JP5858467B2 - エポキシ化合物の製造方法及び炭素−炭素二重結合のエポキシ化方法 - Google Patents

エポキシ化合物の製造方法及び炭素−炭素二重結合のエポキシ化方法 Download PDF

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Description

本発明は、エポキシ化合物の製造方法及び炭素−炭素二重結合のエポキシ化方法に関する。
α−ピネンオキサイド、リモネンオキサイド、スチレンオキサイド等の各種エポキシ化合物は、例えば、香料等の化成品製造において重要な中間物質である。また、β−ピネンオキサイド、カンフェンオキサイド等の脂環式エポキシ化合物は、例えば、電子材料用封止材、カチオン硬化樹脂等として重要な物質である。
かかるエポキシ化合物の製造方法として、特許文献1は、炭素−炭素二重結合を有する脂環式化合物を、過カルボン酸と反応させてエポキシ化する方法;及びオスミウムの塩、タングステン酸等の触媒及び溶媒の存在下に過酸化水素を反応させてエポキシ化する方法を、開示している。しかし、前者の方法には、過酸類は爆発性等取り扱いに注意を要する化合物であり、又反応後に等モル量の廃棄物が発生する等の問題がある。また、後者の方法は、過酸化水素が副生物として水のみを生成する点で好ましいものの、オスミウム塩の毒性が高いという問題がある。
特許文献2は、スチレンを、弱酸のアルカリ金属塩の存在下に、過酢酸と反応させて、スチレンオキサイドを製造する方法を記載している。しかし、この方法には、過酢酸がその爆発性等の為に取り扱いに注意を要する化合物であるという問題がある。
特許文献3は、スチレンを、ヒ素酸化物及び3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシトルエンの存在下に、過酸化水素と反応させて、スチレンオキサイドを製造する方法を記載している。しかし、この方法には、ヒ素酸化物の毒性が高いという問題がある。
特許文献4には、硫酸マンガン、酢酸コバルト等の遷移金属の塩、重炭酸ナトリウム等の無機促進剤、及び尿素等の有機共同促進剤の存在下に、スチレン、インデン、シクロヘキセン、α−ピネン等のアルケンを、水又は水と有機溶媒中で、過酸化水素で酸化して、エポキシ化する方法が記載されている。しかしながら、この方法には、高希釈条件で行われるため、過酸化水素の利用効率が低く、工業的生産性が低いという問題がある。
非特許文献1には、アセトニトリル等の有機溶媒中、PW24[(CN]で表されるタングストリン酸誘導体を、過酸化水素存在下で、イオン交換樹脂に担持させた固体触媒を用いて、リモネン等のテルペンをエポキシ化する方法;ベンゼン等の有機溶媒中、PW24[(C17NCH]で表されるタングストリン酸誘導体とアミノメチルホスホン酸を触媒として、過酸化水素により、α−ピネン、3−カレン、1−フェニル−1−シクロヘキセン、インデン等をエポキシ化する方法が記載されている。しかしながら、これらの方法には、触媒である、タングストリン酸誘導体およびアミノメチルホスホン酸の製造が困難であるという問題がある。
非特許文献2には、ジクロロメタンとアセトニトリルの混合溶媒中、メチルトリオキソレニウムのルイス塩基付加物を触媒として用いて、過酸化水素により、シクロオクテン、シクロヘキセン、スチレン等のオレフィン;α−ピネン、リモネン、3−カレン等のモノテルペンをエポキシ化する方法が記載されている。また、非特許文献3には、ジクロロメタン中で、メチルトリオキソレニウム/ピラゾールを触媒として、過酸化水素により、スチレン、シクロヘキセン、シクロオクテン等をエポキシ化する方法が記載されている。しかしながら、これらの方法には、触媒であるメチルトリオキソレニウムが非常に高価であり、工業的生産には利用し難いという問題がある。
非特許文献4には、ジクロロエタン/アセトニトリル中、マンガン−ポルフィリン錯体及びイミダゾールの存在下に、過酸化水素により、スチレン、シクロオクテン、リモネン等をエポキシ化する方法が記載されている。しかしながら、この方法は、高価なマンガン−ポルフィリン錯体を触媒として使用しているため、工業的に実施するには問題がある。
非特許文献5には、エキソメチレン部位を有するカリオフィレンを、酸化力の高いm−クロロ過安息香酸を用いて、エポキシ化する方法が報告されている。しかしながら、この方法には、m−クロロ過安息香酸と等モル量のm−クロロ安息香酸が副生成物として排出されるという問題がある。
非特許文献6には、エキソメチレン部位を有するロンギフォーレンを、オゾン分解によって、エポキシ化する方法が報告されている。しかしながら、この方法には、一定濃度のオゾンの供給及び後処理が工業的には困難であるという問題がある。
非特許文献7には、テトラキス(ジペルオキソタングスト)ホスフェートの第4級アンモニウム塩をエポキシ化触媒として、1−オクテン、シクロヘキセン、2,4,4−トリメチル−2−ペンテン、スチレン等のオレフィンを、過酸化水素により、エポキシ化する方法が、開示されている。この方法は、過酸化水素から副生した水による加水分解を抑えるため、反応溶媒として水とは混和しないベンゼン又は1,2−ジクロロエタンを使用した不均一系にて反応を行っているが加水分解を十分に阻止できていない。また、ベンゼン等は有毒物質であり、工業的な使用は好ましくない。
更に、非特許文献8には、タングステン酸ナトリウム塩、アミノメチルリン酸及びメチルトリオクチルアンモニウム硫酸水素塩の存在下、1−オクテン、シクロオクテン、スチレン誘導体等を、過酸化水素を用いてエポキシ化する方法が開示されている。しかしながら、この方法には、アミノメチルリン酸及びメチルトリオクチルアンモニウム硫酸水素塩が工業的に入手困難であるという問題がある。
以上の通り、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物をエポキシ化する、従来公知の方法は、いずれも、安全性や経済性の面から、工業的に有利な方法とはいえない。
特開2002−80557号公報 特開昭55−149271号公報 特開昭55−129276号公報 WO2005/095370号公報
J. Org. Chem. 1999, 64, 7267-7270 Tetrahedron 2005, 61, 1069-1075 J. Organometallic Chem. 1998, 555, 293-295 J. Am. Chem. Soc. 1988, 110, 8462-8470 Bull. Soc. Chim. Fr. 1995, 132, 836-842 Helv. Chim. Acta 2003, 86, 106-121 J. Org. Chem. 1988, 53, 1553-1557 Bull. Chem. Soc. Jpn. 1997, 70, 905-915
本発明の目的は、安価に入手可能で、安全性に問題が無く、しかも高効率な触媒を用いた、工業的に有利なエポキシ化合物の製造方法を、提供することにある。
本発明の他の目的は、酸や熱に対して不安定なエポキシ化合物を、異性化や分解させることなく、かつ有害な物質を用いることなく、効率よく製造できる方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく、炭素−炭素二重結合のエポキシ化方法について鋭意研究した。その結果、タングステン化合物、リン酸類又はホスホン酸類、及び界面活性剤を組み合わせた触媒と、中性の無機塩との存在下、例えば室温程度の温和な条件下に過酸化水素で酸化することにより、効率よく炭素−炭素二重結合のエポキシ化反応が進行することを見出した。本発明者は、かかる知見に基づいて更に種々検討した結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下に示す、エポキシ化合物の製造方法及び炭素−炭素二重結合のエポキシ化方法を提供するものである。
1.炭素−炭素二重結合を有する有機化合物を、タングステン化合物(a)、リン酸類、ホスホン酸類及びこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物(b)及び界面活性剤(c)の組み合わせである触媒、並びに中性無機塩の存在下に、過酸化水素によって、該二重結合を酸化させることを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。
2.炭素−炭素二重結合を有する有機化合物が、α−ピネン又はリモネンである上記項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
3.炭素−炭素二重結合を有する有機化合物が、リモネン−1,2−オキサイドである上記項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
4.炭素−炭素二重結合を有する有機化合物が、β−ピネン、カンフェン、ロンギフォーレン、カリオフィレン、イソカリオフィレン又はカリオフィレン−3,4−オキサイドである、エキソメチレン部位を有する脂環式テルペン化合物である上記項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
5.炭素−炭素二重結合を有する有機化合物が、3−カレン、α−テルピネオール、テルピネン−4−オール、イソプレゴール、カルボン−1,6−オキサイド、ミルセン、ソブレロール、γ-テルピネン、テルピノレン又は2,4,4−トリメチル−1−ペンテンである上記項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
6.炭素−炭素二重結合を有する有機化合物が、一般式
Figure 0005858467
(式中、Rは、電子供与性基又は電子求引性基を示す。R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示す。nは、0〜5の整数を示す。nが2以上のとき、R同士は、同一でも異なっていてもよい。)で表される芳香族化合物である上記項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
7.炭素−炭素二重結合を有する有機化合物が、一般式
Figure 0005858467
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示す。)で表される芳香族化合物である上記項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
