JP5862548B2 - 手動変速機の組立方法 - Google Patents

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Description

本発明は、手動変速機の組立方法に関し、車両用変速機の技術分野に属する。
フロントエンジン・フロントドライブ式の車両に搭載される手動変速機は、例えば特許文献1に開示されているように、動力伝達軸として、エンジンからの駆動力が入力される入力軸と、該入力軸と平行に配置されたカウンタ軸とを有すると共に、動力伝達歯車として、入力軸とカウンタ軸との間に設けられた複数のギヤ列と、カウンタ軸に固設され、ドライブ軸上のデフリングギヤを駆動するデフ駆動ギヤとを有しており、これら動力伝達軸は、両端が所定の軸受により回転可能に支持された状態でミッションケースに収容されている。
この動力伝達軸を支持する軸受としては、所望の特性に応じて、玉軸受、円錐ころ軸受、円筒ころ軸受等が適宜組み合わせて用いられている。例えば、前記特許文献1に記載された変速機の第2カウンタ軸には、大きなラジアル荷重がかかるため、エンジン側に、許容ラジアル荷重が大きな円筒ころ軸受、反エンジン側に、摩擦抵抗、転がり抵抗が小さい玉軸受が用いられている。
ここで、一般に円筒ころ軸受は、インナレース(軸の外周面上を転動するときはその軸)に、ころの軸方向の位置を規制するため段付部が設けられているが、該段付部にころの端面が押し付けられて摺接することがないように、これらの間に所定の隙間が生じるように組み付けられる。
ところで、手動変速機の組み立ては、図9のように、ギヤや軸受等を組み付けた動力伝達軸112をそのエンジン側を下向きにして直立させて、この上方からミッションケース109をかぶせて行うことがある。この際に、特許文献1に記載された手動変速機の第2カウンタ軸のように、エンジン側に円筒ころ軸受125、反エンジン側に玉軸受126が用いられる場合、直立した動力伝達軸112は、円筒ころ軸受125の上述の隙間分(図9(b)のGap)だけ自重で下方に落ち込むことになる(図9(a)を参照)。
そこで、ミッションケース109をかぶせた後、上述の隙間Gapが生じるように、動力伝達軸112をその隙間Gap分だけ持ち上げた状態で、玉軸受126の外周面に設けられた軸受側固定溝126aと、ミッションケース109の軸受部材嵌合穴109c1の内周面に設けられたケース側固定溝109dとにまたがるように止め輪161を装着することによって、ミッションケース109に対して動力伝達軸112を軸方向に固定する必要がある(図9(b)を参照)。
特開2010−236589号公報
従来、組立時に動力伝達軸112を隙間Gap分持ち上げるために、図9(a)のように、予め動力伝達軸112にネジ溝112bを設け、ミッションケース109に貫通穴109eを設けるなどした特別な構造を手動変速機101は備えている。さらに、この特別な構造を備えた手動変速機101を組み立てるには、ミッションケース109を動力伝達軸112にかぶせた後、ボルトBをミッションケース109に設けた貫通穴109eに上方から挿入して、ボルトBの先端部を動力伝達軸112のネジ溝112bに螺合させて、さらに回すことによって、隙間Gapの分だけ動力伝達軸112をミッションケース109に対して引き上げるという特別な工程が必要である。なお、図9(a)、(b)は、この引き上げ前と後をそれぞれ表している。また、図9には示していないが、引き上げ後には、貫通穴109eを塞ぐようにシール部材を介して専用の蓋をボルト等でミッションケース109に取り付けることも、上述の特別な構造に起因して必要になる。
なお、手動変速機の組立は、動力伝達軸112を直立させてミッションケース109に収容する場合に限らない。例えば、動力伝達軸112を水平状態にしてミッションケース109に収容する場合にも、円筒ころ軸受125に軸方向の隙間Gapを確実に設けるために、ミッションケース109内で動力伝達軸112を軸方向に移動させる特別な構造や工程が必要である。
また、動力伝達軸112の軸受として、円筒ころ軸受125を用いる代わりに、軸方向に隙間を設けることが不要な円錐ころ軸受を用いることも考えられるが、一般に円錐ころ軸受の方が円筒ころ軸受よりも回転抵抗が大きいため、この抵抗によってエンジンの燃費性能が低下するおそれがある。
本発明は、手動変速機を組み立てる際に、ミッションケースに収容された動力伝達軸をミッションケース内で軸方向に移動させて、組立後に円筒ころ軸受に必要な軸方向の隙間を設けるための特別な構造や工程をなくして、製造コストを低減することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
ミッションケースと、該ミッションケースに収容される複数の動力伝達軸と、該動力伝達軸のうちの所定の動力伝達軸の両端部をそれぞれ支持する第1軸受部材および第2軸受部材と、該第2軸受部材の外周面に設けられた軸受側固定溝と前記ミッションケースの軸受部材嵌合穴の内周面に設けられたケース側固定溝とにまたがるように装着されて前記第2軸受部材を固定する止め輪と、前記動力伝達軸上に配設される動力伝達ギヤおよび同期装置と、前記ミッションケースの外から操作されて前記同期装置を構成するハブスリーブを軸方向に移動させるシフト操作部材と、を備え、
