以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる接合システム1の構成の概略を示す平面図である。図2は、接合システム1の内部構成の概略を示す側面図である。
接合システム1では、図3に示すように例えば接着剤Gを介して、被処理基板としての被処理ウェハWと支持基板としての支持ウェハSとを接合する。以下、被処理ウェハWにおいて、接着剤Gを介して支持ウェハSと接合される面を表面としての「接合面WJ」といい、当該接合面WJと反対側の面を裏面としての「非接合面WN」という。同様に、支持ウェハSにおいて、接着剤Gを介して被処理ウェハWと接合される面を表面としての「接合面SJ」といい、接合面SJと反対側の面を裏面としての「非接合面SN」という。そして、接合システム1では、被処理ウェハWと支持ウェハSを接合して、重合基板としての重合ウェハTを形成する。なお、被処理ウェハWは、製品となるウェハであって、例えば接合面WJに複数の電子回路を備えたデバイスが形成されており、非接合面WNが研磨処理される。また、支持ウェハSは、被処理ウェハWの径と同じ径を有し、当該被処理ウェハWを支持するウェハである。なお、本実施の形態では、支持基板としてウェハを用いた場合について説明するが、例えばガラス基板等の他の基板を用いてもよい。
接合システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットCW、CS、CTが搬入出される搬入出ステーション2と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば4つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、X方向(図1中の上下方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、接合システム1の外部に対してカセットCW、CS、CTを搬入出する際に、カセットCW、CS、CTを載置することができる。このように搬入出ステーション2は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、カセットの1つを不具合ウェハの回収用として用いてもよい。すなわち、種々の要因で被処理ウェハWと支持ウェハSとの接合に不具合が生じたウェハを、他の正常な重合ウェハTと分離することができるカセットである。本実施の形態においては、複数のカセットCTのうち、1つのカセットCTを不具合ウェハの回収用として用い、他方のカセットCTを正常な重合ウェハTの収容用として用いている。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10に隣接してウェハ搬送部20が設けられている。ウェハ搬送部20には、X方向に延伸する搬送路21上を移動自在なウェハ搬送装置22が設けられている。ウェハ搬送装置22は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板11上のカセットCW、CS、CTと、後述する処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50、51との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
処理ステーション3には、各種処理装置を備えた複数例えば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(図1中のX方向負方向側)には、第1の処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(図1中のX方向正方向側)には、第2の処理ブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(図1中のY方向負方向側)には、第3の処理ブロックG3が設けられている。
例えば第1の処理ブロックG1には、重合ウェハTを所定の温度に加熱する第1の熱処理装置30と、接着剤Gを介して被処理ウェハWと支持ウェハSとを押圧して接合する接合装置31〜33とが、搬入出ステーション2側からこの順でY方向に並べて配置されている。
例えば第2の処理ブロックG2には、図2に示すように被処理ウェハWに接着剤Gを塗布する塗布装置40と、接着剤Gが塗布された被処理ウェハWを所定の温度に加熱する他の熱処理装置としての第2の熱処理装置41〜43と、同様の第2の熱処理装置44〜46とが、搬入出ステーション2側に向かう方向(図1中のY方向負方向)にこの順で並べて配置されている。第2の熱処理装置41〜43と第2の熱処理装置44〜46は、それぞれ下からこの順で3段に設けられている。なお、第2の熱処理装置41〜46の装置数や鉛直方向及び水平方向の配置は任意に設定することができる。
例えば第3の処理ブロックG3には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのトランジション装置50、51が下からこの順で2段に設けられている。
図1に示すように第1の処理ブロックG1〜第3の処理ブロックG3に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域60が形成されている。ウェハ搬送領域60には、例えばウェハ搬送装置61が配置されている。なお、ウェハ搬送領域60内の圧力は大気圧以上であり、当該ウェハ搬送領域60において、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのいわゆる大気系の搬送が行われる。
ウェハ搬送装置61は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置61は、ウェハ搬送領域60内を移動し、周囲の第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2及び第3の処理ブロックG3内の所定の装置に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
次に、上述した第1の熱処理装置30の構成について説明する。なお、本実施の形態では、第1の熱処理装置30において重合ウェハTの外周部を熱処理するが、この重合ウェハTの外周部とは、例えば重合ウェハTの外縁から2mm〜5mmの範囲をいう。また重合ウェハTの中心部とは、この重合ウェハTの外周部の内側の範囲をいう。
第1の熱処理装置30は、図4に示すように内部を閉鎖可能な処理容器70を有している。処理容器70のウェハ搬送領域60側の側面には、重合ウェハTの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器70の天井面には、当該処理容器70の内部に例えば窒素ガスなどの不活性ガスを供給するガス供給口71が形成されている。ガス供給口71には、ガス供給源72に連通するガス供給管73が接続されている。ガス供給管73には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群74が設けられている。
