以下、紙幣入出金機の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は例示である。図1は、紙幣入出金機(以下、単に入出金機という)1の外観を示している。この入出金機1は、例えば店舗のバックヤードや銀行のテラーカウンターに設置されて使用される。
この入出金機1は、詳しくは後述するが、投入口211に投入された紙幣を収納部3に収納する入金処理、及び、収納部3に収納している紙幣を第1又は第2出金口231、232に払い出す出金処理を少なくとも実行する。この入出金機1は、いわゆる循環式の入出金機であり、出金処理時に払い出す紙幣には、入金処理時に収納部3に収納した紙幣が含まれる。
入出金機1は、図1及び2に示すように、上部の処理部11と、中間部の第1金庫部13と、下部の第2金庫部14とに大別される。処理部11を構成する筐体111内には、投入口211を有する入金部21と、第1及び第2出金口231、232を有する出金部23と、紙幣の識別を行う識別部25と、一時的に紙幣を収納する出金リジェクト一時保留部(以下、単に一時保留部という場合がある)51と、入金部21、出金部23、識別部25及び一時保留部51を相互に連結するループ搬送路411を含む搬送部41と、が配設されている。一方、処理部11を構成する筐体111の下側に配置される筐体131は、第1及び第2金庫部13、14を構成する筐体であり、その内部に格納している収納部3等を、所定以上のセキュリティレベルで防護するように構成された防護筐体131である。
第1金庫部13には、複数の(図例では4個の)スタック式の収納カセット31を含んで構成された収納部3と、同じくスタック式の精査カセット33とが配設され、第2金庫部14には、回収カセット53が配設されている。防護筐体131の前面には、第1金庫部13を開閉するための第1開閉扉133と、第2金庫部14を開閉するための第2開閉扉135とがそれぞれ個別に設けられており、第1金庫部13のアクセス権限と、第2金庫部14のアクセス権限とは、互いに異なっている。
入金部21の投入口211は、前述したように、例えば入金処理の際に入金する紙幣を投入するための口である。投入口211は、処理部側筐体111の上面において上向きに開口していて、複数枚の紙幣を一度に受け入れ可能に構成されている。入金部21はまた、投入口211に投入された複数枚の紙幣を、一枚ずつ、ループ搬送路411に繰り出す繰り出し機構を備えている。
出金部23の第1及び第2出金口231、232はそれぞれ、前述したように、例えば出金処理の際に紙幣を払い出すための口である。これらの出金口231、232は、投入口211よりも装置手前側(図2の紙面右側)の、処理部側筐体111における上面から前面にかけての位置で前後に並んでかつ、斜め上方に向かって開口している。これら第1及び第2出金口231、232は、搬送されてきた紙幣を集積し、複数枚の紙幣を一度に保持可能に構成されている。
識別部25は、ループ搬送路411上に配設されて、そのループ搬送路411に沿って搬送される紙幣の一枚一枚について、その真偽、金種及び正損を識別するように構成されている。具体的には、画像センサ、赤外線センサ、紫外線センサ、及び磁気センサ等の、紙幣の特徴を取得するセンサを搭載し、搬送される紙幣の特徴が、記憶している各種紙幣の特徴と一致するかを判定し、金種、真偽、及び正損を識別する。識別部25はまた、紙幣に印字されている記番号を光学的に読み取る機能を有している。ここで、記番号の読み取りは、紙幣における所定の位置に印字されている記番号の画像を取得し、その取得した画像に基づいて、記番号の各桁の文字や数字を認識することである。尚、識別部25が記番号の読み取りを行うのではなく、識別部25とは別の読取部を、例えばループ搬送路411上に配置してもよい。また、識別部25におけるセンサ以外の機能を、後で述べる制御部513が行ってもよい。
搬送部41は、処理部側筐体111内においてエンドレスに設けられたループ搬送路411を備えている。紙幣は、このループ搬送路411に沿って図2における時計回り方向及び反時計回り方向に搬送される。このループ搬送路411は、図示は省略するが、多数のローラ、複数のベルト、これらを駆動するモータ、搬送される紙幣を検出するセンサ及び複数のガイドの組み合わせによって構成されている。ループ搬送路411は、その搬送路に沿って、紙幣と紙幣との間に所定間隔を隔てた状態で、紙幣を一枚ずつ短手搬送する。
ループ搬送路411と投入口211との間は、投入路413によって互いに接続されており、投入口211に投入された紙幣は、この投入路413を通ってループ搬送路411まで搬送される。
ループ搬送路411には、4つの収納カセット31のそれぞれに接続される分岐路417が、図示省略の分岐機構を介して接続されており、各分岐機構の動作制御によって、ループ搬送路411上を搬送されている紙幣が選択的に、分岐路417を通じて4つの収納カセット31のいずれかに搬送されてそこに収納されると共に、いずれかの収納カセット31から繰り出された紙幣が、分岐路417を介してループ搬送路411に搬送されるようになる。
ループ搬送路411にはまた、第1及び第2払出路415、416が、紙幣の搬送方向を切り替える分岐機構(図示省略)を介してそれぞれ接続されている。第1払出路415の先端は、第1出金口231に接続され、第2払出路416の先端は、第2出金口232に接続されている。各分岐機構は、互いに異なる3方向に延びる搬送路の集合位置において、所定方向から搬送されてくる紙幣を、それとは別の2方向それぞれに選択的に搬送させるように動作する。分岐機構の具体的な構成は、国際公開第2009/034758号に例示されている。この構成によって、ループ搬送路411上を搬送されている紙幣は、分岐機構の動作制御によって選択的に、第1又は第2払出路415、416を通って第1又は第2出金口231、232に搬送される。
ループ搬送路411にはさらに、精査カセット33に接続される第1接続路418と、回収カセット53に接続される第2接続路419とが、それぞれ図示省略の分岐機構を介して接続されている。この内、第2接続路419は、第1金庫部13を上下に貫通するように延びて配設されており、その途中に分岐路4110が設けられている。この分岐路4110は、後述する第4収納カセット下部31−4Lに接続されている。
これら第1接続路418及び第2接続路419の接続位置に設けられた各分岐機構もまた、互いに異なる3方向に延びる搬送路の集合位置において、所定方向から搬送されてくる紙幣を、それとは別の2方向それぞれに選択的に搬送させるように動作する。この構成によって、ループ搬送路411上を時計回り方向又は反時計回りに搬送されている紙幣は、分岐機構の動作制御によって選択的に、第1接続路418を通って精査カセット33に搬送されるか、第2接続路419を通って、第4収納カセット下部31−4L又は回収カセット53に搬送される。また、精査カセット33又は第4収納カセット下部31−4Lから繰り出されかつ、第1又は第2接続路418、419を通って搬送されてきた紙幣が、ループ搬送路411上で時計回り又は反時計回り方向に搬送される。
収納部3は、前述したように、図例では第1−第4のスタック式の収納カセット31を含んで構成されている。ここで、以下の説明において、各々の収納カセットを総称する場合には、符号「31」を付し、第1、第2、第3…の、各々の収納カセットを区別する場合には、符号「31−1、31−2、31−3…」を付す。尚、収納カセット31の数は特に限定されず、1個以上で、適宜の数を設定すればよい。4個の収納カセット31は、この例では、装置の奥行き方向(図2の紙面左右方向)に並んで配設されている。詳細な図示は省略するが、収納部3は、第1金庫部13の開閉扉133を開けた状態で、装置の手前に引き出し可能であり、収納部3を引き出した状態で、各収納カセット31はそれぞれ、装置に対して着脱することが可能に構成されている。