8.タングステン化合物(a)が、タングステン酸、三酸化タングステン、リンタングステン酸及びタングステン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である上記項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
9.リン化合物(b)が、リン酸、フェニルホスホン酸、亜リン酸、次亜リン酸、2−エチルヘキシルリン酸、ラウリルリン酸及びリン酸二水素ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である上記項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
10.界面活性剤(c)が、第4級アンモニウム塩及び窒素環含有第4級アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である上記項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
11.中性の無機塩が、硫酸塩である上記項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
12.硫酸塩が、硫酸ナトリウム及び/又は硫酸リチウムである上記項11に記載のエポキシ化合物の製造方法。
13.過酸化水素の使用量が、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物の炭素−炭素二重結合に対して、0.7〜5.0当量である上記項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
14.タングステン化合物(a)の使用量が、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物に対して、0.0001〜20モル%である上記項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
15.リン化合物(b)の使用量が、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物に対して、0.0001〜10モル%である上記項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
16.界面活性剤(c)の使用量が、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物に対して、0.0001〜20モル%である上記項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
17.中性の無機塩の使用量が、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物に対して、1〜500モル%である上記項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
18.炭素−炭素二重結合を有する有機化合物を、タングステン化合物(a)、リン酸類、ホスホン酸類及びこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物(b)及び界面活性剤(c)の組み合わせである触媒、並びに中性無機塩の存在下に、過酸化水素によって、酸化させることを特徴とする炭素−炭素二重結合のエポキシ化方法。
本発明のエポキシ化合物の製造方法及び炭素−炭素二重結合のエポキシ化方法によれば、次の様な顕著な効果が得られる。
(1)安価に入手可能で、安全性に問題が無く、しかも高効率な触媒を用いた、工業的に有利なエポキシ化合物の製造方法、及び炭素−炭素二重結合のエポキシ化方法が提供される。
(2)酸や熱に対して不安定なエポキシ化合物を、異性化や分解させることなく、かつ有害な物質を用いることなく、効率よく製造できる。また、酸化剤として用いる過酸化水素は、副生物が水のみである。従って、本発明の製造方法は、エポキシ化合物の工業的製造方法として、好適である。
(3)例えば、α−ピネン又はリモネンを酸化して、α−ピネンオキサイド又はリモネンモノオキサイド及びリモネンジオキサイドを、その加水分解を抑制して、高収率かつ高選択的に合成することができる。α−ピネンオキサイド、リモネンモノオキサイド及びリモネンジオキサイドは、香料原料、反応性希釈剤、封止材、洗浄剤、高分子改質剤などその用途分野は広範囲にわたっている。
(4)また、リモネンモノオキサイドを酸化して、リモネンジオキサイドを、その加水分解を抑制して、高収率かつ高選択的に合成することができる。リモネンジオキサイドは、反応性希釈剤、封止材、洗浄剤、光硬化型インクジェット用インキの成分などに利用することができる。
(5)また、エキソメチレン部位を有する脂環式化合物を酸化して、脂環式エポキシ化合物を、その異性化や加水分解を抑制しつつ、高収率かつ高選択的に合成することができる。脂環式エポキシ化合物は、電子材料用封止材、あるいはカチオン硬化樹脂として重要な物質であり、香料原料、医農薬中間体、反応性希釈剤、洗浄剤、高分子改質剤などその用途分野は広範囲にわたっている。
(6)また、3−カレン、α−テルピネオール、テルピネン−4−オール、イソプレゴール、カルボン−1,6−オキサイド、β−ピネン、ミルセン、ソブレロール、γ-テルピネン、テルピノレン等のテルペン化合物、又は2,4,4−トリメチル−1−ペンテン等を、温和な条件で酸化して、得られるエポキシ化合物の加水分解を抑制しつつ、それぞれの化合物に対応するエポキシ化合物を高収率かつ高選択的に合成することができる。これらのエポキシ化合物は、香料原料、医農薬中間体、反応性希釈材、電子材料用封止材、カチオン硬化樹脂等として利用できる。
(7)また、スチレン又はスチレン誘導体を、温和な条件で酸化して、スチレンオキサイド又はスチレンオキサイド誘導体を高収率かつ高選択的に合成することができる。スチレンオキサイド等は香料原料、高分子安定剤、紫外線吸収剤、医薬中間体などに利用できる。
エポキシ化合物の製造方法
本発明のエポキシ化合物の製造方法は、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物を、タングステン化合物(a)、リン酸類、ホスホン酸類及びこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物(b)及び界面活性剤(c)の組み合わせである触媒並びに中性無機塩の存在下に、過酸化水素によって、該二重結合を酸化させることを特徴とする。また、本発明のエポキシ化合物の製造方法は、上記触媒を用いて、中性無機塩の存在下に、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物の炭素−炭素二重結合を、過酸化水素によって酸化させることを特徴とするエポキシ化方法でもある。
炭素−炭素二重結合を有する有機化合物
本発明のエポキシ化合物の製造方法における基質(即ち原料化合物)は、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物である。基質としては、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物である限り、特に限定されず、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物等の各種有機化合物を用いることができる。
本発明製造方法における基質としては、例えば、モノテルペン化合物である、α−ピネンおよびリモネンを挙げることができる。α−ピネン及びリモネンとしては、公知のものをそのまま使用することができる。
α−ピネンは、下記の化学式(1)で表わされる(1R)−(+)−α−ピネン、化学式(2)で表わされる(1S)−(−)−α−ピネンのいずれか1種であってもよく、これらの混合物であってもよい。
Figure 0005858467
また、リモネンは、下記の化学式(3)で表わされる(l)−リモネン、化学式(4)で表わされる(d)−リモネンのいずれか1種であってもよく、これらの混合物であってもよい。
Figure 0005858467
また、基質として、例えば、リモネン−1,2−オキサイドを挙げることができる。このリモネンモノオキサイドは公知のものをそのまま使用することができる。リモネン−1,2−オキサイドとしては、下記化学式(5)で表わされる化合物、化学式(6)で表わされる化合物、化学式(7)で表わされる化合物、化学式(8)で表される化合物のいずれかの立体異性体の1種であってもよく、これらの立体異性体の任意の混合物であってもよい。
Figure 0005858467
また、本発明において基質として、エキソメチレン部位を有する化合物、例えば、エキソメチレン部位を有する脂環式化合物、好ましくは脂環式テルペン化合物を挙げることができる。このエキソメチレン部位を有する化合物としては、公知のものを使用することができる。
エキソメチレン部位を有する脂環式テルペン化合物としては、例えば、β−ピネン、カンフェン、β-フェランドレン等のモノテルペン化合物;ロンギフォーレン、カリオフィレン、イソカリオフィレン、アロマデンドレン等のセスキテルペン化合物;カリオフィレンモノオキサイド、フェランドレンモノオキサイド等のテルペンエポキシ化合物等が挙げられる。これらの中では、β-ピネン、カンフェン、ロンギフォーレン、カリオフィレン、イソカリオフィレン及びカリオフィレン−3,4−オキサイドを基質として使用した場合に、特に選択性及び収率が高くなる。
β−ピネンは、下記化学式(9)で表される。
Figure 0005858467
カンフェンは、下記化学式(10)で表される。
Figure 0005858467
ロンギフォーレンは、下記化学式(11)で表される。
Figure 0005858467
また、カリオフィレンとしては、α-カリオフィレン、β-カリオフィレン、イソカリオフィレンのいずれも用いることができる。β-カリオフィレンは、下記化学式(12)で表される。また、イソカリオフィレンは、下記化学式(13)で表される。
Figure 0005858467
カリオフィレン−3,4−オキサイドは、下記化学式(14)で表される。
Figure 0005858467
また、本発明の製造方法における基質として、3−カレン、α−テルピネオール、テルピネン−4−オール、イソプレゴール、カルボン−1,6−オキサイド、ミルセン、カルベオール、ソブレロール、γ-テルピネン、テルピノレン、オシメン等のテルペン化合物、又は1−オクテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン等のアルケン化合物を、挙げることができる。これらの化合物としては、それぞれ公知のものを、用いることができる。
