以下に、図面を参照して、画像形成部を駆動するモータの周期的な回転ムラに応じたバンディング補正を行う画像形成装置について例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の手順で、順次説明を行っていく。
(1)まず第一の実施形態において、図1乃至図3により、画像形成装置のハードウェア構成について説明し、図4及び5を用い、ハードウェアブロック図を説明する。また図6を用いて主要な機能を示した機能ブロック図を説明する。
(2)次に、図7の露光出力補正テーブル作成処理のフローチャートを用い、モータの回転ムラと、それに起因したバンディングを補正する為の濃度補正情報と、の対応(テーブル)を作成する処理について説明する。尚、モータの回転ムラとは、後述の図8でも示されるように、モータの周期的な回転速度変動のこと意味する。以下ではこの周期的な回転速度変動のことを回転ムラと記す。また、図8及び図9のタイミングチャートを用い、図7の露光出力補正テーブル作成処理の更なる詳細を説明する。
(3)そして、画像形成時(露光時)において、装置本体に保持してるバンディング補正の為の濃度補正情報(テーブル)を用い、どのようにして、モータの周的な回転ムラに応じたバンディング補正を行うかを説明する。
(4)また、第二の実施形態においては、画像重心を変更する手法による、バンディング補正の説明を行う。
(5)そして、最後に各種変形例について説明していく。
〔第一の実施形態〕
[画像形成装置の断面図]
図1はカラー画像形成装置断面の一実施形態を示す図である。該カラー画像形成装置においては、まず、画像処理部(図1には不図示)より供給される画像情報に基づいて点灯される露光光により静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して単色トナー像を形成する。そして、各色の単色トナー像を形成し、これらを重ね合わせ、それらを転写材11へ転写し、その転写材11上の多色トナー像を定着させる。以下、詳細に説明する。
給紙部21a、或いは21bから転写材11が給紙される。感光ドラム(感光体)22Y、22M、22C、22Kは、アルミシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して構成され、図示しない駆動モータ6a〜6dの駆動力が伝達されて回転する。注入帯電器23は感光体を帯電させる。4個の注入帯電器23Y、23M、23C、23Kは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)に夫々対応する。各注入帯電器23には丸断面で示されるようにスリーブが備えられている。露光光はスキャナ部24Y、24M、24C、24Kから送られ、感光ドラム22Y、22M、22C、22Kの表面を選択的に露光することにより、静電潜像が形成される。尚、感光ドラム22Y〜Kは、一定の偏心成分をもって回転しているが、静電潜像が形成される時点においては、各感光ドラム22の位相関係は、転写部において同じ偏心影響になるよう既に調整されている。現像器26は、トナーカートリッジ(25Y、25M、25C、25K)から供給される記録剤により、静電潜像を可視化すべくトナーを現像する。4個の現像器26Y、26M、26C、26Kは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)に夫々対応する。各現像器には、スリーブ26YS、26MS、26CS、26KSが設けられており、また、各々の現像器は脱着可能に取り付けられている。
中間転写体27は、感光ドラム22Y、22M、22C、22Kに接触しており、中間転写体駆動ローラ42によってカラー画像形成時に時計周り方向に回転し、感光ドラム22Y、22M、22C、22Kの回転に伴って回転し、単色トナー像が転写される。その後、中間転写体27に後述する転写ローラ28が接触して転写材11を狭持搬送し、転写材11に中間転写体27上の多色トナー像が転写する。転写ローラ28は、転写材11上に多色トナー像を転写している間、28aの位置で転写材11に当接し、印字処理後は28bの位置に離間する。定着器30は、転写材11を搬送させながら、転写された多色トナー像を溶融定着させるものであり、図1に示すように転写材11を加熱する定着ローラ31と転写材11を定着ローラ31に圧接させるための加圧ローラ32を備えている。定着ローラ31と加圧ローラ32は中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ33、34が内蔵されている。すなわち、多色トナー像を保持した転写材11は定着ローラ31と加圧ローラ32により搬送されるとともに、熱および圧力を加えられ、トナーが表面に定着される。トナー像定着後の転写材11は、その後図示しない排出ローラによって図示しない排紙トレイに排出して画像形成動作を終了する。クリーニング手段29は、中間転写体27上に残ったトナーをクリーニングするものであり、中間転写体27上に形成された4色の多色トナー像を転写材11に転写した後の廃トナーは、クリーナ容器に蓄えられる。濃度センサ41(光学特性検出センサ41とも呼ぶ)は、図1の画像形成装置において中間転写体27へ向けて配置されており、中間転写体27の表面上に形成されたトナーパッチの濃度を測定する。
尚、図1では中間転写体27を備えたカラー画像形成装置を説明したが、感光ドラム26に現像されたトナー像を記録材に直接転写する一次転写方式を採用した画像形成装置にも適用することもできる。この場合には、以下の説明において、中間転写体27を、転写材搬送ベルト(転写材担持体上)に置き換えることで、発明を実施できる。また、図1に示される断面図では各感光ドラム22に駆動手段であるモータ6が設けられているが、複数の感光ドラム23でモータ6を共通化しても良い。また、以下では、画像の主走査方向に対して、上からみた場合に主走査方向と垂直に交わる、例えば転写材の搬送方向や、中間転写体の回転方向の称呼を、搬送方向もしくは副走査方向などとする。
[濃度センサ41の構成]
光学特性検出センサである濃度センサ41の一実施形態を図2に示す。図2(a)に示すように、濃度センサ41は、発光素子であるLED8と、受光素子であるフォトトランジスタ10により構成される。ここで、LED8により照射された光は、拡散光を抑えるためのスリット9を通過し、中間転写体27表面に到達する。そして、乱反射光を開口部11により抑制した上で正反射成分を受光素子10で受光する。
図2(b)は濃度センサ41の回路構成を示す図である。抵抗12は受光素子10とVccの電圧を分圧する為のもので、抵抗13はLED8を駆動する電流を制限する。トランジスタ14は、CPU21からの信号により、LED8をオンオフする。そして、図2(b)に示される回路では、LED8により光を照射したときのトナー像からの正反射光量が大きいと、受光素子10に流れる電流が大きくなり、OutPutとして検出される電圧V1の値が大きくなる。換言すれば、図2(b)の構成では、トナーパッチの濃度が低く正反射光が大きいときに検出電圧V1は高く、トナーパッチの濃度が高く正反射光が小さいときに検出電圧V1は小さくなる。
[モータ6の構成の説明]
以下、補正対象となるバンディングの発生源であるモータの構成について説明する。まず、図3の(a)乃至(d)を用いて、モータ6の一般的構成を説明し、その後に図3の(e)等を用い、モータ6で発生する周期的な回転ムラのメカニズムについて説明する。
◆モータの一般的構成の説明
まず、図3の(a)に、モータ6の断面図を、図3の(b)に正面図を、また、図3の(c)に回路基板303を取り出した図を夫々一例として示す。尚、モータ6とは、例えば上に説明した感光ドラム22を駆動するモータ6a〜dや、駆動ローラ42を駆動するモータ6e等、画像形成部に含まれる様々なモータに相当させることができる。
図3の(a)、(b)において、ロータフレーム301の内側には、永久磁石で構成されるロータマグネット302が接着されている。ステータ308にはコイル309が巻かれている。そして複数のステータ308が、ロータフレーム301の内周方向に沿って配置されている。シャフト305は回転力を外部に伝達する。具体的には、該シャフト305を加工しギアを形成したり、或いはPOMなどの樹脂により構成されたギアを該シャフト305に挿入し、回転力を相手ギアに伝達する。ハウジング307は、ベアリング306を固定し、且つ取り付けプレート304に勘合される。
