以下に、本願の開示する光スイッチの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例では、本願の開示する光スイッチを波長選択スイッチに適用した例について説明するが、この実施例により開示技術が限定されるものではない。
まず、本実施例に係る波長選択スイッチの構成を説明する。図1は、実施例1に係る波長選択スイッチの構成を説明するための図である。図1では、入力が複数ポートで出力が1ポートのみの波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selectable Switch)であるADD型WSSを例に挙げる。図1に示すように、実施例1に係る波長選択スイッチ100は、ADD型スイッチ部110と、判定光入力部120と、光検出部130と、故障判定部140とを有する。
ADD型スイッチ部110は、反射方向が可変であるMEMSミラーを含み、MEMSミラーの反射方向を変更して、WDM信号光の入力を受け付ける複数の入力ポートI1〜INと出力ポートO1とをMEMSミラーを介して光学的に結合する。また、ADD型スイッチ部110は、MEMSミラーの反射方向を変更しない場合には、MEMSミラーを介して未使用の入力ポート(以下「未使用ポート」という)IXと出力ポートO1とを光学的に結合する。
ここで、ADD型スイッチ部110の構成を説明する。図2は、実施例1におけるADD型スイッチ部の構成を説明するための図である。図2に示すように、ADD型スイッチ部110は、複数の入力ポートI1〜INと、一つの未使用ポートIXと、1つの出力ポートO1と、第一光学系111と、波長分岐部112と、第二光学系113と、MEMSアレイ114とを有する。そして、ADD型スイッチ部110に「波長:λ1〜λm」のm種類の波長を有するWDM信号光が入力された場合には、ADD型スイッチ部110は、各入力ポートI1〜INから入力されたWDM信号光を第一光学系111でコリメートし、波長分岐部112に入射させる。ADD型スイッチ部110は、波長分岐部112によってWDM信号光を波長ごとに分岐する。ADD型スイッチ部110は、波長ごとに分岐した信号光を第二光学系113で集光し、集光した信号光を、波長ごとに対応付けられたm個のMEMSミラーを並べたMEMSアレイ114に入射させる。m個のMEMSミラーは、WDM信号光に多重化された複数の信号光を各信号光の波長に応じて反射する。MEMSミラーは、光反射部の一例である。
ADD型スイッチ部110は、m種類の波長の信号光が多重化されて出力ポートO1から出力されるようにMEMSアレイ114の各MEMSミラーの反射方向を変更して、入力ポートI1〜INと出力ポートO1とをMEMSミラーを介して光学的に結合する。
図3は、実施例1におけるADD型スイッチ部によるMEMSミラーの反射方向の変更処理を説明するための図である。ADD型スイッチ部110は、図3に示すように、MEMSミラーをX軸方向およびY軸方向に回転駆動させることにより、MEMSミラーの反射方向を変更する。これにより、入力ポートI1〜INと出力ポートO1とがMEMSミラーを介して光学的に結合される。
図4は、実施例1におけるADD型スイッチ部がMEMSミラーを回転駆動するための構造例である。図4に示すように、ADD型スイッチ部110は、MEMSミラーを回転駆動するための駆動電圧をDAC(Digital to Analog Converter)から出力してAMP(Amplifier)で増幅し、増幅した駆動電圧をMEMSミラー駆動用の電極に印加する。図4の例では、ADD型スイッチ部110は、MEMSミラーの支持部を挟んで対向配置された一対の電極に対して、正負の駆動電圧をそれぞれ印加する。すると、一対の電極において静電引力が発生する。MEMSミラーは、電極で発生した静電引力によって電極側に引き寄せられる。結果として、MEMSミラーは、X軸方向およびY軸方向に所定の角度だけ回転する。
なお、ADD型スイッチ部110は、m種類の波長の信号光が所定の減衰率で出力ポートO1から出力されるにようにMEMSミラーの回転角度を制御することも可能である。図5は、MEMSミラーの回転角度と信号光の減衰率との関係を説明するための図である。図5の縦軸は、信号光の減衰率であるロス[dB]を示し、横軸は、第二光学系113の焦点距離(F)とMEMSミラーの回転角度(θ)との乗算値[um]を示す。図5に示すように、第二光学系113の焦点距離(F)とMEMSミラーの回転角度(θ)との乗算値の増加に伴って、信号光が減衰する。つまり、第二光学系113の焦点距離(F)が一定値である場合であっても、MEMSミラーの回転角度(θ)の増加に伴って信号光が減衰する。
また、ADD型スイッチ部110は、MEMSアレイ114の各MEMSミラーの反射方向を変更しない場合には、未使用ポートIXと出力ポートO1とをMEMSミラーを介して光学的に結合する。図6は、MEMSミラーを介した未使用ポートと出力ポートとの光学的な結合を説明するための図である。MEMSミラーの反射方向を変更する場合、すなわち、MEMSミラーを回転駆動する場合には、ADD型スイッチ部110は、図6の上側に示すように、入力ポートI1〜INと出力ポートO1とをMEMSミラーを介して光学的に結合する。一方で、MEMSミラーの反射方向を変更しない場合、すなわち、MEMSミラーの回転駆動を停止した場合には、ADD型スイッチ部110は、図6の下側に示すように、未使用ポートIXと出力ポートO1とをMEMSミラーを介して光学的に結合する。換言すれば、MEMSミラーを回転駆動するための駆動電圧がMEMSミラー駆動用の電極に印加されていない場合に未使用ポートIXと出力ポートO1とがMEMSミラーを介して光学的に結合されるように、MEMSミラーの反射方向の初期値が設定されている。これは、MEMSミラー又はMEMSミラーに関連する電極等の部品が何らかの要因で故障し、結果としてMEMSミラーの反射方向が変更されない場合にも、未使用ポートIXと出力ポートO1とがMEMSミラーを介して光学的に結合されることを意味する。
ここで、ADD型スイッチ部110の変形例を、図7〜図11を用いて説明する。例えば、本実施例におけるADD型スイッチ部110は、信号光が所定の減衰率で出力されるようにMEMSミラーの回転角度を制御するが、信号光が所定の減衰率で出力されるように液晶素子の屈折率を制御しても良い。すなわち、ADD型スイッチ部110は、MEMSアレイ114の各MEMSミラーに対応付けて液晶素子を有する。ADD型スイッチ部110は、m種類の波長の信号光が多重化されて出力ポートO1から出力されるようにMEMSアレイ114の各MEMSミラーの反射方向を変更して、入力ポートI1〜INと出力ポートO1とをMEMSミラーを介して光学的に結合する。そして、ADD型スイッチ部110は、波長ごとの信号光が所定の減衰率になるように液晶素子の屈折率を制御する。
図7は、本実施例におけるADD型スイッチ部の変形例(その1)を説明するための図である。図7に例示するように、ADD型スイッチ部110は、MEMSアレイ114の各MEMSミラーに対応付けて液晶素子を有する。ADD型スイッチ部110は、MEMSミラーをX軸方向に回転駆動させることにより、MEMSミラーの反射方向を変更する。これにより、入力ポートI1〜INと出力ポートO1とがMEMSミラーを介して光学的に結合される。一方で、ADD型スイッチ部110は、屈折率を変動させるための電圧を液晶素子に印加することによって、波長ごとの信号光の減衰率を制御する。
図8は、液晶素子の印加電圧と信号光の減衰率との関係を説明するための図である。図8の縦軸は、信号光の減衰率[dB]を示し、横軸は、液晶素子の印加電圧(Voltage)[V]を示す。図8に示すように、液晶素子の印加電圧の増加に伴って、信号光が減衰する。
また、例えば、本実施例におけるADD型スイッチ部110は、MEMSアレイ114のMEMSミラーの反射方向を変更して、入出力ポート間を光学的に結合するが、複数の反射型液晶素子の反射方向を変更して、入出力ポート間を光学的に結合しても良い。すなわち、ADD型スイッチ部110は、MEMSアレイ114に代えて、信号光の波長ごとに対応付けられた複数の反射型液晶素子を並べた反射型液晶アレイを有する。そして、ADD型スイッチ部110は、異なる波長の信号光が多重化されて出力ポートから出力されるように反射型液晶アレイの各反射型液晶素子の反射方向を変更して、入力ポートと出力ポートとを反射型液晶素子を介して光学的に結合する。
図9は、本実施例におけるADD型スイッチ部の変形例(その2)を説明するための図である。図9に例示するように、ADD型スイッチ部110は、m種類の波長「λ1〜λm」を有するWDM信号光から波長ごとに分岐された信号光を、波長ごとに対応付けられたm個の反射型液晶素子を並べた反射型液晶アレイに入射させる。m個の反射型液晶素子は、WDM信号光に多重化された複数の信号光を各信号光の波長に応じて反射する。反射型液晶素子は、光反射部の一例である。なお、m個の反射型液晶素子を並べた反射型液晶アレイは、LCoS(Liquid Crystal on Silicon、登録商標)とも呼ばれる。
ADD型スイッチ部110は、m種類の波長の信号光が多重化されて出力ポートから出力されるように反射型液晶アレイの各反射型液晶素子の反射方向を変更して、入力ポートI1〜INと出力ポートO1とを反射型液晶素子を介して光学的に結合する。
図10及び図11は、反射型液晶素子の反射方向の変更処理を説明するための図である。図10に示すように、波面が平面である信号光が反射型液晶素子に入射されると、ADD型スイッチ部110は、屈折率を変動させるための電圧を反射型液晶素子に印加することによって、反射型液晶素子の反射方向を変更する。すなわち、反射型液晶素子によって反射された光の波面は、図11に示すように、鋸歯状となり、波面が鋸歯状となった光は、波面と直交する方向に出射される。これにより、入力ポートI1〜INと出力ポートO1とが反射型液晶素子を介して光学的に結合される。
図1の説明に戻る。判定光入力部120は、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXに対して、ADD型スイッチ部110のMEMミラーの故障を判定するために用いる光である判定光を入力する。具体的には、判定光入力部120は、駆動信号生成部121と、低周波信号生成部122と、重畳部123と、スーパールミネッセントダイオード(SLD:Super Luminescent Diode)124とを有する。
駆動信号生成部121は、SLD124を駆動するための信号である駆動信号を生成し、生成した駆動信号を重畳部123に出力する。低周波信号生成部122は、WDM信号光よりも周波数が低い低周波信号を生成し、生成した低周波信号を光検出部130の後述する移相器134及び重畳部123に出力する。重畳部123は、低周波信号をSLD124の駆動信号に重畳し、低周波信号の重畳された駆動信号をSLD124に出力する。
SLD124は、光を発する光源であり、駆動信号に重畳された低周波信号を用いてSLD124から発せられる光を強度変調することによって、変調光を生成する。SLD124から発せられる光は、WDM信号光と同一の波長帯である1.55um帯を収容する。SLD124は、生成した変調光を判定光としてADD型スイッチ部110の未使用ポートIXに対して入力する。
光検出部130は、ADD型スイッチ部110がMEMSミラーの反射方向を変更する制御を行っている状態で、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1の出力光から、判定光入力部120によってADD型スイッチ部110の未使用ポートIXに入力された判定光を検出する。具体的には、光検出部130は、TAPカプラ131と、フォトディテクタ(PD:Photo Detector)132と、バンドパスフィルタ(BPF:Band Pass Filter)133と、移相器134とを有する。また、光検出部130は、乗算器135と、ローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter)136とを有する。
