JP5875119B2 - 有機電界発光素子 - Google Patents
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Description
この有機EL素子は、発光性有機化合物を発光層に用いた発光素子であるため、軽量かつフレキシブル、そして安価で大面積のフルカラー表示が可能なディスプレイとして応用が期待されている。
そのため、発光層には、これら3つの機能を満たす材料が必要不可欠であり、通常、その材料としては、これら3つの機能を発揮するキャリア輸送性発光材料や、3つの機能を補うために複数種の有機物を混合させたキャリア輸送材料/発光材料が用いられている。
ところで、発光層用の発光材料には、単純に目的の蛍光波長および高い量子収率を持つものを用いればよいというわけではなく、特定の蛍光色素に適したキャリア輸送材料の選定を行う必要がある。この理由は、キャリア輸送材料中に輸送されたキャリアが再結合し、そこで生じる励起エネルギーがキャリア輸送材料中にドープされている蛍光色素の発光を誘起するためである。
そのため、発光材料/キャリア輸送材料の各成分のHOMO/LUMOのエネルギー準位の相互関係、あるいは、それらの効率的なエネルギー移動の組み合せの選定が、デバイスの駆動や発光効率の向上に努めるために必要不可欠な課題となってくる。
これは、1987年、Kodak社のTangらによって報告された機能性分離薄膜積層型有機EL素子(以下、薄膜積層型有機EL素子)を起源とし、現在においては、陰極/電子注入層/電子輸送層/正孔ブロック層/発光層/電子ブロック層/正孔輸送層/正孔注入層/陽極等の各機能を有する材料を幾層にも張り合わせた薄膜積層型有機EL素子の開発が進められてきている。
また、薄膜積層型有機EL素子とは別の手法として、非特許文献1に開示されているような、高分子発光材料中に有機塩を添加して、キャリアの注入効率を向上させることで、低駆動電圧および高輝度の発光素子が得られることが報告されている。
この劣化を防ぐためには、電極表面の水分、酸素や、構成する有機薄膜に含まれる僅かな不純物等の除去が必要となる。
その具体的な手法としては、有機EL素子を構成する有機物の純度および安定性の向上や、外部からの酸素および水分の混入を防ぐために乾燥剤等を封止する方法が利用されている。
上述した既存の有機EL素子は、これら各有機層の焼付けが素子の劣化の原因になっており、有機EL素子を構成する複数ある有機層のうち一層でも劣化すれば、素子全体の寿命に大きく影響する。
仮に、この劣化した有機層を、例えばカートリッジ等により、交換可能な構造とすれば、新たな有機層を供給し続けることができる結果、有機EL素子を半永久的に駆動できると考えられる。
しかし、上述した既存の有機EL素子のほとんどは、固体の有機薄膜が用いられており、劣化した有機層のみを交換することは非常に困難である。
しかし、非特許文献2に開示されている、発光層を液状化した有機EL素子は、既存の照明やディスプレイに置き換え可能なほどの高い特性を示す有機EL素子とは言い難く、その液体発光層やデバイス構造は、最適化が必要である。
また、非特許文献1における素子構造は、陰極/発光層/正孔注入層/陽極と比較的単純なものとされているが、上述したように高い有機EL特性を向上させるためには、薄膜積層型有機EL構造へと改良する余地が残っている。
そこで、本発明者らは、液状発光層を備えた有機EL素子のEL特性の更なる向上を図るべく鋭意検討を重ねた結果、発光層にイオン性材料を添加することで、より高輝度、低駆動電圧、高発光効率を有する有機電界発光素子(有機EL素子)が得られることを見出し、本発明を完成した。
1. 陽極と、陰極と、これら各極間に介在する、常温で液体の発光層とを備え、前記発光層が、常温で液体のキャリア輸送能および発光能を有する材料とイオン性材料とを含む、または前記発光層が、イオン性材料と常温で液体のキャリア輸送材料と発光材料とを含み、前記キャリア輸送能および発光能を有する材料、または前記キャリア輸送材料が、下記式(3)または(Z2)で示される化合物であることを特徴とする有機電界発光素子、
2. 前記キャリア輸送能および発光能を有する材料、またはキャリア輸送材料が、下記式(5)または(Z3)で示される1の有機電界発光素子、
4. 前記イオン性材料が、式[1]で示される化合物を含む1〜3のいずれかの有機電界発光素子、
(An+)i(Bm-)j [1]
〔式中、An+は、n(nは1〜10の整数を表す)価のカチオン成分であって、金属イオン、または窒素原子、リン原子、硫黄原子もしくは酸素原子を含むオニウムイオンを表し、Bm-は、m(mは1〜10の整数を表す)価のアニオン成分であって、ハロゲン化物イオン、オキソ酸アニオン、ホウ素原子を含むアニオン、リン原子を含むアニオン、イミド系アニオンを表す。iおよびjは、それぞれ1〜100の整数、かつ、式[1]で表されるイオン性材料が電気的中性となる整数である。〕
5. 前記イオン性材料が、発光層中に、0.01〜50質量%含まれる1〜4のいずれかの有機電界発光素子、
6. 前記発光層を含む少なくとも3層の機能層を備える機能分離型薄膜構造を有する1〜5のいずれかの有機電界発光素子、
7. 前記機能層として、前記陰極および発光層の間に介在するホールブロック層を有する6の有機電界発光素子、
8. 前記ホールブロック層が、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属酸化窒化物、高分子化合物を含む7の有機電界発光素子、
9. 前記ホールブロック層が、Ti,Zr,Ba,Ca,Sr,Yb,Al,Ga,In,Li,Na,Cd,Mg,Si,TaおよびSbから選ばれる金属元素を少なくとも1種含む、酸化物、窒化物、硫化物および酸化窒化物から選ばれる1種または2種以上を含む8の有機電界発光素子
を提供する。
この有機電界発光素子は、駆動時および非駆動時ともに発光層が液状を維持し得る。このため、発光層が劣化した場合に、発光層のみを交換する構成(例えば、カートリッジ、循環による抜き出し・再注入)とすることも可能である。
また、発光層が液体であることから、塗布プロセスを用いて素子を製造することができるため、大面積の照明素子にも応用可能である。
さらに、既存の固体の有機薄膜からなる有機EL素子よりも、フレキシビリティーの高い表示素子の作製も可能になる。
本発明に係る有機電界発光素子は、陽極と、陰極と、これら各極間に介在する、常温で液体の発光層とを備え、この発光層が、イオン性材料を含むものである。
ここで、常温とは、JIS Z 8703で規定されている、20℃±15℃(5〜35℃)の範囲を意味する。
