JP5862539B2 - 容器 - Google Patents

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Description

本発明は、果汁飲料、酒などの液体食品、チョコレート、ガム、飴などの菓子類、サプリメント、小物などを収納する容器に係り、特に、従来のプラスチック容器やガラス瓶の代替え容器として用いる容器本体が紙を主体とする容器に関するものである。
最近、環境保全の立場から、従来使用されていたプラスチック容器やガラス瓶の代替え容器として紙を主体とした容器の開発が進められている。この種の紙を主体とした容器として、例えば、紙カップの上端開口部に、熱可塑性樹脂で射出成形した環状口部材を溶着し、内容物を容器に充填したのち、環状口部材のフランジ部上面に封止フィルムを剥離可能に熱融着して密閉する容器が、果汁飲料、酒などの液体食品、粒状又は顆粒の菓子類などの容器として使用されている。
しかしながら、上述した従来の紙カップを主体とする容器は、封止フィルムを環状口部材に剥離可能に熱融着して密閉したものであり、封止フィルムを環状口部材から剥離して容器を一旦開口すると、内容物がまだ残っている容器をリクローズ(再封止)することが出来なかった。
これに対し、開口部をリクローズ可能とする蓋体を設けた紙を主体とした容器として、例えば、下記の特許文献1に開示されたウェットティッシュ用複合容器が知られている。この文献に開示された容器は、紙を主体とした容器本体の開口部に合成樹脂により形成した枠部材を溶着し、この枠部材に合成樹脂により形成した抽出キャップ部材(蓋体)を螺合して構成されている。この容器の製造時において、容器本体の開口部に枠部材を溶着する際には、紙容器本体の開口部の縁を外側にカールさせて、この略直角に折り曲げたリム部分に、枠部材の外周面から外側に凸設した環状のフランジ部の下面を溶着させている。
しかし、上述した特許文献1に開示された構造では、紙容器本体と枠部材との間の接着強度を確保するため、枠部材のフランジ部の幅を比較的広くとる必要があり、その分、容器の外径寸法が無駄に大きくなってしまう。また、同時に、容器本体の開口部のリム部分の幅も広くとる必要があり、紙管の加工が困難でシール性に欠ける問題がある。特に、枠部材のフランジ部をリム部分に溶着する場合、フランジ部が部分的に溶けて接着機能を果すため、その分、フランジ部の強度が低下して信頼性が低下してしまう。さらに、これらの点を踏まえて、フランジ部の幅を広くする必要があるとともに一定の厚さを必要とすることから、容器本体に対する枠部材の重量比率が高くなり、抽出キャップ部材を取り外したとしても、枠部材付きの容器本体を紙として廃棄処分できなくなり、廃棄処理に膨大な費用がかかってしまう。
実開昭57−159673号公報(第4頁5行目〜12行目、第2図)
本発明は、上述の従来の容器の問題点を解決したものであり、紙を主体とする容器本体を有しリクローズが可能であり、また、プラスチック量が容器の総重量の50%未満となる容器を提供するものである。
実施形態の容器は、溶着層を内面に有した円筒形の紙管と、この紙管の軸方向の下端開口部を塞ぐ底面部と、紙管の軸方向の上端に当接する該紙管より僅かに大径の環状のフランジ部および前記紙管の上端開口部内面に取り付けられている円筒状の筒状溶着部を一体に有する環状口部材と、この環状口部材の前記フランジ部内側の開口部をリクローズ可能に塞ぐ蓋部材と、を有し、前記環状口部材および前記蓋部材は、それぞれ、熱可塑性樹脂に紙を50重量%(質量%)より多く混合した材料で形成されたものであり、前記筒状溶着部の外周面が、前記紙管の下端に向けて内側に傾斜しており、前記筒状溶着部の厚みが、前記紙管の下端に向けて徐々に薄肉になっており、前記傾斜した外周面には、2本の円環状の突起が前記軸方向に互いに離間して一体に突設されており、当該容器の総重量に対するプラスチックの使用量を50%未満にしたことを特徴とする。
実施形態の容器は、内面に溶着層をもつ紙管の上端開口部内面に、環状口部材を溶着し、この環状口部材に蓋部材をリクローズ可能に装着しているため、蓋部材を開口して内容物を必要量だけ取り出したのち、再度、容器を蓋部材でリクローズすることができる。
実施形態の容器は、紙管の上端開口部の内面に環状口部材を溶着するようにしたため、上端開口部をカールさせたり、環状口部材に幅広のフランジ部を設けたりする必要がなく、環状口部材の重量比率を低くできる。このため、実施形態によると、環状口部材が付いたままの容器を紙容器として廃棄処分でき、処分費用を大幅に削減できる。
