JP5872321B2 - 透析液・原液水素還元装置 - Google Patents

透析液・原液水素還元装置 Download PDF

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本発明は、透析液あるいは透析液用の原液を還元するための透析液・原液水素還元装置に関する。
血液透析は、腎臓の血液浄化機能を人工的に行う方法として広く知られている。2007年の世界の血液透析患者は、およそ200万人にのぼるという報告があり、年々増加傾向にある。血液透析は、ポンプなどを用いて体外に取り出した血液を、中空糸の集合体を備えたダイアライザに通し、血液内の老廃物を除去し、再び体内に戻すという操作を連続的に行う治療法である。腎機能障害を持つ患者は、週に2,3回、通院して、所定時間、血液透析の治療を受ける必要がある。
透析液は、血液中の各種イオンとブドウ糖を含む組成を持ち、複数の原液を混合し、あるいは粉末状態の原粉を水(RO水)に溶解して原液を作製してから複数の当該原液を混合して調整される。原液あるいは原粉(以後、総称して「原剤」と称する)は、一般的に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の塩を含むA剤と、重炭酸塩を含むB剤とで構成される。これは、2価のカルシウムイオンあるいはマグネシウムイオンと、重炭酸塩とが反応して不溶性の炭酸塩を生成するからである。ブドウ糖は、上記A剤に予め混合されている。
原剤を構成する上記A剤に含まれるブドウ糖は経時的に分解し、ブドウ糖分解産物(例えば、グリオキサール)が生成される。ブドウ糖分解産物を含む透析液を治療に供すると、生体への酸化ストレスが惹起され、細胞障害や慢性炎症を引き起こすことが知られている。かかる問題を解決する手法として、透析液の調整時に使用する水(RO水)に所定量の水素ガスを溶存させておき、透析液原剤に水素溶存希釈水を混合するという方法が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。
特開2007−289267号公報 特開2010−063629号公報
しかし、水素は、水中に多量に溶存しにくいため、水素ガスを希釈水中にてバブリングし、あるいは電気分解にて陰極側で電解還元水を得た場合でも、水中の水素濃度を高めることは難しい。透析液原剤中に含まれるブドウ糖分解産物の含有率には大きなバラツキがあるため、ブドウ糖分解産物の含有率の高い透析液原剤に対して、RO水中に溶存する僅かな水素ではブドウ糖分解産物を十分に還元することができない。
本発明は、かかる問題を解消すべくなされたものであって、酸化還元電位の低い透析液を製造することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の透析液・原液水素還元装置は、透析液あるいは透析液原剤の溶液中に水素ガスを溶解させ、酸化還元電位をより低くした還元透析液あるいは還元透析液原液を製造する装置であって、透析液あるいは透析液原剤の溶液中の気体を脱気するユニットであって少なくとも第一膜モジュールを含む脱気ユニットと、脱気ユニットから透析液あるいは透析液原剤の溶液を輸送する側に接続され、膜を隔てて存在する水素ガスを当該膜に形成される孔を通して透析液あるいは透析液原剤の溶液中に混合可能な第二膜モジュールと、第二膜モジュールの下流側に接続され、透析液あるいは透析液原剤の溶液を加圧してそれに含まれる水素ガスの溶解濃度を高めるための加圧タンクと、を備える。
本発明の別の透析液・原液水素還元装置は、加圧タンクの下流側に、当該下流側の透析液あるいは透析液原剤の溶液中の気体を脱気する第三膜モジュールを、さらに接続する。
本発明の別の透析液・原液水素還元装置は、さらに、第三膜モジュールの送気配管を、第一膜モジュールに透析液あるいは透析液原剤の溶液を送る送液配管に接続し、水素ガスの再混合を行う構成を備える。
本発明の別の透析液・原液水素還元装置は、さらに、第二膜モジュールに、水素ガスを供給するための水素ガス供給手段を接続する。
本発明によれば、酸化還元電位の低い透析液を製造することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る透析液・原液水素還元装置の模式図である。 図2は、図1に示す透析液・原液水素還元装置を用いて水素ガス混合前の原液から、水素還元後の還元透析液原液を製造する流れを概略的に示すフローチャートである。 図3は、図1に示す第二膜モジュールの構成(3A)および中空糸の側壁を構成する膜を隔てて存在する水素ガスを中空糸内部の透析液の原液と混合して、原液中に水素ガスを溶解せしめる仕組みを説明するための模式図(3B)を示す。 図4は、ブドウ糖を含む各種電解質(A剤)を、水素を含有したRO水(水素水)に溶解したときの水素濃度および酸化還元電位の各変化を示すグラフである。 図5は、ブドウ糖を含まない重炭酸塩(B剤)を水素水に溶解したときの水素濃度および酸化還元電位の各変化を示すグラフである。
