JP5859805B2 - 熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体及びそれを用いた薄膜の熱可塑性ポリウレタンフィルムの製造方法 - Google Patents

熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体及びそれを用いた薄膜の熱可塑性ポリウレタンフィルムの製造方法 Download PDF

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本発明はアパレル用品、医療用品部材として好適に用いられる薄膜の熱可塑性ポリウレタンフィルムを得るための熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体に関する。
熱可塑性ポリウレタンフィルムは、柔軟性、弾力性、耐摩耗性、透湿性、耐寒性、耐油性、耐屈曲疲労性等の数多くの優れた特性を有する為に、OAチェアー、自動車用座席シート、各種防水衣料をはじめとしたアパレル用品、医療用品等の分野で広く利用されている。
近年、上記分野において特に透湿性能向上の必要性から薄膜の熱可塑性ポリウレタンフィルムに対する需要が増大している。しかしながら、周知の如く、熱可塑性ポリウレタンフィルムは粘着性が強い為、ガイドロールとの摩擦によるフィルムの破断やロール巻きする際に発生する皺、フィルムの重なりによるブロッキングの問題があった。又、伸びが大きい為、インフレーションダイによる溶融押出し成形法の場合では、ダイスから吐出された熱可塑性ポリウレタンチューブがチューブの伸縮により安定せず、流れ方向の厚みバラつきが大きくなる問題等があった。これらの問題は薄膜化によって更に顕著になる為、熱可塑性ポリウレタンフィルムを単層の溶融押出し法により製膜する場合、膜厚は20μmが限界であった。
このような課題に対して特許文献1には、薄膜の熱可塑性ポリウレタンフィルムを得る手段として、熱可塑性ポリウレタンの両外層に非接着性のキャリア層としてポリオレフィンを溶融共押出し法により積層製膜した後、非接着性のポリオレフィン層を剥離することで膜厚が5μmの薄膜の熱可塑性ポリウレタンフィルムを得る製造方法が提案されている。そして、両外層のキャリア層がポリオレフィンからなり、中間層が熱可塑性ポリウレタンからなる積層体から薄膜の熱可塑性ポリウレタンフィルムを得る方法としては、まず、一方のキャリア層を製膜直後に剥離し、熱可塑性ポリウレタン層と残る他方のキャリア層の2層でロール状に巻き取った後に、ユーザーが最終加工時に前記2層の積層体から残るキャリア層を剥離することによって薄膜の熱可塑性ウレタンフィルムが得られるものであるが、最初にキャリア層を剥離させる際に、所望の界面で問題なく剥離されることが必要である。尚、一般的に薄膜の熱可塑性ポリウレタンフィルムを得るためのキャリア層として好ましい樹脂としてはポリエチレンが挙げられ、その理由としては、1)熱可塑性ポリウレタンフィルムを得るためのキャリア層として非接着性樹脂であり、熱可塑性ポリウレタンとポリエチレンの剥離強度が好適な範囲である事、2)溶融共押出しにおける熱可塑性ポリウレタンとポリエチレンの溶融温度差が離れておらず安定に製膜可能である事、3)ポリエチレンは安価である事が挙げられている。
特開昭64−61219号公報
しかしながら、上述した熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体は、両外層のキャリア層が同一の樹脂から製造されており、中間層の熱可塑性ポリウレタン層が薄膜化されるに従い、キャリア層を剥離させる際に、1)所望の界面とは異なる界面での剥離の発生、2)所望の界面での剥離に追従した異なる界面でのキャリア層の部分剥離が発生するという問題がある。
本発明はこの問題に鑑みなされたもので、薄膜の熱可塑性ポリウレタンフィルムを得る為に、両外層のキャリア層がポリエチレンからなる層であり中間層が熱可塑性ポリウレタン層である積層体において、該両外層のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層を剥離させる際、所望の界面のみで剥離させることが容易な積層体及びそれを用いた薄膜の熱可塑性ポリウレタンフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば
(1)第1のポリエチレンからなる層と、
前記第1のポリエチレンからなる層に積層された熱可塑性ポリウレタン層と、
前記熱可塑性ポリウレタン層に積層された第2のポリエチレンから成る層と、
を少なくとも有する積層体であって、
前記第1のポリエチレンの結晶化熱量が前記第2のポリエチレンの結晶化熱量よりも大きいことを特徴とする熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体が提供され、
〔ここで、前記結晶化熱量は、示差走査熱量測定計を用いて10mgの試料を昇温及び降温速度10℃/min、温度範囲25℃−160℃の条件で昇温、及び降温し、2回目の降温時の結晶化発熱ピーク面積を結晶化熱量とする。〕
