性樹脂組成物が提案されているが、この感光性樹脂組成物においても、安定性が十分でない等の問題があった。
【0004】
また、特開平6−324490号公報には、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)、一分子中に少なくとも2個以上の水酸基とエポキシ基と反応する水酸基以外の反応性基を有する化合物(b)及び不飽和基含有モノカルボン酸(c)の反応と多塩基酸無水物(d)との反応生成物であるプレポリマー(A)、光重合開始剤(B)、希釈剤(C)及び硬化成分(D)を含有するレジストインキ組成物が提案されている。この場合の硬化成分(D)としてはエポキシ化合物、メラミン誘導体、尿素化合物、オキサゾリン化合物が使用されているが、安定性が十分でない等の問題があった。
このように従来提案されている感光性樹脂組成物は、現像性、硬化性、安定性、耐熱性、耐薬品性等の諸特性をすべて満足するに至らず、これらの特性が良好なソルダーレジスト組成物が所望されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる事情に鑑み成されたものであって、上記の種々の問題を解決し、安定性、現像性、硬化性、耐薬品性に優れると共に、ソルダーレジストに要求される密着性、電気絶縁性、はんだ耐熱性並びに耐メッキ性等に優れた硬化塗膜を形成することができる特性をも備えた、ソルダーレジスト等に好適なエネルギー線硬化型の感光性材料を提供することを目的とする。
【0006】
すなわち本発明の要旨は、下記(A)、(B)、(C)及び(D)の成分を含有してなる感光性材料に存する。
(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)と1分子中に1個以上の重合性不飽和基と1個のカルボキシル基を有する化合物(b)及び1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物(c)の反応物に、多塩基酸無水物(d)を反応させることにより得られるプレポリマー、(B)光重合開始剤、(C)反応性希釈剤、(D)ブロック化イソシアネート。
本発明はまたかかる感光性材料を用いた薄膜の形成方法及びレジストインクの硬化物にも関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の感光性材料の各成分(A)〜(D)及び用途について詳細に説明する。なお本明細書において「(メタ)アクリル酸」との表記はアクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリレート」との表記はアクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0008】
プレポリマー(A)
本発明の感光性材料を構成するプレポリマーは、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)と1分子中に1個以上の重合性不飽和基と1個のカルボキシル基を有する化合物(b)及び1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物(c)の反応物に多塩基酸無水物(d)を反応させることにより得られるプレポリマーが挙げられる。
【0009】
プレポリマー(A)の合成に用いられるエポキシ化合物(a)としては、ソルダーレジストの製造に慣用されているものから適宜選択することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、N−グリシジル型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、エチルフェノールノボラック樹脂、イソプロピルフェノールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、3,5−キシレノールノボラック樹脂、ブロムフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ナフタレンノボラック樹脂、ポリビニルフェノールのグリシジル化合物、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化合物、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルの中から選ばれた少なくとも1種の単量体とエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルから選ばれた少なくとも1種のエポキシ基含有単量体との共重合体等が挙げられ、これらのエポキシ化合物を単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。中でもフェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビスフェノールAノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂が特に好ましく、これらのエポキシ樹脂は単独で又はその2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0010】