また、本発明の製造方法における基質として、エチレン性不飽和二重結合を有する芳香族化合物を用いることができる。このような芳香族化合物としては、公知のものを用いることができるが、例えば、下記一般式(I)で表されるスチレン系芳香族化合物を挙げることができる。
Figure 0005858467
一般式(I)において、Rは、電子供与性基又は電子求引性基を示す。R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示す。nは、0〜5の整数を示す。nが2以上のとき、R同士は、同一でも異なっていてもよい。
更に、基質のエチレン性不飽和二重結合を有する芳香族化合物として、例えば、下記一般式(II)で表されるインデン系芳香族化合物を挙げることができる。
Figure 0005858467
一般式(II)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示す。
一般式(I)のRで示される電子供与性基としては、例えば、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基等が挙げられ、電子求引性基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基、−COR基〔Rは、アルキル基、OH基又はOR基(Rはアルキル基を示す)を示す〕、アルケニル基などが挙げられる。また、一般式(I)及び一般式(II)において、R〜Rで示される置換されていてもよい炭化水素基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、1−メチルヘプチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、エチニル基、2−プロペニル基、オクテニル基、デセニル基、オレイル基等の不飽和鎖式炭化水素基;シクロヘキシル基、1−シクロヘキセニル、シクロヘキシリデン等の脂環式炭化水素基;トリル基(o-、m-、p-)、キシリル基(o-、m-、p-)、クメニル基(o-、m-、p-)、フェネチル基、α-メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、ジフェニルメチル基、ベンズヒドリル基、スチリル基、シンナミル基、ベンジリデン基、p−フェニレン基、4−メチル−m−フェニレン基、4−ビフェニリル基、9−アントリル基、2−フェナントリル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
一般式(I)で表わされる化合物としては、たとえば、スチレン(R〜R=水素原子、n=0)、ハロゲンスチレン(R=ハロゲン、R〜R=水素原子、n=1〜5)、アルキルスチレン(R=アルキル基、R〜R=水素原子、n=1〜5、あるいはR〜Rのいずれか1個がアルキル基でその他が水素原子、いずれか2個がアルキル基でその他が水素原子、又は3個がアルキル基、n=0)、アミノスチレン(R=アミノ基、R〜R=水素原子、n=1〜5)、ニトロスチレン(R=ニトロ基、R〜R=水素原子、n=1〜5)、シアノスチレン(R=シアノ基、R〜R=水素原子、n=1〜5)、カルボキシルスチレン(R=カルボキシル基、R〜R=水素原子、n=1〜5)、ビニルスチレン(R=ビニル基、R〜R=水素原子、n=1〜5)などが挙げられる。特に、スチレン(R〜R=水素原子、n=0)あるいはハロゲンスチレン(R=ハロゲン、R〜R=水素原子、n=1〜5)、アルキルスチレン(R〜Rのいずれか1個がアルキル基でその他が水素原子、いずれか2個がアルキル基でその他が水素原子、又は3個がアルキル基、n=0)、ビニルスチレン(R=ビニル基、R〜R=水素原子、n=1〜5)を基質とする場合に、得られる化合物の選択性が良好である。
また、一般式(II)で表わされる化合物としては、たとえば、インデン(R=H、R=H)、メチルインデン(R=H、R=メチル基)、エチルインデン(R=H、R=エチル基)、ジメチルインデン(R=メチル基、R=メチル基)などが挙げられる。特にインデン(R=H、R=H)を基質とする場合に、得られる化合物の選択性が良好である。
次に、本発明のエポキシ化合物の製造方法の工程について、詳細に説明する。本発明の製造方法は、基質(原料化合物)である炭素−炭素二重結合を有する有機化合物を、タングステン化合物(a)、特定のリン化合物(b)及び界面活性剤(c)を併用する触媒と、中性の無機塩との存在下に、過酸化水素によって、該二重結合を酸化して、エポキシ化合物を合成するものである。
用いる過酸化水素としては、特に限定されず公知のものを用いることができる。過酸化水素は、水溶液として用いることが取り扱い性等の点から好ましい。反応に使用する過酸化水素の水溶液の濃度に制限はなく、通常、1〜100重量%程度で用いられ、10〜60重量%程度で用いることが好ましい。
過酸化水素の使用量に制限はないが、通常は、基質中に含まれる炭素−炭素二重結合に対し0.7〜5.0当量程度であり、好ましくは0.8〜2.5当量程度、より好ましくは0.9〜1.5当量程度である。過酸化水素の使用量は、基質の種類に応じて、適宜決定すればよい。
本発明においては、タングステン化合物(a)、リン酸類、ホスホン酸類及びこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物(b)及び界面活性剤(c)を併用する触媒を用いる。
タングステン化合物(a)としては、水中でタングステン酸アニオンを生成する化合物であれば特に限定されず公知のものを用いることができる。具体的には、例えばタングステン酸、三酸化タングステン、三硫化タングステン、リンタングステン酸等;タングステン酸アンモニウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸ナトリウム等のタングステン酸塩等が挙げられる。これらの内、タングステン酸、三酸化タングステン、リンタングステン酸、タングステン酸ナトリウム等が好ましい。
タングステン化合物(a)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。その使用量は、基質に対して、0.0001〜20モル%程度、好ましくは0.01〜10モル%程度の範囲から選ばれる。
リン酸類、ホスホン酸類及びこれらの塩としては、以下のようなものが挙げられる。リン酸類としては、例えば、リン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、ヘキサメタリン酸、次亜リン酸、亜リン酸、ドデシルリン酸、2−エチルヘキシルリン酸等が、リン酸類の塩としては、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素アンモニウム、ポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム等が挙げられる。ホスホン酸類としては、例えば、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、n−プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、n−ブチルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、4−アミノフェニルホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ビス(ホスホン酸)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)等が、ホスホン酸類の塩としては、例えば、フェニルホスホン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中では、リン酸、フェニルホスホン酸、亜リン酸、次亜リン酸、2−エチルヘキシルリン酸、ラウリルリン酸、リン酸二水素ナトリウム等が好ましい。
本発明においては、リン化合物(b)として、上記のリン酸類、ホスホン酸類及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いる。リン化合物(b)の使用量は、通常、基質に対して、0.0001〜10モル%程度、好ましくは0.01〜10モル%程度の範囲から選ばれる。
界面活性剤(c)としては、第4級アンモニウム塩類、窒素環含有第4級アンモニウム塩類、第4級ホスホニウム塩、大環状ポリエーテル類等が挙げられる。これらの内、第4級アンモニウム塩類及び窒素環含有第4級アンモニウム塩類が好ましい。第4級アンモニウム塩類の具体例としては、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルエチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、トリカプリルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。また、これらのブロマイド、ヨーダイド、亜硫酸塩、硫酸塩または硫酸水素塩でもよい。
また、窒素環含有第4級アンモニウム塩類としては、窒素環がピリジン環、ピコリン環、キノリン環、イミダゾリン環またはモルホリン環等の窒素含有複素環からなる第4級アンモニウム塩類が挙げられる。これらの内、ピリジン環からなる第4級アンモニウム化合物が好ましい。具体例として、アルキル(炭素数8〜20の直鎖または分岐のアルキル、以下同様)ピリジニウム塩(例えば、N−ラウリルピリジニウムクロライド、N−セチルピリジニウムクロライドなど)、アルキルピコリウム塩(例えばN−ラウリルピコリニウムクロライドなど)、アルキルキノリウムクロライド、アルキルイソキノリウムクロライド、アルキルヒドロキシエチルイミダゾリンクロライド、アルキルヒドロキシモルホリンクロライド等が挙げられる。また、これらのブロマイド、ヨーダイド亜硫酸塩、硫酸塩または硫酸水素塩でもよい。
界面活性剤(c)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。その使用量は、基質に対して、0.0001〜20モル%程度、好ましくは0.01〜10モル%程度の範囲から選ばれる。
本発明の製造方法においては、前記触媒及び中性の無機塩の存在下に、炭素−炭素二重結合のエポキシ化反応を行う。中性の無機塩としては、例えば、硫酸塩が好ましい。硫酸塩としては、例えば、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等が好ましく、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム等がより好ましい。当該無機塩は、無水物でも水和物でもよく、またはそれらの混合物であっても良い。中性無機塩は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。その使用量は、基質に対して、1〜500モル%程度、好ましくは10〜100モル%程度の範囲から選ばれる。
