JP2002322635A - 多数の透水孔を設けた暗渠用土管 - Google Patents

多数の透水孔を設けた暗渠用土管

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JP2002322635A
JP2002322635A JP2001125672A JP2001125672A JP2002322635A JP 2002322635 A JP2002322635 A JP 2002322635A JP 2001125672 A JP2001125672 A JP 2001125672A JP 2001125672 A JP2001125672 A JP 2001125672A JP 2002322635 A JP2002322635 A JP 2002322635A
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clay
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Masashi Oda
正志 織田
Tatsuro Kusaka
達朗 日下
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ORITA TOKAN KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容易に敷設でき、しかも、接合部の間隙を維
持するためのスペーサーの必要のない暗渠用土管を提供
すること。 【解決手段】 導水管部に多数の透水孔を設けたことを
特徴とする暗渠用土管。導水管部の外周面に管軸芯に平
行に複数の導水溝を設け、該導水孔に透水孔を設けたこ
とを特徴とする。円筒状の導水管部と、該導水管部の一
端に連設し、連結対象とする導水管部の端部が挿入可能
な連結用受け口部とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業の属する技術分野】本発明は、水除去性能を向上
させた土管に関し、詳しくは、地中に埋設して、湿田の
乾田化、果樹園の排水、競技場・ゴルフ場・テニスコー
ト等スポーツ施設の排水、等に用いる土管に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の暗渠用土管は、導水管部の一端に
連結用受け口部を連設してなる合成樹脂製の管体あるい
は土管であり、土管の場合でも地中の除水作用は専ら導
水管部の表面からの水浸透吸水作用に依存するものであ
ったので、除水の能力性に欠け、十分な除水作用を奏す
るものではなかった。また、上記欠点を解消した、管の
外表面に襞状に導水部を形成し、該導水部に集まった地
中水分を、導水管部分の外表面に沿って流れさせる、こ
れを各管の連結部分から管内に流入させるものがあっ
た。
【0003】しかも、上記従来のものは、土管は吸水性
に乏しいため、管内への余剰地下水の流入は土管の接合
部分から行うため、連結部に間隙を形成する一定の間隙
を形成するために管の端部に間隙形成用の突起を形成す
るか、接合部に別体のスペーサを介在させる必要があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、容
易に敷設でき、しかも、接合部の間隙を維持するための
スペーサーの必要のない暗渠用土管を提供することを課
題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、導水管部に多
数の透水孔を設けたことを特徴とする暗渠用土管を要旨
としている。
【0006】導水管部の外周面に管軸芯に平行に複数の
導水溝を設け、該導水孔に多数の透水孔を設けたことを
特徴としており、その場合、本発明は、導水管部の外周
面に管軸芯に平行に複数の導水溝を設け、該導水孔に多
数の透水孔を設けたことを特徴とする暗渠用土管を要旨
としている。
【0007】円筒状の導水管部と、該導水管部の一端に
連設し、連結対象とする導水管部の端部が挿入可能な連
結用受け口部とからなり、その場合、本発明は、円筒状
の導水管部と、該導水管部の一端に連設し、連結対象と
する導水管部の端部が挿入可能な連結用受け口部とから
なる暗渠用土管であって、導水管部に多数の透水孔を設
けたことを特徴とする暗渠用土管を要旨としている。ま
たは、本発明は、円筒状の導水管部と、該導水管部の一
端に連設し連結対象とする導水管部の端部が挿入可能な
