JP6343650B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、被覆材料、例えば、プリント配線板等の基板に形成された導体回路パターンを被覆するための絶縁被覆材料に適した感光性樹脂組成物、及びこれを硬化させた硬化物を被覆したプリント配線板等の配線基板に関するものである。
プリント配線板上の導体回路の実装部分および端子部分等の最終表面処理として、はんだ接合やワイヤボンディング等の接続信頼性を確保する目的で、金めっき処理が行われる場合がある。金めっき処理の一例として、導体回路や端子部分における導体材料の拡散防止および耐食性向上等を目的とした、無電解ニッケル−金めっき法がある。この方法は、めっき対象にクリーナー等の適宜の方法により前処理を行った後、パラジウム触媒を付与し、その後さらに無電解ニッケルめっき処理及び無電解金めっき処理を順次行うものである。
また、他の金めっき処理として、無電解ニッケル−パラジウム−金めっき法が提案されている(特許文献1)。この方法は、上記無電解ニッケル−金めっき法の無電解ニッケルめっき処理の後、無電解パラジウムめっき処理を行い、続いて無電解金めっき処理を行うものである。無電解ニッケル−パラジウム−金めっき法では、導体回路や端子部分における導体材料の拡散防止および耐食性向上等の他、さらに、無電解パラジウムめっき被膜を設けることによって、金によるニッケル酸化を防止することができる。従って、熱負荷の大きい鉛フリーはんだ接合の接続信頼性がより向上し、さらに金の膜厚を厚くしなくてもニッケル拡散が生じないため、上記した無電解ニッケル−金めっき法よりも低コスト化できるという利点がある。
一方で、導体回路を被覆するソルダーレジストには、上記した金めっき処理に対する耐久性が要求されるので、従来、メラミン等の、防錆剤や密着性付与剤が配合されていた。しかし、従来使用されていた防錆剤や密着性付与剤では、プリント配線板に対する密着性を向上させるためには添加量を増やす必要があるが、添加量を増やすと現像不良が起きてしまうので、添加量を増やすことができないという問題があった。
また、近年、電子部品の高密度搭載等から、プリント配線板の更なるファインピッチ化が要求されており、金めっき処理(特に、多段階の高温アルカリ処理工程を有する無電解ニッケル−パラジウム−金めっき処理)を行う場合には、目視ではソルダ−レジスト膜が現像されていても、導体回路に残存する微量なソルダ−レジストの影響で、金めっき処理(特に、無電解ニッケル−パラジウム−金めっき処理)におけるめっきの析出性に支障をきたし、均一で緻密なめっき被膜を得ることができなくなる場合があった。
これによって、ソルダーレジスト膜が現像されていても、金めっき処理後の導体回路表面に数ミクロンのピンホールが発生して、はんだ接合強度やワイヤボンディングの接続信頼性が低下する場合があるという問題があった。
特開2011−58090号公報
上記事情に鑑み、本発明は、基板に対する密着性、屈曲性、現像性、耐酸性及び耐熱性等の基本特性を損なうことなく、導体に対する密着性と金めっき性(特に、ニッケル−パラジウム−金めっき処理の金めっき性)に優れた硬化物を得ることができる感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の態様は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)(C1)カルボキシベンゾトリアゾール及び/または(C2)カルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体と、(D)反応性希釈剤と、(E)エポキシ化合物と、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、前記(C2)カルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体が、一般式(I)
Figure 0006343650
(式中、Rは、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数1〜30のアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数1〜30のアルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、または一般式(II)
Figure 0006343650
(式中、R、Rは、それぞれ独立に、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数1〜30のアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数1〜30のアルコキシ基若しくは水素原子を示す。)で表される有機基を示す。)で表される化合物であることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、前記(C)(C1)カルボキシベンゾトリアゾール及び/または(C2)カルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体が、前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、0.5質量部〜10質量部含有することを特徴とする感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、さらに、メラミン及び/またはジシアンジアミドを含むことを特徴とする感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、プリント配線板のソルダーレジスト用であることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、前記プリント配線板の導体にニッケル−パラジウム−金めっき処理が行われる、該プリント配線板のソルダーレジスト用である感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、上記感光性樹脂組成物の光硬化膜を有するプリント配線板である。
本発明の態様によれば、(C)(C1)カルボキシベンゾトリアゾール及び/または(C2)カルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体が配合されることにより、基板(プリント配線板等の回路基板など)に対する密着性、屈曲性、現像性、耐酸性及び耐熱性等の基本特性を損なうことなく、導体に対する密着性と金めっき性(特に、ニッケル−パラジウム−金めっき処理の金めっき性)に優れた硬化物を得ることができる。
本発明の態様によれば、(C2)カルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体が上記一般式(I)の化合物であることにより、上記各基本特性を損なうことなく、導体に対する密着性と金めっき性をより向上させることができる。
本発明の態様によれば、(C)(C1)カルボキシベンゾトリアゾール及び/または(C2)カルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体が、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、0.5質量部〜10質量部含有することにより、導体に対する密着性とニッケル−パラジウム−金めっき処理の金めっき性がさらに向上する。