次に、本発明の容器の実施の形態について、図を用いて詳細に説明する。
図1は、実施形態1の容器の断面図であり、図2は、実施形態2の容器の部分断面図であり、図3は、実施形態3の容器の断面図であり、図4は、実施形態4の容器の部分断面図である。図2および図4に示した容器は、底面部の図示を省略してあるが、それぞれ、図1および図3に示した容器と同じ構造の底面部を有するものとする。
まず、実施形態1の容器10について説明する。
容器10は、図1に示すように、容器本体100、環状口部材200、および蓋部材300を有する。
容器本体100は、テーパーの無い略円筒形の紙管110の軸方向下端近くに略円形の底面部120を取り付けて構成されている。紙管110は、略矩形の紙を丸めてその両端を僅かに重ねて接着せしめて構成されている。底面部120は、紙によって形成されており、その周縁部が図中下方に略直角に折り曲げられている。そして、この略円環状の縁部121の下端を巻き込むように、紙管110の下端辺111が内側に折り返されている。このように、底面部120の縁部121を両側から挟むように折り返された紙管110の下端辺111は、適当な方法によって縁部121に接着される。なお、以下に説明する実施形態も含めて、ここでは、略円筒形の紙管110を採用した場合について説明するが、紙管110の形状はこれに限らず、四角筒形や楕円筒形などであっても良い。
紙管110の内面112には、耐内容物性で他の熱可塑性樹脂と溶着可能な熱可塑性樹脂からなる溶着層が被覆形成されている。本実施形態の容器10は、この内面112に連続する容器本体100の上端開口部内面101(図5参照)に、熱可塑性樹脂で射出成形した環状口部材200を溶着し、この環状口部材200に熱可塑性樹脂で射出成形した蓋部材300を係合させて装着しリクローズを可能にしたものである。なお、環状口部材200を容器本体100の上端開口部内面101に溶着する方法は、ヒートシール法、超音波シール法、インサート射出成形法などによるものである。また、ここでは、熱可塑性樹脂により射出成形した蓋部材300を採用した場合について説明するが、蓋部材300は別体にして廃棄処分するため、蓋部材300の材質はこれに限定されるものではない。
環状口部材200は、図5に部分的な拡大図を示すように、略円環状のフランジ部210を有する。フランジ部210は、紙管110の上端開口部より僅かに大きな外径を有し、その下面212に紙管110の上端113が突き当てられている。なお、本実施形態では、紙管110の上端113はカールされていない。
また、フランジ部210の内周縁部上面211には、略円筒形の口部筒220が一体に立設されている。この口部筒220の外周面221には、蓋部材300と螺合する係合部221(雄ねじ)(図1参照)が一体に形成されている。このように、本実施形態では、蓋部材300を口部筒220に螺合する構成を採用したが、これに限らず、蓋部材300が環状口部材200に対して脱着可能な構成であればいかなる構成を採用しても良い。
さらに、フランジ部210のほぼ中央位置下面212には、紙容器本体100の上端開口部内面101に溶着する略円筒状の筒状溶着部230が一体に垂設されている。筒状溶着部230の外周面231は、下方内側へ曲面状に傾斜している。このように、筒状溶着部230の外周面231を下方内側に向けて傾斜させることで、容器本体100の上端開口部内側に筒状溶着部230を容易に挿入でき、環状口部材200の取り付け作業を容易且つ確実にできる。
そして、この傾斜した外周面231には、2本の円環状の突起232、233(環状突起)が互いに上下に離間して外周面231から一体に凸設されている。これら環状突起232、233は、後述するように環状口部材200を容器本体100の上端開口部内面101に溶着する際に溶融して接着剤として機能する。このため、本実施形態では、これら環状突起232、233の表面形状を円弧状に湾曲させてあり、且つ環状突起232、233同士を軸方向に互いに離間して隙間をあけて配置してある。