かつ、
前記第1軸受部材は、円筒ころ軸受で構成され、
前記動力伝達ギヤは、前記同期装置の前記第2軸受部材側に隣接して、前記動力伝達軸に軸方向の移動が規制された状態で嵌合された遊転ギヤを有する
手動変速機の組立方法であって、
前記動力伝達軸に、前記第1軸受部材、前記第2軸受部材、前記動力伝達ギヤおよび前記同期装置を組み付けるサブ組立工程と、
前記止め輪を前記ケース側固定溝または前記軸受側固定溝に装着する止め輪装着工程と、
前記止め輪を装着されている前記ケース側固定溝の内側に拡径して収容しながら、または、前記止め輪を装着されている前記軸受側固定溝の内側に縮径して収容しながら、前記動力伝達軸を前記ミッションケース内に収容する軸収容工程と、
前記シフト操作部材を操作して前記ハブスリーブを前記動力伝達軸の軸方向のうち前記第2軸受部材側に移動させることで、前記遊転ギヤを介して前記動力伝達軸を前記軸受側固定溝および前記ケース側固定溝が対向するまで移動させる軸移動工程と、
前記止め輪を前記ケース側固定溝および前記軸受側固定溝にまたがるように係合させることで、前記ミッションケースに前記第2軸受部材を固定する軸受固定工程と、
を有していることを特徴とする。
また、本願の請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記サブ組立工程において、前記動力伝達軸に前記遊転ギヤの前記第2軸受部材側に隣接して固定ギヤを固設し、
前記軸移動工程において、前記シフト操作部材の操作の際に、前記遊転ギヤは前記固定ギヤによって前記動力伝達軸に対する前記軸方向の移動が規制される
ことを特徴とする。
さらに、本願の請求項3に記載の発明は、前記請求項1または2のいずれか1項に記載の発明において、
前記軸移動工程において、前記シフト操作部材の操作は、前記ハブスリーブを、前記軸方向のうち前記第1軸受部材側に一旦移動させた後、前記第2軸受部材側に移動させるように行う
ことを特徴とする。
以上の構成により、本願の各請求項に係る発明によれば、次の効果が得られる。
まず、請求項1に係る発明によれば、単にミッションケースの外からシフト操作部材を操作することによって、同期装置のハブスリーブを動力伝達軸の軸方向に移動させて動力伝達軸を持ち上げることができるため、組立のための特別な構造や工程を省いて製造コストの低減をはかることができる。
なお、仮に第1軸受部材として円錐ころ軸受を用いれば、上述の特別な構造や工程は不要になるが、手動変速機の軸受での摩擦抵抗の増加を招くこととなるが、本発明は、第1軸受部材を円筒ころ軸受で構成したまま、軸受での摩擦抵抗の増加を招くことなく、上述の特別な構造や工程を省いているため、エンジンの燃費を維持しながら製造コストの低減を行っている点で格別な効果を奏するものであると言える。
また、請求項2に係る発明によれば、遊転ギヤを軸方向に規制する部材が、動力伝達軸に隣接して固設された固定ギヤである場合にも、請求項1または2に係る発明と同様の効果を得ることができる。
さらに、請求項3に係る発明によれば、一旦ハブスリーブを第2軸受部材側と反対方向に移動させることにより、ハブスリーブが第2軸受部材に向かって移動できるストロークを長くすることができるため、このストローク間に勢いを付けて動力伝達軸を持ち上げることで、より確実に動力伝達軸をミッションケースに組み付けることができる。
本発明の実施形態に係る手動変速機の構成を示す骨子図である。 同手動変速機の展開断面図である。 同手動変速機の組立方法において、止め輪を拡径してミッションケースに動力伝達軸を収容する軸収容工程までを説明する拡大断面図である。 同手動変速機の組立方法において、同期装置の操作により軸受側固定溝がケース側固定溝と対向するまで動力伝達軸を持ち上げる軸移動工程を説明する拡大断面図である。 同手動変速機の組立方法において、止め輪を軸受側固定溝とケース側固定溝にまたがるように係合させて、ミッションケースに第2軸受部材を固定する軸受固定工程を説明する拡大断面図である。 同手動変速機の組立方法において、図3の止め輪を拡径する工程を説明する拡大平面図である。 同手動変速機の同期装置を操作するシフト操作部を説明する概略図である。 変形例に係る手動変速機の組立方法を説明する拡大断面図である。 従来の手動変速機の組立方法を説明する拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る手動変速機の構成を示す骨子図である。本実施形態に係る手動変速機1は、多軸式横置きタイプの手動変速機であり、前進6速、後進1速を達成できるように構成されている。
