JP5861778B2 - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両の駆動力源から出力された動力を伝達するための装置に関し、特に無段変速機を含む伝動経路と、その伝動経路に対して並列に設けられた他の伝動経路とを備えている動力伝達装置に関するものである。
車両の駆動力源として一般に用いられている内燃機関は、回転数の増大に応じて出力トルクが大きくなる特性を有している。それに対して、車両に要求される駆動力は、低車速で大きく、高車速で相対的に小さいのが一般的である。すなわち、車両においては、内燃機関の出力特性に基づくトルクとは反対のトルクが要求される。また、内燃機関の効率の良い運転点は限られている。そのため、内燃機関を駆動力源とする車両では、変速比を適宜に変化させることのできる変速機が搭載されている。そして、その変速機で車速やアクセル開度などの車両の走行状態に基づいて変速比を適宜に設定し、必要とする駆動力を得るとともに内燃機関を効率の良い運転点で運転している。ただし、変速段毎に段階的に変速比を設定する有段変速機のように、変速機で設定する変速比に段差がある場合は、内燃機関を常に効率の良い運転点で運転することはできない。すなわち、効率の良い運転点における内燃機関の回転数が、2つの変速段の間の変速比で設定できる回転数であった場合には、一方の変速段から他方の変速段に切り替わるまでの間の運転状態では効率が低下してしまう。そこで最近では、有段変速機に替えて、変速比を連続的に変化させることが可能な無段変速機が使用されるようになってきている。
車両用の無段変速機としては、ベルト式無段変速機とトロイダル型無段変速機とが広く知られている。前者のベルト式無段変速機は、動力伝達用のベルトと、そのベルトを巻き掛ける溝の幅を変化させることに伴ってベルトの巻き掛け半径が大小に変化する一対のプーリとを有している。そして、それぞれのプーリの溝幅を変化させてベルトの巻き掛け半径を変化させることにより、それら一対のプーリの間で設定する変速比を無段階に変化させるように構成されている。また、後者のトロイダル型無段変速機は、向かい合わせて配置されている一対のディスクの間にパワーローラを挟み込み、そのパワーローラの各ディスクに対する接触点を結んだ線が、ディスクの回転中心軸線に対して傾斜することにより、各ディスク同士の回転数に差が生じる構成となっている。そして、パワーローラの傾斜角度(傾転角度)が大きいほど、ディスク同士の回転数の差すなわち変速比が「1」から離れるように構成されている。
これらの無段変速機では、変速比を連続的に変化させるために、プーリとベルトとの間の摩擦力、あるいはディスクとパワーローラとの間の摩擦力を利用してトルクを伝達している。摩擦力は、2つの部材の接触箇所における摩擦係数と垂直荷重(もしくは法線方向の荷重)との積であるから、伝達するべきトルクに応じて垂直荷重を大きくすることになる。その垂直荷重は車両用のベルト式無段変速機では、プーリがベルトを挟み付ける荷重である。そしてその荷重は、例えばプーリに油圧アクチュエータを一体に形成し、その油圧アクチュエータに供給する油圧によって発生させている。
一方、車両においては発進時に大きい駆動力が要求される。これに対して定常的な走行状態すなわち巡航時に要求される駆動力は発進時に比較して小さい。そのため、上記の摩擦力を発生させるための垂直荷重は発進時に大きくする必要がある。すなわち、ベルト式無段変速機では、挟圧力を発生させるための油圧を発進時に高くすることになる。車両の駆動状態として比較的短時間である発進時に備えて、大きい油圧を発生させる油圧機器を設けるとすれば、駆動装置やそのための油圧装置が大型化し、また高油圧を発生させることに伴って燃費が悪化してしまう可能性がある。
このような課題を解消することのできる装置が、特開2000−130548号公報や特開2004−076876号公報あるいは特開2005−308041号公報などに記載されている。このうち特開2000−130548号公報に記載されている装置は、第1のクラッチによって入力軸に連結されるギヤ列と、第2のクラッチによって入力軸に連結されるベルト式無段変速機とを備えている。そのギヤ列は、前進段と後進段とを設定できるように構成されている。そして、入力軸と同一軸線上に設けられたドライブギヤから第1のカウンタシャフトにトルクを伝達し、そのカウンタシャフトから前進段用のギヤ列と後進段用のギヤ列とに切り替えてトルクを伝達するように構成されている。
上記の第1のカウンタシャフトには、上記のドライブギヤに噛み合っているドリブンギヤとリバースドライブギヤとが設けられている。またアウトプットドライブギヤとリバースドリブンギヤとが同軸上にかつ回転可能に配置されている。第1のカウンタシャフトとアウトプットドライブギヤとの間、およびアウトプットドライブギヤとリバースドリブンギヤとの間には、ドグクラッチが設けられている。そして、そのドグクラッチによって、アウトプットドライブギヤに対して第1のカウンタシャフトを連結し、あるいはアウトプットドライブギヤに対してリバースドリブンギヤを連結するように構成されている。第1のカウンタシャフトに取り付けられているリバースドライブギヤには、第1のアイドラーシャフトに取り付けられた第1のアイドルギヤが噛み合っている。この第1のアイドルギヤに噛み合っている第2のアイドルギヤが、第2のアイドラーシャフトに取り付けられている。この第2のアイドラーシャフトには、上記のリバースドリブンギヤに噛み合っている第3のアイドルギヤが取り付けられている。
そして、アウトプットドライブギヤが、出力軸上に回転可能に設けられたアウトプットドリブンギヤに噛み合っている。そのアウトプットドライブギヤと出力軸との間には、互いに並列に配置されたワンウェイクラッチおよび第3のクラッチが設けられている。さらに、出力軸には、ベルト式無段変速機における従動側のセカンダリープーリが取り付けられ、ベルトによってこのセカンダリープーリと連結されている駆動側のプライマリープーリが前記の入力軸と同一軸線上に配置されている。そして、第2のクラッチによって入力軸とプライマリープーリとが連結されるように構成されている。
したがって、上記の特開2000−130548号公報に記載されている装置では、前進方向への発進の際に、第1のクラッチを係合させ、ドグクラッチによって第1のカウンタシャフトとアウトプットドライブギヤとを連結することにより、入力軸からギヤ列を介して出力軸にトルクが伝達される。また、第1クラッチを係合させ、かつドグクラッチによってアウトプットドライブギヤに対してリバースドリブンギヤを連結することにより、入力軸から第1のカウンタシャフト、第1のアイドラーシャフト、および第2のアイドラーシャフトを介して、リバースドリブンギヤおよびアウトプットドライブギヤにトルクが伝達される。その結果、出力軸が前進方向への発進時とは反対方向に回転し、後進段が設定される。そして、第1のクラッチに替えて第2のクラッチを係合させれば、入力軸からベルト式無段変速機を介して出力軸にトルクが伝達される。その結果、無段変速機により変速比を無段階に変化させることのできる前進走行状態になる。
他方、特開2004−076876号公報に記載された装置では、エンジンが出力した動力を伝達する入力軸と、ベルト式無段変速機におけるプライマリープーリとの間に、シングルピニオン型遊星歯車機構からなる前後進切替機構が設けられている。そして、その前後進切替機構におけるリングギヤとプライマリープーリとが一体となって回転するように連結され、またサンギヤに入力軸が連結されている。したがって、サンギヤとリングギヤとをクラッチによって連結することにより前進状態となり、キャリヤをブレーキによって固定することにより後進状態となる。さらに、入力軸と、セカンダリープーリに一体化されている出力軸との間には、無段変速機による最大変速比より大きい変速比のギヤ列が設けられている。また、そのギヤ列を構成している入力ギヤが入力軸に一体化されている。またその入力軸にアイドルギヤを介して連結されている出力ギヤが、出力軸に回転可能に嵌合させられている。そして、出力ギヤと出力軸との間に、ワンウェイクラッチと摩擦クラッチとが直列に配列されている。
したがって、前進状態で発進する場合、入力軸をプライマリープーリに連結するためのクラッチを解放しておき、また出力軸側のクラッチを係合させておくことにより、入力軸からギヤ列およびワンウェイクラッチならびにこれと直列に配列されているクラッチを介して出力軸にトルクが伝達される。その状態から入力軸とプライマリープーリとをクラッチによって連結すると、無段変速機の最大変速比がギヤ列による変速比より幾分小さいから、セカンダリープーリおよびこれと一体の出力軸が従前より大きい回転数、より具体的には出力ギヤより高回転数になってワンウェイクラッチが解放する。すなわち、トルクは無段変速機を介して出力軸に伝達される。このように、発進時はギヤ列がトルクの伝達を行うので、無段変速機に発進時の大きいトルクが掛かることがない。
また、特開2005−308041号公報に記載された装置では、前後進切替機構を構成しているシングルピニオン型遊星歯車機構のサンギヤに、エンジンが出力した動力が伝達される。そして、そのサンギヤをベルト式無段変速機のプライマリープーリと一体の入力軸に連結するクラッチが設けられている。また、入力軸の外周側にワンウェイクラッチを介して入力ギヤが嵌合されており、この入力ギヤが前後進切替機構におけるリングギヤに連結されている。なお、ワンウェイクラッチは、前進回転方向で入力軸がその外周側の入力ギヤより高速で回転する場合に係合するように構成されている。また、セカンダリープーリと一体の出力軸の外周側には、他のワンウェイクラッチを介して出力ギヤが嵌合されている。そして、上記の入力ギヤとの間にアイドルギヤが配置され、入力ギヤと出力ギヤとがこのアイドルギヤに噛み合っている。すなわち、入力ギヤと出力ギヤとが共に同方向に回転するように構成されている。これら入力ギヤと出力ギヤとのギヤ比(変速比)は、上記の各プーリとこれらに巻き掛けられたベルトとからなる無段変速機で設定できる最も大きい変速比より僅かに小さい変速比に設定されている。そして、上記の他のワンウェイクラッチは、前進回転方向で、出力軸が出力ギヤより高速で回転する場合に係合するように構成されている。また、他のワンウェイクラッチと並列に摩擦式のクラッチが設けられている。さらに、後進状態を設定するために、前後進切替機構におけるキャリヤを固定するブレーキが設けられている。