連結用受け口部とからなる暗渠用土管であって、導水管
部の外周面に管軸芯に平行に複数の導水用溝を設け、該
導水用溝に透水孔を設けたことを特徴とする暗渠用土管
を要旨としている。
【0008】
【実施の形態】土管は粘土またはせっ器粘土系の原料を
配合して成型し、乾燥して窯によって焼成したもので、
焼き締めの温度と粘土材料の種類によって陶管と素焼き
土管を区別して呼んでいる。素焼き土管は、1000℃
以下であり、通常600〜800℃程度で焼成され、し
たがって焼き締めも悪く粗面多孔質で吸水率が大きい
が、圧縮強度は低い、一般に素焼き土管とか単に土管と
呼ばれているのはこの種の物であり、無釉である。陶管
は、1000℃以上の高温で焼成しているので、品質が
硬く、金属音の発生する程焼き締められている。通常吸
水率は10%以下で圧縮強度はJIS1201に定めら
れ、釉は石灰灰、マンガン釉などを施していて、主に下
水道管として使用され、管厚、圧縮強度によって並陶管
と厚陶管に区分されている。また一部無釉のものもあ
る。暗渠用土管は、耐圧強度が1000kg/m以上で
あって割れにくいことが大切である。暗渠用土管には焼
き締め管の周囲に溝を付け自然に水が集まりやすく排水
能力を良くした溝付き土管も用いられている。
【0009】本発明の実施の形態を説明する。図1
(a)は本発明の1実施例の断面図であり、暗渠用土管
10は、円筒状の導水管部11と、該導水管部11の一
方の端部に連設され、連結対象とする導水管部11の端
部が挿入可能とする拡大口径を有している連結用受け口
部12と、導水管部11に設けた透水孔13とで構成さ
れている。
【0010】図1(b)は本発明の他の実施の形態にお
ける断面図であり、溝付き暗渠用土管20は、円筒状の
導水管部21と、該導水管部21の一方の端部に連設さ
れ、連結対象とする導水管部21の端部が挿入可能とす
る拡大口径を有している連結用受け口部22と、導水管
部21の外周面全体に、導水管部21の末端に達する多
数の導水用溝24を設け、該導水溝24内に設けた透水
孔23とで構成し、施工後、導水溝に集まった地中水分
は、透水孔23と溝を伝って接合部から管内に流入する
ようにしたものである。図2は、図1(b)の溝付き土
管の透水孔の配置例を説明する図面である。正面図およ
び側面図から明らかなように、土管の片面に9個配置し
た例である。孔径は約5mm程度とした。
【0011】
【作用】土管は孔を有することによって、孔に排水を集
め易くし水みちの形成を促進させる。さらに孔口にアー
チ構造を形成し、層を成すことによって被覆材と同等の
効果をなし、排水性を向上させたと考えられる。これは
連続排水および間断排水双方の場合においても言えるこ
とであり、孔開き土管は現地圃場においてもすぐれた排
水性が期待できる。さらには孔からの土粒子の流入も、
ほとんどないので孔無し土管と同等の耐用性があると考
えられ、暗渠としての機能・実用性を土砂の堆積によっ
て損なわないということが、実施例の測定結果より明ら
かである。排水量および土管内への流入土砂量が極めて
少ないことから、孔開き土管は排水性、持続性および土
砂流入防止機能を有し、実用的な土管暗渠といえる。
【0012】溝付き土管(ストライプ型土管)は、表面
あるいは土層中の水が浸透して土管の表面に達した後に
は、浸透水は土管の表面に沿って流動し、土管の継ぎ目
(ソケット部)から外部に向かって排水される。この場
合、土管壁面と土壌とが密接にくっついていると水の流
動性は悪くなる。ストライプ型土管は壁面に深いミゾが
あるため、無被覆材の場合でも、土管敷設後の埋め戻し
土壌がミゾ部の中まで入りにくいため、壁面での水の流
動は極めてスムーズである。一方、素焼き土管(表面に
ミゾのない土管)では埋め戻し土壌が直接土管壁面に密
着し易いため、土管壁面での水の流動は困難となる。し
たがって、同じ土で製造した暗渠(土管)を使用する場
合、ストライプ管のほうが溝なし土管に比べてかなり優
れているといえる。
【0013】
【実施例】本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発
明はこれら実施例によって何ら限定されるものではな
い。
【0014】実施例 実験1 本発明の孔開き土管を用いた暗渠排水の実験を室内で行
うために図3および図4に示す装置を用いた。この装置
は、水槽と土管で形成されており水槽は鉄枠製で、寸法
が高さ90cm、横幅220cm、奥行き60cm、奥
