JP6494346B2 - 膜分離装置の分離膜の洗浄方法および洗浄システム - Google Patents

膜分離装置の分離膜の洗浄方法および洗浄システム Download PDF

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Description

本発明は、膜分離活性汚泥処理で使用される膜分離装置の分離膜の洗浄方法および洗浄システムに関する。
従来、図3に示すように、活性汚泥処理槽80内に膜分離装置81が浸漬配置され、膜分離装置81の各膜カートリッジ82にチューブ83を介してヘッダー管84が連通している。各膜カートリッジ82の分離膜(濾過膜)を洗浄する場合、膜分離装置81の濾過運転を停止し、第一洗浄薬液としてシュウ酸86をヘッダー管84に注入し、ヘッダー管84内のシュウ酸86の液位と活性汚泥処理槽80内の被処理液87(例えば、し尿等の原水と活性汚泥との混合液等)の液位との差による自然水頭88によって、シュウ酸86を各膜カートリッジ82の内部に注入する。これにより、シュウ酸86が分離膜(図示省略)を透過液側(二次側)から被処理液側(一次側)に微少流束で透過し、分離膜に付着したケーキ層中の主に無機分が分解される。
その後、膜カートリッジ82の内部に残留したシュウ酸86を排出し、第二洗浄薬液として次亜塩素酸ナトリウム溶液89を、シュウ酸86の注入と同様の手順によって、膜カートリッジ82の内部に注入する。これにより、次亜塩素酸ナトリウム溶液89が分離膜を透過液側から被処理液側に微少流束で透過し、分離膜に付着したケーキ層中の主に有機分が分解される。
上記のように、先ず、シュウ酸86を用いて分離膜を洗浄し、その後、次亜塩素酸ナトリウム溶液89を用いて分離膜を洗浄することによって、分離膜に付着したケーキ層中の無機分と有機分とを分解する洗浄方法については、例えば下記特許文献1に記載されている。
特許第3290555号
上記の従来形式では、市販品の次亜塩素酸ナトリウム原液(一般に有効塩素濃度12wt%のもの)を水で希釈し、この希釈した次亜塩素酸ナトリウム溶液を第二洗浄薬液として分離膜の洗浄に用いている。市販品の次亜塩素酸ナトリウム原液のpHはほぼ12〜13であるため、酸化分解力が弱く、分離膜の洗浄が不足するといった問題があった。
本発明は、分離膜を十分に洗浄することができる膜分離装置の分離膜の洗浄方法および洗浄システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本第1発明は、膜分離活性汚泥処理で使用される膜分離装置の分離膜の洗浄方法であって、
分離膜の二次側から第一薬液としての酸を供給して分離膜を洗浄し、分離膜を洗浄した後の第一薬液の廃液を膜分離装置から排出して回収する第一洗浄工程と、
第一洗浄工程で回収された第一薬液の廃液を次亜塩素酸ナトリウム溶液と混合して第二薬液とし、第二薬液を分離膜の二次側から供給して分離膜を洗浄する第二洗浄工程と、
を備えるものである。
これによると、先ず、第一洗浄工程において、第一薬液を用いて分離膜を洗浄することにより、分離膜に付着したケーキ層中の主に無機分が分解され、第一薬液の廃液を回収した後、第二洗浄工程において、第二薬液を用いて分離膜を洗浄することにより、分離膜に付着したケーキ層中の主に有機分が分解される。
ここで、第一薬液には酸が用いられ、第二薬液は第一洗浄工程で回収された酸の廃液を次亜塩素酸ナトリウム溶液と混合した薬液であるため、次亜塩素酸ナトリウム溶液のpHが低下し、第二薬液の酸化分解力が上がって洗浄力が向上する。これにより、第二薬液を用いて、分離膜に付着したケーキ層中の有機分を十分に分解することができ、分離膜を十分に洗浄することができる。