TAPカプラ131は、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1から出力される出力光を分岐し、分岐により得られた一方の出力光を主信号として外部に出力し、他方の出力光をPD132に出力する。
PD132は、TAPカプラ131によって分岐された出力光を電気信号に変換し、変換した電気信号をBPF133に出力する。以下では、PD132によって出力光から変換された電気信号を出力電気信号と呼ぶ。
BPF133は、低周波信号生成部122によって生成される低周波信号と同一の周波数を含む周波数帯域を透過帯域としており、出力電気信号の周波数成分のうち低周波信号と同一の周波数を有する周波数成分を抽出して乗算器135に出力する。以下では、BPF133によって抽出された周波数成分を抽出周波数成分と呼ぶ。
移相器134は、低周波信号生成部122によって生成される低周波信号の位相を、BPF133から出力される抽出周波数成分の位相に向けてシフトし、位相がシフトされた低周波信号を乗算器135に出力する。乗算器135は、低周波信号と抽出周波数成分とを乗算し、乗算により得られた信号をLPF136に出力する。LPF136は、乗算器135から出力される信号を平滑化し、平滑化された信号を故障判定部140に出力する。LPF136から出力される信号を示す値がゼロ以外の値を持つ場合には、光検出部130は、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1の出力光に判定光となる変調光が含まれていると検出する。LPF136から出力される信号を示す値がゼロである場合には、光検出部130は、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1の出力光に変調光が含まれていないと検出する。
故障判定部140は、光検出部130によって判定光が検出された場合に、ADD型スイッチ部110のMEMSミラーの故障(異常)が発生していると判定する。具体的には、故障判定部140は、光検出部130のLPF136からの出力信号を示す値がゼロ以外の値を持つ場合、換言すると、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1の出力光に変調光が含まれる場合に、MEMSミラーの故障が発生していると判定する。すなわち、MEMSミラーの故障が発生すると、MEMSミラーの反射方向が変更されず、結果としてADD型スイッチ部110の未使用ポートIXと出力ポートO1とがMEMSミラーを介して光学的に結合される。そこで、故障判定部140は、未使用ポートIXから入力された判定光である変調光が出力ポートO1から出力された場合に、未使用ポートIXと出力ポートO1とがMEMSミラーを介して光学的に結合された状態であるMEMSミラーの故障の発生を判定する。MEMSミラーの故障には、MEMSミラー自体の故障だけでなく、例えば図4に示した電極、DAC及びAMP等のMEMSミラーに関連する部品の故障も含まれる。
なお、故障判定部140は、CPU(Central Processing Unit)及び該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現される。或いは、故障判定部140は、FPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて実現しても良い。
次に、本実施例に係る波長選択スイッチ100による処理手順を説明する。図12は、実施例1に係る波長選択スイッチによる処理手順を示すフローチャートである。図12に示すように、波長選択スイッチ100の判定光入力部120は、低周波信号をSLD124の駆動信号に重畳する(ステップS11)。判定光入力部120は、駆動信号に重畳された低周波信号を用いてSLD124から発せられる光を強度変調することによって、変調光を生成する(ステップS12)。判定光入力部120は、生成した変調光を判定光としてADD型スイッチ部110の未使用ポートIXに対して入力する(ステップS13)。
光検出部130は、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1から出力される出力光の一部を分岐する(ステップS14)。光検出部130は、分岐された出力光を電気信号に変換する(ステップS15)。光検出部130は、出力電気信号の周波数成分のうち低周波信号と同一の周波数成分を抽出する(ステップS16)。光検出部130は、低周波信号と抽出周波数成分とを乗算する(ステップS17)。光検出部130は、乗算により得られた信号を平滑化し、平滑化された信号を故障判定部140に出力する(ステップS18)。
故障判定部140は、光検出部130から出力される信号値がゼロである場合、すなわち、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1の出力光から変調光が検出されない場合には(ステップS19;No)、処理をステップS11に戻す。
一方、故障判定部140は、光検出部130から出力される信号値がゼロ以外の値を示す場合、すなわち、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1の出力光から変調光が検出された場合には(ステップS19;Yes)、以下の処理を行う。すなわち、故障判定部140は、ADD型スイッチ部110のMEMSミラーの故障が発生していると判定する(ステップS20)。なお、故障判定部140は、判定結果を所定の出力部に出力しても良い。
上述したように、波長選択スイッチ100は、ADD型スイッチ部110によって反射方向が変更されていないMEMSミラーを介して出力ポートO1に光学的に結合される未使用ポートIXに対して判定光を入力する。波長選択スイッチ100は、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1の出力から、未使用ポートIXに入力された判定光が検出された場合に、ADD型スイッチ部110のMEMSミラーの故障が発生していると判定する。このため、波長選択スイッチ100は、波長選択スイッチ100よりもネットワークの上流側又は下流側に配置された外部機器の故障と、MEMSミラーの故障とを区別することができることから、MEMSミラーの故障を適切に判定することができる。
また、波長選択スイッチ100は、低周波信号を用いてSLD124からの光を強度変調して得られる変調光を判定光として未使用ポートIXに入力し、出力ポートO1の出力光の周波数成分から低周波信号と同一の周波数成分を抽出することで、変調光を検出する。このため、波長選択スイッチ100は、変調光を高感度に検出することができ、MEMSミラーの故障を精度良く判定することができる。
(実施例1の変形例)
ここで、実施例1に係る波長選択スイッチの変形例を説明する。上記実施例1では、PD132によってADD型スイッチ部110の出力光から変換された電気信号を基に判定光を検出する例について説明した。しかしながら、ADD型スイッチ部110の出力光から波長ごとに変換された電気信号を基に判定光を検出しても良い。そこで、実施例1の変形例では、ADD型スイッチ部110の出力光から波長ごとに変換された電気信号を基に判定光を検出する例について説明する。
図13は、実施例1の変形例に係る波長選択スイッチの構成を説明するための図である。図13では、実施例1と同様に、ADD型WSSを例に挙げる。また、図13では、実施例1と同様の機能を有するブロックに同一の符号を付し、同様の処理についてはその説明を省略する。図13に示すように、変形例に係る波長選択スイッチ100aは、ADD型スイッチ部110と、判定光入力部120と、光検出部130aと、故障判定部140aとを有する。
光検出部130aは、WDM信号光に多重された各信号光の波長ごとに判定光の検出を行う。具体的には、光検出部130aは、TAPカプラ131と、OCM132aと、BPF133と、移相器134と、乗算器135と、LPF136とを有する。
OCM132aは、TAPカプラ131によって分岐された出力光を波長ごとに電気信号に変換し、波長ごとに変換した電気信号をBPF133に出力する。以下では、OCM132aによって出力光から波長ごとに変換された電気信号を出力電気信号と呼ぶ。
図14は、OCMの構成の一例を説明するための図である。図14に示すように、OCM132aにm種類の波長λ1〜λmを有する光が入力された場合には、OCM132aは、入力ポートから入力された光をコリメートレンズでコリメートし、レンズを介して回折格子に入射させる。回折格子は、入射された光を波長ごとに分岐し、波長ごとに分岐した光をレンズを介してPDアレイに入射させる。PDアレイは、波長ごとに対応づけられたm個のPDを並べたものであり、波長ごとに分岐された光を各PDによって波長ごとに電気信号に変換する。
図15は、OCMの構成の他の例を説明するための図である。図15に示すように、OCM132aにm種類の波長λ1〜λmを有する光が入力された場合には、OCM132aは、入力ポートから入力された光をコリメートレンズでコリメートし、波長可変フィルタに入射させる。波長可変フィルタは、透過波長帯域を所定時間ごとに変更することが可能なフィルタ特性を含み、入射された光を波長ごとに分岐し、波長ごとに分岐した光をPDに入射させる。PDは、波長ごとに分岐された光を波長ごとに電気信号に変換する。
図13の説明に戻る。故障判定部140aは、ADD型スイッチ部110に含まれる複数のMEMSミラーのうち、光検出部130aによって判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する。例えば、光検出部130aによって判定光である変調光が検出された波長が「λ1」である場合には、故障判定部140aは、波長ごとに対応付けられたm個のMEMSミラーのうち、波長「λ1」に対応付けられたMEMSミラーに異常が発生していると判定する。
なお、故障判定部140aは、CPU及び該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現される。或いは、故障判定部140aは、FPGAを用いて実現しても良い。
次に、実施例1の変形例に係る波長選択スイッチ100aによる処理手順を説明する。図16は、実施例1の変形例に係る波長選択スイッチによる処理手順を示すフローチャートである。図16に示すように、波長選択スイッチ100aの判定光入力部120は、低周波信号をSLD124の駆動信号に重畳する(ステップS21)。判定光入力部120は、駆動信号に重畳された低周波信号を用いてSLD124から発せられる光を強度変調することによって、変調光を生成する(ステップS22)。判定光入力部120は、生成した変調光を判定光としてADD型スイッチ部110の未使用ポートIXに対して入力する(ステップS23)。
光検出部130aは、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1から出力される出力光の一部を分岐する(ステップS24)。光検出部130aは、分岐された出力光を波長ごとに電気信号に変換する(ステップS25)。光検出部130aは、波長ごとの出力電気信号の周波数成分のうち低周波信号と同一の周波数成分を抽出する(ステップS26)。光検出部130aは、低周波信号と抽出周波数成分とを乗算する(ステップS27)。光検出部130aは、乗算により得られた信号を平滑化し、平滑化された信号を故障判定部140aに出力する(ステップS28)。