つまり、環状突起232、233の断面形状を湾曲させることにより、溶融を開始する初期の段階(溶融前の状態)で、環状突起232、233が上端開口部内面101に接触する面積を小さくでき、環状突起232、233が上端開口部内面101に片当りすることを防止でき、環状突起232、233の溶融をスムーズにできる。また、環状突起232、233を互いに上下に離間させて配置することにより、溶融した材料が広がる領域を確保するとともに、二重シールとしての機能を果すことができ、シール性を高めることができる。なお、環状突起232、233の表面形状は、例えば三角形状に尖らせても良く、必要に応じて3本以上設けても良い。
ところで、上記構造の環状口部材220は、通常、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を用いて射出成形法により作製するものであるが、容器の総重量に対するプラスチック量を減じるために、必要に応じては、熱可塑性樹脂に紙を50重量%(質量%)より多く混合した成形材料を用いて射出成形することもできる。ここで言う「紙」とは、「バージン紙」および「古紙」を含むものとする。このように、環状口部材220の材質を紙を主体としたものにすることにより、容器10のサイズを小さくしたいかなる場合においても、紙の比率をプラスチック量より多くでき、蓋部材300を取り外した状態の容器を紙として廃棄処分できる。
さらに、蓋部材300は、図1に示すように、略円板状の天板310の外縁下面に略円筒状の周壁320を一体に垂設している。周壁320の内側で天板310の下面には、略円筒状のインナー封止リング311が一体に垂設されている。このインナー封止リング311は、上述した環状口部材200の口部筒220の上端部内周面に圧接する位置に位置決め配置されている。このインナー封止リング311の外周面312も、下方内側に湾曲するよう傾斜されており、蓋部材300を環状口部材220に螺合することで口部筒220の内側に容易に配置されるようになっている。また、蓋部材300の周壁320の内周面には、環状口部材200の上述した係合部221と螺合する係合部321(雌ねじ)が一体に形成されている。
上記構造の蓋部材300は、通常、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を用いて射出成形法により作製するものであるが、容器の総重量に対するプラスチック量を減じるために、必要に応じては、熱可塑性樹脂に紙を50重量%より多く混合した成形材料を用いて射出成形法により作製しても良い。ここで言う「紙」も、「バージン紙」および「古紙」を含む。この場合、蓋部材300を紙を主体にした材料で形成でき、蓋部材300を取り付けたままの容器を紙として廃棄処分することができる。
以上のように、本実施形態の容器10によると、紙容器本体110の上端開口部内面101に環状口部材200の筒状溶着部230を溶着させるようにしたため、紙管110の上端にフランジ部を形成する必要がなく、且つ環状口部材200のフランジ部210の幅も必要以上に大きくする必要がなくなり、容器10の外径寸法を小さくできる。すなわち、本実施形態の容器10によると、環状口部材200の外径を小さくでき、使用するプラスチック材料を少なくでき、紙管110に対する環状口部材200の重量比率を小さくでき、紙を主体とした容器を実現できる。具体的には、容器10の総重量に対してプラスチックの使用量を50%未満にすることができ、この条件をクリアーすることで、容器10を紙容器として廃棄処分できる。
また、本実施形態の容器10によると、環状口部材200の下面から垂設した筒状溶着部230の軸方向長さを調整することで、紙管110の上端開口部内面101との間の接着面積を必要なだけ大きくすることができ、十分な接着強度を確保でき、シール性を高めることができる。さらに、本実施形態の容器10によると、紙管110の上端開口部内面101に環状口部材200を溶着せしめる接着剤として機能する環状突起232、233を設けたため、環状口部材200の筒状溶着部230を不必要に溶融することが無く、十分な機械強度を維持できる。
次に、実施形態2の容器10について、図2を参照して説明する。この容器10は、蓋部材300を環状口部材200に対して繋ぎ部400を介して一体に形成した構造を特徴としており、これ以外の構造は上述した実施形態1と概ね同様のものである。このため、上述した実施形態1と同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する場合もある。
