JP5858403B2 - 食用肉の製造方法 - Google Patents

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本発明は、食用肉の製造方法に関し、より詳細には、水棲動物(魚類(マグロ、ニシン、サバ、サンマ、カツオ、イワシ、鮭、マス、ブリ、ハマチ、タラ等)、甲殻動物、貝類等)、陸棲動物(牛、豚、馬、羊、鹿、犬等)、鳥獣類(七面鳥、鶏、ライチョウ、オオライチョウ等)から得られる食用肉を原料肉とし、異味及び/又は異臭を減少させた食用肉を製造する製造方法に関する。
上述の水棲動物、陸棲動物又は鳥獣類から得られる食用肉は、食用目的として様々な方法によって食されてきた(例えば、特許文献1等)。
特許文献1は、「鮪、鰹などの大型赤身魚から、大型赤身魚独特の身肉組織がもたらす食感や外観を可及的に保持しながら、機械加工に適した所定の寸法、形状をもった冷凍身肉ブロックで、解凍後も適度の結着状態が保持できるものを新しい業務用加工食材とその製造方法を開発」(特許文献1、要約の目的)するためになされたものであり、「鮪、鰹などの大型赤身魚から、皮、骨、内臓、血合肉などを除去した大型割り身肉を裁断して整形板状身肉等の整形身肉と、小片肉や崩し身肉を集めた充填用身肉を得、前者を主体とし、後者を補助材として、それとを水産物包装用カートン内にに隙間がないように詰め込んだうえ加圧成形しながら凍結したり、またはラップフイルムに包んでリテーナ内に納め、そのまま凍結したりして、所定の形状と寸法と容積をもったブロック肉形状に結着成形してなる大型赤身魚の定型身肉ブロックとその製造方法」(特許文献1、要約の構成)が開示されている。
また、特許文献2は、「鮪の味でありながら、なおかつ、噛むと、歯応えに程好い弾力性があって、特に力まなくても噛みきれる程度のやわらかさであり、しかも噛むことによって、肉汁や油脂がしみ出して旨味を感じ、鮪の旨味を楽しめると同時に、心地よい歯ざわりを楽しむことができる鮪のウインナソーセージを得る」(特許文献2、要約の目的)ためになされたものであり、「鮪肉を挽肉にしたものに、鮪の血合肉を挽肉にしたものを加え、それを腸詰めする鮪のウインナソーセージ及びその製造方法」(特許文献2、要約の構成)が開示されている。
特許文献3は、「鮪の味でありながら、なおかつ、食肉を主原料とするミートハンバーグを加熱して噛んだ時に肉汁や油脂がハンバーグからしみ出して旨味を感ずるのと同様の肉汁感があって、噛みごたえや舌ざわりが程好くやわらかい鮪のハンバーグを得る」(特許文献3、要約の目的)ためになされたものであり、「鮪肉を挽肉にしたものに、鮪の血合肉を挽肉にしたものと、卵白を泡立てたメレンゲを加え、それを偏平に成形する鮪のハンバーグ及びその製造方法」(特許文献3、要約の構成)が開示されている。
特開平7−75486号公報(例えば、要約等) 特開平8−242819号公報(例えば、要約等) 特開平8−242820号公報(例えば、要約等)
特許文献1開示の大型赤身魚の定型身肉ブロックにおいては、異味及び/又は異臭を減少させるため、異味及び/又は異臭の原因となり得る血合肉を大型赤身魚から除去した肉を用いて形成するものであり、除去された血合肉は廃棄されていた。
一方、特許文献2及び特許文献3においては、鮪肉を挽肉にしたものに、鮪の血合肉を挽肉にしたものを加え、ウインナソーセージやハンバーグを製造するものであり、異味及び/又は異臭の原因となり得る血合肉の有効利用に資するものではあるが、血合肉が有する異味及び/又は異臭を減少させるものではない。
そこで、本発明では、血合肉のように、そのまま又は通常の調理をして食用に供すると異味及び/又は異臭を有する食用肉を原料肉とし、異味及び/又は異臭を減少させた食用肉を製造する製造方法を提供することを目的とする。これによって異味及び/又は異臭の原因となるため従来は廃棄されたり食用に供されることが限定的であった原料肉を、異味及び/又は異臭を減少させた食用肉とすることで、食用肉の有効利用を図ることができる。
本発明者は、そのまま食用又は通常の調理の後に食用に供すると異味及び/又は異臭を有する動物由来の食用肉の異味及び/又は異臭を減少させるために鋭意研究を行ったところ、該食用肉たる原料肉を交流電界内に配置することで、肉の異味及び/又は異臭を抑制することができることを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の方法(以下、「本方法」という。)は、異味及び/又は異臭が抑制された動物由来食用肉の製造方法であって、動物由来の原料肉を交流電界内に配置する肉処理ステップを備えるものである、動物由来食用肉の製造方法である。
本方法は、動物由来の原料肉を肉処理ステップにて処理することで、異味及び/又は異臭が抑制された食用肉を製造することができるものである。
本方法に供する動物由来の原料肉としては、水棲動物(魚類(マグロ、ニシン、サバ、サンマ、カツオ、イワシ、鮭、マス、ブリ、ハマチ、タラ等)、甲殻動物、貝類等)、陸棲動物(牛、豚、馬、羊、鹿、犬等)、鳥獣類(七面鳥、鶏、ライチョウ、オオライチョウ等)から得られる肉を広く用いることができる。
