JP5864013B1 - 水抜き管用パイプセット及び水抜き管の設置方法 - Google Patents

水抜き管用パイプセット及び水抜き管の設置方法 Download PDF

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  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)

Abstract

【課題】経年劣化と管内の土砂の堆積が少ない水抜き管を、地山が一定の程度以上に固い場合を除いて地山の穿孔等の前工程を必要とすることなく、適切な傾斜を持たせて地中に設置する。【解決手段】金属製の卵形管である先頭パイプ210、第1後続パイプ220及び第2後続パイプ220を直列に連結して水抜き管250を構成し、地山20の法面から地中に押し込んで設置する。先頭パイプ210の前端部211の上方を下方よりも突出させ、卵形断面の曲率半径が大きい頂部を上方に向ける。各パイプの連結箇所において接触面どうしの間に間隔を設け、上下の向きが相互に可動であるようにする。【選択図】図9

Description

本発明は水抜き管用パイプセット及び水抜き管の設置方法に関し、特に地山の地中に設置することができる水抜き管を構成する水抜き管用パイプセット及び該水抜き管の設置方法に関するものである。
土砂災害の防止のため、水抜き孔を設けたパイプからなる管路(水抜き管)に傾斜を持たせて地山の地中に埋設し、地山から水抜き孔を経て水抜き管内に滲出した水を地山の地表(例えば法面)から外部に抜き出すことが知られている。従来の多くの水抜き管は塩化ビニル等の樹脂材料からなり(例えば、特許文献1参照。)、地山の穿孔された箇所の孔内に引き込んで設置される。
樹脂材料からなる水抜き管は、設置後長期間を経過すると、材料の経時劣化による機能不全を生じるおそれがある。機能不全に陥った水抜き管を豪雨や台風等の緊急時に新しいものに取り換えたり、水抜き管を新設したりしようとするときは、改めて地山の穿孔が必要である。緊急時にこのような手間のかかる工事を行うことは難しいため、やむを得ず地山の地表(例えば法面)をビニルシートで覆って地中へ降水がさらに浸透するのを防ぐ等の応急処置が行われる。
水抜き管の設置工事の手間を減らすため、例えば特許文献1に記載された水抜き管埋設方法によれば、水抜き管の外径よりも径の大きい水抜き管挿入孔を地山に形成して、その開口からフレキシブル筒状織物で形成した水抜き管を挿入する。特許文献1によれば、フレキシブル筒状織物で形成した水抜き管は高い透水性と軸方向のある程度の剛性を備え、地山の表面から水抜き管挿入孔に押し込むことができることが記載されている。
しかしながら、特許文献1の記載によれば、水抜き管挿入孔を最初に形成するときには予め穿孔機を用いて地山を穿孔し、鋼性円柱状のガイド管を孔内に挿入するという準備工程が必要である。災害等の緊急時に備えるには、このような水抜き管をできるだけ迅速かつ効率よく設置できることが望ましい。
特開2010−070919号公報
本願発明が解決しようとする課題は、水抜き管の水抜きの機能を確保すると共に、水抜き管を地中へ迅速かつ効率よく設置できるようにすることである。
上述した課題を解決するため、本願発明に係る水抜き管用パイプセットは、長手方向に対して垂直な断面において第1の頂部の曲率半径が対向する第2の頂部の曲率半径よりも大きい卵形をなす複数の金属製パイプであって少なくとも1に前記パイプの外側から内側へ貫通する水抜き孔が設けられ、かつ、直列に連結されることにより水抜き管を構成することができる複数の金属製パイプからなる水抜き管用パイプセットにおいて、前記複数の金属製パイプの1であって前記長手方向に前端部と後端部を有し、前記前端部は閉じられると共に前記第1の頂部の側が前記第2の頂部の側よりも前記長手方向に突出してなる先頭パイプと、前記複数の金属製パイプの1であって前記長手方向に第1の端部と第2の端部を有すると共に前記第1の端部が前記後端部に挿入されることにより前記先頭パイプに連結されることができ、かつ、前記先頭パイプに連結されたとき前記第1の頂部及び前記第2の頂部において前記第1の端部の外周と前記後端部との間にそれぞれ所定の間隔を保つことができるように形成された第1の後続パイプを備えたことを特徴とする。