故障判定部140aは、光検出部130aから出力される信号値がゼロである場合、すなわち、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1の出力光から変調光が検出されない場合には(ステップS29;No)、処理をステップS21に戻す。
一方、故障判定部140aは、光検出部130から出力される信号値がゼロ以外の値を示す場合、すなわち、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1の出力光から変調光が検出された場合には(ステップS29;Yes)、以下の処理を行う。すなわち、故障判定部140aは、ADD型スイッチ部110に含まれる複数のMEMSミラーのうち光検出部130aによって変調光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する(ステップS30)。なお、故障判定部140aは、判定結果を所定の出力部に出力しても良い。
上述したように、波長選択スイッチ100aは、WDM信号光に多重化された各信号光の波長ごとに判定光を検出し、ADD型スイッチ部110の複数のMEMSミラーのうち判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する。このため、波長選択スイッチ100aは、WDM信号光に多重化された信号光の波長に対応付けられた複数のMEMSミラーから故障しているMEMSミラーのみを特定することができる。
なお、ADD型スイッチ部110が複数のMEMSミラーに代えて複数の反射型液晶素子を含む場合には、波長選択スイッチ100aは、複数の反射型液晶素子のうち判定光が検出された波長に対応する反射型液晶素子に異常が発生していると判定する。この場合には、波長選択スイッチ100aは、WDM信号光に多重化された信号光の波長に対応付けられた複数の反射型液晶素子から故障している反射型液晶素子のみを特定することができる。
上記実施例1では、光源から発せられる光を強度変調して得られる変調光をMEMSミラーの故障を判定するための判定光としてADD型スイッチ部110の未使用ポートに入力し、出力ポートの出力から変調光を検出する例を説明した。しかしながら、WDM信号光と異なる波長帯の光を判定光としてADD型スイッチ部110の未使用ポートに入力し、出力ポートの出力から判定光を検出するようにしても良い。そこで、実施例2では、WDM信号光と異なる波長帯の光を判定光としてADD型スイッチ部110の未使用ポートに入力し、出力ポートの出力から判定光を検出する例について説明する。
図17は、実施例2に係る波長選択スイッチの構成を説明するための図である。図17では、実施例1と同様に、ADD型WSSを例に挙げる。また、図17では、実施例1と同様の機能を有するブロックに同一の符号を付し、同様の処理についてはその説明を省略する。図17に示すように、実施例2に係る波長選択スイッチ200は、ADD型スイッチ部110と、判定光入力部220と、光検出部230と、故障判定部240とを有する。
判定光入力部220は、WDM信号光の1/n(nは2以上の整数)の波長帯の光を判定光としてADD型スイッチ部110の未使用ポートIXに入力する。具体的には、判定光入力部220は、駆動信号生成部221と、SLD222とを有する。駆動信号生成部221は、SLD222を駆動するための信号である駆動信号を生成し、生成した駆動信号をSLD222に出力する。
SLD222は、駆動信号を用いてWDM信号光の1/nの波長帯の光を生成し、生成した光を判定光としてADD型スイッチ部110の未使用ポートIXに対して入力する。例えば、SLD222は、WDM信号光の1/2の波長帯である775nm帯の光を生成し、生成した775nm帯の光を判定光としてADD型スイッチ部110の未使用ポートIXに対して入力する。
図18は、WDM信号光の1/2の波長帯の光の光路を説明するための図である。図18では、「波長:λ1〜λm」のm種類の波長を有するWDM信号と、WDM信号光の1/2の波長帯の光とがADD型スイッチ部110に入力された状態を示している。図18に示すように、ADD型スイッチ部110の波長分岐部112によって分岐された波長「λ1」の光と波長「(λ1)/2」の光とは同一の光路を進行する。ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXに入力される判定光は、WDM信号光の1/nの波長帯を収容している。このため、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXと出力ポートO1とがMEMSミラーを介して光学的に結合されている場合には、未使用ポートIXに入力される判定光は、MEMSミラーに反射されて出力ポートO1から出力される。
図17の説明に戻る。光検出部230は、WDM信号光の1/n(nは2以上の整数)の波長帯を分岐帯域とする波長分岐カプラを含む。光検出部230は、波長分岐カプラの出力から、判定光入力部220によってADD型スイッチ部110の未使用ポートIXに入力された判定光を検出する。具体的には、光検出部230は、WDMカプラ231と、PD232とを有する。
WDMカプラ231は、WDM信号光の1/nの波長帯を分岐帯域としている。WDMカプラ231は、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1から出力される出力光からWDM信号光の1/nの波長帯の光を分岐してPD232に出力し、WDM信号光の1/nの波長帯以外の波長帯の光を主信号として外部に出力する。WDMカプラ231は、波長分岐カプラの一例である。
PD232は、WDMカプラ231によって分岐された光を電気信号に変換し、変換した電気信号を故障判定部240に出力する。
故障判定部240は、光検出部230によって判定光が検出された場合に、ADD型スイッチ部110のMEMSミラーの故障が発生していると判定する。具体的には、故障判定部240は、光検出部230のPD232から出力される電気信号を示す値がゼロ以外の値を持つ場合、換言すると、出力ポートO1の出力光に判定光が含まれる場合に、MEMSミラーの故障が発生していると判定する。すなわち、MEMSミラーの故障が発生すると、MEMSミラーの反射方向が変更されず、結果としてADD型スイッチ部110の未使用ポートIXと出力ポートO1とがMEMSミラーを介して光学的に結合される。そこで、故障判定部140は、未使用ポートIXから入力された判定光が出力ポートO1から出力された場合に、未使用ポートIXと出力ポートO1とがMEMSミラーを介して光学的に結合された状態であるMEMSミラーの故障の発生を判定する。MEMSミラーの故障には、MEMSミラー自体の故障だけでなく、例えば図4に示した電極、DAC及びAMP等のMEMSミラーに関連する部品の故障も含まれる。
なお、故障判定部240は、CPU及び該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現される。或いは、故障判定部240は、FPGAを用いて実現しても良い。
次に、本実施例に係る波長選択スイッチ200による処理手順を説明する。図19は、実施例2に係る波長選択スイッチによる処理手順を示すフローチャートである。図19に示すように、波長選択スイッチ200の判定光入力部220は、WDM信号光の1/nの波長帯の光を判定光として生成し(ステップS31)、生成した判定光をADD型スイッチ部110の未使用ポートIXに入力する(ステップS32)。
光検出部230は、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1から出力される出力光から、WDM信号光の1/nの波長帯の光を分岐する(ステップS33)。光検出部230は、分岐された光を電気信号に変換して故障判定部240に出力する(ステップS34)。
故障判定部240は、光検出部230から出力される電気信号を示す値がゼロである場合、すなわち、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1の出力光から判定光が検出されない場合には(ステップS35;No)、処理をステップS31に戻す。
一方、故障判定部240は、光検出部230から出力される電気信号を示す値がゼロ以外の値を示す場合には(ステップS35;Yes)、ADD型スイッチ部110のMEMSミラーの故障が発生していると判定する(ステップS36)。なお、故障判定部240は、判定結果を所定の出力部に出力しても良い。
上述したように、波長選択スイッチ200は、WDM信号光と異なる波長帯の光を判定光としてADD型スイッチ部110の未使用ポートに入力し、出力ポートの出力から判定光が検出された場合にMEMSミラーの故障を判定する。このため、波長選択スイッチ200は、変調光を判定光としてADD型スイッチ部110の未使用ポートに入力する構成と比して、変調光を生成するための部品を省略することができ、部品点数の削減及び装置の小型化を実現することができる。
(実施例2の変形例)
ここで、実施例2に係る波長選択スイッチの変形例を説明する。上記実施例2では、PD232によってADD型スイッチ部110の出力光から変換された電気信号を基に判定光を検出する例について説明した。しかしながら、ADD型スイッチ部110の出力光から波長ごとに変換された電気信号を基に判定光を検出しても良い。そこで、実施例2の変形例では、ADD型スイッチ部110の出力光から波長ごとに変換された電気信号を基に判定光を検出する例について説明する。
図20は、実施例2の変形例に係る波長選択スイッチの構成を説明するための図である。図20では、実施例2と同様に、ADD型WSSを例に挙げる。また、図20では、実施例2と同様の機能を有するブロックに同一の符号を付し、同様の処理についてはその説明を省略する。図20に示すように、変形例に係る波長選択スイッチ200aは、ADD型スイッチ部110と、判定光入力部220と、光検出部230aと、故障判定部240aとを有する。
光検出部230aは、WDM信号光に多重された各信号光の波長ごとに判定光の検出を行う。具体的には、光検出部230aは、WDMカプラ231と、OCM232aとを有する。
OCM232aは、WDMカプラ231によって分岐された光を波長ごとに電気信号に変換し、波長ごとに変換した電気信号を故障判定部240aに出力する。
故障判定部240aは、ADD型スイッチ部110に含まれる複数のMEMSミラーのうち、光検出部230aによって判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する。例えば、光検出部230aによって判定光が検出された波長が「λ1」である場合には、故障判定部240aは、波長ごとに対応付けられたm個のMEMSミラーのうち、波長「λ1」に対応付けられたMEMSミラーに異常が発生していると判定する。
なお、故障判定部240aは、CPU及び該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現される。或いは、故障判定部240は、FPGAを用いて実現しても良い。
次に、実施例2の変形例に係る波長選択スイッチ200aによる処理手順を説明する。図21は、実施例2の変形例に係る波長選択スイッチによる処理手順を示すフローチャートである。図21に示すように、波長選択スイッチ200aの判定光入力部220は、WDM信号光の1/nの波長帯の光を判定光として生成し(ステップS41)、生成した判定光をADD型スイッチ部110の未使用ポートに入力する(ステップS42)。
光検出部230aは、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1から出力される出力光から、WDM信号光の1/nの波長帯の光を分岐する(ステップS43)。光検出部230aは、分岐された光を波長ごとに電気信号に変換して故障判定部240aに出力する(ステップS44)。
