JP5861876B2 - 防振装置 - Google Patents
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Description
このような防振装置の一例としては、車体側に取付けられ、かつ弾力性を有する振動吸収体が円筒部に収納されている車体側ブラケットと、エンジン側に取付けられ、かつ車体側ブラケットの円筒部と連結する平面形状の懸架アームが形成されているエンジン側ブラケットと、車体側ブラケットの円筒部の軸方向開口端に設けられ、かつリブが形成されているプレート状のサイドストッパとを備えているものがある。サイドストッパは、車体側ブラケットの円筒部とエンジン側ブラケットの懸架アームとの間に設けられており、リブが車体側ブラケットの円筒部の開口端もしくはエンジン側ブラケットの懸架アームと当接するように配置されている。そして、エンジン側ブラケットは、懸架アーム及び円筒部を介して車体側ブラケットに軸周りに回動可能に懸架されている。
近年、燃費向上のためにアイドリングストップ技術を採用する自動車が増えており、この技術は、小型軽量で低コストの自動車にも採用されるようになって来た。エンジンストップ及びエンジン始動に際してのクランク回転が遅い(例えば、400rpm以下)領域においては、クランキング振動やスタータ反トルクが発生し、エンジンが車両前後方向に大きく揺動している。この揺動は、通常運転のクランク回転での振動方向や振幅とは異なるため、エンジンマウントとしての防振装置には、幅広い振動吸収性が求められるようになっている。また、シフトチェンジ時のトルク変動によるエンジンの車両前後方向の揺動も、上記と同様の問題が生じることになる。
また、従来の防振装置の他の例では、弾性体に段差を設けることにより反発力が段階的に増加するようにしているが、リブとプレート平面部との全面当たりの構造においては、小さい荷重の吸収が難しく、リブの弾性率を下げるなどの対策を施す必要がある。その結果、リブ形状の複雑化を招くとともに、構成素材の貼り合わせが必要になって製造工程が煩雑になるおそれがあった。しかも、この従来の防振装置は、エンジンルームが広く取れるような価格の高い自動車であれば、大きなマウントブラケットと大きな弾性体を採用することにより、エンジンの車両前後方向の揺動を吸収して振動低減を図ることができるが、コンパクトな小型車や軽自動車では、設計レイアウトが難しくなり、幅広い範囲の振動の低減を図る上で問題となっていた。
(1)押圧力が弱くて揺動振幅が小さい場合(アイドリングを含む定常運転での振動)は、表面側基本リブ及び裏面側基本リブの先端部が変形するとともに、サイドストッパプレートのプレート部分が歪むので、柔らかい弾性力となり、当該振幅の小さい振動を吸収することができる。
(2)上記よりも押圧力が強い場合(アイドリング変動や通常の加速及び減速による揺動)は、表面側基本リブのプレート部分が第1マウントブラケットの筒状部の軸方向開口端との点当たりの接触となるので、裏面側基本リブよりも変形が大きくなり、先に表面側基本リブのプレート部分が第2マウントブラケットの懸架アームに当接し、弾性力が増大して当該揺動を吸収することができる。
(3)上記よりも押圧力が更に強い場合(急加速及び急減速による揺動)は、裏面側基本リブのプレート部分も第1マウントブラケットの筒状部の軸方向開口端に当接するようになるので、弾性力が更に増大して当該揺動を吸収することができる。
(4)大きな揺動がある場合(アイドリングストップ、エンジン始動、急発進など)は、サイドストッパプレートが十分に変形し、表面側基本リブ、裏面側基本リブ及びプレート部分が一体の弾性体となり、より一層大きな弾性力を発揮し、大きな荷重に対する変位を抑えることができる。
また、本発明の防振装置においては、上記(2)の弾性力が増大する方にシフトするので、裏面側基本リブのプレート部分が第1マウントブラケットに当接する上記(3)の変形に至るまでの荷重が高くなる。そのため、より大きな荷重をこれら基本リブの変形で吸収することができる。そして、上記(4)の荷重は、追加リブが変形する分大きくなるが、荷重全体が大きいので、ほぼ同じ弾性力となる。
したがって、本発明の防振装置を自動車のエンジンマウント等として用いた場合には、上記発明の防振装置と比べて、より大きな効果を得ることができる。