プレポリマー(A)の合成に用いられる1分子中に1個以上の重合性不飽和基と1個のカルボキシル基を有する化合物(b)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート無水コハク酸付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート無水フタル酸付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートテトラヒドロ無水フタル酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート無水コハク酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート無水フタル酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートテトラヒドロ無水フタル酸付加物等を挙げることができる。
【0011】
プレポリマー(A)の合成に用いられる1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物(c)としては、例えば、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−ヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸等のカルボン酸が挙げられる。
【0012】
プレポリマー(A)の合成は、先ず上記化合物(a)、(b)、(c)のエポキシ基とカルボキシル基を反応させる。これら化合物の反応量はエポキシ化合物(a)のエポキシ基1当量に対し、化合物(b)及び(c)の合計で0.8〜1.2当量であることが好ましい。(b)及び(c)の合計量が0.8当量未満であると、これを用いた感光性材料の安定性が不十分となり、また1、2当量を超えると硬化性が不十分となる傾向がある。化合物(b)と(c)の割合は、モル比で99:1〜80:20が好ましい。化合物(a)、(b)及びCの反応は100〜120℃で行なわれるのが好ましい。
【0013】
(a)、(b)、(c)の反応物と反応させる多塩基酸無水物(d)としては、例えば、無水マレイン酸、コハク酸無水物、フタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、3−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4−ヘキサヒドロフタル酸無水物、3−エチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4−エチルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、3−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、4−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、3−エチルテトラヒドロフタル酸無水物、4−エチルテトラヒドロフタル酸無水物等の飽和もしくは不飽和カルボン酸無水物が、現像性、タック性の面から好適である。中でもコハク酸無水物、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物等が特に好ましい。
多塩基酸無水物(d)は、エポキシ化合物(a)のエポキシ基1当量に対して0.3〜1当量反応させるのが好ましい。多塩基酸無水物(c)の量が0.3当量未満であると現像性が不十分となり、また1当量を越えると安定性が不十分となる。多塩基酸無水物(d)との反応は60〜120℃で行われるのが好ましい。
【0014】
プレポリマー(A)の合成に際しては、例えば得られるプレポリマーが常温で液状である場合等は無溶媒で反応させることも可能であるが、反応系の粘度を調整し、混合を十分にして伝熱を改良すること等を目的として、溶媒を用いて反応を行うのが好ましい。ここで用いることのできる溶媒としては例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類の酢酸エステル化合物等のエステル類、オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独でも、2種以上を混合して使用することもでき、溶媒の使用量は、例えばプレポリマー(A)100重量部に対して好ましくは5〜1000重量部である。
【0015】
また上記プレポリマー(A)の合成反応の際には、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等の重合禁止剤や、例えば、トリメチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、テトラメチルアンモニウムクロリド、メチルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド等の第4級アンモニウム塩を必要に応じて使用することができる。
かくして得られる本発明のプレポリマー(A)は、その固形分1g当たりの酸価が45〜170mgKOHであることが好ましい。酸価が45mgKOH/g未満であると現像性が不十分になる傾向があり、170mgKOH/gを越えると耐溶剤性が不十分になる傾向がある。
【0016】
光重合開始剤(B)
本発明の感光性材料に使用する光重合開始剤(B)は、慣用されている光重合開始剤から適宜選択して使用することができる。光重合開始剤として具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類が挙げられる。
【0017】