本発明の態様によれば、さらに、メラミン及び/またはジシアンジアミドが配合されることにより、導体に対する密着性がさらに向上する。
次に、本発明の感光性樹脂組成物について、詳細に説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)(C1)カルボキシベンゾトリアゾール及び/または(C2)カルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体と、(D)反応性希釈剤と、(E)エポキシ化合物と、を含有する。
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂
カルボキシル基含有感光性樹脂は、特に限定されず、例えば、感光性の不飽和二重結合を1個以上有するカルボキシル基含有樹脂が挙げられる。カルボキシル基含有感光性樹脂の例として、1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能性エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部に、アクリル酸やメタクリル酸(以下、「(メタ)アクリル酸」ということがある。)等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させて、エポキシ(メタ)アクリレート等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得、生成した水酸基にさらに多塩基酸又はその無水物を反応させて得られる、多塩基酸変性エポキシ(メタ)アクリレート等の多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を挙げることができる。
前記多官能性エポキシ樹脂は、2官能以上のエポキシ樹脂であればいずれでも使用可能である。多官能性エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に限定されないが、3000g/eq以下が好ましく、1000g/eq以下がより好ましく、100〜500g/eqが特に好ましい。多官能性エポキシ樹脂には、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、о−クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物型エポキシ樹脂等を挙げることができる。また、これらの樹脂にBr、Cl等のハロゲン原子を導入したものも使用可能である。これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸などを挙げることができ、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応方法は特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸とを適当な希釈剤中で加熱することにより反応させることができる。
多塩基酸、多塩基酸無水物は、前記エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応により生成した水酸基に反応することで、樹脂に遊離のカルボキシル基を導入させるものである。多塩基酸又はその無水物は特に限定されず、飽和、不飽和のいずれも使用可能である。多塩基酸には、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びジグリコール酸等が挙げられ、多塩基酸無水物としてはこれらの無水物が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
上記した多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂もカルボキシル基含有感光性樹脂として使用できるが、必要に応じて、上記した多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂のカルボキシル基に、1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有するグリシジル化合物を反応させることにより、ラジカル重合性不飽和基を更に導入して、感光性をより向上させたカルボキシル基含有感光性樹脂としてもよい。
この感光性をより向上させたカルボキシル基含有感光性樹脂は、前記グリシジル化合物の反応によって、ラジカル重合性不飽和基が多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂骨格の側鎖に結合することから、光重合反応性が高く、優れた感光特性を有することができる樹脂となる。1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレートモノグリシジルエーテル等が挙げられる。なお、グリシジル基は1分子中に複数有していてもよい。上記した1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
さらに、カルボキシル基含有感光性樹脂として、例えば、a)1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂のエポキシ基に、b)カルボキシル基1つあたりの炭素数が10以上である少なくとも1種の脂肪酸とc)エチレン性不飽和基含有カルボン酸を反応させることで、反応生成物である長鎖脂肪酸変性エチレン性不飽和基含有変性エポキシ樹脂を得、さらに長鎖脂肪酸及び/またはエチレン性不飽和基含有カルボン酸のカルボキシル基とエポキシ樹脂のエポキシ基との反応により生成する水酸基(主に2級)に、d)多塩基酸無水物を付加させて上記樹脂に遊離のカルボキシル基を導入したものを挙げることができる。
a)1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂
1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂は、2官能以上のエポキシ樹脂であればいずれでも使用可能である。1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂のエポキシ当量は特に限定されないが、エチレン性不飽和基含有カルボン酸と長鎖脂肪酸の導入割合の低下による感光性と柔軟性の低下を防止する点から、3000g/eq以下が好ましく、1000g/eq以下がより好ましく、100〜500g/eqが特に好ましい。
1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂には、例えば、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、о−クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を含有するエポキシ樹脂、アダマンタン骨格を導入したエポキシ樹脂等を挙げることができる。また、これらの樹脂にBr、Cl等のハロゲン原子を導入したものも使用可能である。