したがって特開2005−308041号公報に記載された装置では、例えば前進走行するために発進する場合、サンギヤと入力軸とがクラッチによって連結される。その結果、無段変速機を主体とする主変速経路に、入力軸を介してトルクが伝達され、上記の各ギヤを主体とする副変速経路に、ワンウェイクラッチが係合することによりトルクが伝達される。その場合、ギヤ列による変速比が無段変速機の最大変速比より幾分小さいので、出力ギヤが出力軸より高速で回転し、出力軸側のワンウェイクラッチが解放状態になる。その結果、トルクはギヤ列を介して駆動輪に伝達される。すなわち、無段変速機には発進時の大きいトルクが掛からない。発進後、車速が増大するのにつれて段変速機の変速比を次第に小さくすると、セカンダリープーリと一体の出力軸の回転数がその外周側に設けられている出力ギヤの回転数に達し、変速比の低下によってその回転数が更に増大する。その結果、出力軸側のワンウェイクラッチが係合状態になり、駆動輪には無段変速機を介してトルクが伝達される。なお、その場合、入力軸側のワンウェイクラッチは解放状態になるので、インターロック状態は生じない。
これらいずれの公報に記載された装置であっても、ベルト式無段変速機と並列にギヤ列が設けられ、主として発進時にそのギヤ列を介して、発進のためのトルクを伝達するように構成されている。特に特開2000−130458号公報に記載された装置では、そのギヤ列に入力されたトルクを、発進のためのギヤ対と後進走行のためのギヤ対とにドグクラッチによって切り替えて伝達するように構成されている。そのため、特開2000−130458号公報に記載された装置では、上述した第1クラッチ、第2のクラッチ、ドグクラッチ、およびワンウェイクラッチの合計4つの係合機構が必要となる。また、ワンウェイクラッチに対して並列に第3のクラッチを設ける必要もある。したがって、特開2000−130458号公報に記載された装置は、ベルト式無段変速機を使用せずに発進時のトルクの伝達および後進走行のためのトルクの伝達を行うことができる。しかしながら、そのようなトルクの伝達経路を成立させるための係合機構の数が多くなり、それに伴って装置の全体としての構成が複雑化し、また大型化する可能性がある。
また、特開2000−130458号公報に記載された装置は、前進方向への発進のためのトルクの伝達経路と後進走行のためのトルクの伝達経路とをドグクラッチによって切り替えるように構成されている。そのため、いわゆるガレージシフトの際のシフトに遅れが生じる可能性がある。すなわち、ドグクラッチはトルクが掛かっていない状態で切り替え動作させることになるから、ガレージシフトの場合、特開2000−130458号公報に記載された装置では、上述した第1のクラッチを解放してドグクラッチに対するトルクの伝達を遮断する必要がある。そして、その状態でドグクラッチを切り替え動作させ、その後に第1のクラッチを係合させることになる。その結果、ドグクラッチに掛かるトルクが抜けるのを待つことになり、またドグクラッチが切り替わったことを確認してから第1のクラッチを係合させることになる。したがって、特開2000−130458号公報に記載された装置では、ガレージシフトの際にドグクラッチの切り替え動作や第1のクラッチの係合動作に時間を要し、しかも不可避的な無駄時間が生じるので、ガレージシフトのシフト応答性が悪化する可能性がある。
一方、特開2004−76876号公報に記載された装置は、後進走行する場合、前後進切替機構が後進状態に設定される。そして、その前後進切替機構を経由したトルクをベルト式無段変速機に伝達し、そのベルト式無段変速機から駆動輪にトルクを伝達するように構成されている。したがって、この特開2004−76876号公報に記載された装置では、後進段での変速比が無段変速機で設定できる変速比に制限されてしまう。
さらに、特開2005−308041号公報に記載された装置は、前進方向への発進時にベルト式無段変速機に大きいトルクが作用することを回避もしくは抑制するように構成された装置である。したがって、発進時にトルクを伝達するギヤ列の変速比は、無段変速機で設定できる最大変速比より小さく、そのため装置の全体としての変速比幅を拡大することができない。
この発明は上述した技術的課題に着目してなされたものであり、複数のトルク伝達経路を選択することができるだけでなく、構成を簡素化でき、また変速応答性を向上させることができる車両用動力伝達装置を提供することを目的とするものである。
この発明は、上記の課題を解決するために、駆動力源が出力したトルクが入力される入力軸とトルクを出力する出力軸との間に、変速比を連続的に変化させる無段変速機と、前進走行する場合にトルクを伝達する第1ギヤ列と、後進走行する場合に前記出力軸を前記入力軸とは反対方向に回転させて後進状態を設定するようにトルクを伝達する第2ギヤ列とが相互に並列に設けられている車両用動力伝達装置において、前記入力軸から前記第1ギヤ列を介して前記出力軸に至るトルクの伝達経路をトルク伝達が可能な状態とトルク伝達が不可能な状態とに切り替える第1クラッチ機構と、前記入力軸と前記出力軸との間でトルク伝達する経路を、前記無段変速機を経由してトルク伝達を行う無段変速経路と前記第2ギヤ列を経由してトルク伝達を行うリバース用経路とに切り替えるドグクラッチと、前記無段変速経路および前記リバース用経路を共に、前記入力軸もしくは前記出力軸に対してトルク伝達が可能な状態とトルク伝達が不可能な状態とに切り替える第2クラッチ機構と、前記入力軸のトルクを前記無段変速経路および前記リバース用経路に伝達する位置に設けられ、前記入力軸と前記無段変速経路との間および前記入力軸と前記リバース用経路との間でそれぞれのトルクの伝達に関与するカウンタギヤ対とを備えていることを特徴とするものである。
また、前記第1ギヤ列は、複数のギヤによって、前記無段変速機の最大変速比より大きい変速比、もしくは最小変速比より小さい変速比を設定するように構成することができる。
また、前記ドグクラッチは、前記無段変速経路および前記リバース用経路に対する入力のための部材もしくは前記無段変速経路および前記リバース用経路から出力するための部材に噛み合っている可動部材が前記無段変速経路の一部を構成している部材に係合することにより無段変速経路を介したトルク伝達を可能にし、かつ前記可動部材が前記リバース用経路の一部を構成している部材に係合することによりリバース用経路を介してトルク伝達を可能にするように構成することができる。
また、前記第1クラッチ機構および第2クラッチ機構は、それぞれ1つのクラッチによって構成することができる。
さらに、前記第1クラッチ機構および第2クラッチ機構は、それぞれ摩擦クラッチによって構成することができる。
そして、前記ドグクラッチを、前記無段変速経路と前記リバース用経路とを切り替えて前記出力軸に向けてトルクを伝達する位置に設けた場合、前記カウンタギヤ対は、前記入力軸と前記無段変速経路との間でトルクを伝達するギヤ対のいずれか一方のギヤと、前記入力軸と前記リバース用経路との間でトルクを伝達するギヤ対のいずれか一方のギヤとを、前記入力軸と同一軸線上に配置した1つの駆動ギヤで兼用して構成することができる。
一方、前記第1クラッチ機構は、前記入力軸と前記第1ギヤ列との間に設けられ、前記第1ギヤ列は、前記出力軸に連結されていてよい。
また、前記第1クラッチ機構は、前記出力軸と前記第1ギヤ列との間に設けられ、前記第1ギヤ列は、前記入力軸に連結されていてよい。
また、前記第2クラッチ機構は、前記入力軸のトルクを前記無段変速経路および前記リバース用経路に伝達する位置に設けられていてよい。
あるいは、前記第2クラッチ機構は、前記無段変速経路および前記リバース用経路から前記出力軸に向けてトルクを伝達する位置に設けられていてよい。
そして、前記ドグクラッチは、前記入力軸のトルクを前記無段変速経路と前記リバース用経路とに切り替えて伝達する位置に設けることができる。
したがって、この発明によれば、入力軸から出力軸にトルクを伝達する経路として、第1ギヤ列を経由する経路と、第2ギヤ列を経由する経路と、無段変速機を経由する経路とを選択することができる。その場合の選択のための係合機構は、第1クラッチ機構、第2クラッチ機構、およびドグクラッチの3つのみである。このようにこの発明によれば、トルクの伝達経路の選択の多様性があるにもかかわらず、必要とする係合機構の数が少なくて済む。その結果、装置の全体としての構成を簡素化することができ、また小型化することができる。特に、この発明では、無段変速機を経由してトルクを伝達する経路と第2ギヤ列を経由してトルクを伝達することにより後進状態を設定する経路との選択もしくは切り替えを、1つのドグクラッチによって行うように構成されている。そのため、いわゆる部品の共用化により、装置の全体としての構成を簡素化でき、また小型化することができる。
また、この発明では、第1ギヤ列による変速比を無段変速機による最大変速比より大きく、あるいは最小変速比より小さく設定することができる。そのため、動力伝達装置の全体としての変速比の幅を広くすることができる。
また、この発明では、各クラッチ機構をそれぞれ1つのクラッチで構成することにより、装置の全体としての構成を更に小型化することができる。そして、これらのクラッチ機構を摩擦クラッチによって構成することにより、変速制御における制御応答性を向上させることができる。すなわち、第1ギヤ列を経由してトルクを伝達している状態から、無段変速機を経由してトルクを伝達する状態および第2ギヤ列を経由してトルクを伝達する状態に切り替える場合、それぞれの摩擦クラッチを過渡的に滑り状態に制御して、トルクの伝達を受け持つクラッチ機構を次第に交替させるいわゆるクラッチ・ツウ・クラッチ変速が可能になる。そのため、ガレージシフトなどの変速制御における制御応答性を向上させることができ、また変速時のショックを低減することができる。