更に2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類又はキサントン類;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ1−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のαアミノケトン類;ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η5 −2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタニウム、η5 −シクロペンタジエニル−n6 −クメチニルアイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)等も挙げることができる。これらの光重合開始剤は単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0018】
また、この光重合開始剤は、安息香酸系又は第3級アミン系等の光重合促進剤の1種あるいは2種以上と組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤(B)の使用量はプレポリマー(A)100重量部に対して0.1〜30重量部とするのが好ましく、1〜10重量部がより好ましい。光重合開始剤(B)の使用量が0.1重量部より少ない場合には感光性材料の光硬化性が不十分となり、光重合開始剤を添加した目的が十分達成されない。他方30重量部より多い場合にはソルダーレジストとしての特性が不十分となる傾向がある。
【0019】
反応性希釈剤(C)
反応性希釈剤(C)は、感光性材料のエネルギー線による硬化を更に十分に行わせ、優れた耐薬品性、耐熱性、耐アルカリ性を有する塗膜を得るために使用する。
本発明で用いられる反応性希釈剤(C)は、1分子中に重合性二重結合を少なくとも2個有する化合物であり、このような化合物としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のグリコール類のジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0020】
反応性希釈剤としては、更に、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキシド)変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキシド)変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、PO(プロピレンオキシド)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0021】
上記の多官能反応性希釈剤は単独或いは2種以上組み合わせて用いることができる。反応性希釈剤(C)の使用量は、プレポリマー(A)100重量部に対し1〜100重量部が好ましく、2〜50重量部が更に好ましい。反応性希釈剤(C)の量が1重量部以下では感光性材料の光硬化性が不十分となってこの成分を添加した目的が十分達成されず、他方100重量部を超えるとタック性が不十分になる傾向がある。
【0022】
ブロック化イソシアネート(D)
本発明の感光性樹脂材料に使用されるブロック化イソシアネート(D)は、感光性材料の硬化後の塗膜の強度を向上するために加えられるものである。この目的に用いることができるブロック化イソシアネート(D)としては、1分子中に1個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物をブロック剤でブロックしたものである。
1分子中に1個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、▲1▼ポリイソシアネート化合物の3量化によってイソシアヌレート環を導入(イソシアヌレート化反応)したポリイソシアヌレート化合物、▲2▼ジイソシアネートと多官能活性水素化合物との反応により得られるイソシアネート基末端ポリウレタンポリイソシアネート化合物、▲3▼ポリウレアポリイソシアネート化合物、▲4▼ポリメリックイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。特にポリイソシアヌート化合物が好ましい。
【0023】
▲1▼ポリイソシアヌレート化合物の製造に用いられるポリイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート類、脂環族ジイソシアネート類等の環状構造を有するものが好ましい。
【0024】
本発明で用いるポリイソシアヌレート化合物は、従来公知の製造方法により製造することが可能であり、通常、上記の如きジイソシアネートをイソシアヌレート化触媒の存在下で反応させることにより行われる。このようなイソシアヌレート化触媒としては従来公知のものが使用可能であり、具体例としては、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチルフェノール)、トリエチルアミン、N,N′,N″−トリスジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン、テトラアルキルアルキレンジアミン、ジアザビシクロオクタン及びその低級アルキル置換体等の第3級アミン類、第3級アミン及びエチルアルコール、モノ置換カルバミン酸エステル、アルデヒド、アルキレンオキシド、アルキレンイミン、エチレンカーボネート、2,3−ブタンジオン等の共触媒併用系、第3級アルキルホスフィン類、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等の第4級アルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピル等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド等の第4級アンモニウム塩化合物類が挙げられる。
