JP5859548B2 - 多孔質正極材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン電池用の多孔質正極材料の製造方法、およびその製造方法により得られた正極材料を用いたリチウムイオン電池に関する。とくにリチウムイオン電池用の多孔質オリビン型LiFePOの製造方法、およびその製造方法により得られたLiFePOを用いたリチウムイオン電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高く、携帯電話やノートパソコンなどの小型電子機器の電源として幅広く利用されている。近年では、電気自動車用電源へ応用するために、更なる高容量化および高出力化が望まれている。現在、リチウムイオン二次電池の主な正極材料はLiCoOが使用されている。しかしながら、LiCoOは安全性に懸念がある。また、Co(コバルト)は極めて高価であるため、LiCoOは価格が高い。そのため近年では、脱コバルト正極を目指した新規な材料の開発が進められている。
新規な正極材料の開発が進められている中で、電気化学的に安定で、資源量が豊富なFeやMnからなるオリビン型化合物LiMPO(MはFeまたはMn)が注目されている。LiFePOは、ナノサイズ化、カーボン複合化などの方法で性能を向上できることが最近明らかにされている。
特開2005−60181号公報 特開2007−230784号公報 特開2004−296367号公報 国際公開第2010/150857号パンフレット
特許文献1(特開2005−60181号公報)には、オリビン型のLiFePOにおいて、セチルトリメチルアンモニウムクロリドなどの界面活性剤を鋳型とするメソ細孔を有する三次元構造を備えたメソポーラスLiFePOの製造方法について記載されている。
界面活性剤を鋳型として細孔を形成した場合、細孔の大きさは直径5nmが限度であることが知られている。界面活性剤の場合、水溶液中では自己組織的にミセルなどの集合体をとっており、この会合体の粒径を大きくしようと、界面活性剤濃度を上げると、相変化を起こしラメラ相やヘキサゴナル相などへと変化し、球状の会合状態を維持できなくなるからである。
特許文献1も、図に記載されているように、窒素吸着法から求めた細孔径は2nm程度である。電池としての特性評価結果は述べられていないが、細孔が2nm程度では電解液が浸透し難かったり、電解液中のリチウムイオンの移動の妨げになったりするため、充放電特性は芳しくないことが予想される。
特許文献2(特開2007−230784号公報)には、微細化した原料スラリーに、炭素含有化合物を添加している。炭素含有化合物の一例として高分子化合物のエマルション、サスペンションが挙げられている。実施例2にはポリスチレン樹脂エマルションを添加した例が示されている。当該原料成分の微細化粒子の50%体積累積径(D50)は2μm以下で、90%体積累積径(D90)は10μm以下が好適との記載があるものの下限値については示されていない。図3には焼成後の微粒子のSEM観察写真が示されており一次粒子のサイズは1μm程度でありこの観察写真から推測したところ、サブミクロンサイズのエマルションやサスペンションを使って多孔化するには、微細粒子径が大きすぎるため、多孔化の効果を発揮することは困難である。また、エマルションやサスペンションの粒子サイズに関する記載がないことから、エマルションやサスペンションを使ってナノサイズに多孔化しようとした意図は、微塵も感じられない。
特許文献3(特開2004−296367号公報)には、電子導電性物質の前駆体として、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸を添加して、噴霧焼成しオリビン型正極材料を合成する例が示されている。しかしながら、いずれも水溶性高分子であるため不定形であり、適切な細孔構造を作りだすことはできない。
特許文献4(国際公開第2010/150857号パンフレット)には、鋳型粒子を準備する工程、鋳型粒子を、LiMnPOの無機源溶液とカーボン源とからなる前駆溶液に浸漬させる工程と、鋳型粒子と前駆溶液からなる複合体を600℃以上900℃未満の焼成温度で焼成し、鋳型粒子を除去する工程とを有する、複合ナノ多孔電極材の製造方法に関する記載がある。実際の作成方法では、まず、粒子の直径が100nm以上400nm以下のポリスチレンからなるコロイド分散液を遠心分離し、ポリスチレン粒子が規則正しく並んだコロイド結晶を作製する。そして、このポリスチレン粒子を減圧乾燥させてから、無機源溶液をポリスチレン粒子の隙間に5日〜7日間かけて浸漬させ、充填させる。これを焼成することでポリスチレン粒子からなる鋳型が除去され、ナノサイズの細孔を有するオリビン型リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)とカーボンの複合ナノ多孔電極材4が完成することができる。以上の工程では、ポリスチレン粒子を遠心分離して、規則正しく並べた後、乾燥することで粒子を固定化させてから、無機源溶液を浸漬させ、規則正しい鋳型の構造を作り出すことが重要となる。しかしながら、工業的に生産するには、工程が複雑であり困難である。
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、充放電特性に優れた多孔質正極材料が得られる製造方法を提供することである。
すなわち、本発明によれば、以下に示すリチウムイオン電池用の多孔質正極材料の製造方法、およびその製造方法により得られた正極材料を用いたリチウムイオン電池が提供される。
[1](I)リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質、その製造中間体及びその原料から選ばれる1種以上の物質であって、メジアン径d50が下記(II)のメジアン径d50の1.0倍以下である物質、
(II)メジアン径d50が10〜400nmである水分散性樹脂微粒子、
および水系媒体を含有する原料液を調製する調製工程と、
上記調製工程で得られた上記原料液をスプレードライする工程と、
を含む、リチウムイオン電池用の多孔質正極材料の製造方法。
(ここで、メジアン径d50とは、上記原料液を調整する前にレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定した体積基準粒度分布におけるメジアン径d50を意味する。)
[2] 上記[1]に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
上記正極活物質がリチウム金属リン酸塩である、多孔質正極材料の製造方法。
[3] 上記[1]または[2]に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
上記正極活物質の上記原料が(1)リチウム化合物、(2)周期律表第7族および8族から選ばれる金属を含む金属化合物および(3)リン酸化合物を含む、多孔質正極材料の製造方法。
[4]上記[3]に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
上記金属化合物が、鉄化合物またはマンガン化合物である、多孔質正極材料の製造方法。
[5]上記[1]乃至[4]いずれかに記載の多孔質正極材料の製造方法において、
上記(I)の上記メジアン径d50が上記(II)の上記メジアン径d50の0.5倍以下である、多孔質正極材料の製造方法。
[6]上記[1]乃至[5]いずれかに記載の多孔質正極材料の製造方法において、
上記水分散性微粒子のメジアン径d50の上記調製工程前後の変化率が50%以下である、多孔質正極材料の製造方法。
[7]上記[1]乃至[6]いずれかに記載の多孔質正極材料の製造方法において、
上記水分散性樹脂微粒子は、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量が2.5×10以下であり、
下記一般式(1)で表される末端分岐型ポリオレフィン系共重合体粒子である、多孔質正極材料の製造方法。
Figure 0005859548
(上記一般式(1)中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、直鎖状または分岐状のポリアルキレングリコール基を有する基を表す。)
[8]上記[7]に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
上記一般式(1)で表される上記末端分岐型ポリオレフィン系共重合体粒子において、
上記Xおよび上記Xは同一または異なっており、下記一般式(2)または下記一般式(4)で表される基を表す、多孔質正極材料の製造方法。
Figure 0005859548
(上記一般式(2)中、Eは酸素原子または硫黄原子を表す。Xはポリアルキレングリコール基または下記一般式(3)で表される基を表す。)
Figure 0005859548
(上記一般式(3)中、Rはm+1価の炭化水素基を表す。Gは同一であっても異なっていてもよく、−OX、−NX(X〜Xはポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基を表す。mは、RとGとの結合数であり1〜10の整数を表す。)
Figure 0005859548
(上記一般式(4)中、XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、ポリアルキレングリコール基または上記一般式(3)で表される基を表す。)
[9]上記[7]または[8]に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
上記末端分岐型ポリオレフィン系共重合体粒子が下記一般式(1a)または下記一般式(1b)で表される、多孔質正極材料の製造方法。
Figure 0005859548
(上記一般式(1a)中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。l+mは2以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)
Figure 0005859548
(上記一般式(1b)中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。R10およびR11は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。l+m+oは3以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)
[10]上記[1]乃至[6]いずれかに記載の多孔質正極材料の製造方法において、
上記水分散性樹脂微粒子が(メタ)アクリル酸エステル系重合体粒子である、多孔質正極材料の製造方法。
[11]上記[1]乃至[10]いずれかに記載の多孔質正極材料の製造方法において、
当該多孔質正極材料の炭素含有量が1〜20質量%である、多孔質正極材料の製造方法。
[12]上記[1]乃至[11]いずれかに記載の多孔質正極材料の製造方法において、
当該多孔質正極材料がLiFePOを含む、多孔質正極材料の製造方法。
[13]上記[1]乃至[12]いずれかに記載の多孔質正極材料の製造方法で得られた多孔質正極材料を用いた、リチウムイオン電池。
本発明によれば、充放電特性に優れたリチウムイオン電池用の多孔質正極材料を得ることができる。
また、この多孔質正極材料を用いることにより、充放電特性に優れたリチウムイオン二次電池を得ることができる。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
実施例1で得られた黒色粉体のSEM画像を示す図である。 実施例3で得られた黒色粉体のSEM画像を示す図である。 実施例7で得られた粉体のSEM画像を示す図である。 比較例3で得られた黒色粉体のSEM画像を示す図である。
以下に、本発明におけるリチウムイオン電池用の多孔質正極材料の製造方法およびその製造方法により得られた正極材料を用いたリチウムイオン電池について順に説明する。
本実施形態におけるリチウムイオン電池用の多孔質正極材料の製造方法は、(I)リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質、その製造中間体及びその原料から選ばれる1種以上の物質であって、メジアン径d50が下記(II)のメジアン径d50の1.0倍以下である物質、(II)メジアン径d50が10〜400nmである水分散性樹脂微粒子、および水系媒体を含有する原料液を調製する調製工程と、上記調製工程で得られた上記原料液をスプレードライする工程を含んでいる。
ここで、メジアン径d50とは、上記原料液を調整する前にレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定した体積基準粒度分布におけるメジアン径d50を意味する。
また、本実施形態におけるスプレードライの意味は、スプレー乾燥をおこなう意味の他に、スプレードライヤーを用いて噴霧焼成する(乾燥と焼成を同時におこなう)意味も含む。
スプレードライする工程においてスプレー乾燥をおこなうのみの場合は、乾燥により得られた前駆体を焼成することにより、正極活物質と炭素からなる多孔質正極材料が得られる。
スプレードライする工程において、乾燥と焼成を同時におこなう場合は、噴霧焼成をおこなうことにより、正極活物質と炭素からなる多孔質正極材料が得られる。
原料液の調製工程
はじめに、原料液の調製工程について説明する。