第1−第3の収納カセット31−1、31−2、31−3は、互いに同じ構成であり、上下方向に細長い形状を有している。各収納カセット31の上面には、紙幣の通過が可能な出入口が、カセットの内外を連通するように形成されており、その出入口には、前述した分岐路417が接続されている。各収納カセット31の内部には、そこに集積される紙幣の量に応じて昇降する集積台311が配設されている。こうして、第1−第3の収納カセット31−1、31−2、31−3は、ループ搬送路411から、各カセットの出入口を通ってその内部に送り込まれた紙幣を、集積台311の上で、下から上の順に積み重ねて収納するように構成されていると共に、集積台311上に積み重ねられた紙幣を上から下の順に一枚ずつ出入口を通じてカセット外に、つまりループ搬送路411に繰り出すことが可能に構成されている。
これに対し、第4の収納カセット31−4は、その内部に仕切りが設けられており、これによって第4の収納カセット31−4は、上側のカセット上部(第4収納カセット上部31−4U)と、下側のカセット下部(第4収納カセット下部31−4L)に分割されている。第4収納カセット上部31−4Uの出入口は、その上面に形成されている一方、第4収納カセット下部31−4Lの出入口は、その側面に形成されている。収納カセット上部31−4Uの出入口には、ループ搬送路411から分岐した分岐路417が接続され、収納カセット下部31−4Lの出入口には、第2接続路419から分岐した分岐路4110が接続されている。これにより、第4収納カセット上部31−4Uは、ループ搬送路411から出入口を通ってその内部に送り込まれた紙幣を、集積台311の上で、下から上の順に積み重ねて収納するように構成されていると共に、集積台311上に積み重ねられた紙幣を上から下の順に一枚ずつ出入口を通じてループ搬送路411に繰り出すことが可能に構成されている。これに対し、第4収納カセット下部31−4Lは、ループ搬送路411から、第2接続路419及び出入口を通ってその内部に送り込まれた紙幣を、集積台311の上で、下から上の順に積み重ねて収納するように構成されていると共に、集積台311上に積み重ねられた紙幣を上から下の順に一枚ずつ出入口を通じて、第2接続路419及びループ搬送路411に繰り出すことが可能に構成されている。
精査カセット33は、詳しくは後述するが、各収納カセット31の精査処理に利用されるカセットであり、各収納カセット31に収納している紙幣を全て収納することが可能となるように、収納カセット31と同じかそれよりも大きい容量を有している。精査カセット33は、精査処理時以外の通常時は、空である。精査カセット33は、第1金庫部13内において、第2接続路419を挟んだ第4収納カセット31−4とは反対側の位置において、筐体131に対し着脱可能に取り付けられている。この精査カセット33は、収納カセット31と同様にスタック式であり、収納カセット31と同様に、その上面に出入口が形成されていると共に、その内部には集積台331が設けられている。精査カセット33の出入口は、前述の通り、第1接続路418に接続されており、精査カセット33は、ループ搬送路411から出入口を通ってカセット内に送り込まれた紙幣を、集積台331の上に、下から上の順に積み重ねて収納すると共に、集積台331上に積み重ねられている紙幣を上から下の順に一枚ずつ出入口を通じてループ搬送路411に繰り出すことが可能に構成されている。尚、この精査カセット33を、精査処理用の精査カセットとして構成する代わりに、収納カセット31の一つ(第5の収納カセット)として構成してもよい。
出金リジェクト一時保留部51は、第2出金口231に接続される第2払出路416の途中からさらに分岐した分岐路に接続されている。この一時保留部51は、詳しくは後述するが、例えば出金処理時に発生したリジェクト紙幣を一時的に収納する収納部である。一時保留部51は、スタック式の収納カセット31等とは異なり、巻き取り方式に構成されている。巻き取り方式の一時保留部は、概略矩形箱状の筐体内に、紙幣をガイドする一枚のテープ、ガイド部材、及び、紙幣と共にテープを巻き取るリールを備えて構成されるか(例えば特開2000−123219号公報を参照)又は、本件出願人が先に出願したPCT/JP2009/066729に例示されるように、筐体内に、紙幣を挟む2枚のテープ、及び、紙幣を挟み込んだ2枚のテープを巻き取るリールを備えて構成される。いずれの構成においても、巻き取り方式の一時保留部は、紙幣を一枚ずつ巻き取って収納すると共に、その収納した順番とは逆順で、紙幣を一枚ずつ繰り出す、いわゆる先入れ後出しとなるように紙幣を収納する。
回収カセット53は、第2金庫部14内に着脱可能に取り付けられており、前述したように、第2接続路419を介してループ搬送路411に接続されている。回収カセット53はスタック式の収納部であるが、前述した収納カセット31や精査カセット33とは異なり、装置の奥行き方向に細長い形状を有しており、図示は省略するが、その内部に奥行き方向に移動する札押さえを備えている。回収カセット53は、その札押さえが紙幣の収納量に応じて移動をしながら、立てた姿勢の紙幣を奥行き方向に並べるように収納するよう構成されている。
回収カセット53はまた、収納カセット31や精査カセット33とは異なり、収納している紙幣を繰り出し不可に構成されており、回収カセット53には、例えば入金処理時に投入口211に投入された紙幣の内、収納部3に収納しきれなかったオーバーフロー紙幣が収納される。また、出金処理時等に識別不可であったリジェクト紙幣が、この回収カセット53に収納される場合がある。
図3は、入出金機1の動作制御に係る構成を示している。入出金機1は、例えば周知のマイクロコンピュータをベースとした制御部513を備えている。制御部513には、前述した入金部21、出金部23、第1−第4収納カセット31を含む収納部3、精査カセット33、出金リジェクト一時保留部51、回収カセット53、及び搬送部41が、信号の送受信可能に接続されている。これらの各部21,23,3,33,41,51,53は、例えば図2に示す、収納カセット31、精査カセット33及び回収カセット53の出入口に設けられかつ、紙幣の通過を検知する通過センサ312のような、搬送中の紙幣を検知するといった機能を有する各種のセンサを含んでおり、各種センサの検知信号は制御部513に入力される。制御部513は、入力された検知信号等に基づいて制御信号を出力し、各部21,23,3,33,41,51,53は、その制御信号に従って動作をする。
制御部513にはまた、識別部25が接続されており、識別部25は、識別結果及び記番号の読み取り結果を制御部513に提供する。さらに、図1等では図示を省略するが、テラー等の、この入出金機1を操作するオペレータに対するヒューマンインターフェース部分としての操作部55、入出金機1が、例えばLANやシリアルバスを通じて、図示を省略する上位端末及びその他の機器との間で信号の送受信を行うための通信部57、及び、各種の情報を記憶するための、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の汎用のストレージデバイスにより構成される記憶部59がそれぞれ、入出金機1に接続されている。