(2)前記熱可塑性ポリウレタン層の厚さが3〜20μmであることを特徴とする(1)記載の熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体が提供され、
(3)溶融共押出し法によって製造されることを特徴とする(1)又は(2)記載の熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体が提供され、
(4)(1)から(3)のいずれかに記載の熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体から前記第2のポリエチレンからなる層を剥離することをと特徴とする第1のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体の製造方法が提供され、
(5)(4)記載の製造方法によって製造された前記第1のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体から前記第1のポリエチレンからなる層を剥離することを特徴とする薄膜の熱可塑性ポリウレタンフィルムの製造方法が提供される。

すなわち、本発明者等は、熱可塑性ポリウレタン層と該ポリウレタン層に隣接する両外層にポリエチレンからなる層を少なくとも有する積層体において、ポリエチレンからなる層を所望の界面で剥離させることが可能になるよう鋭意検討した結果、両外層に結晶化熱量が異なるポリエチレンを用いることで、剥離界面を任意に調整可能であることを見いだし、本発明の完成に至ったものである。
本発明の積層体は、熱可塑性ポリウレタンと該ポリウレタン層に隣接する両外層に結晶化熱量が異なるポリエチレンからなる層を用いることによって得られ、ポリエチレンからなる層を所望の界面で剥離させる事が容易であると共に、所望の界面での剥離に追従した他のポリエチレンからなる層が部分剥離することを未然に防ぐことができる。又、前記積層体から所望のポリエチレンからなる層を容易に剥離することが可能な、熱可塑性ポリウレタン層とポリエチレンからなる層の2層の積層体を容易に得ることができる。更に、前記2層の積層体はユーザーによる最終加工の直前までキャリア層が熱可塑性ポリウレタン表面を保護している為、異物等の付着や傷、汚れがなく高品質な薄膜の熱可塑性ポリウレタンフィルムとして使用可能である。
本発明の熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体は、両外層に結晶化熱量が異なるポリエチレンからなる層と中間層に熱可塑性ポリウレタン層とを少なくとも有する積層体に関するものである。以下に本発明の詳細を説明する。
本発明の積層体の中間層に用いられる熱可塑性ポリウレタンとは、長鎖ジオール、及び短鎖ジオールとジイソシアネートとを主原料としてなる分子構造中にウレタン結合を有するゴム状弾性高分子のうち熱可塑性を有するものである。具体的には使用される前記長鎖ジオール等の原料によってアジペートエステル系、カプロラクトンエステル系等のポリエステル系、ポリエーテル系、ポリ炭酸エステル系等の熱可塑性ポリウレタンが挙げられ、それらから選ばれる1種又は2種以上を混合して用いることができる。
尚、熱可塑性ポリウレタンの物性を阻害しない範囲で公知の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤などを挙げることができる。上記添加剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
本発明のキャリア層に用いられるポリエチレンとしては、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体である直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体や、エチレンとアクリル酸又はメタクリル酸等との共重合体が挙げられるが、これらの中でも特に、熱可塑性ポリウレタンとの剥離強度が適切な範囲となる低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
本発明の積層体の製造方法は溶融共押出し法が好ましく、溶融共押出し装置として多層インフレーション装置、フラットダイを装着した多層押出し装置等が挙げられる。多層インフレーション装置には環状のダイスから押し出されたチューブの外径が環状のダイスのリップ径以上であるインフレーション製膜法とリップ径以下であるデフレーション製膜法が含まれる。
本発明において好適に使用することができる多層インフレーション装置による溶融共押出しの一例を説明する。一般的な多層インフレーション法による熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、まず、これら熱可塑性ポリウレタンと結晶化熱量の異なる第1のポリエチレン及び第2のポリエチレンとを別々の押出し機で溶融混練して、3層の環状ダイスから内層が第1のポリエチレンからなる層、中間層が熱可塑性ポリウレタン層、外層が第2のポリエチレンからなる層となるように押出し、空気で冷却しながらチューブ状に膨張させて3層フィルムとし、更にピンチロール等で該チューブ状の3層フィルムを偏平状に折り畳み、チューブ状のまま、あるいはチューブの両端部を切断して、中間層の熱可塑性ポリウレタン層と両外層のポリエチレン層とを積層した状態で巻き取るものである。その際、2次加工時の作業性の観点から、先に外層側の第2のポリエチレンからなる層と中間層の熱可塑性ポリウレタン層界面において剥離させ、中間層の熱可塑性ポリウレタン層と内層側の第1のポリエチレンからなる層の2層状態で巻き取ることが好ましい。尚、前記多層インフレーション法による熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は一例であり、3層の環状ダイスから外層に第1のポリエチレンからなる層、中間層が熱可塑性ポリウレタン層、内層に第2のポリエチレンからなる層となるように押出しても良い。