これらのうち、密着性、屈曲性及び金めっき性に優れ、さらに、良好な現像性、耐酸性及び耐熱性が得られる点から、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましい。
b)カルボキシル基1つあたりの炭素数が10以上である脂肪酸
カルボキシル基1つあたりの炭素数が10以上である脂肪酸は、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂のエポキシ基と反応して、該樹脂に上記脂肪酸由来の長鎖炭化水素構造が導入されることで、感光性樹脂組成物の硬化物の屈曲性(柔軟性)と絶縁性を向上させることができる。カルボキシル基1つあたりの炭素数が10以上である脂肪酸は、特に限定されず、飽和、不飽和のいずれも使用可能であり、また、直鎖状、分岐状のいずれも使用可能である。上記脂肪酸には、例えば、炭素数が10以上の一塩基酸、炭素数20以上の二塩基酸が挙げられ、柔軟性と指触乾燥性のバランスの点から、上記一塩基酸及び二塩基酸は、直鎖状または炭素数2以下の側鎖を2本以下有する分岐状が好ましい。
また、長鎖脂肪酸構造をエポキシ樹脂に導入しつつ、さらに、上記エポキシ樹脂の異なるエポキシ基が脂肪酸を介して相互に結合することで、エポキシ樹脂が有する比較的剛直な骨格を長鎖脂肪酸由来の屈曲性の高い長鎖炭化水素骨格にて共有結合により架橋された構造とすることができ、ひいては該構造が硬化塗膜の屈曲性及び耐熱性に寄与する点から、脂肪酸は少なくとも1種の二塩基酸を含有することが好ましい。
さらに、長鎖脂肪酸に由来する屈曲性と絶縁性の高い長鎖炭化水素骨格をより多く導入することで硬化塗膜の屈曲性と絶縁性をより向上させることができるところ、上記したカルボキシル基1つあたりの炭素数が10以上である二塩基酸に加えて、カルボキシル基1つあたりの炭素数が10以上である一塩基酸を併用することにより、脂肪酸と多官能性エポキシ樹脂とエチレン性不飽和基含有カルボン酸との反応生成物の分子量を、長鎖脂肪酸に由来する成分の組成比率を向上させながら適度に制御することができる。このように、前記分子量を適度に制御することで、乾燥後の塗膜の指触乾燥性と弱アルカリ現像液への溶解性(すなわち現像性)と感度とをバランスよく確実に向上させることができる。また、一塩基酸と二塩基酸を併用することで絶縁性と耐熱性のバランスのよい向上にも確実に寄与することができる。
前記分子量をより適度に制御することで、上記諸特性をよりバランスよく向上させる点から、カルボキシル基1つあたりの炭素数が18以上である直鎖状飽和一塩基酸を含むことが特に好ましい。
カルボキシル基1つあたりの炭素数は、硬化物に屈曲性と絶縁性を付与する点から10以上である。一方、カルボキシル基1つあたりの炭素数の上限値は、特に限定されないが、良好な現像性を維持する点から24以下が好ましく、22以下が特に好ましい。
カルボキシル基1つあたりの炭素数が10以上である脂肪酸の具体例には、一塩基酸としては、カプリン酸(デカン酸:C10)、ウンデシル酸(C11)、ラウリン酸(ドデカン酸:C12)、トリデシル酸(C13)、ミリスチン酸(テトラデカン酸:C14)、ペンタデシル酸(C15)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸:C16)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸:C17)、ステアリン酸(C18)、イソステアリン酸(C18)、ツベルクロスステアリン酸(C19)、アラキジン酸(C20)、ベヘニン酸(C22)、トリコシル酸(C23)、テトラコサン酸(C24)、ヘキサコサン酸(C26)、オクタコサン酸(C28)、トリアコンタン酸(C30)等が挙げられる。
二塩基酸としては、例えば、エイコサン二酸(C20)、エチルオクタデカン二酸(C20)、エイコサジエン二酸(C20)、ビニルオクタデカエン二酸(C20)、ジメチルエイコサジエン二酸(C22)、ジメチルエイコサン二酸(C22)、ジフェニルヘキサデカン二酸(C28)、オレイン酸(C18)等の不飽和脂肪酸の二量体化反応によるC36ダイマー酸、該ダイマー酸のオレフィン性二重結合を水素化してなる水添C36ダイマー酸等を挙げることができる。
上記したカルボキシル基1つあたりの炭素数が10以上である脂肪酸は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂とカルボキシル基1つあたりの炭素数が10以上である少なくとも1種の脂肪酸との反応方法は、公知の方法でよく、例えば、上記エポキシ樹脂と上記脂肪酸を適当な希釈剤中で加熱する反応方法が挙げられる。
カルボキシル基含有感光性樹脂中におけるカルボキシル基1つあたりの炭素数が10以上である脂肪酸の割合(仕込み割合)は、特に限定されないが、例えば、その下限値は、硬化物の屈曲性と絶縁性をより向上させる点から10質量%が好ましく、屈曲性と絶縁性を確実に向上させる点から15質量%が特に好ましい。一方で、その上限値は、エチレン性不飽和基含有カルボン酸の導入量を適度に維持することで優れた感光性を維持する点から50質量%が好ましく、40質量%が特に好ましい。
c)エチレン性不飽和基含有カルボン酸
エチレン性不飽和基含有カルボン酸は、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂のエポキシ基と反応して、エポキシ樹脂に光重合開始剤により発生するフリーラジカルによって重合することができる光硬化性基を導入する。エチレン性不飽和基含有カルボン酸は、エポキシ樹脂に光硬化性を付与するものであれば、特に限定されず、例えば、ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を挙げることができる。ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、β−アクリロキシプロピオン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン−(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸など、アクリロイル基またはメタクリロイル基をエポキシ樹脂に導入できるカルボン酸を挙げることができる。このうち、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、アクリル酸が特に好ましい。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
カルボキシル基含有感光性樹脂中におけるエチレン性不飽和基含有カルボン酸の割合(仕込み割合)は、特に限定されないが、例えば、その下限値は、硬化物の優れた感光性を維持する点から2.0質量%が好ましく、3.0質量%が特に好ましい。一方で、その上限値は、カルボキシル基1つあたりの炭素数が10以上である脂肪酸の導入量を適度に維持することで優れた屈曲性と絶縁性を得る点から10質量%が好ましく、8.0質量%が特に好ましい。
1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂とエチレン性不飽和基含有カルボン酸との反応方法は特に限定されず、例えば、上記エポキシ樹脂とエチレン性不飽和基含有カルボン酸を適当な希釈剤中で加熱する反応方法が挙げられる。