記憶部59は、入出金機1が収納している紙幣の金種別枚数又は金額である在高を少なくとも記憶する。また、記憶部59は、収納カセット31毎の在高も記憶する。ここで、図4(a)は、この入出金機1に設定されているカウンタの一覧を示している。各カセットへの紙幣の収納時及び各カセットからの紙幣の繰出時に、リアルタイムに紙幣のカウントを行う現物在高として、第1−第4の収納カセット31、精査カセット33及び回収カセット53毎にカウンタが設定されている。各カウンタには、128金種が設定されかつ、1金種につき2バイトのサイズが割り当てられている。また、入金処理や出金処理が完了したときにカウントを行う機内在高として、128金種でかつ、1金種につき2バイトのサイズが割り当てられたカウンタが設定されている。これらのカウンタは、通過センサ312の検知結果に基づいて増減する。このカウンタは、後述するように記番号管理モード及び枚数管理モードの双方のモードにおいて利用される。
また、詳しくは後述するが、この入出金機1では、紙幣の管理を記番号を利用して行うように構成されており、記憶部59は、各部に収納している紙幣の記番号を、その収納順に並べると共に、各々の記番号を、その収納枚数に対応する通し番号を紐付けした記番号リストを記憶している。図4(b)は、この記番号リストの一覧を示しており、第1−第4収納カセット31及び精査カセット33については、それぞれ3000枚分で、紙幣1枚につき16バイトのサイズが割り当てられている。一方、回収カセット53については、5000枚分で、紙幣1枚につき16バイトのサイズが割り当てられ、出金部23については、220枚分で、紙幣1枚につき16バイトのサイズが割り当てられ、出金リジェクト一時保留部51については、520枚分で、紙幣1枚につき16バイトのサイズが割り当てられている。記番号リストは、後述するように記番号管理モードにおいて利用される。
また、入出金機1には、各種の情報を表示するための、例えばフラットパネルディスプレイからなる表示部511がオプション機器として装着可能に構成されており、この表示部511もまた、制御部513に接続される。表示部511をタッチパネル式のディスプレイとして、表示部511と操作部55とを一体にしてもよい。
制御部513は、通信部57を通じて受けた上位端末からの指令、及び/又は、操作部55を通じて受けた各種の指令に応じて、各部21,23,25,3,33,41,51,53,55,57,59,511の動作を制御する。このことにより、入出金機1は、以下に説明する入金処理、出金処理、回収処理及び精査処理を含む、各種処理を行う。入出金機1において実行した各種の処理の履歴は、記憶部59にログとして記憶される。
(入金処理)
入金処理は、入出金機1に紙幣を入金(収納)する処理であり、投入口211に投入された紙幣は、識別部25による識別結果と、予め設定された収納割当とに従って、いずれかの収納カセット31に収納される。より詳細に、入出金機1は、入金処理の際には、次のように動作する。すなわち、入金する紙幣を投入口211に投入した状態で、例えば上位端末及び/又は操作部55の操作によって入金処理の開始コマンドを、入出金機1に入力する。入金部21の繰り出し機構は、図5に実線の矢印で示すように、投入口211の紙幣を一枚ずつ繰り出し、搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送する。識別部25は、その紙幣の識別を行うと共に、計数を行う。このときに、記番号の読み取りをリアルタイムに行う。
搬送部41はまた、識別部25によって正常に識別された紙幣(この紙幣を、リジェクト紙幣の対の名称として正常紙幣と呼ぶ)であって、記番号を全桁読み取ることができた紙幣を、図5に実線の矢印で示すように、その識別結果及び予め設定された収納割当に従って、所定の収納カセット31に収納する。すなわち、各紙幣は、金種別や正損別に応じて、第1−第4のいずれかの収納カセット31に収納される。このように、この入出金機1では、入金処理時には、紙幣を直接的に収納カセット31に収納することになる。尚、収納カセット31に割り当てられていない金種の紙幣(正常紙幣)や損券は回収カセット53に収納される。また、割り当てられている収納カセット31が満杯であるとき等にも、回収カセット53に正常紙幣が収納される。
一方、搬送部41は、識別部25において真偽の識別ができない紙幣等、入出金機1がそのまま受け入れることができないリジェクト紙幣を、図5に破線の矢印で示すように、第2出金口232に払い出す。尚、入金処理時に発生したリジェクト紙幣は、投入口211に再度投入され、識別部25による識別が、もう一度行われることになる。
また、入金処理時に、収納カセット31及び回収カセット53が共に満杯になることに起因して、収納することができなくなった紙幣は、図5に破線の矢印で示すように、第1出金口231に払い出される。尚、リジェクト紙幣を、第1出金口231に払い出すようにし、収納することができなくなった紙幣を、第2出金口232に払い出すようにしてもよい。
そうして、入金処理の終了後には、記憶部59に記憶している在高が更新される。それと共に、各収納カセット31に収納している紙幣の記番号を収納順に並べた記番号リストが、紙幣の収納に応じて更新される。この記番号リストにおける記番号の並びは、紙幣が識別部25を通過した順番に従うことになる。
(出金処理)
出金処理は、入出金機1に収納されている紙幣を払い出す処理である。具体的には、上位端末及び/又は操作部55において、少なくとも金種と枚数とを指定する所定の出金操作を行うことによって、出金処理は開始する。収納部3は、図6に実線の矢印で示すように、指定された金種の紙幣を、それが収納されている収納カセット31から、指定された枚数だけ繰り出す。搬送部41は、繰り出された紙幣を、ループ搬送路411を通じて識別部25に搬送し、識別部25が識別と、記番号の読み取りとを行った後に、正常紙幣は、第1出金口231に払い出される。
出金処理時に、識別部25による識別が不可であったリジェクト紙幣が発生したときに、そのリジェクト紙幣は、図6に破線の矢印で示すように、出金リジェクト一時保留部51に搬送されて、そこに収納される。また、記番号を読み取ることができなかった紙幣も、出金リジェクト一時保留部51に収納される。一時保留部51に収納された紙幣は、必要に応じて、出金処理の終了後に、各収納カセット31又は回収カセット53に収納される。
また、出金処理の終了後には、記憶部59に記憶している在高を更新すると共に、各収納カセット31の記番号リストも、紙幣の繰り出しに応じて更新される。
(回収処理)
回収処理は、収納カセット31に収納されている紙幣を、回収カセット53に搬送する処理である。具体的には、上位端末及び/又は操作部55において、少なくとも金種を指定する所定の回収操作を行うことによって、回収処理は開始する。指定された金種を収納する収納カセット31が、第1−第3の収納カセット31−1、31−2、31−3又は第4収納カセット上部31−4Uであるときには、図7に実線の矢印で示すように、収納部3は、指定された金種の紙幣を、それが収納されている収納カセット31から順次繰り出す。搬送部41は、繰り出された紙幣を、ループ搬送路411を通じて識別部25に搬送し、識別部25が識別及び記番号の読み取りを行った後に、正常紙幣は、ループ搬送路411から第2接続路419を通って回収カセット53へと搬送される。そうして、回収カセット53内に紙幣が収納される。一方、リジェクト紙幣は、図7に破線の矢印で示すように、出金リジェクト一時保留部51に収納される。