本発明の製造方法においては、エポキシ化反応の速度の向上や副生成物の生成抑制等の点から、反応系内のpHを0.1〜7.0程度とすることが好ましく、0.5〜4.0程度とすることがより好ましい。なお、触媒組成に応じて、反応系内のpHが上記の範囲内でない場合には、硫酸などの酸;リン酸塩などの酸性塩;水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物等を用いて、反応系内のpHを上記範囲に調整して、エポキシ化反応を実施することができる。
本発明の製造方法では、通常、有機相と水相との二相液中で、エポキシ化反応を行う。有機相と水相との二相液において、通常、本発明で用いる、4級アンモニウム塩以外の触媒、中性無機塩及び過酸化水素は水溶性であるので水相になり、一方基質や4級アンモニウム塩は水に溶け難く有機相となる。また、反応速度の向上や反応副生成物の生成抑制のために、必要に応じて、反応系内に有機溶剤を加えてもよい。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の疎水性溶媒を用いるのが好ましい。有機溶剤を用いる場合の使用量は、基質に対して、1〜500モル%程度、好ましくは10〜300モル%程度である。
本発明の製造方法において、反応温度は、通常、−30〜80℃程度である。基質が、エキソメチレン部位を有する化合物である場合は、好ましくは0〜80℃程度、より好ましくは20〜60℃程度である。また、基質が、エキソメチレン部位を有する化合物以外である場合は、好ましくは−30〜60℃程度、より好ましくは0〜45℃程度である。
本発明の製造方法における反応時間は、用いる触媒の量や反応温度等により適宜決定すればよいが、通常は30分〜24時間程度、好ましくは1〜20時間程度、より好ましくは2〜12時間程度である。
本発明の製造方法を実施するにあたっては、例えば、反応器にタングステン化合物(a)、リン化合物(b)、界面活性剤(c)、中性無機塩、及び過酸化水素水を入れて混合し、さらに基質を加えて、所定の温度で、通常撹拌下にエポキシ化反応を行う。この添加順は、必要に応じて変更してもよい。反応終了後は、生成物を公知の方法で分離し、必要に応じて精製して、目的物のエポキシ化合物を得る。例えば、生成物から、蒸留によって、目的物のエポキシ化合物を得ることができる。また、必要に応じて、チオ硫酸ナトリウム水溶液等で残留する過酸化水素を分解してもよい。
本発明の製造方法によって得られるエポキシ化合物は、基質としてα−ピネンを用いた場合には、α−ピネンオキサイドとなる。α−ピネンオキサイドは、下記の化学式(15)で表わされる化合物、化学式(16)で表わされる化合物、化学式(17)で表わされる化合物、及び化学式(18)で表わされる化合物のいずれかの立体構造を有する。本発明の製造方法によれば、通常は、これらの立体異性体の混合物として得られる。
Figure 0005858467
また、基質としてリモネンを用いた場合には、リモネン−1,2−オキサイド及びリモネンジオキサイドが得られる。また、基質として、リモネン−1,2−オキサイドを用いた場合には、リモネンジオキサイドが得られる。リモネン−1,2−オキサイドは、前記の化学式(5)で表わされる化合物、化学式(6)で表わされる化合物、化学式(7)で表わされる化合物、化学式(8)で表される化合物のいずれかの立体構造を有する。また、リモネンジオキサイドは、下記の化学式(19)で表わされる化合物、化学式(20)で表わされる化合物、化学式(21)で表わされる化合物、化学式(22)で表される化合物のいずれかの立体構造を有する。本発明の製造方法によれば、通常は、これらの立体異性体の混合物として、得られる。
Figure 0005858467
また、基質としてβ−ピネンを用いた場合には、β−ピネンオキサイドが得られる。β−ピネンオキサイドは、下記の化学式(23)で表わされる。
Figure 0005858467
また、基質としてカンフェンを用いた場合には、カンフェンオキサイドが得られる。カンフェンオキサイドは、下記の化学式(24)で表わされる。
Figure 0005858467
また、基質としてロンギフォーレンを用いた場合には、ロンギフォーレンオキサイドが得られる。ロンギフォーレンオキサイドは、下記の化学式(25)で表わされる。
Figure 0005858467
また、基質としてカリオフィレン又はイソカリオフィレンを用いた場合には、カリオフィレンモノオキサイド又はカリオフィレンジオキサイドの混合物となる。カリオフィレンモノオキサイドは、通常、前記の化学式(14)で表されるカリオフィレン−3,4−オキサイドである。また、カリオフィレンジオキサイドは、下記の化学式(26)で表わされる。また、基質としてカリオフィレンモノオキサイドを用いた場合にも、カリオフィレンジオキサイドとなる。
Figure 0005858467
また、一般式(I)で表わされるスチレン系芳香族化合物を原料として用いた場合には、下記一般式(III)で表される芳香族エポキシ化合物が得られる。
Figure 0005858467
一般式(III)において、R、R、R、R及びnは、前記に同じ。
また、基質として、一般式(II)で表わされる化合物を用いた場合には、下記一般式(IV)で表される芳香族エポキシ化合物が得られる。
Figure 0005858467
一般式(IV)において、R及びRは、前記に同じ。
かくして、本発明の製造方法によれば、炭素−炭素二重結合を有する化合物から、目的とするエポキシ化合物を、高い転化率、選択率及び収率で、得ることができる。ここで、本明細書において、転化率とは「反応前の原料のガスクロマトグラフィー−質量分析計のガスクロマトグラフィー(GC)ピーク面積から反応後の未反応原料のGCピーク面積を差し引き、100%換算して算出したもの」である。選択率とは、「目的エポキシ化合物のGCピーク面積を、反応前の原料GCピーク面積から反応後の未反応原料のGCピーク面積を差し引いたもので割り、100%換算して算出したもの」である。収率とは「基質の物質量に対する得られた目的エポキシ化合物の物質量の百分率」である。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明はこれら各例によって限定されるものではない。
各実施例及び比較例で生成物の分析は、ガスクロマトグラフィー−質量分析計(商品名「7890A/5975C」、アジレント・テクノロジー社製)を用いて、下記条件で行った。
カラム:商品名「HP−5」(アジレント・テクノロジー社製)
オーブン温度:50℃で5分間保持後、10℃/minの昇温速度で、250℃まで昇温した。
スプリット比:「50:1」
基質がα−ピネン又はリモネンである場合の例
実施例1
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(19.8mg、0.06mmol)、硫酸水素メチルトリオクチルアンモニウム(27.9mg、0.06mmol)、フェニルホスホン酸(4.7mg、0.03mmol)、硫酸ナトリウム(128mg、0.90mmol)、30重量%過酸化水素水溶液(340mg、3.0mmol)を入れ15分間攪拌後、温度25℃で、α−ピネン(409mg、3.0mmol)を加え、攪拌下にて12時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をガスクロマトグラフィー−質量分析計(以下、「GC−MS」という)で分析すると、α−ピネンの転化率は92%、α−ピネンオキサイドの選択率は80%(収率は74%)であった。
実施例2
硫酸ナトリウムの代わりに硫酸リチウム(231mg、2.1mmol)を添加して反応を行った他は、実施例1と同様にして反応を行った。α−ピネンの転化率は93%、α−ピネンオキサイドの選択率は84%(収率は78%)であった。
実施例3
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(80mg、0.24mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(100mg、0.24mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(14mg、0.06mmol)、硫酸ナトリウム(520mg、3.66mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(100mg、0.49mmol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(1.17g、12.2mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、α−ピネン(1.68g、12.2mmol)を加え、攪拌下にて12時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、α−ピネンの転化率は83%、α−ピネンオキサイドの選択率は94%(収率は78%)であることが確認された。
実施例4
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(40mg、0.12mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(50mg、0.12mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(3.5mg、0.015mmol)、硫酸ナトリウム(520mg、3.66mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(50mg、0.24mmol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(1.53g、15.9mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、リモネン(1.68g、12.2mmol)を加え、攪拌下にて12時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、リモネンの転化率は99%、リモネン−1,2−オキサイドの選択率は73%(収率は72%)、リモネンジオキサイドの選択率は21%(収率は20%)であることが確認された。