故障判定部240aは、光検出部230aから出力される電気信号を示す値がゼロである場合、すなわち、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1の出力光から判定光が検出されない場合には(ステップS45;No)、処理をステップS41に戻す。
一方、故障判定部240aは、光検出部230aから出力される電気信号を示す値がゼロ以外の値を示す場合、すなわち、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1の出力光から判定光が検出された場合には(ステップS45;Yes)、以下の処理を行う。すなわち、故障判定部240aは、ADD型スイッチ部110に含まれる複数のMEMSミラーのうち光検出部230aによって判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する(ステップS46)。なお、故障判定部240aは、判定結果を所定の出力部に出力しても良い。
上述したように、波長選択スイッチ200aは、WDM信号光に多重化された各信号光の波長ごとに判定光を検出し、ADD型スイッチ部110の複数のMEMSミラーのうち判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する。このため、波長選択スイッチ200aは、WDM信号光に多重化された信号光の波長に対応付けられた複数のMEMSミラーから故障しているMEMSミラーのみを特定することができる。
なお、ADD型スイッチ部110が複数のMEMSミラーに代えて複数の反射型液晶素子を含む場合には、波長選択スイッチ200aは、複数の反射型液晶素子のうち判定光が検出された波長に対応する反射型液晶素子に異常が発生していると判定する。この場合には、波長選択スイッチ200aは、WDM信号光に多重化された信号光の波長に対応付けられた複数の反射型液晶素子から故障している反射型液晶素子のみを特定することができる。
上記実施例1及び2では、ADD型スイッチ部110の未使用ポートに対して判定光を入力し、未使用ポートに入力された判定光をADD型スイッチ部110の出力ポートの出力から検出する例について説明した。しかしながら、ADD型スイッチ部110の出力ポートに対して判定光を入力し、出力ポートに入力された判定光をADD型スイッチ部110の未使用ポートの出力から検出するようにしても良い。そこで、実施例3では、ADD型スイッチ部110の出力ポートに対して判定光を入力し、出力ポートに入力された判定光をADD型スイッチ部110の未使用ポートの出力から検出する例について説明する。
図22は、実施例3に係る波長選択スイッチの構成を説明するための図である。図22では、実施例1と同様に、ADD型WSSを例に挙げる。また、図22では、実施例1と同様の機能を有するブロックに同一の符号を付し、同様の処理についてはその説明を省略する。図22に示すように、実施例3に係る波長選択スイッチ300は、ADD型スイッチ部110と、判定光入力部320と、光検出部330と、故障判定部340とを有する。
判定光入力部320は、ADD型スイッチ部110の出力ポートO1に対して、ADD型スイッチ部110のMEMSミラーの故障を判定するために用いる光である判定光を入力する。具体的には、判定光入力部320は、駆動信号生成部321と、SLD322と、サーキュレータ323とを有する。
駆動信号生成部321は、SLD322を駆動するための信号である駆動信号を生成し、生成した駆動信号をSLD322に出力する。SLD322は、駆動信号を用いてWDM信号光と同一の波長帯の光を判定光として生成し、生成した判定光をサーキュレータ323に出力する。サーキュレータ323は、SLD322から出力された判定光をADD型スイッチ部110の出力ポートO1に対して入力するとともに、出力ポートO1から出力された出力光を主信号として外部の装置に出力する。
光検出部330は、ADD型スイッチ部110がMEMSミラーの反射方向を変更する制御を行っている状態で、判定光入力部320によってADD型スイッチ部110の出力ポートO1に入力された判定光を、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXの出力光から検出する。具体的には、光検出部330は、PD331を有する。PD331は、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXから出力される出力光を電気信号に変換し、変換した電気信号を故障判定部340に出力する。
故障判定部340は、光検出部330によって判定光が検出された場合に、ADD型スイッチ部110のMEMSミラーの故障が発生していると判定する。具体的には、故障判定部340は、光検出部330のPD331からの電気信号を示す値がゼロ以外の値を持つ場合、換言すると、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXの出力光に判定光が含まれる場合に、MEMSミラーの故障が発生していると判定する。すなわち、MEMSミラーの故障が発生すると、MEMSミラーの反射方向が変更されず、結果としてADD型スイッチ部110の未使用ポートIXと出力ポートO1とがMEMSミラーを介して光学的に結合される。そこで、故障判定部340は、出力ポートO1から入力された判定光が未使用ポートIXから出力された場合に、未使用ポートIXと出力ポートO1とがMEMSミラーを介して光学的に結合された状態であるMEMSミラーの故障の発生を判定する。MEMSミラーの故障には、MEMSミラー自体の故障だけでなく、例えば図4に示した電極、DAC及びAMP等のMEMSミラーに関連する部品の故障も含まれる。
なお、故障判定部340は、CPU及び該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現される。或いは、故障判定部340は、FPGAを用いて実現しても良い。
次に、本実施例に係る波長選択スイッチ300による処理手順を説明する。図23は、実施例3に係る波長選択スイッチによる処理手順を示すフローチャートである。図23に示すように、波長選択スイッチ300の判定光入力部320は、WDM信号光と同一の波長帯の光を判定光として生成し(ステップS51)、生成した判定光をADD型スイッチ部110の出力ポートO1に入力する(ステップS52)。
光検出部330は、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXから出力される出力光を電気信号に変換する(ステップS53)。
故障判定部340は、光検出部330から出力される電気信号を示す値がゼロである場合、すなわち、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXの出力光から判定光が検出されない場合には(ステップS54;No)、処理をステップS51に戻す。
一方、故障判定部340は、光検出部330から出力される電気信号を示す値がゼロ以外の値を示す場合、すなわち、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXの出力光から判定光が検出された場合には(ステップS54;Yes)、以下の処理を行う。すなわち、故障判定部340は、ADD型スイッチ部110のMEMSミラーの故障が発生していると判定する(ステップS55)。なお、故障判定部340は、判定結果を所定の出力部に出力しても良い。
上述したように、波長選択スイッチ300は、ADD型スイッチ部110によって反射方向が変更されていないMEMSミラーを介して未使用ポートIXに光学的に結合される出力ポートO1に対して判定光を入力する。波長選択スイッチ300は、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXの出力から、出力ポートO1に入力された判定光が検出された場合に、ADD型スイッチ部110のMEMSミラーの故障が発生していると判定する。このため、波長選択スイッチ300は、波長選択スイッチ300よりもネットワークの上流側又は下流側に配置された外部機器の故障と、MEMSミラーの故障とを区別することができることから、MEMSミラーの故障を適切に判定することができる。
(実施例3の変形例)
ここで、実施例3に係る波長選択スイッチの変形例を説明する。上記実施例3では、PD331によってADD型スイッチ部110の出力光から変換された電気信号を基に判定光を検出する例について説明した。しかしながら、ADD型スイッチ部110の出力光から波長ごとに変換された電気信号を基に判定光を検出しても良い。そこで、実施例3の変形例では、ADD型スイッチ部110の出力光から波長ごとに変換された電気信号を基に判定光を検出する例について説明する。
図24は、実施例3の変形例に係る波長選択スイッチの構成を説明するための図である。図24では、実施例3と同様に、ADD型WSSを例に挙げる。また、図24では、実施例3と同様の機能を有するブロックに同一の符号を付し、同様の処理についてはその説明を省略する。図24に示すように、変形例に係る波長選択スイッチ300aは、ADD型スイッチ部110と、判定光入力部320と、光検出部330aと、故障判定部340aとを有する。
光検出部330aは、WDM信号光に多重された各信号光の波長ごとに判定光の検出を行う。具体的には、光検出部330aは、OCM331aを有する。OCM331aは、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXから出力される出力光を波長ごとに電気信号に変換し、波長ごとに変換した電気信号を故障判定部340aに出力する。
故障判定部340aは、ADD型スイッチ部110に含まれる複数のMEMSミラーのうち、光検出部330aによって判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する。例えば、光検出部330aによって判定光が検出された波長が「λ1」である場合には、故障判定部340aは、波長ごとに対応付けられたm個のMEMSミラーのうち、波長「λ1」に対応付けられたMEMSミラーに異常が発生していると判定する。
なお、故障判定部340aは、CPU及び該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現される。或いは、故障判定部340aは、FPGAを用いて実現しても良い。
次に、実施例3の変形例に係る波長選択スイッチ300aによる処理手順を説明する。図25は、実施例3の変形例に係る波長選択スイッチによる処理手順を示すフローチャートである。図25に示すように、波長選択スイッチ300aの判定光入力部320は、WDM信号光と同一の波長帯の光を判定光として生成し(ステップS61)、生成した判定光をADD型スイッチ部110の出力ポートO1に入力する(ステップS62)。
光検出部330aは、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXから出力される出力光を波長ごとに電気信号に変換する(ステップS63)。
故障判定部340aは、光検出部330aから出力される電気信号を示す値がゼロである場合、すなわち、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXの出力光から判定光が検出されない場合には(ステップS64;No)、処理をステップS61に戻す。
一方、故障判定部340aは、光検出部330aから出力される電気信号を示す値がゼロ以外の値を示す場合、すなわち、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXの出力光から判定光が検出された場合には(ステップS64;Yes)、以下の処理を行う。すなわち、故障判定部340aは、判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する(ステップS65)。なお、故障判定部340aは、判定結果を所定の出力部に出力しても良い。