これに対し、回収処理において指定された金種の紙幣が、第4収納カセット下部31−4Lに収納されているときには、図8の(a)に示すように、搬送部41は、第4収納カセット下部31−4Lから繰り出された紙幣を、第2接続路419からループ搬送路411を通じて識別部25に搬送し、識別部25が識別及び記番号の読み取りを行った後に、正常紙幣は、精査カセット33へと搬送する。一方、リジェクト紙幣は、図8に破線の矢印で示すように、出金リジェクト一時保留部51に収納される。第4収納カセット下部31−4Lから繰り出された紙幣が全て精査カセット33に収納された後に、図8の(b)に実線の矢印で示すように、精査カセット33は紙幣を一枚ずつ繰り出し、搬送部41は、その紙幣をループ搬送路411から第2接続路419を通って回収カセット53へと搬送する。こうして、回収カセット53内に、第4収納カセット下部31−4L内の紙幣が収納されることになる。
回収処理の終了後にも、記憶部59に記憶している在高を更新すると共に、各収納カセット31の記番号リストが更新される。
(精査処理)
精査処理は、収納カセット31に収納している紙幣を確定させるための処理であって、この入出金機1では、収納カセット31内に収納されている紙幣を、一旦、全て繰り出して行う全精査処理と、収納カセット31内に収納されている紙幣の一部のみを繰り出して行う部分精査処理との2種類の処理が存在している。
この内、全精査処理は、収納カセット31が装置から取り外されて、そこに設けられている扉が一旦開けられたことを検知したときに行われる処理である。これは、収納カセット31が開けられたときには、そこに収納されていた紙幣の一部が抜き取られたり、また、その順番が入れ替えられたりする可能性があり、その収納カセット31内に収納されている紙幣の枚数や順番が不確定になるためである。また、収納カセット31が交換された場合にも全精査処理が行われる。さらに、収納カセット31内の紙幣は確定しているものの、計数及び記番号の読み取りをし直して再確定を行うべく、例えば上位端末において、全精査処理の実行が指定された場合も、全精査処理は行われる。こうした全精査処理は、個々の収納カセット31について個別に行われる場合と、全ての収納カセット31について、順次行われる場合とがある。
全精査処理は具体的に、図9の(a)に示すように、精査対象の収納カセット31(図例では、第1収納カセット31−1が精査対象のカセットである)から、紙幣を一枚ずつ繰り出す。搬送部41は、繰り出された紙幣を、ループ搬送路411を通じて識別部25に搬送し、識別部25が識別及び計数、並びに、記番号の読み取りを行う。正常紙幣でかつ、記番号の全桁を読み取ることができた紙幣は、図9に実線の矢印で示すように、精査カセット33へと搬送されて、そこに収納される。一方、リジェクト紙幣は、図9に破線の矢印で示すように、出金リジェクト一時保留部51へと搬送され、そこに収納される。
そうして、精査対象の収納カセット31内に収納されている紙幣が全てが繰り出され、それの計数が完了した後には、図9の(b)に示すように、精査カセット33に収納されている紙幣が一枚ずつ繰り出されて、ループ搬送路を通じて識別部25に搬送される。そうして、識別部25において再度、識別及び計数、並びに、記番号の読み取りが行われた後に、正常紙幣は、元の収納カセット31、つまり、精査対象の収納カセット31に収納される。こうして、収納カセット31に収納している紙幣が確定し、記憶部59に記憶している在高が更新されると共に、その収納カセット31の記番号リストも更新される。尚、精査カセット33から収納カセット31に戻されているときに発生したリジェクト紙幣は、出金リジェクト一時保留部51に搬送されて、そこに収納される。
これに対し、部分精査処理は、収納カセット31への紙幣の搬送中や、収納カセット31からの紙幣の搬送中に異常が発生した場合に行われる。こうした異常によって、収納カセット31内に収納している紙幣の枚数に誤差が発生する場合があるため、収納カセット31内に収納している紙幣を確定させる必要がある。ここでいう異常としては、例えば出金処理時に、複数の紙幣が重なって繰り出されたことを識別部25が検出した場合(重送)や、入金処理時に、搬送中の紙幣が詰まった(ジャム)場合を例示することができる。
出金処理時に重送が生じたときには、収納カセット31から繰り出した紙幣の枚数が不確定になるため、出金処理後の収納カセット31の在高が未確定になる。そのため、重送が発生した収納カセット31の全てに対して部分精査処理を行い、各収納カセット31の、少なくとも在高を確定させる必要がある。
また、入金処理時にジャムが発生すると、紙幣をオペレータが取り除いてジャムを解除する必要がある。ジャムが発生が収納カセット31の入口付近であると、収納カセット31に収納済みと判定されている紙幣を取り除いてしまい、収納カセット31内の紙幣の枚数に誤差が生じる場合がある。そのため、こうした異常によって誤差が生じた可能性のある収納カセット31を精査処理しなければならない。
ここで、部分精査処理は、前述した記番号リストを利用することによって、収納カセット31に収納している紙幣の一部のみを繰り出すだけで、その収納カセット31に収納している紙幣を確定させる処理であり、全精査処理と比較して精査処理の負担が軽減されると共に、処理に要する時間が大幅に短縮されるという利点がある。つまり、収納カセット31から繰り出した紙幣の記番号を読み取ることにより当該紙幣を特定することが可能である一方で、記番号リストは紙幣の収納順に記番号を並べているため、読み取った記番号と記番号リストとを照合することによって、繰り出した紙幣をリスト上で特定することが可能になり、そのことで、収納カセット31から未だ繰り出されずに、そこに収納されている紙幣を確定することができるのである。
しかしながら、スタック式の収納カセット31は、紙幣を収納する際に紙幣の順番が入れ替わってしまう場合があり、その場合、識別部25の通過順に従う記番号リストの順番と、収納カセット31に実際に収納されている紙幣の順番とが一致しなくなる。そのため、収納カセット31から紙幣を一枚だけ繰り出して、それの記番号を特定したとしても、その紙幣の順番が入れ替わっていると、収納カセット31内の紙幣を正確に確定させることはできない。
そこで、この入出金機1が実行する部分精査処理は、紙幣の順番の入れ替わりに対応することができるように、複数枚の紙幣の記番号の照合を行って確定処理を行う点が特徴である。次に、この部分精査処理の手順について、図を参照しながら説明する。
部分精査処理では先ず、精査対象の収納カセット31から、複数枚の紙幣を順次繰り出す。ここで繰り出す紙幣の枚数は、適宜設定すればよいが、紙幣の収納時に順番が入れ替わる可能性のある枚数に従って決定すればよく、その必要最低枚数は2枚である。また、紙幣の繰出し枚数が多くなるほど、部分精査処理の確度は高まるものの、処理の負担や処理に要する時間が長くなってしまうことから、それらを考慮して繰り出し枚数を設定することが好ましい。ここでは、繰り出し枚数を5枚に設定している。
収納カセット31から繰り出した紙幣は、前述した全精査処理のときと同様に、搬送部41によって識別部25へと搬送し、そこにおいて、紙幣の識別及び計数、並びに、記番号の読み取りをリアルタイムに行う。正常紙幣でかつ、記番号の読み取りが可能であった紙幣は、精査カセット33に搬送してそこに収納する(図9の(a)参照)。こうして、図10の(a)に示すように、記番号の読み取りができた紙幣BNが5枚の連続して収納カセット31から繰り出されれば、収納カセット31からの紙幣の繰り出しを中止する。図10において、左側の紙幣BNは収納カセット31から先に繰り出された紙幣を、右側の紙幣BNは、収納カセット31から後から繰り出された紙幣を示している。収納カセット31から繰り出した最後の紙幣LBNを含んで連続する5枚の紙幣BNの記番号を、一つのグループに設定する。このグループは、記番号リストとの比較対象となる記番号からなる対象グループである。