本実施形態における原料液は、(I)リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質、その製造中間体及びその原料から選ばれる1種以上の物質が溶解または分散しており、水分散性樹脂微粒子が分散している。
(I)リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質、その製造中間体及びその原料から選ばれる1種以上の物質は、水系媒体に溶解していてもよいし、分散していてもよい。
水分散性樹脂微粒子による鋳型効果を十分に発揮させるため、上記(I)の物質が水系媒体に溶解している方が望ましいが、メジアン径d50が水分散性樹脂微粒子のメジアン径d50の1.0倍以下、好ましくは0.5倍以下、より好ましくは0.1倍以下であれば、分散していてもよい。なお、上記物質が溶解している場合はメジアン径の値が0であることを意味する。
(I)リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質としては、例えば、リチウムと周期律表第7族および8族から選ばれる金属とを含むリチウム金属リン酸塩が挙げられる、より具体的にはリン酸鉄リチウム(LiFePO)、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、ピロリン酸鉄リチウム(LiFeP)、ピロリン酸マンガンリチウム(LiMnP)を挙げることができる。
リチウムイオン電池においてリチウムイオンを脱挿入し正極材として機能するのは、上記の正極活物質である。正極活物質の結晶構造は特に限定されるものではないが、例えばオリビン型を挙げることができる。
(I)リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質の原料としては、例えば、リチウム化合物と、周期律表第7族および8族から選ばれる金属を含む金属化合物と、リン酸化合物が挙げられる。
本実施形態における原料液は、(I)リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質の原料として、リチウム化合物と、周期律表第7族および8族から選ばれる金属を含む金属化合物と、リン酸化合物を用いる場合、Liと、周期律表第7族および8族から選ばれる金属と、Pとの組成モル比は特に限定されないが、Liと、周期律表第7族および8族から選ばれる金属と、Pとの組成モル比が1:1:1あるいは、2:1:2の割合で含まれていることが好ましい。
より具体的には、Liと、周期律表第7族および8族から選ばれる金属と、Pの組成モル比の誤差は、±2%以内にあることが好ましい。
本実施形態におけるリチウム化合物としては、炭酸リチウム、水酸化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、硝酸リチウム、しゅう酸リチウム、酢酸リチウム、リン酸リチウム、リン酸二水素リチウム、などを用いることができる。
本実施形態における周期律表第7族および8族から選ばれる金属を含む金属化合物としては、鉄化合物やマンガン化合物が好ましい。
鉄化合物としては、例えば、塩化鉄(II)四水和物、塩化鉄(III)六水和物、硝酸鉄(III)九水和物、しゅう酸鉄(II)二水和物、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、りん酸鉄(III)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)などが挙げられる。
マンガン化合物としては、例えば、Mn、MnO、Mnなどのマンガン酸化物、MnCO、Mn(NO、MnSO、リン酸マンガン(III)、リン酸マンガン(II)、酢酸マンガン、ジカルボン酸マンガン、クエン酸マンガン、脂肪酸マンガンなどのマンガン塩、オキシ水酸化物、塩化マンガンなどのハロゲン化物などが挙げられる。
リン酸化合物としては、リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、などが挙げられる。リン酸としては、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸、さらに高次の縮合リン酸を挙げることができる。
はじめに、リチウム化合物と、周期律表第7族および8族から選ばれる金属を含む金属化合物と、リン酸化合物と、を含む混合物を、0.1〜5mol/Lの濃度になるよう、水系媒体に溶解する。このときの濃度が、0.1mol/L以上であると、水分除去量が少なくなり、エネルギー消費が少ないので経済的に好ましい。また、5mol/L以下であれば、塩の溶解が容易であり、粘度が増加せず取り扱いやすいので好ましい。さらに好ましい濃度は、0.2〜2.5mol/Lである。
上記方法における水系媒体については特に制限されず、蒸留水、イオン交換水、市水、工業用水などを使用できる。とくに蒸留水やイオン交換水を使用することが好ましい。
本実施形態において、原料液の調整手順はとくに限定されないが、例えば、リチウム化合物と、周期律表第7族および8族から選ばれる金属を含む金属化合物と、リン酸化合物とを含む水溶液と、水分散性樹脂微粒子を混合して、原料液を調製する。混合順序は特に限定されない。すなわち、水分散性樹脂微粒子を含む分散液に、リチウム化合物と、周期律表第7族および8族から選ばれる金属化合物と、リン酸化合物が溶解した水溶液を添加し溶解させても良いし、周期律表第7族および8族から選ばれる金属化合物を含む水溶液に水分散性樹脂微粒子を添加し、つづいてリチウム化合物と、リン酸化合物と、を含む水溶液を添加しても良い。もちろん、リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質およびその製造中間体を上記原料とともに添加しても良いし、原料の代わりに用いても良い。
また、リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質が分散した原料液は、上記の混合物を、高温高圧の条件下にて反応(水熱合成)させ得ることができる。この高温高圧の条件は、リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質を生成する温度、圧力及び時間の範囲であれば特に限定されるものではないが、反応温度は、例えば、120℃以上かつ250℃以下が好ましく、より好ましくは150℃以上かつ220℃以下である。
上記原料液には、水以外の溶媒が含まれていても良い。例えば、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類などを添加することができる。
(水分散性樹脂微粒子)
ここで、水分散性樹脂微粒子について説明する。
本実施形態における水分散性樹脂微粒子の役割は、大きく分けて三つある。
第一の役割は、有機−無機コンポジットを作り出し、樹脂微粒子間に作り出す多孔質正極材料の壁の厚さを薄くすることで、焼成時において多孔質正極材料の結晶粒子径の成長を抑制し、結晶粒子内のリチウムイオンの拡散距離を短くすることである。
第二の役割は、不活性ガス雰囲気下で焼成した時に生成する炭素成分により、導電性を高めることである。
第三の役割は、不活性ガス雰囲気下で焼成することで電解液が浸透可能な空隙を作り出すことである。この空隙に浸透した電解液が、より速やかにリチウムイオンの移動を促進することが可能となる。
本実施形態における水分散性樹脂微粒子を用いる製造面での利点は、原料液に混合し、乾燥、焼成するという極めてシンプルな方法で、炭素−無機コンポジット材料を得ることができる点である。
本実施形態の水分散性樹脂微粒子のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置による体積基準粒度分布におけるメジアン径d50は10〜400nmであり、好ましくは10〜300nmである。水分散性樹脂微粒子のメジアン径d50が10nm未満では、電解液が浸透しにくくなったり、リチウムイオンの移動が遅くなったりするので好ましくない。水分散性樹脂微粒子のメジアン径d50が400nmを超えると、空隙が大きくなり、多孔質正極材料の結晶子サイズが大きくなり過ぎ、高速での充放電特性が悪くなるので好ましくない。
本実施形態における水分散性樹脂微粒子分散液は、リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質、その製造中間体及びその原料から選ばれる1種以上の物質を含む水溶液に添加しても、凝集せず分散状態を保っていることが好ましい。
分散状態は、水分散性微粒子のメジアン径d50の上記調製工程前後の変化率が50%以下であることが好ましい。
ここで、メジアン径d50は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置などを用いて測定することができる。レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置としては、日機装社製マイクロトラックUPA−EX150などを用いることできる。
本実施形態における水分散性樹脂微粒子の軟化点は、特に限定されない。後に述べる原料液の乾燥工程において、スプレードライ法を用いて瞬間的に乾燥させることで、軟化点に関わらず、水分散性樹脂微粒子は合一することなく、有機−無機コンポジットを作り出すことができるからである。水分散性樹脂微粒子の軟化点が低いと、スプレードライ法により乾燥した粉体が、凝集し易く取り扱い難くなりがちであるが、電池性能においては劣るものではない。
本実施形態における水分散性樹脂微粒子の軟化点とは、現象的には樹脂が軟化し樹脂同士が融着し始める温度を指すが、より具体的には、結晶性高分子の場合は融点とし、非晶性高分子の場合はガラス転移点とする。
ここで、結晶性高分子の融点は、DSC(示差走査熱量分析)を用いて測定することができ、昇温速度10℃/分で測定した時のピークトップの温度を融点とする。非晶性高分子のガラス転移点も、DSC(示差走査熱量分析)を用いて測定することができ、昇温速度10℃/分で測定した時のベースラインとの変極点をガラス転移点とする。モノマー組成が分かっている非晶性高分子は、ガラス転移点は計算で求めることもでき、これで代用しても良い。
本実施形態における原料液のpHは、特に限定されないが、酸性の塩を用いることが多いため、pH3以下になることが多い。よって、本実施形態における水分散性微粒子は、pH3以下の酸性溶液かつ、高イオン強度条件でも、凝集しないことが好ましい。水分散性微粒子が原料液中で凝集すると、微粒子の粒度が大きくなり、意図した鋳型サイズにならないからである。
本実施形態における水分散性樹脂微粒子は、炭素を50質量%以上含むことが好ましい。後の工程で、水分散性樹脂微粒子は不活性ガス雰囲気下で焼成し、炭化させ導電性を付与させる。そのため、炭素を一定以上含むことが好ましい。さらには、本実施形態における水分散性樹脂微粒子は、炭素を70質量%以上含むことがより好ましい。
本実施形態における水分散性樹脂微粒子の含有量は特に制限されるものではないが、例えば水分散微粒子/正極活物質(重量比)を10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20、さらに好ましくは25/75〜75/25とすることができる。
本実施形態における水分散性樹脂微粒子としては、水系媒体に分散可能なものであればよい。例えばポリオレフィン系、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系、ポリスチレン系、ポリウレタン系、ポリアクリロニトリル系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリ酢酸ビニル系およびポリブタジエン系から選ばれる少なくとも1種の非水溶性ポリマー粒子を挙げることができる。水系媒体とは、水および/または水と親和性を有する有機溶媒である。
メジアン径d50が10〜30nmの粒子が分散した有機無機複合体は、例えば水系媒体に分散したポリオレフィン系末端分岐型共重合体粒子を用いることにより安定的に製造することができる。またメジアン径d50が30nmを超え400nm以下の粒子が分散した有機無機複合体は、例えば水系媒体に分散したポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体粒子を用いることにより安定的に製造することが出来る。
[ポリオレフィン系末端分岐型共重合体]
まず、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体粒子について説明する。
本実施形態における水分散性樹脂微粒子を構成するポリオレフィン系末端分岐型共重合体は、下記の一般式(1)で表される構造を有する。
Figure 0005859548
(上記一般式(1)中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、直鎖状または分岐状のポリアルキレングリコール基を有する基を表す。)
上記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体の数平均分子量は好ましくは2.5×10以下であり、より好ましくは5.5×10〜1.5×10であり、さらに好ましくは8×10〜4.0×10である。その数平均分子量は、Aで表されるポリオレフィン鎖の数平均分子量とXおよびXで表されるポリアルキレングリコール基を有する基の数平均分子量とR,RおよびCH分の分子量の和で表される。ここで、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の値である。
