JP5871634B2 - チューブ容器及びチューブ容器入り製品 - Google Patents
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Description
ペースト状製剤で対象部位を処理する際には、チューブ容器から手の平や歯ブラシ等のアプリケーターにペースト状製剤を注出し、これを対象部位に塗布したり、アプリケーターで対象部位を擦掃したりする。
しかしながら、ペースト状製剤の組成に関する技術では、各成分の相溶性の問題から有効成分が制限されたり、保存安定性が損なわれる等の問題があった。
例えば、ノズル内部の軸方向所定の位置に、軸方向に対して傾斜した羽根を周方向に沿って複数設けてなり、製剤が各羽根間の流路を通過して、吐出方向に対して製剤が弧を描くように吐出されるノズル構造が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の発明によれば、高粘度の製剤を容器からスムーズかつ均一に注出することが図られている。
また、チューブ内蔵物搾り排出口に細かい穿設を設けた構造と、チューブ排出口に細かい穿設を設けた補助キャップとを備えるそば状排出口付きチューブが提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2の発明によれば、注出された内容物を速く溶かすことが図られている。
また、特許文献2の技術では、内容物の分散性を高められるものの、内容物が様々な方向に注出され、取り扱い性に劣る。
そこで、本発明は、取り扱い性が良好で、内容物の分散性を高められるチューブ容器を目的とする。
前記第一の注出流路は、それらの開口面同士の中心から任意の半径で描かれる仮想円の周方向に傾斜していることが好ましく、前記注出体には、前記第一の注出流路の開口面同士の中心に、前記チューブ本体内と外部とを連通する第二の注出流路が形成されていることが好ましい。
本発明のチューブ容器によれば、前記第一の注出流路は、それらの開口面同士の中心から任意の半径で描かれる仮想円の周方向に傾斜しているため、取り扱い性がより良好になる。
本発明のチューブ容器によれば、前記注出体には、前記第一の注出流路の開口面同士の中心に、前記チューブ本体内と外部とを連通する第二の注出流路が形成されているため、取り扱い性がより良好となり、内容物の分散性をより高められる。
本発明の第一の実施形態にかかるチューブ容器について、以下に図1〜2を参照して説明する。
図1〜2のチューブ容器1は、チューブ本体10とチューブ本体10の先端に設けられた注出体20とを備えるものである。
流路形成部22は、円柱状の部材に、第一の注出流路30が3つ形成されたものである。
第一の注出流路30は、チューブ本体10から先端面21に向かうに従い互いに近接するものとされている。本実施形態において、第一の注出流路30の先端側開口面32同士の中心O1は、先端面21の中心と一致している。即ち、第一の注出流路30は、先端面21に向かうに従い、流路形成部22の外周側から先端面21の中心に近づくものとされている。なお、中心O1は、各々の先端側開口面32から等距離に位置する。
チューブ本体10の長さは、チューブ容器1の容量等を勘案して決定でき、例えば、3〜20cmとされる。
肩部14及び注出体20の材質は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等の樹脂等が挙げられる。
先端側開口面32同士の距離D2は、内容物の性状等を勘案して決定され、例えば、0.5〜5mmとされる。上記下限値未満では、第一の注出流路30から注出された内容物同士が1つの塊になりやすく、内容物の分散性を十分に高められないおそれがある。上記上限値超では、内容物の注出方向を制御しにくくなって、内容物が様々な方向に注出され、取り扱い性を良好にできないおそれがある。
例えば、まず、肩部14と注出体20とが一体成形された部材(注出部材)を射出成形等により得る。シート状の基材を筒状に成形して胴部12とし、又はインフレーション成形で得られた筒状の基材を胴部12とし、胴部12の一端に、注出部材を熱融着し又は接着する。注出体20に蓋体(不図示)を装着して、チューブ本体10の先端に注出体20が設けられ、後端が開口したチューブ容器1を得る。蓋体は、特に限定されず、注出体20に外嵌合するものであってもよいし、注出体20に螺合するものであってもよい。