比較例1
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例1の条件と同様に反応を行った。α−ピネンの転化率は55%、α−ピネンオキサイドの選択率は2%(収率は1%)であった。
比較例2
タングステン酸ナトリウム2水和物、硫酸水素メチルトリオクチルアンモニウム、フェニルホスホン酸を用いない以外は、実施例1と同様にして反応を行った。α−ピネンの転化率は2%、α−ピネンオキサイドの選択率は0%(収率は0%)であった。
比較例3
硫酸水素メチルトリオクチルアンモニウムの代わりに硫酸水素ナトリウム一水和物(8.3mg、0.06mmol)を添加した以外は実施例1と同様にして反応を行った。α−ピネンの転化率は5%、α−ピネンオキサイドの選択率は0%(収率は0%)であった。
比較例4
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例3の条件と同様に反応を行った。α−ピネンの転化率は23%、α−ピネンオキサイドの選択率は2%(収率は1%)であった。
比較例5
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例4の条件と同様に反応を行った。リモネンの転化率は77%、リモネン−1,2−オキサイドの選択率は18%(収率は13%)であった。
実施例5
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(160mg、0.49mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(197mg、0.49mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(28mg、0.12mmol)、硫酸ナトリウム(1.04g、7.32mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(100mg、0.49mmol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(2.34g、24.4mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、リモネン(1.68g、12.2mmol)を加え、攪拌下にて18時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、リモネンの転化率は100%、リモネン−1,2−オキサイドの選択率は31%(収率は30%)、リモネンジオキサイドの選択率は43%(収率は43%)であることが確認された。
基質がリモネン−1,2−オキサイドである場合の例
実施例6
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(80mg、0.24mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(100mg、0.24mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(14mg、0.06mmol)、硫酸ナトリウム(520mg、3.66mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(49mg、0.24mmol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(1.17g、12.2mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、リモネン−1,2−オキサイド(1.88g、12.2mmol)を加え、攪拌下にて19時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、リモネン−1,2−オキサイドの転化率は74%、リモネンジオキサイドの選択率は85%(収率63%)であることが確認された。
実施例7
反応系内に添加剤としてトルエンを基質に対して100重量%入れた以外は実施例5と同様にして反応を行った。リモネンモノオキサイドの転化率は79%、リモネンジオキサイドの選択率は94%(収率74%)であった。
実施例8
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(120mg、0.37mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(150mg、0.37mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(21mg、0.09mmol)、硫酸ナトリウム(520mg、3.66mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(74mg、0.37mmol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(1.17g、12.2mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、リモネン−1,2−オキサイド(1.88g、12.2mmol)を加え、攪拌下にて9時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、リモネン−1,2−オキサイドの転化率は81%、リモネンジオキサイドの選択率は90%(収率73%)であることが確認された。
比較例6
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例6の条件と同様に反応を行った。リモネン−1,2−オキサイドの転化率は53%、リモネンジオキサイドの選択率は52%(収率28%)であった。
比較例7
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例8の条件と同様に反応を行った。リモネン−1,2−オキサイドの転化率は59%、リモネンジオキサイドの選択率は57%(収率34%)であった。
基質がエキソメチレン部位を有する脂環式テルペン化合物である場合の例
実施例9
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(80mg、0.24mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(100mg、0.24mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(56mg、0.24mmol)、硫酸ナトリウム(520mg、3.66mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(73.5mg、0.36mmol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(1.17g、12.2mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、β−ピネン(1.68g、12.2mmol)を加え、攪拌下にて7時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、β−ピネンの転化率は50%、β−ピネンオキサイドの選択率は41%(収率は20.5%)であることが確認された。
実施例10
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(80mg、0.24mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(100mg、0.24mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(14mg、0.06mmol)、硫酸ナトリウム(520mg、3.66mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(100mg、0.49mmol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(1.17g、12.2mmol)を入れ30分間攪拌し、トルエン1.68gに溶解したカンフェン(1.68g、12.2mmol)を加え、攪拌下、温度60℃で、6時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、カンフェンの転化率は89%、カンフェンオキサイドの選択率は90%(収率は80%)であることが確認された。
実施例11
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(80mg、0.24mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(100mg、0.24mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(14mg、0.06mmol)、硫酸ナトリウム(520mg、3.66mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(100mg、0.49mmol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(2.34g、24.4mmol)を入れ30分間攪拌し、β−カリオフィレン(2.82g、12.2mmol)を加え、攪拌下、温度60℃で、6時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、カリオフィレンの転化率は100%、カリオフィレンオキサイドの選択率は88%(3,4−モノオキサイド46%、ジオキサイド42%)であることが確認された。
実施例12
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(80mg、0.24mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(100mg、0.24mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(14mg、0.06mmol)、硫酸ナトリウム(520mg、3.66mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(100mg、0.49mmol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(1.17g、12.2mmol)を入れ30分間攪拌し、ロンギフォーレン(2.73g、12.2mmol)を加え、攪拌下、温度60℃で、12時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、ロンギフォーレンの転化率は68%、ロンギフォーレンオキサイドの選択率は97%(収率65%)であることが確認された。