手動変速機1は、エンジン2の回転駆動力がクラッチ装置3を介して入力される入力軸10と、該入力軸10と平行に配置された第1、第2カウンタ軸11、12と、該入力軸10と第1、第2カウンタ軸11、12との間に設けられた複数のギヤ列G1、G2、G3、G4、G5、G6、GRと、第1、第2カウンタ軸11、12上に設けられ、ドライブ軸4上のデフ装置5のファイナルリングギヤ6を駆動する第1、第2デフ駆動ギヤ48、58とを有している。
入力軸10、第1カウンタ軸11および第2カウンタ軸12は、両端で軸受部材21〜26によって回転自在に軸支されている。軸受部材として、具体的には、入力軸10は両端に玉軸受21、22を用いており、第1カウンタ軸11は両端に円錐ころ軸受23、24を用いており、第2カウンタ軸12は、エンジン側に円筒ころ軸受25、反エンジン側に玉軸受26を用いている。
上述の複数のギヤ列G1、G2、G3、G4、G5、G6、GRは、エンジン側から、後退速段用ギヤ列GR、4速段用ギヤ列G4、1速段用ギヤ列G1、2速段用ギヤ列G2および3速段用ギヤ列G3、6速段用ギヤ列G6、5速段用ギヤ列G5の順で配置されている。
1速段用ギヤ列G1は、入力軸10に固設された1速段用駆動ギヤ31と、第1カウンタ軸11上に遊転自在に設けられ、1速段用駆動ギヤ31と噛合う1速段用被動ギヤ41とで構成されている。
2速段用ギヤ列G2は、入力軸10に固設された2−3速段用駆動ギヤ32と、第1カウンタ軸11上に遊転自在に設けられて、2−3速段用駆動ギヤ32と噛合う2速段用被動ギヤ42とで構成されている。
3速段用ギヤ列G3は、入力軸10に固設された2−3速段用駆動ギヤ32と、第2カウンタ軸12上に遊転自在に設けられて、2−3速段用駆動ギヤ32と噛合う3速段用被動ギヤ43とで構成されている。2−3速段用駆動ギヤ32は、2速段用駆動ギヤと3速段用駆動ギヤとを兼ねている。
4速段用ギヤ列G4は、入力軸10上に固設された4速段用駆動ギヤ34と、第2カウンタ軸12上に遊転自在に設けられて、4速段用駆動ギヤ34と噛合う4速段用被動ギヤ44とで構成されている。
5速段用ギヤ列G5は、入力軸10上に遊転自在に設けられた5速段用駆動ギヤ35と、第2カウンタ軸12上に固設されて、5速段用駆動ギヤ35と噛合う5速段用被動ギヤ45とで構成されている。
6速段用ギヤ列G5は、入力軸10上に遊転自在に設けられた6速段用駆動ギヤ36と、第2カウンタ軸12上に固設されて、6速段用駆動ギヤ36と噛合う6速段用被動ギヤ46とで構成されている。
後退速段用ギヤ列GRは、第1カウンタ軸11上に遊転自在に設けられた後退速段用第1被動ギヤ47Aと、第2カウンタ軸12上に固設されて、第1被動ギヤ47Aと噛合う後退速段用第2被動ギヤ47Bとを有している。
また、上述の変速段用ギヤ列を構成するギヤの間には、チェンジレバー(図示しない)が操作されたときに、所望のギヤを該ギヤが設けられた軸10、11、12に結合する同期装置51、53、55、57が配置されている。
入力軸10上の5速段用駆動ギヤ35と6速段用駆動ギヤ36との間には、チェンジレバー(図示しない)が5速または6速に操作されたときに当該変速段用の駆動ギヤを入力軸10に結合する5−6同期装置55が設けられている。
第1カウンタ軸11上の1速段用被動ギヤ41と後退速段用第1被動ギヤ47Aとの間には、チェンジレバー(図示しない)が後退速に操作されたときに後退速段用第1被動ギヤ47Aを1速段用被動ギヤ41に結合する後退速段用同期装置57が設けられている。
第1カウンタ軸11上の1速段用被動ギヤ41と2速段用被動ギヤ42との間には、チェンジレバー(図示しない)が1速または2速に操作されたときに当該変速段の被動ギヤを第1カウンタ軸11に結合する1−2同期装置51が設けられている。
第2カウンタ軸12上の3速段用被動ギヤ43と4速段用被動ギヤ44との間には、チェンジレバー(図示しない)が3速または4速に操作されたときに当該変速段用の被動ギヤを第2カウンタ軸12に結合する3−4同期装置53が設けられている。
次に、上述の手動変速機1の動力伝達について説明する。
ニュートラル時は、いずれの同期装置も作動せず、各変速段用ギヤ列を構成するギヤのうちの遊転自在に設けられたギヤは、いずれも各軸10、11、12には結合されない。このため、入力軸10が回転しても、エンジン2の回転駆動力が伝達されないこととなり、ドライブ軸4は回転しない。
1速時は、1速段用被動ギヤ41が1−2同期装置51によって第1カウンタ軸11に結合される。このため、入力軸10が回転すると、1速段用駆動ギヤ31→1速段用被動ギヤ41→第1カウンタ軸11→第1デフ駆動ギヤ48→ファイナルリングギヤ6の順に回転駆動力が伝達されることとなり、エンジン2の回転駆動力がドライブ軸4に最も減速されて出力される。
2速時は、2速段用被動ギヤ42が1−2同期装置51によって第1カウンタ軸11に結合される。このため、入力軸10が回転すると、2−3速段用駆動ギヤ32→2速段用被動ギヤ42→第1カウンタ軸11→第1デフ駆動ギヤ48→ファイナルリングギヤ6の順に回転駆動力が伝達されることになり、エンジン2の回転駆動力がドライブ軸4に減速されて出力される。