上述した課題を解決するため、本願発明に係る水抜き管の設置方法は、長手方向に対して垂直な断面において第1の頂部の曲率半径が対向する第2の頂部の曲率半径よりも大きい卵形をなす複数の金属製パイプであって少なくとも1に前記パイプの外側から内側へ貫通する水抜き孔が設けられ、かつ、直列に連結されることにより水抜き管を構成することができる複数の金属製パイプからなる水抜き管用パイプセットのうち、前記長手方向に前端部と後端部を有し前記前端部は閉じられると共に前記第1の頂部の側が前記第2の頂部の側よりも前記長手方向に突出してなる先頭パイプの前記後端部に、前記複数の金属製パイプの1であって前記長手方向に第1の端部と第2の端部を有すると共に前記第1の端部が前記後端部に挿入されることにより前記先頭パイプに連結されることができ、かつ、前記先頭パイプに連結されたとき前記第1の頂部及び前記第2の頂部において前記第1の端部の外周と前記後端部との間にそれぞれ所定の間隔を保つことができるように形成された第1の後続パイプの前記第1の端部を挿入し、前記先頭パイプ及び前記第1の後続パイプを含む前記複数の金属パイプを直列に連結して前記水抜き管を構成し、前記水抜き管を、前記第1の頂部及び前記第2の頂部をそれぞれ上方及び下方に向けると共に地山に対して前記先頭パイプから順に挿入する向きに向け、前記水抜き管を前記地山に挿入する向きに沿って前記地山の地中に圧入することを特徴とする。
本願発明に係る水抜き管用パイプセットにより構成された水抜き管は金属製であるから、特許文献1を含む従来技術による水抜き管よりさらに高い剛性を有し、地中への圧入をより迅速に、かつ、効率的に行うことができる。さらに本願発明の従来技術にない固有の特徴は、水抜き管が卵形管であることと、先頭パイプの前端部の形状により地中への圧入に伴って前端部が上方へ向かうこととがあいまって優れた排水性能を発揮する点である。すなわち本願発明によれば、水抜き管の水抜きの機能を確保すると共に、水抜き管を地中へ迅速かつ効率よく設置することができる。
図1は本願発明の実施例1に係る水抜き管用パイプセットの外観を示す図である。(実施例1) 図2は先頭パイプを表す3面図である。(実施例1) 図3は第1後続パイプを表す3面図である。(実施例1) 図4は先頭パイプの後端部に第1後続パイプの第1端部を挿入したときの両者の位置関係を表す図である。(実施例1) 図5は先頭パイプが第1後続パイプに対して可動に連結された状態を表す図である。(実施例1) 図6は水抜き管を地山の法面から地中に圧入した状態を表す図である。(実施例1) 図7は変形例に係る水抜き管を地山の法面から地中に圧入した状態を表す図である。(実施例1) 図8は実施例2に係る水抜き管用パイプセットの外観を示す図である。(実施例2) 図9は水抜き管を地山の法面から地中に圧入した状態を表す図である。(実施例2)
以下、図面を参照して、本願発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本願発明の実施例1に係る水抜き管用パイプセット100の外観を示す図である。水抜き管用パイプセット100は、先頭パイプ110及び第1後続パイプ120を有する。図1の下部に破線の矢印で、先頭パイプ110と第1後続パイプ120の長手方向を示した。先頭パイプ110及び第1後続パイプ120は、いずれも金属製の中空のパイプである。先頭パイプ110及び第1後続パイプ120の長手方向の長さは、それぞれ適宜に設定してよい。水抜き管用パイプセット100は、先頭パイプ110と第1後続パイプ120の他に図示しない金属製の中空のパイプを含んでもよく、含まなくてもよい(追加後続パイプと呼び、その個数は0以上の任意の値である。)。