【0025】
イソシアヌレート化触媒の他の具体例としては、フタル酸イミドカリウム等のイミドのアルカリ金属塩類;N、P、As又はSbの第4級オニウムヒドロキシ化合物、S又はSeのオニウムヒドロキシ化合物等のオニウム化合物類、N−メチルエチレンイミン等のアルキル置換エチレンイミン類、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸ナトリウム、ナフテン酸カリウム、ナフテン酸マグネシウム等のカルボン酸の金属塩類、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、エノール性化合物及びフェノールの金属塩等、エポキシ化合物類、エポキシ化合物と第3級アミン類、芳香族第2級アミンの金属塩例えばジフェニルアミンのナトリウム塩等の共触媒類との併用系、チタンテトラブチレート、トリブチルアンチモン酸化物等の各種有機金属類、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素等のフリーデルクラフツ触媒類、サリチルアルデヒドナトリウム等のアルカリ金属のキレート化合物類、アルミニウムアセチルアセトン、リチウムアセチルアセトン等のβ−ジケトンの金属キレート化合物類等が挙げられる。
【0026】
上記イソシアヌレート化触媒の中でもN,N′,N″−トリスジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン等の第3級アミン類、酢酸ナトリウム、酢酸コバルト、ナフテン酸カリウム、ナフテン酸マグネシウム等のカルボン酸金属塩類が好ましい。
イソシアヌレート化触媒の濃度は使用する触媒及び反応温度により異なるが、通常ポリイソシアネート化合物に対して0.01〜10重量%の範囲から選択される。
【0027】
上記触媒の他に助触媒として、メタノール、エタノール、ブタノール等の脂肪族アルコール類、エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、フェノール類、第2級アミン類及びイミダゾール類等をポリイソシアネートに対して通常0.05〜10重量%併用することが好ましい。
【0028】
助触媒の脂肪族アルコール、多価アルコール、フェノール類等のアルコール類はイソシアヌレート化触媒と同時に添加することも可能であるし、あらかじめ有機ジイソシアネートと反応させてウレタン結合を形成させた後、イソシアヌレート化反応を行うことも可能である。
イソシアヌレート化の反応温度は通常0〜200℃、好ましくは0〜100℃の範囲から選ばれる。
【0029】
イソシアヌレート化反応には溶媒を用いても用いなくても良い。使用される溶媒としてはポリウレタン製造に常用の不活性溶媒、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶剤を1種又は2種以上使用することができる。使用する溶剤の種類、量、樹脂濃度を選択することにより、反応液は使用条件に応じた粘度に調整することができる。
【0030】
反応の進行は、反応液のNCO含有量の測定、赤外分光測定、屈折率測定等で追跡することが可能である。
所定のNCO含有量あるいはイソシアヌレート化率に達した時点で、使用した触媒の種類に適した重合停止剤で反応を停止する。反応停止剤としては塩酸、リン酸、亜リン酸等の無機酸、リン酸モノメチル、リン酸モノエチル、リン酸モノブチル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジブチル等のリン酸エステル類、亜リン酸モノメチル、亜リン酸モノエチル、亜リン酸モノブチル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジブチル等の亜リン酸エステル類、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル等のスルホン酸又は、そのアルキルエステル類、ノナフルオロブタンスルホン酸等の過フッ素化スルホン酸類等が挙げられる。反応停止剤の添加量は添加触媒量と1〜2当量の範囲が好ましい。
【0031】
ポリイソシアヌレート化合物は、通常未反応モノマーを除去せずにブロック化反応に使用可能であるが、イソシアヌレート化率によっては未反応モノマーを多量に含有する可能性があり、その未反応モノマーが悪影響を及ぼす場合には薄膜蒸留等の手段を用いて未反応モノマーを除去することも可能である。
1分子中に1個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物として使用される▲2▼有機ジイソシアネートと多官能活性水素化合物との反応により得られるイソシアネート基末端ポリウレタンポリイソシアネート化合物の製造原料であるジイソシアネート化合物としては、上記有機ジイソシアネート化合物ならびに、これらのビュレット変性体、ウレトンイミン変性体、カルボジイミド変性体等も同様に挙げることができる。これらの有機イソシアネート類は単独で用いても2種以上を併用しても良い。
【0032】
イソシアネート基末端ポリウレタンポリイソシアネート化合物の製造に用いられる多官能活性水素化合物としては多官能ヒドロキシ化合物が挙げられる。具体的には、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−ヒドロキシエチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、エリスリトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコールが挙げられる。