本第2発明における膜分離装置の分離膜の洗浄方法は、第二薬液はpHが7以上かつ9以下の範囲となるように調整されるものである。
これによると、第二薬液のpHを9以下に調整することにより、第二薬液の酸化分解力が上がって洗浄力が向上する。また、第二薬液のpHを7以上に調整することにより、塩素ガスの発生を抑制(低減)することができる。
また、第一洗浄工程において、分離膜に付着したケーキ層中の無機分を分解するために使用した第一薬液の廃液を、第二洗浄工程において、第二薬液のpHを調整する調整剤として再利用している。このため、第一薬液を有効利用することができる。
本第3発明における膜分離装置の分離膜の洗浄方法は、第二薬液の有効塩素濃度が0.01wt%以上かつ0.1wt%以下の範囲である。
本第4発明における膜分離装置の分離膜の洗浄方法は、第一薬液の廃液の酸度を測定し、
測定された第一薬液の廃液の酸度と、次亜塩素酸ナトリウム溶液のアルカリ度と、次亜塩素酸ナトリウム溶液の混合量との関係式に基づいて、第一薬液の廃液の混合量を決めるものである。
これによると、容易かつ正確に第一薬液の廃液の混合量を決めて、第二薬液を洗浄に適した所定のpHに調整することができる。
本第5発明は、膜分離活性汚泥処理で使用される膜分離装置の分離膜の洗浄システムであって、
第一薬液としての酸を分離膜の二次側から供給する第一供給手段と、
次亜塩素酸ナトリウム溶液を分離膜の二次側から供給する第二供給手段と、
第一供給手段によって分離膜の二次側から供給された第一薬液を回収して貯留する廃液貯留部と、
廃液貯留部に貯留される第一薬液の廃液を分離膜の二次側から供給する第三供給手段とが備えられているものである。
以上のように本発明によると、第二薬液は第一洗浄工程で回収された酸の廃液と次亜塩素酸ナトリウム溶液を混合した薬液であるため、次亜塩素酸ナトリウム溶液のpHが低下し、第二薬液の酸化分解力が上がって洗浄力が向上し、これにより、第二薬液を用いて、分離膜に付着したケーキ層中の有機分を十分に分解することができ、分離膜を十分に洗浄することができる。
また、第二薬液のpHを9以下に調整することにより、第二薬液の酸化分解力が上がって洗浄力が向上し、第二薬液のpHを7以上に調整することにより、塩素ガスの発生を抑制(低減)することができる。
また、第一洗浄工程において、分離膜に付着したケーキ層中の無機分を分解するために使用した第一薬液の廃液を、第二洗浄工程において、第二薬液のpHを調整する調整剤として再利用しているため、第一薬液を有効利用することができる。
本発明の実施の形態における活性汚泥処理槽の構成を示す図である。 第二薬液のpHとORPとの関係を示すグラフである。 従来の活性汚泥処理槽の構成を示す図である。
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1に示すように、1は活性汚泥処理槽であり、槽本体2の上部には、有機性排水(例えば、下水、し尿、工場排水等)を供給するための供給系4が連通し、槽本体2の下部には、余剰汚泥を排出するための排出系5が連通している。槽本体2の内部には、被処理液3(有機性排水と活性汚泥との混合液)が貯留され、浸漬型の膜分離装置6が浸漬配置されている。
膜分離装置6は、上下が開口した箱状のケーシング7と、ケーシング7内に配列された複数の平板状の浸漬型膜カートリッジ8とを有している。各膜カートリッジ8は、上下方向に沿って平行に配置されており、膜支持板と、膜支持板の表面を覆って備えられた分離膜9(濾過膜)と、分離膜9の背面側(二次側)において膜支持板の表面又は内部に形成された透過液流路とを有している。