一方、図3(c)に示すような回路基板303のロータ側の面には、FGマグネット311に対向するように、環状にFGパターン(速度検出パターン)310がプリントされている。また、回路基板303の他方の面には、不図示の駆動制御用の回路部品が実装されている。駆動制御用の回路部品には、制御用IC、複数のホール素子(例えば3つ)、抵抗、コンデンサ、ダイオード、MOSFET等がある。そして、不図示の制御ICは、ロータマグネット302の位置情報(ホール素子出力)に基づき、電流を流すコイルと、その電流の向きを切替え、ロータフレーム301や、それに接続された各パーツを回転させる。
次に図3の(d)にロータマグネット302を取り出した図を示す。ロータマグネット302内周表面には312で示すように着磁が施され、ロータマグネット302の開放面端にはFGマグネット311の着磁が施されている。本実施形態では、ロータマグネット302は8極(4N極、4S極)の駆動用着磁を持っている。また着磁312は理想的には等間隔でN極とS極が交互に着磁されている。一方、該FGマグネット311は、N、S磁極が駆動用着磁の数より多く着磁されている(本実施形態ではN極S極の対が32個)。尚、図3の(c)に示されるFGパターン310は、FGマグネット311の着磁極数と等しい数の矩形を、直列かつ環状に接続して形成している。尚、駆動用着磁数及びFGマグネット数については上の例に限定されることはなく、その他の形態でも適用可能であることは言うまでもない。
ここで、図3に例示されるモータでは、モータの速度センサとして、回転速度に比例した周波数信号を発生する周波数発電機(Frequency Generator)方式、即ちFG方式を採用している。以下それについて説明する。FGマグネット311がロータ301と一体的に回転すると、FGパターン310には、FGマグネット311との相対的な磁束変化により、回転速度に応じた周波数の正弦波状の信号が誘起される。不図示の制御ICは、発生した誘起電圧と所定閾値とを比較することにより、パルス状のFG信号を生成する。そして、該生成されたFG信号に基づきモータ6の速度/駆動制御、及び後述にて説明する各種処理が行なわれる。尚、モータの速度センサとしては、速度発電形のものに限らず、MRセンサ式やスリット板式等のエンコーダー形を採用しても良い。
後述にて詳しく説明するが本実施形態では、モータの回転ムラが周期的な濃度ムラ(バンディング)に連動してくる。つまり、どのような周期的濃度ムラが発生しているかを予測するときに、モータの回転ムラの回転位相をパラメータにしている。そして、CPU21は、モータ6からモータの回転に応じて出力されるFG信号に基づき、回転ムラの回転位相を特定している。尚、モータの回転速度変動の位相を特定するうえでは、モータの回転毎に少なくとも1回出力される信号であれば、FG信号にかわって採用することができる。即ち、モータが1回転する毎に、繰り返し少なくとも1回の信号(回転情報)を出力するよう、モータを構成しても良い。
◆モータの回転ムラメカニズムの説明
一般的に、モータ1回転周期の回転ムラの態様は、モータの構造に起因して決定される。代表例として、ロータマグネット302の着磁具合(ロータ1周での着磁バラツキ)と、ロータマグネット302とステータ308の中心位置のずれとの2つにより、モータ1回転周期の回転ムラの態様が決まる。これは、該2つの要因により、各ステータ308全体とロータマグネット302全体とで発生している総合モータ駆動力が、モータ6の1周期の中で変化することに起因する。ここで図3の(e)を用いて着磁のバラツキがどのようなものかを示す。図3の(e)は、着磁312を正面から見た図である。A1〜A8、及びA1’〜A8’は夫々極が変化する境界を示す。円周に沿って等間隔でプロットされるA1〜A8は着磁バラツキがないときのN極及びS極の境界を示す。一方、A1’〜A8’は着磁バラツキがあるときのN極及びS極の境界を示す。
また、その他、モータシャフト(ピニオンギア)305の偏心もモータの回転ムラの一要因として挙げることができる。この回転ムラが回転する相手に伝達され、それが濃度ムラとなって現れる。このモータシャフト(ピニオンギア)305の偏心も、モータ6の1回転周期であるが、この回転ムラと、先に説明した着磁バラツキの回転ムラと、が合成された回転ムラが、駆動力の伝達先に伝わり、それが濃度ムラとなって現れる。以上の説明が、代表的なモータ1回転周期の回転ムラのメカニズムである。
他方、モータ6からは、上記で説明した1回転周期の回転ムラ以外の周期の回転ムラも発生している。ロータマグネット302に8極の着磁がなされた駆動磁極を持つモータの場合、4組のN極及びS極の組み合わせがあるので、モータ1回転において、不図示の各ホール素子からは、4周期分の磁束変化が検出される。そして、何れかのホール素子の配置が理想配置からずれてしまうと、1周期の磁束変化において、各ホール素子からの出力の位相関係が崩れる。すると、各ホール素子からの出力に基づき、ステータに巻かれたコイルへの励磁切替えを行うモータ駆動制御において、その切替えタイミングがずれてしまう。結果、モータ6の1周分周期の1/4周期の回転ムラが、モータ6が1周する間に4回発生する。尚、ロータマグネット302の駆動用着磁の極数に応じた整数分の一周期(整数倍の周波数)の回転ムラが発生することは自明であろう。
[ハードウェア全体ブロック図]
図4(a)は本実施形態における主要なハードウェア構成に係る全体ブロック図を示す。ここで、濃度信号処理部25(以下、信号処理部25と記す)、FG信号処理部26は、例えば、特定用途向け集積回(ASIC)や、SOC(System On Chip)で構成される。
CPU21は、記憶部22、画像形成部23、FG信号処理部26、信号処理部25、濃度センサ41の各ブロックと連携し各種制御を行う。また、CPU21は入力される情報に基づき各種演算処理も行う。
記憶部22は、EEPROM及びRAMを含む。EEPROMは、モータ6の位相情報としてのFG信号を識別するカウント値(モータの位相情報に相当)と、24による画像濃度を補正する為の補正情報との対応関係を書換え可能な形態で格納している。またCPU21の画像形成制御の為の、その他の各種設定情報も格納している。また、記憶部22のRAMは、CPU21が各種処理を実施する際の情報を一次的に格納する為に使われる。画像形成部23は、図1において説明した画像形成に係る各部材の総称であり、ここでの詳しい説明は省略する。また濃度センサ41も、上の図2で説明した通りである。
信号処理部25は、濃度センサ41の検出結果信号を入力し、CPU21が着目すべきモータ6に関する濃度ムラを容易に抽出できるように、入力された信号を加工することなく或いは加工し、それをCPU21に供給(出力)する。
他方、FG信号処理部26は、上の図3で説明した、モータ6から出力されるFG信号を入力し、そのFG信号に係る処理を行う。例えば、FG信号処理部26は、CPU21がモータの位相を特定把握する為に、FG信号を加工し、それをCPU21へ出力したり、FG信号に係る処理の判定結果をCPU21通知したりする。
このような全体ブロック図において、CPU21は、信号処理部25から出力される濃度信号と、FG信号処理部26からの出力される位相信号と、に基づき、モータの回転位相と濃度補正(バンディング補正)の為の補正情報との対応付けテーブルを作成する。また、CPU21は、FG信号処理部26から供給されるFG信号に基づき特定したモータ6の位相変化に同期させ、モータ6の回転ムラの位相に応じた濃度補正が反映された露光をスキャナ部24に行わせる。これについての詳細は、後述のフローチャート等により説明していくとする。
<信号処理部25の詳細ブロック図>
次に、図4(a)で説明した信号処理部25の詳細について、図4(b)を用いて説明する。ローパスフィルタ(LPF)27は特定の周波数成分の信号を選択的に通過させる。フィルタの遮断周波数はモータの1回転で1周期の周波数成分(以下W1成分)以下の信号を主に通過させ、且つその他W1成分の整数倍周波数の信号を減衰させる設定となっている。図5の(a)にLPFの動作例を示す。濃度センサ出力をLPFに通過させることにより、W1成分の濃度ムラを容易に抽出することが出来る。