なお、物質によっては、キャリア輸送能および発光能の両機能を明確に分離できず、例えば、カルバゾール、トリアリールアミン、炭素縮合環系色素等の中には、両機能を併せ持つものも存在する。
本発明では、発光層全体として液体の性状を示す限りにおいて、このような両機能を併せ持つ物質を用いることができ、また、液状を示すものであれば、それ単独で用いることもできる。
これらの中でも、優れた正孔輸送性能を有するという点から、カルバゾールが好ましい。
この場合、アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖状のアルキル基を用いた場合、アルキル鎖同士のパッキング等の分子間相互作用により、結晶性の向上や粘度の増加が考えられるため、分岐状のアルキル基がより好ましい。
このような炭素数1〜30のアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、c−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、c−ブチル、n−ペンチル、1−メチル−n−ブチル、2−メチル−n−ブチル、3−メチル−n−ブチル、1,1−ジメチル−n−プロピル、c−ペンチル、2−メチル−c−ブチル、n−ヘキシル、1−メチル−n−ペンチル、2−メチル−n−ペンチル、1,1−ジメチル−n−ブチル、1−エチル−n−ブチル、1,1,2−トリメチル−n−プロピル、c−ヘキシル、1−メチル−c−ペンチル、1−エチル−c−ブチル、1,2−ジメチル−c−ブチル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシル基等が挙げられる。
本発明においては、特に、エーテル結合を含む炭素数1〜30のアルキル基を採用することで、イオン性材料をよく溶かすキャリア輸送材料とすることができる。
、CH2OC(CH3)2(CH2)2CH3、CH2OCH(CH2CH3)(CH2)2CH3、CH2OC(CH3)2CH(CH3)CH3、CH2O(CH2)6CH3、CH2O(CH2)7CH3、CH2OCH2CH(CH2CH3)(CH2)3CH3、CH2O(CH2)8CH3、CH2O(CH2)9CH3、CH2O(CH2)10CH3、CH2O(CH2)11CH3、CH2O(CH2)12CH3、CH2O(CH2)13CH3、CH2O(CH2)14CH3、CH2O(CH2)15CH3、CH2O(CH2)16CH3、CH2O(CH2)17CH3、CH2O(CH2)18CH3、CH2O(CH2)19CH3、CH2CH2OCH3、CH2CH2OCH2CH3、CH2CH2O(CH2)2CH3、CH2CH2OCH(CH3)2、CH2CH2O(CH2)3CH3、CH2CH2OCH2CH(CH3)2、CH2CH2OC(CH3)3、CH2CH2O(CH2)4CH3、CH2CH2OCH(CH3)(CH2)2CH3、CH2CH2OCH2CH(CH3)CH3、CH2CH2O(CH2)2CH(CH3)CH3、CH2CH2OC(CH3)2CH3、CH2CH2OCH(CH3)(CH2)3CH3、CH2CH2O(CH2)5CH3、CH2CH2OCH(CH3)(CH2)3CH3、CH2CH2OCH2CH(CH3)(CH2)2CH3、CH2CH2O(CH2)2CH(CH3)CH2CH3、CH2CH2O(CH2)3CH(CH3)CH3、CH2CH2OC(CH3)2(CH2)2CH3、CH2CH2OCH(CH2CH3)(CH2)2CH3、CH2CH2OC(CH3)2CH(CH3)CH3、CH2CH2O(CH2)6CH3、CH2CH2O(CH2)7CH3、CH2CH2OCH2CH(CH2CH3)(CH2)3CH3、CH2CH2O(CH2)8CH3、CH2CH2O(CH2)9CH3、CH2CH2O(CH2)10CH3、CH2CH2O(CH2)11CH3、CH2CH2O(CH2)12CH3、CH2CH2O(CH2)13CH3、CH2CH2O(CH2)14CH3、CH2CH2O(CH2)15CH3、CH2CH2O(CH2)16CH3、CH2CH2O(CH2)17CH3、CH2CH2O(CH2)18CH3、CH2CH2O(CH2)19CH3、CH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2OCH2CH3、CH2CH2CH2O(CH2)2CH3、CH2CH2CH2OCH(CH3)2、CH2CH2CH2O(CH2)3CH3、CH2CH2CH2OCH2CH(CH3)2、CH2CH2CH2OC(CH3)3、CH2CH2CH2O(CH2)4CH3、CH2CH2CH2OCH(CH3)(CH2)2CH3、CH2CH2CH2OCH2CH(CH3)CH3、CH2CH2CH2O(CH2)2CH(CH3)CH3、CH2CH2CH2OC(CH3)2CH3、CH2CH2CH2OCH(CH3)(CH2)3CH3、CH2CH2CH2O(CH2)5CH3、CH2CH2CH2OCH(CH3)(CH2)3CH3、CH2CH2CH2OCH2CH(CH3)(CH2)2CH3、CH2CH2CH2O(CH2)2CH(CH3)CH2CH3、CH2CH2CH2O(CH2)3CH(CH3)CH3、CH2CH2CH2OC(CH3)2(CH2)2CH3、CH2CH2CH2OCH(CH2CH3)(CH2)2CH3、CH2CH2CH2OC(CH3)2CH(CH3)CH3、CH2CH2CH2O(CH2)6CH3、CH2CH2CH2O(CH2)7CH3、CH2CH2CH2OCH2CH(CH2CH3)(CH2)3CH3、CH2CH2CH2O(CH2)8CH3、CH2CH2CH2O(CH2)9CH3、CH2CH2CH2O(CH2)10CH3、CH2CH2CH2O(CH2)11CH3、CH2CH2CH2O(CH2)12CH3、CH2CH2CH2O(CH2)13CH3、CH2CH2CH2O(CH2)14CH3、CH2CH2CH2O(CH2)15CH3、CH2CH2CH2O(CH2)16CH3、CH2CH2CH2O(CH2)17CH3、CH2CH2CH2O(CH2)18CH3、CH2CH2CH2O(CH2)19CH3、CH2CH2OCH2CH2OCH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3、CH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH3、
CH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH3基等や、下記式で示される基などが挙げられる。
エステル結合を含んでいる上記アルキル基の具体例としては、上記エーテル結合を含んでいるアルキル基の酸素原子(O)を、C(O)OまたはOC(O)に代えた基等が挙げられる。