次に、本発明の透析液・原液水素還元装置の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、水素ガスを溶解する対象となる透析液原剤について説明する。透析液原剤は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の塩とブドウ糖を含むA剤および重炭酸塩を含むB剤とから成る。2価のカルシウムイオンあるいはマグネシウムイオンと重炭酸塩とが反応して不溶性の炭酸塩を生成するため、透析液を作製するまで、A剤とB剤とを分離している。この実施の形態において、水素ガスを溶解させる対象となる原剤はA剤である。
図1は、本発明の実施の形態に係る透析液・原液水素還元装置の模式図である。
図1に示す透析液・原液水素還元装置1は、透析液原剤の溶液中に水素ガスを溶解させ、酸化還元電位をより低くした還元透析液原液を製造する装置である。透析液・原液水素還元装置1は、透析液原剤の溶液(以後、単に「原液」という)の供給側(上流側)から、水素ガスを溶存させた還元透析液原液の排出側(下流側)に向かって、フィルター10、第一ポンプ20、第一膜モジュール30、第二膜モジュール40、第二ポンプ60、加圧タンク70、第三膜モジュール80の順に接続して成る。第二膜モジュール40は、上記のラインとは別のラインにて、水素ガス供給手段の一例である水電解装置50と接続されている。
フィルター10は、原液に含まれる粒状物を濾過する機能を有する。原液が既に上記濾過の処理に供されている場合には、透析液・原液水素還元装置1にフィルター10を設けなくても良いが、供されていない場合には、フィルター10を設けるのが好ましい。フィルター10は、不要な固体を分離できるものであれば、その形態を問わないが、好ましくはカートリッジ式のフィルターである。また、細菌やエンドトキシンをも除去する必要のある場合には、フィルター10として膜モジュールを用いても良い。
原液は、管5を通って、フィルター10に入り、そこで濾過されて、フィルター10から管12を経て、第一ポンプ20に入る。管12は、その内部に、管12の内径を狭める機能を持つ狭径部材15を有する。このため、第一ポンプ20の直前の吸気側領域を陰圧にすることができる。第一ポンプ20は、フィルター10を通過した原液を、強制的に、第一膜モジュール30側に送る機能を有する。この実施の形態では、第一膜モジュール30と第一ポンプ20は、原液中の気体(空気等)を脱気する脱気ユニットを構成する。ただし、第一ポンプ20以外の送液手段が存在する場合には、第一膜モジュール30のみにより脱気ユニットを構成することもできる。
第一膜モジュール30は、原液からその中に含まれる気体を分離する機能を有する。第一膜モジュール30は、その内部に、親水性の膜から構成される多数の中空糸を有する。このため、原液は、選択的に、第一膜モジュール30内の中空糸の内部から中空糸の隔壁を通過して中空糸の外部へと移動できる。一方、原液に含まれる気体は、中空糸の隔壁を通過できず、中空糸の内部からこれにつながる第一膜モジュール30の外部へと運ばれる。第一膜モジュール30は、その長さ方向に所定の距離を隔てて2箇所の出口を有する。当該2箇所の出口は、管35および管36と接続する。管36は、管35に合流し、その合流箇所から管37に接続し、第二膜モジュール40の上流側に接続される。管36は、第一膜モジュール30の出口近傍に存在する滞留部位に液溜まりが生じてそこに菌が発生するのを防止すべく設けるようにしているが、当該出口近傍に滞留部位を形成しないようにすれば、設けなくても良い。また、第一膜モジュール30は、中空糸の内部とつながる出口から管32に接続する。管32は、フィルター10に接続される。第一膜モジュール30の中空糸は、気体のみならず、液体もその内部を通す。すなわち、原液の全てが中空糸の隔壁を通過するわけではない。このため、管32には、原液と、それに含まれる気体との両方が流れ得る。気体は、フィルター10の上部に接続される管33を経て、透析液・原液水素還元装置1の外部へと排出できる。管33の途中には、バルブ34を接続しているので、バルブ34の開閉によって、気体の排出を調整できる。