図2に示すように、本実施形態の容器10は、容器本体100が、耐内容物性で他の熱可塑性樹脂と溶着可能な熱可塑性樹脂からなる溶着層を内面に有するテーパーがない紙管であり、この容器本体100の上端開口部内面に、上方に蓋部材300が帯状の繋ぎ部400で一体に連結する熱可塑性樹脂で射出成形した環状口部材200を溶着し、リクローズを可能にしたものである。なお、環状口部材200を容器本体100の上端開口部内面101(図5)に溶着する方法は、ヒートシール法、超音波シール法、インサート射出成形法などによるものである。また、繋ぎ部400は、帯状の繋ぎ部に限ることなく、ヒンジ状の繋ぎ部などでもよい。
そして、環状口部材200の構造は、図2に示すように、フランジ部210の内周縁部上面に、外周に蓋部材300と咬合する係合部221(咬合リング)をもつ口部筒220を立設し、フランジ部210のほぼ中央位置下面に、紙容器本体100の上端開口部に溶着する外周面が下方内側へ曲面状に傾斜する筒状溶着部230を垂設するものである。
また、環状口部材200に連結する蓋部材300の構造は、図2に示すように、天板310と周壁320とからなり、天板310に環状口部材200の口部筒220の上端部内周面に外周面を圧接して封止するインナー封止リング311を垂設し、周壁320の内周面に環状口部材200と咬合する係合部321(咬合リング)を設けるものである。なお、蓋部材300が繋ぎ部400で連設する環状口部材200は、通常、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を用いて射出成形法により作製するものであるが、容器の総重量に対するプラスチック量を減じるために、必要に応じては、熱可塑性樹脂に紙を50重量%より多く混合した成形材料を用いて射出成形するものである。
本実施形態2の容器10は、上述した実施形態1の容器10と同様の効果を奏することができる。特に、蓋部材300を環状口部材200と一体化したことで、この容器10を廃棄処分する場合には、蓋部材300を分離せずに容器10全体を廃棄処分することになるが、上述したように紙管110の上端開口部内面101に環状口部材200を溶着する本発明の構成を採用することで、蓋部材300付の容器であっても、紙として廃棄処分することができる。
次に、実施形態3の容器10について、図3を参照して説明する。この容器10は、容器本体100が、下方内側に傾斜したテーパー状の紙カップであることを特徴としており、それ以外の構造は、上述した実施形態1の容器10と概ね同様のものである。よって、実施形態1と同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する場合もある。
図3に示すように、本実施形態の容器10は、容器本体100が、耐内容物性で他の熱可塑性樹脂と溶着可能な熱可塑性樹脂からなる溶着層を内面に有するテーパーがある紙カップであり、この容器本体100の上端開口部内面に、熱可塑性樹脂で射出成形した環状口部材200を溶着し、この環状口部材200に熱可塑性樹脂で射出成形した蓋部材300を装着しリクローズを可能にしたものである。なお、環状口部材200を容器本体100の上端開口部内面101に溶着する方法は、ヒートシール法、超音波シール法、インサート射出成形法などによるものである。
そして、環状口部材200の構造は、図3に示すように、フランジ部210の内周縁部上面に、外周に蓋部材と螺合する係合部221(雄ねじ)をもつ口部筒220を立設し、フランジ部のほぼ中央位置下面に、紙容器本体100の上端開口部に溶着する外周面が下方内側へ曲面状に傾斜する筒状溶着部230を垂設するものである。なお、環状口部材は、通常、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を用いて射出成形法により作製するものであるが、容器の総重量に対するプラスチック量を減じるために、必要に応じては、熱可塑性樹脂に紙を50重量%より多く混合した成形材料を用いて射出成形するものである。
また、蓋部材300の構造は、図3に示すように、天板310と周壁320とからなり、天板310に環状口部材200の口部筒220の上端部内周面に外周面を圧接して封止するインナー封止リング311を垂設し、周壁320の内周面に環状口部材200と螺合する係合部321(雌ねじ)を設けるものである。なお、蓋部材は、通常、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を用いて射出成形法により作製するものであるが、容器の総重量に対するプラスチック量を減じるために、必要に応じては、熱可塑性樹脂に紙を50重量%より多く混合した成形材料を用いて射出成形法により作製するものである。