先頭パイプ110の図1における左端の部分(点線の楕円で囲んで示す。)は、前端部111である。先頭パイプ110の図1における右端の部分(点線の楕円で囲んで示す。)は、後端部112である。先頭パイプ110には、図1における下側の部分を除いてパイプの外側から内側へ貫通する水抜き孔113が複数設けられている(下側の部分を除く理由は、管内の水が地中へ漏れ出るのを防止するためである。)。前端部111には、斜線のハッチングを付して示した蓋部114が取り付けられており、先頭パイプ110は前端部111において蓋部114によって閉じられている。後端部112のパイプ端は、図1では見えないが開放されている。
第1後続パイプ120の図1における左端の部分(点線の楕円で囲んで示す。)は、第1端部121である。第1後続パイプ120の図1における右端の部分(点線の楕円で囲んで示す。)は、第2端部122である。第1後続パイプ120には、パイプの外側から内側へ貫通する水抜き孔113(先頭パイプ110と同様に設けられたものであるから、同じ符号を付して表す。)が複数設けられている。なお、図示しない追加後続パイプ(個数が1以上の場合)にも、それぞれ水抜き孔113が複数設けられている。水抜き孔113は、いずれのパイプも下側の部分を除いて設けられる。
図2は、先頭パイプ110を図1における長手方向に対して垂直な1方向並びに左手及び右手から見て表す3面図である(左から順に、左側面図、正面図及び右側面図と呼ぶ。)。なお、複数の水抜き孔113の図示を省略している。図2に符号111、112及び114を付して表した構成は、図1に同じ符号を付して表した構成とそれぞれ同じであるから説明を省略する。
図2の左側面図及び右側面図に表したように、先頭パイプ110の長手方向(図1に破線の矢印で示した方向)に対して垂直な断面における外周及び管内の中空部は卵形をなす。すなわち、当該左側面図及び右側面図における最上部を第1頂部115とし、同じく最下部(第1頂部115に対向する頂部)を第2頂部116とすると、第1頂部115の曲率半径は第2頂部116の曲率半径より大きい。また、図2の正面図に表したように、前端部111は第1頂部115の側が第2頂部116の側よりも突出している。その突出の程度は、例えば図2に示した角度θの値が(平面への投影において)35度ないし45度の範囲である。
図3は、第1後続パイプ120を図2と同じ各方向から見て表す3面図である(左から順に、左側面図、正面図及び右側面図と呼ぶ。)。なお、複数の水抜き孔113の図示を省略している。図3に符号121及び122を付して表した構成は、図1に同じ符号を付して表した構成とそれぞれ同じであるから説明を省略する。
図2の左側面図及び右側面図に表したように、第1後続パイプ120の長手方向(図1に破線の矢印で示した方向)に対して垂直な断面における外周及び管内の中空部は卵形をなす。すなわち、当該左側面図及び右側面図における最上部及び最下部を、先頭パイプ110と同様にそれぞれ第1頂部115及び第2頂部116とする。第1後続パイプ120においても、先頭パイプ110におけると同様に、第1頂部115の曲率半径は第2頂部116の曲率半径より大きい。
水抜き管用パイプセット100が、図示しない1個以上の追加後続パイプを含むとする。各追加後続パイプは先頭パイプ110及び第1後続パイプ120と同様に長手方向に対して垂直な断面において外周及び管内の中空部が第1頂部115及び第2頂部116を有する卵形をなし、第1頂部115の曲率半径は第2頂部116の曲率半径より大きい。
後で説明するように、先頭パイプ110、第1後続パイプ120及び図示しない各追加後続パイプは、この順で直列に連結されることにより水抜き管を構成することができる。構成された水抜き管は、長手方向の任意の位置において長手方向に対し垂直な断面が第1頂部115及び第2頂部116を有する卵形をなし、第1頂部115の曲率半径は第2頂部116の曲率半径より大きい。換言すれば、第1頂部115は構成された水抜き管の卵形断面の曲率半径が大きい側の頂部を結ぶ稜線部に相当し、第2頂部116は同じく曲率半径が小さい側の頂部を結ぶ稜線部に相当する。
図2に示すように、先頭パイプ110の後端部112は卵形断面を保ちながら内外径が拡大されて形成されている。この形状は例えば、前端部111から後端部112まで卵形の内外径を均一にして形成されたパイプに対して、図2における右方から後端部112に対して相対的に大径の金属塊を圧入し、図2に表した後端部112の形状に合わせた金型との間で長手方向に挟み込むように押圧する拡管加工によって形成することができる。その結果、第1後続パイプ120の第1端部121を先頭パイプ110の後端部112に挿入することができる。