そして、この発明では、ドグクラッチを出力軸側に配置することにより、入力軸から無段変速経路にトルクを伝達するギヤ対におけるいずれか一方のギヤと、入力軸からリバース用経路にトルクを伝達するギヤ対のいずれか一方のギヤとを、1つの駆動ギヤで兼用することができる。そのため、無段変速経路およびリバース用経路を構成するカウンタギヤ対およびギヤ列におけるいわゆる部品の共用化により、動力伝達装置全体としての構成を更に簡素化および小型化することができる。
一方、各クラッチ機構やドグクラッチを入力側すなわち入力軸からトルクを伝達する位置に設けることにより、各クラッチ機構やドグクラッチに作用するトルクが減速作用により増大させられたトルクとなることがない。そのため、各クラッチ機構やドグクラッチを小容量の小型のものとすることができる。
これに対して、各クラッチ機構やドグクラッチを出力側すなわち出力軸にトルクを伝達する位置に設けた場合は、これらのクラッチ機構やドグクラッチにおける入力側と出力側との回転数の差が小さいことにより、各クラッチ機構については滑りを抑制してその耐久性を向上させることができる。また、ドグクラッチについてはいわゆる同期性能が向上して係合および解放をスムースに行わせることができる。そのため、シンクロナイザーなどの同期機能のある部品に替えて同期のための機構を特には備えていない噛み合いクラッチを採用して、装置の全体としてのコストを低廉化することが可能になる。
この発明に係る車両用動力伝達装置の第1の具体例を説明するためのスケルトン図である。 そのドグクラッチの構成を模式的に示すスケルトン図である。 第1クラッチ機構、第2クラッチ機構、およびドグクラッチの動作状態をまとめて示す図表である。 この発明の第2の具体例を説明するためのスケルトン図である。 この発明の第3の具体例を説明するためのスケルトン図である。 この発明の第4の具体例を説明するためのスケルトン図である。 この発明の第5の具体例を説明するためのスケルトン図である。 この発明の第6の具体例を説明するためのスケルトン図である。 この発明の第7の具体例を説明するためのスケルトン図である。 この発明の第8の具体例を説明するためのスケルトン図である。
この発明に係る車両用動力伝達装置は、エンジンやモータなどの駆動力源が出力した動力を駆動輪に伝達するための動力伝達装置であって、変速機能のある動力伝達装置である。すなわち、一般にはトランスミッションあるいはトランスアクスルと称されている装置である。特に、この発明で対象とする装置は、入力軸と出力軸との間に、無段変速機と所定の変速比(ギヤ比)のギヤ列とを互いに並列に配列して設けた動力伝達装置である。無段変速機としては、従来知られているベルト式の無段変速機やトロイダル型無段変速機を適用することができる。ベルト式無段変速機は、FF車(フロントエンジン・フロントドライブ車)に搭載する動力伝達装置に適している。トロイダル型無段変速機は、FR車(フロントエンジン・リヤドライブ車)に搭載する動力伝達装置に適している。
また、ギヤ列は、要は、入力軸から出力軸にトルクを伝達できるギヤであればよいが、この発明では、無段変速機では設定できない変速比をギヤ列で設定する構成となっている。したがって、ギヤ列は、複数のギヤを噛み合わせて構成されている。そしてそのギヤ比(歯数の比)が、無段変速機での最大変速比より大きい変速比あるいは最小変速比より小さい変速比を設定できるように構成されている。なお、車両が発進する際の大きいトルクが無段変速機に掛からないようにするためには、ギヤ列は、無段変速機での最大変速比より大きい変速比を設定できるように構成されることが好ましい。また、走行中における駆動力源の回転数を低くして燃費を低下させるためには、ギヤ列は、無段変速機での最小変速比より小さい変速比を設定できるように構成されることが好ましい。
そのような動力伝達装置の具体例を図1に示してある。ここに示す例はFF車に適するように構成した例である。したがって、無段変速機1としてベルト式の無段変速機が採用されている。また、駆動力源は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関(Eng;エンジン)2によって構成されている。
エンジン2の出力軸(クランク軸)(図示せず)に、ロックアップクラッチ付きのトルクコンバータ3が連結されている。このトルクコンバータ3は従来広く知られている構成のものである。具体的には、フロントカバー4と一体のポンプインペラー5に対向してタービンランナー6が配置されている。また、これらポンプインペラー5とタービンランナー6との間に、図示しない一方向クラッチを介して保持されたステータ7が配置されている。また、タービンランナー6と一体となって回転するロックアップクラッチ8が、フロントカバー4の内面に対向して配置されている。そして、そのロックアップクラッチ8を挟んだ両側の圧力差に応じて、ロックアップクラッチ8が係合・解放動作するようになっている。すなわち、ロックアップクラッチ8がフロントカバー4の内面に接触してトルクを伝達する係合状態になり、また反対に、フロントカバー4の内面から離れてトルクの伝達を遮断する解放状態になるように構成されている。そして、タービンランナー6に、入力軸9が連結されている。
入力軸9には、発進用のドライブギヤ10が回転可能に嵌合されている。また、そのドライブギヤ10を入力軸9に連結し、またその連結を解除する第1クラッチ機構C1が、入力軸9と同一軸線上に設けられている。この第1クラッチ機構C1は、要は、ドライブギヤ10と入力軸9とを連結できるものであればよいので、摩擦クラッチや噛み合いクラッチあるいはワンウェイクラッチなどによって構成することができる。ただし、この図1に示す例では、後に説明するいわゆるクラッチ・ツウ・クラッチ変速を可能にするために、また構成を簡素化するために、摩擦クラッチによって第1クラッチ機構C1が構成されている。この場合の第1クラッチ機構C1は、多板式もしくは単板式の摩擦クラッチによって構成されてもよく、また、乾式もしくは湿式の摩擦クラッチによって構成されてもよい。さらに、入力軸9には、リバースドライブギヤ11が一体となって回転するように取り付けられている。したがって、この図1に示す例では、トルクコンバータ2側から、ドライブギヤ10、第1クラッチ機構C1、リバースドライブギヤ11の順に配置されている。
ベルト式の無段変速機1におけるプライマリープーリ(ドライブプーリ)12が、入力軸9に対してその半径方向にオフセットされて配置されている。そして、そのプライマリープーリ12と一体に回転するプライマリーシャフト13に、リバースドライブギヤ11に噛み合っているカウンタドリブンギヤ14が取り付けられている。すなわち、プライマリーシャフト13の回転方向を入力軸9に対して反転させるように構成されている。
上記の入力軸9と平行に、出力軸15が配置されている。この出力軸15は、終減速機であるフロントデファレンシャル16にトルクを出力するためのものである。具体的には、フロントデファレンシャル16におけるリングギヤ17に噛み合っているアウトプットギヤ18が、出力軸15に一体となって回転するように取り付けられている。また、前述したドライブギヤ10に噛み合っている発進用のドリブンギヤ19が、出力軸15に一体となって回転するように取り付けられている。すなわち、入力軸9から、第1クラッチ機構C1、ドライブギヤ10、およびドリブンギヤ19を介して、出力軸15にトルクを伝達できるように構成されている。これらドライブギヤ10およびドリブンギヤ19は、車両が前進方向に発進する際にトルクを伝達するためのいわゆる発進用伝動機構であってこの発明における第1ギヤ列に相当している。そして、これらドライブギヤ10とドリブンギヤ19との間のギヤ比(変速比)は、無段変速機1で設定できる最大変速比(最低速側の変速比)より大きい変速比(低速側の変速比)に設定されている。
出力軸15と同一の軸線上に、中間軸20が回転可能に配置されている。そして、出力軸15と中間軸20との間、すなわち出力軸15にトルクを伝達する位置に、これらの出力軸15と中間軸20とをトルク伝達可能に連結し、またその連結を解除する第2クラッチ機構C2が配置されている。したがって、この第2クラッチ機構C2は、要は、これらの出力軸15と中間軸20とを選択的に連結できればよいので、前述した第1クラッチ機構C1と同様に、摩擦クラッチや噛み合いクラッチあるいはワンウェイクラッチなどによって構成することができる。ただし、この図1に示す例では、後に説明するいわゆるクラッチ・ツウ・クラッチ変速を可能にするために、また構成を簡素化するために、多板式もしくは単板式で、かつ乾式もしくは湿式の摩擦クラッチによって構成されている。
この中間軸20と前述した入力軸9との間に、リバース用伝動機構が設けられている。上記のドライブギヤ10とドリブンギヤ19とから構成される発進用伝動機構は、入力軸9から出力軸15にトルクを伝達する際に入力軸9に対して出力軸15が反対方向に回転するように構成されている。それに対して、このリバース用伝動機構は、入力軸9から中間軸20にトルクを伝達する際に入力軸9に対して中間軸20が同じ方向に回転するように構成されている。すなわち、入力軸9に取り付けられているリバースドライブギヤ11に噛み合って回転するアイドルギヤ21が、入力軸9と中間軸20との間に、それら入力軸9および中間軸20と平行な軸線を中心に回転するように配置されている。さらに、そのアイドルギヤ21に噛み合っているリバースドリブンギヤ22が、中間軸20に回転自在に取り付けられている。したがって、これらリバースドライブギヤ11、アイドルギヤ21、およびリバースドリブンギヤ22が、この発明における第2ギヤ列に相当している。また、これらのリバースドライブギヤ11、アイドルギヤ21、およびリバースドリブンギヤ22を経由して出力軸15にトルクを伝達する経路が、この発明におけるリバース用経路に相当している。そして、上記のリバースドライブギヤ11とアイドルギヤ21とは、入力軸9とリバース用経路との間でトルクの伝達に関与するギヤ対となっていて、この発明におけるカウンタギヤ対に相当している。