各膜カートリッジ8はチューブ10を介して吸引管12に接続されており、吸引管12には吸引ポンプ13が設けられている。また、膜カートリッジ8の配列群の下方には散気装置14が設置されており、散気装置14には給気管15を介してブロワ16が設けられている。
吸引管12の排出側(下流側)には、分離膜9を透過して膜カートリッジ8の内部から吸引管12を通過した透過液18を貯留する透過液貯留槽19が設置されている。尚、吸引管12には、吸引ポンプ13の吸込側に配置された吸込側弁20と、吐出側に配置された吐出側弁21とが設けられている。
また、活性汚泥処理槽1には、各膜カートリッジ8の分離膜9を洗浄するための分離膜洗浄システム30(分離膜洗浄装置)が備えられている。分離膜洗浄システム30は、塩酸31(酸の一例であり、第一薬液に相当)を貯留する第一貯留タンク32(第一貯留部の一例)と、次亜塩素酸ナトリウム溶液33を貯留する第二貯留タンク34(第二貯留部の一例)と、希釈水35を貯留する希釈水貯留タンク36(希釈水貯留部の一例)と、分離膜9の洗浄に使用した後の塩酸31の廃液31aを回収して貯留する酸廃液貯留槽38(廃液貯留部の一例)と、吸引管12の途中から分岐して酸廃液貯留槽38に連通する酸廃液回収経路39と、薬液を膜分離装置6の各膜カートリッジ8へ供給するための薬液供給経路41と、酸廃液貯留槽38内の塩酸31の廃液31aを薬液供給経路41に供給する酸廃液供給経路42と、第一貯留タンク32内の塩酸31を薬液供給経路41に供給する第一供給手段44と、第二貯留タンク34内の次亜塩素酸ナトリウム溶液33を薬液供給経路41に供給する第二供給手段45と、希釈水35を薬液供給経路41に供給する希釈水供給手段46と、酸廃液供給経路42に設けられた酸廃液供給ポンプ48および酸廃液供給弁49と、吸引管12の途中から分岐した洗浄廃液排出経路50と、薬液供給経路41に配置されるスタティックミキサー51とを備えている。
薬液供給経路41は、配管からなり、上流側が希釈水貯留タンク36に接続され、下流側が吸引管12の途中に接続されている。また、スタティックミキサー51は第一および第二供給手段44,45と希釈水供給手段46と酸廃液供給弁49よりも薬液供給経路41の下流側にあり、スタティックミキサー51と吸引管12との間における薬液供給経路41には薬液供給弁52が設けられている。尚、第一および第二の薬液供給手段44,45と希釈水供給手段46とはそれぞれバルブおよび供給用ポンプ等によって構成されている。
また、酸廃液貯留槽38に貯留される塩酸31の廃液31aを分離膜9の二次側から供給する第三供給手段47が、酸廃液供給経路42と酸廃液供給ポンプ48と酸廃液供給弁49とによって構成されている。また、スタティックミキサー51は、次亜塩素酸ナトリウム溶液33と塩酸31の廃液31aとを分離膜9に供給する薬液供給経路41の途中で混合して第二薬液57を生成する混合手段の一例である。
酸廃液回収経路39は吸引ポンプ13と吐出側弁21との間において吸引管12から分岐しており、酸廃液回収経路39には回収弁53が設けられている。また、洗浄廃液排出経路50には排出弁54が設けられている。
尚、第一貯留タンク32内の塩酸31は濃度が4wt%である。また、第二貯留タンク34内の次亜塩素酸ナトリウム溶液33は、市販品を使用しており、pHがほぼ12〜13であり、有効塩素濃度が12wt%である。
以下、上記構成における作用を説明する。
濾過運転時においては、吸引ポンプ13とブロワ16とを駆動し、酸廃液供給ポンプ48を停止し、吸込側弁20と吐出側弁21とを開き、薬液供給弁52と回収弁53と排出弁54とを閉じる。