ポリオレフィン系末端分岐型共重合体の数平均分子量が上記範囲にあると、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体を分散質とした際の分散液中の粒子の安定性、水および/または水と親和性を有する有機溶媒への分散性が良好となる傾向があり、かつ分散液の調製が容易になるため好ましい。
上記一般式(1)のAであるポリオレフィン鎖は、炭素数2〜20のオレフィンを重合したものである。炭素数2〜20のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンが挙げられる。
本実施形態においては、これらのオレフィンの単独重合体または共重合体であってもよく、特性を損なわない範囲で他の重合性の不飽和化合物と共重合したものであってもよい。これらのオレフィンの中でも特にエチレン、プロピレン、1−ブテンが好ましい。
上記一般式(1)中、Aで表されるポリオレフィン鎖の、GPCにより測定された数平均分子量は、好ましくは400〜8000であり、より好ましくは500〜4000、さらに好ましくは500〜2000である。ここで、数平均分子量はポリスチレン換算の値である。
Aで表されるポリオレフィン鎖の数平均分子量が上記範囲にあると、ポリオレフィン部分の結晶性が高く、分散液の安定性が良好になる傾向があり、かつ溶融粘度が低く分散液の調製が容易になる傾向があるため好ましい。
上記一般式(1)においてAで表されるポリオレフィン鎖の、GPCにより測定された重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、すなわち分子量分布(Mw/Mn)は、特に制限はなく、通常1.0〜数十であるが、より好ましくは1.0以上4.0以下、さらに好ましくは1.0以上3.0以下である。
上記一般式(1)においてAで表される基の分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲にあると、分散液中の粒子の形状や粒子径の均一性などの点で好ましい。
GPCによる、Aで表される基の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、ミリポア社製GPC−150を用い以下の条件の下で測定できる。
分離カラム:TSK GNH HT(カラムサイズ:直径7.5mm,長さ:300mm)
カラム温度:140℃
移動相:オルトジクロルベンゼン(和光純薬社製)
酸化防止剤:ブチルヒドロキシトルエン(武田薬品工業社製)0.025質量%
移動速度:1.0ml/分
試料濃度:0.1質量%
試料注入量:500μL
検出器:示差屈折計。
なお、Aで表されるポリオレフィン鎖の分子量は、後述の、一方の末端に不飽和基を有するポリオレフィンの分子量を測定し、末端の分子量相当を差し引くことで測定できる。
およびRとしては、Aを構成するポリオレフィンの2重結合に結合した置換基である水素原子または炭素数1〜18の炭化水素基であり、好ましくは水素原子または炭素数1〜18のアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
上記一般式(1)において、XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、直鎖または分岐の数平均分子量がそれぞれ50〜10000のポリアルキレングリコール基を有する基を表す。分岐アルキレングリコール基の分岐態様は、多価の炭価水素基あるいは窒素原子を介した分岐などである。
例えば、主骨格の他に2つ以上の窒素原子または酸素原子または硫黄原子に結合した炭化水素基による分岐や、主骨格の他に2つのアルキレン基と結合した窒素原子による分岐などが挙げられる。
ポリアルキレングリコール基を有する基の数平均分子量が上記範囲にあると、分散液の分散性が良好になる傾向があり、かつ溶融粘度が低く分散液の調製が容易になるため好ましい。
上記一般式(1)のXおよびXが上記の構造を有することにより、界面活性剤を用いることなく、メジアン径d50が10〜30nmの粒子径を有する、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体からなる重合体粒子が安定的に得られる。
上記一般式(1)において、XおよびXの好ましい例としては、それぞれ同一または異なっており、下記一般式(2)または下記一般式(4)で表される基を表す。
Figure 0005859548
(上記一般式(2)中、Eは酸素原子または硫黄原子を表す。Xはポリアルキレングリコール基または下記一般式(3)で表される基を表す。)
Figure 0005859548
(上記一般式(3)中、Rはm+1価の炭化水素基を表す。Gは同一であっても異なっていてもよく、−OX、−NX(X〜Xはポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基を表す。mは、RとGとの結合数であり1〜10の整数を表す。)
上記一般式(3)において、Rで表される基としては、炭素数1〜20のm+1価の炭化水素基である。mは1〜10であり、1〜6が好ましく、1〜2が特に好ましい。
Figure 0005859548
(上記一般式(4)中、XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、ポリアルキレングリコール基または上記一般式(3)で表される基を表す。)
上記一般式(1)の好ましい例としては、上記一般式(1)中、XおよびXのどちらか一方が、上記一般式(4)で表される基であるポリオレフィン系末端分岐型共重合体が挙げられる。さらに好ましい例としては、XおよびXのどちらか一方が上記一般式(4)で表され、他方が上記一般式(2)で表される基であるポリオレフィン系末端分岐型共重合体が挙げられる。
上記一般式(1)の別の好ましい例としては、上記一般式(1)中、XおよびXの一方が、上記一般式(2)で表される基であり、さらに好ましくはXおよびXの両方が上記一般式(2)で表される基であるポリオレフィン系末端分岐型共重合体が挙げられる。
上記一般式(4)で表されるXおよびXのさらに好ましい構造としては、下記一般式(5)で表される基である。
Figure 0005859548
(上記一般式(5)中、XおよびX10は同一であっても異なっていてもよく、ポリアルキレングリコール基を表す。QおよびQは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ2価の炭化水素基を表す。)
上記一般式(5)においてQおよびQで表される2価の炭化水素基は、2価のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜20のアルキレン基であることがより好ましい。炭素数2〜20のアルキレン基は、置換基を有していてもいなくてもよい。置換基としては、例えば、エチレン基、メチルエチレン基、エチルエチレン基、ジメチルエチレン基、フェニルエチレン基、クロロメチルエチレン基、ブロモメチルエチレン基、メトキシメチルエチレン基、アリールオキシメチルエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、シクロヘキシレン基などが挙げられる。好ましいアルキレン基としては、炭化水素系のアルキレン基であり、特に好ましくは、エチレン基、メチルエチレン基であり、さらに好ましくは、エチレン基である。Q,Qは1種類のアルキレン基でもよく2種以上のアルキレン基が混在していてもよい。
上記一般式(2)で表されるXおよびXのさらに好ましい構造としては、下記一般式(6)で表される基である。
Figure 0005859548
(上記一般式(6)中、X11はポリアルキレングリコール基を表す。)
〜X11で表されるポリアルキレングリコール基とは、アルキレンオキシドを付加重合することによって得られる基である。X〜X11で表されるポリアルキレングリコール基を構成するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらの中で、好ましくは、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドである。より好ましくはプロピレンオキシド、およびエチレンオキシドであり、特に好ましくは、エチレンオキシドである。X〜X11で表されるポリアルキレングリコール基としては、これらのアルキレンオキシドの単独重合により得られる基でもよいし、もしくは2種以上の共重合により得られる基でもよい。好ましいポリアルキレングリコール基の例としては、ポリエチレングリコール基、ポリプロピレングリコール基、またはポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの共重合により得られる基であり、特に好ましい基としては、ポリエチレングリコール基である。
上記一般式(1)においてXおよびXが上記構造を有すると、本実施形態におけるポリオレフィン系末端分岐型共重合体を分散質とした際の水および/または水と親和性を有する有機溶媒への分散性が良好となるため好ましい。
本実施形態におけるポリオレフィン系末端分岐型共重合体としては、下記一般式(1a)または(1b)で表される重合体を用いることが好ましい。
Figure 0005859548
上記一般式(1a)中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。アルキル基としては、炭素数1〜9のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。
およびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。l+mは2以上450以下、好ましくは5以上200以下の整数を表す。nは、20以上300以下、好ましくは25以上200以下の整数を表す。
Figure 0005859548
上記一般式(1b)式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。アルキル基としては、炭素数1〜9のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。
およびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。R10およびR11は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。
l+m+oは3以上450以下、好ましくは5以上200以下の整数を表す。
nは、20以上300以下、好ましくは25以上200以下の整数を表す。
上記一般式(1b)で表される重合体としては、下記一般式(1c)で表される重合体を用いることがさらに好ましい。
Figure 0005859548
上記一般式(1c)中、l+m+o、nは上記一般式(1b)と同様である。ポリエチレン鎖のエチレンユニット数(n)は、上記一般式(1)におけるポリオレフィン基Aの数平均分子量(Mn)をエチレンユニットの分子量で割ることにより算出できる。また、ポリエチレングリコール鎖のエチレングリコールユニット総数(l+mもしくはl+m+o)は、ポリエチレングリコール基付加反応時の重合体原料と使用したエチレンオキシドとの重量比が、重合体原料とポリエチレングリコール基の数平均分子量(Mn)との比に同じであると仮定して算出できる。
また、n、l+mもしくはl+m+oはH−NMRによっても測定することができる。例えば本実施形態の実施例で用いたポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T)およびそれを含む分散系粒子においては、上記一般式(1)におけるポリオレフィン基Aの末端メチル基(シフト値:0.88ppm)の積分値を3プロトン分とした際の、ポリオレフィン基Aのメチレン基(シフト値:1.06−1.50ppm)の積分値およびPEGのアルキレン基(シフト値:3.33−3.72ppm)の積分値から算出することができる。
具体的には、メチル基の分子量は15、メチレン基の分子量は14、エチレンオキサイド基の分子量は44であることから、各積分値の値よりポリオレフィン基Aおよびアルキレン基の数平均分子量が計算できる。ここで得られたポリオレフィン基Aの数平均分子量をエチレンユニットの分子量で割ることによりnを、アルキレン基の数平均分子量をエチレングリコールユニットの分子量で割ることで、PEG鎖のエチレングリコールユニット総数(l+mもしくはl+m+o)を算出することができる。
ポリオレフィン基Aがエチレン―プロピレン共重合体よりなる場合は、IR、13C−NMRなどで測定できるプロピレンの含有率と、H−NMRにおける積分値の両者を用いることでnおよびl+mもしくはl+m+oを算出することができる。H−NMRにおいて、内部標準を用いる方法も有効である。
[ポリオレフィン系末端分岐型共重合体の製造方法]
ポリオレフィン系末端分岐型共重合体は、次の方法によって製造することができる。
最初に、目的とするポリオレフィン系末端分岐型共重合体中、上記一般式(1)で示されるAの構造に対応するポリマーとして、下記一般式(7)で示される、片末端に二重結合を有するポリオレフィンを製造する。
Figure 0005859548