本実施形態3の容器10は、上述した実施形態1の容器10と同様の効果を奏することができる。つまり、この容器10も、容器本体100に対して蓋部材300をリクローズ可能にできるとともに、紙容器として廃棄処分することができ、利便性を向上させることができるとともに、処分費用を削減することができる。
次に、図4を参照して、実施形態4の容器10について説明する。この容器は、蓋部材300を環状口部材200に対して繋ぎ部400を介して一体に形成した構造を特徴としており、これ以外の構造は上述した実施形態3と概ね同様のものである。このため、上述した実施形態3と同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する場合もある。
図4に示すように、本実施形態の容器10は、容器本体100が、耐内容物性で他の熱可塑性樹脂と溶着可能な熱可塑性樹脂からなる溶着層を内面に有するテーパーがある紙カップであり、この容器本体100の上端開口部内面101に、上方に蓋部材300が帯状の繋ぎ部400で一体に連結する熱可塑性樹脂で射出成形した環状口部材200を溶着し、リクローズを可能にしたものである。なお、環状口部材200を容器本体100の上端開口部内面101に溶着する方法は、ヒートシール法、超音波シール法、インサート射出成形法などによるものである。また、繋ぎ部400は、帯状の繋ぎ部に限ることなく、ヒンジ状の繋ぎ部でもよい。
そして、環状口部材200の構造は、図4に示すように、フランジ部210の内周縁部上面に、外周に蓋部材300と咬合する係合部221(咬合リング)をもつ口部筒220を立設し、フランジ部210のほぼ中央位置下面に、紙容器本体100の上端開口部に溶着する外周面が下方内側へ曲面状に傾斜する筒状溶着部230を垂設するものである。
また、環状口部材200に連結する蓋部材300の構造は、図4に示すように、天板310と周壁320とからなり、天板310に環状口部材200の口部筒220の上端部内周面に外周面を圧接して封止するインナー封止リング311を垂設し、周壁320の内周面に環状口部材200と咬合する係合部321(咬合リング)を設けるものである。なお、蓋部材300が繋ぎ部400で連設する環状口部材200は、通常、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を用いて射出成形法により作製するものであるが、容器の総重量に対するプラスチック量を減じるために、必要に応じては、熱可塑性樹脂に紙を50重量%より多く混合した成形材料を用いて射出成形するものである。
本実施形態4の容器10は、上述した実施形態2の容器10と同様の効果を奏することができる。つまり、この容器10も、容器本体100に対して蓋部材300をリクローズ可能にできるとともに、紙容器として廃棄処分することができ、利便性を向上させることができるとともに、処分費用を削減することができる。
図6および図7には、実施形態5の容器10の部分断面図を示してある。つまり、図6(a)には、環状口部材200と蓋部材30を組み合わせた構成の部分断面図を示してあり、図6(b)には、容器本体100に環状口部材200を溶着した構成の部分断面図を示してあり、図7には、全ての部材100、200、300を組み合わせた容器10の部分断面図を示してある。全ての図において、図中一点鎖線より左側が断面図であり、一点鎖線より図中右側が外観図である。この容器10は、上述した実施形態1および実施形態2と概ね同様の構造を有するため、同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
実施形態5の容器10は、タンパー500付きの蓋部材300(図7)を有することを特徴としている。タンパーとは、改竄防止、不正開封認識等のセキュリティー機能を担うものであり、本実施形態では、帯状の引き千切るタイプのタンパー500を採用した。
