JP5878982B2 - 副室式ガスエンジン用の燃焼安定化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主室及び該主室と連通する副室を有する燃焼室と、副室内で燃焼を誘導する点火装置とを備えた副室式ガスエンジンに適用される燃焼安定化装置に関し、特に、副室にガス燃料を供給する副室燃料供給装置を備えた燃焼安定化装置に関する。
ガスエンジンは、主たる燃料にガス燃料を用いるエンジンであり、従来から様々な燃焼室構造様式、燃焼方式及びその組合せが提案されている。その組合せの一例として、いわゆる副室式火花点火や副室式パイロット着火が良く知られており、特許文献1は、4ストロークレシプロ式の副室式火花点火ガスエンジンを開示している。
副室式ガスエンジンは、ガス燃料を含んだ混合気の供給を受ける燃焼室と、例えば火花を発生して混合気を点火する点火装置とを備える。燃焼室は、主室及び該主室と連通する副室とを有しており、点火装置は、例えば副室内で火花を発生するように配置され、火花の発生の代わりに微小の軽油を噴射してもよい。副室内の火炎は、主室を副室から区画する隔壁に設けられた連通穴を介し、副室から主室へと噴出され、噴出されたトーチが火種となり主室内の混合気を着火させる。
特許文献1の副室式ガスエンジンは、副室にガス燃料を供給する燃料噴射弁と、当該燃料噴射弁を制御するECUとを備え、主室とは独立して副室内の空気過剰率を制御することができる。このガスエンジンでは、エンジン回転数及び負荷に応じて副室内の空気過剰率が制御される。
特開2007−198140号公報
特許文献1の副室式ガスエンジンでは、主室内の燃焼状態の安定化を目的として、運転状態に応じて副室内の空気過剰率を制御している。しかし、このような制御を実行しても、副室内での燃焼状態を制御の対象とするものではなく、必ずしも副室内の燃焼状態の安定を担保することができない。例えば、主室の燃焼状態を監視しながら空気過剰率を制御しても、副室内圧が圧縮及び燃焼の相乗的作用により過度に大きくなり、その結果副室内の燃焼状態が異常になる可能性がある。副室内で生じた火炎は、主室内の混合気の火種となるので、副室内で異常燃焼が生じれば、主室内の異常燃焼を誘発するおそれがある。
そこで本発明は、いわゆる副室式ガスエンジンにおいて、副室内の燃焼状態を安定化することを目的としている。
本発明は上記目的を達成すべくなされたものである。本発明に係る燃焼安定化装置は、主室及び該主室と連通する副室を有した燃焼室と、前記副室内で燃焼を誘導する点火装置とを備える副室式ガスエンジンに適用される燃焼安定化装置であって、前記副室にガス燃料を供給する副室燃料供給装置と、前記副室燃料供給装置から前記副室へのガス燃料の供給量の目標値である目標副室燃料供給量を設定する制御装置と、を備え、前記制御装置は、点火後の前記副室の内圧を決定する内圧評価パラメータに応じて前記目標副室燃料供給量を設定する。
前記構成によれば、点火後の副室の内圧を決定する内圧評価パラメータに応じて、副室燃料供給装置から副室に供給されるガス燃料量の目標値(目標副室燃料供給量)が設定される。したがって、副室の内圧の変動に応じて副室へのガス燃料の供給量を調整することができ、それにより副室内圧の変動に伴って生じる可能性のある異常燃焼を回避することができ、副室内圧が変動しても副室内の燃焼状態を安定させ続けることができる。
前記制御装置は、前記内圧評価パラメータに応じて前記目標副室燃料供給量を求めるための制御マップを記憶していてもよい。
前記構成によれば、副室内の燃焼状態を安定させることを目的とした制御を簡便に行うことができるようになる。
前記内圧評価パラメータが点火時期であってもよい。副室の内圧は、1つのエンジンサイクル内において圧縮の作用により変動する。一方、副室内の混合気が点火されると、その点火時期の直後に、混合気の燃焼により副室内圧の急上昇及び急降下が表れる。副室の内圧は、この圧縮の作用による圧力変動に燃焼による圧力変動が組み合わされたものとなるので、点火時期は、副室の内圧に大きな影響を及ぼすパラメータであると言える。前記構成によれば、点火時期に応じて目標副室燃料供給量が設定されるので、点火時期の変動がエンジンサイクル間で生じたとしても、これに良好に対処して副室内の燃焼状態を安定させ続けることができる。
点火時期が、前記副室の内圧を圧縮上死点で最大値とする基準点火時期よりも進角されている場合に、前記制御装置は、当該点火時期が遅角していればしているほど、前記目標副室燃料供給量を小さくなるように設定してもよい。
前記構成によれば、点火時期が基準点火時期よりも進角されている場合、当該点火時期における副室の内圧は、当該点火時期が遅角していればいるほど圧縮作用により大きくなる。このように圧縮作用により副室の内圧が高くなるときほど、副室燃料供給装置から副室に供給されるガス燃料の供給量を小さくしているので、燃焼による圧力変動を小さくすることができる。よって、点火時期が基準点火時期に近づいていて副室の内圧が高くなっていても、燃焼による圧力変動の影響を受けて副室の内圧が過度に大きくなるのを避けることができる。したがって、副室内の燃焼状態を安定させ続けることができる。