図1〜図4は、本発明の第1実施形態に係る防振装置1を示すものである。この防振装置1は、図1に示すように、自動車に搭載された振動発生部であるエンジン2を振動受部である車体側のサイドメンバ(図示せず)などに取付けて支持するためのエンジンマウントとして用いられるものである。
このため、本発明の実施形態に係る防振装置1は、図1〜図4に示すように、車体(振動受部)側に取付けられる第1マウントブラケット3と、エンジン(振動発生部)2側に取付けられる第2マウントブラケット4と、これら第1マウントブラケット3及び第2マウントブラケット4に関連して配設される弾性体のサイドストッパプレート5とを備えており、車体側の第1マウントブラケット3に後述の振動吸収体を介して第2マウントブラケット4を連結することによってエンジン2を懸架するように構成されている。
また、円筒部6の内部の空洞には、軸方向及び径方向へ変形可能な弾性体である振動吸収体(マウントゴム)10が収納配置され、軸周りに回動可能に懸架されている。このため、振動吸収体10は、ケーシング11内に嵌入されており、振動吸収体10の中央には、水平方向に延在する支持軸12を貫通して配置する貫通孔13が設けられている。また、振動吸収体10の両側端面には、サイドストッパプレート5を保持するボス部10aが設けられている。
基体部14は、前後に位置する懸架アーム15の間に第1マウントブラケット3の円筒部6を配置できるような長さで水平方向に延在して形成されており、中間部分には、エンジン2側に設けられ、上端ネジ部がナット16aと螺合する2本のボルト16と、エンジン2に締結する1本のボルト17を挿入する3つの挿入孔18が前後方向に間隔を開けて穿設されている。
懸架アーム15は、基体部14の前後端の両側に設けられ、振動吸収体10を収納した第1マウントブラケット3の円筒部6を連結して懸架するものである。このため、各懸架アーム15の先端部には、振動吸収体10の貫通孔13を挿通させる支持軸12を通す軸孔19が対向して穿設されている。懸架アーム15の一方の軸孔19から入れて他方の軸孔19より突出した支持軸12は、先端のネジ部にナット20が螺合して固定されるようになっている。また、懸架アーム15の対向する内壁面は、サイドストッパプレート5と当接するために、平坦な平面形状に形成されている。
表面側基本リブ22は、軸心を中心にして片側半分で少なくとも3本が周方向に間隔を開けながら放射状に配置され、第1マウントブラケット3の円筒部6の軸方向開口端部6aと交差する方向に沿って延びている。しかも、表面側基本リブ22は、先端部が円筒部6の軸方向開口端部6aと当接する突出長さで、断面略三角形状に形成されている。
また、裏面側基本リブ22aは、表面側基本リブ22と表面側基本リブ22との間に配置され、かつ表面側基本リブ22と同方向で第1マウントブラケット3の円筒部6の軸方向開口端部6aと交差する方向に沿って延びており、片側半分で少なくとも2本が軸心を中心にして周方向に間隔を開けながら放射状に配置されている。そして、表面側基本リブ22と裏面側基本リブ22aとは、円筒部6の軸方向開口端6aと交差する部分で、サイドストッパプレート5の厚み方向で互いに重ならない位置に配置されている。
まず、図3(b)に示すように、ケーシング11内に入れられた振動吸収体10を一方の軸方向開口端部6aから支持片7の対向壁7bに固着した第1マウントブラケット3の円筒部6内に挿入して収納する。次いで、表面側基本リブ22を形成したプレート部分5aの表面を軸方向開口端部6a側に向けながら、サイドストッパプレート5を外方から軸方向開口端部6a及び振動吸収体10の外側に被せ、ボス孔21をボス部10aに入れることによってサイドストッパプレート5を振動吸収体10に保持する(図3(a)参照)。この状態で、図1及び図2に示すように、第1マウントブラケット3の円筒部6及びサイドストッパプレート5を第2マウントブラケット4の懸架アーム15の間に配置し、支持軸12を懸架アーム15の一方の軸孔19から入れて振動吸収体10の貫通孔13及びサイドストッパプレート5のボス孔21を通して懸架アーム15の他方の軸孔19から出し、先端のネジ部にナット20を締結すれば、第2マウントブラケット4は、第1マウントブラケット3に軸周りに回動可能に懸架された状態で連結され、防振装置1が組み付けられることになる。