また、バンドパスフィルタ(BPF)28は、濃度センサ41の出力のうち、所定の周波数成分を抽出することが出来る。本実施形態では一例としてモータ1回転周波数の4倍周波数(1/4周期:以下W4成分)の回転ムラを抽出する構成となっている。フィルタ特性はW4成分の周波数を中心に、遮断周波数を2つ設けている。図5の(b)にBPFの動作例を示す。濃度センサ出力をBPFに通過させることによりW4成分の濃度ムラを容易に抽出することが出来る。
また、信号処理部25は、濃度センサ41の検出結果からモータの回転ムラの成分を除去しない生センサ出力データもCPU21供給する。この生センサ出力データは、例えば、CPU21が、濃度センサ41の平均検出値を算出するときに利用される。
尚、後述にて詳しく説明するが、CPU21は、モータの回転ムラに起因したW1成分とW4成分との双方の濃度ムラを補正する為の補正値を算出する。また算出された補正値を、位相情報であるFG信号のカウント値と関連付け、記憶部22に格納し、画像形成時(露光時)に、モータ6の回転位相に応じて利用できるようにしておく。ここで、モータ6の回転ムラの位相とは、モータ6の周期的な回転速度変動における、ある状態に対応させることができる。そして、モータの回転ムラの位相が変化するとは、先のある速度状態から、モータ6の速度が変化することを指す。
<FG信号処理部26の詳細ブロック図>
次に、図4(a)で説明したFG信号処理部26の詳細を図4(c)を用いて説明する。F/V変換器29は、取得されたFG信号の周波数解析を行う。具体的には、FG信号のパルス周期を計測し、周期に応じた電圧を出力する。ローパスフィルタ30(以下LPF30)におけるフィルタの遮断周波数は、W1成分以下を通過させ、W1成分より上の周波数は減衰させる設定になっている。尚、F/V変換器29及びローパスフィルタ30にかわり、FFT解析部を設け、FG信号の周波数解析を行っても良い。SW31はスイッチであり、LPF30から出力される信号を判定部32へ入力するか否かを切替える。SW制御部33は、初期化信号によりSW31をONさせ、リセット終了後においては次に入力されるFGカウンタ信号によりSW31をオフさせる。
判定部32は、LPF30から入力された信号をモータ1周分取得し、平均値を算出する。平均値算出後はLPF30から入力される値と平均値を比較し、所定の条件となった場合にカウンタリセット信号を出力する。カウンタリセット信号は、SW制御手段33とFGカウンタ34へ入力される。また、カウンタリセット信号はCPU21へ送られ、リセットが行われたことがCPUへ報知される。
FGカウンタ34は、モータ1周分のFGパルス数をカウントアップしトグルする。本実施形態ではモータが1回転すると、32パルスのFG信号が出力されるので、FGカウンタ34は0〜31をカウントする。また、FGカウンタ34は、カウンタリセット信号が入力されるとカウントを“0”にリセットする。
[ハードウェア構成及び機能ブロック図]
図6(a)は、カラー画像形成装置の一部の部材、及び図4に示した一部のブロック図、及びCPU21が司る機能ブロック図との関係を示す。尚、図1、図4と同一のものを指すときは、同じ符号を付してあり、ここでの詳しい説明は省略する。
図6(a)において、テストパッチ生成部35は、中間転写体27上に濃度検出の為のトナー像で構成される検出パターン(以下テストパッチ)39の形成機能を司る。テストパッチ生成部35は、テストパッチのデータに基づき、露光部24(スキャナ部24に相当)により感光ドラム22上に静電潜像を形成させる。そして、不図示の現像部により形成された静電潜像に基づくトナー像(テストパッチ)を中間転写体27上に形成させる。そして、濃度センサ41は、形成されたテストパッチ39に光を照射し、その反射光特性を検出し、信号処理部25にその検出結果を入力する。
補正情報生成部36は、濃度センサ41により検出されたテストパッチ39の検出結果に基づき、後述の図11で説明する。濃度補正情報を生成する。
画像処理部37は、各種画像にハーフトーン処理などの画像処理を施す。露光制御部38は、FGカウント値に同期させて、露光部24を露光させ、電子写真プロセスを経て中間転写体27上へテストパッチを形成させる。
モータ制御部40の詳細を図6の(b)に示す。図6の(b)において、速度制御部43は、モータを所定の速度で制御するために目標値と、モータのFG信号から得た速度情報との差分を算出する差分演算部41により得られた値に、制御ゲイン42を乗じ制御量として出力する。目標値に対してモータ6から得られた速度情報が遅かった場合は制御量を増加させ、モータから得られた速度情報が目標値より速かった場合は制御量が小さくなるように制御することで、モータ6の速度が目標値と一致するように制御を行う。またモータ制御部40は、モータの制御ゲインを変更して設定することもできる。モータ制御IC45は、モータ制御部40より入力された制御量に応じて電力増幅手段44がモータに供給する電力を決定する。
尚、ハードウェア構成と機能ブロックとの対応について、図4、図6で示した形態は一例であり、それに限定されることはない。例えば、図4、図6でCPU21に担わせた機能の一部、或いは全てを特定用途向け集積回路に担わせても良い。また、逆に、図4、図6で特性用途向け集積回路に担わせた機能の一部、或いは全てをCPU21に担わせても良い。
[露光出力補正テーブル作成処理のフローチャート]
露光出力補正テーブル作成処理の一実施形態を、図7のフローチャートに示す。この図7のフローチャートにより、モータの位相情報と濃度ムラとの対応関係を取り、また濃度ムラに対して濃度補正情報を演算し、モータの位相情報と濃度補正情報との対応テーブルを作成する。そして、ここで作成されたテーブルが後のプリント実行時にバンディングを軽減させる為に用いられる。以下、具体的に説明する。
まず、ステップS701で、露光出力調整モードに入ると、モータ制御部40は、ステップS702で、モータが所定の回転数範囲であることを確認し、確認できた後に、速度制御部43の制御ゲイン42の設定を最低値に変更する。尚、ゲイン設定について、最低値に限定されることはなく、少なくとも通常の画像形成時よりも、低い設置値にゲインを設定すれば、モータの1回転の周期の回転ムラを大きくしその検出を容易にすることが出来る。ここで、通常の画像形成とは、例えば、画像形成装置の外部のコンピュータから入力された画像情報であって、ユーザのコンピュータ操作に応じて作成された画像情報に従う画像形成のことを指す。
続いて、CPU21は、ステップS703で、モータの回転位相を検出する為に、SW制御部33を介して、SW31をONし、モータFG信号のカウントを開始する。
そして、判定部32は、ステップS704で、F/V変換器29の出力、即ち、LPFで処理されたモータの1回転の周期の回転むらを抽出し、それを平均化する。
また、判定部32は、ステップS705で、W1成分のモータ回転ムラの位相が所定位相になったか否かを判定する。ここでは、モータ6の回転ムラの位相が零になったかを調べる。ステップS705でYESと判定された場合、判定部32は、ステップS706で、カウンタリセット信号を発行し、FGカウンタ34をリセットする。また、CPU21は、ステップS706で、モータ位相情報であるFG信号のカウント監視を開始する。このFG信号に係るカウントによりモータ6の位相特定がなされる。また、このFG信号のカウント値の監視は、印刷ジョブが終了するまで継続される。
一方、ステップS707で、モータ制御部40は、制御ゲイン42の設定を最低値から元の設定値へ戻す。これにより、テストパッチ形成において、制御ゲイン42について、通常の画像形成時と同じ条件とすることができる。テストパッチ生成部35は、ステップS708で、パッチ39の為のテストパッチデータを生成する。
テストパッチ生成部35は、ステップS709で、モータのFG信号のカウント値が所定値(例えば“0”)になったか否かを判定する。そして、ステップS709でYESと判定すると、テストパッチ生成部35は、ステップS710で、露光部24による露光を開始させる。尚、テストパッチ形成時には露光出力補正テーブルは用いられない。
濃度センサ41は、ステップS711で、中間転写体3上に形成されたテストパッチから得られる反射光を検知する。ここで濃度センサ41による検出結果は信号処理部25を介してCPU21へ入力される。CPU21へ入力される信号は、図4の(b)で説明した通り3種類である。