蓋部材300は、環状口部材200の口部筒220の外側に嵌合して取り付けられる。つまり、蓋部材300は、環状口部材200の口部筒220の外周面にある環状の第1係合部222を乗り越えて嵌合される環状の固定部322、口部筒220の外周面であって第1係合部222の上方に離間して設けられた環状の第2係合部223を乗り越えて嵌め込まれる環状の嵌合凸部323、固定部322と嵌合凸部323を一端で連結したヒンジ部324、およびタンパー500を一体に有する。
しかして、図7の状態から、タンパー500を蓋部材300の周方向に沿って引き千切ることにより、嵌合凸部323を有する天板310を開放できる。天板310は、ヒンジ部324を介して固定部322に接続してあるため、完全には取り外されない。なお、ヒンジ部324から離間した側で嵌合凸部323の反対側には、天板310を開放するための爪部330が凸設されている。
本実施形態5においても、上述した各実施形態と同様に、紙管110の上端開口部内面101に対して環状口部材200の筒状溶着部230を溶着せしめるようにしたため、上述した各実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態5の容器10は、蓋部材300に上述したタンパー500を備えているため、容器10を開封したことを確実に判断でき、容器10内に異物を混入するような犯罪を防止できる。
図8および図9には、実施形態6の容器10の部分断面図を示してある。図8(a)には、環状口部材200と蓋部材30を組み合わせた構成の部分断面図を示してあり、図8(b)には、容器本体100に環状口部材200を溶着した構成の部分断面図を示してあり、図9には、全ての部材100、200、300を組み合わせた容器10の部分断面図を示してある。全ての図において、図中一点鎖線より左側が断面図であり、一点鎖線より図中右側が外観図である。この容器10は、上述した実施形態5と概ね同様の構造を有するため、同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
実施形態6の容器10は、環状口部材200の構造が実施形態5と大きく異なる。つまり、実施形態6では、環状口部材200のフランジ部210を省略して第1係合部222にフランジ部210の機能を持たせた。つまり、実施形態6では、紙管110の上端が第1係合部222の下面に突き当てられている。このため、実施形態6の容器10では、環状口部材200の軸方向高さを低くでき、蓋部材300の周壁320が固定部322の位置まで紙管110の上端に覆い被さるようになっている。
これにより、実施形態5の容器10と比較して蓋部材300の材料をより少なくでき、プラスチックの重量比率をより低くでき、小さな容器にも対応できる。なお、本実施形態6の容器10においても、上述した実施形態5と同様の効果を奏することができることは言うまでも無い。
図10には、実施形態7の容器10の要部断面図を示してある。この容器10は、環状口部材200の口部筒220の内側に蓋部材300の周壁320を螺合した構造を有する。これ以外の構造は、上述した実施形態1の容器と略同じであるため、同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。比較のため、図11には、実施形態1の容器10の環状口部材200の筒状溶着部230を軸方向に長くした変形例を図示してある。この容器は、上述したように、環状口部材200の口部筒220の外側に蓋部材30を螺合せしめてある。
図10に示す実施形態7の容器10は、口部筒220の内側に周壁320が配置されるため、インナー封止リング311は省略されている。言い換えると、蓋部材300の周壁320が封止リングとしての機能を担っている。このため、図11の変形例と比較しても、インナー封止リング311を省略した分だけ蓋部材300の材料を少なくでき、プラスチック材料の重量比率を下げる上で有利となる。
図12および図13には、蓋部材300および環状口部材200のプラスチック材料を比較的少なくした実施形態8および実施形態9を図示してある。図12に示す実施形態8の容器10は、蓋部材300を環状口部材20に螺合するためのねじ山、蓋部材300と環状口部材200を繋ぐヒンジ部、異物の混入を防止するためのタンパー、蓋部材300を開けるための爪部などを省略したシンプルな構造を有し、図13に示す実施形態9の容器10は、実施形態8の容器10にヒンジ部400および爪部330を追加した構造を有する。