前記制御装置は、前記基準点火時期に対応して設定される目標副室燃料供給量を最小値としてもよい。
前記構成によれば、点火時期が基準点火時期であっても、副室内の燃焼状態を極力安定化させることができる。また、点火時期が基準点火時期よりも遅角された場合には、副室内圧を、副室内の燃焼状態を極力安定化させながら高い値に保持することができ、ガスエンジンの安定的な運転を維持することができる。
前記副室燃料供給装置から供給されるガス燃料の性状として、前記ガスエンジンでのノッキングの生じにくさを示すノッキング抵抗指数を検出する性状検出器をさらに備え、前記制御装置は、前記性状検出器により検出されたノッキング抵抗指数に応じて目標副室燃料供給量を設定し、ノッキング抵抗指数が低ノッキング抵抗性を示していればいるほど前記目標副室燃料供給量を小さくしてもよい。
本件発明者の知見によれば、ノッキング抵抗指数が低ノッキング抵抗性を示すと(すなわち、ガス燃料が高い着火性を有していてノッキングを生じやすい性質を有していると)、点火時期を基準にしたノッキング限界がより遅角された値になる。一方、ノッキング抵抗指数が低ノッキング抵抗性を示すと、点火時期を基準にした副室の異常燃焼限界はより進角された値になる。つまり、ノッキング抵抗指数が示すノッキング抵抗性が低ければ低いほど、主室内でも副室内でも燃焼状態を正常に保てる点火時期の範囲(以下、説明の便宜上「正常点火域」と称す)が狭くなってしまう。
前記構成によれば、ノッキング抵抗指数が低ノッキング抵抗性を示す場合に、目標副室燃料供給量が小さくなる。これにより、副室燃料供給装置から副室へのガス燃料の供給量が小さくなり、副室内での空気過剰率がリーン化する。すると、副室の異常燃焼限界が遅角側にシフトされ、正常点火域が拡大する。よって、主室内でも副室内でも燃焼状態を正常に保つようにして、点火時期を広い範囲で調整することができるようになる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、副室式ガスエンジンにおいて、副室内の燃焼状態を安定化することができる。
本発明の実施形態に係る副室式ガスエンジンを備えた発電システムの全体構成を示す概念図である。 図1に示すガスエンジンの各気筒及び制御器の構成を示す概念図である。 図2に示す制御器に記憶された第1制御マップを二次元直交座標系内で概念的に示すグラフである。 図2に示す制御器に記憶された第2制御マップを二次元直交座標系内で概念的に示すグラフである。 図2に示す制御器により実行される制御の作用を示すグラフである。 ノッキング抵抗指数及び点火時期を基準とした主室のノッキング限界と副室の異常燃焼限界とを示すグラフである。 点火時期を基準とした主室のノッキング限界と副室の異常燃焼限界とを示すグラフである。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。全ての図を通じて、同一の又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する詳細な説明を省略する。
[ガスエンジンの全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係るガスエンジン1の全体構成を示す概念図である。図1に示すガスエンジン1は、ガス燃料を使用する4ストロークレシプロエンジンであり、燃焼室構造様式及び燃焼方式に一例として「副室式火花点火」を採用している。ガスエンジン1は、ガス燃料を含む混合気を燃焼し、出力軸2で回転出力を発生する。出力軸2は、図1に示すように、例えば交流発電機3と接続される。このように、ガスエンジン1を交流発電機3の駆動源に適用した発電システムは、産業用プラントに導入されてもよいし、船舶に搭載されてもよい。ガスエンジン1が船舶に搭載される場合、出力軸2を交流発電機3に替えて当該船舶の推進器に接続してもよい。
ガスエンジン1は、複数の気筒4を有したエンジン本体5を備えている。なお、気筒4の数及び配列は、特に限定されない。ガスエンジン1には、給気を各気筒4に供給する給気ライン6と、排気を各気筒4から排出する排気ライン7と、給気ライン6及び排気ライン7に接続された過給機(ターボチャージャ)8とが設けられている。給気ライン6は、複数の気筒4に対して共通の共通部11と、共通部11を対応する気筒に接続する複数の分岐部12(図2参照)とを含む。排気ライン7も、複数の気筒4に対して共通の共通部13と、対応する気筒4を共通部13に接続する複数の分岐部14とを含む。給気ライン6の分岐部12の下流端部は、エンジン本体5内に形成された給気ポート12aであり、対応する気筒4の燃焼室32(詳しくは主室33)に連通している(図2を参照)。排気ライン7の分岐部14の上流端部は、エンジン本体5内に形成された排気ポート14aであり、対応する気筒4の燃焼室32(詳しくは主室33)に連通している(図2を参照)。過給機8は、排気ライン7の共通部13上のタービン9と、給気ライン6の共通部11上のコンプレッサ10とを有している。過給機8は、排気ライン7を流れる排気により駆動され、給気ライン6を流れるエアを過給する。