(上記一般式(7)中、Aはポリオレフィン鎖を表わし、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基でありかつ少なくとも一方は水素原子を表す。)
このポリオレフィンは、以下の方法によって製造することができる。
(1)特開2000−239312号公報、特開2001−2731号公報、特開2003−73412号公報などに示されているようなサリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物を重合触媒として用いる重合方法。
(2)チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒を用いる重合方法。
(3)バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いる重合方法。
(4)ジルコノセンなどのメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)とからなるチーグラー型触媒を用いる重合方法。
上記(1)〜(4)の方法の中でも、特に(1)の方法によれば、上記ポリオレフィンを収率よく製造することができる。(1)の方法では、上記サリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物の存在下で、前述したポリオレフィンを重合または共重合することで上記片方の末端に二重結合を有するポリオレフィンを製造することができる。
上記(1)の方法によるポリオレフィンの重合は、溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれによっても実施できる。詳細な条件などは既に公知であり上記特許文献を参照することができる。
上記(1)の方法によって得られるポリオレフィンの分子量は、重合系に水素を存在させるか、重合温度を変化させるか、または使用する触媒の種類を変えることによって調節することができる。
つぎに、上記ポリオレフィンをエポキシ化して、すなわち上記ポリオレフィンの末端の二重結合を酸化して、下記一般式(8)で示される末端にエポキシ基を含有する重合体を得る。
Figure 0005859548
(上記一般式(8)中、A、RおよびRは前述の通り。)
かかるエポキシ化方法は特に限定されるものではないが、以下の方法を例示することができる。
(1)過ギ酸、過酢酸、過安息香酸などの過酸による酸化
(2)チタノシリケートおよび過酸化水素による酸化
(3)メチルトリオキソレニウムなどのレニウム酸化物触媒と過酸化水素による酸化
(4)マンガンポルフィリンまたは鉄ポルフィリンなどのポルフィリン錯体触媒と過酸化水素または次亜塩素酸塩による酸化
(5)マンガンSalenなどのSalen錯体と過酸化水素または次亜塩素酸塩による酸化
(6)マンガン−トリアザシクロノナン(TACN)錯体などのTACN錯体と過酸化水素による酸化
(7)タングステン化合物などのVI族遷移金属触媒と相間移動触媒存在下、過酸化水素による酸化
上記(1)〜(7)の方法の中でも、活性面で特に(1)および(7)の方法が好ましい。
また、例えばMw400〜600程度の低分子量の末端エポキシ基含有重合体はVIKOLOXTM(登録商標、Arkema社製)を用いることができる。
上記方法で得られた一般式(8)で表される末端エポキシ基含有重合体に種々の反応試剤を反応させることにより、下記一般式(9)で表されるようなポリマー末端のα、β位に様々な置換基Y、Yが導入された重合体(重合体(I))を得ることが出来る。
Figure 0005859548
(上記一般式(9)中、A、R,Rは前述の通り。Y、Yは同一であっても異なっていてもよく、水酸基、アミノ基、または下記一般式(10a)〜(10c)を表す。)
Figure 0005859548
Figure 0005859548
Figure 0005859548
(上記一般式(10a)〜(10c)中、Eは酸素原子または硫黄原子を表し、Rはm+1価の炭化水素基を表す。Tは同一であっても異なっていてもよく、水酸基、アミノ基を表す。mは1〜10の整数を表す。)
例えば、上記一般式(8)で表される末端エポキシ基含有重合体を加水分解することにより、上記一般式(9)においてY、Yが両方とも水酸基である重合体が得られる。また、上記一般式(8)で表される末端エポキシ基含有重合体をアンモニアと反応させることによりY、Yの一方がアミノ基、他方が水酸基の重合体が得られる。
また、上記一般式(8)で表される末端エポキシ基含有重合体と下記一般式(11a)で示される反応試剤Aとを反応させることにより、上記一般式(9)においてY、Yの一方が上記一般式(10a)に示される基で他方が水酸基の重合体が得られる。
Figure 0005859548
(上記一般式(11a)中、E、R、T、mは前述の通りである。)
また、末端エポキシ基含有重合体と下記一般式(11b)、(11c)で示される反応試剤Bを反応させることにより、上記一般式(9)においてY、Yの一方が上記一般式(10b)または(10c)に示される基で他方が水酸基の重合体が得られる。
Figure 0005859548
Figure 0005859548
(上記一般式(11c)中、R、T、mは前述の通りである。)
上記一般式(11a)で示される反応試剤Aとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ブタントリオール、ジペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼンなどを挙げることができる。
上記一般式(11b)、(11c)で示される反応試剤Bとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノフェノール、ヘキサメチレンイミン、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジエチレントリアミン、N−(アミノエチル)プロパンジアミン、イミノビスプロピルアミン、スペルミジン、スペルミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミンなどを挙げることができる。
エポキシ体とアルコール類、アミン類との付加反応は周知であり、通常の方法により容易に反応が可能である。
上記一般式(1)は上記一般式(9)で示される重合体(I)を原料として、アルキレンオキシドを付加重合することにより製造することができる。アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。これらの中で、好ましくは、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドである。より好ましくはプロピレンオキシド、およびエチレンオキシドである。
触媒、重合条件などについては、公知のアルキレンオキシドの開環重合方法を利用することができ、例えば、大津隆行著,「改訂高分子合成の化学」,株式会社化学同人,1971年1月,p.172−180には、種々の単量体を重合してポリオールを得る例が開示されている。開環重合に用いられる触媒としては、上記文献に開示されたように、カチオン重合向けにAlCl、SbCl、BF、FeClのようなルイス酸、アニオン重合向けにアルカリ金属の水酸化物またはアルコキシド、アミン類、フォスファゼン触媒、配位アニオン重合向けにアルカリ土類金属の酸化物、炭酸塩、アルコキシドあるいは、Al、Zn、Feなどのアルコキシドを用いることができる。ここで、ホスファゼン触媒としては、例えば、特開平10−77289号公報に開示された化合物、具体的には市販のテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)フォスフォラニリデンアミノ]フォスフォニウムクロリドのアニオンをアルカリ金属のアルコキシドを用いてアルコキシアニオンとしたものなどが利用できる。
反応溶媒を使用する場合は、重合体(I)、アルキレンオキシドに対して不活性なものが使用でき、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジオキサンなどのエーテル類、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
触媒の使用量はホスファゼン触媒以外については原料の重合体(I)の1モルに対して、0.05〜5モルが好ましく、より好ましくは0.1〜3モルの範囲である。ホスファゼン触媒の使用量は、重合速度、経済性などの点から、重合体(I)の1モルに対して1×10−4〜5×10−1モルが好ましく、より好ましくは5×10−4〜1×10−1モルである。
反応温度は通常25〜180℃、好ましくは50〜150℃とし、反応時間は使用する触媒の量、反応温度、ポリオレフィン類の反応性などの反応条件により変わるが、通常数分〜50時間である。
上記一般式(1)の数平均分子量は、前述の通り、上記一般式(9)で示される重合体(I)の数平均分子量と、重合させるアルキレンオキシドの重量から計算する方法や、NMRを用いる方法により算出することができる。
[重合体粒子]
このようなポリオレフィン系末端分岐型共重合体からなる本実施形態の重合体粒子は、上記一般式(1)のAで表されるポリオレフィン鎖部分が、内方向に配向した構造を有し、このポリオレフィン鎖部分が結晶性を有するリジットな粒子である。
本実施形態の重合体粒子は、ポリオレフィン鎖部分が結晶性を有するため、分散液の乾燥による粒子の取り出し後も再度溶媒などの液体中に分散することが可能である。本実施形態の重合体粒子は、粒子が含むポリオレフィン鎖部分の融点が好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上のリジッドな粒子である。
ポリオレフィン鎖部分の融点が上記の範囲にあると、結晶性が良好なリジッドな粒子となり、より高温で加熱した場合においても粒子の崩壊が抑制される。
このため、後述する各種用途における製造工程や使用場面において、粒子の崩壊が抑制されるので、本実施形態の重合体粒子が有する特性を失うことがなく、製品の歩留まりや製品の品質がより安定する。
本実施形態の重合体粒子は、溶媒などに分散させたとしても、希釈濃度によらず粒子径が一定である。つまり、再分散性および均一な分散粒子径を有することから、液体中に分散しているミセル粒子とは異なるものである。
[ポリオレフィン系末端分岐型共重合体粒子分散液]
本実施形態の分散液は上記ポリオレフィン系末端分岐型共重合体を分散質に含み、該分散質を水および/または水と親和性を有する有機溶媒に粒子として分散している。
本実施形態において、分散液とは、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体粒子が分散されてなる分散液であり、
(1)ポリオレフィン系末端分岐型共重合体粒子を製造する際に得られた、該重合体粒子を含む分散液、
(2)ポリオレフィン系末端分岐型共重合体粒子を製造する際に得られた該重合体粒子を含む分散液に、さらに他の分散質や添加剤などを分散または溶解してなる分散液、
(3)ポリオレフィン系末端分岐型共重合体粒子を水および/または水と親和性を有する有機溶媒に分散させるとともに、他の分散質や添加剤などを分散または溶解してなる分散液、の何れをも含んでいる。
本実施形態の分散液における上記ポリオレフィン系末端分岐型共重合体の含有割合は、全分散液を100質量%としたときに、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは1〜40質量%、さらに好ましくは1〜20質量%である。
ポリオレフィン系末端分岐型共重合体の含有割合が上記範囲にあると、分散液の実用性が良好であり、かつ粘度を適正に保つことができ、取り扱いが容易になるため好ましい。また、本実施形態の分散液中の粒子のメジアン径d50は好ましくは10nm以上30nm以下である。
本実施形態の分散液中の粒子のメジアン径d50は、上記ポリオレフィン系末端分岐型共重合体のポリオレフィン部分の構造および末端分岐部分の構造を変えることにより調節可能である。
なお、本実施形態の分散液中の粒子のメジアン径d50とは、全体積を100%としたときの累積体積が50%時の粒子の直径をいい、動的光散乱式粒子径分布測定装置やマイクロトラック粒度分布測定装置を使用して測定することができる。
また、その形状は、例えばリンタングステン酸によりネガティブ染色を施した後、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察することができる。
本実施形態における分散液は、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体を水および/または水と親和性を有する有機溶媒に分散化することにより得られる。
本実施形態における分散化は、機械的せん断力によりポリオレフィン系末端分岐型共重合体を水および/または水と親和性を有する有機溶媒に物理的に分散化する方法でおこなうことができる。
分散化方法としては特に限定されるものではないが、各種の分散化方法を利用することができる。具体的に言えば、上記一般式(1)で表されるポリオレフィン系末端分岐型共重合体と水および/または水と親和性を有する有機溶媒とを混合した後、溶融状態にして高圧ホモジナイザー、高圧ホモミキサー、押出混練機、オートクレーブなどで分散化する方法、高圧で噴射粉砕する方法、細孔より噴霧させる方法が挙げられる。