炭酸エステル結合を含んでいる上記アルキル基の具体例としては、上記エーテル結合を含んでいるアルキル基の酸素原子(O)を、OC(O)Oに代えた基等が挙げられる。
アミド結合を含んでいる炭素数1〜30のアルキル基の具体例としては、上記エーテル結合を含んでいるアルキル基の酸素原子(O)を、C(O)NHまたはNHC(O)に代えた基等が挙げられる。
CH2O(CH2)18CH3、CH2O(CH2)19CH3、CH2CH2O(CH2)5CH3、CH2CH2OCH(CH3)(CH2)3CH3、CH2CH2OCH2CH(CH3)(CH2)2CH3、CH2CH2O(CH2)2CH(CH3)CH2CH3、CH2CH2O(CH2)3CH(CH3)CH3、CH2CH2OC(CH3)2(CH2)2CH3、CH2CH2OCH(CH2CH3)(CH2)2CH3、CH2CH2OC(CH3)2CH(CH3)CH3、CH2CH2O(CH2)6CH3、CH2CH2O(CH2)7CH3、CH2CH2OCH2CH(CH2CH3)(CH2)3CH3、CH2CH2O(CH2)8CH3、CH2CH2O(CH2)9CH3、CH2CH2O(CH2)10CH3、CH2CH2O(CH2)11CH3、CH2CH2O(CH2)12CH3、CH2CH2O(CH2)13CH3、CH2CH2O(CH2)14CH3、CH2CH2O(CH2)15CH3、CH2CH2O(CH2)16CH3、CH2CH2O(CH2)17CH3、CH2CH2O(CH2)18CH3、CH2CH2O(CH2)19CH3、CH2CH2CH2O(CH2)5CH3、CH2CH2CH2OCH(CH3)(CH2)3CH3、CH2CH2CH2OCH2CH(CH3)(CH2)2CH3、CH2CH2CH2O(CH2)2CH(CH3)CH2CH3、CH2CH2CH2O(CH2)3CH(CH3)CH3、CH2CH2CH2OC(CH3)2(CH2)2CH3、CH2CH2CH2OCH(CH2CH3)(CH2)2CH3、CH2CH2CH2OC(CH3)2CH(CH3)CH3、CH2CH2CH2O(CH2)6CH3、CH2CH2CH2O(CH2)7CH3、CH2CH2CH2OCH2CH(CH2CH3)(CH2)3CH3、CH2CH2CH2O(CH2)8CH3、CH2CH2CH2O(CH2)9CH3、CH2CH2CH2O(CH2)10CH3、CH2CH2CH2O(CH2)11CH3、CH2CH2CH2O(CH2)12CH3、CH2CH2CH2O(CH2)13CH3、CH2CH2CH2O(CH2)14CH3、CH2CH2CH2O(CH2)15CH3、CH2CH2CH2O(CH2)16CH3、CH2CH2CH2O(CH2)17CH3、CH2CH2CH2O(CH2)18CH3、CH2CH2CH2O(CH2)19CH3、CH2CH2OCH2CH2OCH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3、CH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH3、CH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH3、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH3基等、並びにこれらの基の酸素原子(O)を、硫黄原子(S)に代えた基、C(O)OまたはOC(O)に代えた基、OC(O)Oに代えた基、およびC(O)NHまたはNHC(O)に代えた基等が好適である。
ここで、‘アルキル基’という用語は、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシルのような線状、分岐型、環状アルキルを含み、これは上記一般式(1)の融点を降下させる官能基(Y)に相当し、その具体例および好適例は上述のとおりである。
芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
これらの点から、下記化合物(X3)が好ましく、化合物(3)がより好ましく、化合物(4)または化合物(5)がより一層好ましいが、これらに限定されるものではない。
このような、キャリア輸送材料としては、従来公知の材料から適宜選択すればよく、例えば、(トリフェニルアミン)ダイマー誘導体(TPD)、(α−ナフチルジフェニルアミン)ダイマー(α−NPD)、[(トリフェニルアミン)ダイマー]スピロダイマー(Spiro−TAD)等のトリアリールアミン類、4,4’,4”−トリス[3−メチルフェニル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(m−MTDATA)、4,4’,4”−トリス[1−ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(1−TNATA)等のスターバーストアミン類;5,5”−ビス−{4−[ビス(4−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−2,2’:5’,2”ターチオフェン(BMA−3T)等のオリゴチオフェン類、ポリビニルカルバゾール類などの正孔輸送材料;Alq3、BAlq、DPVBi、(2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)(PBD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、バソクプロイン(BCP)、シロール誘導体などの電子輸送材料が挙げられる。
これらの中でも、発光効率に優れるという点から、ルブレン誘導体が好ましい。
上記色素部およびアルキル基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
具体的な発光材料としては、例えば、発光特性に優れる炭素縮合環系色素である、下記ピレン誘導体(Z1)が挙げられる。
これらの点から、下記化合物(Z3)が好ましいが、これに限定されるものではない。
このような、発光材料としては、従来公知の材料から適宜選択すればよく、例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)(Alq3)、ビス(8−キノリノラート)亜鉛(II)(Znq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)(BAlq)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)等が挙げられる。
