JP2006261576A - 有機el素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高分子の有機発光層に隣接する位置にホールブロック機能や電子輸送機能を備えたバッファ層を設えてなる有機EL素子と、このような有機EL素子を真空プロセスを用いることなく作製できる製造方法とを提供する。
【解決手段】 本発明に係る第一の有機EL素子は、陰極13、有機発光層15、陽極17を順に重ねてなる積層体を少なくとも備えた有機EL素子10であって、陰極13と有機発光層15との間にバッファ層を配してなり、前記バッファ層は酸化チタンの焼結体14であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機EL素子及びその製造方法に係り、より詳細には、有機発光層に隣接する位置に、高い移動度とホールブロック機能と電子注入特性を併せ持つバッファ層を設けてなる有機EL素子、及び、真空プロセスを用いることなく、このバッファ層を形成する有機EL素子の製造方法に関する。
図5は、従来の有機EL素子の一例を示す模式的な断面図である。従来の高分子を用いた有機EL素子にあっては、図5に示すように、高分子の有機発光層をPEDOT/PSSからなる陽極とCaなどの低仕事関数の陰極で挟み込んだ構造が主流である(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
しかしながら、陰極を構成するCaは酸化されやすいことから、酸化されにくい高仕事関数の元素(例えば金属元素)をCaに置換して陰極に用いることが期待されている。
図6は、有機EL素子におけるホール電流損失を説明するエネルギーダイヤグラムを示す図である。図6に示すように、有機発光層が高分子からなる有機EL素子にあっては、陰極にAlやAgなどの高仕事関数の金属が用いられた場合、電子が有機発光層に注入されず、高分子の有機発光層はホール輸送性のものが多いので、結果として過剰ホールが陽極から陰極へ流れてしまい、発光効率の低下を招く虞がある(例えば、非特許文献3、非特許文献4参照)。
図7は、ホールブロック層を導入した有機EL素子における再結合確率増大を説明するエネルギーダイヤグラムを示す図である。上述した陽極から陰極へ流れる過剰ホールの問題を解決するため、図7に示すように、高分子からなる有機発光層上に、ホールブロック機能かつ電子輸送機能をもつ低分子材料を真空蒸着法で成膜する手法が知られている。この手法によれば、ホールの陰極へのリーク電流を減らすとともに電子を高分子の有機発光層に注入しやすくすることが可能となり、ひいてはホールと電子の再結合効率を高め、高効率化を図ることが可能となる(例えば、非特許文献5参照)。
ところで、現状ではホールブロック層や電子輸送層などの形成は、真空蒸着法などのドライプロセス(以下、真空プロセスとも呼ぶ。)を用い、低分子材料を所望の被処理面に堆積させる方法に頼らざるをえず、有機EL素子の大面積化や低コスト化を図るのは困難な状況にあった。
一方、真空プロセスが不要なウェットプロセスを用いてホールブロック層や電子輸送層などを形成する場合は、高分子材料を溶解させた溶液を、下地の有機発光層を溶解させずにその上に付着させる必要があり、材料の選択性が極めて狭いという問題があった。この理由から、高分子の有機発光層をもつ有機EL素子においては、真空プロセスを用いることなく、良好なホールブロック特性や電子注入特性を示す材料を導入して、高効率化が図れたという報告は見られない。
「有機ELディスプレイにおける高輝度・高効率・長寿命化技術」、技術情報協会、第5章、p158〜159(2004) 「有機EL素子とその工業化最前線」、エヌ・ティー・エス、第2編、第4章、第4節、p181〜183 M.A.Baldo,et al,Appl.Phys.Lett.,75,4(1999) C.Adachi,et al,Appl.Phys.Lett.,77,904(2000) T.Ohnishi,et al,American Chemical Society,23,345(1997)