前述の通り、識別部25では、記番号の読み取りをリアルタイムに実行するが、その記番号の読み取りができなかった場合は、代わりの紙幣を収納カセット31から追加で繰り出す。図10(b)は、3枚目に繰り出した紙幣BNの記番号を読み取ることができずにリジェクトになったため、5枚の紙幣を繰り出した後に、さらにもう一枚の紙幣を追加で繰り出したものの、対象グループが設定できない例を示している。
この場合は、収納カセット31から代わりの紙幣を、カウンタが5になるまで繰り出すようにすればよい。例えば図10(c)は、3枚目に繰り出した紙幣の記番号の読み取りができなかったため、収納カセット31から紙幣を追加で繰り出した結果、3枚の紙幣が追加されることで、収納カセット31から繰り出した最後の紙幣LBNを含む連続する5枚の紙幣の記番号の読み取りが可能となり、対象グループが設定された例を示している。
ここで、詳しくは後述するが、記番号リストとの照合に際し、読み取った記番号の一部の桁にマスクをする場合がある。これは、照合処理の不一致による追加繰り出しの頻度の軽減を図るためである。そのため、仮に記番号の全桁が読み取れなくても、少なくとも一部の桁の読み取りが可能であれば、記番号リストとの照合が可能となる場合がある。例えば図10(d)は、一部の紙幣については記番号の全桁の読み取りはできなかったものの、一部の桁の読み取りが可能であったため、図10(c)のように追加の繰り出しを行わずに、紙幣の繰り出しを終了した例を示している。一部の桁は、照合の際にマスクする桁数に応じて決定され、例えば記番号が7桁で、3桁分のマスクを行う場合は、少なくとも4桁の読み取りができたときには、追加の繰り出しは不要であり、3桁以下しか読み取りができなかったときには読み取り不可と判断して、追加の繰り出しを行えばよい。尚、図10(d)のように一部桁の読み取りが可能な場合は、後述する記番号の照合の際に、追加の繰り出しが必要になることもある。
また、部分精査処理時に繰り出した紙幣が、リジェクト判定になったときには、前述した読み取りカウンタを0にリセットする。その結果、リジェクト紙幣が発生した場合は、図10(e)に示すように、少なくとも5枚の紙幣が、追加で繰り出されることになる。
このようにして、記番号リストとの照合の対象となる対象グループが決定されれば、記番号リストとの照合を行い、記番号リスト上において、対象グループに対応するグループ(照合グループ)を決定する。対象グループは、収納カセット31から繰り出した紙幣に対応するため、照合グループは、記番号リスト上において、収納カセット31から繰り出した紙幣と、収納カセット31に収納したままの紙幣との境界を示すことになる。従って、記番号リスト上において照合グループを特定すれば、その記番号リストに基づいて、収納カセット31に収納している紙幣を確定することが可能になる。
次に、図11を参照しながら、収納カセット31から繰り出した最後の紙幣を含む連続した5枚の紙幣の記番号である対象グループと記番号リストとの照合の手順を説明する。ここで、図11示す記番号リストにおいて、「12340」「12341」等は、記番号を示していると共に、図の上側は収納順の上位を、図の下側は収納順の下位を示している。また、括弧内の数字は、当該収納カセット31での通し番号であり、これは収納カセット31の収納枚数に対応する。一方、識別通過記番号データは、識別部25において読み取りを行った記番号の情報であり、図の上側は後で繰り出した紙幣であり、図の下側は先に繰り出した紙幣である。これは、精査カセット33に収納されている紙幣の、収納順の記番号であると言い換えることが可能である。また、ここに示される「?」は、読み取りできなかった桁を示している。
先ず、記番号リストに含まれる上位の記番号、言い換えると、収納カセット31において上側に集積されている紙幣から順に、対象グループに含まれる各記番号を照合する。これによって、対象グループに含まれている記番号に対して全桁が一致する記番号の内で、記番号リストにおいて最も上位となる記番号を特定する(ステップS1)。尚、この記番号は、対象グループに含まれていればよく、対象グループでの順番は問わない。
ステップS1において、全桁が一致する記番号が対象グループ内になかったときには、精査対象の収納カセット31から紙幣をさらに一枚追加で繰り出して、この追加で繰り出した紙幣(但し、記番号は読み取りできているとする)を含む対象グループを再設定して、ステップS1を繰り返す。一方、全桁が一致する記番号が対象グループ内にあった場合には、次のステップS2に移行する。図例では「12348」が最上位の記番号である。
ステップS2では、記番号リスト上において、ステップS1で決定した最上位の記番号に対して4枚分だけ下位の記番号(ここでは、最下位の記番号と呼ぶ)を特定し、この最下位の記番号と全桁が一致する記番号が、対象グループに含まれているか否かを判定する。このときも、対象グループ内での記番号の順番は問わない。そうして、全桁が一致する記番号が対象グループ内に存在しないときには、精査対象の収納カセット31から紙幣をさらに一枚追加で繰り出して、この追加で繰り出した紙幣を含む対象グループを再設定して、ステップS1から繰り返す。一方、最下位の記番号と全桁が一致する記番号が対象グループ内に存在しているときには、次のステップS3に移行する。図例では「12344」が互いに一致している。
ステップS3では、記番号リストにおける、最上位の記番号と再下位の記番号とで挟まれた3つの記番号について、対象グループ内の記番号との照合を行う。このときの照合は記番号の一部の桁のみ一致を許容する。記番号の照合を、例えば3桁分マスクして行う。つまり、3桁分が一致しなくても、残りの桁が一致すれば、記番号が一致したと判定する。但し、マスクをする桁数は3桁に限定されず、適宜の桁を設定すればよい。また、ここでの照合においても対象グループにおける記番号の順番は問わない。そうして、記番号リストにおける3つの記番号に一致する記番号が対象グループに存在しないときには、精査対象の収納カセット31から紙幣をさらに一枚繰り出し、対象グループを再設定した上で、ステップS1から繰り返す。一方、3つの記番号に一致する記番号が全て対象グループに存在しているときには、次のステップS4に移行する。図例では、「12345」「12346」「12347」の3つの記番号の内、「12345」は全桁が一致し、「12346」及び「12347」は一部桁が一致している。
ステップS4では、記番号リスト上において、対象グループに含まれる記番号と一致する記番号が、その順番を問わないものの連続して、全て含まれる照合グループが特定される。この照合グループは、前述したように、収納カセット31から繰り出した紙幣と、その繰り出し後に収納カセット31に収納されている紙幣との境界に相当し、照合グループ内の再下位の記番号を含み、それよりも上位の記番号の紙幣は、収納カセット31から繰り出されていると判断することが可能である。そうして、続くステップS5では、記番号リストにおいて、照合グループを含むそれよりも上位の記番号の情報を削除する。図例では、「12344」よりも上位の記番号が削除されている。この記番号リストの更新により、収納カセット31に収納されている紙幣が確定することになる。