【0033】
又、これらのグリコール、高分子量ポリオール、例えばビスフェノールAとのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドとの付加物である、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリルポリオール等のポリオール類も同様に使用できる。
【0034】
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上のポリオール類或いは、エチレンジアミン、トルエンジアミン等のポリアミン類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させた水酸基含有ポリエーテルポリオール類及びテトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
【0035】
ポリエステルポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸等のジカルボン酸、又はトリメリット酸、ピロメリット酸等のトリ及びテトラカルボン酸等のカルボン酸類と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール類、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール類、又はビスフェノールA、ビスフェノールF等とポリヒドロキシ化合物類との重縮合反応によって得られるもの等が挙げられる。
【0036】
ポリエーテルエステルポリオールとしては、エーテル基含有ジオールもしくはそれと他のグリコールとの混合物に、前記ジカルボン酸又はそれらの無水物を反応させるか、又はポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート等が挙げられる。
【0037】
ポリカーボネートポリオールとしては、多価アルコールとジメチル、ジエチル等のジアルキルカーボネートの脱アルコール縮合反応、多価アルコールとジフェニルカーボネートの脱フェノール縮合反応、多価アルコールとエチレンカーボネートの脱エチレングリコール縮合反応等で得られるポリカーボネートポリオールが挙げられる。この縮合反応に使用される多価アルコールとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、あるいは、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオールを挙げることができる。
【0038】
他の多官能活性水素化合物として、ジアミンやアミノアルコール等を用いることも可能である。ジアミン類としてはヘキサメチレンジアミン、キシレンジアミン、イソホロンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン等が挙げられ、アミノアルコールとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。
これら多官能活性水素化合物としてのポリオール成分の好適分子量は数平均分子量で35〜5000である。分子量が5000を越えるポリオールを用いると架橋密度が下がり、塗膜強度が落ちることがある。
【0039】
本発明におけるイソシアネート基末端ポリウレタンポリイソシアネート化合物の製造(ウレタン化反応)における温度は、通常10〜90℃の範囲から選ばれ、特にそのための触媒は不要であるが、場合によってはジブチルスズジラウレートやジブチルチンジオクトエート等の有機錫系触媒、オクタン酸鉛等の有機鉛系触媒、あるいはトリエチルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の3級アミン系化合物の触媒を使用することも効果的である。ウレタン化反応の進行は、反応の途中段階のNCO含有量の測定により追跡することができる。目標とするNCO含有量に到達した時点で反応を停止させる。
これらの反応は、無溶剤でも溶媒中でも可能である。使用される溶媒としては上述のイソシアヌレート化反応で例示した不活性溶媒を1種又は2種以上使用することができる。使用する溶剤の種類、量、樹脂濃度を選択することにより、反応液を使用条件に応じた粘度に調整することができる。
【0040】
本発明のブロック化イソシアネート(D)は、1分子中に1個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物をブロック剤でブロックすることにより得られる。ブロック剤としてはホルムアミドオキシム、メチルエチルケトオキシム、アセトキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類;フェノール、クレゾール、キシレノール、p−エチルフェノール、o−イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、チモール、p−ナフトール、p−ニトロフェノール、p−クロロフェノール等のフェノール類;メタノール、エタノール、ブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルセロソルブ、メチレンカルビトール、ベンジルアルコール、フェニルセロソルブ、フルフリルアルコール等のアルコール類;ε−カプロラクタム、アセトアニリド、アセトアニシジド、酢酸アミド、ベンズアミド、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等の酸アミド類が挙げられる。
【0041】