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、高分子の有機発光層に隣接する位置にホールブロック機能や電子輸送機能を備えたバッファ層を設えてなる有機EL素子と、このような有機EL素子を真空プロセスを用いることなく作製できる製造方法とを提供することを目的とする。
本発明に係る第一の有機EL素子は、陰極、有機発光層、陽極を順に重ねてなる積層体を少なくとも備えた有機EL素子であって、前記陰極と前記有機発光層との間にバッファ層を配してなり、前記バッファ層は酸化チタンの焼結体であることを特徴としている。
本発明に係る第二の有機EL素子は、陰極、有機発光層、陽極を順に重ねてなる積層体を少なくとも備えた有機EL素子であって、前記陰極と前記有機発光層との間にバッファ層を配してなり、前記バッファ層は酸化チタンとN型ナノ結晶の混合焼結体であることを特徴としている。
かかる構成の有機EL素子において、前記バッファ層としては酸化チタンの焼結体が好ましい。
また、かかる構成の有機EL素子において、前記バッファ層としては酸化チタンとN型ナノ結晶の混合焼結体が望ましい。
さらに、かかる構成の有機EL素子において、前記陰極は、FTOとITOからなる積層膜、ITOからなる単層膜、又は、銀ペーストからなる単層膜が好適である。
またさらに、かかる構成の有機EL素子において、前記有機発光層は、有機塩を3モル%以下含有してもよい。
かかる構成の有機EL素子において、前記陽極としては高分子透明導電膜が好ましい。
また、かかる構成の有機EL素子において、前記陽極は、前記有機発光層と接している面とは反対側の面上に銀からなるグリッドを配しても構わない。
本発明に係る第一の有機EL素子の製造方法は、陰極、有機発光層、陽極を順に重ねてなる積層体を少なくとも備えた有機EL素子の製造方法であって、前記陰極を形成した後、前記有機発光層を形成する前に、前記陰極と前記有機発光層との間に位置するように酸化チタンの焼結体からなるバッファ層を形成する工程を少なくとも具備したことを特徴としている。
本発明に係る第二の有機EL素子の製造方法は、陰極、有機発光層、陽極を順に重ねてなる積層体を少なくとも備えた有機EL素子の製造方法であって、前記陰極を形成した後、前記有機発光層を形成する前に、前記陰極と前記有機発光層との間に位置するように酸化チタンとN型ナノ結晶の混合焼結体からなるバッファ層を形成する工程を少なくとも具備したことを特徴としている。
かかる構成の有機EL素子の製造方法において、前記有機発光層を形成する工程は、前記バッファ層の上に、有機塩を3モル%以下含有する高分子を塗布することが好ましい。
本発明に係る第一の有機EL素子は、陰極、有機発光層、陽極を順に重ねてなる積層体を少なくとも備えた有機EL素子であって、陰極と有機発光層との間にバッファ層を配してなり、前記バッファ層が酸化チタンの焼結体とした構成からなる。
かかる構成によれば、2つの電極間に電圧が印加されると、陽極側からホールがホール輸送性をもつ有機発光層に注入され、ホッピング移動しながらバッファ層の手前まで輸送される。ここで、バッファ層をなす酸化チタンの焼結体による価電子帯のエネルギー準位と有機発光層のHOMO準位との間には大きなエネルギーギャップが存在することにより、ホールは酸化チタンの焼結体からなるバッファ層によってブロックされるので、ホールの陰極へのリークを抑制することが可能となる。一方、陰極側からバッファ層へ注入された電子は、大きな電子移動度をもつ酸化チタンの焼結体からなるバッファ層を移動し、有機発光層に注入される。その結果、有機発光層とバッファ層の界面の有機発光層側において、ホールと電子が再結合する状態が形成される。
したがって、第一の有機EL素子は、高分子の有機発光層に隣接する位置にホールブロック機能や電子輸送機能を備えたバッファ層を設えたことにより、高効率化と長寿命化が図れる。
本発明に係る第二の有機EL素子は、陰極、有機発光層、陽極を順に重ねてなる積層体を少なくとも備えた有機EL素子であって、前記陰極と前記有機発光層との間にバッファ層を配してなり、前記バッファ層は酸化チタンとN型ナノ結晶の混合焼結体とした構成からなる。