処理容器70の底面には、当該処理容器70の内部の雰囲気を吸引する吸気口75が形成されている。吸気口75には、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置76に連通する吸気管77が接続されている。
処理容器70の内部には、重合ウェハTを所定の位置に支持する支持ピン80が設けられている。支持ピン80は、支持部材81を介して、鉛直方向に延伸する支持柱82に支持されている。そして、支持ピン80と支持部材81は鉛直方向に複数積層されて設けられ、処理容器70の内部では重合ウェハTを複数収容して熱処理できるようになっている。
また処理容器70の内部には、支持ピン80に支持された重合ウェハTの外周部を所定の温度に加熱する加熱機構90が複数設けられている。加熱機構90には、例えばヒータが用いられる。加熱機構90は、図5に示すように平面視において環状に設けられている。加熱機構90は、処理容器70内の支持部材(図示せず)に支持されて設けられている。
なお、処理容器70の内部には、加熱機構90によって加熱された重合ウェハTを所定の温度、例えば常温(23℃)に調節する温度調節機構(図示せず)が設けられていてもよい。
次に、上述した接合装置31〜32の構成について説明する。接合装置31は、図6に示すように内部を密閉可能な処理容器100を有している。処理容器100のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口101が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器100の内部は、内壁102によって、前処理領域D1と接合領域D2に区画されている。上述した搬入出口101は、前処理領域D1における処理容器100の側面に形成されている。また、内壁102にも、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口103が形成されている。
前処理領域D1には、接合装置31の外部との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡すための受渡部110が設けられている。受渡部110は、搬入出口101に隣接して配置されている。また受渡部110は、後述するように鉛直方向に複数、例えば2段配置され、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのいずれか2つを同時に受け渡すことができる。例えば一の受渡部110で接合前の被処理ウェハW又は支持ウェハSを受け渡し、他の受渡部110で接合後の重合ウェハTを受け渡してもよい。あるいは、一の受渡部110で接合前の被処理ウェハWを受け渡し、他の受渡部110で接合前の支持ウェハSを受け渡してもよい。
前処理領域D1のY方向負方向側、すなわち搬入出口103側において、受渡部110の鉛直上方には、例えば支持ウェハSの表裏面を反転させる反転部111が設けられている。なお、反転部111は、後述するように支持ウェハSの水平方向の向きを調節することもでき、また被処理ウェハWの水平方向の向きを調節することもできる。
接合領域D2のY方向正方向側には、受渡部110、反転部111及び後述する接合部113に対して、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送する搬送部112が設けられている。搬送部112は、搬入出口103に取り付けられている。
接合領域D2のY方向負方向側には、接着剤Gを介して被処理ウェハWと支持ウェハSとを押圧して接合する接合部113が設けられている。
次に、上述した受渡部110の構成について説明する。受渡部110は、図7に示すように受渡アーム120とウェハ支持ピン121とを有している。受渡アーム120は、接合装置31の外部、すなわちウェハ搬送装置61とウェハ支持ピン121との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡すことができる。ウェハ支持ピン121は、複数、例えば3箇所に設けられ、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを支持することができる。
受渡アーム120は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを保持するアーム部130と、例えばモータなどを備えたアーム駆動部131とを有している。アーム部130は、略円板形状を有している。アーム駆動部131は、アーム部130をX方向(図7中の上下方向)に移動させることができる。またアーム駆動部131は、Y方向(図7中の左右方向)に延伸するレール132に取り付けられ、当該レール132上を移動可能に構成されている。かかる構成により、受渡アーム120は、水平方向(X方向及びY方向)に移動可能となっており、ウェハ搬送装置61及びウェハ支持ピン121との間で、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを円滑に受け渡すことができる。
アーム部130上には、図8及び図9に示すように被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを支持するウェハ支持ピン140が複数、例えば4箇所に設けられている。またアーム部130上には、ウェハ支持ピン140に支持された被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの位置決めを行うガイド141が設けられている。ガイド141は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの側面をガイドするように複数、例えば4箇所に設けられている。
アーム部130の外周には、図7及び図8に示すように切り欠き142が例えば4箇所に形成されている。この切り欠き142により、ウェハ搬送装置61の搬送アームから受渡アーム120に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡す際に、当該ウェハ搬送装置61の搬送アームがアーム部130と干渉するのを防止できる。
アーム部130には、X方向に沿った2本のスリット143が形成されている。スリット143は、アーム部130のウェハ支持ピン121側の端面からアーム部130の中央部付近まで形成されている。このスリット143により、アーム部130がウェハ支持ピン121と干渉するのを防止できる。
次に、上述した反転部111の構成について説明する。反転部111は、図10〜図12に示すように支持ウェハS、被処理ウェハWを保持する保持アーム150を有している。保持アーム150は、水平方向(図10及び図11中のX方向)に延伸している。また保持アーム150には、支持ウェハS、被処理ウェハWを保持する保持部材151が例えば4箇所に設けられている。保持部材151は、図13に示すように保持アーム150に対して水平方向に移動可能に構成されている。また保持部材151の側面には、支持ウェハS、被処理ウェハWの外周部を保持するための切り欠き152が形成されている。そして、これら保持部材151は、支持ウェハS、被処理ウェハWを挟み込んで保持することができる。
