JP5863527B2 - 3−ブテン−1−オールの製造方法 - Google Patents

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本発明は、3−ブテン−1−オールの製造方法に関する。本発明の方法により得られる3−ブテン−1−オールは、医薬品、農薬、香料、各種化学品、樹脂などの原料として有用である。
3−ブテン−1−オールの製造方法としては、例えばホルムアルデヒドとホルムアルデヒドに対して約6倍モルのプロピレンを、310℃で反応させる方法(特許文献1参照)、1,4−ブタンジオールとパルミチン酸を、常圧下、330〜345℃で反応させる方法(特許文献2参照)、テトラヒドロフラン中、パラジウム化合物、第三級ホスフィンおよびトリアルキルアミンの存在下に、3,4−エポキシ−1−ブテンとギ酸を55℃で反応させる方法(特許文献3参照)、パラジウム化合物、第三級有機リン化合物、ギ酸の第三級アミン塩および溶媒の混合物に、2−ブテン−1,4−ジオール、ギ酸を断続的または連続的に添加し、生成物を連続的に留出させながら反応させる方法(特許文献4参照)などが挙げられる。
米国特許第3,574,773号明細書 特開昭55−100326号公報 特表2002−509125号公報 特開2005−154288号公報
特許文献1に記載の方法は、大過剰のプロピレンを使用することに加え、反応温度が非常に高く、工業的に不利という問題がある。特許文献2に記載の方法は、特許文献1と同様、反応温度が非常に高く、また収率も低い問題点がある。特許文献3に記載の方法は、良好な収率で目的とする3−ブテン−1−オールが得られているものの、バッチ式であるため、必ずしも生産性に優れているとは言い難い。また、反応終了後、反応混合液を蒸留する際に3−ブテン−1−オールから2−ブテン−1−オールへの異性化が起こることを抑制するため、30%過酸化水素及び/又は塩化第二銅を添加することによりパラジウム化合物由来の触媒を失活させており、触媒を再使用することができないため、製造コストが高くなる問題がある。特許文献4に記載の方法では、3−ブテン−1−オールの選択性の観点から、第三級有機リン化合物としてトリイソプロピルホスフィン、トリn−ブチルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンが好ましいとされている。これらのトリアルキルホスフィンを用いて実際に反応を行うと、目的とする3−ブテン−1−オールは70%程度の収率で得られるが、クロトンアルデヒドが15〜20%副生してしまう。クロトンアルデヒドは3−ブテン−1−オールと沸点が近く、単なる蒸留では分離除去するのが困難であるため、特許文献4の方法では、3−ブテン−1−オールおよびクロトンアルデヒドを含む生成物にアミンを加えてクロトンアルデヒドとアミンを反応させることにより高沸点のイミンを生成させ、次いで蒸留することで除去している。かかる方法は除去操作が煩雑であるため、工業的にはなお改良の余地があった。
しかして、本発明の目的は、3−ブテン−1−オールを好収率かつ安価で、工業的に有利に製造し得る方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特許文献4に記載の方法において、第三級有機リン化合物として第三級芳香族リン化合物を用いると、驚くべきことに目的生成物である3−ブテン−1−オールの収率が80%近く、場合によっては85%と大幅に向上し(後述の実施例参照)、またクロトンアルデヒドの副生を4%以下と大幅に低減できることをつきとめ、特許文献4における、生成物にアミンを混合してクロトンアルデヒドと高沸点イミンを生成させてから蒸留分離する工程を省略可能なことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
〔1〕パラジウム化合物、第三級芳香族リン化合物、ギ酸の第三級アミン塩および溶媒の混合物に、2−ブテン−1,4−ジオール、ギ酸、および必要に応じて第三級芳香族リン化合物を断続的または連続的に添加し、水および3−ブテン−1−オールを含む生成物を連続的に留出させながら反応させることを特徴とする3−ブテン−1−オールの製造方法;
〔2〕ギ酸の第三級アミン塩を形成する第三級アミンおよび溶媒が、3−ブテン−1−オールよりも30℃以上高い沸点を有する、〔1〕の3−ブテン−1−オールの製造方法;
〔3〕反応系内のギ酸およびその第三級アミン塩の存在量が、反応系内に添加した第三級アミンが有する窒素原子に対して0.05〜1倍モルの範囲である、〔1〕または〔2〕の3−ブテン−1−オールの製造方法;
