JP5860252B2 - 吐出弁およびそれを使用したポンプ - Google Patents

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本発明は、ポンプ作用によって流体が吐出される吐出口を閉塞し、ポンプ室への流体の逆流を阻止する吐出弁およびそれを使用したポンプに関するものである。
従来の吐出弁としては、特許文献1に開示されたものがある。これを図8を用いて説明する。同図において、駆動体100は、図示を省略したモータの駆動によって、各先端部が交互に上下動し、これに伴い、各先端部に取り付けられた各ピストン101が交互に上下動することにより、各ダイヤフラム部102とバルブホルダー103との間に形成された各ポンプ室104が拡縮する。ダイヤフラム105の中央部には、各ポンプ室104と共通室105とを連通させる各吐出口106を開閉するための吐出弁107が一体に立設されている。ポンプ室104が拡張することにより、吸入口108からポンプ室104に流入された空気は、ポンプ室104が収縮することにより、吐出弁107が開き、ポンプ室104から吐出口106を通って共通室105に流入し、共通室105から外部に排出される。
別の吐出弁として、特許文献2に開示されたものがある。これを図9を用いて説明する。この吐出弁201は中央部の下面に凹部202が設けられ、周囲に弁部203と固定部204とが設けられている。この吐出弁201は、バルブホルダー205に設けた凸部206に凹部202を嵌合させ、蓋体207のリブ208とバルブホルダー205とで固定部204を挟み込むことにより固定される。ピストン209が上昇し、ポンプ室210が収縮することにより、弁部203が開き、ポンプ室210内の空気が吐出口211を通って、筒部212から外部に排出される。
特開2003−56465号公報(段落〔002〕、図5) 特開2003−269337号公報(段落〔0048〕、図8)
上述したような特許文献1に開示されたものにおいては、吐出口から流出した空気がほぼ直線状に流れるため圧力損失は小さいが、吐出弁がダイヤフラムと一体に形成された構造であるため、ダイヤフラムの動きに追従することにより吐出弁による吐出口に対するシール性を確保できないという問題があった。一方、特許文献2に開示されたものにおいては、弁体を蓋とバルブホルダーとで挟む構造であるため、吐出弁による吐出口に対するシール性は確保できるものの、吐出口から吐き出された後の流体の流路が複雑で、かつ長くなるため、流路抵抗が大きくなり圧力損失が大きいという問題があった。
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、吐出弁による吐出口に対するシール性が確保されるとともに、流体の圧力損失を低減させた吐出弁およびそれを使用したポンプを提供させるところにある。
この目的を達成するために、本発明は、流体が吐出される吐出口を閉塞して流体の逆流を阻止する吐出弁であって、前記吐出口を開閉する弁部と、この弁部を前記吐出口を閉塞する位置に位置決めするためにポンプの固定部に固定される被固定部と、この被固定部と前記弁部とを連結する弾性変形可能な連結部とによって一体に形成され、前記被固定部を前記固定部に固定することにより、前記連結部の弾性変形によって前記弁部が前記吐出口に付勢されるものである。
本発明は、前記発明において、前記被固定部の周囲に、円周方向に互いに等角度の間隔をおいて複数の前記弁部を配置したものである。
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明における吐出弁の前記被固定部が固定される前記固定部をポンプ室を形成する隔壁部材に設けたポンプであって、前記隔壁部材に、一端が前記ポンプ室に連通され、他端が前記吐出口である吐出通路が形成され、この吐出通路の前記吐出口側の延長線上に外部に通じる排出部を設け、前記弁部が前記吐出口を開放することにより、当該吐出口から吐出される流体が前記排出部に向かって略直線状に流れる。
本発明によれば、連結部の弾性変形によって、常に弁部が吐出口側に付勢されているので、吐出弁による吐出口に対するシール性が確保される。また、吐出口から吐出される流体の圧力によって発生していた弁部の振動を連結部の弾性変形によって吸収することができるため、弁部の振動に起因していた騒音を低減することができるため静音化が可能になる。
前記発明のうちの一つの発明によれば、吐出口から吐出される流体は開いた吐出弁によって流れを規制されることなくほぼ直線状に排出口へ流れるから圧力損失を低減することができる。