リバースドリブンギヤ22を中間軸20に連結し、またその連結を解除するドグクラッチ23が設けられている。このドグクラッチ23は、係合状態と解放状態とに切り替えることができ、これら2つの状態の中間の状態、すなわち滑りを伴ってトルクを伝達する状態には設定されることのない噛み合いクラッチである。例えば、スプラインによって係合するクラッチであり、その構成の一例を図2に模式的に示してある。図2に示すように、中間軸20およびこれに嵌合しているリバースドリブンギヤ22には、それぞれ、外周面にスプラインが形成されたハブ24およびハブ25が一体化して設けられ、これらのハブ24およびハブ25が互いに接近して配置されている。そして、これらのハブ24およびハブ25にスプライン嵌合している可動部材であるスリーブ26が、これらハブ24およびハブ25の外周側を軸線方向に摺動できるように配置されている。したがって、ドグクラッチ23は、そのスリーブ26がいずれか一方のハブ24もしくはハブ25から外れることにより、中間軸20とリバースドリブンギヤ22との連結を解除するように構成されている。それに加えて、ドグクラッチ23は、スリーブ26が両方のハブ24およびハブ25にスプライン嵌合することにより、中間軸20とリバースドリブンギヤ22とをトルク伝達可能に連結するように構成されている。なお、ドグクラッチ23のスリーブ26の軸線方向への移動は、図示しない適宜なアクチュエータによって行うように構成すればよい。
上記の無段変速機1は、従来知られているように、駆動側部材であるプライマリープーリ12と、従動側部材であるセカンダリープーリ27と、これらプライマリープーリ12およびセカンダリープーリ27に巻き掛けられたベルト28とを備えている。そして、プライマリープーリ12およびセカンダリープーリ27は、ベルト28が巻き掛けられている溝の幅を広げるもしくは狭めるように変化させることにより、ベルト28の巻き掛け半径が大小に変化するように構成されている。すなわち、ベルト28が巻き掛けられている溝幅を変化させて変速比を連続的に変更するように構成されている。
前述したように、プライマリープーリ12は、入力軸9に対してプライマリープーリ12の半径方向にオフセットされて配置されている。そして、プライマリープーリ12と一体のプライマリーシャフト13が、入力軸9に一体に取り付けられたリバースドライブギヤ11と、プライマリーシャフト13に一体に取り付けられてリバースドライブギヤ11と噛み合っているカウンタドリブンギヤ14とを介して、入力軸9に対して動力伝達が可能なように連結されている。したがって、これらリバースドライブギヤ11とカウンタドリブンギヤ14とは、入力軸9と無段変速経路との間でトルクの伝達に関与するギヤ対となっていて、この発明におけるカウンタギヤ対に相当している。
一方、セカンダリープーリ27は、その回転中心軸線が上記のプライマリープーリ12の回転中心軸線と平行になるように配置されている。そして、そのセカンダリープーリ27の回転中心軸線に沿うように設けられたセカンダリーシャフト29を備えている。このセカンダリーシャフト29は、上記の出力軸15および中間軸20と同一軸線上に配置されている。
セカンダリーシャフト29の中間軸20と対向する側の先端には、前述したドグクラッチ23におけるハブ24およびハブ25と同様のハブ30が設けられている。すなわち、セカンダリーシャフト29と中間軸20とが、上記のドグクラッチ23によって選択的に連結されるように構成されている。すなわち、ドグクラッチ23は、そのスリーブ26が中間軸20におけるハブ24とセカンダリーシャフト29におけるハブ30とにスプライン嵌合することにより、セカンダリーシャフト29と中間軸20とをトルク伝達可能に連結するように構成されている。それに加えて、ドグクラッチ23は、そのスリーブ26がいずれか一方のハブ30もしくはハブ24から外れることにより、セカンダリーシャフト29と中間軸20との連結を解除するように構成されている。
また、図2に示すように、ドグクラッチ26における3つのハブ24、ハブ25、およびハブ30の配列は、中間軸20のハブ24が中央に配置され、その左右両側にセカンダリーシャフト29のハブ30とリバースドリブンギヤ22のハブ25とが配置されている。したがって、スリーブ26をその可動範囲での中央に位置させて中間軸20におけるハブ24のみに嵌合させるとともに、両側のハブ30およびハブ25から外れた状態をニュートラル状態とすることができる。
上記のように、入力軸9から無段変速機1を経由してハブ30に至るトルク伝達経路が、この発明における無段変速経路に相当している。また、図1に示す例では、スリーブ26がこの発明における「可動部材」に相当し、ハブ24がこの発明における「入力するための部材」もしくは「出力するための部材」に相当している。そして、ハブ25がこの発明における「リバース用経路の一部を構成している部材」に相当し、ハブ30がこの発明における「無段変速経路の一部を構成している部材」に相当している。したがって、図1に示す構成では、ドグクラッチ23は、無段変速経路およびリバース用経路から出力軸15に向けてトルクを伝達する位置に設けられている。
なお、上記の無段変速経路におけるリバースドライブギヤ11とカウンタドリブンギヤ14とは、増減速作用を生じないギヤ比に設定されていてもよく、あるいは、増速作用もしくは減速作用を生じるギヤ比であってもよい。それらリバースドライブギヤ11とカウンタドリブンギヤ14とで増速作用もしくは減速作用を生じさせる場合、発進用伝動機構である上記のドライブギヤ10とドリブンギヤ19とのギヤ比は、リバースドライブギヤ11とカウンタドリブンギヤ14とによるギヤ比と、無段変速機1での最大変速比とで求まる変速比よりも大きい変速比に設定される。
この発明に係る上記の動力伝達装置は、前進方向に発進する場合および後進走行する場合に、無段変速機1に対して並列に設けられた上記の発進用伝動機構あるいはリバース用伝動機構を経由して出力軸15にトルクを伝達するように制御される。そして、ある程度車速が増大した状態で前進走行する場合には、無段変速機1を備えたトルク伝達経路を経由して入力軸9から出力軸15にトルクを伝達するように制御される。例えば、図示しないシフト装置によってドライブポジション(ドライブレンジ)が選択されると、第1クラッチ機構C1が係合状態にされ、かつ第2クラッチ機構C2が解放状態にされる。その場合、車両が停止しているなど車速が所定の車速以下であれば、ドグクラッチ23は後進段を設定する状態に動作させられる。すなわち、スリーブ26が図1および図2の右側に移動させられて、リバースドリブンギヤ22が中間軸20に連結される。
上記のような、第1クラッチ機構C1、第2クラッチ機構C2、およびドグクラッチ23の動作状態を、図3にまとめて示してある。なお、図3で「ON」は係合していることを示し、「OFF」は解放していることを示している。ドグクラッチ23について「R」は後進状態を設定する位置に動作していることを示し、「F」は前進状態を設定する位置に動作していることを示している。また、図3には無段変速機1を経由して駆動トルクを伝達している状態、および後進走行時の状態を併せて示してある。
前進方向への発進時に、第1クラッチ機構C1、第2クラッチ機構C2、およびドグクラッチ23を、上記のように設定することにより、エンジン2が出力したトルクは、入力軸9および第1クラッチ機構C1を介して、ドライブギヤ10、リバースドライブギヤ11、および無段変速機1のプライマリープーリ12に伝達される。この場合、リバースドライブギヤ11のトルクは、アイドルギヤ21、リバースドリブンギヤ22、およびドグクラッチ23を介して、中間軸20に伝達される。しかしながら、第2クラッチ機構C2が解放されているので、中間軸20から出力軸15にはトルクは伝達されない。また、無段変速機1のプライマリープーリ12からベルト28を介してセカンダリープーリ27にもトルクが伝達される。しかしながら、ドグクラッチ23が後進段を設定する状態にされていて、無段変速機1は中間軸20から切り離されている。そのため、無段変速機1から中間軸20や出力軸15にトルクは伝達されない。結局、入力軸9に出力されたトルクは、ドライブギヤ10からこれに噛み合っているドリブンギヤ19を介して、出力軸15に伝達される。そして、この出力軸15からアウトプットギヤ18を介してデファレンシャル16にトルクが出力される。
したがって、前進方向への発進時の変速比は、発進用伝動機構であるドライブギヤ10とドリブンギヤ19との歯数の比であるギヤ比に応じた変速比になる。この変速比は、無段変速機1で設定できる最大変速比より大きい変速比である。そのため、この発明に係る上記の動力伝達装置によれば、発進時の駆動力を十分に大きくすることができる。そして、その駆動力は無段変速機1を経由することがないので、無段変速機1の伝達トルク容量を特に大きくする必要がない。具体的には、ベルト28を挟み付ける挟圧力を特に高くする必要がない。そのため、動力損失が増大したり、耐久性が低下したりすることを抑制もしくは防止することができる。
発進後、車速が予め設定されている所定の車速にまで達すると、入力軸9に出力された駆動トルクは、発進用伝動機構に替えて無段変速機1を経由して出力軸15に伝達される。その場合の駆動トルクが伝達される経路の切り替えは、次のようにして行われる。先ず、ドグクラッチ23のスリーブ26が図1および図2の左側、すなわち前進状態を設定する位置「F」に移動させられる。すなわち、リバースドリブンギヤ22と中間軸20との連結が解除されるとともに、無段変速機1のセカンダリーシャフト29が中間軸20に連結される。その場合、中間軸20は、第2クラッチ機構C2が解放状態になっていて出力軸15から遮断されているので、ドグクラッチ23には、特にはトルクが掛かっていない。そのため、スリーブ26は軸線方向に移動することが可能であって、リバースドリブンギヤ22のハブ25から特に支障なく外れる。この場合、無段変速機1には、エンジン2からトルクが伝達されていてセカンダリープーリ27が回転している。しかしながら、中間軸20は上記のように自由に回転できる状態になっていてトルクが掛かっていないので、スリーブ26は、セカンダリーシャフト29側に移動してそのハブ30に容易にスプライン嵌合する。