d)多塩基酸無水物
多塩基酸無水物は、前記エポキシ樹脂とカルボキシル基1つあたりの炭素数が10以上である少なくとも1種の脂肪酸との反応により生成した水酸基及び前記エポキシ樹脂とエチレン性不飽和基含有カルボン酸との反応により生成した水酸基に反応して、前記エポキシ樹脂に遊離のカルボキシル基を導入する。多塩基酸無水物としては、特に限定されず、飽和、不飽和のいずれも使用可能である。多塩基酸無水物には、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びジグリコール酸等の多塩基酸の無水物が挙げられる。なお、これらの化合物は単独で使用してもよく、現像性を適度に調整するために、2種以上混合して使用してもよい。
カルボキシル基含有感光性樹脂中における多塩基酸無水物の割合(仕込み割合)は、特に限定されないが、例えば、その下限値は、現像性の向上の点から5.0質量%が好ましく、8.0質量%が特に好ましい。一方で、その上限値は、優れた絶縁性を得る点から25質量%が好ましく、20質量%が特に好ましい。
さらに、カルボキシル基含有感光性樹脂として、例えば、酸変性ウレタン化エポキシ(メタ)アクリレート樹脂を使用してもよい。酸変性ウレタン化エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、まず、上記のようにしてエポキシ(メタ)アクリレートを得、生成した水酸基に、上記した多塩基酸またはその無水物と1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物とを反応させることで得られる。
1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネアート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート、トリメチルヘキサメチルジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ヘキサメチルアミンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネート、1,3−ジフェニルプロパンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメチルジイソシアネートなどのジイソシアネートが挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
本発明においては、上記した酸変性ウレタン化エポキシ(メタ)アクリレート樹脂もカルボキシル基含有感光性樹脂として使用できるが、必要に応じて、上記した酸変性ウレタン化エポキシ(メタ)アクリレート樹脂のカルボキシル基に、上記した1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有するグリシジル化合物を反応させることにより、ラジカル重合性不飽和基を更に導入し、感光性をより向上させたカルボキシル基含有感光性樹脂としてもよい。
カルボキシル基含有感光性樹脂の酸価は、特に限定されないが、その下限値は、確実なアルカリ現像の点から30mgKOH/gが好ましく、40mgKOH/gが特に好ましい。一方、酸価の上限値は、アルカリ現像液による露光部の溶解防止の点から200mgKOH/gが好ましく、硬化物の耐湿性と電気特性の劣化防止の点から150mgKOH/gが特に好ましい。
また、カルボキシル基含有感光性樹脂の質量平均分子量は、特に限定されないが、その下限値は、硬化物の強靭性及び指触乾燥性の点から3000が好ましく、5000が特に好ましい。一方、質量平均分子量の上限値は、円滑なアルカリ現像性の点から200000が好ましく、50000が特に好ましい。
カルボキシル基含有感光性樹脂として市販されているものには、例えば、ZAR−2000、ZFR−1122、FLX−2089、ZCR−1601H、ZCR−1569H(以上、日本化薬(株)製)、サイクロマーP(ACA)Z−250(ダイセル化学工業(株)製)、リポキシSP−4621(昭和高分子(株)製)等を挙げることができる。これらの樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(B)光重合開始剤
光重合開始剤は、一般的に使用されるものであれば、特に限定されず、例えば、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン1−〔9エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(0−アセチルオキシム)、2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン等のオキシム系開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン‐n‐ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2,2‐ジエトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2‐メチル‐1‐〔4‐(メチルチオ)フェニル〕‐2‐モルフォリノ‐プロパン‐1‐オン、4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェニル‐2‐(ヒドロキシ‐2‐プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p‐フェニルベンゾフェノン、4,4′‐ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2‐メチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、2‐ターシャリーブチルアントラキノン、2‐アミノアントラキノン、2‐メチルチオキサントン、2‐エチルチオキサントン、2‐クロルチオキサントン、2,4‐ジメチルチオキサントン、2,4‐ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、P‐ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル−4−(ジメチルアミノ) ベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ) ベンゾエート、メチル−4−(ジメチルアミノ) ベンゾエート、イソアミル−4−(ジメチルアミノ) ベンゾエート、2−( ジメチルアミノ) エチルベンゾエート、2−エチルへキシル−4−(ジメチルアミノ) ベンゾエート等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
波長300〜400nmの紫外光等の活性エネルギー線が本発明の感光性樹脂組成物に照射されると、上記光重合開始剤がカルボキシル基含有感光性樹脂の光硬化を促進する。光重合開始剤の配合量は特に限定されず、例えば、カルボキシル基含有感光性樹脂(固形分)100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましく、2〜20質量部が特に好ましい。
