JP5869416B2 - 卓上型ホーニング装置 - Google Patents
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Description
加えて、このような大型のホーニング装置では、簡易な研磨加工には寧ろ使い難い場合もある。殊に、小径の孔(例えば内径が3mm以下)をはじめ、止まり孔(底のある非貫通孔)や段付き孔(内径が段階的に細くなっている孔)などに対するホーニング作業には向かないという不都合もあった。
即ち、本発明に係る卓上型ホーニング装置では、工作機械のテーブルに設置するベース部と、前記ベース部に起立状態で設けられたメカ本体部と、前記メカ本体部に対して横軸まわりに回転自在に設けられ且つ前記メカ本体部から前方突出させた前端部に工具保持部が備えられた従スピンドルと、前記メカ本体部に対して前記従スピンドルとは別に配置されて横軸まわりに回転自在に設けられ且つ前記メカ本体部から後方突出させた後端部に前記工作機械からの駆動回転を受け入れる入力部が備えられた回転駆動軸と、を有し、前記メカ本体部には前記回転駆動軸の回転を前記従スピンドルに伝動する連動機構が内蔵され、更に前記メカ本体部には加工量調整機構が設けられており、前記加工量調整機構は、先端部に径方向すり割りが形成された円筒形の砥石ヘッドとこの砥石ヘッドの筒孔に挿入された突き棒とを有する外径可変式のホーニング工具が前記従スピンドルの工具保持部に保持されたときに、前記ホーニング工具の突き棒に軸方向の前進力及び後進力を付与することで前記砥石ヘッドの外径を可変にする構成とされ、前記従スピンドルには、工具保持部から後端部にわたり回転軸心に沿って貫通する貫通孔が設けられており、前記加工量調整機構は、前記従スピンドルの貫通孔内で前記突き棒を後方へ移動させる方向に付勢する退入付勢部と、前記従スピンドルの貫通孔から後方突出する前記突き棒の後端部を当て止めする軸当接部と、前記軸当接部を前後方向へ移動させる操作部とを有していることを特徴とする。
前記回転駆動軸には、手回しハンドルが着脱自在な状態で取付可能にされたものとするとよい。
図1乃至図7は、本発明に係る卓上型ホーニング装置1を示している。この卓上型ホーニング装置1は、図5に示すように、卓上ボール盤等の工作機械2を利用して使用することができる小型のものであって、使用場所に関しての自由度が極めて高く、不使用時には邪魔にならない場所へと移動又は収納できるものである。また、使用方法として、加工内容に応じた柔軟性(例えば、工作機械2に対する取付向きの変更や図7に示すような手動
式への変更等)などで優れた利点を有する。
ベース部5は、この卓上型ホーニング装置1を工作機械2のテーブル10に安定的に設置する際等に用いるものであって、底面はフラットとされ、メカ本体部6に設けられる従スピンドル7や回転駆動軸8の回転軸心をテーブル10の上面と平行させるための基準面となっている。
従スピンドル7は、メカ本体部6の上部寄りを前後方向に貫通するようにして保持されており、横軸(水平又は略水平な軸線)まわりに回転自在となっている。この従スピンドル7はメカ本体部6の前方へ突出するようになっており、メカ本体部6から前方側の配置となる前端部には工具保持部16が備えられている。
また、図2に示すように、この従スピンドル7には、工具保持部16から後端部にわたり回転軸心に沿って貫通する貫通孔21が設けられている。この貫通孔21は、前半部が内径の小さな径小孔21aとされ、後半部が内径の大きな径大孔2bとされた段付き孔になっている。
この回転駆動軸8はメカ本体部6の後方へ突出するようになっており、メカ本体部6から後方側の配置となる後端部(作業者から見てメカ本体部6の背側)には、工作機械2からの駆動回転を受け入れる入力部23が備えられている。本実施形態において、入力部23は、前から後方になるほど径小となる円錐台形に形成された金属製の摩擦ホイール24を採用してある。この摩擦ホイール24は、回転駆動軸8の後端部外周面との間で、スプラインやセレーション又はキー構造などの回り止め構造25を採用して、当該回転駆動軸8と一体回転するようにしてある。
体回転可能に設けた平歯車28,29を、直接的又は他の平歯車を介して間接的に噛合させた歯車列として構成されている。回転駆動軸8の平歯車28が大径で、従スピンドル7の歯車29が小径となっており、回転駆動軸8の回転に対して従スピンドル7が増速される。
この場合、図5に示すように、工作機械2のスピンドル2aに対し、上から下方になるほど径小となる円錐台形の摩擦ホイール26(以下、「駆動側ホイール26」と言う)が設けられた伝動軸27を保持させて、この駆動側ホイール26と、回転駆動軸8の摩擦ホイール24(以下、「従動側ホイール24」と言う)とを互いにテーパ面同士で接合させるようにする。
このブレーキ機構14は、図1、図3及び図4に示すように、従動側ホイール24を回転駆動軸8(回り止め構造25が設けられた軸部)に沿って移動させることで、駆動側ホイール26と接合・離反させる構成としてある。