そして、ドグクラッチ23を上記のように切り替えた状態で、第1クラッチ機構C1が解放させられ、かつ第2クラッチ機構C2が係合させられる。その場合、発進用伝動機構によって設定されている変速比と無段変速機1による変速比とが異なっている。その結果、係合させてトルクを伝達させるクラッチ機構を切り替えることに伴ってエンジン回転数を低下させることになる。したがって、第1クラッチ機構C1を解放しかつ第2クラッチ機構C2を係合させる場合、過渡的にそれら第1クラッチ機構C1および第2クラッチ機構C2を滑り制御する。すなわち、第2クラッチ機構C2の係合圧を徐々に増大させてその伝達トルク容量を次第に増大させる。これに併せて、第1クラッチ機構C1の係合圧を徐々に低下させてその伝達トルク容量を次第に減少させる。この制御は、従来、いわゆるクラッチ・ツウ・クラッチ制御として知られている制御である。このクラッチ・ツウ・クラッチ制御を実行することにより、出力軸15のトルクが滑らかに変化して、変速ショックや違和感が生じることを回避もしくは抑制することができる。
一方、後進走行する場合には、図3に示すように、第1クラッチ機構C1が解放状態にされ、かつ第2クラッチ機構C2が係合状態にされる。また、ドグクラッチ23が後進段を設定する位置「R」に動作させられる。したがって、入力軸9からドライブギヤ10にはトルクが伝達されず、発進用伝動機構を介した駆動トルクの伝達は生じない。また、ドグクラッチ23が後進段を設定する状態ににされることにより、無段変速機1が中間軸20および出力軸15から切り離される。そのため、無段変速機1を経由した出力軸15への駆動トルクの伝達は生じない。すなわち、後進状態では、入力軸9のトルクが、リバースドライブギヤ11、アイドルギヤ21、リバースドリブンギヤ22、およびドグクラッチ23を介して中間軸20に伝達される。そして、第2クラッチ機構C2が係合していることにより、中間軸20から出力軸15に駆動トルクが伝達され、アウトプットギヤ18を介してデファレンシャル16にトルクが出力される。この場合、リバース用伝動機構が上記のアイドルギヤ21を備えていることから、入力軸9と出力軸15との回転方向が同じになる。この場合の回転方向は、発進用伝動機構や無段変速機1を介してトルクを伝達した場合の出力軸15の回転方向とは反対になる。したがって、車両は後進走行することになる。
ここで、前述した前進方向へ発進する場合の第1クラッチ機構C1、第2クラッチ機構C2、およびドグクラッチ23の係合・解放の状態と、後進走行する場合の第1クラッチ機構C1、第2クラッチ機構C2、およびドグクラッチ23の係合・解放の状態とを対比する。前進方向への発進の際には、ドグクラッチ23は後進段を設定する位置「R」に動作させておくことができる。そのため、前進方向へ発進する場合と後進走行する場合とでは、第1クラッチ機構C1と第2クラッチ機構C2との係合および解放の状態が互いに反対になっているのみである。したがって上記の動力伝達装置によれば、前進と後進とを繰り返すいわゆるガレージシフトの場合に、第1クラッチ機構C1と第2クラッチ機構C2とを交互に係合および解放させるクラッチ・ツウ・クラッチ制御を実行することができる。すなわち、ドグクラッチ23の係合状態の切り替えを伴わずに変速制御を完了させることができる。そのため、迅速な変速が可能であって、いわゆるシフト遅れあるいは制御応答性の悪化を防止もしくは抑制することができる。また、図1に示すこの発明に係る動力伝達装置は、トルクの伝達および遮断を選択的に行う係合機構が、第1クラッチ機構C1、第2クラッチ機構C2、およびドグクラッチ23の合計3つのみであって、その数が少ない。そのため、全体としての構成を簡素化することができ、また装置全体を小型化することができる。
特に図1に示す構成では、第1クラッチ機構C1から発進用伝動機構であるドライブギヤ10およびドリブンギヤ19を介して、出力軸15にトルクを伝達するように構成されている。したがって、第1クラッチ機構C1には減速作用により増幅される前のトルクが掛かる。すなわち、第1クラッチ機構C1に要求される伝達トルク容量は小さくて済む。そのため、第1クラッチ機構C1を小型化することができ、また第1クラッチ機構C1の耐久性を向上させることができる。また、第2クラッチ機構C2が出力軸15と同軸上に配置されている。その結果、発進後、車速が所定の車速に到達した際に第2クラッチ機構C2を係合させる場合には、無段変速機1の変速比が最大変速比になっていて、第2クラッチ機構C2における入力側の回転数と出力側の回転数との差が小さくなる。そのため、第2クラッチ機構C2の滑りを少なくして、その耐久性を向上させることができる。これは、ガレージシフトの際にも同様である。すなわち、発進時の変速比と後進段での変速比とが大きくは異ならない。そのため、ガレージシフトの際に第2クラッチ機構C2の係合および解放を繰り返すとしても、その第2クラッチ機構C2における過渡的な滑りが少なく、第2クラッチ機構C2の耐久性を向上させることができる。
さらに、上述した発進用伝動機構の変速比およびリバース用伝動機構の変速比と、無段変速機1の最大変速比とは、大きくは異ならない。それに加えて、ドグクラッチ23は、出力軸15と同一の軸線上に配置されていて、第2クラッチ機構C2が解放されている状態で係合および解放の状態が切り替えられる。したがって、ドグクラッチ23の係合および解放の状態は、駆動側と従動側との回転数の差が小さく、かつ作用しているトルクが小さい状態で切り替えられることになる。そのため、ドグクラッチ23においては、スリーブ26を係合方向に移動させることにより、駆動側の回転数と従動側の回転数とを一致させ易くなる。言い換えれば、ドグクラッチ23の同期性能が良好になる。そのため、シンクロナイザーなどの同期のための機構を用いずにドグクラッチ23を構成することが可能になり、ひいては装置の低廉化が可能になる。また、上記のドグクラッチ23は、スリーブ26を軸線方向に移動させることにより後進段を設定し、あるいは無段変速機1を介した駆動トルクの伝達を可能にするように構成されている。したがって、1つのドグクラッチ23が、後進段を設定するための手段と無段変速状態を設定するための手段との2つの機能を備えることになる。そのため、この発明に係る上記の動力伝達装置によれば、必要とする部品点数を削減して全体としての構成を簡素化および小型化することができる。
そして、この図1に示す構成では、カウンタドリブンギヤ14と噛み合って入力軸9と無段変速機1のプライマリーシャフト13との間でトルクを伝達するギヤと、アイドルギヤ21を介してリバースドリブンギヤ22と噛み合って入力軸9とリバース用伝動機構との間でトルクを伝達するギヤとが、1つのリバースドライブギヤ11によって兼用されている。そのため、無段変速経路およびリバース用経路を構成する部品の共用化を図ることができ、その結果、動力伝達装置全体としての構成を更に簡素化および小型化することができる。
次に、この発明に係る動力伝達装置の他の構成例を説明する。上述した第1クラッチ機構C1は、発進用伝動機構を介したトルクの伝達を可能にし、あるいはそのトルクの伝達を遮断するためのものである。また、第2クラッチ機構C2は、リバース用伝動機構を介したトルクの伝達を可能にし、あるいはそのトルクの伝達を遮断するためのものである。さらに、ドグクラッチ23は、無段変速機1を経由するトルクの伝達とリバース用伝動機構を経由するトルクの伝達とを切り替えるためのものである。したがって、これら第1クラッチ機構C1、第2クラッチ機構C2、およびドグクラッチ23は、その機能を生じるのであれば、その配置は図1に示す配置に限らず、必要に応じて適宜に変更することができる。
例えば、図4に示す構成は、第1クラッチ機構C1に加えて、第2クラッチ機構C2およびドグクラッチ23を、入力軸9と同一軸線上に配置した例である。具体的に説明すると、入力軸9の延長線上に、中間軸20とカウンタシャフト31とが順に配置されている。このカウンタシャフト31は、無段変速機1に伝達するトルクの方向を反転させるためのものであり、カウンタドライブギヤ32が一体となって回転するように取り付けられている。そして、入力軸9と中間軸20との間に、すなわち入力軸9のトルクを無段変速経路およびリバース用経路に伝達する位置に、第2クラッチ機構C2が配置されている。すなわち、無段変速機1によって前進走行時の変速比を設定する場合および後進走行する場合に、入力軸9と中間軸20とを第2クラッチ機構C2によって連結するように構成されている。
また、中間軸20にリバースドライブギヤ11が回転可能に嵌合されている。そして、このリバースドライブギヤ11と中間軸20とをトルク伝達可能に連結し、またその連結を解除するドグクラッチ23が設けられている。このドグクラッチ23は、中間軸20の先端側(カウンタシャフト31側)に配置されている。そしてリバースドライブギヤ11と中間軸20との連結を解除した場合に、中間軸20とカウンタシャフト31とをトルク伝達可能に連結できるように構成されている。その具体的な構成は、前述した図2に示す構成と同様である。したがって、この図4に示す構成では、ドグクラッチ23は、入力軸9のトルクを無段変速経路およびリバース用経路に伝達する位置に設けられている。また、この図4に示す構成では、ハブ24が、この発明における「入力のための部材」に相当している。