開口した後端から内容物をチューブ本体10に充填した後、チューブ本体10の後端を封止して、内容物入りのチューブ容器1(チューブ容器入り製品)を得る。
内容物としては、練歯磨剤、ハンドクリーム等のペースト状製剤、ペースト状調味料等のペースト状製品等が挙げられる。
内容物の粘度は、500〜1500mPa・sが好ましく、700〜1200mPa・sが好ましい。上記下限値未満であると、注出された内容物が様々な方向に飛散しやすかったり、アプリケーターから垂れ落ちやすくなる。上記上限値超では、分散性が低くなりすぎ、効果発現を十分に速められないおそれがある。
このため、本実施形態のチューブ容器は、歯ブラシ等の狭い場所に注出され、かつ口腔内での分散性が求められる練歯磨剤等の口腔用組成物の容器として特に好適である。
本発明の第二の実施形態にかかるチューブ容器について、以下に図3〜4を参照して説明する。なお、第一の実施形態と同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略すると共に、主に第一の実施形態と異なる点について説明する。
図3〜4のチューブ容器100は、チューブ本体10と、チューブ本体10の先端に設けられた注出体120とを備えるものである。
流路形成部122は、円柱状の部材に、第一の注出流路130が3つ形成されたものである。
第一の注出流路130は、チューブ本体10から先端面121に向かうに従い互いに近接するものとされている。本実施形態において、先端側開口面132同士の中心O2は、先端面121の中心と一致している。即ち、第一の注出流路130は、先端面121に向かうに従い、流路形成部122の外周側から先端面121の中心に近づくものとされている。
加えて、第一の注出流路130は、それらの先端側開口面132同士の中心O2から任意の半径r1で描かれる仮想円C1の周方向に傾斜している。本実施形態における第一の注出流路130は、平面視で反時計回りの方向に傾斜している。
注出体120の直径R2は、注出体20の直径R1と同様である。
流路形成部122の高さH2は、流路形成部22の高さH1と同様である。
第一の注出流路130の軸線P2と、先端面121とのなす劣角(中心方向傾斜角)は、第一の実施形態における中心方向傾斜角θ1と同様である。
先端側開口面132の開口径は、第一の実施形態における先端側開口面32の開口径と同様である。
先端側開口面132の周縁から中心O2までの距離は、第一の実施形態における先端側開口面32から中心O1までの距離D1と同様である。
先端側開口面132同士の距離は、第一の実施形態における先端側開口面32同士の距離D2と同様である。
本発明の第三の実施形態にかかるチューブ容器について、以下に図5〜6を参照して説明する。なお、第一又は第二の実施形態と同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略すると共に、主に第一及び第二の実施形態と異なる点について説明する。
図5〜6のチューブ容器200は、チューブ本体10と、チューブ本体10の先端に設けられた注出体220とを備えるものである。
流路形成部222は、円柱状の部材に、第一の注出流路130が3つ形成され、中心O2に第二の注出流路230が形成されたものである。
第二の注出流路230は、チューブ本体10側から注出体220の先端に延びて注出体220の先端面221に開口し、かつ接続筒部24の内部を介してチューブ本体10内と連通するものである。第二の注出流路230は、チューブ本体10側から先端面221にかけて同一径とされ、その軸線P3は、先端面221に直交するものとされている。
先端面221における第二の注出流路230の開口面(先端側開口面)232は、平面視真円形とされている。
加えて、本実施形態によれば、4つの先端側開口面から内容物が注出されるため、内容物における体積に対する表面積をさらに高めて、分散性をさらに高められる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