保持アーム150は、図10〜図12に示すように例えばモータなどを備えた第1の駆動部153に支持されている。この第1の駆動部153によって、保持アーム150は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向(図10及び図11中のX方向、図10及び図12のY方向)に移動できる。なお、第1の駆動部153は、保持アーム150を鉛直軸周りに回動させて、当該保持アーム150を水平方向に移動させてもよい。第1の駆動部153の下方には、例えばモータなどを備えた第2の駆動部154が設けられている。この第2の駆動部154によって、第1の駆動部153は鉛直方向に延伸する支持柱155に沿って鉛直方向に移動できる。このように第1の駆動部153と第2の駆動部154によって、保持部材151に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWは、水平軸周りに回動できると共に鉛直方向及び水平方向に移動できる。
支持柱155には、保持部材151に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWの水平方向の向きを調節する位置調節機構160が支持板161を介して支持されている。位置調節機構160は、保持アーム150に隣接して設けられている。
位置調節機構160は、基台162と、支持ウェハS、被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出する検出部163とを有している。そして、位置調節機構160では、保持部材151に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWを水平方向に移動させながら、検出部163で支持ウェハS、被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出することで、当該ノッチ部の位置を調節して支持ウェハS、被処理ウェハWの水平方向の向きを調節している。
なお、図14に示すように、以上のように構成された受渡部110は鉛直方向に2段に配置され、またこれら受渡部110の鉛直上方に反転部111が配置される。すなわち、受渡部110の受渡アーム120は、反転部111の保持アーム150と位置調節機構160の下方において水平方向に移動する。また、受渡部110のウェハ支持ピン121は、反転部111の保持アーム150の下方に配置されている。
次に、上述した搬送部112の構成について説明する。搬送部112は、図15に示すように複数、例えば2本の搬送アーム170、171を有している。第1の搬送アーム170と第2の搬送アーム171は、鉛直方向に下からこの順で2段に配置されている。なお、第1の搬送アーム170と第2の搬送アーム171は、後述するように異なる形状を有している。
搬送アーム170、171の基端部には、例えばモータなどを備えたアーム駆動部172が設けられている。このアーム駆動部172によって、各搬送アーム170、171は独立して水平方向に移動できる。これら搬送アーム170、171とアーム駆動部172は、基台173に支持されている。
搬送部112は、図6及び図16に示すように処理容器100の内壁102に形成された搬入出口103に設けられている。そして、搬送部112は、例えばモータなどを備えた駆動部(図示せず)によって搬入出口103に沿って鉛直方向に移動できる。
第1の搬送アーム170は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面(被処理ウェハW、支持ウェハSにおいては非接合面WN、SN)を保持して搬送する。第1の搬送アーム170は、図17に示すように先端が2本の先端部180a、180aに分岐したアーム部180と、このアーム部180と一体に形成され、且つアーム部180を支持する支持部181とを有している。
アーム部180上には、図17及び図18に示すように樹脂製のOリング182が複数、例えば4箇所に設けられている。このOリング182が被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面と接触し、当該Oリング182と被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面との間の摩擦力によって、Oリング182は被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面を保持する。そして、第1の搬送アーム170は、Oリング182上に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを水平に保持することができる。
またアーム部180上には、Oリング182に保持された被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの外側に設けられたガイド部材183、184が設けられている。第1のガイド部材183は、アーム部180の先端部180aの先端に設けられている。第2のガイド部材184は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの外周に沿った円弧状に形成され、支持部181側に設けられている。これらガイド部材183、184によって、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTが第1の搬送アーム170から飛び出したり、滑落するのを防止することができる。なお、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTがOリング182に適切な位置で保持されている場合、当該被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTはガイド部材183、184と接触しない。
第2の搬送アーム171は、例えば支持ウェハSの表面、すなわち接合面SJの外周部を保持して搬送する。すなわち、第2の搬送アーム171は、反転部111で表裏面が反転された支持ウェハSの接合面SJの外周部を保持して搬送する。第2の搬送アーム171は、図19に示すように先端が2本の先端部190a、190aに分岐したアーム部190と、このアーム部190と一体に形成され、且つアーム部190を支持する支持部191とを有している。
アーム部190上には、図19及び図20に示すように第2の保持部材192が複数、例えば4箇所に設けられている。第2の保持部材192は、支持ウェハSの接合面SJの外周部を載置する載置部193と、当該載置部193から上方に延伸し、内側面が下側から上側に向かってテーパ状に拡大しているテーパ部194とを有している。載置部193は、支持ウェハSの周縁から例えば1mm以内の外周部を保持する。また、テーパ部194の内側面が下側から上側に向かってテーパ状に拡大しているため、例えば第2の保持部材192に受け渡される支持ウェハSが水平方向に所定の位置からずれていても、支持ウェハSはテーパ部194に円滑にガイドされて位置決めされ、載置部193に保持される。そして、第2の搬送アーム171は、第2の保持部材192上に支持ウェハSを水平に保持することができる。