第二の有機EL素子は、バッファ層として酸化チタンの焼結体に代えて、酸化チタンにN型ナノ結晶を加えた混合焼結体を用いた点のみ第一の有機EL素子と相異する。その際、N型ナノ結晶の伝導帯準位が酸化チタンの伝導帯準位と有機発光層のLUMO準位との中間に位置するようなN型ナノ結晶を選択することにより、電子が有機発光層に注入されやすくなる。
したがって、第二の有機EL素子は、高分子の有機発光層に隣接する位置にホールブロック機能や電子輸送機能に加え、電子注入促進機能を備えたバッファ層を設えたことにより、高効率化と長寿命化がより一層図れる。
本発明に係る第一の有機EL素子の製造方法は、陰極、有機発光層、陽極を順に重ねてなる積層体を少なくとも備えた有機EL素子の製造方法であって、前記陰極を形成した後、前記有機発光層を形成する前に、前記陰極と前記有機発光層との間に位置するように酸化チタンの焼結体からなるバッファ層を形成する工程を少なくとも具備している。
かかる構成によれば、熱処理により影響を受けやすい有機発光層を形成する前に、前記陰極と前記有機発光層との間に位置するように酸化チタンの焼結体からなるバッファ層を形成する工程を行う。ゆえに、バッファ層の形成において焼結処理という加熱を伴うプロセスを施すことができ、また焼結処理に関する加熱条件などの設定において広い自由度が確保されるので、所望の機能を備えた酸化チタンの焼結体を安定して製造プロセスを構築できる。したがって、第一の有機EL素子の製造方法は、上述した酸化チタンの焼結体をバッファ層として設けてなる第一の有機EL素子の提供に寄与する。
また、上記バッファ層を形成する工程として、減圧システムを要さない大気雰囲気中における熱処理方法を選択することにより、安価でかつ作業性に優れた製造ラインの提供が可能となるのでより好ましい。
本発明に係る第二の有機EL素子の製造方法は、陰極、有機発光層、陽極を順に重ねてなる積層体を少なくとも備えた有機EL素子の製造方法であって、前記陰極を形成した後、前記有機発光層を形成する前に、前記陰極と前記有機発光層との間に位置するように酸化チタンとN型ナノ結晶の混合焼結体からなるバッファ層を形成する工程を少なくとも具備している。
かかる構成によれば、熱処理により影響を受けやすい有機発光層を形成する前に、前記陰極と前記有機発光層との間に位置するように酸化チタンとN型ナノ結晶の混合焼結体からなるバッファ層を形成する工程を行う。ゆえに、バッファ層の形成において焼結処理という加熱を伴うプロセスを施すことができ、また酸化チタンに対してN型ナノ結晶を混合する割合やN型ナノ結晶の材料特性に合わせて焼結処理に係る加熱条件などの設定を自在に制御できるので、所望の機能を備えた酸化チタンとN型ナノ結晶の混合焼結体を安定して製造プロセスを構築できる。したがって、第二の有機EL素子の製造方法は、上述した酸化チタンとN型ナノ結晶の混合焼結体をバッファ層として設けてなる第二の有機EL素子の提供に寄与する。
また、前述した第一の有機EL素子の製造方法と同様に、第二の有機EL素子の製造方法においても上記バッファ層を形成する工程として、減圧システムを要さない大気雰囲気中における熱処理方法を選択することにより、安価でかつ作業性に優れた製造ラインの提供が可能となるのでより好ましい。
以下では、本発明に係る有機EL素子の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る有機EL素子の一例を示す模式的な断面図であり、分かりやすいように構成要素を適宜誇張して描いてある。。
図1に示した有機EL素子10は、基本的にキャリア輸送層16を陽極層17と陰極層13で挟み込んだ構造(いわゆる、サンドイッチ構造)をなしている。キャリア輸送層16は陽極17側から見て、高分子からなる発光層15と酸化チタン(以下、TiOとも記載するが、チタンに対する酸素の組成比は2に限定されるものではない)からなる焼結層14の順に積層させた構造からなる。このような焼結層14は、例えば、数nm程度のTiOナノ粒子と高分子を溶媒に分散させたペーストをコートし、加熱して焼結することで作製される。