その後は、図9の(b)に示すように、精査カセット33内に収容している紙幣を一枚ずつ繰り出して、識別部25に搬送する。識別部25において、紙幣の識別及び計数と、記番号の読み取りを行い、正常紙幣でかつ、記番号が読み取られた紙幣を、元の収納カセット31、つまり精査対象の収納カセット31に収納する。そうして、記憶部59に記憶している在高を更新すると共に、精査対象の収納カセット31の記番号リストを更新し、確定処理を終了する。
このように、部分精査処理では、収納カセット31に収納されている紙幣の内、一部の紙幣のみを繰り出すだけで、その収納カセット31に収納されている紙幣を特定することが可能である。このため、全精査処理と比較して、処理の負担が軽減すると共に、処理に要する時間も短縮する。
また、部分精査処理では、複数の記番号を、その順番を問わずに照合することにより、紙幣の入れ替わりの影響を受けることなく、精査処理を正確に行うことが可能になる。さらに、複数の記番号の照合に際しては、記番号の一部の桁の一致を許容することによって、処理の負担軽減に有利になる一方、照合グループ内の最上位の記番号と最下位の記番号とについては、全桁の一致を条件とすることにより、照合グループ、ひいては、記番号リストにおける境界を正確に特定することが可能になり、精査処理の精度が向上する。
(出金処理時の確定処理)
出金処理時にも確定処理が行われる。この確定処理も、前述の部分精査処理おける確定処理と同様に行うことが可能であるが、出金処理時には、出金口231に払い出す紙幣の枚数が定められているため、少なくとも枚数分の紙幣を、収納カセット31から繰り出す必要がある。また、出金処理と同時に、確定処理を行うことも可能である。
出金処理時の確定処理では、前述の通り、記番号の読み取りカウンタを利用して、紙幣の繰り出しの継続及び中止を制御すればよい。つまり、出金処理において払い出される紙幣の一枚一枚について記番号の読み取りを行うようにする。図10における縦の破線は、出金処理については、紙幣の払い出しが完了した時点を示しており、図10(a)に示すように、出金処理に係る紙幣の払い出しが完了した時点でのカウンタが5以上であれば、紙幣の繰り出しを、そのタイミングで停止すればよい。この場合は、出金処理に係る紙幣の払い出し完了前の5枚の紙幣の記番号によって対象グループが設定される。尚、このときに繰り出された紙幣は全て第1出金口231に払い出されることになる(但し、リジェクト紙幣は発生していないとする)。
一方、図10(b)に示すように、記番号の読み取りができずに、出金処理に係る紙幣の払出が完了した時点でのカウンタが5未満であるときには、収納カセット31から、カウンタが5になるまで紙幣を繰り出す。さらに、図10(c)に示すように、連続する5枚の紙幣の記番号からなる対象グループが設定されるように、紙幣の繰り出しを継続する。尚、追加で繰り出した紙幣は、出金口231に払い出すのではなく、出金リジェクト一時保留部51に搬送して、そこに収納する。つまり、図10において、出金処理に係る紙幣の払出が完了した時点を示す破線よりも右側の紙幣は、追加で繰り出された紙幣であるため、出金リジェクト一時保留部51に搬送される。
同様に、図10(e)に示すように、リジェクト紙幣が発生したときには、収納カセットから少なくとも5枚の紙幣が追加で繰り出される。この内、リジェクト紙幣の代わりとなる正常紙幣は、第1出金口231に払い出され、残りの紙幣は出金リジェクト一時保留部51に搬送されることになる。
その結果、出金処理時の確定処理では、例えば図12に示すように、紙幣の搬送が行われる場合がある。つまり、当初135枚の紙幣が収納カセットに収納されている状態で、この収納カセットから20枚の紙幣の出金が指定されたとする。その出金処理に係り紙幣を繰り出している最中に10枚のリジェクト紙幣が発生した場合は、20枚の正常紙幣が出金部23に搬送され、10枚のリジェクト紙幣が出金リジェクト一時保留部51に搬送される。また、前述したように、確定処理に係る対象グループの設定のために、5枚の紙幣が収納カセット31から追加で繰り出されたときには、その紙幣は出金リジェクト一時保留部51に搬送される。結果として、収納カセット31から繰り出された35枚の紙幣の内、20枚の紙幣が出金部23(出金口)に搬送され、15枚のリジェクト紙幣及び追加繰り出しの紙幣が出金リジェクト一時保留部51に搬送されることになる。そうして、収納カセット31に収納されている紙幣の枚数は、100枚になる。ここで、出金リジェクト一時保留部51に搬送されたリジェクト紙幣の枚数は、リジェクトの原因が重送や連鎖の場合は不明であるが、収納カセット31から繰り出した紙幣の枚数から出金口231に搬送した紙幣の枚数を差し引いた値として、論理演算により求めることが可能である。
このようにして出金処理時においても、対象グループが設定されるように紙幣の繰り出しが行われれば、図11に示す手順に従って、対象グループと記番号リストとの照合を行う。このことによって、照合グループが特定されて、収納カセット31内に収納している紙幣が確定することになる。
また、出金処理時における確定処理が完了すれば、出金リジェクト一時保留部51に収納している紙幣が、必要に応じて、収納カセット31に戻される。図12に示す例では、破線の矢印で示すように、10枚のリジェクト紙幣は回収カセット53に搬送されてそこに収納され、追加で繰り出した5枚の紙幣は、元の収納カセット31に搬送されて、そこに収納される。その結果、収納カセット31に収納されている紙幣の枚数は、105枚となる。ここで、回収カセット53に搬送されたリジェクト紙幣の在高は、出金リジェクト一時保留部51から繰り出した紙幣の内から、収納カセット31に戻した紙幣の枚数を差し引いた値として、論理演算により求めることが可能である。
尚、ここでは、図10(a)に示すように、出金処理に係る紙幣を払い出している最中も記番号の読み取りを行い、その払い出しが完了した時点で対象グループの設定を可能にしている。これとは異なり、出金処理に係る紙幣を払い出している最中は、記番号の読み取りは行わず、払い出しの完了以降に、確定処理のための紙幣の繰り出しを開始するようにしてもよい。つまり、出金処理が完了した後に、対象グループの設定のために、少なくとも5枚の紙幣を追加で、収納カセット31から繰り出すようにしてもよい。このことは、出金処理の負担を軽減し、出金処理に要する時間が短縮されるという利点がある。また、出金処理に係る紙幣の払い出しの完了時点を挟んだ前後5枚の紙幣の記番号によって対象グループが設定されるように、出金処理に係る紙幣の払い出しの完了の所定枚数前から(但し、対象グループを5枚に設定している場合、所定枚数は1〜4枚とする)、記番号の読み取りを開始するようにしてもよい。
(返却処理時の確定処理)
入金処理の最中にエラー等が発生した場合には、その入金最中の紙幣を出金口231を通じて返却する返却処理が行われる。ここで、この入出金機1は、前述したように、入金処理時に投入口211に投入された紙幣を、一時保留部に一旦収納することを行わずに、収納カセット31内に直接、収納するように構成されている。このため、入金処理の最中にエラー等が発生した場合には、収納カセット31内で、機内管理紙幣(記番号リストに含まれる紙幣)と、機外管理紙幣(入金処理の確定前で記番号リストに含まれていない紙幣)とが混在することになる。この入出金機1は記番号管理を行っているため、記番号リストを利用することによって、機内管理紙幣と機外管理紙幣とを区別することが可能である。