更に、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル等のエステル類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等のジケトン類;ブチルメルカプタン、チオフェノール、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;尿素、チオ尿素、エチレン尿素等の尿素類;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール類;コハク酸イミド、マレイン酸イミド等の酸イミド類;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、アニリン、カルバゾール等のアミン類;エチレンイミン、プロピレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン類;フェニルカルバミン酸フェニル、2−オキサゾリジン等のカルバメート類;重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩系等のブロック剤も挙げることができる。
【0042】
これらの中、好ましいのは、フェノール類、アルコール類、酸アミド類、オキシム類、ジケトン類、メルカプタン類、尿素類、イミダゾール類及びカルバメート類であり、特に好ましくは酸アミド類、特にラクタム類あるいはアルコール類である。
ブロック化イソシアネート化合物(D)は、従来公知の方法により上述のポリイソシアネート化合物とブロック剤とから製造することが可能である。ブロック剤の添加量は活性イソシアネート基1当量に対して、通常1当量以上2当量以下、好ましくは1.05〜1.5当量である。1当量未満では、活性イソシアネート基が残存し、2当量より多いと未反応のブロック剤が多量に残存し、悪影響を及ぼす可能性がある。
【0043】
ブロック化反応の温度としては、通常10〜150℃の範囲から選ばれ、また反応触媒は特に必要としないが、場合によってはジブチルスズジラウレートやジブチルチンジオクトエート等の有機錫系触媒、オクタン酸鉛等の有機鉛系触媒、あるいはトリエチルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の第3級アミン系化合物のウレタン化触媒を使用することも効果的である。
【0044】
本発明のブロック化イソシアネート化合物(D)においては、分子量が数平均分子量で300〜100,000、好ましくは500〜20,000である。数平均分子量が100,000を超過すると架橋分子量が長くなり塗膜強度が落ちたり、粘度が高くなりすぎ作業性が低下することがある。
本発明の感光性材料において、上記のブロック化イソシアネート(D)は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
ブロック化イソシアネート(D)の使用量は、プレポリマー(A)100重量部に対して好ましくは2〜100重量部、より好ましくは5〜50重量部である。ブロック化イソシアーネト化合物(D)の量が2重量部より少ないと塗膜の硬度が低下する傾向があり、100重量部を超えると光硬化性が低下する傾向がある。
【0046】
その他の添加剤
本発明の感光性材料には上記(A)〜(D)の成分の他に、この種感光材料に用いられる種々の添加剤を配合することができる。例えば粘度を調整して塗工性や取り扱い性を改良するために、溶剤を使用してもよい。このような溶剤としては本発明の構成成分であるプレポリマー(A)の合成時に使用した溶媒をそのまま用いてもよく、或いはこれらを一旦除去した上で、その用途に応じた溶媒を加えてもよい。
【0047】
使用される溶媒としては、前述のプレポリマー(A)の製造の際に例示した溶媒が挙げられる。
また、本発明の目的を逸脱したり、あるいは本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて添加剤を感光性材料に加えることができる。具体的にはシリカ、アルミナ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機充填剤、フタロシアニン系、アゾ系等の有機顔料、タック性改良剤、密着性付与剤、消泡剤、レベリング剤等の塗料用添加剤、尿素誘導体等の硬化促進剤あるいはハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、ターシャリーブチルカテコール、フェノチアジン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩等の重合禁止剤を例示できる。
【0048】
用途・用法
本発明の感光性材料は前述の通り、プリント配線基板用のソルダーレジスト膜や各種電子部品の絶縁樹脂層用に用いられる。
使用に際しては、本発明感光性材料の(A)、(B)、(C)、(D)の成分を任意の順序で混合し、必要に応じて溶剤を用いて適当な粘度の塗布液(インク)を調製し、公知の手段で基材上に塗布、乾燥し、エネルギー線を照射して硬化させる。次いでアルカリ水溶液で未露光部分を溶解除去して現像する。
【0049】
基板としては、その用途に応じてアルミニウム、ステンレス等の金属板、スクリーンメッシュ、紙、木材、合成樹脂、半導体基盤、あるいはその他の任意の基材上に塗布し、乾燥して使用される。
本発明の感光性材料を硬化させるためには、電子線、α線、β線、γ線、X線、中性子線又は紫外線といった各種の電離放射線や光等のエネルギー線が用いられる。
【0050】
