JP5217031B2 - ドリルチャック及びドリル研磨機 - Google Patents
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該ドリルチャックは、挟持するドリルの先端近傍部分を前記チャック本体の下端から所定長さに突出させる調整(長さ調整)と、ドリル研磨機の保持部に対する180°の向きの位置決めが可能なドリル研磨機対応型であり、
前記各傾斜溝は上方に向かうに従って深く形成され、
前記ドリルを挟持する前記各爪は略直角三角形板で形成され、該各爪には前記各傾斜溝の傾斜角と並行な長孔が夫々設けられ、各長孔内に前記傾斜溝を横切る方向に固定されたガイドピンが夫々位置しているところに特徴がある。
このドリルチャックでドリルを挟持させる場合には、チャック本体の操作部を片手で持ち、締付け雄ねじの操作部を他方の片手で持ち、チャック本体と締付け雄ねじとを相反する一方の回転方向に操作する。このようにすると、各爪が前進を伴った閉じる方向に移動して、各爪で囲まれた内側空間内に挿入したドリルを強く挟持させることができる。この操作において、各爪は、上方に向かうに従って深くなっている傾斜溝内にその多くの部分が位置しているため、安定した姿勢で、傾斜溝の両壁と溝底に沿う方向に円滑にスライドする。とくに、傾斜溝を横切る方向に固定されているガイドピンが前記長孔内に突入して、爪の移動を各長孔の長さ及び傾斜方向の範囲内に規制させているため、爪は上記方向(閉じる方向)及び開く方向に正確に案内される。
テーブル上に安定姿勢で載置可能な形状を有するハウジング内に、電動モータの駆動又は手動によるハンドル操作で回転する砥石が装備され、該ハウジングの上部に前記ドリルを挟持したドリルチャックの前部を突入させる平面視円形の凹段部が設けられ、該凹段部の中央に前記ドリルの径よりも大きな開孔部が設けられており、前記砥石の上面に形成された内向きの傘状リング面を有する砥石面が前記ドリルの先端部の一方の逃げ面を研磨する向きに位置しており、前記凹段部又は前記上板面に前記ドリルチャックを所定の回転方向の向きで係止させる位置決め手段が設けられているところに特徴がある。
また、前記各爪を略直角三角形板とした結果、従来の爪よりも製造コストを抑えることが出来るようになった。
また、前記各傾斜溝を上方に向かうに従って深くなる形状にした結果、板状の爪の両側を傾斜溝の両壁面で支持させて、各爪の姿勢を安定させ、移動も円滑にさせることが出来るようになった。
また、前記各爪の途中面に前記各傾斜溝の傾斜角と並行な長孔を夫々設け、各長孔内に前記傾斜溝を横切る方向に固定したガイドピンを夫々突入させた結果、前記各爪の進退移動を伴う各爪相互の近接離反方向の移動が、前記各長孔の長さの範囲内で、前記傾斜方向に円滑に行なわれるようになった。
請求項1に係る発明のドリルチャックは、ドリル研磨機でドリルの先端部を研磨する際のドリル挟持用とすることができ、このドリル挟持用とする際には、前記チャック本体の下端から該ドリルの先端近傍部分を所定長さに突出させる調整(長さ調整)と、ドリル研磨機の保持部に対して該ドリルチャックの向きの位置決めができるため、該ドリルチャックで挟持したドリルの2箇所の逃げ面を、ドリル研磨機内に設けられている砥石の研磨面に位置合わせできるようになった。
図1及び図2に示すドリルチャック1は、チャック本体2と、略筒形状を有する締付け雄ねじ3と、4個の爪4,4・・と、4本のガイドピン5,5・・と、平面視ドーナツ形状を有する引上げ板材6と、複数本の連結ピン7,7・・とが組み付けられた作業工具であり、後述するドリル研磨機でドリルの先端部を研磨する際にドリル挟持して研磨に必要な安定した姿勢と向きを確保するために用いられる。連結ピン7,7・・の替わりに埋込ねじを用いることも可能である。このドリルチャック1には引上げ板材6が用いられているが、締付け雄ねじ3の先端に引上げ板材6に相当するリング板面を一体形成して、引上げ板材6と連結ピン7,7・・を不要にしてもよい。