補正情報生成部36は、ステップS712で、ステップS711における検出結果に基づき、モータの回転ムラに起因する濃度ムラを軽減する為の濃度補正情報を算出する。またそれと共に、算出した濃度補正情報をEEPROMに格納する。具体的に説明すると、補正情報生成部36は、ステップS711の検出結果に基づき濃度の平均値(以下Daveと記す)を算出する。次に、補正情報生成部36は、モータの各回転位相に対応させて濃度値Dnを算出し、またDaveとモータの各回転位相(FGカウント値)に対応するDnを比較しその差分を求める。次に、補正情報生成部36は、補正値Dcnを、Dcn=Dave/Dn=Dave/(Dave+差分値)の演算式で求める。そして、ここで算出されたDcnを、画像情報の濃度に反映したり、或いは画像情報ではなく露光部24を直接駆動する制御信号等に反映されたりする。例えばDave=10とし、検出された濃度が平均よりも略5%高くDn=10.5とする。すると、Dave/Dn=10/10.5=10/(10+0.5)=0.952となる。この例ではDn=10.5に対して、例えば露光部24による露光時間や露光強度を制御する為の信号に0.952を乗算すれば良い。そして、CPU21は、ステップS712で、算出された補正値とFGカウント値とを対応付けて、EEPROMに格納する。このようにすることでも、モータの回転ムラの位相に応じた濃度補正を行った露光を露光部24に行わせることができるようになる。
ここで、ステップS711の処理では、図4の(b)で説明した如く、LPF27とBPF28とによりW1、W4の夫々について検出が行われる。尚、W4成分の反射光の検出開始タイミングはW1のそれと同じである。また、ステップS712の処理では、検出されたW1及びW4成分の濃度ムラに基づき、補正情報生成部36が、W1とW4成分の夫々のムラを補正する為の補正情報を演算する。そして、以上の各ステップの処理を終えて、ステップS713で、露光出力補正テーブル作成の処理を終了する。
[モータ位相とトナー像の濃度変動の関連付け処理]
図8は、図7のステップS702〜S706の処理の詳細を説明する為の図であり、モータFGカウンタ値のリセット処理の一実施形態を示すタイミングチャートである。この図8に示されるタイミングチャートにより、モータ6のどういう速度変動状態をどういう位相(例では位相零(FG0))に相当させるかを決めることが出来る。図8の例では、モータの速度が、平均よりも高い速度の状態から、低い状態に向かう途中の、正に平均値を横切る状態を位相零(FG0)に割り当てた。尚、図8は一例であり、モータ6の任意或いは所定の速度変動状態を何れかの位相(例えば位相零(FG0))にしても良い。要は、再現性を前提に、モータ6の任意或いは所定の速度状態を、モータ6の何れの位相(任意或いは所定位相)に割り当て、後々の処理で、その割り当てられた位相を特定できるようにすればよい。こすることで、他のタイミングにおいて、モータ6の位相をパラメータにして各種処理を行うことができるようになる。図8のタイミングチャートはその一実施形態である。以下、具体的に説明する。
まず、CPU21がt0で初期化信号をFG信号処理部26へ出力すると、SW制御部33へ初期化信号が伝わる。SW制御部33はt0以降最初に入力されたFG信号に同期してSW31をONさせる(S703)。
t1〜t2の間(FG信号モータ1周分)、判定部32は、LPF30からの入力値の平均値Vaveを算出する。判定部32はt2以降、算出されたVaveとLPF30から入力される値を比較し、所定の条件、例えば、入力値が平均値Vaveより高い側から低い側へ横切ったタイミングt3(S705でYES)でカウンタリセット信号を出力する。
FGカウンタ34は、t3のタイミングでカウンタリセット信号を受信すると、カウントを“0”にリセットする(S706)。また、CPU21はカウンタリセット信号を受けて、位相情報(FGカウント値)の初期化が完了したことを認識する。またこのリセット後においても、CPU21は、FGカウンタ34を継続してモニタリングし続ける。
図9の(a)は、一例としての、トナー像パッチ露光に係るタイミングチャートであり、図7におけるステップS708の処理の詳細を説明する為の図である。尚、図9の(a)のタイミングチャートでは、図8の処理からFG信号のカウントが継続されているものとする。つまり、CPU21が、モータ6の回転ムラ位相を、FGカウンタ値の変化に応じて継続的に特定していることを前提としている。以下、図9の(a)について詳細を説明していく。
まずテストパッチについて詳細に定義すると、読み取りタイミング生成用のプレパッチと濃度ムラ計測用の通常のパッチとで構成される。テストパッチ生成部35は通常パッチの露光を開始するべき所定のFGカウンタ値に到達する前のt4のタイミング(本実施形態では通常パッチを露光する10FGカウント前)にプレパッチの形成(露光)を開始する。プレパッチは濃度センサ41によるテストパッチの検出開始タイミングの同期を取る為のものであり、そのテストパッチの長さは短くて良い。例えばモータ1回転周期の長さは不要である。濃度センサ41で検知できる長さがあれば十分である。図9の(a)では、プレパッチにおける露光時間を、FGカウントで2カウント分とし、t5のタイミングでプレパッチの為の露光を停止している。
そして、テストパッチ生成部35はt6のタイミングで、所定FGカウントが零になったら再び通常パッチの為に露光を開始する(S709)。この後、少なくともモータ1周分以上のFGカウントが行われるまで露光を継続する(S710)。そして図1で説明した電子写真プロセスを経て、最終的に中間転写体27上に、トナー像としてテストパッチが形成される。
図9の(b)は、テストパッチを読み取るタイミングチャートを示したものであり、図7のステップS711の詳細を説明する図である。
図9(a)の説明においては、テストパッチ生成部35は、プレパッチの露光開始から10FGカウントをカウント後にテストパッチの露光を開始した。その為、テストパッチは、プレパッチを濃度センサ41で検出してから(10+32n(nは0以上の整数))カウント経過後に読み取りを行う。t8で濃度センサ41がプレパッチを検出し、CPU21は、次のFGパルスを検知するt9のタイミングを起点とし、(10+32n(nは0以上の整数))カウント経過後のt10で、パッチの読み取りを開始する。尚、t8にてプレパッチが検出されたと見なされる閾値は、パッチの濃度や発生し得る濃度ムラ振幅等を考慮して適宜設定すればよい。
また、図中の901は、CPU21により管理されており、光学特性が読み取られた通常のテストパッチを露光したときの、CPU21により認識されていたモータ6の位相情報であるFG信号を示す。その様子を模式的に図10に示す。
図10の(i)〜(iii)は、スキャナ部24の露光タイミングと、そのときにCPU21が認識しているモータ6の位相情報と、の関係を模式的に示す。(i)及び(ii)は、テストパッチに対する静電潜像を形成する際に、CPU21がモータ6の位相情報を認識している様子を示している。図中では、位相θ1に対してFGs1が、位相θ2に対してFGs2が夫々対応していることを示している。また(iii)は、形成されたテストパッチの移動方向に沿った各位置において、画像露光時におけるモータ6の、どの位相情報が対応しているかを示す図である。この(iii)における対応関係もCPU21により管理されている。
尚、図9の(b)では不図示であるが、実際には、W4成分の光学特性検出もt10のタイミングに同期してBPFから出力され、CPU21へ入力されているものとする。そして、濃度センサ41で得られたテストパッチの光学特性は、信号処理部25でLPF27やBPF28を経由後、CPU21へ入力される。CPU21は、信号処理部25から出力された光学特性値(濃度値に相当)と、その検出対象となったパターンを形成したときのモータ6の位相情報(FGカウント値)と、を関連付け、EEPROMへ格納する。タイミングがt11に達し、少なくともモータ1周分のFGカウント分の濃度センサ41による検出結果が得られると、CPU21はテストパッチの読み取りを終了する。
尚、図9(b)のタイミングチャートにおける、濃度センサ41による光学特性の読取について、図9(b)の白丸点近傍で複数回光学特性の読取を行い、その濃度センサ41により読取った光学特性値としても良い。