実施例13
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(9.9mg、0.03mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(12.1mg、0.03mmol)、1.0Mリン酸水溶液(7.5μL、0.0075mmol)、硫酸ナトリウム(256mg、1.8mmol)、5.0M硫酸水溶液(6.0μL、0.03mmol)、30重量%過酸化水素水溶液(680mg、6.0mmol)を入れ30分間攪拌し、β−カリオフィレン(613mg、3.0mmol)を加え、攪拌下、温度60℃で、12時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、カリオフィレンの転化率は100%、カリオフィレン−3,4−オキサイド、ジオキサイドの選択率はそれぞれ19%、78%であることが確認された。
実施例14
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(9.9mg、0.03mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(12.1mg、0.03mmol)、1.0Mリン酸水溶液(7.5μL、0.0075mmol)、硫酸ナトリウム(256mg、1.8mmol)、5.0M硫酸水溶液(6.0μL、0.03mmol)、30重量%過酸化水素水溶液(340mg、3.0mmol)を入れ30分間攪拌し、カリオフィレンオキサイド(661mg、3.0mmol)を加え、攪拌下、温度60℃で、12時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、カリオフィレンオキサイドの転化率は85%、カリオフィレンジオキサイドの選択率は100%(収率85%)であることが確認された。
比較例8
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例9の条件と同様に反応を行った。β−ピネンの転化率は58%、β−ピネンオキサイドの選択率は0%(収率は0%)であった。
比較例9
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例10の条件と同様に反応を行った。カンフェンの転化率は85%、カンフェンオキサイドの選択率は10%(収率は8.5%)であった。
比較例10
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例11の条件と同様に反応を行った。カリオフィレンの転化率は100%、カリオフィレンオキサイドの選択率は71%(3,4−モノオキサイド51%、ジオキサイド20%)であった。
比較例11
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例12の条件と同様に反応を行った。ロンギフォーレンの転化率は59%、ロンギフォーレンオキサイドの選択率は24%(収率14%)であった。
比較例12
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例13の条件と同様に反応を行った。カリオフィレンの転化率は100%、カリオフィレンオキサイドの選択率は42%(3,4−モノオキサイド35%、ジオキサイド7%)であった。
基質が3−カレン等のテルペン化合物又は2,4,4−トリメチル−1−オキサイドである場合の例
実施例15
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(9.90mg、0.030mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(12.1mg、0.030mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(1.73mg、0.0075mmol)、硫酸ナトリウム(127.84mg、0.90mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(6.07mg、0.030mol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(0.28g、3.0mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、3−カレン(0.41g、3.0mmol)を加え、攪拌下にて12時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、3−カレンの転化率は96%、3−カレンのオキサイドの選択率は94%(収率は94%)であることが確認された。
実施例16
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(9.90mg、0.030mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(12.1mg、0.030mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(1.73mg、0.0075mmol)、硫酸ナトリウム(127.84mg、0.90mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(6.07mg、0.030mol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(0.28g、3.0mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、α−テルピネオール(0.48g、3.0mmol)を加え、攪拌下にて12時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、α−テルピネオールの転化率は87%、α−テルピネオールのオキサイドの選択率は91%(収率は79%)であることが確認された。
実施例17
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(9.90mg、0.030mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(12.1mg、0.030mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(1.73mg、0.0075mmol)、硫酸ナトリウム(127.84mg、0.90mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(6.07mg、0.030mol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(0.28g、3.0mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、テルピネン−4−オール(0.48g、3.0mmol)を加え、攪拌下にて12時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、テルピネン−4−オールの転化率は100%、α−テルピネオールのオキサイドの選択率は98%(収率は98%)であることが確認された。
実施例18
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(9.90mg、0.030mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(12.1mg、0.030mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(1.73mg、0.0075mmol)、硫酸ナトリウム(127.84mg、0.90mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(6.07mg、0.030mol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(0.28g、3.0mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン(0.37g、3.0mmol)を加え、温度を60℃とし、攪拌下にて12時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、2,4,4−トリメチル−1−ペンテンの転化率は82%、2,4,4−トリメチル−1−ペンテンのオキサイドの選択率は97%(収率は79%)であることが確認された。
実施例19
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(9.90mg、0.030mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(12.1mg、0.030mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(1.73mg、0.0075mmol)、硫酸ナトリウム(127.84mg、0.90mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(6.07mg、0.030mol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(0.28g、3.0mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、イソプレゴール(0.48g、3.0mmol)を加え、温度を40℃とし、攪拌下にて12時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、イソプレゴールの転化率は83%、イソプレゴールのオキサイドの選択率は100%(収率は83%)であることが確認された。
実施例20