ガスエンジン1には、ガス燃料を各気筒4に供給する燃料ライン15が設けられている。燃料ライン15は、燃料供給源(不図示)から延び、複数の気筒4に対して共通の共通部16と、共通部16から分岐し、共通部16から対応する気筒4へとガス燃料を導く複数の分岐部17とを含む。また、各気筒4には、主室燃料供給装置21、副室燃料供給装置22及び点火装置23が設けられている。このように1つの気筒4に2つの燃料供給装置21,22が設けられているので、燃料ライン15の分岐部17には、ガス燃料を共通部16から主室燃料供給装置21に導く主分岐部18と、ガス燃料を共通部16から副室燃料供給装置22に導く副分岐部19とが含まれる。
図2は、本発明の実施形態に係る燃焼安定化装置100の構成を、図1に示すガスエンジン1の気筒4の構成と併せて示す概念図である。なお、図2は、1つの気筒4のみの構成を示しているが、他の気筒4も同様の構成を有している。図2に示すように、各気筒4内には、ピストン31が往復動自在に挿入されている。ピストン31は不図示のコネクティングロッドを介して出力軸2に連結されている。
また、各気筒4には、混合気を燃焼させる燃焼室32が設けられている。燃焼室32は、ピストン31の上面側に形成される主室33と、主室33と連通した副室34とを有している。副室34は、主室33の上部に設けられた隔壁35を介して主室33と区画され、また、隔壁35に形成された連通穴36を介して主室33と空間的に連通している。
エンジン本体5は、前述した給気ポート12a及び排気ポート14aを有している。給気ポート12aは、給気ライン6の分岐部12を構成し、その下流端部にて主室33に連通している。排気ポート14aは、排気ライン7の分岐部14を構成し、その上流端部にて主室33に連通している。各気筒4には、給気弁37及び排気弁38が設けられている。給気弁37は、給気ポート12aの下流端部を開閉し、排気弁38は、排気ポート14aの上流端部を開閉する。
主室燃料供給装置21は、燃料ライン15の主分岐部18上に介在し又は主分岐部18の末端に設けられ、ガス燃料を給気ライン6の分岐部12に供給する。本実施形態に係る主室燃料供給装置21は、エンジン本体5に取り付けられ、給気ポート12aにガス燃料を供給する。副室燃料供給装置22は、燃料ライン15の副分岐部19上に介在し又は副分岐部19の末端に設けられ、ガス燃料を副室34内に供給する。
本実施形態では、各気筒4に、前述の隔壁35を有して副室34を形成する副室形成部材39が設けられており、副室形成部材39は、隔壁35が副室形成部材39の下端部をなすようにして、シリンダ軸線に沿って上下方向に延在している。燃料ライン15の副分岐部19は、副室形成部材39の上部にて副室形成部材39内へと延び、副室34の内上面に開口している。副室燃料供給装置22は、副室形成部材39の外部に配置され、燃料ライン15の副分岐部19上に介在している。なお、副分岐部19上であって副室燃料供給装置22と副室34への開口との間には、逆止弁40が設けられている。これにより、副室34から副室燃料供給装置22に向けてガスが逆流するのを阻止することができる。
主室燃料供給装置21及び副室燃料供給装置22は、例えば常閉電磁開閉弁であり、開弁指令が与えられている期間に開弁する。主室燃料供給装置21が開弁している間、ガス燃料が給気ポート12aに供給される。副室燃料供給装置22が開弁している間、ガス燃料が副室34に供給される。点火装置23は、副室形成部材39に取り付けられており、例えば火花を発生する部分が副室34内に配置されている。点火装置23は、例えば、通電時に火花を発生する電極を有した点火プラグである。
上記構成のガスエンジン1においては、ピストン31が下動する給気行程では、主室燃料供給装置21がガス燃料を給気ポート12aに供給すると共に、給気弁37が給気ポート12aを開く。これにより、過給機8からの給気と主室燃料供給装置21からのガス燃料との混合気が、給気ポート12aから主室33へと供給される。ピストン31が上動する圧縮行程では、給気弁37が閉じられ、混合気が主室33内で圧縮される。このとき、主室33内の圧縮混合気が連通穴36を通って副室34内に供給される。そして副室燃料供給装置22は、給気行程において、副室34内にガス燃料を噴射する。これにより副室34内の混合気の空気過剰率が、主室33内の混合気の空気過剰率と比べて小さくなる。
圧縮行程が終了する時期の近傍で点火装置23が動作し、副室34内で例えば火花が発生する。これにより副室34内の混合気が着火し、副室34内で火炎が発生する。副室34内の火炎は連通穴36を介して主室33内へと噴出され、この噴出されたトーチが主室33内の混合気を着火し、主室33内で火炎が伝播していく。このようにして副室34内及び主室33内の混合気が燃焼し、ピストン31が下動する。この膨張行程後の排気行程では、排気弁38が排気ポート14aを開き、主室33内及び副室34内のガスが排気ライン7へと排出される。このとき、逆止弁40の作用により、燃焼排ガスが副分岐部19を逆流するのを阻止することができる。