また、上記ポリオレフィン系末端分岐型共重合体を水以外の溶媒に予め溶解した後、水および/または水と親和性を有する有機溶媒とを混合して高圧ホモジナイザー、高圧ホモミキサーなどにより分散化する方法も可能である。この際、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体の溶解に使用する溶媒は、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体が溶解するのであれば特に限定されないが、トルエン、シクロヘキサンや上記の水と親和性を有する有機溶媒などが挙げられる。水以外の有機溶媒が分散液に混入することが好ましくない場合には、蒸留などの操作により除去することが可能である。
さらに具体的には、例えば、せん断力をかけることが可能な撹拌機付きのオートクレーブ中、100℃以上、好ましくは120〜200℃の温度でせん断力をかけながら加熱撹拌することによって分散液を得ることができる。
上記温度範囲にあると、上記ポリオレフィン系末端分岐型共重合体が溶融状態にあるため分散化が容易であり、かつ上記ポリオレフィン系末端分岐型共重合体が加熱により劣化しにくいため好ましい。
分散化に要する時間は、分散化温度やその他の分散化条件によっても異なるが、1〜300分程度である。
上記の撹拌時間では分散化を十分におこなうことができ、かつ上記ポリオレフィン系末端分岐型共重合体が劣化しにくいため好ましい。反応後は、分散液中の温度が100℃以下になるまで、好ましくは60℃以下になるまでせん断力をかけた状態を保つことが好ましい。
本実施形態に用いる分散液の製造において、界面活性剤の添加は不可欠ではないが、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤などを共存させても良い。
アニオン界面活性剤として、例えば、カルボン酸塩、単純アルキル・スルフォネート、変性アルキル・スルフォネート、アルキル・アリル・スルフォネート、アルキル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸エステル、硫酸化脂肪酸モノグリセライド、硫酸化アルカノール・アミド、硫酸化エーテル、アルキル燐酸エステル塩、アルキル・ベンゼン・フォスフォン酸塩、ナフタレンスルホン酸・ホルマリン縮合物などが挙げられる。
カチオン界面活性剤として、例えば、単純アミン塩、変性アミン塩、テトラアルキル第4級アンモニウム塩、変性トリアルキル第4級アンモニウム塩、トリアルキル・ベンジル第4級アンモニウム塩、変性トリアルキル・ベンジル第4級アンモニウム塩、アルキル・ピリジニウム塩、変性アルキル・ピリジニウム塩、アルキル・キノリニウム塩、アルキル・フォスフォニウム塩、アルキル・スルフォニウム塩などが挙げられる。
両性界面活性剤として、例えば、ベタイン、スルフォベタイン、サルフェートベタインなどが挙げられる。
ノニオン界面活性剤として、例えば、脂肪酸モノグリセリン・エステル、脂肪酸ポリグリコール・エステル、脂肪酸ソルビタン・エステル、脂肪酸蔗糖エステル、脂肪酸アルカノール・アミド、脂肪酸ポリエチレン・グリコール縮合物、脂肪酸アミド・ポリエチレン・グリコール縮合物、脂肪酸アルコール・ポリエチレン・グリコール縮合物、脂肪酸アミン・ポリエチレン・グリコール縮合物、脂肪酸メルカプタン・ポリエチレン・グリコール縮合物、アルキル・フェノール・ポリエチレン・グリコール縮合物、ポリプロピレン・グリコール・ポリエチレン・グリコール縮合物などが挙げられる。
これら界面活性剤は、単独または2種以上を併用することができる。
本実施形態に用いる分散液の製造にあたっては、異物などを除去する目的で、工程中に濾過工程を設けてもよい。このような場合には、例えば、300メッシュ程度のステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)を設置し、加圧濾過(空気圧0.2MPa)をおこなえばよい。
上記の方法で得られる分散液は、各種の酸や塩基、例えば塩酸、硫酸、リン酸などの酸や、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなどの塩基を添加することによりpHを1から13まで変化させても、凝集、沈殿を起こさない。また、この分散液を常圧下で加熱還流もしくは凍結解凍を繰り返すような、幅広い温度範囲においても凝集、沈殿を起こさない。
上記方法における水については特に制限されず、蒸留水、イオン交換水、市水、工業用水などを使用可能であるが、蒸留水やイオン交換水を使用することが好ましい。
また、上記方法における水と親和性を有する有機溶媒は、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体粒子、界面活性剤などの分散質が分散可能なものであれば特に限定されない。例えばエチレングリコール、テトラエチレングリコール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。分散液中への有機溶媒の混入が好ましくない場合には、該分散質を含有した分散液を調製した後、蒸留などにより、上記有機溶媒を除去することが可能である。
本実施形態における分散液は、上記ポリオレフィン系末端分岐型共重合体を100質量部としたときに、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体以外の分散質を好ましくは0.001質量部〜20質量部、より好ましくは0.01質量部〜10質量部、さらに好ましくは0.1質量部〜5質量部含有することができる。
上記分散質の含有量が上記範囲にあると、分散液の物性が実用面で良好であり、かつ分散液が凝集、沈殿を生じにくいため好ましい。
メジアン径d50が30nmを超え400nm以下の水分散性樹脂微粒子が分散した有機無機複合体は、例えば水系媒体に分散したポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体粒子を用いることにより安定的に製造することが出来る。つぎに、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体粒子について説明する。
[ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体粒子水分散液]
ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体はアクリル酸エステルおよび/またはメタアクリル酸エステル由来の繰り返し単位を有する単独重合体または共重合体である。ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体粒子の水分散液は一般的にアクリルエマルジョンと呼ばれ、公知の乳化重合法により得ることができる。例えば、不飽和単量体(不飽和ビニルモノマーなど)を重合開始剤、および界面活性剤を存在させた水中において乳化重合することによって得ることができる。
アクリル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレートなどが挙げられる。
メタアクリル酸エステルの具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
本実施形態のポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル以外の不飽和単量体が共重合されていてもよい。
併用できる不飽和単量体としては、酢酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニルなどのハロゲン化単量体類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル単量体類;エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;ブタジエン、クロロプレンなどのジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドンなどのビニル単量体類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N'−ジメチルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどの水酸基含有単量体類などが挙げられ、これらを単独または二種以上混合して使用することができる。
また、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体も使用することができる。重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体の例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2'−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパンなどのジアクリレート化合物、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレートなどのトリアクリレート化合物、ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどのテトラアクリレート化合物、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどのヘキサアクリレート化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパンなどのジメタクリレート化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレートなどのトリメタクリレート化合物、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼンなどが挙げられ、これらを単独または二種以上混合して使用することができる。
また、乳化重合の際に使用される重合開始剤および界面活性剤の他に、連鎖移動剤、さらには中和剤なども常法に準じて使用してよい。特に中和剤としては、アンモニア、無機アルカリの水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどが好ましい。ポリ(メタ)アクリル酸系重合体粒子の粒径は水中での分散安定性の観点から、そのメジアン径d50が30nmを超え400nm以下が好ましく、40nm以上250nm以下がより好ましく、特に50nm以上200nm以下であることが好ましい。
本実施形態のポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体のTg(ガラス転移点)は、モノマーの選択により設計することが可能であるが、特に限定されない。
また、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体粒子としては、単相構造および複相構造(コアシェル型)のいずれも使用できる。
なお、「アクリルエマルジョン」というときは、ディスパージョン、ラテックス、サスペンジョンと呼ばれる固/液の分散体をも包含したものを意味するものとする。アクリルエマルジョンは、例えば、次のようにして製造される。
〔アクリルエマルジョンの製造方法例〕
滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサーおよび攪拌機を備えた反応容器に、蒸留水を仕込み、窒素ガスで置換した後、窒素雰囲気下にて80℃に昇温する。次いで重合開始剤を添加してから、予め調製したビニル単量体乳化物を3時間かけて連続的に添加し、更に4時間保持して重合を完結させ、重合反応物を得る。該重合反応物はそのまま用いても良いし、中和剤で中和してpHを調整しても良い。その後フィルターでろ過し粗大粒子を除去して、樹脂粒子を分散質とするアクリルエマルションを得る。
重合開始剤としては、通常のラジカル重合に用いられるものと同様のものが用いられる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロキシパーオキシド、パラメンタンヒドロキシパーオキシドなどが挙げられる。特に、前述の如く、重合反応を水中でおこなう場合には、水溶性の重合開始剤が好ましい。また、重合反応で用いられる乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムの他、一般にアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤または両性界面活性剤として用いられているものなどが挙げられる。
また、重合反応で用いられる連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、キサントゲン類であるジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソブチルキサントゲンジスルフィド、ジペンテン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン、ジヒドロフラン、キサンテンなどが挙げられる。アクリルエマルジョンは、溶剤として、水以外に、有機溶剤を併用することもできる。このような有機溶剤としては、水と相溶性を有するものが好ましく、例えば、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類、2−ピロリドン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホランなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して用いることができる。