図1〜図3において、チャック本体2は、大径筒部2aの外周面に滑り止め用の凸状2bが等間隔毎に形成された操作部2Aと、大径筒部2aよりも若干小径を有する中段部2Bと、中段部2Bの下面から小径の筒部2cの外周面を周方向に4等分する箇所の上端から下端に向かうに従って横方向の突出高さが低くなる三角翼形状の傾斜壁2d,2d・・が振り分けられて設けられた下部2cとが一体形成された外観形状を有する。傾斜壁2d,2d・・は後述する傾斜溝を設けるためにある。
図1,図2,図4の(a)〜(c)に示す締付け雄ねじ3は、大径筒部3aの外周面に滑り止め用の凸状3bが等間隔毎に設けられた操作部3Aの下方に、大径筒部3aよりも若干小径を有する筒部3cの外周壁面にねじ溝3dが形成されたねじ部3Bが一体形成された段付き筒形状を有する。ねじ部3Bは、チャック本体2の上部2A内に螺入する径があり、図2,図4の(a)〜(c)に示すように、ねじ部3Bの下端部には内向きの鍔面3eが形成されている。鍔面3eの上面の周回方向を4等分する箇所には、高さが低いボス3f,3f・・が上方に向けて突出形成されている。ボス3f,3f・・の上端から鍔面3eの下面に向けた箇所には、引上げ板材6を装着するためのピン孔3g,3g・・開設されている。
図5の(a)によりドリルチャック1の組付け構造を説明する。
ドリルチャック1の内側には、切欠き部4c,4c・・を引上げ板材6内に係合させた爪4,4・・が、その多くの部分を傾斜溝2f,2f・・内に突入させた状態で配置されている。引上げ板材6は、チャック本体2の上部2内に螺入した締付け雄ねじ3の内向け鍔面の下面に連結ピン7,7・・で連結されている。各爪4,4・・の傾斜縁部4a,4a・・は、傾斜溝2f,2f・・の底に接しており、この状態でチャック本体1に埋め込んだガイドピン5,5・・を長孔4b,4b・内に位置させて、各爪4,4・・の移動を長孔4b,4b・・の範囲内に規制させている。締付け雄ねじ3のねじ部3Bの少なくとも先端部(下端部)は、常にチャック本体2の上部内に螺入した状態にあり、図5の(a)に示すように締付け雄ねじ3と爪4,4・・を最上方(最後方)まで移動させると、長孔4b,4b・・の下端縁がガイドピン5,5・・に当接して、締め付け雄ねじ3の更なる上方移動は行なえなくなる。このため、締め付け雄ねじ3はチャック本体2から抜け外れることはない。
後述するドリル研磨機でドリル10の先端部10b,10dを研磨する場合には、図6の(a)に示すようにドリル10をドリルチャック1で挟持させた状態で行なう。ドリルチャック1でドリル10を挟持させる操作では、先ず、締付け雄ねじ3を操作して各対向する爪4,4・・の間隔を、挟持しようとするドリル10の直径よりも広げる。そして、爪4,4・・の間の空間内にドリル10を挿入する。続いて、チャック本体2の下端からドリル10の先端近傍部分を所定長さLに突出させる調整(長さ調整)と、ドリル10の先端部の逃げ面10b,10dの軸回転方向の向きをドリルチャック1に対して一定の向きにさせる調整(向きの調整)とを行なう。これらの調整では、専用の治具を用いることが好ましい。そして、最後に、各対向する爪4,4・・の間隔を狭くさせる方向に、締付け雄ねじ3を締付け操作して、各爪4,4・・でドリル10のボディー10aを強く挟持させる。