そのため、ブレーキレバー42を非操作にしているときでは、付勢バネ39のバネ力によってブレーキレバー42がスライダー37を後方へ押し出し、駆動側ホイール26と従動側ホイール24との接合状態(回転駆動の伝動状態)を保持するようになる。
また本実施形態では、ブレーキレバー42の操作性を軽快なものとし、且つブレーキレバー42の操作によってブレーキ作用を生じさせたときに、このブレーキ作用を自己保持できるようにするために、ベース部5に対して操作ハンドル50を設けてある。
コマ部53にはベース部5に差し込むための回転支軸52が下方突出して設けられており、この回転支軸52を中心として回転自在に保持されている。また、このコマ部53は円柱形に形成されたものであって、円柱形の中心軸Q1は回転支軸52の軸心Q2に対して偏心するようになっている。
加工量調整機構13は、図2に示すように、従スピンドル7の工具保持部16に外径可変式のホーニング工具20を保持させたときに、このホーニング工具20の外径を拡大させたり縮小させたりできるようにしたものである。この加工量調整機構13は、退入付勢部62と軸当接部63と操作部64とを有している。
砥石ヘッド66の筒孔は、当該砥石ヘッド66を貫通したものとされており、先端部(前端部)が径小となる段付き孔となっている。砥石ヘッド66の先端部は、研磨しようとする孔の内径に対応した外径となるように段付き状に細く形成されており、その外周面にダイヤモンド粉末が付着された研磨面66aが形成されている。この研磨面66aよりも後側の太い部分は、工具保持部16の三爪構造17によるクランプに耐えられる外径としてある。
これに対し、突き棒67は、砥石ヘッド66の筒孔に対してその後方側から挿入した状態として、棒の先端部を砥石ヘッド66における筒孔内の径小部に対応させ、棒の後端側を砥石ヘッド66から後方へ突出させる長さに形成されている。突き棒67の先端部は、砥石ヘッド66の筒孔(段付き孔)に対し、径大部分と径小部分との境に生じた段差部に当接する環状面を含んだ先細りのテーパ形に形成されている(又は円錐台形の面取りを施しておいてもよい)。
本実施形態では、突き棒67の後端部に対し、貫通孔21の径大孔21b内に嵌るピストン部70を設けてあり、その後部側が径大孔21b(従スピンドル7)から後方、即ち、メカ本体部6の後面から突き出るようにしてある。また退入付勢部62には貫通孔21の径大孔21b内に収納可能な圧縮コイルバネを用いてある。
加工量調整機構13の軸当接部63は、従スピンドル7の貫通孔21から後方突出するホーニング工具20の後端部(突き棒67のピストン部70)を当て止めするためのものであり、また操作部64は、この軸当接部63を退入付勢部62の付勢力に抗しながら前方へ移動させたり、反対に退入付勢部62の付勢力を利用しつつ軸当接部63の後方移動を許容させたりするためのものである。換言すれば、操作部64の操作で軸当接部63を介して突き棒67のピストン部70に前進駆動を付与したり又はこの後進駆動を付与したりできるようになっている。
軸当接部63の前端部は、ホーニング工具20の後端部(突き棒67のピストン部70)に点接触となるように半球状又は針尖端状に形成してある。そのため、従スピンドル7の回転に伴ってこれと一体的にホーニング工具20が回転するに際して、突き棒67の後端部(ピストン部70)に対する摩擦抵抗を可及的に小さく抑えられるようにしてある。また、軸当接部63の突出向きが従スピンドル7の軸心方向と不一致となる場合(多少の交差角を生じたとき)でも、軸当接部63によるホーニング工具20への押圧力が正しく伝わるようにしている。
キャッチブラケット75を前後移動させるための構造は、キャッチブラケット75の支軸77を前方へ延長させることによってメカ本体部6内を貫通させ、メカ本体部6の前面側へ突き出させ、更に、この突き出た部分に雌ねじ78を設けて、この雌ねじ78に操作ナット79を螺合させた構造としてある。すなわち、この操作ナット79を回転することで雌ねじ78を前後方向へ移動させることができるので、これらによって操作部64が構成されるものである。
用するには、まず、メカ本体部6の前方へ突出する従スピンドル7の工具保持部16に対して、外径可変式のホーニング工具20を保持させる。
ホーニング工具20の保持は、砥石ヘッド66をドリルチャックの三爪構造17でクランプし、退入付勢部62を外嵌させた突き棒67を、メカ本体部6の後側から従スピンドル7の貫通孔21内へと差し込むことで行う。このとき、突き棒67のピストン部70をメカ本体部6の後方へ突出させた状態にする。
そして、工作機械2のテーブル10にベース部5を設置する。このとき、駆動側ホイール26を備えた伝動軸27を工作機械2のスピンドル2aに装着すると共に、この駆動側ホイール26と、メカ本体部6の後部で突出している回転駆動軸8の入力部23(従動側ホイール24)とをそれらのテーパ面同士が接合するように、テーブル10の高さ調節等を行う。
回転駆動軸8の入力部23は、メカ本体部6の後方側、即ち、作業者から見てメカ本体部6の背側に配置されたものであるので、駆動側ホイール26から従動側ホイール24への摩擦伝動は、作業者から見てメカ本体部6に遮られる配置となる。故に、工作機械2のスピンドル2aを含め、作業者に安全な配置であると言える。