又、本発明の積層体は、熱可塑性ポリウレタンと該ポリウレタン層に隣接する両外層にポリエチレンからなる層を少なくとも有する積層体であり、ポリエチレン層の外側に別の樹脂層を積層しても良い。
前記製造方法で得られた本発明の積層体は、所望の界面のポリエチレンからなる層を容易に剥離させることが可能な為、取扱い性が良好で、2次加工性に優れた、熱可塑性ポリウレタン層とポリエチレンからなる層の2層の積層体を容易に得ることができる。更に、前記2層の積層体はユーザーによる最終加工の直前までキャリア層が熱可塑性ポリウレタン層を保護している為、異物等の付着や傷、汚れが無い等、高品質な薄膜の熱可塑性ポリウレタンフィルムとして使用可能である。
本発明の積層体に用いられる第1のポリエチレンの結晶化熱量は第2のポリエチレンの結晶化熱量よりも大きいものであるが、その差は5.0mJ/mg以上であり、更には、10.0mJ/mg以上であることが好ましい。ポリエチレンの結晶化熱量は、結晶化熱量が大きいと結晶化度は高く、結晶化熱量が小さいと結晶化度は低くなる傾向を示す。すなわち、結晶化度が高くなると表面粗さは大きくなり、延いては界面の接着面積が増大することで剥離強度が大きくなるものと推測される。従って、結晶化熱量の大きい第1のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層との剥離強度の方が、第2のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層との剥離強度よりも大きくなるものと考えられ、第1のポリエチレンと第2のポリエチレンの結晶化熱量の差が5.0mJ/mgより小さいと、第1のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層との剥離強度と第2のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層との剥離強度の差が小さくなり、所望の界面とは異なる界面での剥離の発生や、所望の界面での剥離に追従した異なる界面でのキャリア層の部分剥離が起きるため好ましくない。
本発明の積層体において、キャリア層を剥離した熱可塑性ポリウレタン層は、第1のポリエチレンからなる層との界面と第2のポリエチレンからなる層との界面の表面粗さに差を有する。その表面粗さの差は30nm以上であり、更には40nm以上であることが好ましい。熱可塑性ポリウレタン層の両界面の表面粗さの差が30nmより小さいと、第1のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層との剥離強度と第2のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層との剥離強度の差が小さくなり、所望の界面とは異なる界面での剥離の発生や、所望の界面での剥離に追従した異なる界面でのキャリア層の部分剥離が起きるため好ましくない。
本発明の積層体はポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層の剥離強度が1.0〜100.0g/cmの範囲であり、特に1.0〜30.0g/cmであることが好ましい。この剥離強度が1.0g/cmより小さいとフィルムをロール状に巻いて保管する際や搬送する際に部分的な層間剥離や層間ズレが起こり、皺や、破れ等、意図しない剥離によるトラブルが発生することがある。又、剥離強度が100.0g/cmを超えると積層体を剥離する際に熱可塑性ポリウレタンフィルムの伸張や破れが起きるため好ましくない。
本発明の積層体は第1のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層との剥離強度と第2のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層との剥離強度に差を有する。その剥離強度の差は1.0g/cm以上が好ましく、更には1.5g/cm以上であることが好ましい。熱可塑性ポリウレタンの両界面の剥離強度の差が1.0g/cmより小さいと、第1のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層との剥離強度と第2のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層との剥離強度の差が小さく、所望の界面とは異なる界面での剥離の発生や、所望の界面での剥離に追従した異なる界面でのキャリア層の部分剥離が起きるため好ましくない。