その具体例としては、下記式[1]で示される化合物が挙げられる。
(An+)i(Bm-)j [1]
上記式中、An+は、n(nは1〜10の整数を表す)価のカチオン成分であって、金属イオン、または窒素原子、リン原子、硫黄原子もしくは酸素原子を含むオニウムイオンを表し、Bm-は、m(mは1〜10の整数を表す)価のアニオン成分であって、ハロゲン化物イオン、オキソ酸アニオン、ホウ素原子を含むアニオン、リン原子を含むアニオン、イミド系アニオンを表す。iおよびjは、それぞれ1〜100の整数、かつ、式[1]で表されるイオン性材料が電気的中性となる整数である。
リン原子を含むオニウムイオンとしては、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラ(n−ブチル)ホスホニウムカチオン等のテトラアルキルホスホニウムカチオン;PH4 +などが挙げられる。
硫黄原子を含むオニウムイオンとしては、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリ(n−ブチル)スルホニウムカチオン等のトリアルキルスルホニウムカチオンなどが挙げられる。
酸素原子を含むオニウムイオンとしては、トリメチルオキソニウムカチオン、トリエチルオキソニウムカチオン、トリ(n−ブチル)オキソニウムカチオン等のトリアルキルオキソニウムカチオンなどが挙げられる。
オキソ酸アニオンとしては、ホウ酸アニオン、炭酸アニオン、酢酸アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオンなどが挙げられる。
ホウ素原子を含むアニオンとしては、BF4 -;テトラメチルボレート、テトラエチルボレート等のテトラアルキルボレート;テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のテトラアリールボレートなどが挙げられる。
リン原子を含むアニオンとしては、PF6 -などが挙げられる。
イミド系アニオンとしては、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン等のビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンなどが挙げられる。
発光材料やキャリア輸送材料と、イオン性材料とを混合する手法は任意であるが、固体の成分を使用する場合、液体成分に固体成分を混合する手法が好適である。
例えば、陽極材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)に代表される透明電極や、高電荷輸送性を有するポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体などを用いることができる。
陰極材料としては、アルミニウム、マグネシウム−銀合金、アルミニウム−リチウム合金、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、セシウム添加ITOなどを用いることができる。
このような機能層としては、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、キャリアブロック層(ホールブロック層、電子ブロック層)などが挙げられる。
また、正孔注入層は、正孔輸送層と陽極との間に設けられ、陽極からの正孔注入効率を高める機能を有する層である。
正孔注入層を形成する材料としては、銅フタロシアニン、4,4’,4”−トリス[3−メチルフェニル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(m−MTDATA)等が挙げられる。
電子注入層は、電子輸送層と陰極との間に設けられ、陰極からの電子注入効率を高める機能を有する層である。
このような電子注入層を形成する材料としては、酸化リチウム(Li2O)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al2O3)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、Li(acac)、酢酸リチウム、安息香酸リチウム等が挙げられる。
このホールブロック層に使用可能な材料は、液状発光層からの正孔の移動を阻害でき、さらに液状発光層に不溶な電子輸送性材料であれば特に限定されることはなく、一般的にホールブロック層に用いられる、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属酸化窒化物、高分子化合物から選ばれる1種または2種以上が好ましい。
金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属酸化窒化物としては、例えば、Ti,Zr,Ba,Ca,Sr,Yb,Al,Ga,In,Li,Na,Cd,Mg,Si,TaおよびSbから選ばれる金属元素を少なくとも1種含む、酸化物、窒化物、硫化物および酸化窒化物が挙げられ、これらの中でも、酸化チタン、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、硫化カドミウム等がより好ましい。
高分子化合物としては、例えば、アニリン系共重合体、オリゴまたはポリチオフェン、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが挙げられる。
ホールブロック層の膜厚は、十分なホールブロック能を確保し、かつ駆動電圧の上昇を防ぐという観点から、1〜1000nm程度が好ましく、より好ましくは5〜50nm程度である。
図1には、本発明の一実施形態に係る電界発光素子である、有機EL素子1が示されている。
この有機EL素子1は、陽極10と、陽極10上に積層された正孔注入層30と、陰極20と、陰極20上に積層されたホールブロック層40と、これら正孔注入層30およびホールブロック層40間に介在する、常温で液体かつイオン性材料を含む発光層50(以下、液体発光層50という)とを備えている。
一方、陰極20は、ガラス基板13と、この上に成膜されたITO基板14とから構成されている。
また、ホールブロック層40は酸化チタンから構成され、正孔注入層30は、PEDOT:PSS膜から構成されている。
まず、陽極10上に、PEDOT:PSSをスピンコート法によって塗布し、これを加熱して正孔注入層30を成膜する。
一方、ガラス基板13およびITO基板14の積層体上に、酸化チタンをスパッタ法によって積層し、ホールブロック層40を成膜する。