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(9.90mg、0.030mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(12.1mg、0.030mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(1.73mg、0.0075mmol)、硫酸ナトリウム(127.84mg、0.90mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(6.07mg、0.030mol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(0.28g、3.0mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、カルボン−1,6−オキシド(0.51g、3.0mmol)を加え、温度を50℃とし、攪拌下にて12時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析するとカルボン−1,6−オキシドの転化率は56%、カルボン−1,6−7,8−ジオキシドの選択率は100%(収率は56%)であることが確認された。
実施例21
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(80mg、0.24mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(14mg、0.06mmol)、硫酸ナトリウム(511mg、3.60mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(48.5mg、0.24mmol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(1.17g、12.2mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(100mg、0.24mmol)、β−ピネン(1.68g、12.2mmol)をトルエン(2.52g、27.4mmol)に溶解したものを加え、温度を40℃とし、攪拌下にて7時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、β−ピネンの転化率は75%、β−ピネンオキサイドの選択率は91%(収率は68.2%)であることが確認された。
実施例22
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(40mg、0.12mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(7mg、0.03mmol)、硫酸ナトリウム(511mg、3.60mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(24.2mg、0.12mmol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(1.17g、12.2mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(50mg、0.12mmol)、β−ミルセン(1.86g、12.2mmol)を加え、攪拌下にて14時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、β−ミルセンの転化率は77%、ミルセン−6,7−モノオキサイドの選択率は100%(収率は75%)であることが確認された。
実施例23
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(19.6mg、0.06mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(25.4mg、0.06mmol)、1.0Mリン酸水溶液(15.0μL、0.0150mmol)、硫酸ナトリウム(130mg、0.9mmol)、5.0M硫酸水溶液(12.0μL、0.06mmol)、30%過酸化水素水溶液(329mg、2.9mmol)を入れ30分間攪拌し、トルエン457mgに溶解したソブレロール(461mg、3.0mmol)を加え、温度40℃にて6時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、ソブレロールの転化率は97%、ソブレロールオキサイドの選択率は100%(収率97%)であることが確認された。
実施例24
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(40mg、0.12mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(7mg、0.03mmol)、硫酸ナトリウム(511mg、3.60mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(24.2mg、0.12mmol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(2.34g、24.4mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(50mg、0.12mmol)、γ-テルピネン(1.86g、12.2mmol)を加え、攪拌下にて14時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、γ-テルピネンの転化率は100%、γ-テルピネンモノオキサイド、ジオキサイドの選択率はそれぞれ10%、85%であることが確認された。
実施例25
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(40mg、0.12mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(7mg、0.03mmol)、硫酸ナトリウム(511mg、3.60mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(24.2mg、0.12mmol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(2.34g、24.4mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(50mg、0.12mmol)、テルピノレン(1.86g、12.2mmol)を加え、攪拌下にて14時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、テルピノレンの転化率は62%、テルピノレンモノオキサイドの選択率は70%(収率43%)であることが確認された。
比較例13
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例15の条件と同様に反応を行った。3−カレンの転化率は97%、3−カレンのオキサイドの選択率は83%(収率は81%)であった。
比較例14
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例16の条件と同様に反応を行った。α−テルピネオールの転化率は86%、α−テルピネオールのオキサイドの選択率は24%(収率は21%)であった。
比較例15
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例17の条件と同様に反応を行った。テルピネン−4−オールの転化率は100%、テルピネン−4−オールのオキサイドの選択率は46%(収率は46%)であった。
比較例16
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例18の条件と同様に反応を行った。2,4,4−トリメチル−1−ペンテンの転化率は83%、2,4,4−トリメチル−1−ペンテンのオキサイドの選択率は62%(収率は52%)であった。
比較例17
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例19の条件と同様に反応を行った。イソプレゴールの転化率は81%、イソプレゴールのオキサイドの選択率は10%(収率は8%)であった。
比較例18
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例20の条件と同様に反応を行った。カルボン−1,6−オキシドの転化率は63%、カルボン−1,6−7,8−ジオキシドの選択率は83%(収率は52%)であった。
比較例19
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例21の条件と同様に反応を行った。β−ピネンの転化率は15%、β−ピネンジオキシドの選択率は0%(収率は0%)であった。
比較例20
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例22の条件と同様に反応を行った。β−ミルセンの転化率は13%、ミルセンモノオキシドの選択率は0%(収率は0%)であった。
比較例21
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例23の条件と同様に反応を行った。ソブレロールの転化率は100%、ソブレロールオキサイドの選択率は70%(収率は70%)であった。
比較例22
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例24の条件と同様に反応を行った。γ-テルピネンの転化率は43%、γ-テルピネンモノオキサイド、ジオキサイドの選択率はそれぞれ27%、9%であった。
比較例23
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例25の条件と同様に反応を行った。テルピノレンの転化率は77%、テルピノレンモノオキサイドの選択率は44%(収率は34%)であった。
基質が炭素−炭素二重結合を有する芳香族化合物である場合の例
実施例26
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(80mg、0.24mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(100mg、0.24mmol)、42.5重量%リン酸水溶液(28mg、0.12mmol)、硫酸ナトリウム(520mg、3.66mmol)、48.5重量%希硫酸水溶液(98mg、0.48mmol)、35.5重量%過酸化水素水溶液(1.17g、12.2mmol)を入れ30分間攪拌後、温度25℃で、スチレン(1.27g、12.2mmol)を加え、攪拌下にて6時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、スチレンの転化率は86%、スチレンオキサイドの選択率は93%(収率80%)であることが確認された。