上述したように、波長選択スイッチ300aは、WDM信号光に多重化された各信号光の波長ごとに判定光を検出し、ADD型スイッチ部110の複数のMEMSミラーのうち判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する。このため、波長選択スイッチ300aは、WDM信号光に多重化された信号光の波長に対応付けられた複数のMEMSミラーから故障しているMEMSミラーのみを特定することができる。
なお、ADD型スイッチ部110が複数のMEMSミラーに代えて複数の反射型液晶素子を含む場合には、波長選択スイッチ300aは、複数の反射型液晶素子のうち判定光が検出された波長に対応する反射型液晶素子に異常が発生していると判定する。この場合には、波長選択スイッチ300aは、WDM信号光に多重化された信号光の波長に対応付けられた複数の反射型液晶素子から故障している反射型液晶素子のみを特定することができる。
上記実施例3では、WDM信号光と同一の波長帯の光を判定光としてADD型スイッチ部110の出力ポートに入力し、未使用ポートの出力から判定光を検出する例を説明した。しかしながら、WDM信号光と異なる波長帯の光を判定光としてADD型スイッチ部110の出力ポートに入力し、未使用ポートの出力から判定光を検出するようにしても良い。そこで、実施例4では、WDM信号光と異なる波長帯の光を判定光としてADD型スイッチ部110の出力ポートに入力し、未使用ポートの出力から判定光を検出する例について説明する。
図26は、実施例4に係る波長選択スイッチの構成を説明するための図である。図26では、実施例3と同様に、ADD型WSSを例に挙げる。また、図26では、実施例3と同様の機能を有するブロックに同一の符号を付し、同様の処理についてはその説明を省略する。図26に示すように、実施例4に係る波長選択スイッチ400は、ADD型スイッチ部110と、判定光入力部420と、光検出部430と、故障判定部440とを有する。
判定光入力部420は、WDM信号光の1/n(nは2以上の整数)の波長帯の光を判定光としてADD型スイッチ部110の出力ポートO1に入力する。具体的には、判定光入力部420は、駆動信号生成部421と、SLD422と、サーキュレータ423とを有する。
駆動信号生成部421は、SLD422を駆動するための信号である駆動信号を生成し、生成した駆動信号をSLD422に出力する。SLD422は、駆動信号を用いてWDM信号光の1/nの波長帯の光を判定光として生成し、生成した判定光をサーキュレータ423に出力する。サーキュレータ423は、SLD422から出力された判定光をADD型スイッチ部110の出力ポートO1に対して入力するとともに、出力ポートO1から出力された出力光を主信号として外部の装置に出力する。なお、サーキュレータ423の代わりにWDMカプラ等が設置されても良い。
光検出部430は、ADD型スイッチ部110がMEMSミラーの反射方向を変更する制御を行っている状態で、判定光入力部420によってADD型スイッチ部110の出力ポートO1に入力された判定光を、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXの出力光から検出する。具体的には、光検出部430は、PD431を有する。PD431は、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXから出力される出力光を電気信号に変換し、変換した電気信号を故障判定部440に出力する。
故障判定部440は、光検出部430によって判定光が検出された場合に、ADD型スイッチ部110のMEMSミラーの故障が発生していると判定する。具体的には、故障判定部440は、光検出部430のPD431からの電気信号を示す値がゼロ以外の値を持つ場合、換言すると、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXの出力光に判定光が含まれる場合に、MEMSミラーの故障が発生していると判定する。すなわち、MEMSミラーの故障が発生すると、MEMSミラーの反射方向が変更されず、結果としてADD型スイッチ部110の未使用ポートIXと出力ポートO1とがMEMSミラーを介して光学的に結合される。そこで、故障判定部440は、出力ポートO1から入力された判定光が未使用ポートIXから出力された場合に、未使用ポートIXと出力ポートO1とがMEMSミラーを介して光学的に結合された状態であるMEMSミラーの故障の発生を判定する。MEMSミラーの故障には、MEMSミラー自体の故障だけでなく、例えば図4に示した電極、DAC及びAMP等のMEMSミラーに関連する部品の故障も含まれる。
なお、故障判定部440は、CPU及び該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現される。或いは、故障判定部440は、FPGAを用いて実現しても良い。
次に、本実施例に係る波長選択スイッチ400による処理手順を説明する。図27は、実施例4に係る波長選択スイッチによる処理手順を示すフローチャートである。図27に示すように、波長選択スイッチ400の判定光入力部420は、WDM信号光の1/nの波長帯の光を判定光として生成し(ステップS71)、生成した判定光をADD型スイッチ部110の出力ポートO1に入力する(ステップS72)。
光検出部430は、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXから出力される出力光を電気信号に変換する(ステップS73)。
故障判定部440は、光検出部430から出力される電気信号を示す値がゼロである場合、すなわち、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXの出力光から判定光が検出されない場合には(ステップS74;No)、処理をステップS71に戻す。
一方、故障判定部440は、光検出部430から出力される電気信号を示す値がゼロ以外の値を示す場合、すなわち、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXの出力光から判定光が検出された場合には(ステップS74;Yes)、以下の処理を行う。すなわち、故障判定部440は、ADD型スイッチ部110のMEMSミラーの故障が発生していると判定する(ステップS75)。なお、故障判定部440は、判定結果を所定の出力部に出力しても良い。
上述したように、波長選択スイッチ400は、WDM信号光と異なる波長帯の光を判定光としてADD型スイッチ部110の出力ポートに入力し、未使用ポートの出力から判定光が検出された場合にMEMSミラーの故障を判定する。このため、波長選択スイッチ400は、変調光を判定光としてADD型スイッチ部110の出力ポートに入力する構成と比して、変調光を生成するための部品を省略することができ、部品点数の削減及び装置の小型化を実現することができる。
(実施例4の変形例)
ここで、実施例4に係る波長選択スイッチの変形例を説明する。上記実施例4では、PD431によってADD型スイッチ部110の出力光から変換された電気信号を基に判定光を検出する例について説明した。しかしながら、ADD型スイッチ部110の出力光から波長ごとに変換された電気信号を基に判定光を検出しても良い。そこで、実施例4の変形例では、ADD型スイッチ部110の出力光から波長ごとに変換された電気信号を基に判定光を検出する例について説明する。
図28は、実施例4の変形例に係る波長選択スイッチの構成を説明するための図である。図28では、実施例4と同様に、ADD型WSSを例に挙げる。また、図28では、実施例4と同様の機能を有するブロックに同一の符号を付し、同様の処理についてはその説明を省略する。図28に示すように、変形例に係る波長選択スイッチ400aは、ADD型スイッチ部110と、判定光入力部420と、光検出部430aと、故障判定部440aとを有する。
光検出部430aは、WDM信号光に多重された各信号光の波長ごとに判定光の検出を行う。具体的には、光検出部430aは、OCM431aを有する。OCM431aは、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXから出力される出力光を波長ごとに電気信号に変換し、波長ごとに変換した電気信号を故障判定部440aに出力する。
故障判定部440aは、ADD型スイッチ部110に含まれる複数のMEMSミラーのうち、光検出部430aによって判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する。例えば、光検出部430aによって判定光が検出された波長が「λ1」である場合には、故障判定部440aは、波長ごとに対応付けられたm個のMEMSミラーのうち、波長「λ1」に対応付けられたMEMSミラーに異常が発生していると判定する。
なお、故障判定部440aは、CPU及び該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現される。或いは、故障判定部440aは、FPGAを用いて実現しても良い。
次に、実施例4の変形例に係る波長選択スイッチ400aによる処理手順を説明する。図29は、実施例4の変形例に係る波長選択スイッチによる処理手順を示すフローチャートである。図29に示すように、波長選択スイッチ400aの判定光入力部420は、WDM信号光の1/nの波長帯の光を判定光として生成し(ステップS81)、生成した判定光をADD型スイッチ部110の出力ポートO1に入力する(ステップS82)。
光検出部430aは、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXから出力される出力光を波長ごとに電気信号に変換する(ステップS83)。
故障判定部440aは、光検出部430aから出力される電気信号を示す値がゼロである場合、すなわち、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXの出力光から判定光が検出されない場合には(ステップS84;No)、処理をステップS81に戻す。
一方、故障判定部440aは、光検出部430aから出力される電気信号を示す値がゼロ以外の値を示す場合、すなわち、ADD型スイッチ部110の未使用ポートIXの出力光から判定光が検出された場合には(ステップS84;Yes)、以下の処理を行う。すなわち、故障判定部440aは、判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する(ステップS85)。なお、故障判定部440aは、判定結果を所定の出力部に出力しても良い。
上述したように、波長選択スイッチ400aは、WDM信号光に多重化された各信号光の波長ごとに判定光を検出し、ADD型スイッチ部110の複数のMEMSミラーのうち判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する。このため、波長選択スイッチ400aは、WDM信号光に多重化された信号光の波長に対応付けられた複数のMEMSミラーから故障しているMEMSミラーのみを特定することができる。
なお、ADD型スイッチ部110が複数のMEMSミラーに代えて複数の反射型液晶素子を含む場合には、波長選択スイッチ400aは、複数の反射型液晶素子のうち判定光が検出された波長に対応する反射型液晶素子に異常が発生していると判定する。この場合には、波長選択スイッチ400aは、WDM信号光に多重化された信号光の波長に対応付けられた複数の反射型液晶素子から故障している反射型液晶素子のみを特定することができる。