3速時は、3速段用被動ギヤ43が3−4同期装置53によって第2カウンタ軸12に結合される。このため、入力軸10が回転すると、2−3速段用駆動ギヤ32→3速段用被動ギヤ43→第2カウンタ軸12→第2デフ駆動ギヤ58→ファイナルリングギヤ6という流れで回転駆動力が伝達されることになり、エンジン2の回転駆動力がドライブ軸4にやや減速されて出力される。
4速時は、4速段用被動ギヤ44が3−4同期装置53によって第2カウンタ軸12に結合される。このため、入力軸10が回転すると、4速段用駆動ギヤ34→4速段用被動ギヤ44→第2カウンタ軸12→第2デフ駆動ギヤ58→ファイナルリングギヤ6の順に回転駆動力が伝達されることになり、エンジン2の回転駆動力がドライブ軸4にほぼ同じ回転速度で出力される。
5速時は、5速段用駆動ギヤ35が5−6同期装置55によって入力軸10に結合される。このため、入力軸10が回転すると、5速段用駆動ギヤ35→5速段用被動ギヤ45→第2カウンタ軸12→第2デフ駆動ギヤ58→ファイナルリングギヤ6の順に回転駆動力が伝達されることになり、エンジン2の回転駆動力がドライブ軸4にやや増速されて出力される。
6速時は、6速段用駆動ギヤ36が5−6同期装置55によって入力軸10に結合される。このため、入力軸10が回転すると、6速段用駆動ギヤ36→6速段用被動ギヤ46→第2カウンタ軸12→第2デフ駆動ギヤ58→ファイナルリングギヤ6の順に回転駆動力が伝達されることになり、エンジン2の回転駆動力がドライブ軸4に最も増速されて出力される。
後退速時は、後退速段用第1被動ギヤ47Aが後退速段用同期装置57によって1速段用被動ギヤ41に結合される。このため、入力軸10が回転すると、1速段用駆動ギヤ31→1速段用被動ギヤ41→後退速段用同期装置57→後退速段用第1被動ギヤ47A→後退速段用第2被動ギヤ47B→第2デフ駆動ギヤ58→ファイナルリングギヤ6の順に回転駆動力が伝達されることになり、エンジン2の回転駆動力がドライブ軸4に逆転されて出力される。
図2は、本実施形態に係る手動変速機1の展開断面図である。図2を参照しながら、手動変速機1の詳細構造について説明する。
手動変速機1は、前述の入力軸10、第1カウンタ軸11、第2カウンタ軸12、ギヤ列G1、G2、G3、G4、G5、G6、GR、同期装置51、53、55、57、クラッチ装置3(図2には図示せず)、およびデフ装置5(図2には図示せず)等を収容するミッションケース7を有している。
ミッションケース7は、エンジン側に配置されるエンジン側ミッションケース8と反エンジン側に配置される変速機側ミッションケース9とで構成されている。エンジン側ミッションケース8には、入力軸10を軸方向に挿通する貫通穴8aが穿設されていると共に、第1、第2カウンタ軸11、12の前端部を支持する前端支持部8b、8c、および入力軸10の中間部を支持する中間支持部8dが形成されている。変速機側ミッションケース9は、有底筒状ケース体によって構成され、各軸10、11、12の後端部を支持する後端支持部9a、9b、9cが形成されている。そして、これらの支持部8b、8c、8d、9a、9b、9cに設けられた軸受部材嵌合穴8b1、8c1、8d1、9a1、9b1、9c1に各軸受部材21〜26を嵌合させて、各軸受部材21〜26を介して入力軸10、第1カウンタ軸11、第2カウンタ軸12が回転可能に支持されるようになっている。
各ギヤ列G1、G2、G3、G4、G5、G6、GRを構成するギヤのうち各軸10、11、12に固設された固定ギヤ31、32、34、45、46、47Bは、スプライン嵌合により、または、軸10、11、12と一体形成されることにより固設されている。一方、各軸10、11、12に遊転可能に設けられた遊転ギヤ41、42、43、44、35、36、47Aは、ニードルベアリング等を介して各軸10、11、12や該軸10に設けられた支持部材等に支持されることにより、遊転可能とされている。
第1デフ駆動ギヤ48および第2デフ駆動ギヤ58は、第1カウンタ軸11および第2カウンタ軸12と一体形成されることにより設けられている。
各同期装置51、53、55、57は、いわゆるシングルコーン式、トリプルコーン式あるいはダブルコーン式のものであり、詳しい説明は省略するが、各軸10、11、12にスプライン嵌合されたクラッチハブと、該ハブ上で軸方向に摺動可能に設けられたハブスリーブ51a、53a、55a、57aと、左右のギヤとの間にそれぞれ配置された各変速段用の3個のコーン等を有し、ハブスリーブ51a、53a、55a、57aを軸方向にスライドさせると、軸方向にスライドされた側の各コーン面同士がそれぞれ圧接されつつ、ハブスリーブ51a、53a、55a、57a内面のスプラインが、ハブのスプラインと、アウターコーンのスプラインと、ギヤに形成された係合歯部とに跨ることにより、スライドされた側のギヤが各軸10、11、12等に結合されるように構成されている。
ここで、本発明に係る組立方法を適用する第2カウンタ軸12について、さらに詳細に説明する。上述のように、第2カウンタ軸12もその前後端が回転可能に支持されており、具体的には、エンジン側は円筒ころ軸受25で、反エンジン側は玉軸受26で支持されている。