第一〜第三の実施形態では、第一の注出流路が3つ形成されているが、本発明は、これに限定されず、第一の注出流路が2つ形成されていてもよいし、4つ以上形成されていてもよい。ただし、取り扱い性のさらなる向上、内容物の分散性のさらなる向上を図るには、第一の注出流路の数は3〜8が好ましく、3〜5がより好ましい。
なお、第一の注出流路の先端側開口面が平面視真円形以外である場合、先端側開口面の開口径は、内接する円の直径である。
第三の実施形態では、第二の注出流路の先端側開口面が平面視真円形とされているが、本発明はこれに限定されず、第二の注出流路の先端側開口面が平面視楕円形であってもよいし、平面視多角形であってもよい。
なお、第二の注出流路の先端側開口面が平面視真円形以外である場合、先端側開口面の開口径は、内接する円の直径である。
第三の実施形態では、第二の注出流路がチューブ本体側から注出体の先端面にかけて同一径とされているが、本発明はこれに限定されず、第二の注出流路が先端面に向かうに従い縮径するものであってもよいし、拡径するものであってもよい。
第一〜第三の実施形態では、流路形成部の下端に接続筒部が設けられているが、本発明はこれに限定されず、接続筒部が設けられていなくてもよい。
第一〜第三の実施形態では、接続筒部が円筒状とされているが、接続筒部は、流路形成部の形状に応じて決定されればよく、例えば、多角筒状であってもよい。
表1に示す組成に従い、各成分をスリーワンモーターで混合して、口腔用組成物を得た。得られた口腔用組成物の粘度は、850mPa・sであった。粘度は、BH型粘度計(株式会社東京計器、測定条件:ローターNo.7、20rpm、25℃)で、180秒後に読み取った値である。
以下の手順によって、図1〜2に示すチューブ容器1と同様のチューブ容器に、口腔用組成物が充填されたチューブ容器入り製品を得た。
射出成形によって、表2に示す仕様の注出体と、肩部とが一体となった注出部材(注出体の直径:14mm、ポリプロピレン製)を成形した。
直径38mmの円筒状のラミネートチューブ(低密度ポリエチレン72μm/エチレン・アクリル酸共重合体樹脂90μm/アルミニウム10μm/エチレン・アクリル酸共重合体樹脂35μm/直鎖状低密度ポリエチレン50μm、厚み257μm、大日本印刷株式会社製)で胴部を形成し、この胴部の一方の開口端に注出部材を溶着させた。胴部の他方の開口端から調製例1で得られた口腔用組成物100gを充填し、前記の他方の開口端を封止して、各例のチューブ容器入り製品(タイプA)を得た。得られたチューブ容器入り製品について、水への分散性、泡立量、口腔内分散性、注出制御性及び取り扱い性について評価し、その結果を表2に示す。
注出体を表2に示す仕様とし、チューブ容器を図3〜4に示すチューブ容器100と同様のものとした以外は、実施例1と同様にして各例のチューブ容器入り製品(タイプB)を得た。得られたチューブ容器入り製品について、水への分散性、泡立量、口腔内分散性、注出制御性及び取り扱い性について評価し、その結果を表2に示す。
注出体を表2に示す仕様とし、チューブ容器を図5〜6に示すチューブ容器200と同様のものとした以外は、実施例1と同様にして各例のチューブ容器入り製品(タイプC)を得た。得られたチューブ容器入り製品について、水への分散性、泡立量、口腔内分散性、注出制御性及び取り扱い性について評価し、その結果を表2に示す。
表2に示す注出流路(軸線が注出体の先端面に直交)が1つ形成された注出体を用いた以外は、実施例1と同様にして、チューブ容器入り製品(タイプD)を得た。得られたチューブ容器入り製品について、水への分散性、泡立量、口腔内分散性、注出制御性及び取り扱い性について評価し、その結果を表2に示す。
表2に示す注出流路(軸線が注出体の先端面に直交)が10個形成された注出体を用いた以外は、実施例1と同様にして、チューブ容器入り製品(タイプE)を得た。得られたチューブ容器入り製品について、水への分散性、泡立量、口腔内分散性、注出制御性及び取り扱い性について評価し、その結果を表2に示す。
<水への分散性>
各例のチューブ容器入り製品から、容量50mLのネスラー管に内容物(口腔用組成物)1gを注出した。次いで、ネスラー管に水19gを入れ、ネスラー管に栓をした。1回/秒でネスラー管を強く3回振った後、口腔用組成物の状態を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