続いて、陽極10(正孔注入層30)上に、ルブレンとTBAPF6を所定量含有する9−(2−エチルヘキシル)カルバゾール(EHCz)液を滴下して液体発光層50を形成し、その上にホールブロック層40を積層した陰極20を適切な圧力で押しつけて有機EL素子1を得る。
また、各層の成膜方法も上記実施形態の手法に限定されるものではなく、用いる材料に応じて、蒸着法、スプレー法、インクジェット法、スパッタリング法等の公知の手法を適宜採用することができる。
さらに、ホールブロック層や正孔注入層等は必要に応じて形成される層であり、例えば、図2に示されるように、ホールブロック層を有しない有機EL素子2のような構成を採用することもできる。
なお、実施例で用いた測定装置は以下のとおりである。
(1)電流−電圧−輝度特性
フォトディテクター付き半導体パラメーターアナライザー(アジレント社製、B1500A)と光パワー−メーター(ニューポート、1930C)によって計測した。
(2)EL発光スペクトル
マルチチャンネル分光器(PMA−11,浜松ホトニクス(株)製)によって計測した。
(3)1H−NMR
装置:AVANCE 500、Bruker社製
装置:JNM−LA400、日本電子データム(株)製
(4)マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析
マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析装置(MALDI−TOF−MS)、Autoflex−III.Bruker Daltonics社製
(5)原子間力顕微鏡(AFM)
装置:走査型プローブ顕微鏡(JSPM−5400,JEOL社製)
(6)交流電圧印加時の電圧−輝度特性
交流電源(エー・アンド・デー社製、SWEEP FUNCTION GENERATOR AD−8623)で発生させたシグナルを電圧増幅器(エヌエフコーポレーション社製、HIGH SPEED BIPOLAR AMPLIFIER 4101)で増幅し、EL素子に印加することで駆動させた。輝度は光パワー−メーター(ニューポート、1930C)で、電圧はオシロスコープ(アジレント社製、MSO6104A)で測定した。
[実施例1]
室温で液体状のホスト化合物として9−(2−エチルヘキシル)カルバゾール(以下、EHCz)83.2質量部に、合成例3で得られたゲスト化合物2 16.7質量部、イオン性材料であるテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェイト(以下、TBAPF6)0.1質量部を加え、ゲスト化合物2およびTBAPF6をEHCz中に完全に溶解させて液体発光材料を調製した。
界面活性剤、純水、イソプロパノールの順で超音波洗浄し、UV/オゾン処理(フィルゲン社製、UV253S)を12分間施したITOガラス基板を2枚用意した。
一方のITO12付きガラス基板11に、PEDOT:PSS(バイエル社製、PI4083)を3000rpmの回転数で30秒間スピンコートして成膜した後、200℃,10分間、大気中で加熱し、ホール注入層30がITO12上に成膜された陽極側基板10を得た。
次に、もう一方のITO14付きガラス基板13からなる陰極側基板20をグローブボックス中に入れ、先に調製した液体発光材料をITO14が成膜された側に少量滴下し、PEDOT:PSSが成膜されたITO陽極側基板10と挟みこみ、クリップ(図示省略)で固定することで、図2に示されるような、ガラス基板/ITO(陽極)/PEDOT:PSS40nm/液体発光層/ITO(陰極)/ガラス基板からなるEL素子2を作製した。素子面積は2mm×2mmである。
図3および図4に示されるように、発光は18.0Vから観測され、62.0V印加時に0.99mA/cm2の電流密度、2.3cd/m2の最大輝度、そして0.051%のEL外部量子効率が得られた。また、531nmに発光ピークを有する緑色の電界発光が得られた。
液体発光材料にTBAPF6を添加しない以外は実施例1と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。結果を図3,4に示す。
このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ1100nmであった。図3および4に示されるように、発光は34.1Vから観測され、79V印加時に0.95mA/cm2の電流密度、0.015cd/m2の最大輝度、0.00034%のEL外部量子効率が得られ、実施例1と同様に531nmに発光ピークを有する緑色発光が得られた。
EHCz98.9質量部に、ゲスト化合物として5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン(以下、ルブレン)1.0質量部、TBAPF60.1質量部加え、ルブレンおよびTBAPF6をEHCz中に完全に溶解させることで液体発光材料を作製した。
上記液体発光材料を用いた以外は、実施例1と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。結果を図5および図6に示す。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ380nmであった。
図5および図6に示されるように、発光は6.6Vから観測され、15.0V印加時に0.11mA/cm2の電流密度、0.034cd/m2の最大輝度、0.014%のEL外部量子効率が得られ、557nmの発光ピークを有するオレンジ色発光が得られた。
液体発光材料にTBAPF6を添加しない以外は実施例2と同様にEL素子を作製し、同様に評価を行った。結果を図5,6に示す。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ530nmであった。
図5および図6に示されるように、発光は40.1Vから観測され、93.2V印加時に0.21mA/cm2の電流密度、0.023cd/m2の最大輝度、0.0048%のEL外部量子効率が得られ、実施例2と同様に557nmの発光ピークを有するオレンジ色発光が得られた。
[実施例3]
液体発光材料にゲスト化合物1を添加しない以外は実施例1と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。結果を図7および図8に示す。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ800nmであった。
図7および図8に示されるように、このデバイスでは、発光は15.8Vから観測され、80.6V印加時に1.5mA/cm2の電流密度と0.13cd/m2の最大輝度、71.4V印加時に0.96mA/cm2の電流密度と0.017%のEL外部量子効率が得られ、476nmに発光ピークを有する青色発光が得られた。