行きの一面のみガラス張りである。本実験では、水槽を
2つに分け、それらの水槽をA・Bとした。A水槽の中
心に孔開き土管を埋設し、B水槽の中心に孔無し土管を
埋設した。埋設深は土層表面から60cmとした。ま
た、孔開き土管の周辺5cmには5mmふるいを通過し
た土壌を図5のように孔開き土管の下部と周囲5cmに
埋設した。暗渠の勾配は1/100〜1/600が適切
とされるが、水槽の大きさによる制限を考慮して、基準
値の中で最も大きな値の1/100の勾配を採用した。
暗渠の中央と奥側に小さな木の台を設け、暗渠周辺を固
定できるように孔開き土管を設置した(図6)。実験に
は、山口大学農学部附属農場畑地で採取した土壌を用い
た。孔開き土管を埋設したA水槽は図5に示したよう
に、土管の周り5cmに5mmふるい通過土壌を、その
周囲と土層表面までは10mm通過土を使用した。B水
槽には10mm通過土のみを使用した。使用土壌の諸元
を表1に、図7に供試土壌の粒径加積曲線を示した。
【0015】
【表1】
【0016】《実験手順》 AおよびBの水槽ともに、暗渠管の継ぎ手部が水槽の
中央にくるように土台を設置し、水槽の穴と暗渠管の接
続部およびAとBの水槽間の仕切り板にシリコンボンド
を注入し壁面からの水漏れがないように接着した。 水槽Aは、孔開き土管を中心に周囲5cmの厚さに5
mmふるい通過土壌を埋設し、その他の部分は10mm
ふるい通過土壌を埋設した。土壌埋設途中に、何度か足
で踏み固め、最終的に水槽の底から80cmの深さにな
るように土壌を詰めた。 水槽Bは供試土壌をある程度入れたら踏み固め、その
上にまたいくらか土を入れて踏み固めることを繰り返
し、最終的には均等の密度になるように80cm深さに
詰めた。 上部からの給水は、初期湛水深が50mmになるよう
に計算し、A,B両水槽に33.0リットル、合計6
6.0リットルを同時に入れ、この時の時刻を実験開始
時刻とした。 実験開始から10分毎の排水を容器で受け、排水量を
測定した。10分毎の測定は実験開始から、240分ま
で行い、その後は大きな容器で受け、24時間後に排水
量を測定し、1日排水量も測定できるようにした。 実験の目標を達成するまでは土壌を替えることなく
〜の手順の実験を繰り返し、排水量の変化が一定にな
るまで行った。
【0017】《吸排水量実験の結果》暗渠管からの排水
量を流出水量(ml/10min)とし、第1軸の縦軸に棒グ
ラフで表し、給水量に対する加積流出水量を排水効率
(%)とし、第2軸の縦軸に折れ線グラフで表した。連
続排水実験による孔開き土管暗渠の排水量と孔無し土管
暗渠の排水量の経時的変化をまとめ、図8〜図14に示
した。間断排水実験による孔開き土管暗渠と、孔無し土
管暗渠の排水量の経時的変化をまとめ、図15〜図18
に示した。連続排水の場合 10月10日から11月11日までの排水形態を示す実
験データを見ると、日時の進行に応じて、流出水量の変
化・排水効率が安定してきている。土層鉢を通して連続
排水を行っているので、土壌は表面部分を除いて土壌水
分は24時間を通してほぼ飽和状態にあり、土層の浮き
沈みもなく、体積の収縮は生じにくいようであった。孔
開き土管暗渠の排水量の経時的変化については、実験開
始後約50分にピークがくる傾向にある。ピークまでの
50分間に約25%の排水効率を示し、比較的速やかに
排水が行われている。ピークを過ぎると排水量は次第に
減少していくが、240分後の排水効率は80〜90%
と高い数値を示した。また、24時間後では、90〜1
00%の排水効率となっている。この理由は、孔開き土
管の孔口周辺にアーチ構造が形成され、排水性を促進さ
せたことと、孔口と水みちが連結して排水性が向上した
可能性も考えられた。孔無し土管暗渠の排水量の経時的
変化については、実験の初期には突出したピークがあり
顕著である。この理由は、初期の実験期間では、これま
での実験のように、乾燥条件を設けた場合と同様とな
り、排水量がピークを持ったと考えられる。その後実験
を連続的に行うに応じて突出したピークがなくなり、こ
れはピーク時の排水量の減少傾向からも確認できる。そ
の後は排水性は比較的緩やかとなり、実験開始後約50
分から140分まで比較的安定した排水状態を示す。排
水量の突出したピークは無いが、流出水量のピークを5
0分と仮定すると、ピークまでの排水量は約20%であ
る。また240分後の排水効率も約60%となってお
り、孔開き土管暗渠と比べて排水量は少ない。24時間