本発明の積層体の熱可塑性ポリウレタン層の厚みは製膜方法による制限から3μm〜20μmであることが好ましく、更には3μm〜10μmであることが特に好ましい。熱可塑性ポリウレタン層の厚みが3μm以下であると、熱可塑性ポリウレタンの押出し機によるダイスへの供給量が少ない為、両外層のポリエチレンからなる層の間に熱可塑性ポリウレタンが供給されない部分が生じ、フィルム状の熱可塑性ポリウレタンを得ることが困難となる。又、単層の溶融共押出しによる成型で20μmまでは製膜可能であることから上限は必然的に決定される。
本発明の積層体の全層厚みは特に限定されるものではないが、薄膜の熱可塑性ポリウレタンフィルムを得る為に、熱可塑性ポリウレタン層をポリエチレンからなる層で補強した構成を有することから、該熱可塑性ポリウレタン層の製膜不良が発生しない範囲でポリエチレンからなる層の厚みを設定する必要がある。従って、ポリエチレンからなる層の厚みは熱可塑性ポリウレタン層より厚くすることで、製膜の安定化を図ることができる。
本発明の両外層がポリエチレンからなる層であり中間層が熱可塑性ポリウレタン層である積層体において、両外層のポリエチレンからなる層と中間層の熱可塑性ポリウレタン層の厚み比率は1:1:1〜10:1:10であることが望ましい。ポリエチレンからなる層は薄膜の熱可塑性ポリウレタンフィルムを得るための製膜の安定や取扱いの容易化を図ることを目的としている為、前記比率以上の厚み構成で製膜した積層体のポリエチレンからなる層は、最終加工後、産業廃棄物となり事業的にも環境的にも好ましくない。
又、本発明の積層体は内層側のポリエチレンからなる層と外層側のポリエチレンからなる層においても厚み差があると、押出し供給量の違いから熱可塑性ポリウレタン層の厚みバラつき問題が生じる為、該ポリエチレンからなる層の厚み比率は概ね1:1であることが好ましい。
以下、本発明の積層体について、実施例により更に詳しく説明する。
尚、実施例において行った物性の測定方法及び評価方法は次の如くである。
(1)結晶化熱量
セイコー電子製示差走査熱量測定計(DSC220C)を用いて10mgの試料を昇温及び降温速度10℃/min、温度範囲25℃−160℃の条件で昇温、及び降温し、2回目の降温時の結晶化発熱ピーク面積を結晶化熱量とした。尚、その単位を(mJ/mg)として表した。
(2)剥離強度
島津製作所製オートグラフ(AGS−100)を用いて幅50mm×長さ150mmの短冊状試料を速度300mm/min、剥離角度180°で剥離させ、その時の最大荷重を測定し剥離強度とした。尚、その単位を(g/cm)として表した。
(3)表面粗さ
ANSI B46.1に準拠して、日本ビーコ製非接触3次元表面形状粗さシステム(Wyko−NT1100)を用いて熱可塑性ポリウレタン表面のRa(算術平均粗さ)を測定した。尚、その単位を(nm)として表した。
(4)剥離適性
両外層のポリエチレンからなる層を剥離させる際、所望のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層の界面を剥離させ、剥離に追従した異なる界面側のポリエチレン層における部分剥離が発生しなかったものを(○)、所望界面で剥離させた際、他の界面で部分剥離が生じたり、熱可塑性ポリウレタン層に破れや伸びが発生したものを(×)とした。
<樹脂>
◇熱可塑性ポリウレタン(A):エーテル系熱可塑性ポリウレタン[硬度(JIS A):85、比重:1.12g/cm
◇ポリエチレン(B):低密度ポリエチレン[結晶化熱量:115.3mJ/mg、MFR:0.3g/10min、密度:0.922g/cm
◇ポリエチレン(C):低密度ポリエチレン[結晶化熱量:126.5mJ/mg、MFR:3.7g/10min、密度:0.924g/cm
[実施例1]
口径90mmの押出し機、口径50mmの押出し機及び口径75mmの押出し機を用いた3種3層インフレーション製膜装置を用い、口径90mmの押出し機に外層用の低密度ポリエチレン(B)[結晶化熱量:115.3mJ/mg、MFR:0.3g/10min、密度:0.922g/cm]を供給し、口径50mmの押出し機に中間層用のエーテル系熱可塑性ポリウレタン(A)[硬度(JIS A):85、比重:1.12g/cm]を供給し、そして、口径75mmの押出し機に内層用の低密度ポリエチレン(C)[結晶化熱量:126.5mJ/mg、MFR:3.7g/10min、密度:0.924g/cm]を供給して、それぞれ溶融混練し、温度205℃の3種3層ダイスに導いて押出し、両外層が30μmのポリエチレン層、中間層が8μmの熱可塑性ポリウレタン層からなる全層厚さ68μmの3層積層体を製膜した。
[実施例2]
外層側に低密度ポリエチレン(C)[結晶化熱量:126.5mJ/mg、MFR:3.7g/10min、密度:0.924g/cm]を用い、内層側に低密度ポリエチレン(B)[結晶化熱量:115.3mJ/mg、MFR:0.3g/10min、密度:0.922g/cm]を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、両外層がポリエチレン層、中間層が熱可塑性ポリウレタン層である3層積層体を製膜した。