第二膜モジュール40は、脱気ユニットの一部を構成する第一膜モジュール30から原液を輸送する側に接続され、膜を隔てて存在する水素ガスを当該膜に形成される孔を通して原液中に混合可能な構成部である。水素ガスは、原液と混合されると、原液に含まれるブドウ糖分解産物を還元し、原液に対してその酸化還元電位を低くする作用を及ぼす。第二膜モジュール40は、その長さ方向に所定の距離を隔てて2箇所の入口を有する。当該2箇所の入口の内の1つは、キャップにて塞がれている。他方の入口は、水素ガス供給口41であって、管42を介して、水素ガス供給手段の一例である水電解装置50につながる。水電解装置50は、水を電気分解して水素ガスと酸素ガスを発生させる装置であって、水素ガスを発生する電極側を管42と接続する。
第二膜モジュール40の下流側は、管43に接続されている。管43は、第二膜モジュール40内の多くの中空糸の内部とつながる。管43は、加圧タンク70に接続され、その途中において第二ポンプ60と接続される。ここで、第二ポンプ60は、第二膜モジュール40の下流側に接続され、第二膜モジュール40から水素ガスを含む原液を加圧タンク70に送る手段である。水素ガスは、水電解装置50から管42を通じて第二膜モジュール40内の多くの中空糸の隔壁を通って中空糸の内部に入る。管37を通じて第二膜モジュール40内に供給されてきた原液は、第二膜モジュール40内に供給されてきた水素ガスと混合される。水素ガスを含む液体は、第二膜モジュール40から第二ポンプ60を経由して、加圧タンク70に入る。第二膜モジュール40における原液と水素ガスとの混合に関しては、後に詳述する。
加圧タンク70は、第二膜モジュール40の下流側、より具体的には第二ポンプ60の下流側に接続され、入ってきた溶液を加圧してそれに含まれる水素ガスの溶解濃度を高めるための容器である。また、加圧タンク70は、それより下流側に配置される第三膜モジュール80と、管72を介して接続される。管72は、その途中に、圧力調整バルブ75を有する。圧力調整バルブ75の調整により、加圧タンク70内の圧力を調整することができる。加圧タンク70内に供給された水素ガスを含む原液(以後、「還元透析液原液」という)は、圧力に依存して、水素ガスの溶存度を高めることができる。
第三膜モジュール80は、加圧タンク70の下流側に、還元透析液原液中の余剰の気体(水素ガス)を脱気する構成部である。第三膜モジュール80は、第一膜モジュール30と同様の構成を有する。還元透析液原液は、選択的に、第三膜モジュール80内の中空糸の内部から中空糸の隔壁を通過して中空糸の外部へと移動できる。一方、還元透析液原液と混合している水素ガスに代表される気体は、中空糸の隔壁を気泡として通過できず、中空糸の内部からこれにつながる第三膜モジュール80の外部へと運ばれる。第三膜モジュール80は、その長さ方向に所定の距離を隔てて2箇所の出口を有する。当該2箇所の出口は、管83および管84と接続する。管84は、管83に合流する。還元透析液原液は、管83から、次なる工程へと輸送される。また、第三膜モジュール80は、中空糸の内部とつながる出口から送気配管としての管82に接続する。管82は、フィルター10の下流側に接続される管12の途中につながる。第三膜モジュール80の中空糸は、水素ガスのみならず、液体もその内部を通す。すなわち、還元透析液原液の全てが、第三膜モジュール80内の中空糸の隔壁を通過するわけではない。このため、管82には、還元透析液原液と、それに含まれる水素ガスとの両方が流れる。水素ガスは、管12を経て、第一膜モジュール30内に送られる。すなわち、第三膜モジュール80の管82を、第一膜モジュール30に原液を送る送液配管としての管12に接続することによって、水素ガスの再混合が行われる。これによって、水素ガスを有効に利用できる。
ここで、水素ガス供給手段として、水電解装置50を用いたが、これを用いずに、水素ガスを高圧にて封入した高圧水素ボンベを用いても良い。また、第三膜モジュール80は、必ずしも配置していなくても良い。また、第三膜モジュール80により分離された水素ガスを含む管82を、管12に接続せず、管37に接続しても良い。また、管82を管32に接続して透析液・原液水素還元装置1の外部に開放しても良い。さらに、管32は、フィルター10に接続せずに、透析液・原液水素還元装置1の外部に開放しても良い。第一ポンプ20および第二ポンプ60の配置箇所およびその数は何ら限定されるものではなく、第一膜モジュール30から加圧タンク70に向けて送液すると共に加圧タンク70を大気圧以上に加圧できるのであれば、どのような位置にいくつのポンプを配置しても良い。また、加圧タンク70は、その入口側あるいは出口側の管とほぼ同じ径のチューブ形状のものでも良い。