排水効率についても約85%と孔開き土管と比べてかな
り少ない値となっている。間断排水の場合 1日間断:間断期間を1日設けた実験では、ピークに達
するまでの時間が実験開始後約40分となっており、連
続排水を行い安定してきた排水傾向よりもピークまでの
時間が速くなっている。また、1440分での排水効率
は、孔開き土管の方が高い数値を示しているが、両暗渠
ともに同じような排水性を示している。 3日間断:間断期間を3日設けた実験では、孔開き土管
は間断期間1日の実験による排水とほぼ同じ傾向となっ
ている。孔無し土管の方は、緩やかな山状の排水傾向を
示しており、連続排水実験のときの安定した排水性と似
た傾向を示した。これは、間断期間3日の間に十分に土
壌が乾燥しなかったために、連続排水と同じような傾向
になったと考えられる。 5日間断:間断期間を5日設けた実験では、両暗渠とも
に突出したピークが実験開始後60分にあり、これは連
続排水で安定した排水傾向においては見られない傾向で
あった。両暗渠ともにピークまでの排水効率は、実験開
始後240分の排水効率の約半分を示しており、排水性
は優れているといえる。 10日間断:間断期間を10日設けた実験においても、
両暗渠ともに突出したピークがあった。間断期間を5日
設けた実験とほぼ同じ傾向であるが、ピークが現れる時
間が実験開始後30分となっており、若干早くなってい
る。
【0018】図15〜図18を見ると、間断期間を設け
た実験においては、両暗渠ともに排水量はピークまでの
時間が速くなっているが、排水効率を比べてみると、孔
開き土管暗渠の方が間断期間の日数に関係なく、排水効
率では極めて優れている。ピークまでの時間が速くなる
理由としては間断期間中に土層が不飽和の状態となり、
体積変化が生じて排水されやすい状態となったと考えら
れる。また、連続排水の場合よりも排水効率は低下して
いる。この理由は、表2(A、B水槽の含水比日変化)
を見ると、含水比の日変化は日数の経過と伴に低下して
おり、それだけ土壌に水が染み込み易い状態となったた
めと考えられる。
【0019】
【表2】 ───────────────────────────────── 両水槽の 1日後の 3日後の 5日後の 10日後の 含水比日変化 含水比 含水比 含水比 含水比 ───────────────────────────────── A水槽 32% 31% 28% 28% B水槽 *33% 30% 28% 28% ───────────────────────────────── 注1 *は最大値49%と最小値16%の平均値 注2 含水比試験は、A水槽とB水槽の各点を土層表面から30cmの部分か ら採取した土壌を使用した。各地点において含水比にばらつきがあり、この試験 結果が土層全体の含水比を示すとは言えないが、日変化において含水比の低下は 確認できた。また、連続排水時の含水比はA水槽が61%、B水槽が65%とな った。
【0020】間断期間1日の場合では、1440分後の
排水効率が孔開き土管約80%に対して孔無し土管約6
5%、間断期間3日の場合は約80%に対して約60
%、間断期間5日の場合は、約70%に対して約50
%、間断期間10日の場合は約67%に対して約47%
となっていて、いずれも孔開き土管の排水効率の方が高
い値となっている。この理由は、B水槽の方がA水槽よ
りも含水比が高かったことからB水槽の方は水みちの連
結が不十分で、それだけ土壌が水を吸収し十分に排水さ
れなかったものと考えられる。そこで、土壌吸収水分量
を差し引いてグラフにしたのが図19〜図22である。
グラフを見ると、土壌吸収水分量を差し引いた場合にお
いても、間断期間の日数に関係なく1440分後の排水
効率は孔開き土管の方が孔無し土管よりも排水効率が良
好である。このことから、孔開き土管は孔無し土管より
排水性が優れていると云えよう。間断期間を設けない実
験と比較すると、両暗渠ともに240分後の排水効率の
約半分をピークまでに排水している。連続排水において
は約1/3を示したことと比較すると、排水の速さはか
なり増加している。この理由としては、それまで飽和状
態であった土壌が間断期間中に乾燥し不飽和となり土層
に体積変化が生じたことと、湛水させることでできた間
隙を通って、水が流れることを繰返し水みちを形成し、
暗渠管へ短時間で排水される状態となり、それを維持し
ているからだと考えられる。これは孔開き土管、孔無し
土管という暗渠間の差に関係ないようであり、乾燥期間