本発明の感光性材料のプレポリマー(A)は(a)、(b)、(c)及び(d)の4成分から構成され、特に1分子中に2個以上のカルボキシル基を有しヒドロキシ基を含有しない化合物(c)が鎖延長剤として作用するため、分子量が大きく、硬化被膜の耐熱性、硬度を向上させることができる。
また、硬化成分としてブロック化イソシアネート(D)を含有するため、レジストインクの安定性が良好である。
本発明の感光性材料は、現像性、硬化性、安定性、密着性、耐熱性、耐薬品性等のソルダーレジストに要求される種々の性能が優れている。
【0051】
【実施例】
以下に例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその趣旨から脱しない限り以下の実施例により何ら制限されるものではない。
合成例1
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコにエポキシ樹脂「エピコートE180S80」(o−クレゾールノボラック型:油化シェルエポキシ社製:商品名:エポキシ当量=218)218g、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、97.2g及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.26gを加えて溶解した後、アクリル酸73.5g、テトラヒドロフタル酸1.5g及びトリフェニルホスフィン3.5gを加え、酸価が3以下となるまで110℃で反応させた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸74.6g及び石油系溶剤「ソルベッソ150」(エクソン化学社製:商品名)100.7gを加え100℃で4時間反応させ、プレポリマー(A−1)を合成した。得られた樹脂溶液の固形分量は約65%であり、その酸価は54mgKOH/gであった。
【0052】
合成例2
合成例1においてエポキシ樹脂「エピコートE180S80」の代りにエポキシ樹脂「エピコートE157S70」(ビスフェノールAノボラック型:油化シェルエポキシ社製:商品名:エポキシ当量209)を用い、その使用量を209g、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートの使用量を94.1gに変更した以外は同様にして反応を実施した。
反応後続いてテトラヒドロ無水フタル酸74.6g及び石油系溶剤「ソルベッソ150」(エクソン化学社製:商品名)99gを加え100℃で4時間反応させ、プレポリマー(A−2)を合成した。得られた樹脂溶液の固形分量は約65%であり、その酸価は54mgKOH/gであった。
【0053】
合成例3
温度計、冷却器、攪拌機、滴下漏斗付の四つ口フラスコに、トリレンジイソシアネート(2,4−/2,6−トリレンジイソシアネート=80/20重量比)368.99g及び酢酸ブチル368.99gを添加し、内温を25℃にし、攪拌下、酢酸ナトリウムの5%メタノール溶液を1.46g添加し、2時間攪拌後、内温を5℃に冷却した。
次いで、N,N′,N″−トリスジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジンの5%酢酸ブチル溶液0.45gを添加し2時間反応した。その後酢酸カリウムの5%メタノール溶液1.50gを徐々に滴下しイソシアネート含有量が8.2%に到達した時点で、反応停止剤としてリン酸を0.28g添加し、イソシアヌレート化反応を停止させ、ポリイソシアネート溶液(D−1)を得た。
【0054】
合成例4
合成例3で得られたポリイソシアネート溶液(D−1)678.70gを内温を80℃まで昇温後、ε−カプロラクタム160.65gを添加して8時間反応後、酢酸ブチル160.65gを添加してブロック化イソシアネート(D−2)を合成した。
【0055】
合成例5
合成例3で得られたポリイソシアネート溶液(D−1)657.64gを内温を80℃まで昇温し、2−エチルヘキサノール171.18gを添加して8時間反応後、酢酸ブチル171.18gを添加して、ブロック化イソシアネート(D−3)を得た。
【0056】
合成例6
温度計、冷却器、攪拌機、滴下漏斗付の四つ口フラスコに、GP105A(三菱化学(株)社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物の酢酸エチル溶液、樹脂固形分75%、NCO含有13.3wt%)437.0g及びメチルエチルケトン390.7gを添加し、内温を80℃まで昇温後、ε−カプロラクタム172.3gを添加して、8時間反応させてブロック化イソシアネート(D−4)を合成した。
【0057】
実施例1〜4及び比較例1〜4
合成例1〜2で得られたプレポリマー及び合成例4〜6で得られたブロック化イソシアネートをそれぞれ表−1に示す組成となるように配合してロールミルで混練してレジストインクを調製した。
このインクを銅張り積層板に塗布した後80℃の熱風中で30分間乾燥させ、膜厚30μmの塗膜を形成した。形成した塗膜について、現像性、硬化性、密着性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性を以下の手順で評価した。評価結果を表−2に示した。
【0058】
評価方法
(1)現像性
インクを銅張り積層板に塗布した後、80℃の熱風中で、それぞれ、30、45、60分乾燥させ膜厚30μmの塗膜を形成し、形成した塗膜に1%炭酸ナトリウム水溶液を1.0kg/cm2 のスプレー圧で60秒間スプレーして現像を行い、塗膜の溶解状態を以下の基準で目視判定して現像性を評価した。
○:基板に塗膜が殆ど残っていない
△:基板に塗膜が若干残る
×:基板に塗膜が残る
【0059】
(2)硬化性