そこで、工作物に設けられた孔(図示略)をホーニング工具20の砥石ヘッド66へ突き刺すようにして、孔内周面のホーニング加工を行う。このホーニング加工と並行しつつ、暫時的に工作物を取り出して孔内径を測定する。この測定で研磨不足であること等が判明したときには、メカ本体部6の前面側で加工量調整機構13の操作部64(操作ナット79)を回転操作して、軸当接部63を前方移動させ、ホーニング工具20の突き棒67を前進させる。
ブレーキ機構14が装備されていることから、必要に応じて操作ハンドル50のハンドルレバー54を回転操作し、回転駆動軸8の回転、即ち、従スピンドル7の工具保持部16に保持されたホーニング工具20の回転を停止させることができる。従って、工作物の孔を砥石ヘッド66に対して突き刺すときや引き抜くときなどに、ホーニング工具20の回転を停止させる、といったことも必要に応じて簡単に行えるものである。
ところで、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
ホーニング工具20において、砥石ヘッド66はその外周面にダイヤモンド粉末が付着されたものとすることが限定されるものではなく、無機質の砥材が付着されたものとしたり、金属肌に直接的に粗面状の砥面を形成させたりしたものでもよい。また、ダイヤモンド粉末を含むワックスやパウダーを砥石ヘッド66の外周面に塗布しつつホーニング作業を行うような使い方も可能であるため、この場合には砥石ヘッド66の外周面を平滑面としておくことも可能である。
回転駆動軸8の入力部23には、例えばユニバーサルジョイントとトルクリミッターとを連結した構成の伝動軸等を用いることが可能であり、この場合には、工作機械2に代えて電機ドリルや電動ドライバーなどを駆動源として用いることが可能となる。
2 工作機械
2a スピンドル
2b 太孔
5 ベース部
6 メカ本体部
7 従スピンドル
8 回転駆動軸
42a U字開口
10 テーブル
12 連動機構
13 加工量調整機構
14 ブレーキ機構
16 工具保持部
17 三爪構造
20 ホーニング工具
21 貫通孔
21a 径小孔
21b 径大孔
23 入力部
24 摩擦ホイール(従動側ホイール)
25 回り止め構造
26 摩擦ホイール(駆動側ホイール)
27 伝動軸
28,29 平歯車
35 スリーブ部
36 ブレーキ板
37 スライダー
38 バネホール
39 付勢バネ
41 上部ヒンジ
42 ブレーキレバー
42b 段差部
50 操作ハンドル
52 回転支軸
53 コマ部
54 ハンドルレバー
62 退入付勢部
63 軸当接部
64 操作部
66 砥石ヘッド
66a 研磨面
67 突き棒
68 すり割り
70 ピストン部
72 横バー
73 ヒンジブラケット
74 ヒンジ軸
75 キャッチブラケット
76 抜止ボルト
77 支軸
79 操作ナット
80 手回しハンドル
Claims (3)
- 工作機械のテーブルに設置するベース部と、
前記ベース部に起立状態で設けられたメカ本体部と、
前記メカ本体部に対して横軸まわりに回転自在に設けられ且つ前記メカ本体部から前方突出させた前端部に工具保持部が備えられた従スピンドルと、
前記メカ本体部に対して前記従スピンドルとは別に配置されて横軸まわりに回転自在に設けられ且つ前記メカ本体部から後方突出させた後端部に前記工作機械からの駆動回転を受け入れる入力部が備えられた回転駆動軸と、を有し、
前記メカ本体部には前記回転駆動軸の回転を前記従スピンドルに伝動する連動機構が内蔵され、
更に前記メカ本体部には加工量調整機構が設けられており、
前記加工量調整機構は、先端部に径方向すり割りが形成された円筒形の砥石ヘッドとこの砥石ヘッドの筒孔に挿入された突き棒とを有する外径可変式のホーニング工具が前記従スピンドルの工具保持部に保持されたときに、前記ホーニング工具の突き棒に軸方向の前進力及び後進力を付与することで前記砥石ヘッドの外径を可変にする構成とされ、
前記従スピンドルには、工具保持部から後端部にわたり回転軸心に沿って貫通する貫通孔が設けられており、
前記加工量調整機構は、
前記従スピンドルの貫通孔内で前記突き棒を後方へ移動させる方向に付勢する退入付勢部と、
前記従スピンドルの貫通孔から後方突出する前記突き棒の後端部を当て止めする軸当接部と、
前記軸当接部を前後方向へ移動させる操作部とを有している
ことを特徴とする卓上型ホーニング装置。 - 前記加工量調整機構の操作部は、前記メカ本体部の前部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の卓上型ホーニング装置。
- 前記回転駆動軸には、手回しハンドルが着脱自在な状態で取付可能となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の卓上型ホーニング装置。
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