本発明に係る吐出弁を使用したダイヤフラムポンプの断面図である。 同図(A)は本発明に係る吐出弁の平面図、同図(B)は同図(A)におけるII(B)-II(B) 線断面図、同図(C)は同図(A)におけるII(C)-II(C) 線断面図である。 本発明に係る吐出弁を吐出弁収容凹部に収容する状態を説明するための断面図である。 本発明に係る吐出弁が取り付けられた状態のバルブホルダーの平面図である。 本発明に係る吐出弁による流体の流れを説明するための要部を示す断面図である。 本発明に係る吐出弁の弁部の開く状態を説明するための模式図である。 本発明に係る吐出弁が取り付けられた状態の第2の実施の形態におけるバルブホルダーの平面図である。 従来の吐出弁を使用したダイヤフラムポンプの要部の断面図である。 従来の吐出弁を使用したダイヤフラムポンプの要部の断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図7に基づいて説明する。
〔実施の形態1〕
先ず、図1ないし図6を用いて、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1に、全体を符号1で示すダイヤフラムポンプは、有底角筒状に形成されたケース2の底部の外側に固定されたモータ3を備えており、このモータ3の出力軸3aはケース2の孔からケース2内に突出され、突出端部にはクランク台4が軸着されている。
5は下部がクランク台4の出力軸3aから偏心した部位に、出力軸3aの軸線方向に対して傾斜した状態で軸着された駆動軸であって、他端部(上部)が駆動体6の中央部に設けた非貫通穴7内に嵌挿されており、駆動体6はこの駆動軸5に回転自在に枢支されている。この駆動体6には、非貫通孔7と略直交するように一対の駆動子8,8が先端に向かって共に下方に同じ角度だけわずかに傾斜するように形成されており、各駆動子8,8の先端部にはダイヤフラム部取付孔9,9が設けられている。
10は下方が開口され箱状に形成されたダイヤフラムホルダーであって、上板には平面視において円周方向に互いに180°間隔をおいた二つの保持孔11,11が設けられており、ケース2の上部開口端に載置されている。15はダイヤフラムであって、ダイヤフラムホルダー10の保持孔11,11に挿入される平面視において円周方向に互いに180°間隔をおいた二つのダイヤフラム部16,16が設けられている。
これらダイヤフラム部16,16の下部には、ピストン17,17が設けられており、各ピストン部17の下部には、細径の首部18を介して係止用の凸部19が一体に形成されている。ダイヤフラム15は、ダイヤフラム部16の凸部19を弾性変形させながら、駆動体6の駆動子8のダイヤフラム部取付孔9に圧入することにより、首部18がダイヤフラム部取付孔9に取り付けられて、ダイヤフラムホルダー10上に載置される。
20は偏平な直方体状に形成された隔壁部材としてのバルブホルダーであって、中央部に互いに対向する一対の壁21A,21Bが一体に立設されており、これら壁21A,21Bの内面22A,22Bは鉛直方向に延在している。これら壁21A,21Bは、下方に向かって末広がりに厚みが漸次大きくなるように形成されており、これら壁21A,21B内のそれぞれには、吐出通路26A,26Bが設けられている。
これら吐出通路26A,26Bは、下端が後述するポンプ室35A,35Bに連通され、上端が内面22A,22Bに形成された吐出口27A,27Bを介して後述する吐出空間51に連通されている。これら吐出通路26A,26Bは、後述するようにダイヤフラムポンプ1を組み立てたときに、軸線方向が吐出筒53を指向するように互いの上端が接近するように傾斜している。すなわち、これら吐出通路26A,26Bの吐出口27A,27B側の延長線上に吐出筒53の入口部53aが設けられている。
また、バルブホルダー20の中央部で、一対の壁21A,21Bの中間位置には、後述する吐出弁40の被固定用凹部45が嵌合される固定用凸部28が設けられている。29,29は吐出通路26A,26Bの両端側に設けられた吸入孔であって、これら吸入孔29,29には、これを開閉する吸入弁30,30が取り付けられている。このバルブホルダー20によってダイヤフラム15をダイヤフラムホルダー10とともに挟持することにより、このバルブホルダー20と各ダイヤフラム部16,16との間にポンプ室35A,35Bが形成される。
次に、図2および図3を用いて、吐出弁40について説明する。吐出弁40は、図2に示すように薄板状で正方形に形成された一対の弁部41A,41Bと、これら弁部41A,41Bを上記した吐出口27A,27Bを閉塞する位置に位置決めするために吐出弁40をバルブホルダー20に固定する正方体に形成された被固定子42と、この被固定子42と一対の弁部41A,41Bのそれぞれとを連結する二対の連結部43A,43Bとが、可撓性を有する弾性変形可能な部材によって一体に形成されている。