図2は、本発明に係る有機EL素子の製造方法を示す模式的な断面図である。
まず、透明な基材12の一方の面上に透明な導電層13を設けてなる基板11を用意する。その際、基材12としてはガラスが、導電層13としては耐熱性に優れたFTO/ITO積層体(ITOが下層、FTOが上層)が、それぞれ好適に用いられる[図2(a)]。次に、基板11を構成する導電層13上に酸化チタンのペースト14’を、例えば塗布法により設ける[図2(b)]。その後、加熱処理を施すことにより、ペースト14’を焼結させ、酸化チタンの焼結層14を得る[図2(c)]。次いで、この焼結層14上に非水溶性高分子発光材料を、例えば塗布法により設けて高分子発光層11を得る[図2(d)]。その後、高分子発光層11上に水溶性透明導電性高分子材料を、例えば塗布法により設けて陽極17を作製する[図2(e)]。この陽極17のシート抵抗が小さい場合は、開口率が大きくなるように、その上に高導電銀ペーストを印刷して集電グリッド18を形成してもよい[図2(f)]。
上述した作製過程では、通常は大気雰囲気中において成膜を施すことができる製法のみを用いている。つまり、本発明に係る製造方法は、多大な設備投資や稼働コストを要する真空プロセスを利用する必要がないので、高効率かつ長寿命な有機EL素子を安価に提供することに寄与する。
図3は、本発明に係る有機EL素子の両極間に電圧を印加した際のエネルギーダイヤグラムの一例を示す図であり、焼結層が酸化チタン(TiO)のみから構成される場合を示す。
上述した層構成からなる有機EL素子において、まず電圧を印加すると図3に示すように、透明陽極17側からホールがホール輸送性をもつ高分子発光層15に注入され、ホッピング移動しながらTiO焼結層14の前まで輸送される。
ここで、TiO焼結層14の価電子帯のエネルギー準位と高分子発光層15のHOMO準位のエネルギーギャップは大きいのでホールはTiO焼結層1によりブロックされる。その結果、ホールの陰極13へのリークを減らすことができる。
一方で、電子が透明陰極13からTiO焼結層14に注入され、大きな電子移動度をもつTiO焼結層14を電子が移動し、高分子発光層15に注入させる。その結果、高分子発光層15とTiO焼結層14の界面の高分子発光層15側においてホールと電子が再結合する状態が形成される。
これが、本発明に係る有機EL素子の両極間に電圧を印加した際の、すなわち素子駆動状態における、ホールと電子の移動過程である。
従って、本発明によれば、高価な設備投資や稼働コストを要する真空プロセスを用いることなしに、極めて高い発光効率を備えた有機EL素子を実現できるので、低コストであるとともに、高効率かつ長寿命という特筆すべき理想的な性能を備えてなる有機ELを安定して提供できる。
図4は、本発明に係る有機EL素子の両極間に電圧を印加した際のエネルギーダイヤグラムの一例を示す図であり、焼結層が酸化チタン(TiO)とN型化合物半導体ナノ結晶から構成される場合を示す。
本発明に係る有機EL素子は電子注入効率を高める目的から、TiO焼結層14として、酸化チタン(TiO)とN型化合物半導体ナノ結晶から構成される焼結層を用いてもよい(図4)。この場合、N型化合物半導体ナノ結晶の伝導体準位がTiOの伝導体準位と高分子発光材料のLUMO準位の中間程度であるものを選択することによって、電子が高分子発光層に注入されやすくなるので好ましい。したがって、酸化チタン(TiO)とN型化合物半導体ナノ結晶から構成される焼結層を採用することにより、本発明に係る有機EL素子はさらに高効率化が図れる。
また、本発明に係る有機EL素子は電子注入効率を高める目的から、高分子発光層15に1wt%程度の有機塩をドープしてもよい。この場合、電界を印加させることで、高分子発光層15とTiO焼結層14に有機塩のカチオンが集まり、TiO焼結層14から高分子発光層15へのトンネル電子注入が増大する。したがって、高分子発光層15に1wt%程度の有機塩をドープしてなる構成を採用することにより、本発明に係る有機EL素子はさらに高効率化が図れる。