[燃焼安定化装置の構成]
このガスエンジン1には、燃焼安定化装置100が適用されている。燃焼安定化装置100は、点火時期の変動及びガス燃料の性状の変動に対応して副室34内の燃焼状態を安定化させることを目的とした燃焼制御を実行するものである。燃焼安定化装置100は、前述した主室燃料供給装置21、副室燃料供給装置22及び点火装置23を備えている。更に、燃焼安定化装置100は、ノッキング抵抗指数センサ51及び制御器60を備えている。制御器60は、CPU、ROM、RAM及び入出力インターフェイスを備えている。制御器60の入力側が、ノッキング抵抗指数センサ51と接続されており、制御器60の出力側が、主室燃料供給装置21、副室燃料供給装置22及び点火装置23と接続されている。
ノッキング抵抗指数センサ51は、ガス燃料の性状として、ガスエンジン1(例えば主室33)内でのノッキングの生じにくさを定量的に示すノッキング抵抗指数を検出する。ノッキング抵抗指数には、例えばメタン価を好適に適用可能である。一般的な傾向として、軽質の炭化水素の濃度が高くなると、混合気が着火しにくくなり、それにより主室33内でのノッキングが生じにくくなる。そして、軽質の炭化水素の濃度が高くなると、ガス燃料のメタン価は高くなる。重質の炭化水素の濃度が高い場合は、これと逆に主室33内でのノッキングが生じやすくなるとともにガス燃料のメタン価が低くなる。このような観点から、ノッキング抵抗指数センサ51には、燃料ライン15中のガス燃料のメタン価を検出するメタン価センサを好適に適用することができる。また、ガス燃料の組成に応じてメタン価が決まるし、ガス燃料の着火性が決まることから、ノッキング抵抗指数センサ51には、ガスクロマトグラフィーを好適に適用することができる。
また、一般的な傾向として、軽質の炭化水素の濃度が高くなると、ガス燃料の単位体積当たりの発熱量が小さくなるし、燃焼排ガスに含まれる酸素の濃度(以下、残存酸素濃度と称す)が低くなる。重質の炭化水素の濃度が高くなると、これとは逆になる。このため、ノッキング抵抗指数には、ガス燃料の発熱量や残存酸素濃度も適用可能である。ノッキング抵抗指数にガス燃料の発熱量を適用する場合、ノッキング抵抗指数センサ51には、燃料ライン15中のガス燃料の単位体積当たりの発熱量を検出するカロリーメータを適用することができる。ノッキング抵抗指数に残存酸素濃度を適用する場合、ノッキング抵抗指数センサ51には、排気ライン7中の残存酸素濃度を検出する酸素濃度センサを適用することができる。メタン価センサ、ガスクロマトグラフィー及びカロリーメータは、図2に示すように燃料ライン15の共通部16に設けられていることが好ましく、酸素濃度センサは、排気ライン7の共通部13に設けられていることが好ましい。なお、燃焼安定化装置100は、ノッキング抵抗指数センサ51として、上記例示した4種の検出器のうち2種以上の検出器を備えていてもよい。
以上のように、メタン価が高いとき、発熱量が小さいとき、残存酸素濃度が低いとき、気筒4に供給されるガス燃料は、ガスエンジン1でのノッキングを生じにくい性質(以下、説明の便宜のため「高ノッキング抵抗性」と称す)を有していると考えることができる。逆に、メタン価が低いとき、発熱量が大きいとき、残存酸素濃度が高いとき、気筒4に供給されるガス燃料は、ガスエンジン1でのノッキングを生じやすい性質(以下、説明の便宜のため「低ノッキング抵抗性」と称す)を有していると考えることができる。
制御器60は、副室34内の燃焼状態を安定化させることを目的とした燃焼制御を実行するための機能部分として、性状判定部61と、副室噴射期間マップ記憶部62と、点火制御部63と、噴射制御部64とを備えている。
性状判定部61は、ノッキング抵抗指数センサ51からの信号に基づいてノッキング抵抗指数を測定する。特に、ノッキング抵抗指数センサ51に複数の検出器を適用する場合、性状判定部61は、複数の検出器による検出結果を考慮してガス燃料のノッキング抵抗指数を判定するように構成されていてもよい。逆に、ノッキング抵抗指数センサ51に単一の検出器を適用した場合(特に、メタン価センサを適用した場合)には、必ずしも制御器60がノッキング抵抗指数を測定又は判定する機能部分を備えていなくてもよい。
副室噴射期間マップ記憶部62は、点火後の副室の内圧を決定する内圧評価パラメータと、副室34へのガス燃料の供給量の目標値である目標副室燃料供給量(又はその補正値)との対応関係を表した第1制御マップ71(図3参照)を記憶している。本実施形態では、第1制御マップ71は、点火時期に応じて、副室燃料供給装置22から副室34へのガス燃料の供給期間の目標値である目標副室燃料供給期間(又はその補正値)を求めることができるように構成されている。つまり、本実施形態では、内圧評価パラメータが点火時期である。副室燃料供給装置22に供給されるガス燃料の圧力が一定であれば、副室燃料供給装置22から副室34にガス燃料が供給される期間は、当該期間内に副室燃料供給装置22から副室34に供給されたガス燃料量と略等しくなるので、目標副室燃料供給量の替わりに目標副室燃料供給期間を好適に適用することができる。また、副室噴射期間マップ記憶部62は、ノッキング抵抗指数と、目標副室燃料供給量(又はその補正値)との対応関係を表した第2制御マップ72(図4参照)を記憶している。第2制御マップ72も、第1制御マップ71と同様にして、目標副室燃料供給量そのものに替えて目標副室燃料供給期間を求めることができるように構成されている。第1制御マップ71及び第2制御マップ72は、演算式の形態でも、ルックアップテーブルの形態でもよい。