上記実施例1〜4では、本願の開示する光スイッチをADD型WSSに適用した例について説明したが、本願の開示する光スイッチをDROP型WSSに適用しても良い。そこで、実施例5では、本願の開示する光スイッチをDROP型WSSに適用した例について説明する。
図30は、実施例5に係る波長選択スイッチの構成を説明するための図である。図30では、入力が1ポートで出力が複数ポートであるDROP型WSSを例に挙げる。図30に示すように、実施例5に係る波長選択スイッチ500は、DROP型スイッチ部510と、判定光入力部520と、光検出部530と、故障判定部540とを有する。
DROP型スイッチ部510は、反射方向が可変であるMEMSミラーを含み、MEMSミラーの反射方向を変更して、WDM信号光の入力を受け付ける一つの入力ポートI1と複数の出力ポートO1〜ONとをMEMSミラーを介して光学的に結合する。また、DROP型スイッチ部510は、MEMSミラーの反射方向を変更しない場合には、MEMSミラーを介して未使用の出力ポート(以下「未使用ポート」という)OXと入力ポートI1とを光学的に結合する。
ここで、DROP型スイッチ部510の構成を簡単に説明する。DROP型スイッチ部510は、一つの入力ポートI1と、複数の出力ポートO1〜ONと、一つの未使用ポートOXと、第一光学系と、波長分岐部と、第二光学系と、MEMSアレイとを有する。第一光学系、波長分岐部、第二光学系及びMEMSアレイについては、図示を省略する。そして、DROP型スイッチ部510は、一つの入力ポートI1から入力されたWDM信号光を第一光学系でコリメートし、波長分岐部に入射させる。DROP型スイッチ部510は、波長分岐部によってWDM信号光を波長ごと(波長:λ1〜λm)に分岐する。DROP型スイッチ部510は、波長ごとに分岐した各信号光を第二光学系で集光し、集光した信号光を波長ごとに対応付けられたm個のMEMSミラーを並べたMEMSアレイに入射させる。m個のMEMSミラーは、WDM信号光に多重化された複数の信号光を各信号光の波長に応じて反射する。MEMSミラーは、光反射部の一例である。
DROP型スイッチ部510は、所定の波長の信号光が複数の出力ポートO1〜ONのうち任意の出力ポートから出力されるように各MEMSミラーの反射方向を変更して、入力ポートI1と出力ポートO1〜ONとをMEMSミラーを介して光学的に結合する。また、DROP型スイッチ部510は、各MEMSミラーの反射方向を変更しない場合には、入力ポートI1と未使用ポートOXとをMEMSミラーを介して光学的に結合する。なお、MEMSミラーの反射方向の変更処理や、MEMSミラーを回転駆動するための構造等は、ADD型スイッチ部と同様であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
判定光入力部520は、DROP型スイッチ部510の未使用ポートOXに対して、DROP型スイッチ部510のMEMSミラーの故障を判定するために用いる光である判定光を入力する。具体的には、判定光入力部520は、駆動信号生成部521と、SLD522とを有する。
駆動信号生成部521は、SLD522を駆動するための信号である駆動信号を生成し、生成した駆動信号をSLD522に出力する。SLD522は、駆動信号を用いてWDM信号光と同一の波長帯の光を判定光として生成し、生成した判定光をDROP型スイッチ部510の未使用ポートOXに対して入力する。
光検出部530は、DROP型スイッチ部510がMEMSミラーの反射方向を変更する制御を行っている状態で、判定光入力部520によってDROP型スイッチ部510の未使用ポートOXに入力された判定光を、DROP型スイッチ部510の入力ポートO1の出力光から検出する。具体的には、光検出部530は、サーキュレータ531と、PD532とを有する。
サーキュレータ531は、DROP型スイッチ部510の入力ポートI1から出力される判定光をPD532に対して出力するとともに、外部から入力されるWDM信号光をDROP型スイッチ部510の入力ポートI1に出力する。PD532は、サーキュレータ531から出力される判定光を電気信号に変換し、変換した電気信号を故障判定部540に出力する。
故障判定部540は、光検出部530によって判定光が検出された場合に、DROP型スイッチ部510のMEMSミラーの故障が発生していると判定する。具体的には、故障判定部540は、光検出部530のPD532からの電気信号を示す値がゼロ以外の値を持つ場合、換言すると、DROP型スイッチ部510の入力ポートI1の出力光に判定光が含まれる場合に、MEMSミラーの故障が発生していると判定する。すなわち、MEMSミラーの故障が発生すると、MEMSミラーの反射方向が変更されず、結果としてDROP型スイッチ部510の未使用ポートOXと入力ポートI1とがMEMSミラーを介して光学的に結合される。そこで、故障判定部540は、未使用ポートOXから入力された判定光が入力ポートI1から出力された場合に、未使用ポートOXと入力ポートI1とがMEMSミラーを介して光学的に結合された状態であるMEMSミラーの故障の発生を判定する。MEMSミラーの故障には、MEMSミラー自体の故障だけでなく、例えば電極、DAC及びAMP等のMEMSミラーに関連する部品の故障も含まれる。
なお、故障判定部540は、CPU及び該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現される。或いは、故障判定部540は、FPGAを用いて実現しても良い。
次に、本実施例に係る波長選択スイッチ500による処理手順を説明する。図31は、実施例5に係る波長選択スイッチによる処理手順を示すフローチャートである。図31に示すように、波長選択スイッチ500の判定光入力部520は、WDM信号光と同一の波長帯の光を判定光として生成し(ステップS91)、生成した判定光をDROP型スイッチ部510の未使用ポートOXに入力する(ステップS92)。
光検出部530は、DROP型スイッチ部510の入力ポートI1から出力される判定光をPD532に出力し(ステップS93)、PD532によって判定光を電気信号に変換する(ステップS94)。
故障判定部540は、光検出部530から出力される電気信号を示す値がゼロである場合、すなわち、DROP型スイッチ部510の入力ポートI1の出力光から判定光が検出されない場合には(ステップS95;No)、処理をステップS91に戻す。
一方、故障判定部540は、光検出部530から出力される電気信号を示す値がゼロ以外の値を示す場合、すなわち、DROP型スイッチ部510の入力ポートI1の出力光から判定光が検出された場合には(ステップS95;Yes)、以下の処理を行う。すなわち、故障判定部540は、DROP型スイッチ部510のMEMSミラーの故障が発生していると判定する(ステップS96)。なお、故障判定部540は、判定結果を所定の出力部に出力しても良い。
上述したように、波長選択スイッチ500は、DROP型スイッチ部510によって反射方向が変更されていないMEMSミラーを介して入力ポートI1に光学的に結合される未使用ポートOXに対して判定光を入力する。波長選択スイッチ500は、DROP型スイッチ部510の入力ポートI1の出力から、未使用ポートOXに入力された判定光が検出された場合に、DROP型スイッチ部510のMEMSミラーの故障が発生していると判定する。このため、波長選択スイッチ500は、波長選択スイッチ500よりもネットワークの上流側又は下流側に配置された外部機器の故障と、MEMSミラーの故障とを区別することができることから、MEMSミラーの故障を適切に判定することができる。
(実施例5の変形例)
ここで、実施例5に係る波長選択スイッチの変形例を説明する。上記実施例5では、PD532によってDROP型スイッチ部510の出力光から変換された電気信号を基に判定光を検出する例について説明した。しかしながら、DROP型スイッチ部510の出力光から波長ごとに変換された電気信号を基に判定光を検出しても良い。そこで、実施例5の変形例では、DROP型スイッチ部510の出力光から波長ごとに変換された電気信号を基に判定光を検出する例について説明する。
図32は、実施例5の変形例に係る波長選択スイッチの構成を説明するための図である。図32では、実施例5と同様に、DROP型WSSを例に挙げる。また、図32では、実施例5と同様の機能を有するブロックに同一の符号を付し、同様の処理についてはその説明を省略する。図32に示すように、変形例に係る波長選択スイッチ500aは、DROP型スイッチ部510と、判定光入力部520と、光検出部530aと、故障判定部540aとを有する。
光検出部530aは、WDM信号光に多重された各信号光の波長ごとに判定光の検出を行う。具体的には、光検出部530aは、サーキュレータ531と、OCM532aとを有する。OCM532aは、サーキュレータ531から出力される判定光を波長ごとに電気信号に変換し、波長ごとに変換した電気信号を故障判定部540aに出力する。
故障判定部540aは、DROP型スイッチ部510に含まれる複数のMEMSミラーのうち、光検出部530aによって判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する。例えば、光検出部530aによって判定光が検出された波長が「λ1」である場合には、故障判定部540aは、波長ごとに対応付けられたm個のMEMSミラーのうち、波長「λ1」に対応付けられたMEMSミラーに異常が発生していると判定する。
なお、故障判定部540aは、CPU及び該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現される。或いは、故障判定部540aは、FPGAを用いて実現しても良い。
次に、実施例5の変形例に係る波長選択スイッチ500aによる処理手順を説明する。図33は、実施例5の変形例に係る波長選択スイッチによる処理手順を示すフローチャートである。図33に示すように、波長選択スイッチ500aの判定光入力部520は、WDM信号光と同一の波長帯の光を判定光として生成し(ステップS101)、生成した判定光をDROP型スイッチ部510の未使用ポートOXに入力する(ステップS102)。
光検出部530aは、DROP型スイッチ部510の入力ポートI1から出力される判定光をOCMに出力し(ステップS103)、OCMによって判定光を波長ごとに電気信号に変換する(ステップS104)。
故障判定部540aは、光検出部530aから出力される電気信号を示す値がゼロである場合、すなわち、DROP型スイッチ部510の入力ポートI1の出力光から判定光が検出されない場合には(ステップS105;No)、処理をステップS101に戻す。
一方、故障判定部540aは、光検出部530aから出力される電気信号を示す値がゼロ以外の値を示す場合、すなわち、DROP型スイッチ部510の入力ポートI1の出力光から判定光が検出された場合には(ステップS105;Yes)、以下の処理を行う。すなわち、故障判定部540aは、DROP型スイッチ部510に含まれる複数のMEMSミラーのうち光検出部530aによって判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する(ステップS106)。なお、故障判定部540aは、判定結果を所定の出力部に出力しても良い。
上述したように、波長選択スイッチ500aは、WDM信号光に多重化された各信号光の波長ごとに判定光を検出し、DROP型スイッチ部510の複数のMEMSミラーのうち判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する。このため、波長選択スイッチ500aは、WDM信号光に多重化された信号光の波長に対応付けられた複数のMEMSミラーから故障しているMEMSミラーのみを特定することができる。