図4は、第1後続パイプ120の第1端部121を先頭パイプ110の後端部112に挿入したときの両者の位置関係を、図2及び図3と同じ向きの正面図並びに図2及び図3における右方から見た断面図に表した図である。図4の左側の正面図において、第1後続パイプ120の第1端部121が先頭パイプ110の後端部112に挿入されている。図4の右側の断面図は、第1端部121(外周のみを示す。)が後端部112のパイプ内壁に内接した状態を表す。
図4に表したように、後端部112は、第1端部121を挿入したとき第1頂部115において第1端部121の外周との間に間隔h1を保つように予め形成されている。また、同じく第2頂部116において、第1端部121の外周との間に間隔h2を保つように予め形成されている。その結果、例えば図5に示すように、先頭パイプ110の長手方向の向きは第1後続パイプ120の長手方向の向きに対して第1頂部115及び第2頂部116を結ぶ向きに可動である。図5は、先頭パイプ110が第1後続パイプ120に対して可動に連結された状態を図4の正面図に表したのと同じ方向から見て表す図である。
図4に示した符号dは、第1端部121を後端部112に挿入したときの挿入の深さに相当する。h1又はh2(これらはおおむね同じ値にすることができる。)のdに対する比を、後述する理由により1.5パーセント以上にすることが望ましい。なお、第1端部121が後端部112に内接する箇所で例えばリベット、ボルト・ナット又はビス留めのような公知の方法により両者を連結してもよい。そうすれば、上記の可動性を維持しながら、先頭パイプ110と第1後続パイプ120の連結をより確実にすることができる。
先頭パイプ110及び第1後続パイプ120を、上記のように連結して構成した水抜き管150の動作を説明する。図6は、水抜き管150を地山20の法面から地中に圧入した状態を表す図である。水抜き管150は金属製であって高い剛性を有するから、先頭パイプ110の前端部111を地山の法面に向け、穿孔機械等を用いて第1後続パイプ120の第2端部122に圧力を加えて押し込むことにより、水抜き管150を地山20の地中に設置することができる。地山が一定の程度以上に固い場合を除き、予め地山を穿孔したりガイド管を設けたりする準備工程は不要である。
このとき第1頂部115及び第2頂部116をそれぞれ上方及び下方に向けることにより、先頭パイプ110の前端部111は、先端が突出している第1頂部115の側を上にして地中を進むことになる。したがって、先頭パイプ110が前進するのに伴い、前端部111には上向きの力が働く。また、図6における上下の向きに関して、図5を参照して説明したように、先頭パイプ110は第1後続パイプ120に対して一定の範囲で可動である。
その結果、水平面内で第1後続パイプ120の第2端部122に圧力を加えて水抜き管150を地山20の法面に向けて押し込むと、先頭パイプ110は次第に上方へ向かい、地山20の深部に向けて押し込まれるにつれて前端部111を上にして傾斜するようになる。そうすると、第1端部121において先頭パイプ110に連結された第1後続パイプ120も、地山20の深部に向けて押し込まれるにつれて第1端部121を上にして傾斜するようになる。
先頭パイプ110の前端部111は蓋部114で閉じられている(図6には図示せず。)から、水抜き管150の管内への土砂の進入及び堆積が防止される。第1後続パイプ120の第1端部121を先頭パイプ110の後端部112に挿入しているから、水抜き管150の地山20への圧入に伴って後端部112と第1端部121の連結箇所から管内に土砂が入るのを防ぐことができる。
すなわち、図6に示したように、水抜き管150は先端部分を上にして傾斜すると共に後端部112及び第1端部121の連結箇所で緩やかに屈折した状態で、地山20の地中に設置される。先頭パイプ110及び第1後続パイプ120にはそれぞれパイプの外側から内側へ貫通する水抜き孔113が複数設けられているから、地山20の地中の水分が水抜き孔113を通して水抜き管150の管内へ滲出する。
