以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態に係る複合機1の概略構成図である。図2は、複合機1の外観の概略を示す図である。
図1に示すように、複合機1は、原稿読取部5と、待機位置検知センサー81(位置検知部)と、原稿給送装置6と、操作部7と、本体部100(装置本体)と、スタックトレイ49と、を備えている。
原稿読取部5は、CCD(Charge Coupled Device)及び露光ランプ等からなるキャリッジ51(読取部)と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台52と、原稿読取スリット53と、を備えている。
キャリッジ51は、後述のスキャナーモーター54によって回転動作するドラム(図略)に張設されたワイヤー(図略)に連結されている。キャリッジ51は、当該ドラムの回転動作によってワイヤーが副走査方向Yに移動することによって、副走査方向Yに移動する。キャリッジ51は、後述のスキャン制御部12による制御の下、原稿台52に載置された原稿の画像及び原稿給送装置6によって搬送されてきた原稿の画像を読み取る。
キャリッジ51は、副走査方向Yにおいて、原稿台52及び原稿読取スリット53よりも図1における+Y方向にある、予め定められた待機位置HPで、後述のスキャン制御部12からの指示の入力を待機する。この場合、待機位置HPが本発明に係る第1の位置の一例に相当している。
キャリッジ51は、原稿台52に載置された原稿の画像を読み取る場合、副走査方向Yに沿って、待機位置HPから読取開始位置SPまで、図1における+Y方向(副走査方向に沿う第1の方向)へ移動する。読取開始位置SPは、原稿台52において原稿の副走査方向Yの先端が載置される位置として定められている。
キャリッジ51は、読取開始位置SPから読取終了位置EPまで所定速度で等速移動しながら、原稿台52に載置された原稿の画像を読み取る。読取終了位置EPは、原稿台52において原稿の副走査方向Yの後端が載置される位置を示し、原稿台52に載置可能な原稿のサイズ毎に異なる。ただし、読取終了位置EPは、これに限らず、原稿台52に載置可能な最大の原稿のサイズに合わせて、1つの位置に固定して定められていてもよい。この場合、読取終了位置EPが本発明に係る第2の位置の一例に相当している。
キャリッジ51は、読み取った原稿の画像を表す画像データを後述する制御部10へ出力する。キャリッジ51は、原稿の画像を読み取った後、読取終了位置EPから待機位置HPに至るまで、読取時とは逆の方向(図1において−Y方向、第2の方向)に移動する。
一方、キャリッジ51は、原稿給送装置6により搬送された原稿を読み取るときには、待機位置HPから原稿読取スリット53と対向する位置まで移動する。そして、キャリッジ51は、原稿読取スリット53を介して原稿給送装置6による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を読み取り、読み取った原稿の画像を表す画像データを制御部10へ出力する。
待機位置検知センサー81は、待機位置HP付近に設けられ、待機位置HPにキャリッジ51が存在するか否かを検知する。待機位置検知センサー81は、例えば、発光素子と受光素子とを備えた反射型フォトセンサで構成されている。待機位置検知センサー81は、待機位置HPに向けて発光素子から出力された光がキャリッジ51で反射されて受光素子で受光された場合に、待機位置HPにキャリッジ51が存在することを検知し、待機位置HPにキャリッジ51が存在することを示す検知信号を後述の制御部10へ出力する。一方、待機位置検知センサー81は、待機位置HPに向けて発光素子から出力された光が反射されず、受光素子で受光されない場合に、待機位置HPにキャリッジ51が存在しないことを検知し、待機位置HPにキャリッジ51が存在しないことを示す検知信号を制御部10へ出力する。
原稿給送装置6は、原稿が載置される原稿載置部61と、画像読み取り後の原稿が排出される原稿排出部62と、原稿載置部61に載置された原稿を1枚ずつ順に繰り出して上記原稿読取スリット53に対向する位置へ搬送し、原稿排出部62へ排出するための原稿搬送機構63を備える。また、原稿給送装置6本体は、原稿台52に対して開閉可能に構成されている。つまり、原稿台52上面を開放するように原稿給送装置6を上方に持ち上げることにより、原稿台52の上面に、例えば見開き状態にされた書籍等の原稿を載置することができる。
本体部100は、それぞれサイズが異なる用紙を収納する複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から用紙を1枚ずつ繰り出して後述する記録部40へ搬送する給紙ローラー462と、給紙カセット461から搬送されてきた用紙に画像を形成する記録部40とを備えている。
記録部40は、感光体ドラム43と、露光部42と、現像部44と、転写部41と、定着部45と、用紙搬送部46とを備えている。露光部42は、キャリッジ51で取得された画像データに基づいてレーザー光を出力し、このレーザー光によって感光体ドラム43を走査することで、感光体ドラム43上に静電潜像を形成する。現像部44は、感光体ドラム43上の静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。転写部41は、感光体ドラム43上のトナー像を用紙に転写する。定着部45は、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる。用紙搬送部46は、記録部40内の用紙搬送路中に設けられた搬送ローラー等によって用紙を搬送し、用紙をスタックトレイ49又は排出トレイ48へ排出する。