なお、DROP型スイッチ部510が複数のMEMSミラーに代えて複数の反射型液晶素子を含む場合には、波長選択スイッチ500aは、複数の反射型液晶素子のうち判定光が検出された波長に対応する反射型液晶素子に異常が発生していると判定する。この場合には、波長選択スイッチ500aは、WDM信号光に多重化された信号光の波長に対応付けられた複数の反射型液晶素子から故障している反射型液晶素子のみを特定することができる。
上記実施例5では、WDM信号光と同一の波長帯の光を判定光としてDROP型スイッチ部510の未使用ポートに入力し、入力ポートの出力から判定光を検出する例を説明した。しかしながら、WDM信号光と異なる波長帯の光を判定光としてDROP型スイッチ部510の未使用ポートに入力し、入力ポートの出力から判定光を検出するようにしても良い。そこで、実施例6では、WDM信号光と異なる波長帯の光を判定光としてDROP型スイッチ部510の未使用ポートに入力し、入力ポートの出力から判定光を検出する例について説明する。
図34は、実施例6に係る波長選択スイッチの構成を説明するための図である。図34では、実施例5と同様に、DROP型WSSを例に挙げる。また、図34では、実施例5と同様の機能を有するブロックに同一の符号を付し、同様の処理についてはその説明を省略する。図34に示すように、実施例6に係る波長選択スイッチ600は、DROP型スイッチ部510と、判定光入力部620と、光検出部630と、故障判定部640とを有する。
判定光入力部620は、WDM信号光の1/n(nは2以上の整数)の波長帯の光を判定光としてDROP型スイッチ部510の未使用ポートOXに入力する。具体的には、判定光入力部620は、駆動信号生成部621と、SLD622とを有する。
駆動信号生成部621は、SLD622を駆動するための信号である駆動信号を生成し、生成した駆動信号をSLD622に出力する。SLD622は、駆動信号を用いてWDM信号光の1/nの波長帯の光を判定光として生成し、生成した判定光をDROP型スイッチ部510の未使用ポートOXに対して入力する。
光検出部630は、WDM信号光の1/nの波長帯を分岐帯域とする波長分岐カプラを含む。光検出部630は、波長分岐カプラの出力から、判定光入力部620によってDROP型スイッチ部510の未使用ポートOXに入力された判定光を検出する。具体的には、光検出部630は、WDMカプラ631と、PD632とを有する。
WDMカプラ631は、WDM信号光の1/nの波長帯を分岐帯域としている。WDMカプラ631は、DROP型スイッチ部510の入力ポートI1から出力される出力光からWDM信号光の1/nの波長帯の光を分岐してPD632に出力するとともに、WDM信号光をDROP型スイッチ部510の入力ポートI1に出力する。WDMカプラ631は、波長分岐カプラの一例である。
PD632は、WDMカプラ631によって分岐された光を電気信号に変換し、変換した電気信号を故障判定部640に出力する。
故障判定部640は、光検出部630によって判定光が検出された場合に、DROP型スイッチ部510のMEMSミラーの故障が発生していると判定する。具体的には、故障判定部640は、光検出部630のPD632から出力される電気信号を示す値がゼロ以外の値を持つ場合、換言すると、入力ポートI1の出力光に判定光が含まれる場合に、MEMSミラーの故障が発生していると判定する。すなわち、MEMSミラーの故障が発生すると、MEMSミラーの反射方向が変更されず、結果としてDROP型スイッチ部510の未使用ポートOXと入力ポートI1とがMEMSミラーを介して光学的に結合される。そこで、故障判定部640は、未使用ポートOXから入力された判定光が入力ポートI1から出力された場合に、未使用ポートOXと入力ポートI1とがMEMSミラーを介して光学的に結合された状態であるMEMSミラーの故障の発生を判定する。MEMSミラーの故障には、MEMSミラー自体の故障だけでなく、例えば電極、DAC及びAMP等のMEMSミラーに関連する部品の故障も含まれる。
なお、故障判定部640は、CPU及び該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現される。或いは、故障判定部640は、FPGAを用いて実現しても良い。
次に、本実施例に係る波長選択スイッチ600による処理手順を説明する。図35は、実施例6に係る波長選択スイッチによる処理手順を示すフローチャートである。図35に示すように、波長選択スイッチ600の判定光入力部620は、WDM信号光の1/nの波長帯の光を判定光として生成し(ステップS111)、生成した判定光をDROP型スイッチ部510の未使用ポートOXに入力する(ステップS112)。
光検出部630は、DROP型スイッチ部510の入力ポートI1から出力される出力光から、WDM信号光の1/nの波長帯の光を分岐する(ステップS113)。光検出部630は、分岐された光を電気信号に変換して故障判定部640に出力する(ステップS114)。
故障判定部640は、光検出部630から出力される電気信号を示す値がゼロである場合、すなわち、DROP型スイッチ部510の入力ポートI1の出力光から判定光が検出されない場合には(ステップS115;No)、処理をステップS111に戻す。
一方、故障判定部640は、光検出部630から出力される電気信号を示す値がゼロ以外の値を示す場合には(ステップS115;Yes)、DROP型スイッチ部510のMEMSミラーの故障が発生していると判定する(ステップS116)。なお、故障判定部640は、判定結果を所定の出力部に出力しても良い。
上述したように、波長選択スイッチ600は、WDM信号光と異なる波長帯の光を判定光としてDROP型スイッチ部510の未使用ポートに入力し、入力ポートの出力から判定光が検出された場合にMEMSミラーの故障を判定する。このため、波長選択スイッチ600は、変調光を判定光としてDROP型スイッチ部510の未使用ポートに入力する構成と比して、変調光を生成するための部品を省略することができ、部品点数の削減及び装置の小型化を実現することができる。
(実施例6の変形例)
ここで、実施例6に係る波長選択スイッチの変形例を説明する。上記実施例6では、PD632によってDROP型スイッチ部510の出力光から変換された電気信号を基に判定光を検出する例について説明した。しかしながら、DROP型スイッチ部510の出力光から波長ごとに変換された電気信号を基に判定光を検出しても良い。そこで、実施例6の変形例では、DROP型スイッチ部510の出力光から波長ごとに変換された電気信号を基に判定光を検出する例について説明する。
図36は、実施例6の変形例に係る波長選択スイッチの構成を説明するための図である。図36では、実施例6と同様に、DROP型WSSを例に挙げる。また、図36では、実施例6と同様の機能を有するブロックに同一の符号を付し、同様の処理についてはその説明を省略する。図36に示すように、変形例に係る波長選択スイッチ600aは、DROP型スイッチ部510と、判定光入力部620と、光検出部630aと、故障判定部640aとを有する。
光検出部630aは、WDM信号光に多重された各信号光の波長ごとに判定光の検出を行う。具体的には、光検出部630aは、WDMカプラ631と、OCM632aとを有する。
OCM632aは、WDMカプラ631によって分岐された光を波長ごとに電気信号に変換し、波長ごとに変換した電気信号を故障判定部640aに出力する。
故障判定部640aは、DROP型スイッチ部510に含まれる複数のMEMSミラーのうち、光検出部630aによって判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する。例えば、光検出部630aによって判定光が検出された波長が「λ1」である場合には、故障判定部640aは、波長ごとに対応付けられたm個のMEMSミラーのうち、波長「λ1」に対応付けられたMEMSミラーに異常が発生していると判定する。
なお、故障判定部640aは、CPU及び該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現される。或いは、故障判定部640aは、FPGAを用いて実現しても良い。
次に、実施例6の変形例に係る波長選択スイッチ600aによる処理手順を説明する。図37は、実施例6の変形例に係る波長選択スイッチによる処理手順を示すフローチャートである。図37に示すように、波長選択スイッチ600aの判定光入力部620は、WDM信号光の1/nの波長帯の光を判定光として生成し(ステップS121)、生成した判定光をDROP型スイッチ部510の未使用ポートOXに入力する(ステップS122)。
光検出部630aは、DROP型スイッチ部510の入力ポートI1から出力される出力光から、WDM信号光の1/nの波長帯の光を分岐する(ステップS123)。光検出部630aは、分岐された光を波長ごとに電気信号に変換して故障判定部640aに出力する(ステップS124)。
故障判定部640aは、光検出部630aから出力される電気信号を示す値がゼロである場合、すなわち、DROP型スイッチ部510の入力ポートI1の出力光から判定光が検出されない場合には(ステップS125;No)、処理をステップS121に戻す。
一方、故障判定部640aは、光検出部630aから出力される電気信号を示す値がゼロ以外の値を示す場合、すなわち、DROP型スイッチ部510の入力ポートI1の出力光から判定光が検出された場合には(ステップS125;Yes)、以下の処理を行う。すなわち、故障判定部640aは、DROP型スイッチ部510に含まれる複数のMEMSミラーのうち光検出部630aによって判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する(ステップS126)。なお、故障判定部640aは、判定結果を所定の出力部に出力しても良い。
上述したように、波長選択スイッチ600aは、WDM信号光に多重化された各信号光の波長ごとに判定光を検出し、DROP型スイッチ部510の複数のMEMSミラーのうち判定光が検出された波長に対応するMEMSミラーに異常が発生していると判定する。このため、波長選択スイッチ600aは、WDM信号光に多重化された信号光の波長に対応付けられた複数のMEMSミラーから故障しているMEMSミラーのみを特定することができる。
なお、DROP型スイッチ部510が複数のMEMSミラーに代えて複数の反射型液晶素子を含む場合には、波長選択スイッチ600aは、複数の反射型液晶素子のうち判定光が検出された波長に対応する反射型液晶素子に異常が発生していると判定する。この場合には、波長選択スイッチ600aは、WDM信号光に多重化された信号光の波長に対応付けられた複数の反射型液晶素子から故障している反射型液晶素子のみを特定することができる。
実施例7では、ネットワーク上の合流点に配置された光伝送装置に対して、上記実施例2に係る波長選択スイッチを組み込んだ例について説明する。
図38は、実施例2に係る波長選択スイッチが組み込まれた光伝送装置を説明するための図である。図38に示す光伝送装置は、例えば、リング型ネットワーク上の合流点に配置され、種々の情報を含むWDM信号光をネットワークのEAST側からWEST側へ伝送したり、WEST側からEAST側へと伝送したりする。光伝送装置は、光分岐挿入多重化装置(ROADM:Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)を有し、ROADMを用いて外部の端末などからネットワークへ情報を伝送したり、ネットワークから外部の端末などへ情報を伝送したりする。
また、光伝送装置は、波長選択スイッチ(WSS)を用いて複数の信号光を多重化したり、多重化された信号光から任意の波長の信号光を分離したりすることで、情報の伝送経路を切り替える。例えば、光伝送装置は、図38に示すように、合波用ADD型WSS1と、合波用ADD型WSS2とを有する。本実施例では、合波用ADD型WSS1および合波用ADD型WSS2の位置に、実施例2に係る波長選択スイッチ200が組み込まれる。