これにより、各膜カートリッジ8の内部に吸引負圧が作用し、この吸引負圧によって被処理液3が濾過される。被処理液3は、各膜カートリッジ8の分離膜9を透過することにより濾過され、透過液18として二次側の透過液流路に流入し、膜カートリッジ8内から吸引管12を通って透過液貯留槽19に排出され貯留される。また、散気装置14から散気が行われる。
上記のような濾過運転を行うことにより、各膜カートリッジ8の分離膜9の膜面にケーキ層が付着して濾過機能が低下した場合、以下のようにして分離膜9を洗浄する。
先ず、吸引ポンプ13とブロワ16とを停止して濾過運転を停止する。その後、以下のような第一洗浄工程を行う。
吸込側弁20を閉じ、薬液供給弁52を開いた後、第一薬液としての塩酸31を、第一供給手段44によって、第一貯留タンク32内から薬液供給経路41に供給する。薬液供給経路41に供給された塩酸31は、薬液供給経路41から吸引管12を通り、各膜カートリッジ8内に流入して、二次側から分離膜9に供給される。
これにより、塩酸31を用いて分離膜9が洗浄され、分離膜9に付着したケーキ層中の主に無機分が塩酸31によって分解される。
上記のように塩酸31を二次側から分離膜9に供給した状態で所定時間が経過した後、薬液供給弁52を閉じて、分離膜9への塩酸31の供給を停止し、吸込側弁20と回収弁53とを開き、吐出側弁21と排出弁54とを閉じ、吸引ポンプ13を駆動する。
これにより、各膜カートリッジ8内に残留している塩酸31の廃液31aが、各分離膜9の二次側から吸引管12に排出され、吸引管12を通って酸廃液回収経路39に流入し、酸廃液回収経路39から酸廃液貯留槽38内に排出され回収される。これにより、第一洗浄工程を完了し、次に、以下のような第二洗浄工程を行う。
吸引ポンプ13を停止し、酸廃液供給ポンプ48を駆動し、吸込側弁20を閉じ、酸廃液供給弁49と薬液供給弁52とを開き、希釈水貯留タンク36内の希釈水35を希釈水供給手段46によって薬液供給経路41に供給するとともに、第二貯留タンク34内の次亜塩素酸ナトリウム溶液33を第二供給手段45によって薬液供給経路41に供給し、酸廃液貯留槽38内の塩酸31の廃液31aを薬液供給経路41に供給する。
これにより、塩酸31の廃液31aと次亜塩素酸ナトリウム溶液33と希釈水35とが
スタティックミキサー51で混合され、塩酸31の廃液31aと次亜塩素酸ナトリウム溶液33とを含み希釈水35で希釈された第二薬液57が生成され、この第二薬液57が薬液供給経路41から吸引管12を通って各膜カートリッジ8内に流入し、二次側から分離膜9に供給される。
これにより、第二薬液57を用いて分離膜9が洗浄され、分離膜9に付着したケーキ層中の主に有機分が第二薬液57によって分解される。
上記のように第二薬液57を二次側から分離膜9に供給した状態で所定時間が経過した後、酸廃液供給ポンプ48を停止し、薬液供給弁52を閉じ、吸込側弁20と排出弁54とを開き、吐出側弁21と回収弁53とを閉じて、吸引ポンプ13を駆動する。これにより、各膜カートリッジ8内に残留している第二薬液57の廃液57aが、各分離膜9の二次側から吸引管12に排出され、吸引管12を通って洗浄廃液排出経路50から系外へ排出される。
上記のような分離膜9の洗浄方法において、市販品の次亜塩素酸ナトリウム溶液33に塩酸31の廃液31aと希釈水35とを混合して、次亜塩素酸ナトリウム溶液33のpHを低下させることで、第二薬液57は、pHが7以上かつ9以下の範囲内に調整されているとともに、有効塩素濃度が0.01wt%以上かつ0.1wt%以下の範囲内に調整されている。
上記のように、第二薬液57のpHを9以下にすることにより、第二薬液57の酸化分解力が上がって洗浄力が向上する。また、第二薬液57のpHを7以上にすることにより、塩素ガスの発生を抑制(低減)することができる。尚、pHが7以上かつ9以下の範囲内において、好ましくはpHを8にすることにより、洗浄力の向上と塩素ガスの発生の抑制とがバランス良く実現できる。