操作部7は、情報を表示するための表示部71と、ユーザーによって各種指示の操作を行わせるための操作キー部72と、スピーカー73と、を備えている。表示部71は、例えばタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等によって構成されている。操作キー部72は、例えばユーザーが印刷実行指示を入力するためのスタートキーや、印刷部数等を入力するためのテンキー等の各種キースイッチを備えている。スピーカー73は、後述の制御部10から入力された指示に従って所定の音声を出力する装置である。
本体部100は、更に、図2に示すように、開閉カバー91と、インターロックスイッチ30(インターロック部)と、を備えている。
開閉カバー91は、本体部100に対して開閉自在に取り付けられている。開閉カバー91が閉状態(図2における実線の状態)のとき、ユーザーは、本体部100の内部(例えば、露光部42や用紙搬送部46等)に触れることができないようになっている。
インターロックスイッチ30は、例えば、突起部を備えた押しボタンスイッチで構成されている。インターロックスイッチ30は、開閉カバー91の開閉状態に連動して、オン状態とオフ状態とを切り替える。インターロックスイッチ30は、開閉カバー91が閉状態(図2における実線部で示す状態)のときは、開閉カバー91によって突起部が押し込まれてオン状態になる。一方、インターロックスイッチ30は、開閉カバー91が開状態(図2における一点鎖線部で示す状態)のときは、突起部が押し込まれなくなり、オフ状態になる。
次に、複合機1に含まれる画像読取装置1Aの電気的な構成について詳述する。図3は、複合機1に含まれる画像読取装置1Aの電気的な構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、画像読取装置1Aは、電源部20と、DC/DCコンバーター21と、インターロックスイッチ30と、原稿読取部5と、待機位置検知センサー81と、操作部7と、A/Dコンバーター23と、制御部10と、を含んで構成されている。尚、画像読取装置1Aは、図2に示した、本体部100と、開閉カバー91と、を含んでいる。
電源部20は、例えば、スイッチング電源回路によって構成されている。そして、電源部20は、商用電源等の交流電源から供給される交流電圧を予め定められた電圧値の直流電圧に変換することによって、原稿読取部5、待機位置検知センサー81、操作部7及び制御部10の動作に用いられる電源電圧を生成する。
DC/DCコンバーター21は、電源部20により生成された電源電圧の電圧値を、待機位置検知センサー81、操作部7及び制御部10の動作に用いる予め定められた制御用電圧値に変換する。
インターロックスイッチ30は、上記のように、開閉カバー91の開閉に連動してオン状態とオフ状態とが切り替えられる。インターロックスイッチ30は、開閉カバー91が閉状態の場合にオン状態となり、電源部20からA/Dコンバーター23や原稿読取部5に向かう電流経路を導通させる。これにより、A/Dコンバーター23や原稿読取部5に電源電圧が供給される。一方、インターロックスイッチ30は、開閉カバー91が開状態の場合にオフ状態となり、電源部20からA/Dコンバーター23や原稿読取部5に向かう電流経路を遮断する。これにより、A/Dコンバーター23や原稿読取部5への電源電圧の供給が遮断される。
原稿読取部5は、キャリッジ51及びスキャナーモーター54(駆動部)を備えている。キャリッジ51は、露光ランプ51a及びCCD51bを含む。
スキャナーモーター54は、後述のスキャン制御部12による制御の下、回転動作して図略のドラムを回転動作させる。当該ドラムの回転動作により、当該ドラムに張設された図略のワイヤーに連結されたキャリッジ51が、副走査方向Y(図1)に沿って移動する。
スキャナーモーター54は、例えば、ステッピングモーターにより構成されている。具体的には、スキャナーモーター54は、信号レベルがハイレベルかローレベルかによって、スキャナーモーター54の回転方向(時計回りか反時計周りか)を示す方向指示信号と、パルス状の駆動信号と、がそれぞれ入力される2つの入力部を備えている。この場合、方向指示信号と駆動信号とが本発明に係る指示信号の一例に相当している。
例えば、スキャナーモーター54は、方向指示信号がローレベルを示す場合には、時計回りに回転し、キャリッジ51を副走査方向Yに沿って図1における右方向(+Y方向)に移動させる。一方、スキャナーモーター54は、方向指示信号がハイレベルを示す場合には、反時計回りに回転し、キャリッジ51を副走査方向Yに沿って図1における左方向(−Y方向)に移動させる。
また、スキャナーモーター54は、パルス状の駆動信号が入力されると、駆動信号のパルス毎に予め定められた回転角度だけ回転動作する。これにより、キャリッジ51は、当該回転角度に応じた移動量で副走査方向Yに移動する。
尚、スキャナーモーター54は、これに限らず、例えば、時計回りに回転させるためのパルス状の駆動信号と、反時計回りに回転させるためのパルス状の駆動信号と、がそれぞれ入力される2つの入力部を備えるように構成してもよい。又は、スキャナーモーター54は、A相B相の90度位相のずれたパルス信号がそれぞれ入力される2つの入力部を備え、A相B相のうち何れの位相が進んでいるか否かによって、回転方向を時計回りにするか反時計回りにするかを切り替える構成であってもよい。
A/Dコンバーター23は、電源部20からインターロックスイッチ30を介して供給される電圧の電圧値を検出し、検出した電圧値を示す検出信号を制御部10へ出力する。
制御部10は、複合機1全体の動作を司る。制御部10は、例えば、所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリーと、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、これらの周辺回路等とを備えている。