(C)(C1)カルボキシベンゾトリアゾール及び/または(C2)カルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体
上記(C)成分を配合することにより、基板に対する密着性、屈曲性、現像性、耐酸性及び耐熱性等の基本特性を有しつつ、導体に対する密着性と金めっき性(特に、ニッケル−パラジウム−金めっき処理の金めっき性)に優れた硬化物を得ることができる。カルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体は、カルボキシベンゾトリアゾール骨格を有するものであれば、特に限定されず、例えば、下記一般式(I)
Figure 0006343650
(式中、Rは、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数1〜30のアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数1〜30のアルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、または一般式(II)
Figure 0006343650
(式中、R、Rは、それぞれ独立に、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数1〜30のアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数1〜30のアルコキシ基若しくは水素原子を示す。)で表される有機基を示す。)で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(I)で表される、カルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体としては、例えば、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(1−ブチル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(1−オクチル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(C)成分としては、カルボキシベンゾトリアゾール単独でもよく、カルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体単独でもよく、カルボキシベンゾトリアゾールとカルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体との混合物でもよい。また、(C)成分としては、上記化合物のうち、導体に対する密着性と金めっき性(特に、ニッケル−パラジウム−金めっき処理の金めっき性)を確実に向上させる点から、カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾールが好ましい。
(C)成分の配合量は、特に限定されないが、例えば、その下限値は、カルボキシル基含有感光性樹脂(固形分)100質量部に対して、導体に対する密着性と金めっき性を確実に向上させる点から0.1質量部が好ましく、導体に対する密着性と金めっき性をさらに向上させる点から0.5質量部がより好ましく、基本特性である基板に対する密着性と耐熱性をさらに向上させつつ、優れた導体に対する密着性を得る点から2.0質量部が特に好ましい。一方で、その上限値は、カルボキシル基含有感光性樹脂(固形分)100質量部に対して、導体に対する密着性と金めっき性を確実に向上させる点から10質量部が好ましく、優れた上記基本特性を有しつつ導体に対する密着性とニッケル−パラジウム−金めっき処理の金めっき性をさらに向上させる点から7.0質量部がより好ましく、5.0質量部がさらに好ましく、耐熱性と屈曲性の点から4.0質量部が特に好ましい。
(D)反応性希釈剤
反応性希釈剤とは、例えば、光重合性モノマーであり、1分子当たり少なくとも1つ、好ましくは1分子当たり少なくとも2つの重合性二重結合を有する化合物である。反応性希釈剤は、感光性樹脂組成物の光硬化を十分にして、耐酸性、耐熱性などを有する硬化物を得るために使用する。
反応性希釈剤は、上記化学構造を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、フェノキシエチルメタクリレート、ジエチレングルコールモノメタクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピルアクリルレート、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
反応性希釈剤の含有量は特に限定されず、例えば、カルボキシル基含有感光性樹脂(固形分)100質量部に対して、2.0〜500質量部が好ましく、10〜300質量部が特に好ましい。
(E)エポキシ化合物
エポキシ化合物は、硬化物の架橋密度を上げて、十分な機械的強度を有する硬化塗膜等の硬化物を得るためのものである。エポキシ化合物には、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂(ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、p−tert−ブチルフェノールノボラック型など)、ビスフェノールFやビスフェノールSにエピクロルヒドリンを反応させて得られたビスフェノールF型やビスフェノールS型エポキシ樹脂、さらにシクロヘキセンオキシド基、トリシクロデカンオキシド基、シクロペンテンオキシド基などを有する脂環式エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のトリアジン環を有するトリグリシジルイソシアヌレート、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
エポキシ化合物の配合量は、特に限定されないが、十分な機械的強度の硬化塗膜を確実に得る点から、カルボキシル基含有感光性樹脂(固形分)100質量部に対して、10〜150質量部が好ましく、20〜100質量部が特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、上記した(A)〜(E)成分の他に、必要に応じて、種々の添加成分、例えば、陽イオンキャッチャー、着色剤、体質顔料、非反応性希釈剤、消泡剤、難燃剤、各種添加剤等を、適宜含有させることができる。
陽イオンキャッチャー(無機陽イオン交換体)は、陽イオンを取り込むので、本発明の感光性樹脂組成物中に残っているナトリウムイオン等の陽イオン不純物を捕捉固定するとともに、電圧を印加することで陽イオンとなり移動する金属イオンを捕捉固定する。これにより、感光性樹脂組成物の硬化物中におけるイオンマイグレーション現象の発生を防止できる。イオンマイグレーション現象の発生が防止されることで、例えば、本発明の感光性樹脂組成物を塗工して形成したソルダ−レジスト膜は、優れた絶縁信頼性を発揮することができる。陽イオンキャッチャーには、例えば、アンチモン、ビスマス、ジルコニウム、チタン、スズ、マグネシウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を有する化合物を挙げることができる。