を設ければ排水されやすい状態になり排水が速くなる傾
向が見られる。以上の傾向は、これまでの室内暗渠排水
実験の結果と似ていることから、本実験においても同じ
ようなメカニズムで水みちが十分に形成されたものと推
定される。現地圃場では連続降雨ばかりではないので、
現地の暗渠排水は室内の間断期間を設けた実験に近い状
態を示すことが大部分である。従って、本実験の結果か
ら、孔開き土管が現地圃場においても、孔無し土管の弱
点をカバーして、より有効に活用できるのではないかと
考えられる。
【0021】実験2 《孔開き土管の孔口周辺に生じるアーチ構造》アーチ構造の概要と排水効果 実施例1では、孔開き土管を用いて暗渠排水を行うにあ
たり、孔口の周囲に孔の直径と同様の5mmふるい通過
土壌を使用した。したがって、孔口から粒径5mm未満
の土粒子が土管内へ流入すると考えるのが普通である。
そこで、土粒子が土管へ堆積する状況から、アーチ構造
の形成についての検討を試みた。連続排水の場合、アー
チ構造が形成されるまでは排水により孔口周辺の比較的
粒径の小さい土粒子が孔口から土管内に流入する。比較
的大きい粒径5mm未満の土粒子は排水により、孔口周
辺で図23に示した概略図のようにスクラムを組んでア
ーチ状に重なり合い、土粒子が土管内に流入せず、また
間隙量も大きいので透水し易い状態になると考えられ
る。この重なりが何層にも拡がっていくことにより、フ
ィルター材の代わりの機能を果たし、排水性が優れるの
ではないかと思われる。間断排水の場合、乾燥期間を設
けることで一度形成されたアーチ構造が維持されている
のかどうかを、排水の持続性と土管内の堆積土砂量によ
ってこの疑問点の解明を試みた。
【0022】《土管内への流入土砂量》計測方法 これまでの研究報告から、1回の排水で流出する土砂量
は微量であり排水とともに流出してくる微粒子は暗渠管
内に堆積しないだろうと考えられた。そこで、25回の
吸排水実験の後に暗渠管内に付着して残留している土砂
量を、土管内に水を流して土砂を流出させ計測すること
にした。孔無し土管暗渠についても、比較のため同様に
土管内に水を流し土砂を流出させることにした(図2
4)。計測方法は、孔開き土管と孔無し土管の内部にホ
ースを通して、暗渠管の水槽の表面に密接した部分から
流水し、暗渠管内に溜まった土砂を水と一緒に取り出す
こととした。この水を、1日置いて土砂を沈降させてか
ら、上部の水を取り出し、残りを炉乾燥させて、土砂量
を計測した。
【0023】《流入土砂量の測定結果》暗渠内の土砂を
含んだ流水を容器で受け止め、それを1日ほど放置して
おき土砂を堆積させた。その上部の水を、土砂をかき混
ぜないようにして取り出し、残った土と土砂を炉乾燥さ
せて、土砂の量を計測した。孔開き土管の内部に溜まっ
ていた土砂量はわずか0.5gで、孔無し土管内部の内
部に溜まっていた土砂量は計測上0.0gであった。ま
た、この土砂量は吸排水実験を25回行った後に測定し
たものであり、単純に計算して、1回の排水で0.02
gの土砂の流出量に相当する。両暗渠管ともに限りなく
微量であり、土砂が流出していないに等しいと言えよ
う。本計測結果より、孔開き土管の孔からの土壌の流出
は考えなくても良いようである。
【0024】《アーチ構造により排水性および流入土砂
防止効果》これまでに述べたように、本実験では孔開き
土管の直径5mmの孔口から粒径が5mm未満の土砂が
土管内へほとんど流入しなかった。この理由は比較的大
きい粒径5mm未満の土粒子が排水により孔口周辺でス
クラムを組んでアーチ状に重なり合い、排水により孔口
周辺の比較的粒径の小さい土粒子が孔口から土管内に流
入しなかったものと考えられる。このことは、アーチ構
造の優れた特性を示しており、アーチ構造が形成された
ことの証明となろう。吸排水実験の結果では、孔開き土
管の排水性は優れていた。この理由はアーチ構造が何層
にも重なり合った土層は間隙量が大きいので透水し易い
状態になり、アーチ構造の優れた特性を示したものと云
える。ブリッジを構成する土粒子間の間隙量が大きいこ
とと、孔口周辺にブリッジを何層にも土粒子がスクラム
を組んで形成されることで被覆材の代わりとなり、被覆
材を用いなくても優れた排水効果が持続される。さら
に、孔を有することによって排水が集まり易くなること
から、水みちの形成を促進させる。その効果により、孔
開き土管の排水性が優れたものと考えられる。排水量お
よび土管内への土砂量の流入実験結果により、孔開き土