制御部10は、不揮発性メモリーに記憶された制御プログラムを実行することによって、受付部11、スキャン制御部12、開閉検知部13、中断制御部14、再スキャン実行部15、及び案内部16を構成する。また、制御部10は、RAMの記憶領域の一部を中断情報記憶部17として用いる。
受付部11は、ユーザーによって操作部7を用いて入力された各種指示を受け付ける。当該指示には、例えば、原稿の画像の読み取りを行うか否かの選択指示や、読み取り対象の原稿のサイズを指定する指示等が含まれる。
スキャン制御部12は、スキャン処理とリターン処理とを実行する。スキャン処理とは、キャリッジ51を待機位置HPから読取終了位置EPまで副走査方向Yに沿って図1における右方向(第1の方向、+Y方向)へ移動させ、その移動過程でキャリッジ51によって原稿の画像を読み取らせる処理である。リターン処理とは、キャリッジ51を副走査方向Yに沿ってスキャン処理時とは逆の方向(第2の方向、−Y方向)に移動させることにより、キャリッジ51を待機位置HPに位置させる処理である。
スキャン制御部12は、スキャン処理及びリターン処理において、スキャナーモーター54へパルス状の駆動信号及び方向指示信号を出力する。これによって、スキャナーモーター54は、パルス状の駆動信号のパルス毎に、方向指示信号によって示される回転方向に、予め定められた回転角度ずつ回転動作する。これによって、駆動信号のパルス毎に、一定の移動量でキャリッジ51を移動させる。
つまり、スキャン制御部12は、スキャナーモーター54へ出力した駆動信号のパルス数によってキャリッジ51の回転角度を把握し、これによって、キャリッジ51の移動量を把握することができる。これによって、スキャン制御部12は、スキャン処理において、キャリッジ51の位置が読取開始位置SPから読取終了位置EPに存在していることを把握したときに、キャリッジ51によって原稿の画像を読み取らせる。
開閉検知部13は、A/Dコンバーター23から出力されてきた検出信号によって示される電圧値に基づいて、開閉カバー91の開閉状態を検知する。
具体的には、開閉検知部13は、予め定められた時間(例えば、1秒)経過する度に定期的に、A/Dコンバーター23から出力されてきた検出信号によって示される電圧値に基づいて、開閉カバー91の開閉状態を検知する。開閉カバー91が開状態になると、インターロックスイッチ30がオフ状態になり、電源部20からA/Dコンバーター23へ向かう電流径路が遮断され、A/Dコンバーター23によって検出される電圧値が低下する。そこで、開閉検知部13は、A/Dコンバーター23から出力されてきた検出信号によって示される電圧値が、予め定められた基準電圧値よりも低くなったときに、開閉カバー91が開状態であることを検知する。一方、開閉カバー91が閉状態になると、インターロックスイッチ30がオン状態になり、電源部20からA/Dコンバーター23へ向かう電流径路が導通される。これによって、A/Dコンバーター23によって検出される電圧値が基準電圧値以上になると、開閉検知部13は、開閉カバー91が閉状態であることを検知する。尚、基準電圧値は、例えば、DC/DCコンバーター21から制御部10に向けて供給される電圧の電圧値である制御用電圧値よりも予め定められた電圧値だけ低い電圧値に設定されている。
中断制御部14は、スキャン制御部12によるスキャン処理の実行中に、開閉検知部13によって開閉カバー91が開状態であることが検知された場合に、実行中のスキャン処理を中断させ、次に開閉検知部13によって開閉カバー91が閉状態であることが検知されたときにスキャン制御部12によってリターン処理を実行させる読取中断処理を実行する。
再スキャン実行部15は、中断制御部14による読取中断処理の後、スキャン制御部12によってスキャン処理を実行させる再スキャン処理を実行する。
案内部16は、ユーザーに対して画像の読み取りを行うか否かの選択指示の入力を案内する画面を表示部71に表示させる。
中断情報記憶部17には、スキャン処理において、原稿の画像の読み取り動作が中断されたことを示す中断情報が記憶される。
以下では、原稿読取部5を用いた原稿の画像の読み取り動作について説明する。図4及び図5は、原稿読取部5を用いた原稿の画像の読み取り動作を示すフローチャートである。図6及び図7は、中断制御部14による読取中断処理の動作を示すフローチャートである。
図4に示すように、受付部11によって、ユーザーから操作部7を用いて入力された原稿の画像の読み取り指示が受け付けられると(S1)、スキャン制御部12は、スキャン処理を開始し、待機位置HPに位置するキャリッジ51を副走査方向Yに沿う図1における右方向(以下、読取方向(+Y方向)と示す)に移動させるべく、スキャナーモーター54への、ローレベルの方向指示信号(以下、正転指示信号と示す)及びパルス状の駆動信号の出力を開始する(S2)。尚、スキャン制御部12は、後述のステップS9において正転指示信号及び駆動信号の出力を終了するまでの間、正転指示信号及び駆動信号の出力を継続する。また、スキャン制御部12は、出力した駆動信号のパルス数のカウントを開始する(S3)。これによって、スキャナーモーター54は、後述のステップS9においてスキャン制御部12による正転指示信号及び駆動信号の出力が終了するまでの間、入力された駆動信号のパルス毎に予め定められた回転角度ずつ回転動作し、キャリッジ51を読取方向(+Y方向)に移動させる(S4)。
また、ステップS1において、受付部11によってユーザーから操作部7を用いて入力された原稿の画像の読み取り指示が受け付けられた後(S1)、ステップS2以降の動作と並行して、図6に示すように、開閉検知部13による開閉カバー91が開状態にあることが検知されたか否かの判定処理が開始される(S21)。中断制御部14は、開閉検知部13によって開閉カバー91が開状態にあることが検知されない間は(S21;NO)、待機状態にあり、開閉検知部13によって開閉カバー91が開状態にあることが検知されると(S21;YES)、ステップS22以降の読取中断処理の実行を開始し、ステップS2以降の処理を中断させる。尚、読取中断処理の詳細については後述する。