なお、図21に示すように、後述する接合部113の第2の保持部201には切り欠き201aが例えば4箇所に形成されている。この切り欠き201aにより、第2の搬送アーム171から第2の保持部201に支持ウェハSを受け渡す際に、第2の搬送アーム171の第2の保持部材192が第2の保持部201に干渉するのを防止することができる。
次に、上述した接合部113の構成について説明する。接合部113は、図22に示すように被処理ウェハWを上面で載置して保持する第1の保持部200と、支持ウェハSを下面で吸着保持する第2の保持部201とを有している。第1の保持部200は、第2の保持部201の下方に設けられ、第2の保持部201と対向するように配置されている。すなわち、第1の保持部200に保持された被処理ウェハWと第2の保持部201に保持された支持ウェハSは対向して配置されている。
第1の保持部200の内部には、被処理ウェハWを吸着保持するための吸引管210が設けられている。吸引管210は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。なお、第1の保持部200には、後述する加圧機構260により荷重がかけられても変形しない強度を有する材料、例えば炭化ケイ素セラミックや窒化アルミセラミックなどのセラミックが用いられる。
また、第1の保持部200の内部には、被処理ウェハWを加熱する加熱機構211が設けられている。加熱機構211には、例えばヒータが用いられる。
第1の保持部200の下方には、第1の保持部200及び被処理ウェハWを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構220が設けられている。移動機構220は、第1の保持部200を例えば±1μmの精度で3次元移動させることができる。移動機構220は、第1の保持部200を鉛直方向に移動させる鉛直移動部221と、第1の保持部200を水平方向に移動させる水平移動部222とを有している。鉛直移動部221と水平移動部222は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とをそれぞれ有している。
水平移動部222上には、鉛直方向に伸縮自在の支持部材223が設けられている。支持部材223は、第1の保持部200の外側に例えば3箇所に設けられている。そして、支持部材223は、図23に示すように第2の保持部201の外周下面から下方に突出して設けられた突出部230を支持することができる。
以上の移動機構220では、第1の保持部200上の被処理ウェハWの水平方向の位置合わせを行うことができると共に、図23に示すように第1の保持部200を上昇させて、被処理ウェハWと支持ウェハSを接合するための接合空間Rを形成することができる。この接合空間Rは、第1の保持部200、第2の保持部201及び突出部230に囲まれた空間である。また、接合空間Rを形成する際、支持部材223の高さを調整することにより、接合空間Rにおける被処理ウェハWと支持ウェハS間の鉛直方向の距離を調整することができる。
なお、第1の保持部200の下方には、被処理ウェハW又は重合ウェハTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは第1の保持部200に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、第1の保持部200の上面から突出可能になっている。
第2の保持部201には、弾性体である例えばアルミニウムが用いられる。そして、第2の保持部201は、後述するように第2の保持部201の全面に所定の圧力、例えば0.7気圧(=0.07MPa)がかかると、その一箇所、例えば中心部が撓むように構成されている。
第2の保持部201の外周下面には、図22に示すように当該外周下面から下方に突出する上述の突出部230が形成されている。突出部230は、第2の保持部201の外周に沿って形成されている。なお、突出部230は、第2の保持部201と一体に形成されていてもよい。
突出部230の下面には、接合空間Rの気密性を保持するためのシール材231が設けられている。シール材231は、突出部230の下面に形成された溝に環状に設けられ、例えばOリングが用いられる。また、シール材231は弾性を有している。なお、シール材231は、シール機能を有する部品であればよく、本実施の形態に限定されるものではない。
第2の保持部201の内部には、支持ウェハSを吸着保持するための吸引管240が設けられている。吸引管240は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
また、第2の保持部201の内部には、接合空間Rの雰囲気を吸気するための吸気管241が設けられている。吸気管241の一端は、第2の保持部201の下面における支持ウェハSが保持されない場所において開口している。また、吸気管241の他端は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
さらに、第2の保持部201の内部には、支持ウェハSを加熱する加熱機構242を有している。加熱機構242には、例えばヒータが用いられる。
第2の保持部201の上面には、当該第2の保持部201を支持する支持部材250と第2の保持部201を鉛直下方に押圧する加圧機構260が設けられている。加圧機構260は、被処理ウェハWと支持ウェハSを覆うように設けられた圧力容器261と、圧力容器261の内部に流体、例えば圧縮空気を供給する流体供給管262と、を有している。また、支持部材250は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、圧力容器261の外側に例えば3箇所に設けられている。
圧力容器261は、例えば鉛直方向に伸縮自在の例えばステンレス製のベローズにより構成されている。圧力容器261は、その下面が第2の保持部201の上面に当接すると共に、上面が第2の保持部201の上方に設けられた支持板263の下面に当接している。流体供給管262は、その一端が圧力容器261に接続され、他端が流体供給源(図示せず)に接続されている。そして、圧力容器261に流体供給管262から流体を供給することで、圧力容器261が伸長する。この際、圧力容器261の上面と支持板263の下面とが当接しているので、圧力容器261は下方向にのみ伸長し、圧力容器261の下面に設けられた第2の保持部201を下方に押圧することができる。またこの際、圧力容器261の内部は流体により加圧されているので、圧力容器261は第2の保持部201を面内均一に押圧することができる。第2の保持部201を押圧する際の荷重の調節は、圧力容器261に供給する圧縮空気の圧力を調整することで行われる。なお、支持板263は、加圧機構260により第2の保持部201にかかる荷重の反力を受けても変形しない強度を有する部材により構成されているのが好ましい。なお、本実施の形態の支持板263を省略し、圧力容器261の上面を処理容器100の天井面に当接させてもよい。