また、t10のタイミングで、CPU21へ入力される濃度センサ41の検出値は、LPF27に通過に通過されたものとなっている。従って、LPF27の周波数特性によっては、CPU21に入力される検出値の精度が十分でない可能性もある。そのような場合には、t10のタイミングから更に例えば32個目(W4の場合は8個目)のFGカウント値に対応した検出値を代わりに用い、濃度センサ41の検出精度がより向上する。
[テストパッチの濃度ムラ成分]
ここで、図10からも理解できるように、テストパッチの検出結果には、露光時におけるモータ6の回転ムラ影響が含まれている。また、転写時におけるモータ6の回転ムラ影響も含まれている。ここで、露光時も転写時も、回転ムラの発生源は同一となっている。そして、テストパッチからは、今述べたような、影響が統合された濃度ムラが検出される。尚、濃度ムラについては、モータの物理的形状に起因する為、モータの1回転周期の回転ムラの位相は、モータ物理的状態に対応して再現性あるものとなっている。
[露光出力補正テーブルの一例]
図11は、図7のフローチャートにおけるステップS711の処理に従い作成された露光出力補正テーブルの一例である。この図11に示される情報はEEPROMに格納されたものであり、画像形成時に、該テーブルをCPU21が参照し、モータの回転ムラ位相に応じたバンディング補正(露光制御による濃度補正)が行われる。
図11のテーブルAは、モータ位相とトナー像の濃度値との対応を示す。図11中ではW1とW4の夫々についてテーブルAが作成されている。ここで、W1については、LPF27を介して検出される電圧値V1を濃度値に変換することで、図11(a)に示される濃度値を算出できる。また、W4については、BPF28を介して得られる検出結果を濃度値に換算し、それに平均濃度値を加算することで図11(b)の濃度値を算出できる。なお平均濃度値についてはW1の検出結果より求めても良いし、図4(b)に示される生センサ出力データを補正情報生成部36が平均化することで算出しても良い。
次に、補正情報生成部36は、W1とW4の夫々について、各濃度値と平均値との差分Δd1、Δd2を算出し、算出したΔd1、Δd2を、各位相情報に対応付けてテーブルBを作成する。
そして、補正情報生成部36は、テーブルBに格納された各位相情報に対応したΔd1、Δd2を加算し、W1とW4の差分値を合計する。そのテーブルを図11の(c)のテーブルCに示す。
補正情報生成部36は、各位相情報に対応した合成差分値に基づき、濃度補正値を算出する。モータ6のある位相のFGnにおける濃度値をDn、平均特性をDaveとすると、濃度補正値Dcnは、Dcn=Dave/(Dave+合計差分値)として与えられる。そして、このDcnを例えば露光出力に乗算すれば良い。また、露光出力と濃度との比例関係にないような場合には、濃度変動量に応じた乗算値を適宜各位相情報に対応付ければ良い。
そして、CPU21は、算出されたテーブルDの情報を、再度利用できるようにEEPROMに格納する。更に、濃度補正値DcnにFG信号間を補間をしたデータを追加することで、よりスムーズな補正パターンを生成することも可能である。このように、本実施形態では、モータ6という1の回転体から複数周期(周波数)の回転ムラが発生し、それがバンディングに影響するような場合に対応することができ、木目細やかな対応を行うことができる。尚、露光出力補正テーブルにおいては、W1成分とW4成分の濃度ムラ位相(モータ回転ムラ位相に対応)の零位相が一致した場合を説明したが、それには限定されない。モータ固有の機械的構成によっては、W1とW4成分の濃度ムラ位相の零位相が一致しない場合もある。そのような場合でも、上述の実施形態に沿って、図11に相当する露光出力補正テーブルを作成出来ることは明らかであろう。
[画像データ補正処理のフローチャート]
図12の(a)は、モータの回転ムラの位相に応じた画像データ補正処理を、図12の(b)は、露光処理の一実施形態を示すフローチャートである。この図12に示されるフローチャートにより、モータ6の回転ムラの位相に応じた濃度補正情報(図11の補正テーブル)を用いた画像のバンディング補正が行われる。
まず、図12の(a)のフローチャートを説明する。ステップS1201で、CPU21は、画像形成(プリント)を開始し、ステップS1202で、画像処理部37は、走査ラインごとの画像データ処理を開始する。そして、以下の処理において、1ページn走査ラインの露光を伴う露光処理を、印刷ジョブのページ数分だけ繰り返し行う。
ステップS1203で、画像処理部37は、第1走査ラインL1に対する画像データを読み込む。そして、走査ラインL1対する濃度DL1の濃度補正値を決める為、ステップS1204で、現在着目している走査ラインに対するモータ6の位相(FGカウント値FGs)を決定する。本実施形態では、モータ6の1周で32個のFGパルス信号が出力されるので、1つのFG信号分に対応して、モータが11.25°回転する。つまり、モータ6が11.25°回転する毎に走査されている複数の走査ラインに同じ位相(FGカウント値)を設定する。図13にモータ6の位相と複数の走査ラインとの関係の一例を示す。
画像処理部37は、ステップS1205で、決定されたFGカウント値FGsに応じて、対応する濃度補正情報を露光量補正テーブル(図11)より読み込んで画像情報の階調値に乗算したり、或いは露光濃度や露光時間や露光強度を制御する為の信号に乗算し濃度(バンディング)の補正を行う。実際には、ステップS1206でNOと判定されることに応じて、副走査方向の各ライン画像にモータ6の回転ムラの各位相が割り付けられ、夫々のライン画像に対して対応づけられた位相(FGs)に応じた画像処理が行われる。
CPU21は、ステップS1206で、所定の走査ライン(ページ内での最後の走査ライン)に対して処理が完了したかどうかを判断し、完了していなければ、ステップS1208で、Ln(処理ライン)を1つ進める。そして画像処理部37は、次の走査ラインに対して、再びステップS1204、及びS1205の処理を実行する。
一方、所定走査ライン数の処理が完了し、CPU21が、ステップS1206でYESと判定すると、CPU21は、更にステップS1207で、全ての頁について処理を終了したか否かを判定する。CPU21は、ステップS1207でNOと判定すると、ステップS1209で、次のページについて、ステップS1203の処理を実行する。そして、CPU21が、ステップS1207でYESと判定すると、図12(a)のフローチャートを終える。
次に図12の(b)のフローチャートを説明する。図12(b)のフローチャート処理は、図12の(a)のステップS1201に連動して処理が開始される。
まず、ステップS1211で、CPU21は、印刷ジョブにおける1ページ目の処理か否かを判定する。1ページ目と判定した場合に、ステップS1212で、先の図8のタイミングチャートで説明した、モータFGカウンタ値のリセット処理を実行する。このリセット処理により、図8のタイミングチャートで決定したあるタイミングにおけるモータ6の速度変動状態に対するモータ6の位相対応付けを再現できるようになる。そして、以後、FGカウント値をパラメータに、モータの位相変化を特定(モニタリング)する。これにより、次のステップでは、特定されたモータ6の回転ムラの位相変化に同期させ、モータ6の回転ムラをキャンセルさせる為の露光をスキャナ部24に行わせることが出来る。
そして、ステップS1213において、CPU21は、モータ6の回転ムラの位相変化を特定し、モータ6の回転ムラの位相が所定のFGカウント値FGsになると、それに同期させ、スキャナ部24により、露光を開始し、画像形成を行う。尚、ステップS1213で判断される所定のFGカウント値FGsとは、ステップS1204で割り当てられた1走査ライン目に割り当てられたモータ6の位相である。該ステップS1213によって、モータの回転ムラの位相に応じた濃度補正が行われた露光がスキャナ部24により行われる。
ここで、ステップS1213で、順次レーザ走査を繰り返し実行していく中で、モータ6の回転ムラ位相も変化していく。しかし、既にモータ6の回転ムラの各位相(FGカウント値)の変化に対応させて、ステップS1203〜S1205における濃度補正が施されており、ページ内において自動的にバンディングを軽減できる。
ステップS1214では全てのページについて処理を終了したか否かを判定する。ステップS1214でYESと判定すると、図12(b)のフローチャートの処理を終了する。