この図4に示す構成においても、無段変速機1のプライマリープーリ12は、カウンタシャフト31すなわち入力軸9に対して、その半径方向にオフセットされている。そして、そのプライマリープーリ12と一体に回転するプライマリーシャフト13に、カウンタドリブンギヤ14が取り付けられ、かつそのカウンタドリブンギヤ14に噛み合っているカウンタドライブギヤ32がカウンタシャフト31に取り付けられている。すなわち、プライマリーシャフト13の回転方向を入力軸9に対して反転させるように構成されている。
一方、無段変速機1のセカンダリープーリ27と出力軸15とは同一の軸線上に配置されている。そして、そのセカンダリープーリ27と一体に回転するセカンダリーシャフト29と出力軸15とは、互いに一体となって回転するように連結されている。また、セカンダリーシャフト29もしくは出力軸15に、リバースドリブンギヤ22と発進用伝動機構におけるドリブンギヤ19とが取り付けられている。その他の構成は、基本的には図1に示す構成と同様であり、したがって図4に図1と同一の符号を付けてその説明を省略する。
図4に示すようにこの発明に係る動力伝達装置を構成した場合であっても、第1クラッチ機構C1、第2クラッチ機構C2、およびドグクラッチ23を、前述した図3に示すように係合・解放させることにより、無段変速機1による最大変速比よりも大きい変速比での発進状態、無段変速機1を使用した無段変速状態、およびリバース用伝動機構を経由して駆動トルクを伝達する後進状態を設定することができる。すなわち、第1クラッチ機構C1を係合させ、かつ第2クラッチ機構C2を解放させることにより、入力軸9と出力軸15とは発進用伝動機構であるドライブギヤ10およびドリブンギヤ19によってトルク伝達可能に連結される。したがって、無段変速機1による最大変速比より大きい変速比が設定され、その変速比に応じた大きい駆動力で発進することができる。その場合、ドグクラッチ23が後進段を設定する位置「R」側に動作していても、第2クラッチ機構C2が解放されていることから、リバース用伝動機構には入力軸9からトルクが伝達されることがない。そのため、インターロックが生じることはない。むしろ、ドグクラッチ23を後進段を設定する位置「R」に動作させておき、その状態で第1クラッチ機構C1を解放し、かつ第2クラッチ機構C2を係合させることにより、発進状態から後進状態に迅速にシフトすることができる。すなわち、ガレージシフトでの変速応答性が良好になる。
また、発進状態において、ドグクラッチ23を前進走行する位置「F」に動作させておき、その状態で第1クラッチ機構C1を解放し、かつ第2クラッチ機構C2を係合させるクラッチ・ツウ・クラッチ変速を実行することにより、変速比が大きい発進状態から、無段変速機1によって変速比を連続的に変化させる無段変速状態に切り替えることができる。その場合も、制御の応答遅れを防止もしくは抑制することができる。
このように構成され、かつ動作させることのできる図4に示す構成であっても、前述した図1に示すように構成した場合と同様の作用・効果を得ることができる。特に、この図4に示す構成では、第2クラッチ機構C2が入力軸9側に配置されているので、入力軸9から入力されるトルク以上に増幅されたトルクが第2クラッチ機構C2に掛かることがない。したがって、上述した図1に示す構成と比較して、第2クラッチ機構C2を小容量で小型のものとすることができる。このことはドグクラッチ23についても同様であり、駆動状態でドグクラッチ23に掛かるトルクは入力軸9から伝達されるトルクとなり、変速されて増幅されたトルクがドグクラッチ23に掛かることがない。そのため、ドグクラッチ23を小容量で小型のものとすることができる。
図5に示す構成は、図1に示す構成のうち、第2クラッチ機構C2およびカウンタギヤ対を入力軸9側に配置し、それに伴う変更を行った例である。言い換えれば、図4に示す構成のうち、ドグクラッチ23を出力軸15側に配置し、それに伴う変更を加えた例である。したがって、第2クラッチ機構C2とドグクラッチ23との間に、リバース用伝動機構であるリバースドライブギヤ11、アイドルギヤ21、およびリバースドリブンギヤ22が介在することになる。そのため、上述の図4に示す構成で用いられていたカウンタシャフト31は設けられていない。具体的に説明すると、第2クラッチ機構C2によって入力軸9に連結される中間軸20に、リバースドライブギヤ11が取り付けられている。そして、中間軸20に対してオフセットして配置されたプライマリーシャフト13には、そのリバースドライブギヤ11に噛み合っているカウンタドリブンギヤ14が取り付けられている。すなわち、この図5に示す構成では、リバースドライブギヤ11が前述したカウンタドライブギヤ32を兼ねており、この分、ギヤの数が少なくなっている。なお、カウンタドライブギヤ32がリバースドライブギヤ11を兼ねているとも言い得る。
ドグクラッチ23は、互いに同一軸線上に配置されているセカンダリーシャフト29と出力軸15との間に配置されている。また、アイドルギヤ21を介してリバースドライブギヤ11に連結されているリバースドリブンギヤ22は、出力軸15に嵌合されて回転可能に支持されている。その出力軸15に一体化されているハブ24を挟んで、一方に、セカンダリーシャフト29に取り付けられたハブ30が配置され、かつ他方に、リバースドリブンギヤ22に一体化されたハブ25が配置されている。これらのハブ24、ハブ30、およびハブ25にスプライン嵌合するスリーブ26が軸線方向に移動することにより、リバースドリブンギヤ22が出力軸15に連結され、あるいはセカンダリーシャフト29が出力軸15に連結されるように構成されている。その他の構成は、基本的には図4に示す構成と同様であり、したがって図5に図4と同一の符号を付けてその説明を省略する。
この図5に示すように構成された動力伝達装置においても、第1クラッチ機構C1、第2クラッチ機構C2、およびドグクラッチ23を、前述した図3にまとめて示してあるように係合・解放させることによって、大きい駆動力を得られる発進状態、無段変速機1を経由して駆動トルクを伝達する無段変速状態、およびリバース用伝動機構を経由して駆動トルクを伝達する後進状態を設定することができる。すなわち、前進方向への発進時には、第1クラッチ機構C1を係合させ、かつ第2クラッチ機構C2を解放する。その結果、入力軸9が、ドライブギヤ10、第1クラッチ機構C1、およびドリブンギヤ19を介して、すなわち発進用伝動機構を介して、出力軸15に連結される。そして、リバース用伝動機構および無段変速機1は、入力軸9に対して遮断される。したがって、無段変速機1による最大変速比より大きい変速比が発進用伝動機構によって設定され、その変速比に応じた大きい駆動力で発進することができる。その場合、ドグクラッチ23を後進段を設定する位置「R」側に動作させておけば、その状態で第1クラッチ機構C1を解放し、かつ第2クラッチ機構C2を係合させることにより、発進状態から後進状態に迅速にシフトすることができる。そのため、ガレージシフトでの応答性が良好になる。
これに対して、発進状態において、ドグクラッチ23を前進走行する位置「F」に動作させておき、その状態で第1クラッチ機構C1を解放し、かつ第2クラッチ機構C2を係合させるクラッチ・ツウ・クラッチ変速を実行することにより、変速比が大きい発進状態から、無段変速機1によって変速比を連続的に変化させる無段変速状態に切り替えることができる。その場合も、制御の応答遅れを防止もしくは抑制することができる。
この図5に示すように構成され、かつ上述したように動作させることのできる動力伝達装置であっても、図1あるいは図4に示すように構成された動力伝達装置と同様の作用・効果を得ることができる。これに加えて、特に、この図5に示す構成では、上述したようにギヤの数を少なくすることができる。すなわち、前述の図1に示す構成と同様に、カウンタドリブンギヤ14と噛み合って入力軸9および中間軸20と無段変速機1のプライマリーシャフト13との間でトルクを伝達するギヤと、アイドルギヤ21を介してリバースドリブンギヤ22と噛み合って入力軸9および中間軸20とリバース用伝動機構との間でトルクを伝達するギヤとを、1つのリバースドライブギヤ11によって兼用することができる。そのため、装置の全体としての構成を簡素化することができ、また小型化することができる。
また、この図5に示す構成では、ドグクラッチ23の動作状態を上記のように切り替える場合、すなわちスリーブ26を軸線方向に移動させてセカンダリーシャフト29側のハブ30もしくはリバースドリブンギヤ22側のハブ25に嵌合させ、あるいはその嵌合を外す場合に、無段変速機1の変速比を最大変速比もしくはそれに近い変速比としておくことにより、出力軸15とセカンダリーシャフト29との回転数差、あるいは出力軸15とリバースドリブンギヤ22との回転数差を小さくしておくことができる。そのため、前述した図1に示す構成の動力伝達装置の場合と同様に、ドグクラッチ23のいわゆる同期性能を向上させることができ、ひいてはシンクロナイザーなどの高価かつ複雑な部品を採用することを回避することが可能になる。
図6に示す構成は、図1に示す構成のうち、ドグクラッチ23およびカウンタギヤ対を入力軸9側に配置し、それに伴う変更を行った例である。言い換えれば、図4に示す構成のうち、第2クラッチ機構C2を出力軸15側に配置し、それに伴う変更を加えた例である。この図6に示す構成では、リバースドライブギヤ11が入力軸9に嵌合されかつ回転可能に支持されている。そのため、そのリバースドライブギヤ11にアイドルギヤ21を介して連結されているリバースドリブンギヤ22が、セカンダリーシャフト29に一体となって回転するように取り付けられている。また、そのセカンダリーシャフト29と同一軸線上に、出力軸15が配置されている。そして、それらセカンダリーシャフト29と出力軸15との間に、第2クラッチ機構C2が設けられている。