水抜き管150は先端部分を上にして傾斜しているから、複数の水抜き孔113(図6には図示せず。)から管内に滲出した水分は傾斜を下って流れ、第1後続パイプ120の第2端部122を経て地表に排出される。しかも水抜き管150は曲率半径が小さい方の第2頂部116を下に向けて設置された卵形管であるから、たとえ水量が低下しても流速の低下が小さいため管内の土砂の堆積が抑えられ、水量の変化に対して円形管や楕円形管よりも安定した排水性能を保つことができる。このような卵形管の特徴は、下水道等の分野でよく知られている(例えば、http://www.civil.chuo−u.ac.jp/lab/eisei/member/2008/jougesui9.pdfを参照。)。
図6における水抜き管150の傾斜の値は、最終的には図4に示したh1又はh2のdに対する比に近づくものと考えられる。水が傾斜に沿って円滑に流れ下るためには、水理学上、傾斜が1.5パーセント以上であることが望ましい。したがって、図4に示したh1又はh2のdに対する比も1.5パーセント以上であることが望ましい。
先頭パイプ110の前端部111は、切り刃状に形成された部位を含んでもよい。切り刃状に形成された部位は、地中へ押し込まれるとき植生や樹木の根切りを可能にして先頭パイプ110の地中への円滑な進入に寄与する。前端部111は、必ずしも蓋部114が設けられていなくてもよい。例えば先頭パイプ110の一端において管を押しつぶすように加工して閉塞してもよい。
水抜き管用パイプセット100が追加後続パイプの1である第2後続パイプ130を備える場合の変形例を、図7を参照して説明する。第2後続パイプ130は、第1後続パイプ120と同様に長手方向に両端を有し、それらを第3端部131及び第4端部132とする。第2後続パイプ130は追加後続パイプの1であるから、上述した通り長手方向に垂直な断面において外周及び管内の中空部がそれぞれ卵形をなし、また図示しない複数の水抜き孔113が設けられている。第2後続パイプ130の長手方向の長さは、適宜に設定してよい。
第1後続パイプ120の第2端部122は、拡管加工によって卵形断面を保ちながら内外径が拡大されて形成されている。その結果、第2後続パイプ130の第3端部131を第1後続パイプ120の第2端部122に挿入することができる。そこで図7に示したように、先頭パイプ110、第1後続パイプ120及び第2後続パイプ130をこの順で直列に連結し、水抜き管152を構成することができる。図7における上下の向きに関して、先頭パイプ110が第1後続パイプ120に対して可動であるのと同様に、第1後続パイプ120が第2後続パイプ130に対して可動であるようにしてもよいし、しなくてもよい。
水抜き管152は、図6に表した水抜き管150よりも地山20のさらに奥深くまで進入させて設置することができる。進入に際して先頭パイプ110から順に上方を向き、排水に好適な角度の傾斜をもって設置することができる点は、水抜き管150と同様である。第2後続パイプ130の第4端部132に別の追加後続パイプを連結して、さらに延伸された水抜き管を構成することもできる。
実施例1によれば、地山が一定の程度以上に固い場合を除き、地山の穿孔等の準備工程を必要とせずに、排水性能に優れた断面卵形の水抜き管を、水理学上適切な傾斜を持たせて地中に設置することができる。また、水抜き管の経時劣化と管内の土砂の堆積を抑えることができる。
図8及び図9を参照して、本願発明の実施例2を説明する。図8は、実施例2に係る水抜き管用パイプセット200の外観を示す図である。水抜き管用パイプセット200は、先頭パイプ210、第1後続パイプ220及び第2後続パイプ230を有する。図8の下部に破線の矢印で、先頭パイプ210、第1後続パイプ220及び第2後続パイプ230の長手方向を示した。先頭パイプ210、第1後続パイプ220及び第2後続パイプ230は、いずれも金属製の中空のパイプである。