点火制御部63は、気筒4毎に目標点火時期を設定する。点火制御部63は、各気筒4において、副室34内の混合気が設定された目標点火時期に着火するように点火装置23を制御する。点火制御部63は、目標負荷及び目標出力に応じて目標点火時期を決定するガバナ制御、気筒4間の分担負荷を平準化するように各気筒4における目標点火時期を調整する負荷平準化制御、主室33内でのノッキングを検知した場合にノッキングを抑制するよう目標点火時期を遅角させるノッキング抑制制御など、種々目的で実行される制御の結果を参照しながら目標点火時期を設定する。これら複数の制御の結果、目標点火時期は、おおよそ、主室33内でのノッキングが生じるか否かの限界であるノッキング限界付近に設定され、それによりガスエンジンの高効率化が図られる。
噴射制御部64は、ガス燃料の供給期間の目標値を設定し、ガス燃料が設定された目標期間供給されるように主室燃料供給装置21及び副室燃料供給装置22を制御する。この目標値とは、主室33へのガス燃料の供給期間の目標値である目標主室燃料供給期間と、副室34へのガス燃料の供給期間(いわゆる副室デュレーション)の目標値である目標副室燃料供給期間を指し、いずれも独立して気筒4毎に設定される。噴射制御部64は、目標主室燃料供給期間を気筒4毎に独立して設定し、目標副室燃料供給期間を気筒4毎に独立して設定する。
なお、目標主室燃料供給期間又は目標副室燃料供給期間の設定にあたっては、噴射制御部64は、ガバナ制御、負荷平準化制御及びノッキング抑制制御等、種々制御の結果を考慮する。更に、本実施形態に係る噴射制御部64は、副室噴射期間マップ記憶部62に記憶された第1制御マップ71を参照して、点火制御部63により設定された目標点火時期に応じて目標副室燃料供給期間を設定する。本実施形態に係る噴射制御部64は、副室噴射期間マップ記憶部62に記憶された第2制御マップ72を参照して、性状判定部61により判定されたノッキング抵抗指数に応じて目標副室燃料供給期間を設定する。
目的が異なるものの副室燃料供給期間を制御対象とする複数の制御を並行実施しながら目標副室燃料供給期間を設定するため、噴射制御部64は、内圧評価パラメータの一例としての目標点火時期に応じて、一次的に目標副室燃料供給量の代替としての目標副室燃料供給期間を設定し、設定された目標副室燃料供給期間を、他の制御結果を考慮し且つノッキング抵抗指数に応じて補正してもよい。この場合、第2制御マップ72は、ノッキング抵抗指数と目標副室燃料供給期間の補正値との対応関係を規定するものとなっていてもよい。噴射制御部64は、ノッキング抵抗指数に応じて一次的に目標副室燃料供給量の替わりとして目標副室燃料供給期間を設定し、設定された目標副室燃料供給期間を他の制御結果を考慮し且つ目標点火時期に応じて補正してもよい。この場合、第1制御マップ71は、点火時期と目標副室燃料供給期間の補正値との対応関係を規定するものとなっていてもよい。いずれにせよ、本実施形態に係る噴射制御部64は、内圧評価パラメータの一例としての点火時期及びノッキング抵抗指数それぞれに応じて、目標副室燃料供給量そのものの替わりとしての目標副室燃料供給期間を設定するように構成されている。
図3は、第1制御マップ71を二次元直交座標系内で概念的に示すグラフである。図3では、横軸が点火時期を表し、縦軸が目標副室燃料供給期間を表している。前述のとおり、複数の制御を並行実施するに際し、点火時期に応じて目標副室燃料供給期間を補正する場合には、縦軸が表す指標を目標副室燃料供給期間の補正値として捉えることができる。図3の実線で示すように、本実施形態に係る第1制御マップ71によれば、点火時期が、副室内圧が圧縮上死点で最大値となるような点火時期(以下、説明の便宜上「基準点火時期」と称す)へと遅角されればされるほど、目標副室燃料供給期間が短くなる。すなわち、1つのエンジンサイクル内における副室燃料供給装置22(図2参照)の開弁期間が短くなり、副室34に供給されるガス燃料量が小さくなる。点火時期が基準点火時期から更に遅角されればされるほど、目標副室燃料供給期間が長くなる。すなわち、1つのエンジンサイクル内における副室燃料供給装置22(図2参照)の開弁期間が長くなり、副室34に供給されるガス燃料量が大きくなる。
このように本実施形態では、点火時期が基準点火時期よりも進角されている場合には、目標副室燃料供給期間が、当該点火時期が遅角されていればいるほど小さくなるよう設定される。そして、基準点火時期に応じて設定される目標副室燃料供給期間が最小値をとる。なお、この場合の作用については後述する。