なお、接合装置32、33の構成は、上述した接合装置31の構成と同様であるので説明を省略する。
次に、上述した塗布装置40の構成について説明する。塗布装置40は、図24に示すように内部を密閉可能な処理容器270を有している。処理容器270のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器270内の中央部には、被処理ウェハWを保持して回転させるスピンチャック280が設けられている。スピンチャック280は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば被処理ウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、被処理ウェハWをスピンチャック280上に吸着保持できる。
スピンチャック280の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部281が設けられている。スピンチャック280は、チャック駆動部281により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部281には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック280は昇降自在になっている。
スピンチャック280の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ282が設けられている。カップ282の下面には、回収した液体を排出する排出管283と、カップ282内の雰囲気を真空引きして排気する排気管284が接続されている。
図25に示すようにカップ282のX方向負方向(図25中の下方向)側には、Y方向(図25中の左右方向)に沿って延伸するレール290が形成されている。レール290は、例えばカップ282のY方向負方向(図25中の左方向)側の外方からY方向正方向(図25中の右方向)側の外方まで形成されている。レール290には、アーム291が取り付けられている。
アーム291には、図24及び図25に示すように被処理ウェハWに液体状の接着剤Gを供給する接着剤ノズル293が支持されている。アーム291は、図25に示すノズル駆動部294により、レール290上を移動自在である。これにより、接着剤ノズル293は、カップ282のY方向正方向側の外方に設置された待機部295からカップ282内の被処理ウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該被処理ウェハW上を被処理ウェハWの径方向に移動できる。また、アーム291は、ノズル駆動部294によって昇降自在であり、接着剤ノズル293の高さを調節できる。
接着剤ノズル293には、図24に示すように当該接着剤ノズル293に接着剤Gを供給する供給管296が接続されている。供給管296は、内部に接着剤Gを貯留する接着剤供給源297に連通している。また、供給管296には、接着剤Gの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群298が設けられている。
なお、スピンチャック280の下方には、被処理ウェハWの裏面、すなわち非接合面WNに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、被処理ウェハWの非接合面WNと被処理ウェハWの外周部が洗浄される。
次に、上述した第2の熱処理装置41〜46の構成について説明する。第2の熱処理装置41は、図26に示すように内部を閉鎖可能な処理容器300を有している。処理容器300のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器300の天井面には、当該処理容器300の内部に例えば窒素ガスなどの不活性ガスを供給するガス供給口301が形成されている。ガス供給口301には、ガス供給源302に連通するガス供給管303が接続されている。ガス供給管303には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群304が設けられている。
処理容器300の底面には、当該処理容器300の内部の雰囲気を吸引する吸気口305が形成されている。吸気口305には、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置306に連通する吸気管307が接続されている。
処理容器300の内部には、被処理ウェハWを加熱処理する加熱部310と、被処理ウェハWを温度調節する温度調節部311が設けられている。加熱部310と温度調節部311はY方向に並べて配置されている。
加熱部310は、熱板320を収容して熱板320の外周部を保持する環状の保持部材321と、その保持部材321の外周を囲む略筒状のサポートリング322を備えている。熱板320は、厚みのある略円盤形状を有し、被処理ウェハWを載置して加熱することができる。また、熱板320には、例えばヒータ323が内蔵されている。熱板320の加熱温度は例えば制御部360により制御され、熱板320上に載置された被処理ウェハWが所定の温度に加熱される。
熱板320の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン330が例えば3本設けられている。昇降ピン330は、昇降駆動部331により上下動できる。熱板320の中央部付近には、当該熱板320を厚み方向に貫通する貫通孔332が例えば3箇所に形成されている。そして、昇降ピン330は貫通孔332を挿通し、熱板320の上面から突出可能になっている。
温度調節部311は、温度調節板340を有している。温度調節板340は、図27に示すように略方形の平板形状を有し、熱板320側の端面が円弧状に湾曲している。温度調節板340には、Y方向に沿った2本のスリット341が形成されている。スリット341は、温度調節板340の熱板320側の端面から温度調節板340の中央部付近まで形成されている。このスリット341により、温度調節板340が、加熱部310の昇降ピン330及び後述する温度調節部311の昇降ピン350と干渉するのを防止できる。また、温度調節板340には、例えばペルチェ素子などの温度調節部材(図示せず)が内蔵されている。温度調節板340の冷却温度は例えば制御部360により制御され、温度調節板340上に載置された被処理ウェハWが所定の温度に冷却される。
温度調節板340は、図26に示すように支持アーム342に支持されている。支持アーム342には、駆動部343が取り付けられている。駆動部343は、Y方向に延伸するレール344に取り付けられている。レール344は、温度調節部311から加熱部310まで延伸している。この駆動部343により、温度調節板340は、レール344に沿って加熱部310と温度調節部311との間を移動可能になっている。
温度調節板340の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン350が例えば3本設けられている。昇降ピン350は、昇降駆動部351により上下動できる。そして、昇降ピン350はスリット341を挿通し、温度調節板340の上面から突出可能になっている。