先頭パイプ210は、前端部211及び後端部212を有し、図8における下側の部分を除いてパイプの外側から内側へ貫通する水抜き孔213が複数設けられている。前端部211には斜線のハッチングを付して示した蓋部214が取り付けられており、先頭パイプ210は前端部211において蓋部214によって閉じられている。後端部212のパイプ端は、図8では見えないが開放されている。
第1後続パイプ220は、第1端部221及び第2端部222を有し、図8における下側の部分を除いてパイプの外側から内側へ貫通する水抜き孔213が複数設けられている。第2後続パイプ230は、第3端部231及び第4端部232を有し、図8における下側の部分を除いてパイプの外側から内側へ貫通する水抜き孔213が複数設けられている。第2端部222及び第4端部232の各パイプ端は、図8では見えないが開放されている。
先頭パイプ210、第1後続パイプ220及び第2後続パイプ230はそれぞれ、実施例1の先頭パイプ110及び第1後続パイプ120と同様に、長手方向に対して垂直な断面における外周及び管内の中空部が卵形をなす。先頭パイプ210及び第2後続パイプ230の長手方向の長さは、それぞれ適宜に設定してよい。第1後続パイプ220は、第2後続パイプ230に比べて長手方向に短く形成されたものとする。
先頭パイプ210は実施例1の先頭パイプ110と同様に、前端部211において、上記の卵形の曲率半径の大きい側の頂部が曲率半径の小さい側の頂部よりも突出している。その突出の程度は、例えば実施例1に関して図2を参照して説明したのと同じである。水抜き管用パイプセット200は、先頭パイプ210、第1後続パイプ220及び第2後続パイプ230の他に図示しない金属製中空の追加後続パイプを含んでもよく、含まなくてもよい。
先頭パイプ210、第1後続パイプ220及び第2後続パイプ230(並びに場合により図示しない各追加後続パイプ)は、この順で直列に連結されることにより水抜き管を構成することができる。先頭パイプ210の後端部212は、実施例1の後端部112と同様にして、卵形断面を保ちながら内外径が拡大されると共に第1後続パイプ220の第1端部221を挿入したとき断面卵形の管内の中空部が上記の曲率半径の大きい側及び小さい側の各頂部において第1端部221の外周に対して所定の間隔を保つように予め形成されている。その結果、第1端部221を後端部212に挿入したときの先頭パイプ210の長手方向の向きは、実施例1について説明したのと同様に、第1後続パイプ220の長手方向の向きに対して可動である。なお、後端部212と第1端部221の間を実施例1と同様に例えばリベット、ボルト・ナット又はビス留めしてもよい。
第1後続パイプ220の第2端部222は、先頭パイプ210の後端部212と同様にして、卵形断面を保ちながら内外径が拡大されると共に第2後続パイプ230の第3端部231を挿入したとき断面卵形の管内の中空部が上記の曲率半径の大きい側及び小さい側の各頂部において第3端部231の外周に対して所定の間隔を保つように予め形成されている。その結果、第3端部231を第2端部222に挿入したときの第1後続パイプ220の長手方向の向きは、実施例1について説明したのと同様に、第2後続パイプ230の長手方向の向きに対して可動である。なお、第2端部222と第3端部231の間を実施例1と同様に例えばリベット、ボルト・ナット又はビス留めしてもよい。
先頭パイプ210、第1後続パイプ220及び第2後続パイプ230を、上記のように連結して構成した水抜き管250の動作を説明する。図9は、水抜き管250を地山20の法面から地中に圧入した状態を表す図である。水抜き管250は金属製であって高い剛性を有するから、先頭パイプ210の前端部211を地山の法面に向け、穿孔機械等を用いて第2後続パイプ230の第4端部232に圧力を加えて押し込むことにより、水抜き管250を地山20の地中に設置することができる。地山が一定の程度以上に固い場合を除き、予め地山を穿孔したりガイド管を設けたりする準備工程は不要である。