着色剤は、顔料、色素等、特に限定されず、また、白色着色剤、青色着色剤、黄色着色剤、黒色着色剤等、いずれの色彩も使用可能である。上記着色剤には、例えば、白色着色剤である酸化チタン、黒色着色剤であるカーボンブラック等の無機系着色剤や、フタロシアニングリーン及びフタロシアニンブルー等のフタロシアニン系、アントラキノン系等の有機系着色剤などを挙げることができる。
体質顔料は、硬化物の強度と剛性を上げるためのものであり、例えば、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、タルク、マイカ等を挙げることができる。
非反応性希釈剤は、感光性樹脂組成物の粘度や乾燥性を調節するためのものである。非反応性希釈剤として、例えば、有機溶剤を挙げることができる。有機溶剤には、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ等の石油系溶剤、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類等を挙げることができる。
消泡剤は、特に限定されないが、例えば、シリコーン系、炭化水素系、アクリル系等を挙げることができる。
難燃剤を配合することで、本発明の感光性樹脂組成物の硬化物に難燃性を付与することができる。難燃剤は特に限定されず、公知のものを使用できる。難燃剤としては、例えば、有機リン酸塩等のリン元素含有化合物等を挙げることができる。リン元素含有化合物の具体例としては、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、2,3−ジブロモプロピル−2,3−クロロプロピルホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの含ハロゲン系リン酸エステル;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート等のノンハロゲン系脂肪族リン酸エステル;トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルフェニルホスフェート、トリス(トリメチルフェニル)ホスフェート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、3−グリシジルオキシプロピレンジフェニルホスフィンオキシド、3−グリシジルオキシジフェニルホスフィンオキシド、ジフェニルビニルホスフィンオキシド、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、2−(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキサイド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチルコハク酸ビス−(2−ヒドロキシエチル)−エステル重合物などのノンハロゲン系芳香族リン酸エステル;トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスジエチルホスフィン酸チタン、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスメチルエチルホスフィン酸チタン、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル、テトラキスジフェニルホスフィン酸チタンなどのホスフィン酸の金属塩、環状フェノキシホスファゼン、環状シアノフェノキシホスファゼンなどの、置換若しくは非置換のフェノキシ基または置換若しくは非置換のナフトキシ基を有する環状若しくは鎖状のホスファゼン系化合物、トリアリルホスフィン等が挙げられる。
各種添加剤には、ジシアンジアミド(DICY)及びその誘導体やメラミン及びその誘導体等の防錆剤(密着性付与剤)、酸化防止剤、カップリング剤等が挙げられる。
上記した本発明の感光性樹脂組成物の製造方法は、特定の方法に限定されず、例えば、上記各成分を所定割合で配合後、室温にて、三本ロール、ボールミル、サンドミル等の混練手段、またはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の攪拌手段により混練または混合して製造することができる。また、前記混練または混合の前に、必要に応じて、予備混練または予備混合してもよい。
次に、上記した本発明の感光性樹脂組成物の使用方法について説明する。ここでは、本発明の感光性樹脂組成物を、プリント配線板等の回路基板上にソルダーレジスト膜として塗工する場合を例にとって説明する。
上記のようにして得られた本発明の感光性樹脂組成物を、例えば、銅箔をエッチングして形成した回路パターンを有する回路基板上に、スクリーン印刷、スプレーコータ、バーコータ、アプリケータ、ブレードコータ、ナイフコータ、ロールコータ、グラビアコータ等、公知の塗工方法を用いて所望の厚さに塗布する。塗布後、感光性樹脂組成物に非反応性希釈剤を配合した場合には、感光性樹脂組成物中の非反応性希釈剤を揮散させるために、60〜80℃程度の温度で15〜60分間程度加熱する予備乾燥を行ってタックフリーの塗膜を形成する。
次に、塗布した感光性樹脂組成物上に、回路パターンのランド以外を透光性にしたパターンを有するネガフィルムを密着させ、その上から紫外線等の活性エネルギー線(例えば、波長300〜400nmの範囲)を照射させる。そして、前記ランドに対応する非露光領域を希アルカリ水溶液で除去することにより塗膜が現像される。現像方法には、スプレー法、シャワー法等が用いられ、使用される希アルカリ水溶液としては、例えば、0.5〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液が挙げられる。次いで、130〜170℃の熱風循環式の乾燥機等で20〜80分間ポストキュアを行うことにより、回路基板上に目的とするソルダーレジスト膜を形成させることができる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
実施例1〜9、比較例1〜9
下記表1に示す各成分を下記表1に示す配合割合にて配合し、3本ロールを用いて室温にて混合分散させて、実施例1〜9、比較例1〜9にて使用する感光性樹脂組成物を調製した。下記表1に示す各成分の配合量は、特に断りのない限り質量部を示し、配合量の空欄部は配合なしを意味する。
Figure 0006343650
なお、表1中の各成分についての詳細は、以下の通りである。
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂
・ZAR−2000:日本化薬(株)製(固形分65質量%、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート25質量%、ソルベントナフサ10質量%)。
・FLX−2089:日本化薬(株)製(固形分65質量%、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート35質量%)。
・ZCR−1569H:日本化薬(株)製(固形分65質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート35質量%)。
合成樹脂A−1