被固定子42の底部には、上記した固定用凸部28に嵌合固定される被固定用凹部45が設けられている。連結部43Aは、図2(B)に示すように、弁部41Aに矢印B方向の水平な荷重FBが掛かった場合に、被固定子42によって支承されない部分(図中二点鎖線でハッチングを付した部分)が発生するように、上端面43aが図中右下がりに傾斜した台形状に形成されている。連結部43Bは、図2(B)に示すように、弁部41Bに矢印A方向の水平な荷重FAが掛かった場合に、被固定子42によって支承されない部分(図中二点鎖線でハッチングを付した部分)が発生するように、上端面43bが図中左下がりに傾斜した台形状に形成されている。
また、この連結部43A,43Bは、同図(A)に示すように平面視湾曲状に形成されており、一対の弁部41A,41Bを互いに近接させる方向(矢印A−B方向)に押圧されることにより弾性変形する。この吐出弁40の一対の弁部41A,41B間の長さ(矢印A−B方向の全長)L1が、図3に示すように一対の壁21A,21B間の間隔L2よりもわずかに(2ΔLだけ)長く形成されている。
図1において、50はバルブホルダー20を覆う蓋体であって、バルブホルダー20との間に、吐出通路26,26を介してポンプ室35A,35Bに連通する吐出空間51と、この吐出空間51の周りに吸入孔29,29を介してポンプ室35A,35Bに連通する吸入空間52とが形成されている。53は外部と吐出空間51とを連通する外部に通じる排出部としての吐出筒、54は外部と吸入空間52とを連通する吸入筒である。
このように形成された吐出弁40をバルブホルダー20に固定するには、図3に示すように、吐出弁40の一対の弁部41A,41Bを互いに接近させるように、一対の連結部43A,43Bを長さ2ΔLだけ弾性変形させながら、一対の壁21A,21B間に挿入する。次いで、被固定子42の被固定用凹部45を吐出弁収容凹部25の固定用凸部28に嵌合させることにより、吐出弁40を固定用凸部28に固定する。固定用凸部28に固定された吐出弁40の一対の弁部41A,41Bが内面22A,22Bに対接され、これら弁部41A,41Bは、一対の連結部43A,43Bの弾性変形によって内面22A,22Bに付勢された状態で、吐出用通路26A,26Bの吐出口27A,27Bを閉塞する。
このように構成されていることにより、吐出筒53にエアーチューブ等を介してエアーを供給する装置を接続させ、吸入筒54を大気に開放する。このような状態としてから、モータ3を駆動し出力軸3aを回転させると、クランク台4も一体的に回転し、駆動軸5が傾斜した状態で回転するため、駆動体6は、一対の駆動子8,8の先端部が図中上下方向へ往復動しながら回転する。
したがって、二つのダイヤフラム部16,16が交互に上下方向に往復動するため、二つのポンプ室35A,35Bも交互に拡縮する。ポンプ室35A,35Bが拡張することにより、ポンプ室35A,35B内が負圧状態となって吸入筒54を介して大気中のエアーが吸入空間52および吸入孔29を通ってポンプ室35A,35B内に吸入される。
このとき、吐出弁40の一対の弁部41A,41Bが内壁22a,22cに付勢された状態で、吐出用通路26A,26Bの吐出口27A,27Bを閉塞しているため、弁部41A,41Bによる吐出口27A,27Bに対するシール性が確保されるから、吐出用通路26A,26Bを介してのポンプ室35A,35Bへの空気の逆流を確実に阻止することができる。
一方、ポンプ室35A,35Bが収縮すると、ポンプ室35A,35B内のエアーは圧力が上昇するので吐出通路26A,26Bおよび吐出空間51を通って吐出筒53からエアーチューブを介してエアーが装置に供給される。このとき、吐出通路26Aを通過して弁部41Aに作用するエアーの圧力は、図6に示すように、G1点およびG2点で同じ荷重Fが掛かり、水平分力として同じ荷重FBが加わる。
この場合、上述したように、弁部41Aの上方側に位置するG1点においては、荷重FBが加わることによる連結部43Aに対する被固定子42の支えがないため、このG1点における連結部43Aの矢印B方向への弾性変形は、G2点における連結部43Aの矢印B方向への弾性変形よりも大きくなる。したがって、弁部41Aは図5に示すように吐出通路26Aの傾斜方向と同じ方向に傾斜するように開く。すなわち、弁部41Aは、吐出口27Aの上方、つまり吐出口27Aと吐出筒53の入口部53aとの間を開放するように開く。