このとき上記の各パイプ卵形断面の曲率半径の大きい側の頂部及び曲率半径の小さい側の頂部をそれぞれ上方及び下方に向けることにより、先頭パイプ210の前端部211は、先端が突出している曲率半径の大きい側の頂部を上にして地中を進むことになる。したがって、先頭パイプ210が前進するのに伴い、前端部211には上向きの力が働く。また、図9における上下の向きに関して、実施例1の図5を参照して説明したのと同様に、先頭パイプ210は第1後続パイプ220に対して一定の範囲で可動であり、さらに第1後続パイプ220は第2後続パイプ230に対して一定の範囲で可動である。
その結果、水平面内で第2後続パイプ230の第4端部232に圧力を加えて水抜き管250を地山20の法面に向けて押し込むと、先頭パイプ210は次第に上方へ向かい、地山20の深部に向けて押し込まれるにつれて前端部211を上にして傾斜するようになる。第1端部221において先頭パイプ210に連結された第1後続パイプ220も地山20の深部に向けて押し込まれるにつれて第1端部221を上にして傾斜するようになり、さらに第3端部231において第1後続パイプ220に連結された第2後続パイプ230も地山20の深部に向けて押し込まれるにつれて第3端部231を上にして傾斜するようになる。
先頭パイプ210の前端部211は蓋部214で閉じられている(図9には図示せず。)から、水抜き管250の管内への土砂の進入及び堆積が防止される。第1後続パイプ220の第1端部221及び第2後続パイプ230の第3端部231をそれぞれを先頭パイプ210の後端部212及び第1後続パイプ220の第2端部222に挿入しているから、水抜き管150の地山20への圧入に伴ってパイプ間の各連結箇所から管内に土砂が入るのを防ぐことができる。
すなわち、図9に示したように、水抜き管250は先端部分を上にして傾斜すると共に後端部212及び第1端部221の連結箇所並びに第2端部222及び第3端部231の連結箇所のそれぞれで緩やかに屈折した状態で、地山20の地中に設置される。先頭パイプ210、第1後続パイプ220及び第2後続パイプ230にはそれぞれパイプの外側から内側へ貫通する水抜き孔213が複数設けられている(図9には図示せず。)から、地山20の地中の水分が水抜き孔213を通して水抜き管250の管内へ滲出する。
管内に滲出した水分は、実施例1と同様にして、水抜き管250の傾斜を下って第2後続パイプ230の第4端部232を経て地表に排出される。水抜き管250が卵形管の特徴を生かした排水性能を発揮する点も、実施例1と同じである。先頭パイプ210の前端部211は、切り刃状に形成された部位を含んでもよい。前端部211に必ずしも蓋部214が設けられず、例えば先頭パイプ210の一端において管を押しつぶすように加工して閉塞してもよい。
水抜き管用パイプセット200が追加後続パイプを含む場合は、水抜き管250の後端である第4端部232においてさらに1以上の追加後続パイプを連結してもよい。連結される追加後続パイプは、例えば実施例1の変形例に係る第2後続パイプ130と同じパイプでもよく、実施例2に係る第1後続パイプ220と実施例1の変形例に係る第2後続パイプ130を直列に連結したものであってもよい。
実施例1に係る水抜き管150及び実施例2に係る水抜き管250は、それらを構成するすべてのパイプに複数の水抜き孔113又は213が設けられたものとして説明した。しかし、水抜き管の全長にわたってある程度以上の数だけ水抜き孔が設けられるならば、必ずしもすべてのパイプに水抜き孔が設けられていなくてもよい。
実施例2によれば、後続パイプの数をふやして水抜き管の延伸を図る場合にも先頭を上方に向けて地中に設置することを容易にするという、付加的な効果が得られる。
20 地山
100、200 水抜き管用パイプセット
110、210 先頭パイプ
111、211 前端部
112、212 後端部
113、213 水抜き孔
114、214 蓋部
115 第1頂部
116 第2頂部
120、220 第1後続パイプ
121、221 第1端部
122、222 第2端部
130、230 第2後続パイプ
131、231 第3端部
132、232 第4端部
150、152、250 水抜き管

Claims (7)