玉軸受26を支持する後端支持部9cの軸受部材嵌合穴9c1の内周面には、ケース側固定溝9dが設けられている。また、玉軸受26の外周面には、全周にわたって軸受側固定溝26aが設けられている。手動変速機1の組立完了時には、互いに対向して配置されたこれらの固定溝9d、26aにまたがるように、玉軸受26を変速機側ミッションケース9に固定するための止め輪61が装着される。
第2カウンタ軸12上において、エンジン側にある円筒ころ軸受25と反エンジン側にある玉軸受26の間には、複数の動力伝達ギヤおよび3−4同期装置53が配設されている。
動力伝達ギヤとして、円筒ころ軸受25側から玉軸受26側に向かって順に、第2デフ駆動ギヤ58、後退速段用第2被動ギヤ47Bが配設され、次に、3−4同期装置53の円筒ころ軸受25側に隣接して、後退速段用第2被動ギヤ47Bによって軸方向の移動が規制された状態で嵌合された遊転ギヤ44、3−4同期装置53の玉軸受26側に隣接して、後述の固定ギヤ46によって軸方向の移動が規制された状態で嵌合された遊転ギヤ43が配設され、さらに、該遊転ギヤ43の玉軸受26側に隣接して固設された固定ギヤ46、さらに、固定ギヤ45が、第2カウンタ軸12上に配設されている。
また、手動変速機1は、ミッションケース7の外から、3−4同期装置53を構成するハブスリーブ53aを第2カウンタ軸12の軸方向に移動させるため、後述するシフト操作部材(図2に図示されない)を備えている。
さらに、変速機側ミッションケース9には、組立時に、変速機側ミッションケース9の外からプライヤPを挿入して操作し、上述の固定溝9d、26aにまたがるように止め輪61を装着するための操作用穴9eが設けられている。また、組立完了時にこの操作用穴9eを塞ぐように、シール部材を介して蓋62がボルト63によって変速機側ミッションケース9に取り付けられている。
図3から図5は、同手動変速機1の組立方法について説明する、第2カウンタ軸12の周辺部を拡大した拡大断面図である。
図3を参照しながら、最初に、本実施形態の組立方法を構成する、第2カウンタ軸12に円筒ころ軸受25、玉軸受26、遊転ギヤ43、固定ギヤ46および3−4同期装置53などを組み付けるサブ組立工程と、止め輪61をケース側固定溝9dに装着する止め輪装着工程と、止め輪61を拡径して変速機側ミッションケース9に第2カウンタ軸12を収納する軸収納工程とについて説明する。
まず、サブ組立工程として、第2カウンタ軸12に、円筒ころ軸受25、玉軸受26、遊転ギヤ43、固定ギヤ46および3−4同期装置53と、図3に図示しない遊転ギヤ44、固定ギヤ45および後退速段用第2被動ギヤ47Bとを組み付ける。このとき、遊転ギヤ43は、第2カウンタ軸12に3−4同期装置53の玉軸受26側に隣接して嵌合される。また、固定ギヤ46は、第2カウンタ軸12に遊転ギヤ43の玉軸受26側に隣接して固設され、遊転ギヤ43の第2カウンタ軸12に対する軸方向の移動を規制する。
次に、止め輪装着工程として、変速機側ミッションケース9の軸受部材嵌合穴9c1の内周面に設けられたケース側固定溝9dに止め輪61を装着する。このときはまだ、変速機側ミッションケース9は第2カウンタ軸12にかぶされていないため、軸受部材嵌合穴9c1の入口(図3の下方)から止め輪61を縮径することで、ケース側固定溝9dに装着することができる。
次に、軸収容工程として、上述の止め輪装着工程において止め輪61が装着されたケース側固定溝9dの内側に止め輪61を拡径して収容されるように、すなわち、止め輪61の内径が軸受部材嵌合穴9c1の内径よりも大きくなるように広げた状態で、玉軸受26が止め輪61の中央の開口部の中へ挿入されるように、変速機側ミッションケース9を第2カウンタ軸12に上方からかぶせる。これによって、第2カウンタ軸12は、上方の変速機側ミッションケース9と下方のエンジン側ミッションケース8とからなるミッションケース7内に全体が収容される。
ここで、止め輪61を拡径する具体的な方法について、図6を参照しながら説明する。
図6は、図3の手動変速機1を上方から見た拡大平面図であり、図6(a)と図6(b)はそれぞれ、止め輪61を拡径する前の状態と拡径した後の状態をそれぞれ示している。
図6(a)に示すように、変速機側ミッションケース9には、平面視で円形状の軸受部材嵌合穴9c1(玉軸受26の外径と重なるように図示)と一部重複するように円形状の操作用穴9eが設けられている。そのため、この操作用穴9eの内部を上方から見ると、軸受部材嵌合穴9c1の内周面に設けられたケース側固定溝9d(図6に図示しない)に装着された止め輪61の端部を見ることができる。
組立作業者は、この軸受部材嵌合穴9c1からプライヤPを挿入して、止め輪61の端部にプライヤPの先端部を引っ掛けて拡径する(図6(a)の矢印を参照)。
図6(b)に示すように、止め輪61の内径が少なくとも玉軸受26の外径以上になるまで拡径した状態で、玉軸受26を軸受部材嵌合穴9c1のさらに奥へ挿入して、第2カウンタ軸12をミッションケース7内に全体を収容する。