以下では、本発明を実施例によって説明する。基本的な部分は、前述した実施態様と共通しており、それらには、同一参照符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
(実施例1)
本例は、図1に示した有機EL素子において、焼結層14として酸化チタン(TiO)を用いた場合である。
基板11としては、ガラスからなる(透明)基材12の一方の面にITO膜とFTO膜を順に形成した積層体からなる(透明)導電層を陰極13として配したものを用いた。
酸化チタンのペースト14’としてTAYKA社製、TKC−301を用い、これをスピンコート法によりFTO膜の上に設けた。その際、ペースト14’の膜厚は50nmとした。その後、450℃で30分加熱し、ペースト14’を焼結させることにより、酸化チタン(TiO)からなる焼結層14を形成した。
次に、焼結層14の上に、Poly[2-methoxy-5-(2'ethylhexyloxy)]-1,4-phenylenevinylene(以下 MEH-PPV と略す)をスピンコート法にて50nm成膜し、発光層15とした。
その後、発光層15の上に、陽極17として、Poly-(2,3-dihydrothieno-[3,4-b]-1,4-dioxin/Poly(styrenesulfonate)(以下 PEDOT/PSS と略す)を200nm成膜することで素子Aとした。
(実施例2)
本例では、焼結層14の焼結条件と、発光層15及び陽極17の構成材料を変えた点のみ実施例1と異なり、他の点は実施例1と同一とした。
具体的には、実施例1と同じ基板11を用意し、実施例1と同じ酸化チタンのペースト14’を用い、これをスピンコート法によりFTO膜の上に設けた。その際、ペースト14’の膜厚は50nmとした。その後、450℃で30分加熱し、ペースト14’を焼結させることにより、酸化チタン(TiO)からなる焼結層14を形成した。
次に、焼結層14の上に、TPD:PVK:Ir(PPy)acac(50:50:1wt%) をスピンコート法にて50nm成膜し、発光層15とした。
その後、発光層15の上に、陽極17として、PEDOT/PSS を200nm成膜することで素子Bとした。
(実施例3)
本例では、焼結層14として酸化チタン(TiO)に代えて酸化チタン(TiO)とN型化合物半導体ナノ結晶から構成される焼結層を用いた点のみ実施例1と異なり、他の点は実施例1と同一とした。
具体的には、実施例1と同じ基板11を用意し、TAYKA社製、TKC−301に evident technology 社製の粒径2nmのSeCdナノ結晶を30wt%ドープした溶液のペースト14’を用い、これをスピンコート法によりFTO膜の上に設けた。その際、ペースト14’の膜厚は50nmとした。その後、450℃で30分加熱し、ペースト14’を焼結させることにより、酸化チタン(TiO)とN型化合物半導体ナノ結晶からなる焼結層14を形成した。
次に、焼結層14の上に、MEH-PPV をスピンコート法にて50nm成膜し、発光層15とした。
その後、発光層15の上に、陽極17として、PEDOT/PSS を200nm成膜することで素子Cとした。
(実施例4)
本例では、焼結層14として酸化チタン(TiO)に代えて酸化チタン(TiO)と有機塩から構成される焼結層を用いた点のみ実施例1と異なり、他の点は実施例1と同一とした。
具体的には、実施例1と同じ基板11を用意し、TAYKA社製、TKC−301に、有機塩としてCsCOを30wt%ドープした溶液のペースト14’を用い、これをスピンコート法によりFTO膜の上に設けた。その際、ペースト14’の膜厚は50nmとした。その後、450℃で30分加熱し、ペースト14’を焼結させることにより、酸化チタン(TiO)と有機塩からなる焼結層14を形成した。
次に、焼結層14の上に、MEH-PPV をスピンコート法にて50nm成膜し、発光層15とした。
その後、発光層15の上に、陽極17として、PEDOT/PSS を200nm成膜することで素子Dとした。
(実施例5)
本例では、発光層15の構成材料を変えた点のみ実施例2と異なり、他の点は実施例2と同一とした。