一方、入力軸9の延長線上に、カウンタシャフト31が配置されている。また、そのカウンタシャフト31に取り付けられたカウンタドライブギヤ32が、プライマリーシャフト13に取り付けられたカウンタドリブンギヤ14に噛み合っている。そして、入力軸9とカウンタシャフト31との間に、ドグクラッチ23が設けられている。すなわち、スリーブ26を図6の右側に移動させることにより、そのスリーブ26が入力軸9に設けられているハブ24とリバースドライブギヤ11に設けられているハブ25とにスプライン嵌合し、入力軸9とリバースドライブギヤ11とが連結されるように構成されている。また、スリーブ26を図6の左側に移動させることにより、そのスリーブ26が入力軸9に設けられているハブ24とプライマリーシャフト13に設けられているハブ30とにスプライン嵌合し、入力軸9とプライマリーシャフト13とが連結されるように構成されている。その他の構成は、基本的には図1あるいは図4に示す構成と同様であり、したがって図6に図1あるいは図4と同一の符号を付けてその説明を省略する。
この図6に示す構成は、前述したように、図1あるいは図4に示す構成とは第2クラッチ機構C2あるいはドグクラッチ23の位置が異なり、かつそれに伴う変更が施された構成である。そのため、第1クラッチ機構C1、第2クラッチ機構C2、およびドグクラッチ23を、図3に示すように係合および解放させることにより、駆動トルクの大きい前進方向への発進状態、無段変速機1を使用した無段変速状態、およびリバース用伝動機構を経由して駆動トルクを伝達する後進状態を、上述した各具体例の動力伝達装置と同様に設定することができる。
これを簡単に説明すると、前進方向へ発進する場合、第1クラッチ機構C1が係合させられ、かつ第2クラッチ機構C2が解放させられる。その結果、入力軸9が、ドライブギヤ10、第1クラッチ機構C1、およびドリブンギヤ19を介して、すなわち発進用伝動機構を介して出力軸15に連結される。また、リバース用伝動機構および無段変速機1は、ドグクラッチ23あるいは第2クラッチ機構C2によって入力軸9に対して遮断される。したがって、無段変速機1による最大変速比より大きい変速比が発進用伝動機構によって設定され、その変速比に応じた大きい駆動力で発進することができる。その場合、第2クラッチ機構C2が解放されていることにより、ドグクラッチ23を、後進段を設定する位置「R」側に動作させておくことができる。そして、その状態で第1クラッチ機構C1を解放し、かつ第2クラッチ機構C2を係合させることにより、発進状態から後進状態に迅速にシフトすることができる。したがって、ガレージシフトでの応答性が良好になる。
これに対して、発進状態においては、ドグクラッチ23を、前進走行する位置「F」に動作させておくことができる。そして、その状態で第1クラッチ機構C1を解放し、かつ第2クラッチ機構C2を係合させるクラッチ・ツウ・クラッチ変速を実行することにより、変速比が大きい発進状態から、無段変速機1によって変速比を連続的に変化させる無段変速状態に切り替えることができる。したがって、その場合も、制御の応答遅れを防止もしくは抑制することができる。
この図6に示すように構成され、かつ上述したように動作させることのできる動力伝達装置であっても、前述の図1あるいは図4に示すように構成された動力伝達装置と同様の作用・効果を得ることができる。また、第2クラッチ機構C2は、発進状態から無段変速機1を使用する無段変速状態に切り替える場合や発進状態から後進状態に切り替える場合に、係合もしくは解放の状態が変更される。しかしながら、このような切り替えの時点における出力軸15とセカンダリーシャフト29との回転数差、あるいは出力軸15とリバースドリブンギヤ22との回転数差は小さい。そのため、この図6に示す構成では、図1に示すように構成した場合と同様に、第2クラッチ機構C2の係合あるいは解放の状態が切り替わる際の過渡的な滑りが少なくなる。したがって、第2クラッチ機構C2の耐久性の向上に有利になる。
図7に示す構成は、前述した図1に示す構成における入力軸9側に設けられていた部材を出力軸15側に設け、かつ出力軸15側に設けられていた部材を入力軸9側に設けた例である。言い換えれば、前述した図4に示す構成のうち第1クラッチ機構C1を出力軸15と同一軸上に設けた例である。したがって、ドライブギヤ10は、入力軸9に一体となって回転するように取り付けられている。また、ドリブンギヤ19は、出力軸15に回転可能に嵌合されている。そして、第1クラッチ機構C1は、ドリブンギヤ19を出力軸15に連結し、またその連結を解除するように構成されている。その他の構成は、基本的には図1あるいは図4に示す構成と同様であり、したがって図7に図1あるいは図4と同一の符号を付けてその説明を省略する。
この図7に示す構成の動力伝達装置においても、第1クラッチ機構C1、第2クラッチ機構C2、およびドグクラッチ23を、図3に示すように係合および解放させることにより、駆動力の大きい発進状態、無段変速機1を使用した無段変速状態、およびリバース用伝動機構を経由して駆動トルクを伝達する後進状態を設定することができる。なお、これらの各状態でのトルクの伝達経路や伝達の状態、および各状態に切り替えるための作用は、上述した共通する構成を有するいずれかの具体例と同様であるから、その説明は省略する。また、この図7に示す構成であっても、上述した共通する構成を有するいずれかの具体例と共通する作用・効果を得ることができる。特に図7に示す構成に特有の利点を挙げると、この図7に示す構成では、ドグクラッチ23が入力軸9側に配置されていることにより、前述した図4や図6に示す構成と同様に、変速されて増幅されたトルクがドグクラッチ23に掛かることがない。そのため、ドグクラッチ23を小容量で小型のものとすることができる。また、第2クラッチ機構C2が入力軸9側に設けられているので、前述した図4や図5に示す構成と同様に、入力軸9から入力されるトルク以上に増幅されたトルクが第2クラッチ機構C2に掛かることがない。そのため、第2クラッチ機構C2を小容量で小型のものとすることができる。
図8に示す構成は、上記の図7に示す構成のうち、ドグクラッチ23を出力軸15側もしくはセカンダリーシャフト29側に配置し、それに伴う変更を行った例である。他の構成は、基本的には図7に示す構成と同様であり、したがって図8に図7と同一の符号を付けてその説明を省略する。
したがって、この図8に示す構成の動力伝達装置においても、前進方向への発進のための状態、無段変速機1を使用した無段変速状態、およびリバース用伝動機構を経由して駆動トルクを伝達する後進状態を設定するための第1クラッチ機構C1、第2クラッチ機構C2、およびドグクラッチ23の係合・解放の状態は、図3に示すとおりである。このような構成であれば、ドグクラッチ23に掛かるトルクが変速作用によって増幅されたトルクになるものの、係合あるいは解放の際の回転数差は小さくなる。そのため、ドグクラッチ23の同期性能が良好になるなど、図1、図5、または図7に示すように構成した場合と同様の利点がある。また、リバースドライブギヤ11(もしくはカウンタドライブギヤ32)の共用化による部品点数の削減や、装置の全体としての構成の簡素化および小型化を図ることができる。すなわち、前述の図1および図5に示す構成と同様に、カウンタドリブンギヤ14と噛み合って入力軸9および中間軸20と無段変速機1のプライマリーシャフト13との間でトルクを伝達するギヤと、アイドルギヤ21を介してリバースドリブンギヤ22と噛み合って入力軸9および中間軸20とリバース用伝動機構との間でトルクを伝達するギヤとを、1つのリバースドライブギヤ11によって兼用することができる。
なお、この図8に示す構成の動力伝達装置における各状態でのトルクの伝達経路や伝達の状態、および各状態に切り替えるための作用は、上述した共通する構成を有するいずれかの具体例と同様であるから、その説明は省略する。また、この図8に示す構成であっても、上述した共通する構成を有するいずれかの具体例と共通する作用・効果を得ることができる。
図9に示す構成は、前述した図1に示す構成のうち、第1クラッチ機構C1を出力軸15側に配置し、またドグクラッチ23を入力軸9側もしくはプライマリープーリ12側に配置し、それに伴う変更を行った例である。言い換えれば、図6に示す構成のうち第1クラッチ機構C1を出力軸15側に配置してそれに伴う変更を行った例、あるいは図7に示す構成のうち第2クラッチ機構C2を出力軸15側に配置してそれに伴う変更を行った例である。その他の構成は、基本的には図1あるいは図6または図7に示す構成と同様であり、したがって図9に図1または図6もしくは図7と同一の符号を付けてその説明を省略する。
したがって、この図9に示す構成の動力伝達装置においても、前進方向への発進のための状態、無段変速機1を使用した無段変速状態、およびリバース用伝動機構を経由して駆動トルクを伝達する後進状態を設定するための第1クラッチ機構C1、第2クラッチ機構C2、およびドグクラッチ23の係合・解放の状態は、図3に示すとおりである。また、それぞれの状態におけるトルクの伝達経路や伝達の状態、および各状態に切り替えるための作用は、上述した共通する構成を有するいずれかの具体例と同様である。そして、この図9に示す構成の動力伝達装置は、上記のように図6や図7に示す構成と共通する構成を備えているから、これら図6に示す構成や図7に示す構成の動力伝達装置と同様の作用・効果を得ることができる。
図10に示す構成は、図1に示す構成のうち第1クラッチ機構C1を出力軸15側に配置するとともに、カウンタギヤ対を入力軸9側もしくはプライマリープーリ12側に配置して、それに伴う変更を施した例である。言い換えれば、図7に示す構成のうち第1クラッチ機構C1およびドグクラッチ23を出力軸15側に配置し、それに伴う変更を行った例、あるいは図8に示す構成のうち第2クラッチ機構C2を出力軸15側に配置し、それに伴う変更を行った例である。その他の構成は、基本的には図1あるいは図7または図8に示す構成と同様であり、したがって図10に図1あるいは図7または図8と同一の符号を付けてその説明を省略する。