図4に戻り、スキャン制御部12は、カウントしたパルス数が予め定められた読取開始パルス数に到達したか否かを判定する(S5)。尚、読取開始パルス数は、待機位置HPから読取開始位置SPまでキャリッジ51を移動させるために、スキャナーモーター54を回転動作させるのに要する駆動信号のパルス数に定められている。
スキャン制御部12は、カウントしたパルス数が読取開始パルス数に到達したと判定すると(S5;YES)、キャリッジ51が読取開始位置SPに到達したと判断し、キャリッジ51による原稿の画像の読み取り動作を開始させる(S6)。
次に、スキャン制御部12は、カウントしたパルス数が予め定められた読取終了パルス数に到達したか否かを判定する(S7)。尚、読取終了パルス数は、待機位置HPから読取終了位置EPまでキャリッジ51を移動させるために、スキャナーモーター54を回転動作させるのに要する駆動信号のパルス数に定められている。読取終了位置EPは原稿台52に載置可能な原稿のサイズ毎に定められているので、これに合わせて、読取終了パルス数も原稿台52に載置可能な原稿のサイズ毎に定められている。
例えば、ステップS1において、受付部11により、原稿の画像の読み取り指示とともに、原稿のサイズ(例えば、A5サイズ)を指定する指示が受け付けられていた場合には、当該受け付けられた原稿のサイズ(A5サイズ)に対応する読取終了パルス数がステップS7の判定に用いられる。ステップS1において、受付部11により、原稿の画像の読み取り指示とともに、原稿のサイズを指定する指示が受け付けられていなかった場合には、原稿台52に載置可能な原稿のサイズのうち最大のサイズ(例えば、A4サイズ)に対応する読取終了パルス数がステップS7の判定に用いられる。
スキャン制御部12は、カウントしたパルス数が読取終了パルス数に到達していないと判定すると(S7;NO)、正転指示信号及び駆動信号の出力と、パルス数のカウントと、を継続し、スキャナーモーター54の回転動作(S4)及びキャリッジ51による原稿の画像の読み取り動作(S6)を継続させる。その後、スキャン制御部12は、カウントしたパルス数が読取終了パルス数に到達したと判定すると(S7;YES)、キャリッジ51が読取終了位置EPに到達したと判断し、キャリッジ51による原稿の画像の読み取り動作を終了させる(S8)、正転指示信号及び駆動信号の出力を終了する(S9)。これによって、スキャン制御部12は、スキャン処理を終了する。そして、スキャン制御部12は、駆動信号のパルス数のカウントを終了する(S10)。
スキャン制御部12は、スキャン処理を終了すると、図5に示すように、リターン処理を開始する。具体的には、スキャン制御部12は、リターン処理において、キャリッジ51を副走査方向Yに沿う図1における左方向(以下、リターン方向(−Y方向)と示す)に移動させるべく、スキャナーモーター54への、ハイレベルの方向指示信号(以下、逆転指示信号と示す)及びパルス状の駆動信号の出力を開始する(S11)。尚、スキャン制御部12は、後述のステップS15において逆転指示信号及び駆動信号の出力を終了するまでの間、逆転指示信号及び駆動信号の出力を継続する。また、スキャン制御部12は、出力した駆動信号のパルス数(以下、リターンパルス数と示す)のカウントを開始する(S12)。これによって、スキャナーモーター54は、後述のステップS15においてスキャン制御部12による逆転指示信号及び駆動信号の出力が終了するまでの間、入力された駆動信号のパルス毎に予め定められた回転角度ずつ回転動作し、キャリッジ51をリターン方向(−Y方向)に移動させる(S13)。
スキャン制御部12は、待機位置検知センサー81からキャリッジ51が待機位置HPに存在しないことを示す検出信号が出力されている間は(S14;NO)、逆転指示信号及び駆動信号の出力と、リターンパルス数のカウントと、を継続し、スキャナーモーター54によるキャリッジ51のリターン方向への移動動作(S13)を継続させる。その後、待機位置検知センサー81からキャリッジ51が待機位置HPに存在することを示す検出信号が出力されると(S14;YES)、スキャン制御部12は、逆転指示信号及び駆動信号の出力を終了する(S15)。これによって、スキャン制御部12は、リターン処理を終了する。そして、スキャン制御部12は、リターンパルス数のカウントを終了する(S16)。
次に、再スキャン実行部15は、スキャン制御部12によってカウントされたリターンパルス数が、予め定められた基準パルス数(基準値)よりも少ないか否かを判定する(S17)。尚、基準パルス数は、読取終了位置EPから待機位置HPまでキャリッジ51をリターン方向(−Y方向)に移動させるために、スキャナーモーター54を回転動作させるのに要する駆動信号のパルス数に定められている。読取終了位置EPは原稿台52に載置可能な原稿のサイズ毎に定められているので、これに合わせて、基準パルス数も原稿台52に載置可能な原稿のサイズ毎に定められている。
例えば、ステップS1において、受付部11により、原稿の画像の読み取り指示とともに、原稿のサイズ(例えば、A5サイズ)を指定する指示が受け付けられていた場合には、当該受け付けられた原稿のサイズ(A5サイズ)に対応する基準パルス数がステップS17の判定に用いられる。ステップS1において、受付部11により、原稿の画像の読み取り指示とともに、原稿のサイズを指定する指示が受け付けられていなかった場合には、原稿台52に載置可能な原稿のサイズのうち最大のサイズ(例えば、A4サイズ)に対応する基準パルス数がステップS17の判定に用いられる。