5点:口腔用組成物の全量が水に分散した。
4点:口腔用組成物の3/4量以上が水に分散したが、口腔用組成物の塊が見られた。
3点:口腔用組成物の1/2量以上3/4量未満が水に分散していた。
2点:口腔用組成物の1/4量以上1/2量未満が水に分散していた。
1点:口腔用組成物の1/4量未満が水に分散していた。
各例のチューブ容器入り製品から、容量50mLのネスラー管に内容物(口腔用組成物)1gを注出した。次いで、ネスラー管に水19gを入れ、ネスラー管に栓をした。1回/秒でネスラー管を強く3回振った後、ネスラー管の目盛で泡量を読み取った。
10名のモニタが、各例のチューブ容器入り製品から口腔用組成物を歯ブラシに注出し、口腔内を洗浄した際の感触を下記評価基準により評価した。10人の評価点の平均を下記判定基準に分類した。
4点:口腔内で口腔用組成物が分散する感触を非常に感じる。
3点:口腔内で口腔用組成物が分散する感触を感じる。
2点:口腔内で口腔用組成物が分散する感触をやや感じる。
1点:口腔内で口腔用組成物が分散する感触を感じない。
◎:平均点3.5点以上。
○:平均点3.0点以上3.5点未満。
△:平均点2.0点以上3.0点未満。
×:平均点2.0点未満。
紙に2本の平行な線(離間距離:1cm)を描いて、これを測定用紙とした。各例のチューブ容器入り製品から、測定用紙に描かれた2本の平行な線の間に、前記の平行な線に沿って口腔用組成物を2cmの長さで注出した。その際、前記の平行な線から口腔用組成物がはみ出していれば、はみ出した口腔用組成物と、これと近接する線までの距離(はみ出し距離)を測定した。前記の平行な線から口腔用組成物がはみ出していない場合には、はみ出し距離を0mmとした。この操作を3回繰り返し、その平均値を求めた。はみ出し距離の平均値が0に近づくほど、注出方向が良好に制御されていると判断できる。
10名のモニタが、各例のチューブ容器入り製品から口腔用組成物を歯ブラシに注出した際の感触を下記評価基準により評価した。10人の評価点の平均を下記判定基準に分類した。
4点:口腔用組成物を歯ブラシに非常に載せやすい。
3点:口腔用組成物を歯ブラシに載せやすい。
2点:口腔用組成物を歯ブラシにやや載せやすい。
1点:口腔用組成物を歯ブラシに載せにくい。
◎:平均点3.5点以上。
○:平均点3.0点以上3.5点未満。
△:平均点2.0点以上3.0点未満。
×:平均点2.0点未満。
これに対し、注出流路を1つ形成した比較例1は、水への分散性が2点、口腔内分散性が「×」であった。また、先端面に対し軸線が垂直となる注出流路を10個形成した比較例2は、注出制御性が2.6mm、取り扱い性が「×」であった。
これらの結果から、本発明を適用することで、取り扱い性が良好となり、かつ内容物の分散性を高められることが判った。
10 チューブ本体
20、120、220 注出体
21、121、221 先端面
30、130 第一の注出流路
32、132、232 先端側開口面
230 第二の注出流路
O1、O2 中心
C1 仮想円
Claims (3)
- チューブ本体と、該チューブ本体の先端に設けられた注出体とを備えるチューブ容器において、
前記注出体には、先端に向かって延び、前記チューブ本体内と外部とを連通する2つ以上の第一の注出流路が形成され、
前記第一の注出流路は、前記チューブ本体から前記注出体の先端に向かうに従い、互いに近接し、かつ、前記第一の注出流路の全ては、前記注出体の先端に向かうに従い、前記第一の注出流路の開口面同士の中心を軸として平面視時計回りの方向又は平面視反時計回りの方向に傾斜していることを特徴とするチューブ容器。 - 前記注出体には、前記第一の注出流路の開口面同士の中心に、前記チューブ本体内と外部とを連通する第二の注出流路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチューブ容器。
- 請求項1又は2に記載のチューブ容器に、ペースト状製剤が収納されてなることを特徴とするチューブ容器入り製品。
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