その後、基体部14の挿入孔18をエンジン2側のボルト16に通しながら基体部14をエンジン2の上部の所定位置に載せてナット16aを締結するとともに、ボルト17を上方から螺入させて締め付けることにより、第2マウントブラケット4をエンジン2側に固定する。また、支持片7を車体側の所定位置にセットし、ボルト8を下面部7aのボルト孔9に差し込んで締め付けることにより、第1マウントブラケット3を車体側に取付ければ、エンジン2の上部が防振装置1を介して車体に取付けられることになる。
また、これよりも大きな荷重(例えば、アイドリング変動、クランキング振動等)が矢印X方向へ入力されると、サイドストッパプレート5が第2マウントブラケット4の懸架アーム15により更に押圧され、表面側基本リブ22のプレート部分5aが第1マウントブラケット3の円筒部6の軸方向開口端部6aに接触して裏面側基本リブ22aのプレート部分5aよりも大きく変形し、第2マウントブラケット4の懸架アーム15に当接する。そのため、これら表面側基本リブ22、裏面側基本リブ22a及び表面側基本リブ22のプレート部分5aの弾性変形によって当該荷重が吸収され、入力された振動、揺動が減衰されることになる。
そして、大きな揺動(例えば、アイドリングストップ、エンジン始動、急発進等)が矢印X方向へ入力されると、サイドストッパプレート5が第2マウントブラケット4の懸架アーム15により更に押圧され、表面側基本リブ22、裏面側基本リブ22a及びそのプレート部分5aを含むサイドストッパプレート5の全体が一体となって変形する。そのため、これら表面側基本リブ22、裏面側基本リブ22a、及び基本リブ22,22aのプレート部分5aの弾性変形によって当該揺動が吸収され、入力された揺動が減衰されることになる。
一方、エンジン2や車体から矢印Y方向(エンジン振動、車体揺動振動)の振動が入力されると、第1マウントブラケット3の円筒部6内の振動吸収体15が弾性変形するとともに、第2マウントブラケット4が支持軸12を中心にして回動する。この弾性変形や回動により、入力された振動が減衰されることになる。
図5は、本発明の第2実施形態に係る防振装置1aを示すものである。
この第2実施形態の防振装置1aにおけるサイドストッパプレート5のプレート部分5aの表面には、図5に示すように、第1マウントブラケット3の円筒部6の軸方向開口端部6aに当接することが可能な複数本(少なくとも2本以上)の追加リブ23が一体的に形成され、裏面側基本リブ22aと一致する箇所にそれぞれ設けられている。これら追加リブ23は、円筒部6の軸心方向への外部荷重が掛かったときに、変形できるように構成されている。
また、追加リブ23は、表面側基本リブ22と表面側基本リブ22との間に配置され、表面側基本リブ22と同方向であって、軸心を中心にして片側半分で少なくとも2本が周方向に間隔を開けながら放射状に配置されている。すなわち、追加リブ23も、第1マウントブラケット3の円筒部6の軸方向開口端部6aと交差する方向に沿って延びている。しかも、追加リブ23は、表面側基本リブ22の先端部の高さよりも低くなるように設定されており、サイドストッパプレート5に外部荷重が掛かり、表面側基本リブ22が円筒部6の軸方向開口端部6aによって変形した後に円筒部6の軸方向開口端部6aに当接する突出長さで、断面略台形状に形成されている。
さらに、本実施形態の表面側基本リブ22、裏面側基本リブ22a及び追加リブ23は、第1マウントブラケット3の円筒部6の軸方向開口端部6aへの第2マウントブラケット4の荷重方向(図4中の矢印F方向)に対して対称形となるように配置されている。
その他の構成は、上記第1実施形態と同様であり、同一の部材には同一の符号を付している。
また、これよりも大きな荷重(例えば、クランキング振動等)が入力されると、サイドストッパプレート5が第2マウントブラケット4の懸架アーム15により更に押圧され、第1マウントブラケット3の円筒部6の軸方向開口端部6aに交差している追加リブ23が接触して沈み込み可能となり、局所的に弾性変形する。これら裏面側基本リブ22a、表面側基本リブ22及び追加リブ23の弾性変形によって当該荷重が吸収され、入力された振動が減衰されることになる。これら裏面側基本リブ22a、表面側基本リブ22及び追加リブ23が変形する際には、各リブの箇所でのプレート部分5aの変形も起こることになる。その他の作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