液体発光材料にTBAPF6を添加しない以外は実施例3と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ900nmであった。図7に示されるように、このデバイスでは、100V印加時に0.11mA/cm2の電流密度を得たが、発光は観測されなかった。
合成例1で得られた液状ホスト化合物EHPy99.9質量部およびTBAPF60.1質量部からなる液体発光材料を用いた以外は、実施例1と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。結果を図9および図10に示す。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ1150nmであった。
図9および図10に示されるように、発光は18.4Vから観測され、64.4V印加時に146mA/cm2の電流密度、416cd/m2の最大輝度、46.8V印加時に2.9mA/cm2の電流密度と0.13%の最大のEL外部量子効率が得られ、486nmにピークを有する青緑色の電界発光が得られた。
TBAPF6を添加しない以外は実施例4と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。結果を図9および図10に示す。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ690nmであった。
図9および図10に示されるように、電界発光は60.8Vから観測され、100V印加時に0.067mA/cm2の電流密度と0.58cd/m2の最大輝度、0.23%のEL外部量子効率が得られ、実施例4と同様に486nmに発光ピークを有する青緑色の電界発光が得られた。
[実施例5]
ホスト化合物として合成例1で得られたEHCz92.7質量部、ゲスト化合物として合成例2で得られたIr(ehppy)3(ゲスト化合物1)7.2質量部、およびTBAPF60.1質量部からなる液体発光材料を用いた以外は実施例1と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。結果を図11および図12に示す。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ1230nmであった。
図11および図12に示されるように、発光は44.8Vから観測され、93.6V印加時に1.3mA/cm2の電流密度、2.9cd/m2の最大輝度、0.052%の最大のEL外部量子効率が得られ、559nmに発光ピークを有するオレンジ色の電界発光が得られた。
TBAPF6を添加しない以外は実施例5と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ930nmであった。このデバイスからは、図11に示されるように、100V印加時に0.19mA/cm2の電流密度を得たが、発光は観測されなかった。
[実施例6]
ホスト化合物として下記式で示されるCz−TEG89.9質量部、ゲスト化合物として下記式で示されるゲスト化合物3(アメリカンダイソース社製)10.0質量部およびTBAPF60.1質量部からなる液体発光材料を用いた以外は実施例1と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。結果を図13および図14に示す。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ1090nmであった。
図13および図14に示されるように、発光は16.0Vから観測され、40.0V印加時に0.52mA/cm2の電流密度、0.25cd/m2の最大輝度、0.074%のEL外部量子効率が得られ、419nmに発光ピークを有する青色の発光が得られた。
なお、Cz−TEGはSynthetic Metals,89(3),171(1997)に記載の方法を参考に合成した。
Cz−TEG69.9質量部、ゲスト化合物として下記式で示されるゲスト化合物4(アメリカンダイソース社製)30.0質量部、TBAPF60.1質量部からなる液体発光材料を用いた以外は実施例1と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。結果を図15および図16に示す。
このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ1090nmであった。図15および図16に示されるように、発光は15.8Vから観測され、40.0V印加時に0.17mA/cm2の電流密度、0.83cd/m2の最大輝度、0.24%のEL外部量子効率が得られ、470nmの発光ピークを有する青色の発光が得られた。
Cz−TEGを79.9質量部、ゲスト化合物として下記式で示されるゲスト化合物5(アメリカンダイソース社製)20.0質量部、TBAPF60.1質量部からなる液体発光材料を用いた以外は実施例1と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。結果を図17および図18に示す。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ390nmであった。
図17および図18に示されるように、発光は3.6Vから観測され、20.0V印加時に1.35mA/cm2の電流密度、7.0cd/m2の最大輝度、0.23%のEL外部量子効率が得られ、514nmの発光ピークを有する緑色の発光が得られた。
[実施例9]
界面活性剤、純水、イソプロパノールの順で超音波洗浄し、UV/オゾン処理(フィルゲン社製、UV253S)を12分間ほどこしたITOガラス基板を2枚用意した。
一方のITO12付きガラス基板11にPEDOT:PSS(バイエル社製、PI4083)を3000rpmの回転数で30秒間スピンコートして成膜した後、200℃,10分間、大気中で加熱してホール注入層30がITO12上に成膜された陽極側基板10を得た。
次に、もう一方のITO14付きガラス基板13のITO14側に、TiO2をスパッタ法により10nmの膜厚で成膜し、ホールブロック層40が形成された、陰極側基板20を得た。このホールブロック層40の上に、実施例1と同様の液体発光材料を少量滴下し、PEDOT:PSSが成膜された陽極側基板10と挟みこみ、クリップ(図示省略)で固定することで、図1に示されるような、ガラス基板/ITO(陽極)/PEDOT:PSS40nm/液体発光層/TiO2(ホールブロック層)10nm/ITO(陰極)/ガラス基板からなるEL素子1を作製した。素子面積は2mm×2mmである。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ1100nmであった。実施例1と同様に、電流密度、輝度、電圧、ELの外部量子効率、発光スペクトルを評価した。結果を図19および図20に示す。