具体的には、入金処理を実行する前に、記番号リストにおける最上位の記番号を記憶しておく。そうして、入金処理中にエラーが発生し、返却処理を行うときには、収納カセット31から繰り出した紙幣を、識別部25において識別する際に、記番号の読み取りを行い、記憶しているリスト最上位の記番号に一致する紙幣が繰り出されるまで、収納カセット31からの繰り出しを継続する。繰り出した紙幣は、出金部23に払い出す。そうして、リスト最上位の記番号に一致する紙幣が繰り出されれば、収納カセット31からの繰り出しを中止する。リスト最上位の記番号は機内管理紙幣であり、それ以降に繰り出される紙幣もまた、機内管理紙幣であるから、全精査処理を行わなくても返却処理を完了することが可能である。
ここで、前述の通り、スタック式の収納カセット31は、その収納時に紙幣の順番が入れ替わり、そのことによって、記番号リストにおける記番号の並びと、収納カセット31に実際に収納されている紙幣の順番との間にずれが生じる可能性がある。そうしたずれが生じている場合は、前述のように、記番号リストの最上位の記番号の紙幣が繰り出されるまで収納カセット31から紙幣の繰り出しを行って出金口231に払い出したのでは、必要以上に紙幣を払い出してしまうことになる。
そこで、図13の上図に示すように、入金処理の実行前に、記番号リストにおける最上位の記番号に加えて、それに連続する5枚分の紙幣の記番号を記憶しておくようにする。尚、追加して記憶する紙幣の枚数は5枚には限定されず、1枚以上で適宜設定すればよい。この枚数は紙幣の入れ替わりを考慮した枚数として適宜設定すればよく、枚数が多いことは、照合の対象となる記番号が増える分だけ、処理の負担及び時間が増すことになる。尚、図例では、最上位の記番号は「12346」であり、記番号リストにおける記番号の並びに対して、収納カセット31の実際の収納順がずれていると仮定している。
この状態で、図13の下図に示すように、入金処理中にエラーが発生したとする。その後に移行した返却処理では、前記と同様に、収納カセット31から紙幣を一枚ずつ繰り出して識別部25において記番号の読み取りを行う。そうして、その読み取った記番号と、リスト最上位の記番号を含む6枚分の記番号とを照合する。つまり、図13の収納上位の紙幣から順に繰り出されて、記憶している6枚分の記番号と照合される。そうして、一致する記番号が存在しないときには、その紙幣は、入金最中であった機外管理紙幣であるとして第1出金口231に払い出す一方、一致する記番号が存在しているときには、その紙幣は機内管理紙幣であるため、出金口231には搬送せずに、出金リジェクト一時保留部51に搬送する。また、前述の通り、リスト最上位の記番号(図例では「12346」)に一致する紙幣が繰り出されれば、入金最中であった機外管理紙幣は、収納カセット31から全て繰り出されたと判断することができるため、返却処理を終了する。
ここで、この返却処理と共に部分精査処理を行って、返却処理後の収納カセット31内の紙幣の確定を行ってもよい。具体的には、図13の下図に示すように、リスト最上位の記番号に一致する紙幣が繰り出した後に、さらに少なくとも5枚の紙幣を収納カセット31から繰り出す。5枚の紙幣は、前述したように、部分精査処理等の確定処理における対象グループを設定するための紙幣であり、記番号の読み取りができないときや、リジェクト紙幣が発生したときには、必要枚数の紙幣をさらに追加で繰り出すことになる。
そのようにして、追加の紙幣の繰り出しによって対象グループを設定すれば、図11に示す手順に従って、記番号リストとの照合を行い、照合グループを特定することにより、返却処理後の、収納カセット31の紙幣を確定することが可能になる。
(記番号管理モードと枚数管理モードとの切り替え)
前述の通り、この紙幣入出金機1では記番号リストを記憶しており、その記番号リストを利用して収納カセット31に収納している紙幣の管理を行っている。一方、この紙幣入出金機1は、図4(a)に示すカウンタによって、記番号を利用することなく、各収納カセット31に収納している紙幣の枚数を管理している。具体的に、制御部513は、収納カセット31の出入口に設けられた通過センサ312によって、紙幣の通過を検知することにより、収納カセット31に出入りする紙幣の枚数を計数し、カウンタの加減算を行う。
紙幣入出金機1は、記番号リストを利用して収納カセット31に収納している紙幣の管理を行う記番号管理モードと、記番号を利用せずに収納カセット31に収納している紙幣の枚数をカウントすることによって紙幣の管理を行う枚数管理モードと、の2つの管理モードを有しており、これら2つの管理モードを切り替えて動作可能に構成されている。ここで、記番号管理モードは、前述した部分精査処理等の確定処理が可能であるが、枚数管理モードは部分精査処理が不可能であり、記番号管理モードと枚数管理モードとは、紙幣入出金機1の実行可能な処理が異なる。紙幣入出金機1は、記番号管理モードの方が枚数管理モードよりも多機能になるため、紙幣入出金機1は、基本的には記番号管理モードで動作をする。しかしながら、その記番号管理モードでの動作中に、前述した全精査処理が必要になったときには、全精査処理に要する時間が長く、全精査処理を完了するまで紙幣入出金機1が長時間使用できなくなる。そのことにより窓口業務に支障をきたすことを回避すべく、記番号管理モードから枚数管理モードに切り替えることによって、紙幣入出金機1を継続して動作可能にすることを可能にしている。以下、このようなモードの切り替えについて紙幣入出金機1が実行する処理を、図14のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、スタート後のステップS121では、紙幣入出金機1を記番号管理モードで動作させる。前述の通り、この紙幣入出金機1は、基本的に記番号管理モードで動作するためである。
続くステップS122では、紙幣入出金機1において、エラーが発生したか否かを判定する。エラーが発生していないときはステップS122を繰り返し、エラーが発生したときにステップS123に移行をする。ステップS123では、エラーの復旧を行い、続くステップS124で、全精査処理又は部分精査処理が必要か否かを判断する。ステップS124で全精査処理及び部分精査処理が共に不要であるときには、ステップS126に移行をして、記番号管理モードをそのまま継続する。一方、部分精査処理が必要であるときには、ステップS125に移行をし、前述した部分精査処理を実行する(図10、11参照)。部分精査処理は、前述の通り、収納カセット31に収納している紙幣の一部のみを繰り出して行うため、部分精査処理に要する時間は比較的短く、部分精査処理の実行中に紙幣入出金機1が使用不可能であったとしても、窓口業務に支障をきたすことはない。そのため、後述の全精査処理とは異なり、部分精査処理は必ず実行することによって、記番号管理モードを継続する(ステップS126)。
一方、全精査処理が必要であるときには、ステップS127に移行をする。ステップS127では、紙幣入出金機1の上位端末や表示部511に、図15に示すような、全精査処理を実行するか、又は、全精査処理を実行せずに枚数管理モードに切り替えるかをオペレータ(例えばテラー)に選択させる画面を表示する。オペレータが上位端末又は操作部55において所定操作を行うことにより、全精査処理の実行が選択操作されたときには、ステップS127からステップS128に移行をして、前述したように、全精査処理を実行する。全精査処理が完了すれば、記番号管理モードを継続可能であるため、ステップS126に移行をする。
これに対し、オペレータが上位端末又は操作部55において所定操作を行うことにより、枚数管理モードへの切替が選択操作されたときには、全精査処理を行わないため、ステップS127からステップS129に移行をして、枚数管理モードに切り替えて紙幣入出金機1を動作する。記番号管理を行わないため、エラーが発生した場合でも、紙幣入出金機1を、継続して使用することが可能であり、窓口業務の停滞が回避される。