尚、図12の説明では、走査ラインに対するモータの回転ムラ位相を予め決め、露光時において、該当する回転ムラ位相になったときに露光を行うよう説明した。単色プリントの場合には、これでよいが、フルカラープリントの場合にはこれに限定されず、逆に、スキャナ部24に走査ラインLnを、任意のタイミングで発光するようにし、その露光時におけるモータの回転位相に応じた画像濃度補正を行う変形例も想定される。このように、CPU21により、特定された回転ムラ位相の変化に同期し、モータの回転ムラ位相に応じた濃度補正を行った露光を、スキャナ部24に行わせてもよい。これにより、より自由度の高い露光制御を達成できる。以下詳細を説明する。
図14(a)は、モータ6の回転ムラの位相に応じた画像データ補正処理、及び露光処理を示すタイミングチャートであり、1ページ分の画像データ補正処理を示す。
この図14に示されるタイミングチャートにより、モータ6の回転ムラ位相に応じた濃度補正情報(図11の補正テーブル)を用い、画像のバンディング補正を行うことができる。また、図14の(b)は、図14の(a)に関連した主要機能ブロック図を示す。図6と同じものには同じ符号を付してある。以下、具体的に説明を行う。
まず、tY11にて、画像処理部37が、露光制御部38からtY0秒後に露光を開始する通知を受信する。このとき画像処理部37は随時FG信号処理部26よりFGカウント値を通知されており、露光制御部38からの通知を受けたtY11においるFGカウント値に従い、そこからtY0秒後のtY12におけるFGカウント値を演算する。図14の場合には、通知を受けたときのFGカウント値が25であり、演算された露光時のFGカウント値が29であることが示されている。
そして、その演算された露光開始時のFGカウント値に基づき、対応する濃度補正情報を露光出力補正テーブル(図11)より読み込み、1走査ライン目の画像に対して濃度補正(バンディング補正)を行う。また、イエロー以外の他の色についてもイエローと同様の処理を個別に行い濃度補正を行えば良い。
またイエローとマゼンタの感光ドラム23が共通のモータ6によって駆動される場合に以下のような処理も可能である。イエローとマゼンタ(他の色)との露光タイミングの関係は固定的であり、tY11における露光制御部38から通知があったときのFGカウント値から、マゼンタ(他の色)の露光開始タイミングにおけるFGカウント値を演算するようにしても良い。図14(a)の点線四角枠1501にそのことを示す。尚、この場合はイエローとマゼンタとで共通のFGカウント値を利用しても良い。図14中(a)では、イエローとマゼンタとの露光タイミング関係がtYMの間隔だけ開いている。従ってtYMの時間に相当するFGカウント値をtY12に対応するFGカウント値に加算すれば、マゼンタの露光時のモータの回転ムラ位相を特定でき、それに応じた濃度補正情報を露光出力補正テーブル(図11)から読み込めば良い。このような方法でも、マゼンタに関して、モータ6の回転ムラ位相(濃度ムラの位相に対応)に応じて変化させた露光(tM12〜tM22)を露光部24に行わせることができる。
ここで、先の図13で説明したように、モータ6が11.25°回転する間に走査されている複数の走査ラインに同じFGカウント値(位相)を設定する。つまり、先に説明した最初の走査ラインと同じFGカウント値が、モータ6の11.25°の回転分に相当する複数の走査ラインに割り当てられ、次のモータ6の11.25°の回転分に相当する複数の走査ラインに次のFGカウント値が割り当てられていく。尚、FGカウント値単位でなくとも、FGカウント値を基に、より細かいモータ6の回転ムラ位相を各走査ラインに割り当て、濃度ムラ補正をより細かく行っても良いことは言うまでも無い。
そして、画像処理部37は、各走査ラインに対応付けられたFGカウント値(モータ6の回転ムラ位相)に対応して露光出力補正テーブル(図11)から読み出された濃度補正情報に基づき、画像データの濃度補正を実行する。そして、該濃度補正が行われることで、tY12からtY22の期間において、モータ6の回転ムラ位相(濃度ムラの位相に対応)に応じて変化させた露光を露光部24に行わせることができる。また、他のイエロー以外の色についてもイエローの場合と同様に露光部24による露光が行われる。
以上の如く、図12のフローチャートによれば、モータの位相情報であるFG信号と同期させて濃度制御を行うことで、モータの回転ムラ起因で生じる濃度ムラ(バンディング)を効果的に抑止できる。また、モータが1回転する間に、複数種類の周期の回転ムラが発生するが、図12のフローチャートによれば、そのようなケースにも対応し、濃度ムラ(バンディング)を効果的に抑止できる。図15にその効果を示す。図15(a)が、本実施形態を実施しない場合の濃度ムラ(バンディング)を、図15(b)が本実施形態を実施した場合の濃度ムラを示している。グラフの縦軸はバンディング強度を表しているが、W1成分とW4成分のバンディング強度が同時に抑止されていることが確認できる。
以上、説明してきたように、上述の実施形態によれば、モータの回転ムラに起因した濃度ムラを軽減することが出来る。また、モータ6の回転ムラに着目した場合に、常に記録紙の同位置で同様のバンディングが発生するとは限らない。しかし、上述の実施形態によれば、そのような場合にも対応して、適切に濃度ムラ(バンディング)の補正を行うことが出来る。また、モータの回転毎に出力される信号(上述の説明ではFG信号)を直接取得し、モータの回転速度ムラ位相を特定するので、以下のような長所を発揮できる。例えば、モータのピニオンギア305のギア数と、それと噛み合うギア(例えばドラム駆動ギア)のギア数と、ギア数比が整数値のときには、モータの回転ムラ位相を、モータのピニオンギアと噛み合うギアに付したマーキング検出から間接的に特定できる。しかしながら、これは先に述べたように、モータのピニオンギア305のギア数と、それと噛み合うギアのギア数と、ギア数比が整数値であることを前提としている。これに対して、上述の本実施例によれば、そのようなギア数に関するメカ的構成について制約を受けることになく、モータの回転ムラ位相を特定できる。これにより、ギアに関し、より自由度の高いメカ設計を確保できる。
〔第二の実施形態〕
上述の実施形態では、モータの回転ムラに起因した濃度ムラを打ち消すように、濃度ムラとは逆の濃度特性で補正を行っていた。例えば、濃度ムラにより濃度が高くなっていれば、濃度を低くする補正を画像形成部に行わせるよう説明してきた。しかし、画像形成部による濃度補正について、この形態に限定される訳ではない。
バンディングの走査ラインの理想位置からのずれを打ち消すように、各走査ライン画像の重心位置を濃度で補正し、擬似的に走査ラインの位置を補正するようにしても良い。この場合には、まず濃度センサ41で上述したW1成分、W4成分の濃度ムラを検出する。このとき、濃度ムラとモータ6の回転ムラの位相関係との対応付けについては上述した通りである。そして、CPU21は、変換テーブルを用い、濃度の大小に応じた、走査ラインのピッチ間隔を算出する。即ち、走査ラインのピッチ間隔と、モータ6の回転ムラの位相と、の対応関係を求めることができる。そして、ピッチムラを擬似的に理想的な間隔にすべく、画像の重心を各走査ラインの濃度変動(濃度補正)により補正する。以下、詳細に説明する。
[露光出力補正テーブル作成処理のフローチャート]
図16は、第二の実施形態における露光出力補正テーブル作成処理の一実施形態であり、モータの位相情報と位置補正量との対応テーブルの作成処理のフローチャートである。尚、ステップS702乃至S712までの処理は第一の実施形態と同じ処理である為、ここでの詳しい説明は省略し差異(ステップS1601)を中心に説明を行っていく。
図6の補正情報生成部36は、図16のステップS1601で、各FGカウント値(FG−ID)に対応する位置補正量ΔP’nを算出し、算出されたΔP’nとFGカウント値との対応関係をRAMに格納する。本実施形態においても、FGカウント値は、回転体(モータ等)の回転速度変動の位相を示す位相情報として機能するものである。尚、位相情報としてFGカウント値に限定されるわけではないが、以下では位相情報の一例としてFGカウント値を取り上げる。