図19および図20に示されるように、発光は15.0Vから観測され、100V印加時に3.72mA/cm2の電流密度、76.8cd/m2の最大輝度、0.37%の最大のEL外部量子効率が得られ、実施例1と同様に531nmの発光ピークを有する緑色の電界発光が得られた。
EHCz98.9質量部、ゲスト化合物としてルブレン1.0質量部およびTBAPF60.1質量部からなる液体発光材料を用いた以外は実施例9と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。結果を図21および図22に示す。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ1210nmであった。
図21および図22に示されるように、発光は15.6Vから観測され、47.2V印加時に0.64mA/cm2の電流密度、5.0cd/m2の最大輝度、0.16%の最大のEL外部量子効率が得られ、実施例2と同様に558nmをピークとするオレンジ色の電界発光が得られた。
EHCz99.9質量部およびTBAPF60.1質量部からなる液体発光材料を用いた以外は、実施例9と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。結果を図23および図24に示す。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ620nmであった。
図23および図24に示されるように、発光は9.6Vから観測され、66.6V印加時に8.5mA/cm2の電流密度、5.7cd/m2の最大輝度、0.10%の最大のEL外部量子効率が得られ、実施例3と同様に474nmを発光ピークとする青色の電界発光が得られた。
[実施例12]
EHCz99.9質量部、イオン性材料として、イオン性液体である1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、BMPyTFSI)を0.1質量部からなる液体発光材料を用いた以外は実施例9と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。結果を図25および図26に示す。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ960nmであった。
図25および図26に示されるように、発光は27.6Vから観測され、96.8V印加時に6.67mA/cm2の電流密度、0.23cd/m2の最大輝度、0.013%の最大のEL外部量子効率が得られ、453nmをピークとする青色の電界発光が得られた。
EHCz98.9質量部、ルブレン1.0質量部、BMPyTFSI0.1質量部かなる液体発光材料を用いた以外は、実施例9と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ960nmであった。
図27および図28に示されるように、発光は7.6Vから観測され、45.2V印加時に1.56mA/cm2の電流密度、32.5cd/m2の最大輝度、0.44%の最大のEL外部量子効率が得られ、557nmをピークとするオレンジ色の電界発光が得られた。
[実施例14]
EHCz99.0質量部、BMPyTFSI1.0質量部からなる液体発光材料を用いた以外は、実施例12と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ1030nmであった。
また、発光は19.0Vから観測され、67.6V印加時に3.50mA/cm2の電流密度、1.7cd/m2の最大輝度、0.20%の最大のEL外部量子効率が得られ、451nmをピークとする青色の電界発光が得られた。
EHCzを90.0質量部、BMPyTFSI10.0質量部からなる液体発光材料を用いた以外は、実施例12と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ1050nmであった。
また、発光は11.2Vから観測され、44.4V印加時に3.54mA/cm2の電流密度、0.20cd/m2の最大輝度、0.035%の最大のEL外部量子効率が得られ、443nmをピークとする青色の電界発光が得られた。
[実施例16]
実施例14の液体発光材料を用い、実施例14と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ880nmであった。
イオン性液体として、1−n−プロピル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いた以外は、実施例16と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ840nmであった。
イオン性液体として、トリブチルメチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いた以外は、実施例16と同様にEL素子を作製し、同様の評価を行った。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ750nmであった。
[実施例19]
実施例9において、TiO2の膜厚を0nmから20nmまで変化させてEL素子を作製し、実施例9と同様に評価した。
実施例10において、TiO2の膜厚を0nmから20nmまで変化させてEL素子を作製し、実施例10と同様に評価した。
また、実施例19および実施例20で作製したEL素子における、ITO陰極上のTiO2層の原子間力顕微鏡(AFM)にて観察した。得られたAFM像を図32に示す。
図32の(i)と(ii)に示されるように、ITO陰極自体の膜の高低差は2nm程度なのに対して、10nm以下の膜厚を有するTiO2層の場合は、そのTiO2層の高低差が8nm程度であることから、TiO2層がITO陰極上に完全に被腹されておらず、ドット状の膜質になっていることがわかる。それゆえ、TiO2層が8nm以下である場合、ホールのブロック効果は不十分である。
一方で、図32(iii)に示されるように、TiO2膜の高低差は10nm以上の膜厚になっても増加せず、8nm程度とほぼ一定の値を保つ。このことから10nm以上の膜厚では少なくとも、ITO陰極上はTiO2層で完全に被腹されていることがわかる。それゆえ、TiO2層の膜厚が10nm以上の場合は、良好なホールブロック機能が達成されるため、キャリアの再結合確率が改善し、電界発光の外部量子収率が向上していることがわかる。