スプレードライする工程
つぎに、上記調製工程で得られた上記原料液をスプレードライする工程について説明する。
原料液は、瞬間的に乾燥させることで、水分散樹脂微粒子と、リチウム化合物や周期律表第7族および8族から選ばれる金属を含む金属化合物、リン酸化合物を含む無機化合物とが分離せず、均一なコンポジットを構成した前駆体を調製することが可能である。
具体的には、原料液中の水分を好ましくは5秒以内、より好ましくは3秒以内、とくに好ましくは1秒以内に乾燥させ、乾燥後の残存水分量が10質量%以下に調製する。こうすることにより、均一な有機−無機コンポジットを構成した前駆体を調製することができる。
このような均一な有機−無機コンポジットを構成させることができる手段として、本実施形態ではスプレードライ法(噴霧乾燥)を用いる。瞬間的に乾燥させて得られた粉体には、数%の水分が含まれていることが多いので、さらに、オーブンなどで乾燥させてから、次の焼成工程に移っても良い。
焼成工程
つぎに、上記スプレードライする工程で得られた粉体を焼成する焼成工程について説明する。
乾燥工程で得られた前駆体を、酸素濃度200ppm未満の不活性雰囲気中にて、焼成する。不活性雰囲気としては、窒素(N)雰囲気、アルゴン(Ar)雰囲気、ヘリウム(He)雰囲気などが好ましい。酸素濃度が200ppm未満では、例えばFe(III)を含む不純物が生成しにくく、結晶欠陥が生じにくいので、電池として評価した時の充放電容量が低下しないため好ましい。
この焼成温度としては、500℃以上1000℃以下が好ましく、より好ましくは、600℃から800℃である。焼成温度が1000℃以下であると、多孔質正極材料が粒成長して粗大化することなく、また、焼結が進行しすぎないので粉体状の化合物が得られやすい。一方、焼成温度が500℃以上であると、Fe(III)などの不純物が残存しにくい。
この焼成時間としては、目的の焼成温度に達してから30分以上24時間未満の時間保持するのが好ましい。焼成時間が30分以上では、試料の内部まで加熱でき温度むらが発生しにくく、アニールが十分になる。一方、生産性の観点から、焼成時間は24時間未満が好ましい。
焼成炉については、酸素濃度200ppm未満の不活性雰囲気に保てれば、特に限定されない。例えば、管状炉、バッチ炉、プッシャーキルン、ローラーハースキルン、ロータリーキルンなどが挙げられる。いずれの焼成炉においても、雰囲気制御し、酸素濃度を低減できる機能を付与しているものが好ましい。
上記調製工程で得られた上記原料液をスプレードライする工程は、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥と焼成とを同時におこなってもよい。この場合、噴霧方法および焼成条件は、上記スプレードライ法および上記焼成工程に準じた方法でおこなうことができる。噴霧乾燥と焼成を同時におこなう(噴霧焼成とも呼ぶ。)ことにより、製造工程数を減らすことができる。
本実施形態における多孔質正極材料の炭素含有量は、1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。上記炭素含有量は、1質量%以上では導電性が十分で電池容量が低下しないので好ましい。20質量%以下では、炭素被膜が厚くなりすぎずリチウムイオンの導電性を低下させない。また、炭素は電池容量に寄与しないので重量当たりの電池容量を高く保つためにも20質量%以下が好ましい。多孔質正極材料の炭素含有量は、CHN元素分析装置にて測定することが可能である。
多孔質材料の細孔特性は窒素吸着によって求めることができる。粒子の窒素吸脱着測定から、比表面積をBET(Brunauer−Emmett−Teller)法で、全細孔容積をBJH(Barrett−Joyner−Halenda)法により算出することが出来る。さらに空孔率は全細孔容積から算出することが出来る。空孔率は特に制限されるものではないが、10〜80%が好ましく、20〜70%がより好ましい。
(リチウムイオン二次電池)
つぎに、本実施形態により得られた正極材料を用いたリチウムイオン電池について説明する。
本実施形態のリチウムイオン電池は、一般的に公知の方法で作製することができる。例えば、正極および負極をセパレーター中心に重ねたものを、円筒型、コイン型、角型、フィルム型その他任意の形状に形成し非水電解液を封入することにより作製される。
正極はバインダーと本実施形態の正極材料からなり、負極はバインダーと負極活物質からなる。また、カーボンブラック、アモルファスウィスカーカーボン、グラファイトなどの炭素材料を導電助剤としてそれぞれの電極に添加してもよい。
負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金、リチウムイオンをドーブ・脱ドーブすることが可能な炭素材料、リチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な酸化スズ、酸化ニオブ、酸化バナジウム、リチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な酸化チタン、またはリチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能なシリコン、リチウムイオンをドープ・脱ドープする事が可能な遷移金属窒素化物のいずれをも用いることができる。これらの中でもリチウムイオンをドーブ・脱ドーブすることが可能な炭素材料が好ましい。このような炭素材料は、グラファイトであっても非晶質炭素であってもよく、活性炭、炭素繊維、カーボンブラック、メソカーボンマイクロビーズ、天然黒鉛などが用いられる。
正極と負極を電気的に絶縁するために用いられるセパレーターは、リチウムイオンを透過する膜であって、例えば多孔性膜や高分子電解質が用いられる。多孔性膜としては微多孔性高分子フィルムが好適に使用され、材質としてポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル等が例示される。特に、多孔性ポリオレフィンフィルムが好ましく、具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム、または多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンとの多層フィルムを例示することができる。多孔性ポリオレフィンフィルム上には、熱安定性に優れる他の樹脂がコーティングされていても良い。
非水系電解液としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、CFSOLi、( CFSON/Li等の電解質を、単独でまたは2種以上組み合わせて有機溶媒に溶解したものを使用することができる。非水系電解液における有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、1,2− ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン等が挙げられ、いずれかが単独でまたは2種以上を混合して使用される。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例などに限定されるものではない。
<非水溶性有機ポリマー粒子−1>
<ポリオレフィン系末端分岐型共重合体の合成>
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)はGPCを用い、上述した方法で測定した。また、融点(Tm)はDSCを用い、測定して得られたピークトップ温度を採用した。なお、測定条件によりポリアルキレングリコール部分の融点も確認されるが、ここでは特に断りのない場合ポリオレフィン部分の融点のことを指す。
H−NMRについては、測定サンプル管中で重合体を、ロック溶媒と溶媒を兼ねた重水素化−1,1,2,2−テトラクロロエタンに完全に溶解させた後、120℃において測定した。ケミカルシフトは、重水素化−1,1,2,2−テトラクロロエタンのピークを5.92ppmとして、他のピークのケミカルシフト値を決定した。
分散液中の粒子の粒子径はマイクロトラックUPA(HONEYWELL社製)にて、体積50%平均粒子径を測定した。分散液中の粒子の形状観察は、試料を200倍から500倍に希釈し、リンタングステン酸によりネガティブ染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM/日立製作所社製H−7650)で100kVの条件にておこなった。
(ポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T)の合成)
以下の手順(例えば、特開2006−131870号公報の合成例2参照)に従って、末端エポキシ基含有エチレン重合体(E)を合成した。
充分に窒素置換した内容積2000mlのステンレス製オートクレーブに、室温でヘプタン1000mlを装入し、150℃に昇温した。つづいて、オートクレーブ内をエチレンで30kg/cmG加圧し、温度を維持した。MMAO(東ソーファインケム社製)のヘキサン溶液(アルミニウム原子換算1.00mmol/ml)0.5ml(0.5mmol)を圧入し、次いで下記式の化合物のトルエン溶液(0.0002mmol/ml)0.5ml(0.0001mmol)を圧入し、重合を開始した。エチレンガス雰囲気下、150℃で30分間重合をおこなった後、少量のメタノールを圧入することにより重合を停止した。得られたポリマー溶液を、少量の塩酸を含む3リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、片末端二重結合含有エチレン系重合体(P)を得た。
Figure 0005859548
500mlセパラブルフラスコに上記片末端二重結合含有エチレン系重合体(P)100g(Mn850として,ビニル基108mmol)、トルエン300g、NaWO0.85g(2.6mmol)、CH(nC17NHSO0.60g(1.3mmol)、およびリン酸0.11g(1.3mmol)を仕込み、撹拌しながら30分間加熱還流し、重合物を完全に溶融させた。内温を90℃にした後、30%過酸化水素水37g(326mmol)を3時間かけて滴下した後、内温90〜92℃で3時間撹拌した。その後、90℃に保ったまま25%チオ硫酸ナトリウム水溶液34.4g(54.4mmol)を添加して30分撹拌し、過酸化物試験紙で反応系内の過酸化物が完全に分解されたことを確認した。次いで、内温90℃でジオキサン200gを加え、生成物を晶析させ、固体をろ取しジオキサンで洗浄した。得られた固体を室温下、50%メタノール水溶液中で撹拌、固体をろ取しメタノールで洗浄した。さらに、当該固体をメタノール400g中で撹拌して、ろ取しメタノールで洗浄した。室温、1〜2hPaの減圧下乾燥させることにより、末端エポキシ基含有エチレン重合体(E)の白色固体96.3gを得た(収率99%,ポリオレフィン転化率100%)。
得られた末端エポキシ基含有エチレン重合体(E)は、Mw=2058、Mn=1118、Mw/Mn=1.84(GPC)であった。(末端エポキシ基含有率:90mol%)
1H-NMR : δ(C2D2Cl4) 0.88(t, 3H, J = 6.92 Hz), 1.18 - 1.66 (m), 2.38 (dd,1H, J = 2.64, 5.28 Hz), 2.66 (dd, 1H, J = 4.29, 5.28 Hz), 2.80-2.87 (m, 1H)
融点(Tm):121℃
1000mLフラスコに、末端エポキシ基含有エチレン重合体(E)84質量部、ジエタノールアミン39.4質量部、トルエン150質量部 を仕込み、150℃にて4時間撹拌した。その後、冷却しながらアセトンを加え、反応生成物を析出させ、固体を濾取した。得られた固体をアセトン水溶液で1回、さらにアセトンで3回撹拌洗浄した後、固体を濾取した。その後、室温にて減圧下乾燥させることにより、重合体(I)(Mn=1223、一般式(9)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mn=1075)、R=R=水素原子、Y、Yの一方が水酸基、他方がビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ基)を得た。
1H-NMR : δ(C2D2Cl4) 0.88 (t, 3H, J = 6.6 Hz), 0.95-1.92 (m), 2.38-2.85 (m, 6H), 3.54-3.71 (m, 5H)
融点(Tm):121℃
窒素導入管、温度計、冷却管、撹拌装置を備えた500mLフラスコに、重合体(I)20.0質量部、トルエン100質量部を仕込み、撹拌しながら125℃のオイルバスで加熱し、固体を完全に溶解した。90℃まで冷却後、予め5.0質量部の水に溶解した0.323質量部の85%KOHをフラスコに加え、還流条件で2時間混合した。その後、フラスコ内温度を120℃まで徐々に上げながら、水およびトルエンを留去した。さらに、フラスコ内にわずかな窒素を供給しながらフラスコ内を減圧とし、さらに内温を150℃まで昇温後、4時間保ち、フラスコ内の水およびトルエンをさらに留去した。室温まで冷却後、フラスコ内で凝固した固体を砕き、取り出した。