また、図1に示すように、既述の実施形態における第1マウントブラケット3及び第2マウントブラケット4に代えて、3つのマウントブラケット31,32,33を用いることにより、既述の実施形態の防振装置1,1aと同様の防振装置1bがトランスミッション30及び車体に取付けられている。中間マウントブラケット32の対向する起立壁が既述の実施形態の懸架アーム15に相当している。
さらに、既述の実施形態における第1マウントブラケット3及び第2マウントブラケット4に代えて、3つのマウントブラケット41,42,43を用いることにより、従来例と同一構造のサイドストッパプレート50を備えた防振装置100がエンジン2の中間部2a及び車体に取付けられていても良い。中間マウントブラケット42の対向する起立壁が既述の実施形態の懸架アーム15に相当している。
2 エンジン
3 第1マウントブラケット
4 第2マウントブラケット
5 サイドストッパプレート
6 円筒部(筒状部)
6a 軸方向開口端部
7 支持片
10 振動吸収体
10a ボス部
11 ケーシング
12 支持軸
13 貫通孔
14 基体部
15 懸架アーム
19 軸孔
20 ナット
21 ボス孔
22 表面側基本リブ
22a 裏面側基本リブ
23 追加リブ
30 トランスミッション
31,32,33 マウントブラケット
Claims (4)
- 振動発生部及び振動受部の一方に取付けられ、筒状部内に振動吸収体が収納されている第1マウントブラケットと、前記振動発生部及び前記振動受部の他方に取付けられ、前記筒状部と連結する平面形状の懸架アームが形成されている第2マウントブラケットと、前記第1マウントブラケットの前記筒状部の軸方向開口端に設けられ、表面にリブが形成されている弾性体のサイドストッパプレートとを備え、前記サイドストッパプレートは、前記第1マウントブラケットの前記筒状部と前記第2マウントブラケットの前記懸架アームとの間に設けられ、前記リブが前記筒状部の軸方向開口端もしくは前記懸架アームに当接するように配置されている防振装置において、
前記サイドストッパプレートの前記リブは、前記サイドストッパプレートの表面側に設けられ、前記筒状部の軸方向開口端と交差する方向に延びる複数本の表面側基本リブと、前記サイドストッパプレートの裏面側に設けられ、前記表面側基本リブと前記表面側基本リブとの間に配置され、かつ前記表面側基本リブと同方向に延びる複数本の裏面側基本リブとを有することによって構成され、前記表面側基本リブと前記裏面側基本リブとは、前記筒状部の軸方向開口端と交差する部分で、前記サイドストッパプレートの厚み方向で互いに重ならない位置に配置されており、
前記表面側基本リブは、先端部が前記筒状部の軸方向開口端と当接する突出長さに形成されているとともに、前記裏面側基本リブは、先端部が前記第2マウントブラケットの前記懸架アームに当接する突出長さに形成されていることを特徴とする防振装置。 - 前記サイドストッパプレートの表面側であって、前記裏面側基本リブと一致する箇所には、追加リブが設けられており、前記追加リブは、前記表面側基本リブの先端部の高さ位置よりも低く、前記サイドストッパプレートに荷重が掛かり、前記表面側基本リブが前記筒状部の軸方向開口端によって変形した後に前記筒状部の軸方向開口端に当接する突出長さに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防振装置。
- 前記表面側基本リブは、前記筒状部の軸方向開口端に対して少なくとも3本以上交差するように設けられ、前記裏面側基本リブは、前記筒状部の軸方向開口端に対して少なくとも2本以上交差するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の防振装置。
- 前記表面側基本リブ、前記裏面側基本リブ及び前記追加リブは、前記第1マウントブラケットへの前記第2マウントブラケットの荷重方向に対して対称形となるように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の防振装置。
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