〔4〕第三級芳香族リン化合物を、パラジウム化合物中のパラジウム原子に対して、2〜100倍モルの範囲になるよう反応系内に断続的または連続的に添加しながら反応させる、〔1〕〜〔3〕のいずれかの3−ブテン−1−オールの製造方法;および、
〔5〕パラジウム化合物および第三級芳香族リン化合物を予め混合して調製した触媒組成物を反応系に添加する、〔1〕〜〔4〕のいずれかの3−ブテン−1−オールの製造方法;
を提供することにより達成される。
本発明によれば、医薬品、農薬、香料、各種化学品、樹脂などの原料として有用な3−ブテン−1−オールを好収率かつ安価で、工業的に有利に製造することができる。
本発明の方法は、パラジウム化合物、第三級芳香族リン化合物、ギ酸の第三級アミン塩および溶媒の混合物に、2−ブテン−1,4−ジオール、ギ酸、および必要に応じて第三級芳香族リン化合物を断続的または連続的に添加し、水および3−ブテン−1−オールを含む生成物を連続的に留出させながら反応させることを特徴とする3−ブテン−1−オールの製造方法である。
本発明の方法で使用するパラジウム化合物としては、例えば酢酸パラジウム、炭酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトナート、塩化パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムアセテート、π−アリルパラジウムクロリド、π−アリルパラジウムアセテート、ビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられる。パラジウム化合物の使用量に特に制限はないが、反応混合液1リットルに対して、パラジウム原子換算で0.01〜100ミリモルの範囲であるのが好ましく、0.01〜50ミリモルの範囲であるのがより好ましい。
本発明の方法で使用する第三級芳香族リン化合物としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(m−トリル)ホスフィン、トリス(p−クロロフェニル)ホスフィン、トリス(p−フルオロフェニル)ホスフィン、トリ(1−ナフチル)ホスフィン、トリス(o−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィンなどが挙げられる。第三級芳香族リン化合物の使用量は、パラジウム化合物中のパラジウム原子に対して、通常、2〜100倍モルの範囲であるのが好ましく、2〜50倍モルの範囲であるのがより好ましい。
本発明の方法を連続的に長時間行う場合、上記した第三級芳香族リン化合物は、その少なくとも一部が反応系内で酸化されて、それによりパラジウム化合物および第三級芳香族リン化合物から形成される触媒組成物の触媒活性が低下する傾向にある。そのため、本発明の方法を実施するにあたり、第三級芳香族リン化合物の減少量に相当する量の第三級芳香族リン化合物を、適宜、反応系内に断続的または連続的に添加するのが好ましい。なお、反応系内における第三級芳香族リン化合物の減少量は、反応系内から反応液を一部抜き取り、ガスクロマトグラフィーにより測定することで把握できる。
上記した第三級芳香族リン化合物の添加方法に特に制限はなく、反応系内に断続的に添加してもよいし、連続的に添加してもよい。かかる第三級芳香族リン化合物の添加量は、反応系内における第三級芳香族リン化合物の量が、パラジウム化合物中のパラジウム原子に対して2〜100倍モルの範囲となるよう調整するのが好ましく、2〜50倍モルの範囲となるよう調整するのがより好ましい。
本発明の方法で使用するギ酸の第三級アミン塩は、ギ酸と第三級アミンを混合することにより得られる。第三級アミンは、生成物である3−ブテン−1−オールとの分離容易性の観点から、3−ブテン−1−オールよりも30℃以上沸点が高いことが好ましく、50℃以上沸点が高いことがより好ましい。かかる第三級アミンとしては、例えばN−メチルジブチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−メチルジオクチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソオクチルアミン、トリイソデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、トリデシルアミン、N,N−ジメチルミリスチルアミン、N,N−ジメチルパルミチルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアニリンなどのモノアミン;ジピペリジノメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチル−1,3−プロパンジアミンなどのジアミン;N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミンなどのトリアミン;1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミンなどのテトラアミンなど挙げられる。これらの中でも、第三級アミンとしては、ジアミン、トリアミン、テトラアミンを使用するのが好ましい。