ステップS17において、再スキャン実行部15によって、スキャン制御部12によってカウントされたリターンパルス数が基準パルス数よりも少ないと判定された場合(S17;YES)、キャリッジ51が待機位置HPから読取終了位置EPまでの途中の区間内のある位置から待機位置HPまで戻ってきたものと考えられる。
例えば、リターン処理の前に行われていたスキャン処理中に、開閉検知部13が、定期的に開閉カバー91の開閉状態を検知した後、次に開閉カバー91の開閉状態を検知するまでの間に、開閉カバー91が瞬間的に開閉された場合、開閉検知部13によって開閉カバー91の開状態が適切に検知されない虞がある。この場合、開閉カバー91の開状態が検知されないために読取中断処理が行われず、ステップS2以降の処理は中断されない。このため、瞬間的に開閉カバー91が開閉されたことによって、インターロックスイッチ30によりスキャナーモーター54への電源電圧の供給が瞬間的に遮断され、スキャナーモーター54が脱調して停止し、キャリッジ51がスキャン処理中に待機位置HPから読取終了位置EPまでの区間内で停止したままスキャン処理が継続された後、リターン処理が実行されることになる。そして、当該リターン処理においてスキャナーモーター54の駆動が再開した場合には、キャリッジ51は待機位置HPから読取終了位置EPまでの区間内のスキャン処理中に停止していた位置から待機位置HPまで戻ることになる。
この場合、スキャン処理において、原稿の画像のうちキャリッジ51が停止していた位置から読取終了位置EPまでの間に対応する画像が読み取られていず、原稿の画像の読み取りが中断された状態になっている。そこで、この場合(S17;YES)、再スキャン実行部15は、再スキャン処理を実行させるか否かをユーザーに選択させるべく、案内部16によって、原稿の画像の読み取りを行うか否かの選択指示を入力するための画面を表示部71に表示させる(S18)。
ユーザーによって当該表示部71に表示された画面が視認され、受付部11によって、ユーザーから操作部7を介して原稿の画像の読み取りを行う旨の選択指示の入力が受け付けられると(S19;YES)、再スキャン実行部15は、再スキャン処理を実行する。つまり、再スキャン実行部15は、スキャン制御部12に再びスキャン処理を行わせるべく、ステップS2以降の処理を繰り返させる。一方、受付部11によって、ユーザーから操作部7を介して原稿の画像の読み取りを行わない旨の選択指示の入力が受け付けられると(S19;NO)、再スキャン実行部15は、再スキャン処理を実行せず、原稿の画像の読み取り動作を終了させる。
一方、ステップS17において、再スキャン実行部15によって、スキャン制御部12によってカウントされたリターンパルス数が基準パルス数以上であると判定された場合(S17;NO)、キャリッジ51は、スキャン処理が正常に終了した後、待機位置HPまで戻ってきたものと考えられる。
例えば、スキャン処理が正常に終了した後、リターン処理が正常に終了した場合、キャリッジ51は読取終了位置EPから待機位置HPまで戻るので、ステップS17において、再スキャン実行部15によって、スキャン制御部12によってカウントされたリターンパルス数は基準パルス数であると判定される。
また、例えば、スキャン処理が正常に終了した後、リターン処理の実行中に、開閉検知部13が、定期的に開閉カバー91の開閉状態を検知した後、次に開閉カバー91の開閉状態を検知するまでの間に、開閉カバー91が瞬間的に開閉された場合、開閉検知部13によって開閉カバー91の開状態が適切に検知されない虞がある。この場合、開閉カバー91の開状態が検知されないために読取中断処理が行われず、ステップS2以降の処理が中断されない。このため、瞬間的に開閉カバー91が開閉されたことによって、インターロックスイッチ30によりスキャナーモーター54への電源電圧の供給が瞬間的に遮断され、スキャナーモーター54が脱調して停止し、キャリッジ51が停止したままリターン処理が継続され、ステップS12で開始されたリターンパルス数のカウントが継続されることになる。つまり、このようにスキャン処理が正常に終了した後、開閉検知部13によって開閉カバー91の開状態が検出されないまま、リターン処理が実行されているときにキャリッジ51が停止した場合、その後、スキャナーモーター54の駆動が再開したときは、ステップS17において、再スキャン実行部15によって、スキャン制御部12によってカウントされたリターンパルス数は基準パルス数以上であると判定される。
このように、再スキャン実行部15は、スキャン制御部12によってカウントされたリターンパルス数が基準パルス数以上であると判定した場合(S17;NO)、スキャン処理は正常に終了していると判断し、原稿の画像の読み取り動作を終了させる。
一方、図6に示すように、ステップS1において、受付部11によってユーザーから操作部7を用いて入力された原稿の画像の読み取り指示が受け付けられた後(S1)、ステップS2以降の動作と並行して、開閉検知部13による開閉カバー91が開状態にあることが検知されたか否かの判定処理が開始される(S21)。
中断制御部14は、開閉検知部13によって開閉カバー91が開状態にあることが検知されない間は(S21;NO)、待機状態にあり、開閉検知部13によって開閉カバー91が開状態にあることが検知されると(S21;YES)、中断制御部14は、読取中断処理を開始し、スキャン制御部12によって実行中のスキャン処理又はリターン処理を終了させる(S22)。
具体的には、ステップS21において開閉カバー91の開状態が検知されたとき、開閉カバー91の開状態に連動してインターロックスイッチ30がオフ状態になる。つまり、スキャナーモーター54への電源電圧の供給が遮断された状態になる。しかし、制御部10には電源部20からDC/DCコンバーター21を介して制御用電圧値の電源電圧が供給されているので、スキャン制御部12は、スキャン処理の実行を継続し、スキャナーモーター54への正転指示信号及び駆動信号の出力を継続している。そこで、ステップS22において、スキャン制御部12は、中断制御部14によって実行中のスキャン処理又はリターン処理を終了するように指示されると、スキャナーモーター54への正転指示信号及び駆動信号の出力を停止し、駆動信号のパルス数のカウントを終了する。また、スキャン制御部12は、実行中のスキャン処理において、キャリッジ51によって原稿の画像の読み取り動作を行わせている場合には、キャリッジ51にその読み取り動作を終了させる。