したがって、上述の軸収容工程まで完了することで、図4に示すような、第2カウンタ軸12全体がミッションケース7内に収容された状態となる。なお、このとき軸受側固定溝26aとケース側固定溝9dは、軸方向に互いにずれた状態であり、まだ対向していない。
次に、図4を参照しながら、本実施形態の組立方法を構成し、上述の軸収納工程に続く、3−4同期装置53の操作により軸受側固定溝26aがケース側固定溝9dと対向するまで第2カウンタ軸12を持ち上げる軸移動工程について説明する。
軸移動工程では、後述するシフト操作部材を操作して、3−4同期装置53を構成するハブスリーブ53aを、第2カウンタ軸12の軸方向のうち玉軸受26側(図4の上方)に移動させる。この移動によってハブスリーブ53aは、やがて玉軸受26側にある遊転ギヤ43に突き当たる。遊転ギヤ43は、固定ギヤ46によって第2カウンタ軸12に対する軸方向の移動が規制されているため、さらにハブスリーブ53aを移動させることによって、遊転ギヤ43を介して第2カウンタ軸12全体を上方に移動させて、第2カウンタ軸12に固設された玉軸受26の外周面に設けられた軸受側固定溝26aがケース側固定溝9dと対向するまで移動させる。
なお、軸移動工程におけるシフト操作部材の操作は、ハブスリーブ53aを、軸方向のうち円筒ころ軸受25側(図4の下方)に一旦移動させた後、玉軸受26側(図4の上方)に移動させるように行ってもよい。
このように、一旦ハブスリーブ53aを玉軸受26側と反対方向に移動させることにより、ハブスリーブ53aが玉軸受26に向かって移動できるストロークを長くすることができるため、このストローク間に勢いを付けて第2カウンタ軸12を持ち上げることで、より確実に第2カウンタ軸12を変速機側ミッションケース9に組み付けることができる。
ここで、手動変速機1の変速操作機構について、図7の概略図を参照しながら説明する。なお、図7(a)は、図4と同じ方向に向けた手動変速機1の変速操作機構を示す図であり、図7(b)は、図7(a)を紙面上の下方から見た図であり、いずれの図も、同期装置のハブスリーブ以外の駆動機構は省略して記載されている。また、図7(a)の一部は、図7(b)のA−B−O−C断面を表している。
この変速操作機構には、図7(b)において上下方向に配置されて、ミッションケース7に、軸方向にスライド可能、かつ、軸周りに回動可能に支持されたコントロールロッド75が備えられている。
このコントロールロッド75は、セレクトレバー78のセレクト操作(点線矢印を参照)により、軸方向(図7(b)の上下方向)にスライドするようになっている。すなわち、このセレクト操作は、ミッションケース7に設けたセレクトレバー回転軸79を中心にセレクトレバー78の一端を揺動させる操作であり、セレクトレバー78の他端にあるアーム部78aが、ミッションケース7の外に出ているコントロールロッド75の端部に設けられたセレクト操作用凹部76aに嵌合しており、アーム部78aの揺動運動がセレクト操作用凹部76aの直線運動に変換される。
また、シフトレバー76の一端がミッションケース7の外に出ているコントロールロッド75の端部に固設されており、シフトレバー76のシフト操作(実線矢印を参照)により、コントロールロッド75が軸周りに回動するようになっている。なお、シフトレバー76の他端部には、チェンジレバーのシフト操作時にドライバに良好な操作感覚を与えるためのカウンタウェイト77が設けられている。
また、この変速操作機構には、図7(a)において上下方向に配置されて、ミッションケース7に軸方向にスライド可能に支持されたリバース用シフトロッド(図示せず)、1−2速用シフトロッド(図示せず)、3−4速用シフトロッド72、および5−6速用シフトロッド(図示せず)が備えられている。
図7(b)において、コントロールロッド75の上下方向の中ほどに、ゲート部材操作用のアーム部材74が固着されていると共に、上述の各シフトロッド72等には、リバース用ゲート部材(図示せず)、1−2速用ゲート部材(図示せず)、3−4速用ゲート部材73および5−6速用ゲート部材(図示せず)がそれぞれ取り付けられ、アーム部材74の側方に、これらのゲート部材73等が、この順序で上方から並べて配置されている。
そして、コントロールロッド75の上下位置、即ちセレクトレバー78のセレクト位置に応じて、アーム部材74のアーム部74aが、各ゲート部材73等に上下に並ぶように設けられたシフト操作用凹部73a等(図7(a)も参照)のいずれかに係合する。
そして、例えば、アーム部74aが3−4速用ゲート部材73のシフト操作用凹部73aに係合した場合、その係合状態で、シフトレバー76のシフト操作によりコントロールロッド75がいずれかの方向に回動すれば、アーム部材74のアーム部74aがシフト操作用凹部73aに係合したゲート部材73を介して、該ゲート部材73が取り付けられたシフトロッド72を軸方向(図7(a)の上下方向)にスライドさせるようになっている。なお、アーム部74aが他のゲート部材と係合する場合も、上述と同様に、対応するシフトロッドがスライド可能である。