このように、弁部41Aが吐出通路26Aの傾斜方向と同じ方向に傾斜するように開き、かつ上述したように吐出通路26Aの軸線方向が吐出筒53を指向していることにより、吐出口27Aから吐出空間51に吐出されたエアーは、弁部41Aで流れを規制されることなく吐出筒53まで略直線状に流れるから圧力損失を低減することができる。このことは、他方の弁部41Bが吐出通路26Bの傾斜方向と同じ方向に傾斜するように開き、かつ吐出通路26Bの軸線方向が吐出筒53を指向していることにより、吐出口27Bから吐出空間51に吐出されたエアーは、弁部41Bで流れを規制されることなく吐出筒53までほぼ直線状に流れるから圧力損失を低減することができる。
また、吐出口27A,27Bから吐出されるエアーの圧力によって発生していた弁部41A,41Bの振動を連結部43A,43Bの弾性変形によって吸収することができるため、弁部41A,41Bの振動に起因していた騒音を低減することができるため静音化が可能になる。
〔実施の形態2〕
次に、図7を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。同図において、上述した図1ないし図6で示す第1の実施の形態において説明した同一または同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。この第2の実施の形態においては、ダイヤフラムポンプのポンプ室が四つの場合であって、同図において、70はこれに対応したバルブホルダーである。
バルブホルダー70は偏平な正方体に形成され、四つの角部には吸入孔29と、この吸入孔29を開閉する吸入弁30とが設けられており、中央部には、これら吸入孔29に対応して、四つの壁21Aないし21Dが筒部を形成するように連設されて立設されている。これら四つの壁21Aないし21D内のそれぞれには、吐出通路26Aないし26Dが設けられている。
全体を符号80で示す吐出弁は、被固定子42の周囲に四つの弁部41A,41C,41B,41Dが被固定子42を中心とした円周方向に等角度(90°)の間隔で設けられている。これら四つの弁部41Aないし41Dは、それぞれ一対の連結部43Aないし43Dを介して被固定子42に連結されており、これら連結部43Aないし43Dの弾性変形により、四つの弁部41Aないし41Dは、吐出通路26Aないし26Dの吐出口を付勢された状態で閉塞する。
なお、本実施の形態においては、弁部が二つの場合と四つの場合について説明したが、吐出口27が一つまたは三つあるいは五つ以上の場合は、これに対応させて弁部も一つまたは三つあるいは五つ以上とすればよく、三つまたは五つ以上の場合は、二つまたは四つの場合と同様に、複数の弁部を被固定子42の周囲に平面視において等角度の間隔をおいて設けれるようにする。
1…ダイヤフラムポンプ、15…ダイヤフラム、16…ダイヤフラム部、20…バルブホルダー(隔壁部材)、21A,21B,21C,21D…壁、26A,26B,26C,26D…吐出通路、27A,27B…吐出口、28…固定用凸部、29…吸入孔、30…吸入弁、35A,35B…ポンプ室、40,80…吐出弁、41A,41B,41C,41D…弁部、42…被固定子、43A,43B,43C,43D…連結部、45…被固定用凹部、51…吐出空間、53…吐出筒。

Claims (3)

  1. 流体が吐出される吐出口を閉塞して流体の逆流を阻止する吐出弁であって、
    前記吐出口を開閉する弁部と、
    記吐出口を閉塞する位置に前記弁部を位置決めするためにポンプの固定部に固定される被固定部と、
    この被固定部と前記弁部とを連結するとともに、前記吐出口に接続されている前記ポンプの吐出通路の傾斜方向と同じ方向に前記弁部を傾斜させる弾性変形可能な連結部とによって一体に形成され、
    前記被固定部を前記固定部に固定した状態で、前記連結部の弾性変形によって前記弁部が前記吐出口を閉塞するように付勢され
    前記連結部は、前記弁部に対して前記開く方向に荷重が掛かった場合に前記被固定部によって支承されない部分を有する
    ことを特徴とする吐出弁。
  2. 前記被固定部の周囲に、円周方向に互いに等角度の間隔をおいて複数の前記弁部を配置したことを特徴とする請求項1記載の吐出弁。
  3. 請求項1または2記載の吐出弁の前記被固定部が固定される前記固定部をポンプ室を形成する隔壁部材に設けたポンプであって、
    前記隔壁部材に、一端が前記ポンプ室に連通され、他端が前記吐出口である前記吐出通路が形成され、この吐出通路の前記吐出口側の延長線上に外部に通じる排出部を設け、前記弁部が前記吐出口を開放することにより、当該吐出口から吐出される流体が前記排出部に向かって略直線状に流れることを特徴とするポンプ。
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