本発明の方法で使用するギ酸は、通常、工業的に入手容易な76〜95質量%ギ酸水溶液をそのまま使用することができる。ギ酸は反応の進行に伴い消費されるので、消費された分のギ酸を2−ブテン−1,4−ジオールと共に反応系内に添加しながら反応を行う。ギ酸の添加方法に特に制限はなく、反応系内に断続的に添加してもよいし、連続的に添加してもよい。ギ酸を反応系内に断続的または連続的に添加する際に、反応系内のギ酸の存在量は、パラジウム化合物および第三級芳香族リン化合物から形成される触媒組成物の安定性の観点から、反応系内に仕込んだ第三級アミンが有する窒素原子に対して0.05〜1倍モルの範囲であるのが好ましく、0.1〜0.8倍モルの範囲であることがより好ましい。反応系内のギ酸の存在量が反応系内に仕込んだ第三級アミンが有する窒素原子に対して1倍を超えると、パラジウム化合物および第三級芳香族リン化合物から形成される触媒組成物が触媒活性を失う傾向にあり、長期にわたって反応を行うことが困難になる。なお、反応系内で消費されたギ酸の量は、反応系内から反応液の一部を抜き取り、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いた電位差滴定法により定量できる。
本発明の方法は、溶媒の存在下に行う。溶媒を使用しない場合には、パラジウム化合物および第三級芳香族リン化合物から形成される触媒組成物が安定化されず、反応を長期にわたって実施するのが困難である。本発明の方法で使用できる溶媒は、生成物である3−ブテン−1−オールとの分離容易性の観点からは、3−ブテン−1−オールよりも30℃以上沸点が高いことが好ましく、50℃以上沸点が高いことがより好ましい。かかる溶媒としては、例えばエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド;メチルスルホンなどのスルホン;スルホランなどが挙げられる。これらの溶媒は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
溶媒の使用量は、反応混合液全量に対して、通常、10〜90質量%の範囲であるのが好ましく、20〜80質量%の範囲であるのがより好ましく、30〜70質量%の範囲であるのがさらに好ましい。
本発明の方法における反応温度は、50〜180℃の範囲であることが好ましく、100〜150℃の範囲であることがより好ましい。また、反応圧力に特に制限はなく、減圧下、常圧下、加圧下のいずれでも実施できる。また、本発明の方法は第三級芳香族リン化合物の酸化を抑制する観点から、窒素、アルゴンなどの反応に不活性な気体の雰囲気下に実施するのが好ましい。
本発明の方法において、パラジウム化合物および第三級芳香族リン化合物から形成される触媒組成物は、反応系内にパラジウム化合物と第三級芳香族リン化合物を添加、攪拌することにより調製することもできるし、パラジウム化合物および第三級芳香族リン化合物を反応に用いる溶媒と同種類の溶媒を用いて予め混合して調製し、反応系に添加してもよい。後者の場合、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、溶媒にパラジウム化合物および第三級芳香族リン化合物を添加し、攪拌混合して溶解させる。温度は10〜150℃の範囲が好ましく、50〜100℃の範囲がより好ましい。攪拌時間は、通常、5分〜10時間の範囲が好ましく、30分〜5時間の範囲がより好ましい。なお、触媒組成物調製の際に熟成を行うと、3−ブテン−1−オールの選択性がさらに向上する。
本発明の方法では、パラジウム化合物、第三級芳香族リン化合物、ギ酸の第三級アミン塩及び溶媒の混合物の存在する反応系内に、2−ブテン−1,4−ジオール、ギ酸及び必要に応じて第三級芳香族リン化合物を断続的または連続的に添加して2−ブテン−1,4−ジオールとギ酸の第三級アミン塩を反応させる際、水および生成した3−ブテン−1−オールを含む生成物(他に、2−ブテン−1−オール、クロトンアルデヒドおよびその他の低沸点副生成物を含み、以下これらを「反応留出混合液」と総称することがある)を、好ましくは連続的に留去しながら反応させる。かかる反応形式をとることにより、長期にわたり、安定的に3−ブテン−1−オールを製造できる。上記の方法では、反応留出混合液中にはパラジウムが含まれないため、特許文献3のように、3−ブテン−1−オールから2−ブテン−1−オールへの異性化を抑制するためにパラジウム化合物由来の触媒を失活させる必要はなく、パラジウム化合物および第三級芳香族リン化合物から形成される触媒組成物を安定に長期間使用できるので工業的に有利である。