なお、第2の熱処理装置42〜46の構成は、上述した第2の熱処理装置41の構成と同様であるので説明を省略する。
また、第2の熱処理装置41〜46では、重合ウェハTの温度調節もすることができる。さらに、重合ウェハTの温度調節をするために、温度調節装置(図示せず)を設けてもよい。温度調節装置は、上述した第2の熱処理装置41と同様の構成を有し、熱板330に代えて、温度調節板が用いられる。温度調節板の内部には、例えばペルチェ素子などの冷却部材が設けられており、温度調節板を設定温度に調節できる。
以上の接合システム1には、図1に示すように制御部360が設けられている。制御部360は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、接合システム1における被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、接合システム1における後述の接合処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部360にインストールされたものであってもよい。
次に、以上のように構成された接合システム1を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理方法について説明する。図28は、かかる接合処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
先ず、複数枚の被処理ウェハWを収容したカセットCW、複数枚の支持ウェハSを収容したカセットCS、及び空のカセットCTが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。その後、ウェハ搬送装置22によりカセットCW内の被処理ウェハWが取り出され、処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50に搬送される。このとき、被処理ウェハWは、その非接合面WNが下方を向いた状態で搬送される。
次に被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって塗布装置40に搬送される。塗布装置40に搬入された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61からスピンチャック280に受け渡され吸着保持される。このとき、被処理ウェハWの非接合面WNが吸着保持される。
続いて、アーム291によって待機部295の接着剤ノズル293を被処理ウェハWの中心部の上方まで移動させる。その後、スピンチャック280によって被処理ウェハWを回転させながら、接着剤ノズル293から被処理ウェハWの接合面WJに接着剤Gを供給する。供給された接着剤Gは遠心力により被処理ウェハWの接合面WJの全面に拡散されて、当該被処理ウェハWの接合面WJに接着剤Gが塗布される(図28の工程A1)。
次に被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって第2の熱処理装置41に搬送される。このとき第2の熱処理装置41の内部は、不活性ガスの本域に維持されている。第2の熱処理装置41に被処理ウェハWが搬入されると、重合ウェハTはウェハ搬送装置61から予め上昇して待機していた昇降ピン350に受け渡される。続いて昇降ピン350を下降させ、被処理ウェハWを温度調節板340に載置する。
その後、駆動部343により温度調節板340をレール344に沿って熱板320の上方まで移動させ、被処理ウェハWは予め上昇して待機していた昇降ピン330に受け渡される。その後、昇降ピン330が下降して、被処理ウェハWが熱板320上に載置される。そして、熱板320上の被処理ウェハWは、所定の温度、例えば100℃〜300℃に加熱される(図28の工程A2)。かかる熱板320による加熱を行うことで被処理ウェハW上の接着剤Gが加熱され、当該接着剤Gが硬化する。
その後、昇降ピン330が上昇すると共に、温度調節板340が熱板320の上方に移動する。続いて被処理ウェハWが昇降ピン330から温度調節板340に受け渡され、温度調節板340がウェハ搬送領域60側に移動する。この温度調節板340の移動中に、被処理ウェハWは所定の温度に温度調節される。
第2の熱処理装置41で熱処理された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって接合装置31に搬送される。接合装置31に搬送された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61から受渡部110の受渡アーム120に受け渡された後、さらに受渡アーム120からウェハ支持ピン121に受け渡される。その後、被処理ウェハWは、搬送部112の第1の搬送アーム170によってウェハ支持ピン121から反転部111に搬送される。
反転部111に搬送された被処理ウェハWは、保持部材151に保持され、位置調節機構160に移動される。そして、位置調節機構160において、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調節して、当該被処理ウェハWの水平方向の向きが調節される(図28の工程A3)。
その後、被処理ウェハWは、搬送部112の第1の搬送アーム170によって反転部111から接合部113に搬送される。接合部113に搬送された被処理ウェハWは、第1の保持部200に載置される(図28の工程A4)。第1の保持部200上では、被処理ウェハWの接合面WJが上方を向いた状態、すなわち接着剤Gが上方を向いた状態で被処理ウェハWが載置される。
被処理ウェハWに上述した工程A1〜A4の処理が行われている間、当該被処理ウェハWに続いて支持ウェハSの処理が行われる。支持ウェハSは、ウェハ搬送装置61によって接合装置31に搬送される。なお、支持ウェハSが接合装置31に搬送される工程については、上記実施の形態と同様であるので説明を省略する。
接合装置31に搬送された支持ウェハSは、ウェハ搬送装置61から受渡部110の受渡アーム120に受け渡された後、さらに受渡アーム120からウェハ支持ピン121に受け渡される。その後、支持ウェハSは、搬送部112の第1の搬送アーム170によってウェハ支持ピン121から反転部111に搬送される。
反転部111に搬送された支持ウェハSは、保持部材151に保持され、位置調節機構160に移動される。そして、位置調節機構160において、支持ウェハSのノッチ部の位置を調節して、当該支持ウェハSの水平方向の向きが調節される(図28の工程A5)。水平方向の向きが調節された支持ウェハSは、位置調節機構160から水平方向に移動され、且つ鉛直方向上方に移動された後、その表裏面が反転される(図28の工程A6)。すなわち、支持ウェハSの接合面SJが下方に向けられる。