[実施例21]
EHPy99.9質量部およびTBAPF60.1質量部からなる液体発光材料を、10μmのギャップを有するITOセル(EHC社製)の側面に図33(i)に示すように滴下した。10μmのギャップを有するITOセル間を上記液体発光材料が毛細管現象によって移動する様子を、UVライトにより液体発光材料を発光させながら確認したところ、液体発光材料は図33(ii)〜(v)のように上側から下側に約0.2mm/分の速度で移動した。
滴下後5分後、液体発光材料は図33(ii)の状態になり、この際、2枚のITO電極間に170Vの電圧を印加したところ、図33(vi)のように発光は観測されなかった。
滴下後10分後、液体発光材料は図33(iii)の状態になり、この際、2枚のITO電極間に170Vの電圧を印加したところ、図33(vii)のようにITO電極が交差する箇所からのみEHPy由来の青緑色の発光が観測された。
滴下後15分後、液体発光材料は図33(iv)の状態になり、この際、2枚のITO電極間に170Vの電圧を印加したところ、図33(viii)のようにITO電極が交差する箇所全体からEHPy由来の青緑色の発光が観測された。
滴下後30分後、液体発光材料は図33(v)の状態になり、この際、2枚のITO電極間に170Vの電圧を印加したところ、図33(ix)のようにITO電極が交差する箇所全体からEHPy由来の青緑色の発光が観測された。
以上のように、液体発光材料が常に電極間を移動しながら、電界発光が観測されることがわかる。
EHCz83.1質量部、ゲスト化合物2 16.6質量部およびTBAPF60.3質量部からなる液体発光材料を、実施例21と同様の10μmのギャップを有するITOセル(EHC社製)に注入した。
2枚のITO電極間に170Vの電圧を印加したところ、図38(i)の状態になりゲスト化合物2由来の発光が観測された。図38(iv)はその時のPL発光を示した様子である。電圧印加してから5分後、ゲスト化合物2の発光が消失するまで液体発光材料を劣化させた様子を図38(ii)に示している。図38(v)のPL発光においてもITOと接触した部分においては、劣化に由来する発光強度の減少が確認できる。液体発光材料の劣化後、毛細管現象を利用して、新しい液体発光材料を注入させ、170Vの電圧を印加した様子を図38(iii)に示す。これは、劣化した発光材料を新たな液体発光材料で置換することで素子の発光が復元することがわかる。また、図38(vi)のPL発光においては、その劣化した発光材料が流動し、新しい発光材料に置き換わる様子を確認できる。
以上のように、液体発光材料が劣化した後でも新しい液体発光材料を注入することで素子を復元することができる。
[実施例23]
EHPy99.75質量部およびトリブチル(2−メトキシエチル)ホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド0.25質量部からなる液体発光材料を用いた以外は、実施例1と同様にEL素子を作製した。このデバイスの液体発光層の膜厚を誘電率測定の結果から算出したところ1.20±0.06μmであった。作製したEL素子の直流および交流電圧印加時の輝度−電圧特性を測定した。結果を図39に示す。
図39に示されるように、発光は、直流電圧印加時は2.5Vから観測され、10.5V印加時に37.4cd/m2の最大輝度が得られたのに対し、1Hzの交流電圧印加時は2.2Vから発光が観測され、12.0V印加時に115cd/m2の最大輝度が得られた。また、10Hzの交流電圧印加時は10.0Vから発光が観測され、38.0V印加時に92.3cd/m2の最大輝度が得られた。さらに、100Hzの交流電圧印加時は15.0Vから発光が観測され、42.0V印加時に22.8cd/m2の最大輝度が得られた。
以上のように、直流電圧および交流電圧いずれの電圧印加時においても発光が観測されており、交流電圧印加時においても、電界発光が観測されることがわかる。
10 陽極
20 陰極
30 正孔注入層
40 ホールブロック層
50 液体発光層
Claims (9)
- 陽極と、陰極と、これら各極間に介在する、常温で液体の発光層とを備え、
前記発光層が、常温で液体のキャリア輸送能および発光能を有する材料とイオン性材料とを含む、または
前記発光層が、イオン性材料と常温で液体のキャリア輸送材料と発光材料とを含み、
前記キャリア輸送能および発光能を有する材料、または前記キャリア輸送材料が、
下記式(3)または(Z2)で示される化合物であることを特徴とする有機電界発光素子。
- 前記イオン性材料が、液状の有機塩、液状の無機塩、液状のキャリア輸送材料または液状の発光材料に分散可能な有機塩、および液状のキャリア輸送材料または液状の発光材料に分散可能な無機塩から選ばれる1種または2種以上である請求項1または2記載の有機電界発光素子。
- 前記イオン性材料が、式[1]で示される化合物を含む請求項1〜3のいずれか1項記載の有機電界発光素子。
(An+)i(Bm-)j [1]
〔式中、An+は、n(nは1〜10の整数を表す)価のカチオン成分であって、金属イオン、または窒素原子、リン原子、硫黄原子もしくは酸素原子を含むオニウムイオンを表し、Bm-は、m(mは1〜10の整数を表す)価のアニオン成分であって、ハロゲン化物イオン、オキソ酸アニオン、ホウ素原子を含むアニオン、リン原子を含むアニオン、イミド系アニオンを表す。iおよびjは、それぞれ1〜100の整数、かつ、式[1]で表されるイオン性材料が電気的中性となる整数である。〕 - 前記イオン性材料が、発光層中に、0.01〜50質量%含まれる請求項1〜4のいずれか1項記載の有機電界発光素子。
- 前記発光層を含む少なくとも3層の機能層を備える機能分離型薄膜構造を有する請求項1〜5のいずれか1項記載の有機電界発光素子。
- 前記機能層として、前記陰極および発光層の間に介在するホールブロック層を有する請求項6記載の有機電界発光素子。
- 前記ホールブロック層が、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属酸化窒化物、高分子化合物を含む請求項7記載の有機電界発光素子。
- 前記ホールブロック層が、Ti,Zr,Ba,Ca,Sr,Yb,Al,Ga,In,Li,Na,Cd,Mg,Si,TaおよびSbから選ばれる金属元素を少なくとも1種含む、酸化物、窒化物、硫化物および酸化窒化物から選ばれる1種または2種以上を含む請求項8記載の有機電界発光素子。
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