以下、ステップS1601の処理について、もう少し詳しく説明する。補正情報生成部36は、まず、濃度差分ΔDnからライン間隔増減量ΔLnを求める。ここで各FGカウント値に対応付けられた濃度差分ΔLnは図16のS711の処理により得られた値である。また濃度差分ΔDnには、第一の実施形態の図11で説明した各濃度値と平均値との差分であるΔd1、Δd2や、図11の(c)のテーブルCの合計差分値など、どれを相当させても良い。以下では濃度差分ΔDnに図11の(c)のテーブルCの合計差分値を対応させた場合を説明する。
具体的に、補正情報生成部36は、濃度差分ΔDnとライン間隔増減量ΔLnとを対応付けたテーブルを参照し、濃度差分ΔDnに対応するライン間隔増減量ΔLnを求める。尚、ライン間隔増減量ΔLnは、スキャナ部24による中間転写ベルト上など像担持体上における走査ラインの理想的な間隔からのずれを示す。ここで、濃度差分ΔDnとライン間隔増減量ΔLnとを対応付けたテーブルを図17(a)に示す。図17(a)については後述にて詳しく説明する。
そして、補正情報生成部36は、ライン間隔増減量ΔLnを累積し累積位置変動ΔLnSを算出する。また補正情報生成部36は、算出された累積位置変動ΔLnSに対応する位置変動量ΔPnを求め、その符号を逆にした位置補正量ΔP’nを求める。即ち、第二の実施形態では、各FGカウント値に対応付けた位置補正量ΔP’nを、累積位置変動ΔLnSを打ち消すような値に設定している。そして、この設定に従いスキャナ部24による露光が行われる。
[濃度差分ΔDnとライン間隔増減量ΔLnとの対応テーブルの作成手順]
以下、図17(a)に示される、濃度差分ΔDnとライン間隔増減量ΔLnとを対応付けたテーブルの作成手順について説明する。まず、中間転写体27上に図17(b)に示されるような画像を形成する。図17(b)は一定間隔のライン画像情報を画像形成装置に入力した場合に、モータ等の回転ムラの影響によって、形成されたライン画像の間隔に粗密が発生していることを示している。
そして、中間転写体27上に形成されたライン画像の間隔を、画像形成装置とは別途用意した専用の計測器により計測し、理想の間隔に対してどれだけ増減しているかを示す増減値を算出する。尚、該算出は専用の計測器の計測値を取り込んだコンピュータにより実行される。
一方、図17(b)の画像の濃度(図17(c))が、別途の専用計測器により計測され、先のコンピュータに取り込まれる。濃度計測値を計測したコンピュータは、取り込まれた各濃度値とそれらの平均濃度値との差分を濃度差分ΔDnとして算出する。つまり図17(c)は、そのときの濃度計測結果を示している。図17(c)では、縦軸が濃度値、横軸が画像の搬送方向位置(移動位置)を示しており、均一な濃度の画像が入力された場合の各搬送方向位置での濃度が示されている。図17(c)では、モータの回転ムラに起因して濃度が周期的に変化している。
そして、先のコンピュータは、算出されたライン間隔増減量ΔLnと対応する画像位置におけるΔDnとの対応付けを行い、どれだけの量のΔDnが発生すると、どれだけのライン間隔増減量ΔLnが生じるかを予測する為のテーブルを作成する。ここで作成されたテーブルが図17(a)に示したテーブルである。
尚、図17(a)に示されるテーブルは一例であり、更に細かく区分された濃度差分ΔDnに対して、ライン間隔増減量ΔLnを対応付けても良い。また、図17(a)のテーブルにおける濃度差分ΔDnを基に補間処理を行いライン間隔増減量ΔLnを算出するようにしても良い。そして、図17(a)に示されるテーブルは、画像形成装置内の記憶部22のEEPROMに予め記憶されている。
[位置補正量ΔP’nの算出]
カラー画像形成装置内での濃度ムラ情報(濃度差分ΔDn)から位置補正量ΔP’nを算出する方法を以下具体的に説明する。まず画像形成の直前(図14のtY11とtY12との間の期間)に、各FGカウント値と、FGカウント値に対応付けられる累積位置変動ΔLnSを求める。そして累積位置変動ΔLnSを位置変動量ΔPnに変換し、更に位置変動量ΔPnを逆符号にしたΔP’nを求め、各FGカウント値と位置補正量ΔP’nとの対応付けテーブルを作成する。
そして、各走査ラインに割り当てられたFGカウント値に基づき補正情報生成部36は作成されたテーブルを参照しΔP’nを算出する。即ち各走査ラインの副走査方向位置をどれだけずらせば理想の位置になるかをもとめる。また画像処理部37は、算出された各走査ラインに対応するΔP’nに従い、各走査ライン画像に位置補正を行う為の画像処理を実行する。尚、画像処理が行われた後の露光制御部38、スキャナ部24による露光処理は第一の実施形態と同様である。
ここで累積位置変動ΔLnSについて少し詳しく説明する。本実施形態における累積位置変動ΔLnSは、走査ラインの書き始めの副走査方向位置を基準にしている。従って、どのような濃度変動の状態(位置変動位相)を基準にするかで、各FGカウント値に対応する累積位置変動ΔLnSが変わってくる。例えば、図17の1701のように、濃度状態が最も薄いときに最初の走査ラインが対応すると、以降の初期段階では累積位置変動ΔLnSへマイナスの作用が働く。他方、1702の濃度状態が最も濃いときに最初の走査ラインが対応すると、以降の初期段階では累積位置変動ΔLnSへプラスの作用が働く。即ち、n=mで画像書き出し(レーザビーム走査)が開始される場合の以後の任意のFGカウント値nにおけるΔLnSは、以下の数式1、2で表すことができる。
ここで、ΔLiはn=iのときのΔLnである。数式2中のNはFGカウントの最大値であり、本実施例ではN=31である。数式1、2のいずれにおいても、FGカウントが0のときの位置を基準にしている。そして、その基準位置からFGカウントnまでで発生するトータルの累積位置変動から、基準位置からFGカウントmまでで発生する累積位置変動を減算している。
まず、図11(c)のテーブルCに基づき、補正情報生成部36は、先に説明した図17(a)のテーブルを用いて、各濃度差分ΔDnに対して、ライン間隔増減量ΔLnを対応づけたテーブルを事前に作成しEEPROMに保持している。図18に示すテーブルがそのテーブルである。図18のテーブルでは、各FGカウントに、濃度差分ΔDnに応じたライン間隔増減量ΔLnが対応づけられている。尚、図18における濃度差分ΔDnは実施例1と同様にW1とW4を合成した濃度の濃度平均値に対する濃度差分である。
そして、第一の実施形態で説明したように、tY11にいて、画像処理部37が、露光制御部38からtY0秒後に露光を開始する通知を受信する。そして、その通知を受信したときに図14での説明と同様の処理でtY0秒後の露光開始のtY12のタイミングでのFGカウント値を特定する。ここでは特定されるFGカウント値を例えば3とする。以下、m=3の場合について、具体的に説明する。
補正情報生成部36は、特定したFGカウント値をm(=3)とし、上記数式1、数式2、及び図18のテーブルに基づき、nがmである場合を起点に、一周期にわたって各FGカウント値に対する累積位置変動ΔLnSを算出する。例えば、n=5の場合であれば、上記式1より以下の式が成り立つ。
m=3の場合に、一周期にわたって各FGカウント値に対する累積位置変動ΔLnSを算出した結果を図19の1901に示す。図19の1901の列には、FGカウント値が3のときに画像書き出しを(レーザビーム走査)開始した場合の、各FGカウント値に対応する累積位置変動ΔLnSが示されている。
次に補正情報生成部36は、累積位置変動であるΔLnSと、カラー画像形成装置の出力解像度情報を用いて位置変動量(以下、位置変動量ΔPnと記す)の算出を行う。
位置変動量ΔPnは、例えばカラー画像形成装置の出力解像度が例えば600dpiの場合、孤立1ドットの大きさが42μmであり、ΔPnは累積位置変動ΔLnsを孤立1ドットの直径である42μmで除算した値であり、以下の数式3で表すことができる。
図19の1901のΔLnsの値を、数式3に基づき位置変動量ΔPnに補正情報生成部36が計算した結果が図19の1902の列に示される数値である。そして、補正情報生成部36は更に、ΔPnの値に(−1)を乗算し、符号を逆にしたΔP’nを算出する。このΔP’nがどれだけの位置補正を行えば良いかを示す情報になる。そして、ステップS1601で補正情報生成部36は、図19の1903に示された位置補正値ΔP’nとFGカウント値とを対応付けたテーブル(1903)をRAMに格納する。