その後、支持ウェハSは、鉛直方向下方に移動された後、搬送部112の第2の搬送アーム171によって反転部111から接合部113に搬送される。このとき、第2の搬送アーム171は、支持ウェハSの接合面SJの外周部のみを保持しているので、例えば第2の搬送アーム171に付着したパーティクル等によって接合面SJが汚れることはない。接合部113に搬送された支持ウェハSは、第2の保持部201に吸着保持される(図28の工程A7)。第2の保持部201では、支持ウェハSの接合面SJが下方を向いた状態で支持ウェハSが保持される。
接合装置31において、被処理ウェハWと支持ウェハSがそれぞれ第1の保持部200と第2の保持部201に保持されると、被処理ウェハWが支持ウェハSに対向するように、移動機構220により第1の保持部200の水平方向の位置が調整される(図28の工程A8)。なお、このとき、第2の保持部201と支持ウェハSとの間の圧力は例えば0.1気圧(=0.01MPa)である。また、第2の保持部201の上面にかかる圧力は大気圧である1.0気圧(=0.1MPa)である。この第2の保持部201の上面にかかる大気圧を維持するため、加圧機構260の圧力容器261内の圧力を大気圧にしてもよいし、第2の保持部201の上面と圧力容器261との間に隙間を形成してもよい。
次に、図29に示すように移動機構220によって第1の保持部200を上昇させると共に、支持部材223を伸長させて第2の保持部201が支持部材223に支持される。この際、支持部材223の高さを調整することにより、被処理ウェハWと支持ウェハSとの鉛直方向の距離が所定の距離になるように調整される(図28の工程A9)。なお、この所定の距離は、シール材231が第1の保持部200に接触し、且つ後述するように第2の保持部201及び支持ウェハSの中心部が撓んだ際に、支持ウェハSの中心部が被処理ウェハWに接触する高さである。このようにして、第1の保持部200と第2の保持部201との間に密閉された接合空間Rが形成される。
その後、吸気管241から接合空間Rの雰囲気を吸気する。そして、接合空間R内の圧力が例えば0.3気圧(=0.03MPa)に減圧されると、第2の保持部201には、第2の保持部201の上面にかかる圧力と接合空間R内の圧力との圧力差、すなわち0.7気圧(=0.07MPa)がかかる。そうすると、図30に示すように第2の保持部201の中心部が撓み、第2の保持部201に保持された支持ウェハSの中心部も撓む。なお、このように接合空間R内の圧力を0.3気圧(=0.03MPa)まで減圧しても、第2の保持部201と支持ウェハSとの間の圧力は0.1気圧(=0.01MPa)であるため、支持ウェハSは第2の保持部201に保持された状態を保っている。
その後、さらに接合空間Rの雰囲気を吸気し、接合空間R内を減圧する。そして、接合空間R内の圧力が0.1気圧(=0.01MPa)以下になると、第2の保持部201が支持ウェハSを保持することができず、図31に示すように支持ウェハSは下方に落下して、支持ウェハSの接合面SJ全面が被処理ウェハWの接合面WJ全面に当接する。この際、支持ウェハSは、被処理ウェハWに当接した中心部から径方向外側に向かって順次当接する。すなわち、例えば接合空間R内にボイドとなりうる空気が存在している場合でも、空気は支持ウェハSが被処理ウェハWと当接している箇所より常に外側に存在することになり、当該空気を被処理ウェハWと支持ウェハSとの間から逃がすことができる。こうしてボイドの発生を抑制しつつ、被処理ウェハWと支持ウェハSは接着剤Gにより接着される(図28の工程A10)。
その後、図32に示すように、支持部材223の高さを調整し、第2の保持部201の下面を支持ウェハSの非接合面SNに接触させる。このとき、シール材231が弾性変形し、第1の保持部200と第2の保持部201が密着する。そして、加熱機構211、242により被処理ウェハWと支持ウェハSを所定の温度、例えば200℃で加熱しながら、加圧機構260により第2の保持部201を所定の圧力、例えば0.5MPaで下方に押圧する。そうすると、被処理ウェハWと支持ウェハSがより強固に接着され、接合される(図28の工程A11)。
被処理ウェハWと支持ウェハSが接合された重合ウェハTは、搬送部112の第1の搬送アーム170によって接合部110から受渡部110に搬送される。受渡部110に搬送された重合ウェハTは、ウェハ支持ピン121を介して受渡アーム120に受け渡され、さらに受渡アーム120からウェハ搬送装置61に受け渡される。
次に重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61によって第1の熱処理装置30に搬送される。このとき、第1の熱処理装置30の内部は、不活性ガスの雰囲気に維持されている。第1の熱処理装置30に搬送された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61から支持ピン80に受け渡される。続いて、支持ピン80に支持された重合ウェハTは、加熱機構90によってその外周部が例えば190℃で加熱される。すなわち、加熱機構90によって、重合ウェハTの外周部は中心部よりも高い温度で熱処理される(図28の工程A12)。かかる加熱によって、重合ウェハTの外周部における接着剤Gの接着力が向上し、当該重合ウェハTが適切に接合される。その後、温度調節機構(図示せず)によって、重合ウェハTは所定の温度、例えば常温(23℃)に温度調節される。
第1の熱処理装置30で熱処理された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61によってトランジション装置51に搬送され、その後搬入出ステーション2のウェハ搬送装置22によって所定のカセット載置板11のカセットCTに搬送される。こうして、一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理が終了する。
以上の実施の形態によれば、接合装置31で被処理ウェハWと支持ウェハSを接合した後、第1の熱処理装置30で重合ウェハTの外周部を中心部よりも高い温度で熱処理を行うことができる。この加熱機構90による熱処理によって、重合ウェハTの外周部における接着剤Gは適切な温度、例えば190℃で熱処理されるので、当該接着剤Gの接着力を適切に維持でき、被処理ウェハWと支持ウェハSを適切に接合することができる。このため、被処理ウェハWと支持ウェハSが接合された状態で所定の処理を適切に行うことができる。
一方、重合ウェハTの中心部では外周部より低い温度で熱処理されるので、重合ウェハTの中心部における接着剤Gの接着力は向上しない。そうすると、被処理ウェハWと支持ウェハSが接合された状態で所定の処理を行った後、被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する際に、当該剥離を容易に行うことができる。また、被処理ウェハWと支持ウェハSを容易にできるので、被処理ウェハW上に形成されたデバイスの損傷を抑制することができる。したがって、本実施の形態によれば、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合を適切に行うことができる。
また、接着剤Gの種類によっては重合ウェハTの熱処理を長時間必要とする場合があるが、第1の熱処理装置30は重合ウェハTを複数収容して熱処理することができる。このため、スループットを下げることなく、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理を行うことができる。