一方、スキャン制御部12が、ステップS21において開閉カバー91の開状態が検知されたときにリターン処理を継続し、スキャナーモーター54への逆転指示信号及び駆動信号の出力を継続していた場合、ステップS22において、スキャン制御部12は、中断制御部14によって実行中のスキャン処理又はリターン処理を終了するように指示されると、スキャナーモーター54への逆転指示信号及び駆動信号の出力を停止し、リターンパルス数のカウントを終了する。
そして、中断制御部14は、スキャン制御部12によってカウントされたパルス数が読取終了パルス数に到達しているか否かを判定する(S23)。中断制御部14は、スキャン制御部12によってカウントされたパルス数が読取終了パルス数に到達していないと判定した場合(S23;NO)、ステップS21で開閉カバー91の開状態が検知され、ステップS22においてスキャン処理が中断されたときに、キャリッジ51が待機位置HPから読取終了位置EPまでの途中の区間内に存在していたと判断する。つまり、この場合(S23;NO)、中断制御部14は、スキャン処理の実行中にキャリッジ51が停止し、原稿の画像のうちキャリッジ51が停止していた位置から読取終了位置EPまでの間に対応する画像が読み取られていないので、原稿の画像の読み取りが中断されたと判断する。そこで、この場合(S23;NO)、中断制御部14は、原稿の画像の読み取り動作が中断されたことを示す中断情報を中断情報記憶部17に記憶する(S24)。
一方、中断制御部14は、スキャン制御部12によってカウントされたパルス数が読取終了パルス数に到達していると判定した場合(S23;YES)、キャリッジ51が読取終了位置EPを通過後に、つまり、スキャン処理の中断後のリターン処理中に、ステップS21で開閉カバー91の開状態が検知されたと判断する。つまり、スキャン処理は正常に終了し、読取開始位置SPから読取終了位置EPまでの間に対応する原稿の画像の読み取りは終了していたと判断する。そこで、この場合(S23;YES)、中断制御部14は、中断情報を中断情報記憶部17に記憶することなく、ステップS25に処理を移行する。
そして、中断制御部14は、開閉検知部13によって開閉カバー91が開状態にあることが検知されている間、処理を待機する(S25;NO)。その後、開閉検知部13によって開閉カバー91が閉状態にあることが検知されると(S25;YES)、スキャン制御部12にリターン処理を開始させ、後述のステップS29においてスキャン制御部12に逆転指示信号及び駆動信号の出力を終了させるまでの間、スキャナーモーター54への逆転指示信号及び駆動信号の出力を開始させる(S26)。これによって、スキャナーモーター54は、後述のステップS29においてスキャン制御部12によって逆転指示信号及び駆動信号の出力が終了されるまでの間、キャリッジ51をリターン方向(−Y方向)に移動させる(S27)。
そして、待機位置検知センサー81からキャリッジ51が待機位置HPに存在しないことを示す検出信号が出力されている間(S28;NO)、中断制御部14は、スキャン制御部12に逆転指示信号及び駆動信号の出力を継続させ、スキャナーモーター54によるキャリッジ51のリターン方向への移動動作(S27)を継続させる。その後、待機位置検知センサー81からキャリッジ51が待機位置HPに存在することを示す検知信号が出力されると(S28;YES)、図7に示すように、中断制御部14は、スキャン制御部12に逆転指示信号及び駆動信号の出力を終了させる。これによって、スキャン制御部12によるリターン処理、及び、中断制御部14による読取中断処理が終了する(S29)。
読取中断処理が終了すると、再スキャン実行部15は、中断情報記憶部17に中断情報が記憶されているか否かを判定する(S30)。再スキャン実行部15は、ステップS30において、中断情報記憶部17に中断情報が記憶されていないと判定した場合(S30;NO)、ステップS21で開閉カバー91の開状態が検知されたときに、読取開始位置SPから読取終了位置EPまでの間に対応する原稿の画像の読み取りは終了していたと判断し、再スキャン処理を実行せず、原稿の画像の読み取り動作を終了させる。
一方、再スキャン実行部15は、ステップS30において、中断情報記憶部17に中断情報が記憶されていると判定した場合(S30;YES)、ステップS21で開閉カバー91の開状態が検知されたときに、原稿の画像の読み取りが中断されたと判断し、再スキャン処理を実行させるか否かをユーザーに選択させるべく、案内部16によって、原稿の画像の読み取りを行うか否かの選択指示を入力するための画面を表示部71に表示させる(S31)。
ユーザーによって当該表示部71に表示された画面が視認され、受付部11によって、ユーザーから操作部7を介して原稿の画像の読み取りを行う旨の選択指示の入力が受け付けられると(S32;YES)、再スキャン実行部15は、再スキャン処理を実行する。つまり、再スキャン実行部15は、スキャン制御部12に再びスキャン処理を行わせるべく、ステップS2以降の処理を繰り返させる。一方、受付部11によって、ユーザーから操作部7を介して原稿の画像の読み取りを行わない旨の選択指示の入力が受け付けられると(S32;NO)、再スキャン実行部15は、再スキャン処理を実行せず、原稿の画像の読み取り動作を終了させる。