実施例27
磁気攪拌子を備えた試験管に、タングステン酸ナトリウム2水和物(19.8mg、0.06mmol)、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(24.2mg、0.06mmol)、5.0Mリン酸水溶液(3μL、0.0015mmol)、硫酸ナトリウム(170mg、1.2mmol)、5.0M硫酸水溶液(14μL、0.07mmol)、30重量%過酸化水素水溶液(340mg、3.0mmol)を入れ1分間攪拌後、温度25℃で、スチレン(312mg、3.0mmol)を加え、攪拌下にて10時間エポキシ化反応させた。水層より分離した有機層をGC−MSで分析すると、スチレンの転化率は94%、スチレンオキサイドの選択率は90%(収率85%)であることが確認された。
比較例24
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例26の条件と同様に反応を行った。スチレンの転化率は37%、スチレンオキサイドの選択率は1.2%(収率0.4%)であった。
比較例25
リン酸を用いない以外は実施例27の条件と同様に反応を行った。スチレンの転化率は29%、スチレンオキサイドの選択率は91%(収率26%)であった。
比較例26
塩化メチルトリオクチルアンモニウムと硫酸を添加しない以外は実施例27の条件と同様に反応を行った。スチレンの転化率は0%、スチレンオキサイドの選択率は0%(収率0%)であった。
比較例27
タングステン酸ナトリウムを用いない以外は実施例27の条件と同様に反応を行った。スチレンの転化率は0%、スチレンオキサイドの選択率は0%(収率0%)であった。
実施例28
スチレンをインデンに変えて行う以外は実施例26と同様に反応を行った。インデンの転化率は62%、インデンオキサイドの選択率は81%(収率50%)であった。
実施例29
スチレンの代わりに4−フルオロスチレン(366mg、3.0mmol)を基質として、実施例27の条件と同様に反応を行った。4−フルオロスチレンの転化率は88%、4−フルオロスチレンオキサイドの選択率は84%(収率74%)であった。
実施例30
スチレンの代わりに4−クロロスチレン(415mg、3.0mmol)を基質として、実施例27の条件と同様に反応を行った。4−クロロスチレンの転化率は97%、4−クロロスチレンオキサイドの選択率は91%(収率88%)であった。
実施例31
スチレンの代わりに4−ブロモスチレン(549mg、3.0mmol)を基質として、実施例27の条件と同様に反応を行った。4−ブロモスチレンの転化率は81%、4−ブロモスチレンオキサイドの選択率は100%(収率81%)であった。
実施例32
スチレンの代わりに4−ニトロスチレン(447mg、3.0mmol)を基質として、実施例27の条件と同様に反応を行った。4−ニトロスチレンの転化率は63%、4−クロロスチレンオキサイドの選択率は90%(収率57%)であった。
実施例33
スチレンの代わりにα−メチルスチレン(355mg、3.0mmol)を基質として、実施例27の条件と同様に反応を行った。α−メチルスチレンの転化率は94%、α−メチルスチレンオキサイドの選択率は90%(収率85%)であった。
実施例34
スチレンの代わりにtrans−β−メチルスチレン(355mg、3.0mmol)を基質として、実施例27の条件と同様に反応を行った。trans−β−メチルスチレンの転化率は79%、trans−β−メチルスチレンオキサイドの選択率は90%(収率71%)であった。
実施例35
スチレンの代わりにcis−β−メチルスチレン(355、3.0mmol)を基質として、実施例27の条件と同様に反応を行った。cis−β−メチルスチレンの転化率は97%、α−メチルスチレンオキサイドの選択率は96%(収率93%)であった。
比較例28
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例28の条件と同様に反応を行った。インデンの転化率は23%、インデンオキサイドの選択率は6%(収率1.3%)であった。
比較例29
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例29の条件と同様に反応を行った。3−フルオロスチレンの転化率は43%、4−フルオロスチレンオキサイドの選択率は0%(収率0%)であった。
比較例30
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例30の条件と同様に反応を行った。3−クロロスチレンの転化率は77%、4−クロロスチレンオキサイドの選択率は30%(収率23%)であった。
比較例31
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例31の条件と同様に反応を行った。3−ブロモスチレンの転化率は51%、4−ブロモスチレンオキサイドの選択率は53%(収率27%)であった。
比較例32
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例32の条件と同様に反応を行った。3−ニトロスチレンの転化率は60%、4−ニトロスチレンオキサイドの選択率は64%(収率38%)であった。
比較例33
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例33の条件と同様に反応を行った。α−メチルスチレンの転化率は83%、α−メチルスチレンオキサイドの選択率は8%(収率7%)であった。
比較例34
硫酸ナトリウムを用いない以外は実施例34の条件と同様に反応を行った。trans−β−メチルスチレンの転化率は67%、trans−β−メチルスチレンオキサイドの選択率は39%(収率27%)であった。
本発明は、香料、医薬、農薬、反応性希釈剤、封止材、洗浄剤、高分子改質剤、インキ、樹脂、紫外線吸収剤等の広範囲な産業分野において、好適に利用できる。

Claims (10)

  1. α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、カリオフィレン、α−テルピネオール又はスチレンである炭素−炭素二重結合を有する有機化合物を、タングステン化合物(a)、リン酸類、ホスホン酸類及びこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物(b)及び界面活性剤(c)の組み合わせである触媒、並びに硫酸ナトリウムである中性無機塩の存在下に、過酸化水素によって、該二重結合を酸化させること、並びに中性無機塩の使用量が、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物に対して、29.5〜500モル%であることを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。
  2. タングステン化合物(a)が、タングステン酸、三酸化タングステン、リンタングステン酸及びタングステン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
  3. リン化合物(b)が、リン酸、フェニルホスホン酸、亜リン酸、次亜リン酸、2−エチルヘキシルリン酸、ラウリルリン酸及びリン酸二水素ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
  4. 界面活性剤(c)が、第4級アンモニウム塩及び窒素環含有第4級アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
  5. 過酸化水素の使用量が、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物の炭素−炭素二重結合に対して、0.7〜5.0当量である請求項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
  6. タングステン化合物(a)の使用量が、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物に対して、0.0001〜20モル%である請求項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
  7. リン化合物(b)の使用量が、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物に対して、0.0001〜10モル%である請求項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
  8. 界面活性剤(c)の使用量が、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物に対して、0.0001〜20モル%である請求項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
  9. 中性無機塩の使用量が、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物に対して、29.5〜60.0モル%である請求項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
  10. α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、カリオフィレン、α−テルピネオール又はスチレンである炭素−炭素二重結合を有する有機化合物を、タングステン化合物(a)、リン酸類、ホスホン酸類及びこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物(b)及び界面活性剤(c)の組み合わせである触媒、並びに硫酸ナトリウムである中性無機塩の存在下に、過酸化水素によって、該二重結合を酸化させること、並びに中性無機塩の使用量が、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物に対して、29.5〜500モル%であることを特徴とする炭素−炭素二重結合のエポキシ化方法。

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