得られた前記熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体において、両外層のポリエチレンからなる層と中間層の熱可塑性ポリウレタン層との剥離強度、表面粗さ、及び、剥離適性の評価を行った結果を表1に示す。両外層に結晶化熱量の異なるポリエチレンを用いた実施例1、2の積層体においては、第1のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層との剥離強度と第2のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層との剥離強度に差を有する為、所望の界面における剥離が容易であり、且つ、所望の界面での剥離に伴う異なる界面での部分剥離が発生せず良好なる外観を呈した。
[比較例1]
両外層に低密度ポリエチレン(B)[結晶化熱量:115.3mJ/mg、MFR:0.3g/10min、密度:0.922g/cm]を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、両外層がポリエチレン層、中間層が熱可塑性ポリウレタン層である3層積層体を製膜した。
[比較例2]
両外層に低密度ポリエチレン(C)[結晶化熱量:126.5mJ/mg、MFR:3.7g/10min、密度:0.924g/cm]を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、両外層がポリエチレン層、中間層が熱可塑性ポリウレタン層である3層積層体を製膜した。
得られた前記熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体において、実施例1同様に両外層のポリエチレンからなる層と中間層の熱可塑性ポリウレタン層との剥離強度、表面粗さ、及び剥離適性の評価を行った結果を表1に示す。両外層に結晶化熱量が同一のポリエチレンを用いた比較例1、2の積層体においては、剥離強度がほぼ等しい為、所望の界面である外層側のポリエチレン層と中間層の熱可塑性ポリウレタン層間とは異なる界面で剥離が起きた。又、所望の界面で剥離した場合でも、所望の界面での剥離に追従した異なる界面での部分剥離が発生した。
Figure 0005859805
この結果は、ポリエチレン樹脂の結晶化熱量がポリエチレン樹脂の結晶化度、更には、剥離強度に大きく影響しているためと考えられる。すなわち、ポリエチレンの結晶化度が高くなると表面粗さは大きくなり、延いては界面の接着面積が増大することで剥離強度が大きくなるものと推測される。
以上の如く、本発明によれば熱可塑性ポリウレタン層と該ポリウレタン層に隣接する両外層にポリエチレンからなる層を少なくとも有する積層体において、両外層に結晶化熱量が異なるポリエチレンからなる層を用いることによって、ポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層の剥離強度が調整可能となり、所望の界面のみで剥離させることが容易な積層体が得られる。
本発明の積層体から得られる熱可塑性ポリウレタンフィルムは薄膜でありながら、柔軟性、伸縮性、耐摩耗性、透湿性、耐屈曲疲労性等に優れることからアパレル用品、医療用部材として好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 第1のポリエチレンからなる層と、
    前記第1のポリエチレンからなる層に積層された熱可塑性ポリウレタン層と、
    前記熱可塑性ポリウレタン層に積層された第2のポリエチレンからなる層と、
    を少なくとも有する積層体であって、
    前記第1のポリエチレンの結晶化熱量が前記第2のポリエチレンの結晶化熱量よりも大きいことを特徴とする熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体。
    〔ここで、前記結晶化熱量は、示差走査熱量測定計を用いて10mgの試料を昇温及び降温速度10℃/min、温度範囲25℃−160℃の条件で昇温、及び降温し、2回目の降温時の結晶化発熱ピーク面積を結晶化熱量とする。〕
  2. 前記熱可塑性ポリウレタン層の厚さが3〜20μmであることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体。
  3. 溶融共押出し法によって製造されることを特徴とする請求項1又は2記載の熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体から前記第2のポリエチレンからなる層を剥離することを特徴とする第1のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体の製造方法。
  5. 請求項4記載の製造方法によって製造された前記第1のポリエチレンからなる層と熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体から前記第1のポリエチレンからなる層を剥離することを特徴とする薄膜の熱可塑性ポリウレタンフィルムの製造方法。

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