本発明の方法で生成する反応留出混合物には、3−ブテン−1−オール、2−ブテン−1−オール、クロトンアルデヒドなどの他に水が含まれるため、まず反応留出混合液から、水を除去する。かかる水の除去方法に特に制限はないが、反応留出混合液に水と共沸する溶剤を添加し、共沸蒸留により除去する方法が好ましい。かかる溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、トルエンなどが挙げられる。
上記のようにして水を除去した後、精密蒸留、カラムクロマトグラフィーなどの通常の有機化合物の精製方法を適用することにより、目的とする3−ブテン−1−オールの純度を高めることができる。本発明の方法では、3−ブテン−1−オールの選択率が向上するので相対的にクロトンアルデヒドの副生が抑制され、特許文献4における、生成物にアミンを混合してクロトンアルデヒドと高沸点イミンを生成させてから蒸留分離する工程を省略できるため、工業的に有利である。
なお、本発明で原料として使用する2−ブテン−1,4−ジオールは、市販品を使用することができる。また、2−ブテン−1,4−ジオールは、シス体でもトランス体でもよく、それらの混合物でもよい。シス体とトランス体の混合物を使用する場合、その組成(シス体とトランス体の比)に特に制限はない。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
<実施例1>
仕込口、冷却管、蒸留装置、温度計、攪拌装置を備えた内容量1Lの四つ口フラスコに、窒素気流下、トリエチレングリコールジメチルエーテル344g、2−ブテン−1,4−ジオール203g(2.28mol)、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン90gを仕込んだ。窒素雰囲気下、攪拌しながら88%ギ酸水溶液81g(ギ酸として、1.55molに相当)をフラスコ内に25分かけて添加した。その間、反応液の温度は26℃から35℃まで上昇した。次いで、窒素雰囲気下、トリエチレングリコールジメチルエーテル8.0g中、トリフェニルホスフィン1.08g(4.12mmol)と酢酸パラジウム0.033g(0.15mmol)から調製した触媒溶液を反応液に添加し、攪拌しながら130〜135℃に昇温した。反応留出混合液の留出が始まった時点で、2−ブテン−1,4−ジオールを47.2g/h(0.54mol/h)、88%ギ酸水溶液を30.8g/h(0.59mol/h)、トリフェニルホスフィンのトリエチレングリコールジメチルエーテル溶液を2.0ml/h(0.4mmol/h)の速度で、反応液に23時間連続で添加し、同時に3−ブテン−1−オール(沸点112〜114℃/760mmHg)、2−ブテン−1−オール(沸点121〜122℃/760mmHg)、クロトンアルデヒド(沸点104℃/760mmHg)、水およびその他の低沸点副生成物を連続的に留去させながら反応を行い、全27時間で合計1341gの反応留出液を得た。該反応留出混合液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、3−ブテン−1−オール60.1質量%(3−ブテン−1−オール/2−ブテン−1−オール=92/8)、2−ブテン−1−オール5.1質量%、3−ブテン−1−オールのギ酸エステル2.2質量%、水29.7質量%、クロトンアルデヒド2.7質量%が生成していることがわかった。
また、フラスコ内には反応液521gが残存しており、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、3−ブテン−1−オール15.2質量%、2−ブテン−1−オール1.5質量%、3−ブテン−1−オールのギ酸エステル0.2質量%、水0.1質量%、クロトンアルデヒド0.5質量%、2−ブテン−1,4−ジオール0.3質量%が存在していた。反応した2−ブテン−1,4−ジオールを基準にした3−ブテン−1−オールの収率は85.0%、クロトンアルデヒドの収率は3.9%であった。
上記の反応留出混合液を、ディーン・スタークを付した内容積2Lの三口フラスコに収集し、n−ヘキサン134gを加えて内温63〜90℃にて15時間共沸蒸留することにより、反応留出混合液から水の分離除去を行った。該共沸蒸留後、フラスコ内に残存した混合液の含水率をカールフィッシャー水分計で測定したところ、含水率0.3質量%となっていた。