合波用ADD型WSS1は、ネットワークのWEST側の受信アンプによって受信された信号光にROADMから転送された所定の波長の信号光を多重化して、EAST側の送信アンプに転送する。EAST側の送信アンプに転送された信号光の波長ごとのパワーはOCMによって計測され、その計測結果は合波用ADD型WSS1にフィードバックされる。合波用ADD型WSS1のADD型スイッチ部110は、フィードバックされた計測結果を用いて、各波長のパワーが均等になるようにMEMSミラーの反射方向を変更する。
合波用ADD型WSS2は、ネットワークのEAST側の受信アンプによって受信された信号光にROADMから転送された所定の波長の信号光を多重化して、WEST側の送信アンプに転送する。WEST側の送信アンプに転送された信号光の波長ごとのパワーはOCMによって計測され、その計測結果は合波用ADD型WSS2にフィードバックされる。合波用ADD型WSS2のADD型スイッチ部110は、フィードバックされた計測結果を用いて、各波長のパワーが均等になるようにMEMSミラーの反射方向を変更する。
ROADMは、トランスポンダと、MUX(Multiplexer)/DEMUX(Demultiplexer)とを有する。そして、外部の端末などから受信した情報をネットワークに伝送する場合には、トランスポンダが、端末などから受信した情報を適切な信号レートに変換し、FEC(Forward Error Correction)コードなどによってエラーを訂正する。そして、トランスポンダは、出力する波長をレーザにより任意の波長に変調して、MUX/DEMUXに出力する。
MUX/DEMUXは、複数の特定波長の信号光を多重化して一つの信号光にしたり、多重化された信号光から特定波長の信号光を分離したりする。例えば、MUX/DEMUXは、トランスポンダから入力された信号光のなかでいくつかの特定波長の信号光のみを多重化して一つの信号光にし、合波用ADD型WSS1および合波用ADD型WSS2に転送する。
上述したように、本実施例に係る光伝送装置は、ネットワーク上の合流点での情報の転送経路の切り替えを合波用ADD型WSS1および合波用ADD型WSS2を用いて行っている。本実施例に係る光伝送装置は、合波用ADD型WSS1および合波用ADD型WSS2の位置に、実施例2に係る波長選択スイッチ200を設置している。このため、光伝送装置は、合波用ADD型WSS1や合波用ADD型WSS2よりもネットワークの上流側又は下流側に配置された機器の故障と、合波用ADD型WSS1や合波用ADD型WSS2のMEMSミラーの故障とを区別して判定することができる。
例えば、合波用ADD型WSS1よりも下流であるEAST側のOCMにおいて特定の波長のパワーが検出不能となった場合を想定する。この場合には、光伝送装置は、合波用ADD型WSS1よりも上流であるWEST側のROADMの故障又はEAST側のOCMの故障と、合波用ADD型WSS1のMEMSミラーの故障とを区別して判定することができる。
なお、本実施例では、ネットワーク上の合流点に配置された光伝送装置に対して、上記実施例2に係る波長選択スイッチを組み込んだ例について説明したが、上記実施例1、3及び4に係る波長選択スイッチを組み込んでも良い。
実施例8では、ネットワーク上の分岐点に配置された光伝送装置に対して、上記実施例5に係る波長選択スイッチを組み込んだ例について説明する。
図39は、実施例5に係る波長選択スイッチが組み込まれた光伝送装置を説明するための図である。図39に示す光伝送装置は、例えば、リング型ネットワーク上の分岐点に配置され、種々の情報を含むWDM信号光をネットワークのEAST側からWEST側へ伝送したり、WEST側からEAST側へと伝送したりする。
光伝送装置は、波長選択スイッチ(WSS)を用いて複数の信号光を多重化したり、多重化された信号光から任意の波長の信号光を分離したりすることで、情報の伝送経路を切り替える。例えば、光伝送装置は、図39に示すように、合波用ADD型WSS1と、合波用ADD型WSS2と、分波用DROP型WSS3と、分波用DROP型WSS4とを有する。本実施例では、分波用DROP型WSS3および分波用DROP型WSS4の位置に、実施例5に係る波長選択スイッチ500が組み込まれる。
合波用ADD型WSS1および合波用ADD型WSS2は、図38に示した合波用ADD型WSS1および合波用ADD型WSS2にそれぞれ対応する。
分波用DROP型WSS3は、図39に示すように、ネットワークのEAST側の受信アンプによって受信された信号光からハブネットワークに伝送する所定の波長の信号光を分離する。
分波用DROP型WSS4は、図39に示すように、ネットワークのWEST側の受信アンプによって受信された信号光からハブネットワークに伝送する所定の波長の信号光を分離する。
上述したように、本実施例に係る光伝送装置は、ネットワーク上の分岐点での情報の転送経路の切り替えを分波用DROP型WSS3および分波用DROP型WSS4を用いて行っている。本実施例に係る光伝送装置は、分波用DROP型WSS3および分波用DROP型WSS4の位置に、実施例5に係る波長選択スイッチ500を設置している。このため、光伝送装置は分波用DROP型WSS3や分波用DROP型WSS4よりもネットワークの上流側又は下流側に配置された機器の故障と、分波用DROP型WSS3や分波用DROP型WSS4のMEMSミラーの故障とを区別して判定することができる。
なお、本実施例では、ネットワーク上の分岐点に配置された光伝送装置に対して、上記実施例5に係る波長選択スイッチを組み込んだ例について説明したが、上記実施例6に係る波長選択スイッチを組み込んでも良い。
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)反射方向が可変である光反射部を含み、前記光反射部の反射方向を変更して、入力ポートと出力ポートとを前記光反射部を介して光学的に結合するスイッチ部と、
未使用の入力ポートに対して、前記光反射部の故障を判定する判定光を入力する判定光入力部と、
前記出力ポートの出力から、前記判定光を検出する光検出部と、
前記光反射部の反射方向を変更する制御を行っている状態で、前記光検出部によって前記判定光が検出された場合に、前記光反射部の異常が発生していると判定する故障判定部と
を備えたことを特徴とする光スイッチ。
(付記2)反射方向が可変である光反射部を含み、前記光反射部の反射方向を変更して、入力ポートと出力ポートとを前記光反射部を介して光学的に結合するスイッチ部と、
前記出力ポートに対して、前記光反射部の故障を判定する判定光を入力する判定光入力部と、
前記判定光を未使用の入力ポートの出力から検出する光検出部と、
前記光反射部の反射方向を変更する制御を行っている状態で、前記光検出部によって前記判定光が検出された場合に、前記光反射部の異常が発生していると判定する故障判定部と
を備えたことを特徴とする光スイッチ。
(付記3)反射方向が可変である光反射部を含み、前記光反射部の反射方向を変更して、入力ポートと出力ポートとを前記光反射部を介して光学的に結合するスイッチ部と、
未使用の出力ポートに対して、前記光反射部の故障を判定する判定光を入力する判定光入力部と、
前記入力ポートの出力から、前記判定光を検出する光検出部と、
前記光検出部によって前記判定光が検出された場合に、前記光反射部の異常が発生していると判定する故障判定部と
を備えたことを特徴とする光スイッチ。
(付記4)前記判定光入力部は、前記入力ポートへ入力される波長多重信号光よりも周波数が低い低周波信号を用いて光源からの光を強度変調して得られる変調光を前記判定光として前記未使用の入力ポート、前記出力ポートまたは前記未使用の出力ポートに対して入力し、
前記光検出部は、前記出力ポートまたは前記入力ポートから出力される光の周波数成分のうち前記低周波信号と同一の周波数を有する周波数成分を抽出することにより、前記変調光を検出し、
前記故障判定部は、前記光検出部によって前記変調光が検出された場合に、前記光反射部の異常が発生していると判定することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の光スイッチ。
(付記5)前記判定光入力部は、前記入力ポートへ入力される波長多重信号光の1/n(nは2以上の整数)の波長帯の光を前記判定光として前記未使用の入力ポート、前記出力ポートまたは前記未使用の出力ポートに入力し、
前記光検出部は、前記波長帯を分岐帯域とする波長分岐カプラを含み、前記波長分岐カプラの出力から前記判定光を検出し、
前記故障判定部は、前記光検出部によって前記判定光が検出された場合に、前記光反射部の異常が発生していると判定することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の光スイッチ。
(付記6)前記光反射部は、前記入力ポートへ入力される波長多重信号光に多重された複数の信号光を各信号光の波長に応じて反射する複数のMEMSミラーまたは複数の反射型液晶素子を含み、
前記光検出部は、前記各信号光の波長ごとに前記判定光を検出し、
前記故障判定部は、前記光検出部によって前記判定光が検出された波長に対応する前記MEMSミラーまたは前記反射型液晶素子に異常が発生していると判定することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の光スイッチ。
(付記7)反射方向が可変である光反射部を含み、前記光反射部の反射方向を変更して、入力ポートと出力ポートとを前記光反射部を介して光学的に結合するスイッチ部と、
未使用の入力ポートに対して、前記光反射部の故障を判定する判定光を入力する判定光入力部と、
前記出力ポートの出力から、前記判定光を検出する光検出部と、
前記光反射部の反射方向を変更する制御を行っている状態で、前記光検出部によって前記判定光が検出された場合に、前記光反射部の異常が発生していると判定する故障判定部と
を備える光スイッチを有することを特徴とする光伝送装置。
(付記8)反射方向が可変である光反射部を含み、前記光反射部の反射方向を変更して、入力ポートと出力ポートとを前記光反射部を介して光学的に結合するスイッチ部と、
前記出力ポートに対して、前記光反射部の故障を判定する判定光を入力する判定光入力部と、
前記判定光を未使用の入力ポートの出力から検出する光検出部と、
前記光反射部の反射方向を変更する制御を行っている状態で、前記光検出部によって前記判定光が検出された場合に、前記光反射部の異常が発生していると判定する故障判定部と
を備える光スイッチを有することを特徴とする光伝送装置。
(付記9)反射方向が可変である光反射部を含み、前記光反射部の反射方向を変更して、入力ポートと出力ポートとを前記光反射部を介して光学的に結合するスイッチ部と、
未使用の出力ポートに対して、前記光反射部の故障を判定する判定光を入力する判定光入力部と、
前記入力ポートの出力から、前記判定光を検出する光検出部と、
前記光検出部によって前記判定光が検出された場合に、前記光反射部の異常が発生していると判定する故障判定部と
を備える光スイッチを有することを特徴とする光伝送装置。
(付記10)信号光が入力される第1入力ポートと、判定光が入力される第2入力ポートとを含む複数の入力ポートと、
出力ポートと、
反射方向が可変であり、前記複数の入力ポートからの光を受け、前記複数の入力ポートのうちの少なくとも1のポートからの前記光を前記出力ポートに反射する反射部と、
前記出力ポートからの光を検出する光検出部と、
前記反射部の反射方向を、前記第1の入力ポートと前記出力ポートとを結合させる第1反射方向と、前記第2の入力ポートと前記出力ポートとを結合させる第2反射方向とのいずれかに合わせる制御部と、
前記反射部の反射方向を前記第1反射方向に合わせた状態で、前記第2入力ポートに入力された前記信号光が前記光検出部により検出されたときに、前記光反射部が異常であると判定する故障判定部と
を備えたことを特徴とする光スイッチ。