具体的には、実施例1と同じ基板11を用意し、実施例1と同じ酸化チタンのペースト14’を用い、これをスピンコート法によりFTO膜の上に設けた。その際、ペースト14’の膜厚は50nmとした。その後、450℃で30分加熱し、ペースト14’を焼結させることにより、酸化チタン(TiO)からなる焼結層14を形成した。
次に、焼結層14の上に、TPD:PVK:Ir(PPy)acac:tetra butyl ammonium tetra fluoroborate(97:97:4:2wt)をスピンコート法にて50nm成膜し、発光層15とした。
その後、発光層15の上に、陽極17として、PEDOT/PSS を200nm成膜することで素子Eとした。
(比較例1)
本例は、焼結層を用いることなく、ホールブロック層を導入した有機EL素子の一例である。
基板11としては、ガラスからなる(透明)基材12の一方の面にITO膜のみ配したものを用いた。このITO膜上に、スピンコート法により厚さ100nmの PEDOT/PSS膜を成膜し、ITO膜と PEDOT/PSS膜の積層体からなる陰極を得た。
次に、陰極の上に、スピンコート法によりMEH-PPV を50nm成膜し、発光層とした。その後、発光層の上に、真空蒸着法によりAlqを20nm成膜し、ホールブロック層とした。最後に、ホールブロック層の上に、低衝撃スパッタ法によりITO電極を200nm成膜することで素子Fとした。
(比較例2)
本例は、焼結層に加えてホールブロック層も導入しない有機EL素子の一例である。
基板11としては、ガラスからなる(透明)基材12の一方の面にITO膜のみ配したものを用いた。このITO膜上に、スピンコート法により厚さ100nmの PEDOT/PSS膜を成膜し、ITO膜と PEDOT/PSS膜の積層体からなる陰極を得た。
次に、陰極の上に、スピンコート法によりMEH-PPV を50nm成膜し、発光層とした。最後に、発光層の上に、低衝撃スパッタ法によりITO電極を200nm成膜することで素子Gとした。
表1には、上述した実施例又は比較例により作製した各素子ごとに、最高輝度[cd/m]、100[cd/m]到達電圧[V]、100[cd/m]到達電流[mA/cm]、最高発光効率(表1では効率と呼称)[lm/W]、発光波長(表1ではEL波長と呼称)[nm]を纏めて示した。
Figure 2006261576
表1より、以下の点が明らかとなった。
(1)素子Aと素子Gを比較すると、TiO焼結層を導入することで、電流密度は低下するが輝度は増加するので、発光効率が上昇していることが分かる。これは、TiO焼結層により効率よくホールがブロックされると共に、陰極からの高分子発光層への電子注入が改善された結果といえる。この効果は、高分子発光層に異なる材料を用いた素子Bや素子Cなどの場合にも当てはまる。
(2)素子Aと素子Dを比較すると、TiO焼結層に無機塩をドープすることで発光効率が上昇していることがわかる。この理由は明確ではないは、無機塩が発光層への電子注入特性を増加させていると考えている。
(3)素子Aと素子Cを比較すると、TiO焼結層に無機の化合物ナノ結晶をドープすることで発光効率が上昇していることがわかる。この理由は明確ではないは、CdSeはN型半導体であり、伝導帯準位がTiOの伝導帯準位と高分子発光材料のLUMO準位の中間程度であるので、電子が高分子発光層に注入されやすくなったと考えている。
(4)素子Bと素子Eを比較すると、高分子発光層に有機塩を少量ドープすることにより最高輝度が上昇していることがわかる。これは、TiOの伝導帯準位から高分子発光材料のLUMO準位へのトンネル電子注入が、無機塩をドープすることで増大していると考えられる。
(5)蒸着法によってホールブロック層を導入した素子Fと素子Aを比較すると、多少効率は低下しているが、蒸着法でホールブロック層を導入した際に近い素子の性能を引き出すことができることが理解されよう。
本発明によれば、高分子の有機発光層に隣接する位置に、酸化チタンの焼結体または酸化チタンとN型ナノ結晶の混合焼結体からなるバッファ層を設える構成を採用することにより、ホールブロック機能や電子輸送機能を備えた有機EL素子の提供が可能となる。ゆえに、本発明は、高効率化と長寿命化を実現するので、高品質であるとともに長期信頼性も兼ね備えた有機EL素子をもたらす。