したがって、この図10に示す構成の動力伝達装置においても、前進方向への発進のための状態、無段変速機1を使用した無段変速状態、およびリバース用伝動機構を経由して駆動トルクを伝達する後進状態を設定するための第1クラッチ機構C1、第2クラッチ機構C2、およびドグクラッチ23の係合・解放の状態は、図3に示すとおりである。また、それぞれの状態におけるトルクの伝達経路や伝達の状態、および各状態に切り替えるための作用は、上述した共通する構成を有するいずれかの具体例と同様である。そして、この図10に示す構成の動力伝達装置は、上記のように図6や図7に示す構成と共通する構成を備えているから、これら図6に示す構成や図7に示す構成の動力伝達装置と同様の作用・効果を得ることができる。
例えば、リバースドライブギヤ11(もしくはカウンタドライブギヤ32)の共用化による部品点数の削減や、装置の全体としての構成の簡素化および小型化を図ることができる。すなわち、前述の図1、図5、および図8に示す構成と同様に、カウンタドリブンギヤ14と噛み合って入力軸9および中間軸20と無段変速機1のプライマリーシャフト13との間でトルクを伝達するギヤと、アイドルギヤ21を介してリバースドリブンギヤ22と噛み合って入力軸9および中間軸20とリバース用伝動機構との間でトルクを伝達するギヤとを、1つのリバースドライブギヤ11によって兼用することができる。
以上のように、この発明に係る動力伝達装置では、入力軸9から出力軸15にトルクを伝達する経路として、ドライブギヤ10およびドリブンギヤ19から構成される第1ギヤ列(すなわち、発進用伝動機構)を経由する経路と、リバースドライブギヤ11、アイドルギヤ21、およびリバースドリブンギヤ22から構成される第2ギヤ列(すなわち、リバース用伝動機構)を経由する経路(すなわち、リバース用経路)と、無段変速機1を経由する経路(すなわち、無段変速経路)とを選択することができる。その場合の選択のための係合機構は、第1クラッチ機構C1、第2クラッチ機構C2、およびドグクラッチ23の3つのみである。したがって、この発明に係る動力伝達装置によれば、トルクの伝達経路の選択の多様性があるにもかかわらず、必要とする係合機構の数が少なくて済む。その結果、動力伝達装置全体としての構成を簡素化および小型化することができる。
また、この発明に係る動力伝達装置では、上記のような無段変速経路を経由してトルクを伝達する経路と、リバース用経路を経由してトルクを伝達することにより後進状態を設定する経路との選択もしくは切り替えを、1つのドグクラッチ23のみによって行うように構成されている。そのため、いわゆる部品の共用化により、動力伝達装置全体としての構成を簡素化および小型化することができる。
また、この発明に係る動力伝達装置によれば、上記のような発進用伝動機構による変速比を、無段変速機1による最大変速比よりも大きく、あるいは無段変速機1による最小変速比よりも小さく設定することができる。そのため、動力伝達装置全体としての変速比の幅を広くすることができる。
また、この発明に係る動力伝達装置によれば、第1クラッチ機構C1、第2クラッチ機構C2、およびドグクラッチ23を、それぞれ、1つのクラッチで構成することにより、動力伝達装置全体としての構成を更に小型化することができる。そして、第1クラッチ機構C1および第2クラッチ機構C2を摩擦クラッチによって構成することにより、いわゆるクラッチ・ツウ・クラッチ変速が可能になり、その結果、変速制御における制御応答性を向上させることができる。そのため、例えばガレージシフト時における制御応答性を向上させることができ、また変速ショックを低減することができる。
そして、この発明に係る動力伝達装置では、ドグクラッチ23を出力軸15側に配置した場合に、入力軸9から無段変速経路にトルクを伝達するカウンタギヤ対の駆動ギヤと、入力軸9からリバース用経路にトルクを伝達するカウンタギヤ対の駆動ギヤとを、1つのギヤで兼用することができる。すなわち、カウンタドリブンギヤ14と噛み合って入力軸9と無段変速機1のプライマリーシャフト13との間でトルクを伝達するギヤと、アイドルギヤ21を介してリバースドリブンギヤ22と噛み合って入力軸9とリバース用伝動機構との間でトルクを伝達するギヤとを、1つのリバースドライブギヤ11で兼用することができる。そのため、無段変速経路およびリバース用経路を構成するギヤ列におけるいわゆる部品の共用化を図ることができる。その結果、動力伝達装置全体としての構成を更に簡素化および小型化することができる。
なお、上述した各具体例は、ドライブギヤ10およびドリブンギヤ19から構成される第1ギヤ列による変速比を、無段変速機1での最大変速比よりも大きくした例であるが、この発明は、要は、無段変速機1で設定できない変速比をギヤ列によって設定するように構成されていてもよい。したがって、この発明では、例えば、第1ギヤ列による変速比が無段変速機1での最小変速比よりも小さくなるように構成することもできる。そのように構成した場合、エンジン2を低負荷で運転して走行する際に、エンジン回転数を無段変速機1によるトルク伝達時よりも低回転数にすることができる。そのため、燃費を更に向上させることができる。また、第1ギヤ列は、複数の変速比を選択的に設定できるように構成されていてもよい。

Claims (11)

  1. 駆動力源が出力したトルクが入力される入力軸とトルクを出力する出力軸との間に、変速比を連続的に変化させる無段変速機と、前進走行する場合にトルクを伝達する第1ギヤ列と、後進走行する場合に前記出力軸を前記入力軸とは反対方向に回転させて後進状態を設定するようにトルクを伝達する第2ギヤ列とが相互に並列に設けられている車両用動力伝達装置において、
    前記入力軸から前記第1ギヤ列を介して前記出力軸に至るトルクの伝達経路をトルク伝達が可能な状態とトルク伝達が不可能な状態とに切り替える第1クラッチ機構と、
    前記入力軸と前記出力軸との間でトルク伝達する経路を、前記無段変速機を経由してトルク伝達を行う無段変速経路と前記第2ギヤ列を経由してトルク伝達を行うリバース用経路とに切り替えるドグクラッチと、
    前記無段変速経路および前記リバース用経路を共に、前記入力軸もしくは前記出力軸に対してトルク伝達が可能な状態とトルク伝達が不可能な状態とに切り替える第2クラッチ機構と、
    前記入力軸のトルクを前記無段変速経路および前記リバース用経路に伝達する位置に設けられ、前記入力軸と前記無段変速経路との間および前記入力軸と前記リバース用経路との間でそれぞれのトルクの伝達に関与するカウンタギヤ対と
    を備えていることを特徴とする車両用動力伝達装置。
  2. 前記第1ギヤ列は、複数のギヤによって、前記無段変速機の最大変速比より大きい変速比、もしくは最小変速比より小さい変速比を設定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用動力伝達装置。
  3. 前記ドグクラッチは、前記無段変速経路および前記リバース用経路に対する入力のための部材もしくは前記無段変速経路および前記リバース用経路から出力するための部材に噛み合っている可動部材が前記無段変速経路の一部を構成している部材に係合することにより前記無段変速経路を介したトルク伝達を可能にし、かつ前記可動部材が前記リバース用経路の一部を構成している部材に係合することにより前記リバース用経路を介してトルク伝達を可能にするように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用動力伝達装置。
  4. 前記第1クラッチ機構および第2クラッチ機構は、それぞれ1つのクラッチによって構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両用動力伝達装置。
  5. 前記第1クラッチ機構および第2クラッチ機構は、それぞれ摩擦クラッチによって構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用動力伝達装置。
  6. 前記ドグクラッチは、前記無段変速経路と前記リバース用経路とを切り替えて前記出力軸に向けてトルクを伝達する位置に設けられ、
    前記カウンタギヤ対は、前記入力軸と前記無段変速経路との間でトルクを伝達するギヤ対のいずれか一方のギヤと、前記入力軸と前記リバース用経路との間でトルクを伝達するギヤ対のいずれか一方のギヤとを、前記入力軸と同一軸線上に配置した1つの駆動ギヤで兼用して構成されている
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車両用動力伝達装置。
  7. 前記第1クラッチ機構は、前記入力軸と前記第1ギヤ列との間に設けられ、
    前記第1ギヤ列は、前記出力軸に連結されている
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車両用動力伝達装置。
  8. 前記第1クラッチ機構は、前記出力軸と前記第1ギヤ列との間に設けられ、
    前記第1ギヤ列は、前記入力軸に連結されている
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車両用動力伝達装置。
  9. 前記第2クラッチ機構は、前記入力軸のトルクを前記無段変速経路および前記リバース用経路に伝達する位置に設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の車両用動力伝達装置。
  10. 前記第2クラッチ機構は、前記無段変速経路および前記リバース用経路から前記出力軸に向けてトルクを伝達する位置に設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の車両用動力伝達装置。
  11. 前記ドグクラッチは、前記入力軸のトルクを前記無段変速経路と前記リバース用経路とに切り替えて伝達する位置に設けられていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の車両用動力伝達装置。
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