第1制御マップ71は、実線で示すように下に凸の曲線であってもよいし、二点鎖線で示すように上に凸の曲線であってもよいし、一点鎖線で示すように線形であってもよいし、破線で示すように階段状であってもよい。
図4は、第2制御マップ72を二次元直交座標系内で概念的に示したグラフである。図4においては、横軸がノッキング抵抗指数(例えば、メタン価、単位体積当たりの発熱量、残存酸素濃度)、縦軸が目標副室燃料供給期間を表している。前述のとおり、複数の制御を並行実施するに際し、ノッキング抵抗指数に応じて目標副室燃料供給期間を補正する場合には、縦軸が表す指標を目標副室燃料供給期間の補正値として捉えることができる。
図4に示す第2制御マップ72によれば、ノッキング抵抗指数が低ノッキング抵抗性を示すようになればなるほど(例えば、メタン価が低いほど、単位体積当たり発熱量が大きいほど、残存酸素濃度が高いほど)、目標副室燃料供給期間が短縮され、副室燃料供給装置22から副室34に供給されるガス燃料量が小さくなる。したがって、目標副室燃料供給期間は、ノッキング抵抗指数が低ノッキング抵抗性を示す値であればあるほど小さくなるように設定される。
第2制御マップ72も、第1制御マップ71と同様にして、実線で示すように上に凸の曲線であってもよいし、二点鎖線で示すように下に凸の曲線であってもよいし、一点鎖線で示すように線形であってもよいし、破線で示すように階段状であってもよい。
[燃焼安定化装置の作用]
以下、これら第1及び/又は第2制御マップ71,72を参照しながら目標点火時期及び目標副室燃料供給期間を設定することにより得られる作用及び効果について説明する。なお、以降では、ガスエンジン1及び燃焼安定化装置100の構成要素に、図3〜図7には示していないが図1及び図2に示した参照符号を適宜付しながら説明する。
図5は、点火時期の変動に応じて目標副室燃料供給期間を設定する制御の作用を示すグラフである。図5では、横軸が点火時期を表し、縦軸が副室内圧を表している。図5の破線は、点火時期が圧縮下死点と圧縮上死点との間であって圧縮上死点により近い通常の場合であり且つ目標副室燃料供給期間が第1制御マップ71を参照して設定された場合における、副室内圧の推移を示している。図5の一点鎖線は、点火時期が前述の基準点火時期に設定され且つ目標副室燃料供給期間が破線で示したものと同じである場合における、副室内圧の推移を示している。図5の実線は、点火時期が基準点火時期に設定され且つ目標副室燃料供給期間が第1制御マップ71を参照して設定された場合における、副室内圧の推移を示している。
一般に、圧縮行程及び膨張行程では、給気弁37及び排気弁38が閉じているので、ピストン31が圧縮下死点から圧縮上死点に近づくに連れ、筒内圧が上昇する。また、混合気が副室34内で着火すると、混合気が燃焼に伴って膨張し、それにより筒内圧が上昇する。この場合、目標点火時期は、圧縮下死点よりも遅角された時期に設定され、概ね圧縮上死点の近傍に設定される。
ここで、図5の破線で示すように、目標点火時期が、圧縮下死点よりも遅角され圧縮上死点よりも進角された或る時期T1に設定されているとする(通常の場合)。当該点火時期T1で副室34内の混合気が着火すると、副室34の内圧が副室34内の混合気の燃焼により急激に上昇する。この燃焼により生じた高圧は、連通穴36を介して主室33へと逃げるので、副室34の内圧が再び降下するが、主室34内の混合気がトーチにより着火されて燃焼する。これにより、主室33で生じた燃焼圧が連通穴36を介して副室34内に作用し、それにより副室34の内圧が再び上昇する。
副室34の内圧が図5の破線の推移を示す場合に、副室34の燃焼状態が正常であるとする。前述したようにノッキング抑制制御や負荷平準化制御の並行実施等の影響を受けて点火時期が上記点火時期T1から遅角されると、副室34の内圧が、この遅角された点火時期T2の直後から副室34内の混合気の燃焼により急激に上昇する。点火時期が遅角していくにつれピストン31の上動により筒内圧は上昇する。このため、点火時期T2で混合気が点火されると、副室34の内圧は、ピストン31の上動による筒内圧の上昇との相乗的作用により、図5の一点鎖線に示すように過剰に大きくなる可能性がある。副室34の内圧が大きくなり過ぎると、副室34の内面付近に存在する混合気(いわゆる副室エンドガス)が、点火装置により発生した副室34内の火炎が副室内面付近まで伝播するよりも前に自己着火するおそれがある。このようにして副室34内で異常燃焼が発生すると、隔壁35の損傷を招くおそれがある。また、適正なトーチが噴出されなくなり、主室33内の失火又はノッキングを誘発するおそれがある。