また、第1の熱処理装置30の内部は、不活性ガス雰囲気に維持可能であるので、重合ウェハT、すなわち被処理ウェハW上に酸化膜が形成されるのを抑制することができる。このため、重合ウェハTの熱処理を適切に行うことができる。
また、接合システム1は、第1の熱処理装置30、接合装置31〜33、塗布装置40、第2の熱処理装置41〜46を有しているので、被処理ウェハWを順次処理して当該被処理ウェハWに接着剤Gを塗布して所定の温度に加熱すると共に、接合装置31において支持ウェハSの表裏面を反転させる。その後、接合装置31において、接着剤Gが塗布されて所定の温度に加熱された被処理ウェハWと表裏面が反転された支持ウェハSとを接合する。このように本実施の形態によれば、被処理ウェハWと支持ウェハSを並行して処理することができる。また、接合装置31において被処理ウェハWと支持ウェハSを接合する間に、塗布装置40、第2の熱処理装置41及び別の接合装置32において、別の被処理ウェハWと支持ウェハSを処理することもできる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合を効率よく行うことができ、接合処理のスループットを向上させることができる。
また、以上の実施の形態の第1の熱処理装置30において、図33に示すように加熱機構90の内側に、重合ウェハTの中心部を所定の温度に調節する温度調節機構400を設けてもよい。温度調節機構400は、例えばペルチェ素子などの温度調節部材(図示せず)を内蔵している。また温度調節機構400の中央部付近には、支持ピン80を挿通させるための貫通孔401が厚み方向に貫通して形成されている。
かかる場合、第1の熱処理装置30において、加熱機構90によって重合ウェハTの外周部が所定の温度、例えば190℃で加熱されると共に、温度調節機構400によって重合ウェハTの中心部が所定の温度、例えば23℃に調節される。そうすると、重合ウェハTの外周部における接着剤Gの接着力を適切に向上させつつ、重合ウェハTの中心部における接着剤Gの接着力が向上するのをより確実に抑えることができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSを適切に接合して後続の処理を適切に行うことができ、さらに被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する際に、当該剥離をより容易に行うことができる。
ここで、上述したように重合ウェハTの外周部の加熱温度を190℃としたのは、この加熱によって重合ウェハTの中心部上に形成されたデバイスが損傷を被るのを抑制する目的である。この点、本実施の形態では、温度調節機構400によって重合ウェハTの中心部をデバイスが損傷を被らない温度に積極的に調節することができるので、デバイスが形成されていない重合ウェハTの外周部の加熱温度を190℃より高くすることもできる。かかる場合、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理のスループットをより向上させることができる。
以上の実施の形態の第1の熱処理装置30では、環状の加熱機構90を設けたり、加熱機構90の内側に温度調節機構400を設けたが、これら加熱機構540、温度調節機構400に代えて、図34に示すように重合ウェハTを載置して加熱する熱処理板410を設けてもよい。熱処理板410は、例えば支持部材81に支持され、支持ピン80を省略できる。
熱処理板410は、重合ウェハTの外周部を加熱する外周領域411と、外周領域411の内側に設けられ、重合基板Tの中心部を加熱する中心領域412とに区画されている。外周領域411と中心領域412には、それぞれヒータ(図示せず)が個別に内蔵され、外周領域411と中心領域412毎に加熱できる。
かかる場合、第1の熱処理装置30において、熱処理板410の外周領域411による重合ウェハTの外周部の加熱温度は、中心領域412による重合ウェハTの中心部の加熱温度よりも高くされる。そして、外周領域411によって重合ウェハTの外周部が所定の温度、例えば190℃で加熱されると共に、中心領域412によって重合ウェハTの中心部が190℃より低い温度で加熱される。そうすると、重合ウェハTの外周部における接着剤Gの接着力を適切に向上させつつ、重合ウェハTの中心部における接着剤Gの接着力が向上するのを抑えることができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSを適切に接合して後続の処理を適切に行うことができ、さらに被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する際に、当該剥離をより容易に行うことができる。
なお、以上の実施の形態の接合システム1では、接合装置31で接合された重合ウェハTを熱処理する第1の熱処理装置30を別途設けたが、被処理ウェハW又は支持ウェハSを熱処理する第2の熱処理装置43で重合ウェハWを熱処理してもよい。かかる場合、第2の熱処理装置43の熱板320に代えて、上記熱処理板410が用いられる。
以上の実施の形態では、接合装置31において、被処理ウェハWを下側に配置し、且つ支持ウェハSを上側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを接合していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。かかる場合、上述した工程A1〜A4を支持ウェハSに対して行い、当該支持ウェハSの接合面SJに接着剤Gを塗布する。また、上述した工程A5〜A7を被処理ウェハWに対して行い、当該被処理ウェハWの表裏面を反転させる。そして、上述した工程A8〜A11を行い、支持ウェハSと被処理ウェハWを接合する。但し、被処理ウェハW上の電子回路等を保護する観点から、被処理ウェハW上に接着剤Gを塗布するのが好ましい。
また、以上の実施の形態では、塗布装置40において被処理ウェハWと支持ウェハSのいずれか一方に接着剤Gを塗布していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの両方に接着剤Gを塗布してもよい。
以上の実施の形態では、工程A2において、接着剤Gが塗布された被処理ウェハWを所定の温度100℃〜300℃に加熱していたが、被処理ウェハWの熱処理を2段階で行ってもよい。例えば第2の熱処理装置43において、第1の熱処理温度、例えば100℃〜150℃に加熱した後、別の第2の熱処理装置43において第2の熱処理温度、例えば150℃〜300℃に加熱する。かかる場合、第2の熱処理装置43と別の第2の熱処理装置43における加熱機構自体の温度を一定にできる。したがって、当該加熱機構の温度調節をする必要がなく、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理のスループットをさらに向上させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。