実際の画像形成処理(露光処理)では、各走査ラインに対して割り当てられたFGカウント値に従い、図19の1903のテーブルが参照され、各走査ライン画像に対し位置補正量ΔP’nが割り当てられる。そして、画像処理部37が、各走査ラインの画像に対して位置補正量ΔP’nに応じた画像処理を実行し、露光制御部38、スキャナ部24による露光処理は、処理後の走査ライン画像に従い行われる。尚、この露光処理自体は、第一の実施形態と同様である。
[画像重心位置補正の為の画像処理]
次に、算出されたΔP’nについて、実際にどのようにして画像処理を行い、画像重心位置の補正を行うかを図20を用いて説明する。図20(a)に理想位置での画像が示されており、図20(b)は周期的な回転速度変動(回転ムラ)の影響により、画像の形成位置が理想位置からΔPnのライン分ずれていることが示されている。図19の1902に示されたΔPnの値がプラスの場合は、理想位置からΔPnラインだけ画像書き出し開始位置から離れる方向(下流側)にずれた位置に画像が形成される。一方、ΔPnの値がマイナスの場合は、理想位置からΔPnラインだけ画像書き出し開始位置に近づく方向(上流側)ずれた位置に画像が形成される。例えば図19ではFGカウント値が1の場合、理想位置よりも0.154ライン下流側に画像が形成されていることとなる。
図20(c)は、0.2ラインだけ下流側に画像位置がずれていた場合に、0.2ライン分だけ上流側へ画像形成をシフトさせた場合を示している。画像処理部37は、位置変動量ΔPnの画像位置ずれを打ち消すべく、位置補正量ΔP’nに従い、画像補正による画像位置補正を行う。
ここで0.2ラインは1ライン未満の為、図20(d)に示すように、2ラインを使用して画像の形成位置を擬似的に変更する。例えば0.2ラインだけ上流に画像形成をシフトさせるためには、図20(d)の2001に示す通り、2ラインの内1ライン目を20%の画像濃度にし2ライン目を80%の画濃度にする。画像処理部37による画像濃度の補正は、同一ラインの各画像について同様に行われるものとする。また、2002は0.6ライン上流側に画像をシフトさせた例を、2003は0.5ライン下流に画像をシフトさせた例を夫々示している。また、図20(e)は、そのときに形成された潜像(レーザ発光パターン)を示している。図20(e)のように画像形成が行われることで理想のライン位置に画像が補正されていることが分かる。図21(f)と図21(g)には、各ラインの補正前の画像データと補正後の画像データが示されている。
このようにすることによって、モータの周期的な回転速度変動(回転ムラ)の位相に応じた位置補正を行った露光を露光部24に行わせることができるようになる。これにより、画像の重心を各走査ラインの位置変動により補正し、ピッチムラを擬似的に理想的な間隔にできるようになる。尚、図19の1903の各ΔP’nの値に対して、画像処理による画像重心位置補正を厳密に行わなくとも十分にバンディング軽減の効果を得ることができることが確認されている。
バンディング発生の原因の一つに走査ライン画像の形成位置の理想位置からの位置ずれがあげられる。上に説明した実施形態では、この位置ずれを画像濃度補正を伴う画像処理で解消できる。
例えば、濃度補正に係る階調ビットが4ビット(1ビットあたりで約6.7%の濃度調整が可能)の場合を想定する。位置補正を伴う濃度補正によれば、目視したときに細やかな濃度補正を達成できる。これは、以下の理由による。例えば今100%の隣接した2ラインの画像を想定する。まず位置補正を伴わない濃度補正では、片方のラインを0%に補正した場合、2ライン中1ラインの濃度が100%になるのでマクロ的には50%の補正を表現できる。一方、位置補正を行い片方のラインを1ライン分他方のラインから離す方向に移動させる場合、3ライン中2ラインの濃度が100%になるのでマクロ的には約67%の濃度を表現できる。つまり位置補正の場合は33%の濃度変化を4ビットで表現できるので、位置補正を伴わない濃度補正よりも細かく濃度を表現できるのである。
[変形例]
〇テストパッチの形成箇所について
上述の説明では、中間転写体27上にパッチを形成する例を説明した。しかし、パッチの形成対象を転写材搬送ベルト上(転写材担持体上)にする等しても良い。つまり、感光ドラム22に現像されたトナー像を記録材に直接転写する一次転写方式を採用した画像形成装置にも上述の実施形態を適用可能である。この場合には、上述の実施形態におけるパッチ形成対象である中間転写体27を、感光ドラム22に現像されたトナー像が直接一次転写される転写材搬送ベルト(転写材担持体)に置き換えれば良い。また、パッチの形成対象を感光ドラム表面にしても良い。この場合には、上述の実施形態におけるパッチ形成対象である中間転写体27を、感光ドラム22の表面に置き換えれば良い。
〇適用モータについて
また、上述の説明では、感光ドラムを駆動するモータを例に説明したが、感光ドラム以外の画像形成に係る回転体に適用することも出来る。例えば、現像ローラを回転するモータ、中間転写ベルト駆動ローラを回転するモータの回転ムラ周波数について、上に説明したW1及びW4成分に対する濃度補正と同様の処理を行い、それらモータ回転ムラに起因する濃度ムラを補正できる。また、を転写材搬送ベルトを駆動するモータなどにも適用できる。図10を用いて、例えば現像ローラを駆動するモータの場合について少し説明すると、図10の(i)、(ii)に示される、θ1、θ2の夫々を、現像ローラを駆動するモータの回転ムラ位相に置き換えれば良い。そして、現像ローラを回転するモータの回転ムラ位相について、上の説明と同様の処理を行えば良い。また、その他のモータについても現像ローラ駆動モータの場合と同様である。
〇濃度ムラと対応付けされる回転ムラ位相について
また、上述の説明では、露光時のモータ位相と、濃度ムラ補正情報と、を関連付けEEPROMに記憶するよう説明を行ってきた。しかし、露光時に予測される転写時のモータ位相や、露光時に予測される露光後且つ転写前の任意のタイミングにおけるモータ位相と、濃度ムラ補正情報と、を関連付けるようにしても良い。但し、この場合には、ステップS1204で決定される走査ラインLnに対する位相や、ステップS1208で、露光トリガーとなる位相に、その位相が採用される。
〇モータ6の位相変化の特定について
尚、ステップS1213では、モータ6の回転ムラの位相変化を、CPU21が、逐次FGカウント値(FG信号相当)をカウントする例で説明したが、それに限定されない。例えば、図8のタイミングチャートにおけるt3において、再現性を前提に、モータ6の任意又は所定の速度状態を、モータ6のある位相に割り当て、その時点からの経過時間に基づき、先のある位相からのモータ6の位相変化を特定しても良い。これは、モータ6が、1回転する時間が一定或いは略一定とすると、経過時間にFGカウント値を対応付けることができるからである。また、このことは、上に説明した、FFT解析部を設け、FG信号の周波数解析を行った場合に特定される、ある時点におけるモータ6の位相を基準にした場合にも同様である。このように、モータ6の任意或いは所定の速度状態に、任意或いは所定の位相を割り当て、位相が割り当てられた速度状態から、プリンタ稼動パラメータがどれだけ進んだ(カウントされた)かで、CPU21により、モータ6の位相変化を特定させてもよい。
〇テーブル化と演算式化について
また、図11においては、モータ6の位相情報と濃度補正情報とをテーブルとして保持するよう説明したが、これに限定されない。例えば、モータ6の位相情報を入力とし、濃度補正情報を出力できる演算式を求めEEPROMに保持しておくようにしても良い。
〇補正方法について
更に、テストパッチの濃度センサ41による計測結果に基づき、図11の補正情報を作成するよう説明してきたが、例えば、モータ6の回転ムラにおける各位相に予め定められた補正情報を割り当ておくようにしても良い。例えば、画像形成装置の製造時/設計時において、予め図7のフローチャートを実行することで求めておいた補正情報を利用するようにしても良い。
また、上の説明においては、スキャナ部24の露光制御を行うことで、バンディング軽減を行う例を説明してきたが、それに限定されない。例えば、帯電器23の帯電バイアスや、現像器26の現像バイアスの応答性が十分に良い場合には、上述の露光制御と同様の効果を奏するように、帯電バイアスや現像バイアスを制御するようにしても良い。様々な画像形成条件を制御することでも、モータの回転ムラ位相に応じた濃度補正を行った画像形成を画像形成部に行わせることができ、同様の効果を得ることが出来る。