そこで本実施形態に係る燃焼安定化装置100では、前述したように点火時期が遅角すると、目標副室燃料供給期間を小さくするよう制御する。これにより、副室34内の空気過剰率が高くなり、副室34内の燃焼が鈍化する。例えば、燃焼速度が遅くなったり、燃焼ガスの膨張に伴う圧力上昇の程度が小さくなったりする。すると、図5の実線が示すとおり、副室34内の燃焼に伴う圧力上昇が鈍化し、副室34の内圧が過剰に上昇するのを抑制することができる。これにより、副室34内の内面付近の混合気が自己着火するよりも前に、当該混合気に火炎が伝播し、それにより副室34内の燃焼状態を正常に保つことができる。このように副室34内での異常燃焼の発生を抑えることができるので、ひいては主室33内の失火及びノッキングをも抑制することが可能になる。
そして、点火時期が基準点火時期であるときは、目標副室燃料供給期間が最小値をとるように制御される。このため、点火時期が基準点火時期である場合にも、副室34内の燃焼状態を極力安定させることができる。また、点火時期が基準点火時期よりも遅角されるときは、目標副室燃料供給期間が、点火時期が基準点火時期であるときよりも長くなるよう制御する。これにより、副室34の内圧が過剰に低下するのを抑制することができる。よって、副室34内の燃焼状態を極力安定化させながら、副室34の内圧を適切に保持することができ、ガスエンジン1の安定的な運転を維持することができる。
図6は、ノッキング抵抗指数及び点火時期を基準にして、主室のノッキング限界と副室の異常燃焼限界とを示したグラフである。図7は、点火時期を基準にして、主室のノッキング限界と副室の異常燃焼限界とを示したグラフである。
図6及び図7に示すように、ノッキング抵抗指数が高ノッキング抵抗性を示すほど、点火時期を基準とした主室33のノッキング限界(主室33内でノッキングが発生するか否かの閾値となる点火時期)が進角側にシフトする。すなわち、高ノッキング抵抗性を有するガス燃料(例えば、高メタン価のガス燃料)を用いているときには、点火時期をより進角して高出力及び高効率を達成しながら、主室33内のノッキングの発生を抑えることができる。一方、低ノッキング抵抗性を有するガス燃料を用いているとき(図7におけるメタン価低下の場合)には、点火時期をより遅角させ、主室33内のノッキングを抑えながら、なるべく高出力及び高効率を達成することが求められる。つまり、高出力及び高効率の達成とノッキングの発生の抑制とを両立するため、通常、点火時期は、主室33のノッキング限界付近に設定される。
本件発明者らは、ガス燃料の性状に対応して副室34の燃焼状態を安定化させる燃焼安定化装置100を開発する過程で、ガス燃料のノッキング抵抗指数(例えばメタン価)に応じて副室34の燃焼状態の正常性と異常性との境界を規定する点火時期が存在するとの知見を得た。この副室34の異常燃焼限界は、図6に示すとおり、ノッキング抵抗指数(例えばメタン価)が通常とり得る範囲内におけるどの値であっても、主室33のノッキング限界と交差することはなく、主室33のノッキング限界よりも遅角側で推移する。これは、点火時期が圧縮上死点よりも十分に進角した状態でのエンジン運転を考慮しているためであり、また、副室34の異常燃焼が最も発生しやすい条件は、副室内圧が圧縮上死点で最大値となる点火時期(基準点火時期)であるためである。これは、ピストン31による圧縮によって筒内圧が最も高くなる時期と、副室内圧の最大値発生が同期することに起因する。つまり、本現象は、圧縮上死点よりも進角した範囲での事象である。
本件発明者らは、この範囲において、ノッキング抵抗指数(例えばメタン価)が決まれば、主室33のノッキングを回避し且つ副室34の異常燃焼を回避することができる点火時期の範囲(以下、説明の便宜のため「正常点火域」と称す)が定まるとの知見を得た。そして、ノッキング抵抗指数が高ノッキング抵抗性を示すほど、副室34の異常燃焼限界は遅角側にシフトする。すなわち、高ノッキング抵抗性を有するガス燃料(例えば、高メタン価のガス燃料)を用いているときには、正常点火域が進角側にも遅角側にも拡大する。逆に、ノッキング抵抗指数が低ノッキング抵抗性を示すほど、副室34の異常燃焼限界は進角側にシフトする。すなわち、低ノッキング抵抗性を有するガス燃料(例えば、低メタン価のガス燃料)を用いているときには、正常点火域が進角側にも遅角側にも縮小する。
前述のとおり、点火時期は、ガスエンジン1の高出力及び高効率を達成するため、ノッキング限界付近に設定される。そのうえで、負荷平準化やノッキングの回避のため、点火時期は適宜調節される。このとき、副室34の異常燃焼限界に対する知見がなければ、副室34の異常燃焼を見過ごすような形で燃焼制御が実行されることになる。特に、高メタン価のガス燃料の安定供給が保証された環境下でガスエンジン1が設計された場合には、広い正常点火域が担保されているので、当該知見に気付きにくい。また、副室34の異常燃焼が最も発生しやすい、副室内圧が圧縮上死点で最大値となる点火時期(基準点火時期)においても、副室34の異常燃焼が発生しない場合がある。しかし、副室34の異常燃焼限界の存在が看過されてガスエンジン1の設計がなされ、低メタン価のガス燃料が使用された場合には、点火時期が上記のように負荷平準化やノッキングの回避のために適宜調節されたときに、副室34の異常燃焼が生じるおそれがある。更に、副室34の異常燃焼限界に対する知見を得ていても、種々目的が異なる複数の制御を並行実施して点火時期を狭い正常点火域内で調整しなければならず、結果として点火時期を制御対象とした各種制御を満足に実行することができなくなるおそれがある。