下記表1は、市販品の有効塩素濃度12wt%の次亜塩素酸ナトリウム原液を水で希釈したときのpHとORP(酸化還元電位)の測定値、および、水で希釈した次亜塩素酸ナトリウム溶液に塩酸を混合してpHをほぼ8に調整したときのORPの測定値を示す。尚、ORPの値は白金電極値を水素電極換算値に換算したものである。
これによると、例えば最下欄に記載したように、有効塩素濃度12wt%の次亜塩素酸ナトリウム原液を水で5倍希釈した場合、次亜塩素酸ナトリウム溶液の有効塩素濃度が2.4wt%となり、その時のpHが12.1、ORPが740mVとなる。この希釈した次亜塩素酸ナトリウム溶液に塩酸を混合してpHを8.0に調整したときのORPが1089mVである。このように塩酸を混合してpHを12.1から8.0に下げることによって、ORPが740mVから1089mVに上昇しているため、酸化分解力が向上していることがわかる。また、10〜80倍希釈においても同様に、pHを8.0又は8.1に下げることによって、ORPが上昇するため、酸化分解力が向上する。
Figure 0006494346
また、図2には、次亜塩素酸ナトリウム溶液に塩酸を混合してpHを徐々に下げていった場合の混合液のpHとORPとの関係を示すグラフが記載されている。これによると、pHを12から下げていくことにより、ORPが上昇するため、酸化分解力が向上することが分かる。
このようなことから、市販品の次亜塩素酸ナトリウム溶液33を希釈水35で希釈するとともに塩酸31の廃液31aを混合して第二薬液57のpHを7以上かつ9以下の範囲内に調整することにより、第二薬液57の酸化分解力が上がって洗浄力が向上するため、分離膜9を短時間で十分に洗浄することができる。
尚、pHを8付近から7付近まで下げるためには、次亜塩素酸ナトリウム溶液33に多量の塩酸31の廃液31aを混合する必要があるため、第二薬液57のpHを8以上かつ9以下の範囲内に調整することがより好ましい。
また、上記第二洗浄工程において、次亜塩素酸ナトリウム溶液33の混合量(添加量)をX、塩酸31の廃液31aの混合量をY、次亜塩素酸ナトリウム溶液33のアルカリ度をA、塩酸31の廃液31aの酸度をBとすると、混合量Xの次亜塩素酸ナトリウム溶液33をpH8に中和するのに必要な塩酸31の廃液31aの混合量Yは以下の関係式(1)に基づいて算出できる。
混合量X×アルカリ度A=混合量Y×酸度B ・・・関係式(1)
ここで、上記市販品の次亜塩素酸ナトリウム溶液33は、pHが約12.5であり、1Nのアルカリ度が50000mg/リットルである。また、市販品の塩酸31は、pHがほぼ0であり、例えば12Nで販売されている。
また、1000ミリリットルの次亜塩素酸ナトリウム溶液33が50ミリリットルの塩酸31でpH8に中和されるとすると、中和に必要な次亜塩素酸ナトリウム溶液33の当量Cは以下の式で求められる。
当量C=12[N]×50[ミリリットル]/1000[ミリリットル]
=0.6[N]
ここで、塩酸31の廃液31aの混合量Yを1リットルとし、酸廃液貯留槽38に回収されている塩酸31の廃液31aの酸度Bを測定し、この酸度Bの測定値を1000mg/リットルとした場合、上記関係式(1)より、
混合量X×50000[mg/リットル]×0.6=1[リットル]×1000[mg/リットル]
という関係が成り立つ。これにより、
混合量X=1×1000/(50000×0.6)
=1/30[リットル]
となる。