加熱装置、撹拌装置、温度計、圧力計、安全弁を備えたステンレス製1.5L加圧反応器に、得られた固体のうち18.0質量部および脱水トルエン200質量部を仕込み、気相を窒素に置換した後、撹拌しながら130℃まで昇温した。30分後、エチレンオキシド9.0質量部を加え、さらに5時間、130℃で保った後、室温まで冷却し、反応物を得た。得られた反応物より溶媒を乾燥して除き、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T)(Mn=1835、上記一般式(1)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mn=1075)、R=R=水素原子、X、Xの一方が上記一般式(6)で示される基(X11=ポリエチレングリコール基)、他方が上記一般式(5)で示される基(Q=Q=エチレン基、X=X10=ポリエチレングリコール基))を得た。
1H-NMR : δ(C2D2Cl4) 0.88(3H, t, J= 6.8 Hz), 1.06 - 1.50 (m), 2.80 - 3.20 (m)
, 3.33 - 3.72 (m)
融点(Tm):−16℃(ポリアルキレングリコール部分の融点)、
融点(Tm):116℃(ポリオレフィン部分の融点)
<ポリオレフィン系末端分岐型共重合体水性分散体の調製例>
(10質量%ポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T)水性分散液の調製)
上記合成例で得られたポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T)10質量部と蒸留水40質量部を100mlのオートクレーブに装入し、140℃、800rpmの速度で30分間加熱撹拌の後、撹拌を保ったまま室温まで冷却した。得られた分散系のメジアン径d50(体積50%平均粒子径)は18nmであった。(体積10%平均粒子径14nm、体積90%平均粒子径22nm)得られた分散系の透過型電子顕微鏡観察結果から測定した粒子径は15〜30nmであった。さらに、この(T)水性分散液(固形分20質量%)75質量部に対して蒸留水75質量部を加えることで10質量%ポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T)水性分散液を得た。
(実施例1)
硝酸鉄(III)九水和物、酢酸リチウム、リン酸をそれぞれ0.09mol秤量し、174mLの水に溶かした。そこにアクリルエマルジョン(固形分:46wt%、メジアン径d50:160.0nm、Tg:80.4℃)を30.9g添加し、鉄、リチウム、リンの濃度がそれぞれ0.5Mの原料液を作成した。アクリルエマルジョンの樹脂成分のガラス転移点(Tg)は、アクリルエマルジョンを乾燥機にて乾燥させ樹脂成分を取り出した後、この樹脂成分を「示差走査熱量測定装置 RDS2200 (エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)」を用いて、50℃/分で昇温し熱履歴を取り除いた後、10℃/分で降温し、再度10℃/分で昇温したときに観測される吸熱変異点の接線の交点から求めた。アクリルエマルジョンを添加しても凝集は起きず、「マイクロトラックUPA-EX150(日機装社製)」にて粒径を測定したところ、粒子のメジアン径d50は161.5nmであり、添加前の粒径と変化無いことを確認した。なお、正極活物質の原料である硝酸鉄(III)九水和物、酢酸リチウム、リン酸はすべて溶解しているため、上記(I)のメジアン径d50はゼロである。
つづいて、この原料液を、日本ビュッヒ社製ミニスプレードライヤーB−290を用いて、スプレードライ法により乾燥した。乾燥条件は、原料液供給量:約6mL/分、噴霧窒素温度:220℃、噴霧窒素流量:約7L/分、アスピレーター流量:580L/分、に設定しておこなった。得られた粉体を100℃の減圧オーブンで6時間乾燥させた後の重量減少は、2.2質量%であったので、残存水分量は2.2質量%であることを確認した。ここで、スプレーシリンダー容量は、約10Lであるので、アスピレーター流量から計算すると、約1秒で、スプレーされた気体はスプレーシリンダーを通過することになるが、前駆体はスプレーシリンダーを通過する前に水分を奪われ粉末化している。つまり、乾燥開始から1秒以内に、残存水分量2質量%に乾燥した粉体を得た。得られた粉体を、置換炉に入れ、減圧置換を3回おこないアルゴンに置換した後、アルゴン気流下で、10℃/分で昇温し、700℃、8時間焼成した。焼成時の酸素濃度は、「ジルコニアセンサー式酸素濃度計 LC−750L 東レエンジニアリング社製」を用いて測定したところ、30ppmであった。
得られた黒色粉体を、「走査型顕微鏡JSM−6701F(日本電子社製)」にて観察したところ、アクリルエマルジョン粒子の粒径に相当する空隙を有する網目構造ができていることを確認した(図1)。
得られた黒色粉体を、乳鉢で解砕した後、XRDを測定し、オリビン型結晶構造であることを確認した。炭素含有量は、パーキンエルマー社製 CHN元素分析装置 2400II型を用いて測定し、9.8質量%であった。比表面積は、カンタクローム社製オートサーブ3を用いて、窒素ガス吸着法により測定し、26.9m/gであった。
つぎに、充放電特性を、作用電極、参照電極、対極、非水電解液からなる3極式セルを用いて測定した。作用電極は、各試料と、アセチレンブラックからなる導電剤と、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)からなる結着剤とを5:2:1の割合で混合し、ニッケルメッシュに圧着して作製した。参照電極および対極は、ニッケルメッシュに金属リチウムを圧着して作製した。非水電解液としては、プロピレンカーボネート(PC)と1,2−ジメトキシエタン(DME)との混合溶媒(1:1V/V)に1mol/L 分の電解質LiClOを溶解したものを用いた。
そして、この3極式セルにおいて、2.5〜4.0V(vs.Li/Li)の電位範囲で所望の定電流密度[mA/g]にて充放電測定をした。
LiFePOの理論容量は、170mAh/gであるので、4.7μA/gの定電流で充放電した時の容量、つまり、0.1Cでの容量は156.3mAh/gであった。また、47μA/gの定電流で充放電した時の容量、つまり、1Cでの容量は141.0mAh/gであった。また、470μA/gの定電流で充放電した時の容量、つまり、10Cでの容量は78.3mAh/gであった。
(実施例2)
実施例1の硝酸鉄(III)九水和物に替えて、塩酸鉄(II)を用いた以外は、実施例1と同様にして実験した。アクリルエマルジョンを添加しても凝集は起きず、良好な分散状態を保った。焼成時の酸素濃度は、30ppmであった。
焼成後、XRDを測定したところ、オリビン型結晶構造であることを確認した。炭素含有量は、9.7質量%であった。比表面積は、32.6m/gであった。
電池特性評価では、0.1Cでの容量は145.1mAh/gであり、1Cでの容量は129.4mAh/gであり、10Cでの容量は89.9mAh/gであった。
(実施例3)
実施例1のアクリルエマルジョンに換えて、上記合成例で得られたポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T)水性分散液(固形分:10wt%、粒径:18nm、融点:116℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして実験した。ポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T)水性分散液を添加しても凝集は起きず、「マイクロトラックUPA-EX150(日機装株式会社製)」にて粒径を測定したところ、21.5nmであり、添加前の粒径と大きな変化が無いことを確認した。焼成時の酸素濃度は、30ppmであった。得られた黒色粉体を、「走査型電子顕微鏡JSM−6701F(日本電子株式会社製)」にて観察したところ、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T)の粒径に相当する空隙を有する網目構造ができていることを確認した(図2)。
焼成後、XRDを測定したところ、オリビン型結晶構造であることを確認した。炭素含有量は、4.0質量%であった。比表面積は、15.1m/gであった。
電池特性評価では、0.1Cでの容量は138.9mAh/gであり、1Cでの容量は110.8mAh/gであり、10Cでの容量は53.5mAh/gであった。
(実施例4)
実施例3の硝酸鉄(III)九水和物に替えて、塩酸鉄(II)を用いた以外は、実施例3と同様にして実験した。ポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T)水性分散液を添加しても凝集は起き無いことを確認した。焼成時の酸素濃度は、30ppmであった。
焼成後、XRDを測定したところ、オリビン型結晶構造であることを確認した。炭素含有量は、8.6質量%であった。比表面積は、26.5m/gであった。
電池特性評価では、0.1Cでの容量は153.0mAh/gであり、1Cでの容量は135.9mAh/gであり、10Cでの容量は80.6mAh/gであった。
(実施例5)
実施例1の原料液の鉄、リチウム、リンの濃度をそれぞれ2.0Mに変更した以外は、実施例1と同様にして実験した。アクリルエマルジョンを添加しても凝集は起きず、良好な分散状態を保った。焼成時の酸素濃度は、30ppmであった。
焼成後、XRDを測定したところ、オリビン型結晶構造であることを確認した。炭素含有量は、8.0質量%であった。比表面積は、18.6m/gであった。
電池特性評価では、0.1Cでの容量は153.0mAh/gであり、1Cでの容量は140.8mAh/gであり、10Cでの容量は79.0mAh/gであった。
(実施例6)
実施例3で実施した焼成を、置換炉の替わりに、管状炉を用い減圧置換せずにアルゴン気流下で、2℃/分の昇温速度で700℃,16時間保持の条件で焼成させたこと以外は、実施例3と同様に実験した。焼成時の酸素濃度は、100ppmであった。
ポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T)水性分散液を添加しても凝集は起き無いことを確認した。焼成後、XRDを測定したところ、オリビン型結晶構造であることを確認した。炭素含有量は、6.8質量%であった。比表面積は、24.7m/gであった。
電池特性評価では、0.1Cでの容量は147.0mAh/gであり、1Cでの容量は123.0mAh/gであり、10Cでの容量は80.0mAh/gであった。
(実施例7)
ポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T)水性分散液に替えて、アクリルエマルジョン(固形分:46wt%、メジアン径d50:140.0nm、Tg:−1.2℃)を用いた以外は、実施例6と同様にして実験した。焼成時の酸素濃度は、100ppmであった。
アクリルエマルジョンを添加しても凝集していないことを確認した。スプレードライ法により乾燥した後、粒子表面をSEMにて観察したところ、アクリルエマルジョンが、合一せずにマトリックス化していることを確認した(図3)。焼成後、XRDを測定したところ、オリビン型結晶構造であることを確認した。炭素含有量は、6.9質量%であった。比表面積は、25.3m/gであった。
電池特性評価では、0.1Cでの容量は146.0mAh/gであり、1Cでの容量は131.0mAh/gであり、10Cでの容量は102.0mAh/gであった。
(実施例8)
実施例1と同様にして原料液をスプレードライにより乾燥して得られた粉体を、100℃に調整した減圧乾燥器に入れ残存水分を取り除く工程を加え、さらにこの乾燥粉体を置換炉に入れ、減圧置換を3回おこないアルゴンに置換した後、アルゴン気流下で、2.5℃/分で昇温し、700℃、16時間焼成したこと以外は、実施例1と同様に実験した。焼成時の酸素濃度は、30ppmであった。焼成後、XRDを測定したところ、オリビン型結晶構造であることを確認した。炭素含有量は、9.8質量%であった。比表面積は、53.1m/gであった。
電池特性評価では、0.1Cでの容量は158.0mAh/gであり、1Cでの容量は146.0mAh/gであり、10Cでの容量118.0mAh/gであった。
(比較例1)
実施例6の乾燥方法を、スプレードライ法の替わりに、原料液をシャーレに入れ送風乾燥器を用いて乾燥させた以外は、実施例6と同様に実験した。焼成時の酸素濃度は、100ppmであった。
焼成後、XRDを測定したところ、オリビン型結晶構造であることを確認した。炭素含有量は、6.8質量%であった。比表面積は、26.5m/gであった。
電池特性評価では、0.1Cでの容量は92.0mAh/gであり、1Cでの容量は85.0mAh/gであり、10Cでの容量は低く測定できなかった。
(比較例2)
比較例1の原料液に、スクロース(和光純薬製)を0.045mol添加したこと以外は、比較例1と同様に実験した。焼成時の酸素濃度は、100ppmであった。
焼成後、XRDを測定したところ、オリビン型結晶構造であることを確認した。炭素含有量は、19.1質量%であった。比表面積は、125.4m/gであった。
電池特性評価では、0.1Cでの容量は39.0mAh/gであり、1Cでの容量は28.0mAh/gであり、10Cでの容量は低く測定できなかった。