撹拌機、還流冷却管を備えた500mLセパラブルフラスコに、窒素・空気(2:1)雰囲気下でジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下「EDGAC」)86.45g、8−エチルオクタデカン二酸(岡村製油(株)製、SB−20)26.54g(6.3質量部)、ベヘニン酸45.35g(10.7質量部)、ステアリン酸9.71g(2.3質量部)、アクリル酸14.36g(3.4質量部)、トリフェニルホスフィン(TPP)0.65g(0.1質量部)、メトキシハイドロキノン(MEHQ)0.43g(0.1質量部)を仕込み、反応容器内に窒素・空気(2:1)を0.3mL/sec吹き込みながら、110℃で溶解するまで加熱撹拌した。別途、EDGAC溶媒59.8g中にビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、NC−3000、エポキシ当量265〜285g/eq)137.65g(32.6質量部)を80℃まで加熱して均一に溶解して上記フラスコ内に投入し、115℃にて15〜17時間、加熱撹拌させ、反応溶液の酸価が6mgKOH/g以下になるまで反応させた。この反応物に、さらに水素添加トリメリット酸無水物(三菱ガス化学(株)製、HTMAn)を42.23g(9.9質量部)加え空気雰囲気下100℃で2〜3時間撹拌した。酸無水物が消失したことを、FT−IR(赤外分光光度計)により確認した。これにより、上記表1に示す固形分65質量%、酸価85mgKOH/gの、カルボキシル基含有感光性樹脂である合成樹脂A−1を得た。
(B)光重合開始剤
・KAYACURE DETX:日本化薬(株)製。
・イルガキュア907:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製。
(C)(C1)カルボキシベンゾトリアゾール及び/または(C2)カルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体
・CBT−1:城北化学(株)製。
(D)反応性希釈剤
・ライトアクリレート4EG−A:共栄社化学(株)製。
・EBECRYL8405:ダイセルテック(株)製。
(E)エポキシ化合物
・EPICRON860:DIC社製。
陽イオンキャッチャー
・IXE−100:東亞合成(株)製。
着色剤
・LIONOL BLUE FG−7351:東洋インキ製造(株)製。
・クロモフタルイエローAGR:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製。
体質顔料
・ハイジライト H−42STV:昭和電工(株)製。
非反応性希釈剤
・ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート:三洋化成品(株)製。
消泡剤
・KS−66:信越化学工業(株)製。
難燃剤
・エクソリットOP−935:クラリアントジャパン(株)製。
防錆剤(密着性付与剤)
・BT−120、TT−LYK:城北化学(株)製。
・MBT:和光純薬(株)製。
・4GZ,4SZ,2SHZ:四国化成(株)製。
・メラミン:日産化学工業(株)製。
・DICY−7:三菱化学(株)製。
試験片作製工程
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、「カプトン100H」、厚み25μm)の樹脂付き銅箔(Cu厚み12.5μm)をエッチングすることで回路パターンの形成された配線基板に、スクリーン印刷法にて、上記のように調製した実施例1〜9及び比較例1〜9の感光性樹脂組成物を、それぞれ塗布した。塗布後、BOX炉にて80℃で20分の予備乾燥を行った。予備乾燥後、塗膜上に露光装置(オーク(株)製、HMW−680GW)にて、波長300〜400nmの紫外線を250mJ/cm露光し、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液を用い、現像温度30℃、現像圧力0.2MPaのスプレー圧にて現像した。現像後、BOX炉にて150℃で60分のポストキュアを行うことで、配線基板上に硬化塗膜を形成した。硬化塗膜の厚みは、20〜23μmであった。
評価
(1)基板に対する密着性
上記試験片作製工程に準じ、得られた試験片に対して、JIS−K5600−5−6に準じて評価した。
0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもポリイミドフィルムに対する剥がれがない。
1:カットの交差点において、硬化塗膜に5%以下のポリイミドフィルムに対する剥がれが有り。
2:カットの縁に沿って又は交差点において、硬化塗膜に5%超15%以下のポリイミドフィルムに対する剥がれが有り。
3:カットの縁に沿って又は交差点において、硬化塗膜に15%超35%以下のポリイミドフィルムに対する剥がれが有り。
4:カットの縁に沿って又は交差点において、硬化塗膜に35%超のポリイミドフィルムに対する剥がれが有り。
(2)導体に対する密着性
上記試験片作製工程に準じ、得られた試験片に対して、JIS−K5600−5−6に準じて評価した。
0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも銅箔に対する剥がれがない。
1:カットの交差点において、硬化塗膜に5%以下の銅箔に対する剥がれが有り。
2:カットの縁に沿って又は交差点において、硬化塗膜に5%超15%以下の銅箔に対する剥がれが有り。
3:カットの縁に沿って又は交差点において、硬化塗膜に15%超35%以下の銅箔に対する剥がれが有り。
4:カットの縁に沿って又は交差点において、硬化塗膜に35%超の銅箔に対する剥がれが有り。
(3)金めっき性(ニッケル−金めっき処理)
上記試験片作製工程に準じ、得られた試験片に対して、市販品の無電解ニッケルめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケルめっき処理、金めっき処理の順にて、ニッケル3〜5μm、金0.05μmの条件でめっきを行った。めっき処理された評価基板において、硬化塗膜の剥がれの有無やめっきのしみ込みの有無の評価をした後、FE−SEM(電界放出型走査電子顕微鏡(倍率500))でめっきの析出した回路パターンの端子部分表面のピンホールの有無を評価した。
◎:目立ったピンホールなし
○:1μm未満のピンホールはあるが、1μm以上のピンホールなし。
△:1〜3μmのピンホールあり。
×:3μm超のピンホールあり。
(4)金めっき性(ニッケル−パラジウム−金めっき処理)
上記試験片作製工程に準じ、得られた試験片に対して、市販品の無電解ニッケルめっき浴、無電解パラジウムめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケルめっき処理、パラジウムめっき処理、金めっき処理の順にて、ニッケル3〜5μm、パラジウム0.1μm、金0.05μmの条件でめっきを行った。めっき処理された評価基板において、硬化塗膜の剥がれの有無やめっきのしみ込みの有無の評価をした後、FE−SEMでめっきの析出した回路パターンの端子部分表面のピンホールの有無を評価した。
◎:目立ったピンホールなし
○:1μm未満のピンホールはあるが、1μm以上のピンホールなし。
△:1〜3μmのピンホールあり。
×:3μm超のピンホールあり。
(5)屈曲性