このシフトロッド72等のスライドにより、対応する同期装置51、53、55、57のハブスリーブ51a、53a、55a、57aのいずれかがエンジン側または反エンジン側にスライドし、または後退速段用同期装置57のハブスリーブ57aがエンジン側にスライドし、1速用〜6速用ギヤ列G1〜G6、または後退速段用ギヤ列GRのいずれかが動力伝達状態となる。
なお、上述の変速操作機構を構成するセレクトレバー78およびシフトレバー76は、そもそも、車体に手動変速機1を組み付けた際には、運転者が操作するチェンジレバー(図示しない)とワイヤ等(図示しない)を介して接続され、チェンジレバーのシフト操作またはセレクト操作に応じて操作される標準的な構成部品であり、上述の組立方法を実施するために特別に用意した治具などの部品ではない。
次に、図4に戻って、ミッションケース7の外から、シフトレバー76等のシフト操作部材を操作して、3−4同期装置53のハブスリーブ53aを介して第2カウンタ軸12を軸方向に移動させる方法について説明する。
上述のように、シフトレバー76のシフト操作により、コントロールロッド75を介して3−4速用ゲート部材73ないし3−4速用シフトロッド72がスライドし、3−4速用同期装置53においては、シフトフォーク71を介して、3−4速用同期装置53のハブ(図示しない)の外周にスライド可能にスプライン嵌合されたハブスリーブ53aも同方向にスライドすると、図4に示すように、ハブスリーブ53aは、遊転ギヤ43の端面に当接する。
そして、この状態でハブスリーブ53aが、さらに3速ギヤ43側にスライドすることにより、遊転ギヤ43が第2カウンタ軸12に固定された固定ギヤ46によって軸方向に移動が規制されているため、第2カウンタ軸12が上方に移動されると共に、該第2カウンタ軸12に固設された玉軸受26も上方に移動される。
当該玉軸受26は、該玉軸受26に設けられた軸受側固定溝26aと、変速機側ミッションケース9に設けられたケース側固定溝9dが対向した状態となるまで上方に移動される。
最後に、図5により、本実施形態の組立方法を構成し、上述の軸移動工程に続く、止め輪61を軸受側固定溝26aとケース側固定溝9dにまたがるように係合させて、変速機側ミッションケース9に玉軸受26を固定する軸受固定工程について説明する。
上述の軸移動工程によって、軸受側固定溝26aとケース側固定溝9dが対向した状態となっているため、軸受固定工程において、必要であれば、プライヤPによって止め輪61の位置および角度などを若干調整して、該止め輪61をこれらの固定溝9d、26aにまたがるように係合させる。
これによって、玉軸受26は変速機側ミッションケース9に固定されるため、該玉軸受26が固設された第2カウンタ軸12も変速機側ミッションケース9に固定される。
以上により、上述の複数の工程で構成された本実施形態の組立方法によれば、第2カウンタ軸12に設けられた円筒ころ軸受25に軸方向の隙間Gap(図5における第2カウンタ軸12の段付部12aと円筒ころ軸受25の上端面との間の隙間Gapを参照)を設けることができる。
図8は、変形例に係る手動変速機1の組立方法を説明する拡大断面図である。図8を参照しながら、止め輪61を縮径しながら第2カウンタ軸12をミッションケース7内に収容する場合の組立方法について説明する。
上述の実施形態と当該変形例とは、止め輪61を装着する止め輪装着工程は、止め輪61を軸受側固定溝26aに装着する点、および、第2カウンタ軸12を変速機側ミッションケース9内へ収容する軸収容工程は、止め輪61を縮径して軸受側固定溝26a内に収容しながら行う点で異なる。
そのため、軸受側固定溝26aは、より深い溝、すなわち、止め輪61を縮径して収容するのに十分な深さの溝でなければならない。他方、ケース側固定溝9dは、軸固定工程において、止め輪61の外縁部が係合できる深さがあればよい。
また、玉軸受26が嵌合される変速機側ミッションケース9の軸受部材嵌合穴9c1の入口には、玉軸受26の外周面を軸受部材嵌合穴9c1の中へ案内するためのテーパ面9fが設けられている。
この変形例によれば、軸収容工程において、第2カウンタ軸12を変速機側ミッションケース9の軸受部材嵌合穴9c1の中へ挿入する際に、軸受部材嵌合穴9c1の入口に設けられたテーパ面9fによって、軸受側固定溝26aと共に該軸受側固定溝26aに装着された止め輪61も案内される。そして、第2カウンタ軸12を軸受部材嵌合穴9c1内へ挿入するにつれて、止め輪61は徐々に縮径されて軸受側固定溝26a内に収容されることとなり、結果として、ミッションケース7内に第2カウンタ軸12が収容される。
さらに、前述の実施形態と同様に軸移動工程を行った後、軸受固定工程において、操作用穴9eから内部に挿入したプライヤPで止め輪61を拡径することによって、止め輪61を固定溝9d、26aにまたがるように係合させる。