(比較例3)
実施例1のアクリルエマルジョンに換えて、スクロースを0.029mol用いた以外は、実施例1と同様にして実験した。焼成時の酸素濃度は、100ppmであった。
焼成後、XRDを測定したところ、オリビン型結晶構造であることを確認した。炭素含有量は、7.3質量%であった。比表面積は、43.0m/gであった。走査型電子顕微鏡にて観察してみたところ、断面は多孔質になっているようであるが、表面は凹凸が少なく平滑であることが分かった(図4)。
電池特性評価では、0.1Cでの容量は79.8mAh/gであり、1Cでの容量は29.5mAh/gであり、10Cでの容量は低く測定できなかった。
(比較例4)
比較例1のポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T)水性分散液に替えて、アクリルエマルジョン(固形分:46wt%、メジアン径d50:140.0nm、Tg:−1.2℃)を用いた以外は、比較例1と同様にして実験した。焼成時の酸素濃度は、100ppmであった。
アクリルエマルジョンを添加しても凝集は起きず、「マイクロトラックUPA-EX150(日機装社製)」にて粒径を測定したところ、粒子のメジアン径d50は150.5nmであり、分散状態を保っていることを確認した。
焼成後、XRDを測定したところ、オリビン型結晶構造であることを確認した。炭素含有量は、8.2質量%であった。比表面積は、11.1m/gであった。走査型電子顕微鏡にて観察してみたところ、(メタ)アクリル酸エステル系重合体粒子由来の多孔質構造を確認することはできなかった。時間を掛けて乾燥したので、アクリルエマルジョン粒子が溶融し、鋳型としての機能を発揮することができなかったためであると考えられる。
電池特性評価では、0.1Cでの容量は88.5mAh/gであり、1Cでの容量は32.6mAh/gであり、10Cでの容量は低く測定できなかった。
本発明は以下の態様も取り得る。
[1]
(1)リチウム化合物、
(2)周期律表第7族および8族から選ばれる金属を含む金属化合物、
(3)リン酸化合物、
(4)レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置による体積基準粒度分布におけるメジアン径d50が10〜400nmである水分散性樹脂微粒子、
および水系媒体を含有し、上記水系媒体に上記(1)、上記(2)および上記(3)が溶解し、上記(4)が分散している原料液を調製する調製工程と、
上記調製工程で得られた上記原料液をスプレードライ法により乾燥して前駆体を得る乾燥工程と、
上記乾燥工程で得られた上記前駆体を焼成する焼成工程と、
を含む、リチウムイオン電池用の多孔質正極材料の製造方法。
[2]
上記[1]に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
上記金属化合物が、鉄化合物またはマンガン化合物である、多孔質正極材料の製造方法。
[3]
上記[1]または[2]に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
上記水分散性樹脂微粒子のメジアン径d50の上記調製工程前後の変化率が50%以下である、多孔質正極材料の製造方法。
[4]
上記[1]乃至[3]いずれかに記載の多孔質正極材料の製造方法において、
上記水分散性樹脂微粒子は、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量が2.5×10以下であり、
下記一般式(1)で表される末端分岐型ポリオレフィン系共重合体粒子である、多孔質正極材料の製造方法。
Figure 0005859548
(上記一般式(1)中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、直鎖状または分岐状のポリアルキレングリコール基を有する基を表す。)
[5]
上記[4]に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
上記一般式(1)で表される上記末端分岐型ポリオレフィン系共重合体粒子において、上記Xおよび上記Xは同一または異なっており、下記一般式(2)または下記一般式(4)で表される基を表す、多孔質正極材料の製造方法。
Figure 0005859548
(上記一般式(2)中、Eは酸素原子または硫黄原子を表す。Xはポリアルキレングリコール基または下記一般式(3)で表される基を表す。)
Figure 0005859548
(上記一般式(3)中、Rはm+1価の炭化水素基を表す。Gは同一であっても異なっていてもよく、−OX、−NX(X〜Xはポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基を表す。mは、RとGとの結合数であり1〜10の整数を表す。)
Figure 0005859548
(上記一般式(4)中、XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、ポリアルキレングリコール基または上記一般式(3)で表される基を表す。)
[6]
上記[4]または[5]に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
上記末端分岐型ポリオレフィン系共重合体粒子が下記一般式(1a)または下記一般式(1b)で表される、多孔質正極材料の製造方法。
Figure 0005859548
(上記一般式(1a)中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。l+mは2以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)
Figure 0005859548
(上記一般式(1b)中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。R10およびR11は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。l+m+oは3以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)
[7]
上記[1]乃至[3]いずれかに記載の多孔質正極材料の製造方法において、
上記水分散性樹脂微粒子が(メタ)アクリル酸エステル系重合体粒子である、多孔質正極材料の製造方法。
[8]
上記[1]乃至[7]いずれかに記載の多孔質正極材料の製造方法において、
当該多孔質正極材料の炭素含有量が1〜20質量%である、多孔質正極材料の製造方法。
[9]
上記[1]乃至[8]いずれかに記載の多孔質正極材料の製造方法において、
当該多孔質正極材料がLiFePOを含む、多孔質正極材料の製造方法。
[10]
上記[1]乃至[9]いずれかに記載の多孔質正極材料の製造方法で得られた多孔質正極材料を用いた、リチウムイオン電池。
この出願は、2011年8月18日に出願された日本出願特願2011−178702号および2012年2月16日に出願された日本出願特願2012−031996号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (11)

  1. (I)リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質、その製造中間体及びその原料から選ばれる1種以上の物質であって、メジアン径d50が下記(II)のメジアン径d50の1.0倍以下である物質、
    (II)メジアン径d50が10〜400nmである水分散性樹脂微粒子、
    および水系媒体を含有する原料液を調製する調製工程と、
    前記調製工程で得られた前記原料液をスプレードライする工程と、
    を含む、リチウムイオン電池用の多孔質正極材料の製造方法であって、
    前記正極活物質がリチウム金属リン酸塩である多孔質正極材料の製造方法。
    (ここで、メジアン径d50とは、前記原料液を調整する前にレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定した体積基準粒度分布におけるメジアン径d50を意味する。)
  2. 請求項1に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
    前記正極活物質の前記原料が(1)リチウム化合物、(2)周期律表第7族および8族から選ばれる金属を含む金属化合物および(3)リン酸化合物を含む、多孔質正極材料の製造方法。
  3. 請求項2に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
    前記金属化合物が、鉄化合物またはマンガン化合物である、多孔質正極材料の製造方法。
  4. 請求項1乃至3いずれか一項に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
    前記(I)の前記メジアン径d50が前記(II)の前記メジアン径d50の0.5倍以下である、多孔質正極材料の製造方法。
  5. 請求項1乃至4いずれか一項に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
    前記水分散性樹脂微粒子のメジアン径d50の前記調製工程前後の変化率が50%以下である、多孔質正極材料の製造方法。
  6. 請求項1乃至5いずれか一項に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
    前記水分散性樹脂微粒子は、
    ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量が2.5×10以下であり、
    下記一般式(1)で表される末端分岐型ポリオレフィン系共重合体粒子である、多孔質正極材料の製造方法。
    Figure 0005859548
    (前記一般式(1)中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、直鎖状または分岐状のポリアルキレングリコール基を有する基を表す。)
  7. 請求項6に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
    前記一般式(1)で表される前記末端分岐型ポリオレフィン系共重合体粒子において、
    前記Xおよび前記Xは同一または異なっており、下記一般式(2)または下記一般式(4)で表される基を表す、多孔質正極材料の製造方法。
    Figure 0005859548
    (前記一般式(2)中、Eは酸素原子または硫黄原子を表す。Xはポリアルキレングリコール基または下記一般式(3)で表される基を表す。)
    Figure 0005859548
    (前記一般式(3)中、Rはm+1価の炭化水素基を表す。Gは同一であっても異なっていてもよく、−OX、−NX(X〜Xはポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基を表す。mは、RとGとの結合数であり1〜10の整数を表す。)
    Figure 0005859548
    (前記一般式(4)中、XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、ポリアルキレングリコール基または前記一般式(3)で表される基を表す。)
  8. 請求項6または7に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
    前記末端分岐型ポリオレフィン系共重合体粒子が下記一般式(1a)または下記一般式(1b)で表される、多孔質正極材料の製造方法。
    Figure 0005859548
    (前記一般式(1a)中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。l+mは2以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)
    Figure 0005859548
    (前記一般式(1b)中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。R10およびR11は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくとも一方は水素原子である。l+m+oは3以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)
  9. 請求項1乃至5いずれか一項に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
    前記水分散性樹脂微粒子が(メタ)アクリル酸エステル系重合体粒子である、多孔質正極材料の製造方法。
  10. 請求項1乃至9いずれか一項に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
    当該多孔質正極材料の炭素含有量が1〜20質量%である、多孔質正極材料の製造方法。
  11. 請求項1乃至10いずれか一項に記載の多孔質正極材料の製造方法において、
    当該多孔質正極材料がLiFePOを含む、多孔質正極材料の製造方法。
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