該脱水混合液を精密蒸留することにより、3−ブテン−1−オール629g(8.72mol、純度99.0%up)を得た。
<実施例2>
トリフェニルホスフィンの代わりに、トリス(p−フルオロフェニル)ホスフィンを使用した以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応した2−ブテン−1,4−ジオールを基準にした3−ブテン−1−オールの収率は83.8%、クロトンアルデヒドの収率は3.0%であった。
<実施例3>
トリフェニルホスフィンの代わりに、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィンを使用した以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応した2−ブテン−1,4−ジオールを基準にした3−ブテン−1−オールの収率は77.8%、クロトンアルデヒドの収率は2.7%であった。
<実施例4>
トリフェニルホスフィンの代わりに、トリ(p−トリル)ホスフィンを使用した以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応した2−ブテン−1,4−ジオールを基準にした3−ブテン−1−オールの収率は79.5%、クロトンアルデヒドの収率は2.1%であった。
<比較例1>
トリフェニルホスフィンの代わりに、トリ(n−ブチル)ホスフィンを使用した以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応した2−ブテン−1,4−ジオールを基準にした3−ブテン−1−オールの収率は70.1%、クロトンアルデヒドの収率は14.5%であった。
<比較例2>
トリフェニルホスフィンの代わりに、トリ(t−ブチル)ホスフィンを使用した以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応した2−ブテン−1,4−ジオールを基準にした3−ブテン−1−オールの収率は53.6%、クロトンアルデヒドの収率は20.6%であった。
本発明の製造方法によれば、医薬品、農薬、香料、各種化学品、樹脂などの原料として有用である3−ブテン−1−オールを好収率かつ安価で、工業的に有利に製造することができる。

Claims (5)

  1. パラジウム化合物、第三級芳香族リン化合物、ギ酸の第三級アミン塩および溶媒の混合物に、2−ブテン−1,4−ジオール、ギ酸、および必要に応じて第三級芳香族リン化合物を断続的または連続的に添加し、水および3−ブテン−1−オールを含む生成物を連続的に留出させながら反応させることを特徴とする3−ブテン−1−オールの製造方法であって、
    前記第三級芳香族リン化合物が、トリフェニルホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(m−トリル)ホスフィン、トリス(p−クロロフェニル)ホスフィン、トリス(p−フルオロフェニル)ホスフィン、トリ(1−ナフチル)ホスフィン、トリス(o−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィンから選択される、3−ブテン−1−オールの製造方法。
  2. ギ酸の第三級アミン塩を形成する第三級アミンおよび溶媒が、3−ブテン−1−オールよりも30℃以上高い沸点を有することを特徴とする、請求項1に記載の3−ブテン−1−オールの製造方法。
  3. 反応系内のギ酸およびその第三級アミン塩の存在量が、反応系内に添加した第三級アミンが有する窒素原子に対して0.05〜1倍モルの範囲であることを特徴とする、請求項1または2に記載の3−ブテン−1−オールの製造方法。
  4. 第三級芳香族リン化合物を、パラジウム化合物中のパラジウム原子に対して、2〜100倍モルの範囲になるよう反応系内に断続的または連続的に添加しながら反応させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の3−ブテン−1−オールの製造方法。
  5. パラジウム化合物および第三級芳香族リン化合物を予め混合して調製した触媒組成物を反応系に添加することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の3−ブテン−1−オールの製造方法。
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