ドリル10の先端の研磨は、図8の(a)(b)に示す2箇所の逃げ面10b,逃げ面10dについて行なわれる。各逃げ面10b,10dを研磨するとその縁の切り刃10c,10eが鋭くなり、切れ味が回復する。2面ある逃げ面10b,10dと、2箇所の切れ刃10c,10eは、図8(a)に示す先端角βがある。このためドリル10の研磨作業では、先ず、一方の逃げ面10bを研磨し、この研磨を終えた後、ドリルチャック1の向きを、水平に180°回転させて、他方の逃げ面10dを研磨する。ドリル10先端の逃げ面10b,10dの向きをドリルチャック1に対して一定の向きにさせる理由は、逃げ面を10b(10d)を個別に砥石面に向けるためである。
図9に示す実施形態のドリル研磨機20は、テーブル面などの上に安定した姿勢で設置可能な形状を有するハウジング21内に、円板形の砥石30を装着した電動モータMが搭載されている。図9及び図10の(a)に示すように、ハウジング21の上部にはチャック本体2の前部(下部)2Cを上方から突入させて保持する平面視ドーナツ形状のテーパ部22が設けられており、テーパ部22の中央にはチャック本体2の前端を突入させる平面視円形の開口部23が設けられている。
2 チャック本体
2A 操作部
2B 中段部
2C 下部
2L,2R 凸部
2c 小径の筒部
2d 傾斜壁
2f 傾斜溝
3 締付け雄ねじ
3A 操作部
3B ねじ部
4 爪
5 ガイドピン
6 引上げ板材
7 連結ピン
10 ドリル
10b 逃げ面
10c 切れ刃
10d 逃げ面
10e 切れ刃
20 ドリル研磨機
22 テーパ部
25A,25B 凹部(位置決め手段)
30 円板形砥石
30a 砥石面
Claims (2)
- 筒内の後部壁面に雌ねじ溝が形成され、該筒内の前部壁面に3又は4条の傾斜溝が等間隔毎に振り分けられて形成されたチャック本体と、該各傾斜溝によって夫々支持案内される3又は4枚の爪と、前部の外周壁面に前記雌ねじ溝と螺合する雄ねじ溝が形成され、後部に回転操作部が形成された締付け雄ねじとを有し、前記チャック本体と前記締付け雄ねじとを相反する回転方向に操作させると前記締付け雄ねじが前記チャック本体に対して進退移動して、前記各爪が前記各傾斜溝に沿う方向の進退移動を伴って近接離反方向に移動するドリルチャックであって、
該ドリルチャックは、挟持するドリルの先端近傍部分を前記チャック本体の下端から所定長さに突出させる調整(長さ調整)と、ドリル研磨機の保持部に対する180°の向きの位置決めが可能なドリル研磨機対応型であり、
前記各傾斜溝は上方に向かうに従って深く形成され、
前記ドリルを挟持する前記各爪は略直角三角形板で形成され、該各爪には前記各傾斜溝の傾斜角と並行な長孔が夫々設けられ、各長孔内に前記傾斜溝を横切る方向に固定されたガイドピンが夫々位置していることを特徴とするドリルチャック。 - 請求項1に記載のドリルチャックに挟持されたドリルの先端部を研磨する電動式のドリル研磨機であって、
テーブル上に安定姿勢で載置可能な形状を有するハウジング内に、電動モータの駆動で回転する砥石が装備され、該ハウジングの上部に前記ドリルを挟持したドリルチャックの前部を突入させる平面視円形の凹段部が設けられ、該凹段部の中央に前記ドリルチャックの径よりも大きな開孔部が設けられており、前記砥石の上面に形成された内向きの傘状リング面を有する砥石面が前記ドリルの先端部の一方の逃げ面を研磨する向きに位置しており、前記凹段部の上板面に前記ドリルチャックを所定の位置で係止させる位置決め手段が設けられていることを特徴とするドリル研磨機。
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