また、本発明に係る有機EL素子の製法は、熱処理により影響を受けやすい有機発光層を形成する前に、前記陰極と前記有機発光層との間に位置するように酸化チタンの焼結体からなるバッファ層を形成する工程を採用したことにより、焼結処理(例えば加熱条件など)の設定自由度や有機発光層をなす材料の選定自由度が大きくなる。ゆえに、本発明によれば、焼結体の最適な特性と有機発光層の最適な特性とを両立して備えてなる有機EL素子の安定した製造に寄与する。
本発明の有機EL素子の一例を示す模式的な断面図である。 本発明に係る有機EL素子の製造方法を示す模式的な断面図である。 本発明に係る有機EL素子の両極間に電圧を印加した際のエネルギーダイヤグラムの一例を示す図である。 本発明に係る有機EL素子の両極間に電圧を印加した際のエネルギーダイヤグラムの一例を示す図である。 従来の有機EL素子の一例を示す模式的な断面図である。 有機EL素子におけるホール電流損失を説明するエネルギーダイヤグラムを示す図である。 ホールブロック層を導入した有機EL素子における再結合確率増大を説明するエネルギーダイヤグラムを示す図である。
符号の説明
10 有機EL素子、11 基板、12 基材、13 陰極、14 焼結体、15 発光層、16 キャリア輸送層、17 陽極、18 集電グリッド。

Claims (9)

  1. 陰極、有機発光層、陽極を順に重ねてなる積層体を少なくとも備えた有機EL素子であって、
    前記陰極と前記有機発光層との間にバッファ層を配してなり、前記バッファ層は酸化チタンの焼結体であることを特徴とする有機EL素子。
  2. 陰極、有機発光層、陽極を順に重ねてなる積層体を少なくとも備えた有機EL素子であって、
    前記陰極と前記有機発光層との間にバッファ層を配してなり、前記バッファ層は酸化チタンとN型ナノ結晶の混合焼結体であることを特徴とする有機EL素子。
  3. 前記陰極は、FTOとITOからなる積層膜、ITOからなる単層膜、又は、銀ペーストからなる単層膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL素子。
  4. 前記有機発光層は、無機塩を3モル%以下含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL素子。
  5. 前記陽極は、高分子透明導電膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL素子。
  6. 前記陽極は、前記有機発光層と接している面とは反対側の面上に銀からなるグリッドを配したことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL素子。
  7. 陰極、有機発光層、陽極を順に重ねてなる積層体を少なくとも備えた有機EL素子の製造方法であって、
    前記陰極を形成した後、前記有機発光層を形成する前に、前記陰極と前記有機発光層との間に位置するように酸化チタンの焼結体からなるバッファ層を形成する工程を少なくとも具備したことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  8. 陰極、有機発光層、陽極を順に重ねてなる積層体を少なくとも備えた有機EL素子の製造方法であって、
    前記陰極を形成した後、前記有機発光層を形成する前に、前記陰極と前記有機発光層との間に位置するように酸化チタンとN型ナノ結晶の混合焼結体からなるバッファ層を形成する工程を少なくとも具備したことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  9. 前記有機発光層を形成する工程は、前記バッファ層の上に、無機塩を3モル%以下含有する高分子を塗布することを特徴とする請求項7又は8に記載の有機EL素子の製造方法。
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