図2は、図1に示す透析液・原液水素還元装置を用いて水素ガス混合前の原液から、水素還元後の還元透析液原液を製造する流れを概略的に示すフローチャートである。
透析液の原剤が液体の場合(この状態を、原液という)には、当該原液は、管5を経由して第一膜モジュール30に送られ、直接、脱気処理に供される。一方、透析液の原剤が粉末の場合には、当該原剤を水に溶解して液体とし(液状にしたものも、原液という)、当該原液は、管5を経由して第一膜モジュール30に送られ、脱気処理に供される。脱気処理は、原液中の溶存酸素等を除外する処理であり、その後の水素溶解処理において、液中に溶存する水素ガスの濃度を高めるのに寄与する。脱気処理後の原液は、次に、水素ガスと混合され、水素溶解処理に供される。原液中への水素ガスの溶解は、第二膜モジュール40内で行われると共に加圧タンク70内の高圧環境下でも行われる。水素ガスは、原液中のブドウ糖が分解して生成される分解生成物(例えば、グリオキサール)を還元するのに寄与する。加圧タンク70から下流に送られる還元透析液原液中には、液中に溶解およびブドウ糖の分解生成物の還元後の余剰に存在する分子状態の水素ガスが含まれている場合がある。そこで、かかる場合に当該水素ガスを除去するべく、第三膜モジュール80にて水素ガスを還元透析液原液から選択的に分離する工程を実行する。
図3は、図1に示す第二膜モジュールの構成(3A)および中空糸の側壁を構成する膜を隔てて存在する水素ガスを、中空糸内部の透析液の原液と混合して原液中に水素ガスを溶解せしめる仕組みを説明するための模式図(3B)を示す。
第二膜モジュール40は、スリーブ100と、その内部に束ねて配置される多くの中空糸101とを備える。図3中、Fは原液の流れる方向を、Lは中空糸101中の原液を、それぞれ示す。第一膜モジュール30側から送られてくる原液は、第二膜モジュール40の中空糸101に入る。中空糸101は、図3中の一部Xで示すように、好ましくは、200μm程度のチューブであって、その側壁に孔径10〜50オングストロームの孔102を多数備える膜から構成される。中空糸101の側壁に形成される孔102は、スリーブ100に入ってきた水素ガスを通過させることのできる大きさである。中空糸101の下流側にて第二ポンプ60を作動すると、中空糸101の下流側および側壁の内側が陰圧となる。この結果、中空糸101内の原液は、第二ポンプ60の方向に流れ、水素ガスは、孔102から中空糸101の内部に入り、原液と共に第二ポンプ60の方向に流れていく。一般的に、液体に気体を溶解させる場合、溶解困難であることに鑑みて、液中に気体をバブリングさせる方法が知られている。しかし、一般的なバブリングの手法では、泡の大きさがミリメータレベル〜数百ミクロンレベルと大きく、この実施の形態のように、透析液の原液中に瞬時に水素ガスを高濃度で溶解させるケースには不十分である。そこで、この実施の形態では、オングストームオーダーの孔102を多数備える中空糸101の側壁を、それより小さな水素ガスの泡Vを原液中に発生させる手段として利用している。この結果、極めて小さな水素ガスの泡V(孔102の直径より小さな泡V)が原液中に形成され、原液に水素ガスをより高濃度で溶解させることができる。
このように、この実施の形態では、多数の中空糸101を束ね、かつ各中空糸101の側壁に多数の孔102を備え、管42からスリーブ100に入ってくる水素ガスを強制的に孔102の径より小さなオングストロームオーダーの泡として、中空糸101中の原液に生成するようにしている。このため、原液と水素ガスとの接触面積を著しく大きくすることができ、もって、原液へのより高濃度での水素ガス溶解が可能となる。なお、上記の実施の形態では、原液(A剤)に水素ガスを溶解させる例にて説明したが、A剤に代えてB剤に、あるいはA剤とB剤とから作製される透析液に水素ガスを溶解させて還元することによっても、透析液の酸化還元電位を大きく低下させることができる。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<1.予備実験>
図4は、ブドウ糖を含む各種電解質(A剤)を、水素を含有したRO水(以後、「水素水」と称する)に溶解したときの水素濃度および酸化還元電位の各変化を示すグラフである。図5は、ブドウ糖を含まない重炭酸塩(B剤)を水素水に溶解したときの水素濃度および酸化還元電位の各変化を示すグラフである。
各種液体の酸化還元電位は、東亜DKK社製のポータブルpH計(型番: HM−21P)を用いて計測した。溶存する水素の濃度は、トラストレックス社製のポータブル溶存水素計(型番: ENH−1000)を用いて計測した。