  1. 長手方向に対して垂直な断面において第1の頂部の曲率半径が対向する第2の頂部の曲率半径よりも大きい卵形をなす複数の金属製パイプであって少なくとも1に前記パイプの外側から内側へ貫通する水抜き孔が設けられ、かつ、直列に連結されることにより水抜き管を構成することができる複数の金属製パイプからなる水抜き管用パイプセットにおいて、
    前記複数の金属製パイプの1であって前記長手方向に前端部と後端部を有し、前記前端部は閉じられると共に前記第1の頂部の側が前記第2の頂部の側よりも前記長手方向に突出してなる先頭パイプと、
    前記複数の金属製パイプの1であって前記長手方向に第1の端部と第2の端部を有すると共に前記第1の端部が前記後端部に挿入されることにより前記先頭パイプに連結されることができ、かつ、前記先頭パイプに連結されたとき前記第1の頂部及び前記第2の頂部において前記第1の端部の外周と前記後端部との間にそれぞれ所定の間隔を保つことができるように形成された第1の後続パイプを
    備えたことを特徴とする水抜き管用パイプセット。
  2. 前記複数の金属製パイプの1であって前記長手方向に第3の端部及び第4の端部を有すると共に前記第3の端部が前記第2の端部に挿入されることにより前記第1の後続パイプに連結されることができ、かつ、前記第1の後続パイプに連結されたとき前記第1の頂部及び前記第2の頂部において前記第3の端部の外周と前記第2の端部との間にそれぞれ所定の間隔を保つことができるように形成された第2の後続パイプを
    さらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の水抜き管用パイプセット。
  3. 前記第2の後続パイプは、前記第3の端部から前記第4の端部までの長さが前記第1の後続パイプの前記第1の端部から前記第2の端部までの長さよりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の水抜き管用パイプセット。
  4. 前記所定の間隔は、前記先頭パイプの後端部に前記第1の後続パイプの第1の端部を挿入したときの挿入の深さに相当する前記長手方向の長さに対して1.5パーセント以上の値としたことを特徴とする請求項に記載の水抜き管用パイプセット。
  5. 前記先頭パイプは、前記前端部を閉じるように取り付けられた蓋部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の水抜き管用パイプセット。
  6. 前記先頭パイプの前端部は切り刃状に形成された部位を含むことを特徴とする請求項1に記載の水抜き管用パイプセット。
  7. 長手方向に対して垂直な断面において第1の頂部の曲率半径が対向する第2の頂部の曲率半径よりも大きい卵形をなす複数の金属製パイプであって少なくとも1に前記パイプの外側から内側へ貫通する水抜き孔が設けられ、かつ、直列に連結されることにより水抜き管を構成することができる複数の金属製パイプからなる水抜き管用パイプセットのうち、前記長手方向に前端部と後端部を有し前記前端部は閉じられると共に前記第1の頂部の側が前記第2の頂部の側よりも前記長手方向に突出してなる先頭パイプの前記後端部に、前記複数の金属製パイプの1であって前記長手方向に第1の端部と第2の端部を有すると共に前記第1の端部が前記後端部に挿入されることにより前記先頭パイプに連結されることができ、かつ、前記先頭パイプに連結されたとき前記第1の頂部及び前記第2の頂部において前記第1の端部の外周と前記後端部との間にそれぞれ所定の間隔を保つことができるように形成された第1の後続パイプの前記第1の端部を挿入し、
    前記先頭パイプ及び前記第1の後続パイプを含む前記複数の金属パイプを直列に連結して前記水抜き管を構成し、
    前記水抜き管を、前記第1の頂部及び前記第2の頂部をそれぞれ上方及び下方に向けると共に地山に対して前記先頭パイプから順に挿入する向きに向け、
    前記水抜き管を前記地山に挿入する向きに沿って前記地山の地中に圧入する
    ことを特徴とする水抜き管の設置方法。
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