上記試験片作製工程に準じ、得られた試験片に対して、マンドレル試験によりΦ10〜2mmまで折り曲げを行い、その際の硬化塗膜のクラック発生状況を目視及びx200の光学顕微鏡で観察し、クラックが発生したかどうかを評価した。
○:6mm以下でクラックが発生。
△:6mm超10mm未満でクラックが発生。
×:10mmでクラックが発生。
(6)現像性
上記試験片作成工程の現像後における、回路パターン上及びポリイミドフィルム上の残さの有無を目視で評価した。
○:回路パターン上、ポリイミドフィルム上ともに残さなし。
△:回路パターン上には残さがないが、ポリイミドフィルム上にはやや残さが残る。
×:回路パターン上、ポリイミドフィルム上ともに残さが残る。
(7)耐酸性
上記試験片作製工程に準じ、得られた試験片を10質量%HCl水溶液に室温(25℃)で30分間浸漬し、硬化塗膜の染み込みや溶け出しを目視にて評価し、さらにテープピール試験による硬化塗膜の剥がれの有無を目視で評価した。
○:染み込み、溶け出し及び剥がれの変化が、いずれも認められない。
△:染み込み、溶け出しまたは剥がれの変化が、ほんの僅か認められる。
×:浸漬処理により硬化塗膜に膨れまたは膨潤脱落が認められるか、テープピールによる剥がれが認められる。
(8)耐熱性
上記試験片作製工程に準じて得られた試験片に、ロジン系フラックスを塗布した後、予め260℃に設定したはんだ槽に浸漬し、変性アルコールでフラックスを洗浄してから硬化塗膜の膨れ・剥がれについて目視で評価した。
○:10秒間浸漬を3回繰り返しても、膨れ・剥がれが認められない。
△:10秒間浸漬を3回繰り返すと、若干の膨れ・剥がれが認められる。
×:3回以内の10秒間浸漬にて、膨れ・剥がれが認められる。
評価結果を、下記表2に示す。
Figure 0006343650
上記表2に示すように、カルボキシベンゾトリアゾールを配合した実施例1〜9では、良好な基板に対する密着性、屈曲性、現像性、耐酸性及び耐熱性等を有しつつ、導体に対する密着性と金めっき性(特に、ニッケル−パラジウム−金めっき処理の金めっき性)に優れた硬化塗膜を得ることができた。また、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、カルボキシベンゾトリアゾールを約2.2質量部配合した実施例1は、カルボキシベンゾトリアゾールを約1.1質量部配合した実施例2と比較して、基板に対する密着性、導体に対する密着性及び耐熱性がさらに向上した。また、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、カルボキシベンゾトリアゾールを約2.2質量部配合した実施例1は、カルボキシベンゾトリアゾールを約5.0質量部配合した実施例3と比較して、基板に対する密着性、導体に対する密着性、ニッケル−パラジウム−金めっき処理の金めっき性、屈曲性、耐酸性及び耐熱性がさらに向上した。また、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対してカルボキシベンゾトリアゾールを約0.6質量部配合した実施例9は、実施例1と比較して、金めっき性がより向上した。
また、実施例1と実施例5から、ジシアンアミドに加えて、さらにメラミンを配合することで、基板に対する密着性、導体に対する密着性、金めっき性及び耐熱性がより向上した。
また、実施例1〜9から、カルボキシル基含有感光性樹脂として、カルボキシル基含有エポキシアクリレート樹脂、ウレタン変性カルボキシル基含有エポキシアクリレート樹脂、a)エポキシ樹脂のエポキシ基に、b)カルボキシル基1つあたりの炭素数が10以上である脂肪酸とc)エチレン性不飽和基含有カルボン酸を反応させることで、長鎖脂肪酸変性エチレン性不飽和基含有変性エポキシ樹脂を得、さらに生成する水酸基にd)多塩基酸無水物を付加させて得られた樹脂のいずれを使用しても、良好な基板に対する密着性、屈曲性、現像性、耐酸性及び耐熱性等を有しつつ、導体に対する密着性と金めっき性に優れた硬化塗膜を得ることができた。
これに対し、カルボキシベンゾトリアゾールを配合しなかった比較例1では、基板に対する密着性、ニッケル−パラジウム−金めっき処理の金めっき性、耐酸性及び耐熱性を得ることができなかった。また、カルボキシベンゾトリアゾールに代えて従来の各種防錆剤(密着性付与剤)を配合した比較例2〜9では、いずれも、導体に対する密着性、金めっき性及び屈曲性を得ることができなかった。
本発明の感光性樹脂組成物は、基板に対する密着性、屈曲性、現像性、耐酸性及び耐熱性等の基本特性を損なうことなく、導体に対する密着性と金めっき性(特に、ニッケル−パラジウム−金めっき処理の金めっき性)に優れた絶縁被覆等の硬化物を形成できるので、例えば、導体回路にニッケル−パラジウム−金めっき処理等の金めっき処理が行われるプリント配線板のソルダーレジスト用として利用価値が高い。

Claims (5)

  1. (A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)(C1)カルボキシベンゾトリアゾール及び/または(C2)カルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体と、(D)反応性希釈剤と、(E)エポキシ化合物と、を含有する感光性樹脂組成物であって、
    プリント配線板の導体にニッケル−パラジウム−金めっき処理が行われる、該プリント配線板のソルダーレジスト用であることを特徴とする感光性樹脂組成物
  2. 前記(C2)カルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体が、一般式(I)
    Figure 0006343650
    (式中、Rは、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数1〜30のアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数1〜30のアルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、または一般式(II)
    Figure 0006343650
    (式中、R、Rは、それぞれ独立に、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数1〜30のアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換されてもよい炭素数1〜30のアルコキシ基若しくは水素原子を示す。)で表される有機基を示す。)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(C)(C1)カルボキシベンゾトリアゾール及び/または(C2)カルボキシル基を有するベンゾトリアゾール誘導体が、前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、0.5質量部〜10質量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. さらに、メラミン及び/またはジシアンジアミドを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の光硬化膜を有するプリント配線板。
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