酸化還元電位が−795mV、水素濃度が1.47ppmの水素水500gに、ブドウ糖を含む各種電解質(A剤)143gを溶解すると、図4に示すように、5分後に、酸化還元電位が+73mV、水素濃度が0.45ppmとなり、10分後に、酸化還元電位が+69mV、水素濃度が0.18ppmとなった。この結果より、水素水にA剤を溶解した場合には、溶解直後からの時間の推移に従って、水素濃度が低下し、酸化還元電位がマイナスからプラスに転じることがわかる。
一方、酸化還元電位が−642mV、水素濃度が1.20ppmの水素水500gに、ブドウ糖を含まない重炭酸塩(B剤)35gを溶解すると、図5に示すように、5分後に、酸化還元電位が−677mV、水素ガス濃度が1.14ppmとなり、10分後に、酸化還元電位が−665mV、水素濃度が1.08ppmとなった。この結果より、水素溶解水にB剤を混合した場合には、溶解直後からの時間の推移に従って、水素濃度が大きく変化せず、酸化還元電位も大きく変化せずにマイナスの電位を維持していることがわかる。
<2.実験例>
(1)試料
透析液原剤として、ブドウ糖を含む各種電解質(A剤)およびブドウ糖を含まない重炭酸塩(B剤)を用意した。比較として、水道水、RO膜を通した水(RO水)も計測した。
(2)実験内容
a)A剤、b)B剤、c)水道水、d)RO水、e)図1に示す透析液・原液水素還元装置を用いて水素ガスを溶解した改質A剤、f)単にA剤とB剤とを混合した従来型の透析液およびg)改質A剤とB剤とを混合した改質透析液の7種類の試料の酸化還元電位を計測した。酸化還元電位の計測には、<1.予備実験>で用いたpH計を用いた。e)改質A剤の製造に際して、第二膜モジュールとして、ニプロ社製の透析器PES−25Sα(膜面積: 2.5m)を用いた。また、水素ガス供給手段として、水電解装置を用いて第二膜モジュールに水素ガスを供給した。加圧タンクには、17Lの塩化ビニル製の円筒容器を用い、内圧0.3MPaの条件を保持して行った。
(3)結果
表1に、a)〜e)の各種試料の酸化還元電位を示す。
Figure 0005872321
表1に示すように、改質A剤は、水素ガスの溶解によって、酸化還元電位が+429mVから−498mVまで低下した。この改質A剤とB剤およびRO水とを混合・希釈した改質透析液の酸化還元電位は、+70mVであった。この値(+70mV)は、従来型の透析液の酸化還元電位(+320mV)よりも著しく低い値であった。このように、A剤に水素ガスを溶解させて還元することにより、透析液の酸化還元電位を大きく低下させることができた。
本発明は、酸化還元電位の低い透析液を製造する産業にて利用できる。
1 透析液・原液水素還元装置
12 管(送液配管)
20 第一ポンプ(脱気ユニットの一部)
30 第一膜モジュール(脱気ユニットの一部)
40 第二膜モジュール
50 水電解装置(水素ガス供給手段の一例)
70 加圧タンク
80 第三膜モジュール
82 管(送気配管)
102 孔

Claims (4)

  1. 透析液あるいは透析液原剤の溶液中に水素ガスを溶解させ、酸化還元電位をより低くした還元透析液あるいは還元透析液原液を製造する透析液・原液水素還元装置であって、
    上記透析液あるいは上記透析液原剤の溶液中の気体を脱気するユニットであって少なくとも第一膜モジュールを含む脱気ユニットと、
    上記脱気ユニットから上記透析液あるいは上記透析液原剤の溶液を輸送する側に接続され、膜を隔てて存在する水素ガスを当該膜に形成される孔を通して上記透析液あるいは上記透析液原剤の溶液中に混合可能な第二膜モジュールと、
    上記第二膜モジュールの下流側に接続され、上記透析液あるいは上記透析液原剤の溶液を加圧してそれに含まれる水素ガスの溶解濃度を高めるための加圧タンクと、
    を備える透析液・原液水素還元装置。
  2. 前記加圧タンクの下流側に、当該下流側の前記透析液あるいは前記透析液原剤の溶液中の気体を脱気する第三膜モジュールを、さらに接続することを特徴とする請求項1に記載の透析液・原液水素還元装置。
  3. 前記第三膜モジュールの送気配管を、前記第一膜モジュールに前記透析液あるいは前記透析液原剤の溶液を送る送液配管に接続し、水素ガスの再混合を行うことを特徴とする請求項2に記載の透析液・原液水素還元装置。
  4. 前記第二膜モジュールに、水素ガスを供給するための水素ガス供給手段を接続することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の透析液・原液水素還元装置。
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