上記実施形態によれば、スキャン処理の実行中に開閉カバー91の開状態が検知された場合、インターロックスイッチ30によってスキャナーモーター54への電源電圧の供給が遮断される。これによって、スキャナーモーター54が停止するため、キャリッジ51の移動が中断される。その結果、原稿の画像のうちの少なくとも一部がキャリッジ51によって読み取られなくなる。
このように、開閉カバー91の開状態が検知された場合、次に開閉検知部13によって開閉カバー91が閉状態であることが検知されたときに、中断制御部14によって読取中断処理が実行される。そして、読取中断処理の後、再スキャン実行部15によって再スキャン処理の実行前に、案内部16によってユーザーに対して画像の読み取りを行うか否かの選択指示の入力が案内される。
このため、ユーザーは、希望に応じて適切に再スキャン処理を実行させるか否かを切り替えることができる。また、案内部16によってユーザーに対して画像の読み取りを行うか否かの選択指示の入力が案内されるので、再スキャン処理を実行することをユーザーに気付かせることができる。このため、読取中断処理の後、再スキャン実行部15によって再スキャン処理が自動的に実行される構成において、ユーザーが再スキャン処理が行われることに気付かずに原稿台52から原稿を取り除いてしまう虞を防止することができる。そして、画像の読み取りを行う旨の選択指示が受け付けられた場合には、再スキャン実行部15によって再スキャン処理が行われ、つまり、スキャン処理が再び実行される。
このため、スキャン処理の実行中に開閉カバー91が開状態となり、インターロックスイッチ30によってスキャナーモーター54への電源電圧の供給が遮断されたことによって読み取りが中断された原稿の画像を、ユーザーが正常に読み取られたか否かを確認する手間を軽減しつつ、再び読み取り直すことができる。これによって、インターロック機構の動作によって読み取りが中断された原稿の画像を再び読み取り直すときの手間を軽減することができる。
また、スキャン処理又はリターン処理の実行中に瞬間的に開閉カバー91が開閉されたことによって、インターロックスイッチ30によりスキャナーモーター54への電源電圧の供給が瞬間的に遮断され、スキャナーモーター54が脱調して停止する虞がある。しかし、例えば、開閉検知部13が、定期的に開閉カバー91の開閉状態を検知した後、次に開閉カバー91の開閉状態を検知するまでの間に、開閉カバー91が瞬間的に開閉された場合には、開閉検知部13によって開閉カバー91の開状態が適切に検知されない虞がある。その結果、スキャナーモーター54が停止してキャリッジ51の移動が中断しているにも関わらず、開閉カバー91の開状態が検知されないために読取中断処理が行われない虞がある。
例えば、スキャン処理の実行中に、瞬間的に開閉カバー91が開閉されたことによって、スキャナーモーター54が停止したが読取中断処理が行われなかった場合、スキャン制御部12は、実行中のスキャン処理を継続し、その後、リターン処理を実行することになる。しかし、当該リターン処理においてスキャナーモーター54が動作を再開したとしても、キャリッジ51は停止していた位置から待機位置HPまでしか移動しない。したがって、当該リターン処理において、スキャン制御部12による駆動信号の出力が開始されてから、待機位置検知センサー81によって待機位置HPにキャリッジ51が存在することが検知されるまでの間に、スキャナーモーター54が駆動信号に応じてキャリッジ51を移動させた移動量は、開閉カバー91が閉状態のまま正常に実行されたリターン処理においてスキャナーモーター54が駆動信号に応じてキャリッジ51を読取終了位置EPから待機位置HPまで移動させたときの移動量よりも少なくなる。
一方、スキャン処理を正常に終了した後、リターン処理の実行中に、瞬間的に開閉カバー91が開閉されたことによって、スキャナーモーター54が停止したが読取中断処理が行われなかった場合、スキャン制御部12は、実行中のリターン処理を継続することになる。この場合、キャリッジ51が停止しているにも関わらず、スキャン制御部12による駆動信号の出力が継続され、当該リターン処理において、スキャン制御部12が出力した駆動信号によって示されるキャリッジ51の移動量は増加し続ける。このため、その後、当該リターン処理においてスキャナーモーター54が動作を再開し、キャリッジ51が待機位置HPに到達して当該リターン処理を終了したときには、スキャン制御部12が当該リターン処理において出力した駆動信号によって示されるキャリッジ51の移動量は、キャリッジ51を読取終了位置EPから待機位置HPまで移動させたときの移動量以上となる。
しかし、再スキャン実行部15は、リターン処理において、駆動信号の出力が開始されてから待機位置HPにキャリッジ51が存在することが検知されるまでに、スキャナーモーター54が駆動信号に応じてキャリッジ51を移動させた移動量を示す、駆動信号のパルス数が、開閉カバー91が閉状態のまま正常に実行されたリターン処理においてスキャナーモーター54が駆動信号に応じてキャリッジ51を読取終了位置EPから待機位置HPまで移動させたときの移動量を示す、基準パルス数に満たない場合(S17;YES)、再スキャン処理を実行させるか否かをユーザーに選択させるべく、案内部16によって、原稿の画像の読み取りを行うか否かの選択指示を入力するための画面を表示部71に表示させる(S18)。そして、画像の読み取りを行う旨の選択指示が受け付けられた場合には、再スキャン実行部15によって再スキャン処理が行われ、つまり、スキャン処理が再び実行される(S19)。
一方、再スキャン実行部15は、リターン処理において、駆動信号の出力が開始されてから待機位置HPにキャリッジ51が存在することが検知されるまでに、スキャナーモーター54が出力した駆動信号のパルス数が、基準パルス数以上になった場合(S17;NO)、スキャン処理は正常に終了していると判断し、原稿の画像の読み取り動作を終了させる。