したがって、ミッションケース7内に第2カウンタ軸12を収容する際に、止め輪61がケース側固定溝9dではなく、軸受側固定溝26aに装着されている場合にも、止め輪61を逆に縮径することによって、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、変形例において、軸収容工程において、止め輪61を縮径するため、変速機側ミッションケース9の軸受部材嵌合穴9c1の入口に設けたテーパ面9fを用いたが、該テーパ面9fを設ける代わりに、軸受部材嵌合穴9c1の入口にある止め輪61にアクセス可能な操作用穴9eを設け、この操作用穴9eから内部に挿入したプライヤPで止め輪61を縮径してもよい。
また、変形例において、プライヤPで止め輪61を拡径するために操作用穴9eを用いたが、ケース側固定溝9dと軸受側固定溝26aが対向した際に、それ自体の弾性力で止め輪61が拡径して、これら固定溝9d、26aにまたがって係合可能な場合には、操作用穴9eを設けなくてもよい。
なお、本実施形態として、本発明を第2カウンタ軸12に適用した場合について例示したが、本発明は、支持軸受が円筒ころ軸受と玉軸受のセットで構成されていれば、手動変速機1の他の動力伝達軸、すなわち入力軸10や第1カウンタ軸11等にも適用可能である。
また、本実施形態として、組立時に動力伝達軸を垂直方向に引き上げる場合について例示したが、本発明は、垂直方向に引き上げる場合に限らず、例えば、動力伝達軸を水平方向に移動させる場合にも適用可能である。
なお、本発明は例示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良および設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
以上のように、本発明は、組立後に円筒ころ軸受に必要な軸方向の隙間を設けるための特別な構造や工程をなくして、製造コストを低減することができる手動変速機の組立方法を提供することができ、自動車産業において広く利用される可能性がある。
1 手動変速機
7 ミッションケース
9c1 軸受部材嵌合穴
9d ケース側固定溝
12 第2カウンタ軸(動力伝達軸)
25 円筒ころ軸受(第1軸受部材)
26 玉軸受(第2軸受部材)
26a 軸受側固定溝
43 3速段用被動ギヤ(遊転ギヤ)
46 6速段用固定ギヤ(固定ギヤ)
53 3−4同期装置(同期装置)
53a ハブスリーブ
61 止め輪
76 シフトレバー(シフト操作部材)

Claims (3)

  1. ミッションケースと、該ミッションケースに収容される複数の動力伝達軸と、該動力伝達軸のうちの所定の動力伝達軸の両端部をそれぞれ支持する第1軸受部材および第2軸受部材と、該第2軸受部材の外周面に設けられた軸受側固定溝と前記ミッションケースの軸受部材嵌合穴の内周面に設けられたケース側固定溝とにまたがるように装着されて前記第2軸受部材を固定する止め輪と、前記動力伝達軸上に配設される動力伝達ギヤおよび同期装置と、前記ミッションケースの外から操作されて前記同期装置を構成するハブスリーブを軸方向に移動させるシフト操作部材と、を備え、
    かつ、
    前記第1軸受部材は、円筒ころ軸受で構成され、
    前記動力伝達ギヤは、前記同期装置の前記第2軸受部材側に隣接して、前記動力伝達軸に軸方向の移動が規制された状態で嵌合された遊転ギヤを有する
    手動変速機の組立方法であって、
    前記動力伝達軸に、前記第1軸受部材、前記第2軸受部材、前記動力伝達ギヤおよび前記同期装置を組み付けるサブ組立工程と、
    前記止め輪を前記ケース側固定溝または前記軸受側固定溝に装着する止め輪装着工程と、
    前記止め輪を装着されている前記ケース側固定溝の内側に拡径して収容しながら、または、前記止め輪を装着されている前記軸受側固定溝の内側に縮径して収容しながら、前記動力伝達軸を前記ミッションケース内に収容する軸収容工程と、
    前記シフト操作部材を操作して前記ハブスリーブを前記動力伝達軸の軸方向のうち前記第2軸受部材側に移動させることで、前記遊転ギヤを介して前記動力伝達軸を前記軸受側固定溝および前記ケース側固定溝が対向するまで移動させる軸移動工程と、
    前記止め輪を前記ケース側固定溝および前記軸受側固定溝にまたがるように係合させることで、前記ミッションケースに前記第2軸受部材を固定する軸受固定工程と、
    を有していることを特徴とする手動変速機の組立方法。
  2. 前記サブ組立工程において、前記動力伝達軸に前記遊転ギヤの前記第2軸受部材側に隣接して固定ギヤを固設し、
    前記軸移動工程において、前記シフト操作部材の操作の際に、前記遊転ギヤは前記固定ギヤによって前記動力伝達軸に対する前記軸方向の移動が規制される
    ことを特徴とする請求項1に記載の手動変速機の組立方法。
  3. 前記軸移動工程において、前記シフト操作部材の操作は、前記ハブスリーブを、前記軸方向のうち前記第1軸受部材側に一旦移動させた後、前記第2軸受部材側に移動させるように行う
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の手動変速機の組立方法。
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