枚数管理モードでの動作中には、紙幣入出金機1の上位端末や表示部511に表示される各種の画面において、枚数管理モードで動作中であること、及び、精査処理を行うことを促す案内表示を行う。例えば図16は、入金処理、出金処理、回収処理及び精査処理を選択操作するためのボタンが並んだ操作画面(つまり、メニュー画面)の一例を示しているが、このような画面において「枚数管理モードで動作中」、及び、「精査して下さい」の表示を行う。また、図16に示すように、精査処理の選択ボタンを強調表示に変えることによって、精査処理の実行をオペレータに促し、記番号管理モードに早期に復帰するようにしてもよい。
ステップS1210では、オペレータによって全精査処理の実行が選択されたか否かを判定し、全精査処理の実行が選択されたときには、ステップS128に移行をする。これにより、前述した通りに、全精査処理が実行されて、記番号管理モードに復帰する(ステップS126)。オペレータは、例えば窓口が空いており、全精査処理を長時間実行しても窓口業務に支障がないときには、全精査処理の実行を選択すればよい。
一方、オペレータによって全精査処理の実行が選択されていないときには、ステップS1210からステップS1211に移行をして、営業時間外であるか否かを判定する。営業時間内であればステップS129に戻る。つまり、営業時間内は、オペレータが全精査処理の実行を選択操作しない限り、全精査処理は実行されない。これに対し、営業時間外であるときには、ステップS128に移行をして、全精査処理を強制的に実行し、記番号管理モードに復帰する。営業時間外であれば窓口業務への支障はないため、全精査処理の実行により記番号管理モードに復帰する方が有利になる。
このように、記番号管理モードと枚数管理モードとの2つの管理モードを有していることで、記番号管理モードのままで動作することができないときでも、枚数管理モードに切り替えることによって、紙幣入出金機1を継続して動作させることが可能になる。これは、精査処理の実行により紙幣入出金機1を、長時間、実質的に使用不能にすることを回避する。従って、窓口業務に支障をきたすことが未然に回避される。
また、枚数管理モードへの切り替え、及び、全精査処理の実行は、オペレータの選択操作によって可能であって、紙幣入出金機1の使用状況に応じて任意に選択することが可能であり、ユーザの利便性が向上する。尚、図14に示すフローチャートでは省略しているが、枚数管理モードでの動作中に、全精査処理が必要なエラーが発生したときには、強制的に全精査処理を実行することによって、記番号管理モードに復帰することが望ましい。
また、枚数管理モードに切り替えた後に、全精査処理の実行をオペレータに促すことによって、記番号管理モードへの早期の復帰が期待される。また、営業時間外には、全精査処理を強制的に行い、記番号管理モードに復帰することによって、紙幣入出金機1を多機能状態で動作させることが可能になる。
尚、図14に示すフローでは、部分精査処理が必要なときには部分精査処理を行うことで、記番号管理モードを継続するようにしているが、部分精査処理が必要なときにも、全精査処理が必要なときと同様に、部分精査処理を実行するか、又は、部分精査処理を実行せずに枚数管理モードに切り替えるか、をオペレータに選択操作させるようにしてもよい。
また、全精査処理が必要なときには、オペレータに選択操作をさせることなく、枚数管理モードに自動的に切り替えて、紙幣入出金機1の動作を継続させるようにしてもよい。この場合は、営業時間外において全精査処理を自動的に実行して、記番号管理モードに復帰するようにしてもよい。尚、部分精査処理が必要なときにも同様にしてもよい。
尚、前述した紙幣入出金機1は、図2に示すように、精査カセット33を備え、全精査処理及び部分精査処理の際には、精査対象の収納カセット31から繰り出した紙幣を、その精査カセット33に収納している。しかしながら、通常時には空の状態となる精査カセット33を備えることは、装置の収納容量と小型化との観点からは不利である。そこで、このカセットを、精査カセットではなく、収納カセットの一つ(第5の収納カセット31)として機能させてもよい。この場合に全精査処理を行うときには、精査対象の収納カセット31を筐体131から取り外して、収納している紙幣を全て、手で取り出す。取り出した紙幣を全て、投入口211に投入することによって、前述した入金処理と同様に、投入口211の紙幣を一枚ずつ繰り出して識別部25に搬送することが可能になる。そうして、紙幣の識別及び計数、並びに、記番号の読み取りを行った上で、元の収納カセット31に収納することで全精査処理を行うことが可能である。しかしながら、この手動の精査処理は、前述した精査カセット33を利用した自動精査処理と比較して、第1開閉扉133の開閉等が必要であり、精査処理に要する時間がさらに長くなると共に、オペレータの作業が煩雑になってしまう。そのため、こうした手動の精査処理が必要な紙幣入出金機1においては、前述した全精査処理の実行と枚数管理モードへの切替とを選択可能にする構成は、窓口業務の停滞を回避する上で、より有効になる。尚、精査カセット33の無い紙幣入出金機1において、部分精査処理を行うときには、精査対象の収納カセット31から繰り出した紙幣を、出金リジェクト一時保留部51に収納すればよい。尚、そのときに発生したリジェクト紙幣は、第1又は第2出金口231、232に搬送すればよい。
さらに、図14に示すフローチャートでは、記番号管理モードの最中に、全精査処理が必要であって、その必要な全精査処理が未実行のときに、枚数管理モードに切り替えている。このことを言い換えると、記番号管理モードの最中に、収納カセット31に収納している紙幣の記番号と、記番号リストとが不一致になる可能性があることを検知したときに、枚数管理モードに切り替えることになる。
また、図14に示すフローチャートでは、枚数管理モードの最中に、全精査処理を行ったときには、記番号管理モードに切り替えている。このことを言い換えると、枚数管理モードの最中に、収納カセット31に収納している紙幣の記番号と、記番号リストとが一致したときには記番号管理モードに切り替えることになる。
管理モードの切替に関してはこの他にも、記番号管理モードの最中に、記番号の読み取り率が、予め定めた所定値以下であるときには、枚数管理モードに切り替えてもよい。記番号の読み取りは紙幣の状態に依存する。そのため、記番号の読み取り率が比較的低いことによって、記番号の読み取り精度が余り良くない紙幣が多く流通している環境と推測でき、その場合、記番号の読み取り率が改善することが見込めない。また、記番号を余り読み取ることができないため、記番号管理がそもそも困難である。そのような場合は、枚数管理モードに、自動的に又は手動で切り替えて、紙幣入出金機1を動作させてもよい。
また、記番号管理モードと枚数管理モードとの切り替えを条件に基づいて行うのではなく、紙幣入出金機1の設定として、記番号管理モードと枚数管理モードとを任意に選択してもよい。さらに、例えば初期設定として記番号管理モードを選択したときに、記番号の読み取り率が所定値以下の状態が継続するようなときには、枚数管理モードに自動的に又は手動で切り替えるようにしてもよい。また、逆に、初期設定として枚数管理モードを選択したときに、記番号の読み取り率が所定値よりも高い状態が継続するようなときには、記番号管理モードに自動的に又は手動で切り替えるようにしてもよい。
また、ここに開示する技術は、紙幣の入金及び出金を行う入出金機ではなく、紙幣の入金を行う入金機に適用してもよいし、収納している紙幣の払い出しを行う出金機に適用してもよい。