いずれの実施形態においても、上述した各実施形態と同様に、紙管110の上端開口部内面101に環状口部材200を溶着せしめる構成を有するため、上述した各実施形態と同様の効果を奏し得る。その上で、紙管110に対するプラスチック材料の重量比率をより少なくできるため、材料コストの低減に加え、容器サイズの縮小にも寄与できる。
逆に、図14および図15には、比較的多くのプラスチック材料を用いた実施形態10および実施形態11を図示してある。図14に示す実施形態10の容器10は、ヒンジ部324、タンパー500、爪部330などを備えていることに加え、蓋部材300の天板310の下面側に、環状口部材200の口部筒220の上端に当接する環状のシール部313が追加されている。また、図15に示す実施形態11の容器10は、ヒンジ部400、螺合のためのねじ山、爪部330などを備えていることに加え、2つのインナー封止リング311、340を備えている。
このように、容器10の使用形態に応じて必要な構成を追加した場合、プラスチック材料の紙管110に対する重量比率を50%未満に抑えるためには、容器10のサイズを大きくすることが考えられる。つまり、容器10のサイズを大きくすれば、実施形態10、11のように必要な構成を追加することもできる。
次に、上述した各実施形態の容器10を製造する方法について説明する。上述した各実施形態の容器10は、基本的に、紙を丸めて端部同士を重ねて接着し、この紙管110の底に底部材を取り付け、上端開口部内面101に環状口部材200を溶着し、蓋部材300を環状口部材200の口部筒220に嵌合あるいは螺合して組み立てられる。このとき、紙により形成されている紙管110とプラスチック製の環状口部材200との間の接着を確実且つ強固にすることが課題となる。
紙管110の上端開口部内面101と環状口部材200の筒状溶着部230の外周面231を溶着する方法として、例えば、超音波を用いて環状口部材200と紙管110を振動させて両者の間に発生する摩擦熱を利用して環状突起232、233を溶融させる方法がある。この方法では、図16に示すように、環状口部材200の内側に超音波を発生させるホーン600を配置し、環状口部材200の筒状溶着部230の外周面231との間に紙管110の上端を挟んで受け冶具700を配置する。そして、ホーン600と受け冶具700との間で紙管110の上端と環状口部材200の筒状溶着部230を押圧しつつ、ホーン600を介して20[kHz]程度の超音波を発生させる。
通常、ホーン600は、容器10の軸方向、すなわち図中上下方向(矢印S方向)に振動し、環状口部材200を介して紙管110の上端開口部内面101にも超音波を作用させる。このとき、図示のように、ホーン600の振動方向に対して、環状口部材200と紙管110との間の接着面800が傾斜していると、接着面800に超音波を有効に作用させることができる。理想的には、ホーン600の振動方向と接着面800が直交することが超音波を最も有効に作用させることになる。つまり、ホーン600の振動方向と僅かでも交差する方向に接着面800を設定することで、接着面800において摩擦熱を効果的に発生させることができる。
これに対し、ホーン600の振動方向と平行な方向に接着面800を設定すると、超音波が接着面800に有効に作用しなくなり、接着面800を介して対向する環状口部材200の環状突起232、233と紙管110の上端開口部内面101との間で十分な接着強度が得られなくなる。このため、本実施形態のように、接着面800を振動方向Sに対して傾斜させることが有効となる。
また、ホーン600の振動方向Sに対して接着面800を傾斜させることにより、ホーン600を環状口部材200の内側に配置した際に、環状口部材200と紙管110との間に押圧力を生じせしめることができる。このため、接着面800を傾斜させるだけで、環状口部材200と紙管110を押圧することができ、受け冶具700もしくはホーン600を互いに近付ける方向に移動させるための複雑な機構が不用となる。
なお、ホーン600の振動方向Sと接着面800との間に傾斜を設けるためには、受け冶具700に傾斜面701を設けてホーン600に傾斜面601を設けるだけで良く、製造装置の設計変更もわずかな変更で対応できる。
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