硬化性の評価は、実施例で形成した銅張り積層板上の塗膜にコダックステップタブレットNo2(21段)を通し高圧水銀ランプを用いて紫外線を200mJ/cm2 照射し、さらに1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて1.0kg/cm2 のスプレー圧で60秒間スプレー現像を行い、塗膜の除去されない部分を観察することによって行った。段数が大きいほど光硬化性が良好であることを示す。
【0060】
(3)安定性
インクを50℃の恒温恒湿槽に一週間保管し、保管前、後のインク粘度を対比し増粘の有無により安定性を評価した。
粘度の測定はB型粘度計(東京計器 B8H)にて測定した。
○:増粘が130%以下
△:増粘が130%以上200%以内
×:ゲル化もしくは増粘が200%以上
【0061】
(4)耐溶剤性
実施例で形成した銅張り積層板上の塗膜に高圧水銀ランプを用いて紫外線を200mJ/cm2 照射し、さらに150℃のオーブン中で30分間ポストキュアしたものをテストピースとし、ジクロロメタン中に25℃で1時間浸漬させた後、塗膜の状態と密着性とを総合的に判定評価した。
○:全く変化が認められない
△:ほんの僅か変化している
×:顕著に変化している
【0062】
(5)耐酸性
耐溶剤性の評価と同様の方法で作成したテストピースを使用し、10容量%塩酸水溶液中に25℃で1時間浸漬させた後、塗膜の状態と密着性とを総合的に判定評価した。
○:全く変化が認められない
△:ほんの僅か変化している
×:顕著に変化している
【0063】
(6)耐アルカリ性
耐溶剤性の評価と同様の方法で作成したテストピースを使用し、10重量%水酸化カリウム水溶液中に25℃で1時間浸漬させた後、塗膜の状態と密着性とを総合的に判定評価した。
○:全く変化が認められない
△:ほんの僅か変化している
×:顕著に変化している
【0064】
【表1】
Figure 0003830330
【0065】
【表2】
Figure 0003830330
【0066】
【発明の効果】
実施例から明らかな様に、ブロック化イソシアネート(D)を含有する本発明の感光性材料は、現像性、硬化性、安定性、耐熱性、耐薬品性に優れており、プリント配線板用のソルダーレジスト膜や各種電子部品の絶縁樹脂層の形成に極めて有用である。

Claims (10)

  1. 下記(A)、(B)、(C)及び(D)の成分を含有してなる感光性材料。
    (A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)と1分子中に1個以上の重合性不飽和基と1個のカルボキシル基を有する化合物(b)及び1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物(c)の反応物に、多塩基酸無水物(d)を反応させることにより得られるプレポリマー、
    (B)光重合開始剤、
    (C)反応性希釈剤、
    (D)ブロック化イソシアネート。
  2. 前記プレポリマー(A)の固形分の酸価が、45〜170mgKOH/gであることを特徴とする請求項1記載の感光性材料。
  3. 前記ブロック化イソシアネート(D)が、1分子中に1個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物とフェノール類、アルコール類、酸アミド類、オキシム類、ジケトン類、メルカプタン類、尿素類、イミダゾール類又はカーバメート類との反応生成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性材料。
  4. 前記ブロック化イソシアネート(D)が1分子中に1個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物とアルコール類又はラクタム類との反応生成物であることを特徴とする請求項3に記載の感光性材料。
  5. 1分子中に1個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が、ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート化反応で得られるポリイソシアネート化合物であることを特徴とする請求項3又は4に記載の感光性材料。
  6. 1分子中に1個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が、ジイソシアネート化合物と多官能活性水素化合物との反応で得られるイソシアネート基末端ポリウレタンイソシアネート化合物であることを特徴とする請求項3又は4に記載の感光性材料。
  7. 1分子中に1個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が、ポリウレアポリイソシアネート化合物、ポリメリックイソシアネート化合物又はジフェニルメタンジイソシアネートであることを特徴とする請求項3又は4に記載の感光性材料。
  8. (A)〜(D)の成分の重量比が、下記の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の感光性材料。
    (A)プレポリマー;100
    (B)光重合開始剤;0.1〜30
    (C)反応性希釈剤;1〜100
    (D)ブロック化イソシアネート;2〜100
  9. 請求項1乃至8の何れかに記載の感光性材料を含有するレジストインクを、基板上に塗布し、乾燥することを特徴とする感光性薄膜の形成方法。
  10. 請求項1乃至8の何れかに記載の感光性材料を含有するレジストインクの硬化物。
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