このため、上記のように、スキャン処理の実行中に、瞬間的に開閉カバー91が開閉されたことに起因して原稿の画像の読み取りが中断され、且つ、開閉カバー91が開状態であることが検知されない場合であっても、リターン処理において、駆動信号の出力が開始されてから待機位置HPにキャリッジ51が存在することが検知されるまでに、スキャナーモーター54が駆動信号に応じてキャリッジ51を移動させた移動量が、開閉カバー91が閉状態のまま正常に実行されたリターン処理においてスキャナーモーター54が駆動信号に応じてキャリッジ51を読取終了位置EPから待機位置HPまで移動させたときの移動量に満たなくなるので、再スキャン実行部15によって再スキャン処理を実行させることができる。つまり、開閉カバー91の開状態が検知されないまま、インターロックスイッチ30の動作によって読み取りが中断された原稿の画像を、ユーザーが正常に読み取られたか否かを確認する手間を軽減しつつ、再び読み取り直すことができる。
また、上記実施形態によれば、再スキャン実行部15は、リターン処理において、パルス状の駆動信号の出力が開始されてから待機位置HPにキャリッジ51が存在することが検知されるまでに、スキャナーモーター54が駆動信号に応じてキャリッジ51を移動させた移動量を、駆動信号のパルス数によって容易に把握することができる。
また、インターロックスイッチ30により、原稿読取部5やA/Dコンバーター23へ供給又は遮断される電圧が予め定められた基準電圧よりも低くなった場合には、開閉検知部13によって、開閉カバー91が開状態であることが検知される。このため、例えば、商用電源の瞬停等の要因でインターロックスイッチ30により供給又は遮断される電圧が低下し、スキャナーモーター54が正常動作しなくなった場合に、開閉カバー91が開状態であることが検知され、中断制御部14による読取中断処理が実行される。これによって、スキャン処理が中断されるので、スキャナーモーター54が正常に動作しない状態でスキャン処理が継続される虞を軽減することができる。
尚、上記実施形態において図1乃至図7に示した構成は単なる一例に過ぎず、本発明を当該実施形態に限定する趣旨ではない。
(1)案内部16は、ステップS18及びステップS31において、ユーザーに対して画像の読み取りを行うか否かの選択指示の入力を案内する画面を表示部71に表示させることに代えて、例えば、画像の読み取りを行う場合にはスタートキーを押下し、画像の読み取りを行わない場合にはテンキーを押下するように促す旨の音声等、画像の読み取りを行うか否かの選択指示の入力を案内する音声をスピーカー73に出力させるようにしてもよい。
(2)スキャナーモーター54は、ステッピングモーターに限らず、例えば、サーボモーターやDCブラシレスモーター等で構成されていてもよい。これに合わせて、スキャン制御部12がスキャナーモーター54へ出力する駆動信号は、パルス状の信号に限らず、例えば、一定時間毎に、駆動又は停止を指示する信号を出力してもよい。これに合わせて、スキャナーモーター54は、一定時間毎に入力される駆動信号の指示に応じて、駆動を継続するか停止するかを切り替えるものであってもよい。この場合、スキャン制御部12は、試験運転等の実験値に基づいて予め定められた、サーボの制御指示量や、一定時間毎に駆動の指示を示す信号をスキャナーモーター54へ出力したときのスキャナーモーター54の回転角度の変化量を用いて、キャリッジ51の移動量を把握することができる。
(3)上記実施形態では、開閉検知部13は、A/Dコンバーター23から出力されてきた検出信号によって示される電圧値に基づいて、開閉カバー91の開閉状態を検知する形態について説明したが、開閉検知部13が開閉カバー91の開閉状態を検知する構成をこれに限定する趣旨ではない。例えば、インターロックスイッチ30は、オン状態及びオフ状態になったことをそれぞれ示す検知信号を制御部10へ出力するように構成してもよい。これに合わせて、開閉検知部13は、インターロックスイッチ30から出力されてくる検知信号がオン状態を示す場合に開閉カバー91の開状態を検知し、インターロックスイッチ30から出力されてくる検知信号がオフ状態を示す場合に開閉カバー91の閉状態を検知するように構成してもよい。
(4)また、再スキャン実行部15は、ステップS17において、スキャン制御部12によってカウントされたリターンパルス数が基準パルス数よりも少ないと判定した場合に(S17;YES)、ステップS18及びステップS19を省略して、再スキャン処理を自動的に実行するように、つまり、スキャン制御部12に再びスキャン処理を行わせるべく、ステップS2以降の処理を繰り返させるように簡素化して構成してもよい。同様に、再スキャン実行部15は、ステップS30において、中断情報記憶部17に中断情報が記憶されていると判定した場合に(S30;YES)、ステップS31及びステップS32を省略して、再スキャン処理を自動的に実行するように、つまり、スキャン制御部12に再びスキャン処理を行わせるべく、ステップS2以降の処理を繰り返させるように簡素化して構成してもよい。
この構成によれば、スキャン処理の実行中に開閉カバー91が開状態となり、インターロックスイッチ30によってスキャナーモーター54への電源電圧の供給が遮断されたことによって読み取りが中断された原稿の画像を、ユーザーに何ら操作させることなく、再び読み取り直すことができる。これによって、インターロック機構の動作によって読み取りが中断された原稿の画像を再び読み取り直すときの手間を軽減することができる。
(5)また、ステップS12及びステップS16からステップS19を行わず、ステップS15におけるリターン処理の終了により、原稿の画像の読み取り動作を終了するように簡素化して構成してもよい。
また、例えば、本発明に係る画像形成装置は、上記の複合機1に適用される場合の他、スキャナー装置及び複写機等の画像形成装置に適用することが可能である。