管はアーチ構造を形成し、優れた特性を持つことが証明
された。このことから、孔開き土管は排水性、持続性お
よび土壌流入状態において実用的な土管暗渠と云えよ
う。
【0025】
【発明の効果】導水管部に多数の透水孔を設けたので、
土地の余剰水分の吸収除去を、土管による浸透吸水作用
と透水孔による直接流入との二経路による除水作用とに
よるので、従来のもののように土管の浸透吸水作用だけ
に依存していたものに比較して浄水効果が向上する。
【0026】導水管部の外周面全体に多数の導水用溝を
形成し、該導水用溝に透水孔を設けたので、大量の地中
水分の直接流入が可能であり、また、導水管部の外周表
面積が増大し単なる筒状のものに比較して水浸透面が広
くなるので、地中水分の多い土地における排水にも用い
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の暗渠用土管の(a)溝なし土管、
(b)溝付き土管の断面図である。
【図2】図1(b)溝付き土管の透水孔の配置例を説明
する図面である。
【図3】実施例の実験装置の概要(水槽の正面ガラス方
向)を説明する図面である。
【図4】実施例の実験装置の概要(水槽の側面方向)を
説明する図面である。
【図5】孔開き土管の埋設概要を説明する図面である。
【図6】暗渠管の設置状況を説明する図面である。
【図7】供試土壌の粒径加積曲線を示す図面である。
【図8】両暗渠の排水量経時変化比較(11月5日)を
示す図面である。
【図9】両暗渠の排水量経時変化比較(11月6日)を
示す図面である。
【図10】両暗渠の排水量経時変化比較(11月7日)
を示す図面である。
【図11】両暗渠の排水量経時変化比較(11月8日)
を示す図面である。
【図12】両暗渠の排水量経時変化比較(11月9日)
を示す図面である。
【図13】両暗渠の排水量経時変化比較(11月10
日)を示す図面である。
【図14】両暗渠の排水量経時変化比較(11月11
日)を示す図面である。
【図15】間断期間1日の両暗渠の排水量経時変化比較
を示す図面である。
【図16】間断期間3日の両暗渠の排水量経時変化比較
を示す図面である。
【図17】間断期間5日の両暗渠の排水量経時変化比較
を示す図面である。
【図18】間断期間10日の両暗渠の排水量経時変化比
較を示す図面である。
【図19】土壌水分量を差し引いた間断期間1日の両暗
渠の排水量経時変化比較を示す図面である。
【図20】土壌水分量を差し引いた間断期間3日の両暗
渠の排水量経時変化比較を示す図面である。
【図21】土壌水分量を差し引いた間断期間5日の両暗
渠の排水量経時変化比較を示す図面である。
【図22】土壌水分量を差し引いた間断期間10日の両
暗渠の排水量経時変化比較を示す図面である。
【図23】アーチ構造の概略図である。
【図24】実施例の実験概略図である。
【符号の説明】
10 暗渠用土管 11 導水管部 12 連結用受け口部 13 透水孔 20 溝付き暗渠用土管 21 導水管部 22 連結用受け口部 23 透水孔 24 導水用溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2D063 AA12 BA01 BA22 3H111 AA01 BA09 DA26 DB05 DB17 EA02 EA12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導水管部に多数の透水孔を設けたことを
    特徴とする暗渠用土管。
  2. 【請求項2】 導水管部の外周面に管軸芯に平行に複数
    の導水溝を設け、該導水孔に透水孔を設けたことを特徴
    とする請求項1の暗渠用土管。
  3. 【請求項3】 円筒状の導水管部と、該導水管部の一端
    に連設し、連結対象とする導水管部の端部が挿入可能な
    連結用受け口部とからなる請求項1または2の暗渠用土
    管。
JP2001125672A 2001-04-24 2001-04-24 多数の透水孔を設けた暗渠用土管 Pending JP2002322635A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5864013B1 (ja) * 2015-06-03 2016-02-17 日工産業株式会社 水抜き管用パイプセット及び水抜き管の設置方法

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