そこで、本実施形態に係る燃焼安定化装置100では、ノッキング抵抗指数が低ノッキング抵抗性を示すようになると、目標副室燃料供給期間を短くする。これにより、副室34内の燃焼が鈍化する。燃焼が鈍化すると、副室34内の異常燃焼が発生しにくくなる。これにより、点火時期をより遅角しても、副室34内で異常燃焼が生じるのを抑制することができる。すなわち、副室34の異常燃焼限界を遅角側にシフトすることができる(図6の破線及び図7の「副室燃料供給期間:短」の場合)。これにより、低ノッキング抵抗性を有するガス燃料を用いている場合においても、正常点火域を広くすることができるようになる。よって、主室33内のノッキングも副室34内の異常燃焼も回避しながら、点火時期の調整幅を大きくとって各種制御を満足に実行することができるようになる。
このように本実施形態に係る燃焼安定化装置100によれば、点火時期の変動及びガス燃料の性状の変動に対応して副室34の燃焼状態の安定化を図ることができる。このため、ひいては主室33内の不測の異常燃焼をも抑制することができる。
これまで本発明に係る実施形態について説明したが、上記構成は、単なる一例に過ぎず適宜変更可能である。例えば、ガス燃料の性状に応じた目標副室燃料供給期間の調整は必ずしも実施されなくてもよい。内圧評価パラメータは、副室の内圧を決定するパラメータであればよく、点火時期に限定されない。例えば、制御器60は、給気工程及び圧縮行程における任意タイミングにおける主室33の内圧に応じて目標副室燃料供給量を設定してもよい。また、上記実施形態では、副室34へのガス燃料の供給量を制御するために、目標副室燃料供給期間を制御したが、副室燃料供給装置22から副室34へのガス燃料の供給量そのものを制御してもよいし、副室燃料供給装置22に供給されるガス燃料の圧力を調整するための手段(例えば、バルブ及び/又はコンプレッサ)を操作してもよい。本発明は、副室式火花点火を採用したガスエンジンだけでなく、副室式パイロット着火を採用したガスエンジンにも適用可能である。
本発明は、副室内の燃焼状態を安定化することができるとの顕著な作用効果を奏し、副室内の混合気の点火時期を制御可能に構成された副室式火花点火ガスエンジンに適用すると有益である。
1 ガスエンジン
3 交流発電機
4 気筒
21 主室燃料供給装置
22 副室燃料供給装置
23 点火装置
32 燃焼室
33 主室
34 副室
51 ノッキング抵抗指数センサ
60 制御器

Claims (5)

  1. 主室及び該主室と連通する副室を有した燃焼室と、前記副室内で燃焼を誘導する点火装置とを備える副室式ガスエンジンに適用される燃焼安定化装置であって、
    前記副室にガス燃料を供給する副室燃料供給装置と、
    前記副室燃料供給装置から前記副室へのガス燃料の供給量の目標値である目標副室燃料供給量を設定する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、点火後の前記副室の内圧を決定する内圧評価パラメータに応じて前記目標副室燃料供給量を設定し、前記内圧評価パラメータが点火時期である、副室式ガスエンジン用の燃焼安定化装置。
  2. 前記制御装置は、前記内圧評価パラメータに応じて前記目標副室燃料供給量を求めるための制御マップを記憶している、請求項1に記載の副室式ガスエンジン用の燃焼安定化装置。
  3. 点火時期が、前記副室の内圧を圧縮上死点で最大値とする基準点火時期よりも進角されている場合、前記制御装置は、当該点火時期が遅角していればしているほど、前記目標副室燃料供給量を小さくなるよう設定する、請求項1又は2に記載の副室式ガスエンジン用の燃焼安定化装置。
  4. 前記制御装置は、前記基準点火時期に対応して設定される目標副室燃料供給量を最小値とする、請求項に記載の副室式ガスエンジン用の燃焼安定化装置。
  5. 主室及び該主室と連通する副室を有した燃焼室と、前記副室内で燃焼を誘導する点火装置とを備える副室式ガスエンジンに適用される燃焼安定化装置であって、
    前記副室にガス燃料を供給する副室燃料供給装置と、
    前記副室燃料供給装置から前記副室へのガス燃料の供給量の目標値である目標副室燃料供給量を設定する制御装置と、
    前記副室燃料供給装置から供給されるガス燃料の性状として、前記ガスエンジンでのノッキングの生じにくさを示すノッキング抵抗指数を検出する性状検出器と、を備え、
    前記制御装置は、点火後の前記副室の内圧を決定する内圧評価パラメータ、及び前記性状検出器により検出されたノッキング抵抗指数に応じて目標副室燃料噴射量を設定し、ノッキング抵抗指数が低ノッキング抵抗性を示していればいるほど前記目標副室燃料噴射量を小さくする副室式ガスエンジン用の燃焼安定化装置。
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