上記の計算により、1/30リットルの次亜塩素酸ナトリウム溶液33に1リットルの塩酸31の廃液31aを混合することによって、pH8に調整された第二薬液57が生成される。すなわち、次亜塩素酸ナトリウム溶液33と塩酸31の廃液31aとを、容積比率が1対30の割合で混合することにより、pH8に調整された第二薬液57を生成することができる。例えば、1リットルの次亜塩素酸ナトリウム溶液33に30リットルの塩酸31の廃液31aを混合することにより、pH8に調整された31リットルの第二薬液57が生成される。
上記のように関係式(1)に基づいて、第二薬液57をpH8に調整するのに必要な塩酸31の廃液31aの混合量Y(添加量)を求めることができる。
尚、上記実施の形態では、酸の一例として塩酸31を用いたが、塩酸31以外の鉱酸を用いてもよい。
また、上記実施の形態の分離膜洗浄システム30に制御手段を設け、第二薬液57のpHを測定し、制御手段が、このpHの測定値に応じて、次亜塩素酸ナトリウム溶液33の混合量に対する塩酸31の廃液31aの混合量を自動的に調節するようにしてもよい。
また、酸廃液貯留槽38に貯留されている塩酸31の廃液31aの酸度Bを測定し、制御手段が、この酸度Bの測定値に応じて、上記関係式(1)から次亜塩素酸ナトリウム溶液33の混合量に対する塩酸31の廃液31aの混合量を自動的に算出し、算出した値に基づいて塩酸31の廃液31aの混合量を自動的に調節するようにしてもよい。
6 膜分離装置
9 分離膜
30 分離膜洗浄システム
31 塩酸(酸:第一薬液)
31a 塩酸の廃液(第一薬液の廃液)
33 次亜塩素酸ナトリウム溶液
38 酸廃液貯留槽(廃液貯留部)
44 第一供給手段
45 第二供給手段
47 第三供給手段
51 スタティックミキサー(混合手段)
57 第二薬液

Claims (5)

  1. 膜分離活性汚泥処理で使用される膜分離装置の分離膜の洗浄方法であって、
    分離膜の二次側から第一薬液としての酸を供給して分離膜を洗浄し、分離膜を洗浄した後の第一薬液の廃液を膜分離装置から排出して回収する第一洗浄工程と、
    第一洗浄工程で回収された第一薬液の廃液を次亜塩素酸ナトリウム溶液と混合して第二薬液とし、第二薬液を分離膜の二次側から供給して分離膜を洗浄する第二洗浄工程と、
    を備えることを特徴とする膜分離装置の分離膜の洗浄方法。
  2. 第二薬液はpHが7以上かつ9以下の範囲となるように調整されることを特徴とする請求項1記載の膜分離装置の分離膜の洗浄方法。
  3. 第二薬液の有効塩素濃度が0.01wt%以上かつ0.1wt%以下の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の膜分離装置の分離膜の洗浄方法。
  4. 第一薬液の廃液の酸度を測定し、
    測定された第一薬液の廃液の酸度と、次亜塩素酸ナトリウム溶液のアルカリ度と、次亜塩素酸ナトリウム溶液の混合量との関係式に基づいて、第一薬液の廃液の混合量を決めることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の膜分離装置の分離膜の洗浄方法。
  5. 膜分離活性汚泥処理で使用される膜分離装置の分離膜の洗浄システムであって、
    第一薬液としての酸を分離膜の二次側から供給する第一供給手段と、
    次亜塩素酸ナトリウム溶液を分離膜の二次側から供給する第二供給手段と、
    第一供給手段によって分離膜の二次側から供給された第一薬液を回収して貯留する廃液貯留部と、
    廃液貯留部に貯留される第一薬液の廃液を分離膜の二次側から供給する第三供給手段とが備えられていることを特徴とする膜分離装置の分離膜の洗浄システム。
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