例えば、上述した実施の形態では、紙容器本体100の上端開口部内面101に環状口部材200を溶着した場合について説明したが、これに限らず、環状口部材200を紙容器本体100の外側に配置しても良い。この場合においても、両者の間の接着面を紙容器本体100の軸方向に対して傾斜させることが有効であり、両者間の接着強度を十分に高めることができ、接着の信頼性を高めることができる。また、ホーン600の振動方向Sに対する接着面800の傾斜方向は逆の方向でも良く、上述した実施形態に限定されるものではない。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
溶着層を内面に有する紙管と、
この紙管の下端開口部を塞ぐ底面部と、
前記紙管の上端開口部内面に溶着により取り付けられた環状口部材と、
この環状口部材の開口部をリクローズ可能に塞ぐ蓋部材と、を有し、
当該容器の総重量に対するプラスチックの使用量を50%未満にしたことを特徴とする容器。
[2]
前記環状口部材および/または前記蓋部材が、熱可塑性樹脂に紙を50重量%より多く混合した成形材料で射出成形されたことを特徴とする[1]に記載の容器。
[3]
前記蓋部材は繋ぎ部を介して前記環状口部材と一体に連結されていることを特徴とする[1]に記載の容器。
[4]
前記蓋部材、繋ぎ部、及び環状口部材が、熱可塑性樹脂に紙を50重量%より多く混合した成形材料で一体に射出成形されたことを特徴とする[3]に記載の容器。
図1は、本発明の実施形態1の容器の断面図である。 図2は、本発明の実施形態2の容器の断面図である。 図3は、本発明の実施形態3の容器の断面図である。 図4は、本発明の実施形態4の容器の断面図である。 図1の容器の要部を部分的に拡大した部分拡大断面図である。 図6(a)は、本発明の実施形態5の容器の環状口部材に蓋部材を組み合わせた構成を示す部分断面図であり、図6(b)は、紙容器本体に環状口部材を取り付けた構成を示す部分断面図である。 図7は、図6の実施形態5の容器の部分断面図である。 図8(a)は、本発明の実施形態6の容器の環状口部材に蓋部材を組み合わせた構成を示す部分断面図であり、図8(b)は、紙容器本体に環状口部材を取り付けた構成を示す部分断面図である。 図9は、図8の実施形態6の容器の部分断面図である。 図10は、本発明の実施形態7の容器の部分断面図である。 図11は、図1の実施形態1の容器の変形例を示す部分断面図である。 図12は、本発明の実施形態8の容器の部分断面図である。 図13は、本発明の実施形態9の容器の部分断面図である。 図14は、本発明の実施形態10の容器の部分断面図である。 図15は、本発明の実施形態11の容器の部分断面図である。 図16は、各実施形態の容器の紙管と環状口部材とを溶着する方法を説明するための説明図である。
10…容器、100…紙容器本体、101…上端開口部内面、110…紙管、200…環状口部材、230…筒状溶着部、231…外周面、232、233…環状突起、300…蓋部材、600…ホーン、700…受け冶具、800…接着面。

Claims (3)

  1. 溶着層を内面に有した円筒形の紙管と、
    この紙管の軸方向の下端開口部を塞ぐ底面部と、
    前記紙管の軸方向の上端に当接する該紙管より僅かに大径の環状のフランジ部および前記紙管の上端開口部内面に取り付けられている円筒状の筒状溶着部を一体に有する環状口部材と、
    この環状口部材の前記フランジ部内側の開口部をリクローズ可能に塞ぐ蓋部材と、を有し、
    前記環状口部材および前記蓋部材は、それぞれ、熱可塑性樹脂に紙を50重量%(質量%)より多く混合した材料で形成されたものであり、
    前記筒状溶着部の外周面が、前記紙管の下端に向けて内側に傾斜しており、前記筒状溶着部の厚みが、前記紙管の下端に向けて徐々に薄肉になっており、
    前記傾斜した外周面には、2本の円環状の突起が前記軸方向に互いに離間して一体に突設されており
    当該容器の総重量に対するプラスチックの使用量を50%未満にしたことを特徴とする容器。
  2. 前記蓋部材は繋ぎ部を介して前記環状口部材と一体に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
  3. 前記蓋部材、繋ぎ部、及び環状口部材が、熱可塑性樹脂に紙を50重量%(質量%)より多く混合した材料で一体に形成されたことを特徴とする請求項2に記載の容器。
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