本方法においては、かかる動物由来の原料肉を交流電界内に配置する肉処理ステップにより処理することで、異味及び/又は異臭が抑制された動物由来食用肉を製造することができる。
本方法においては、肉処理ステップが、原料肉を水中に浸漬した状態で行われるもの(以下、「水中浸漬本方法」という。)であってもよい。
動物由来の原料肉を交流電界内に配置する肉処理ステップは、原料肉を水中に浸漬した状態で行うようにしてもよい。このように原料肉を水中に浸漬した状態で肉処理ステップを行うことで、肉処理ステップにおいて原料肉表面から滲出した滲出物を原料肉から散逸させたり希釈することにより、肉の異味及び/又は異臭を効果的に抑制することができる。
水中浸漬本方法の場合、肉処理ステップが、原料肉が浸漬された水に接触する電極と、電極に交流電圧を印加する電圧発生装置と、を用いて行われるもの(以下、「水中電極本方法」という。)であってもよい。
このように肉処理ステップにおいて、原料肉が浸漬された水に接触する電極に電圧発生装置により交流電圧を印加することで、原料肉に対して一層近接した電極によって交流電界を形成するので、肉の異味及び/又は異臭を一層効果的に抑制することができる。
水中電極本方法の場合、肉処理ステップにおける交流電界が、電極に印加される500〜14000Vの電圧と電流0.1μA〜2.5μAの電流によって形成されるものであってもよい。
肉処理ステップにおいて原料肉を処理する交流電界を形成するために電極に印加される電圧は、あまり低いと肉処理ステップにおいて十分な処理ができず、あまり高いと作業性に問題(例えば、絶縁を確保することが困難になる場合がある)があるので、これらを満たす範囲とされてもよく、好ましくは500V以上であり、より好ましくは1500V以上であり、最も好ましくは3000V以上であり、そして好ましくは14000V以下であり、より好ましくは6000V以下であり、最も好ましくは4500V以下である。この電圧を印加することで電極に流れる電流は、あまり低いと肉処理ステップにおいて十分な処理ができず、あまり高いと作業性に問題(人体等への危険性が生じうる)があるので、これらを満たす範囲とされてもよく、好ましくは0.1μA以上であり、より好ましくは0.3μA以上であり、最も好ましくは0.5μA以上であり、そして好ましくは2.5μA以下であり、より好ましくは2.0μA以下であり、最も好ましくは1.7μA以下である。なお、電極に印加される電圧の周波数は、特に制限されないが、商用電源(50〜60Hz)を電源とし、これを変圧器等により昇圧して用いることが容易かつ安全であり、これによって肉処理ステップを十分実施することができるので、通常、50〜60Hzとされてよい。
肉処理ステップにおいては、通常、500〜4500Vの電圧(周波数50Hz〜60Hz)が電極に印加され、それによって電極に0.5μA〜1.7μAの電流が流れる程度に形成されるものであれば、肉の異味及び/又は異臭をうまく抑制することができる。
水中電極本方法の場合、電圧発生装置が、鉄芯を用いた変圧器の一次側回路の一次巻線を交流電源に接続すると共に、変圧器の二次側回路の二次巻線の一端が絶縁され、その他端が電極に接続されるものであってもよい。
電極に交流電圧を印加する電圧発生装置は、通常、商用電源(通常、100V、50〜60Hz)を用いて必要な高電圧を生じさせるので、変圧器を用いる必要があり、鉄芯を用いた変圧器の一次巻線(低圧側)を商用電源に接続し、静電圧発生装置とするよう二次巻線(高圧側)の一端を絶縁し、他端を電極に接続するように構成すれば、簡単な構成で安価に交流高電圧を電極に印加することができる。
水中電極本方法の場合、電極が、原料肉を収容する凹部を有し、原料肉が浸漬された水中において支持されるもの(以下、「凹部電極本方法」という。)であってもよい。
電極が、原料肉が浸漬された水中において支持された状態において、原料肉を収容する凹部を有することで、肉処理ステップにおいて原料肉が凹部内に保持される。原料肉が凹部内に保持されることにより、原料肉が水中に浮遊や分散等することによる原料肉の劣化を防止又は減少させ、原料肉が電極から近い位置に保持されることで肉処理ステップを効果的に行うことができ、さらに原料肉を凹部に収容した状態で水中に潜入させたり取り出すことができるので肉処理ステップに際し原料肉の取り扱いを容易ならしめる。
凹部電極本方法の場合、電極が、前記凹部の内部と外部とを連通させる連通孔を有するものであってもよい。
電極が、凹部の内部と外部とを連通させる連通孔を有することで、原料肉が収容された凹部内部の水と凹部外部の水とが連通孔を経て円滑に流通することができる。このため肉処理ステップにおいて原料肉表面から滲出した滲出物を原料肉表面から除去することができ(原料肉表面に接する水中の滲出物濃度を減少させる)、肉の異味及び/又は異臭を効果的に抑制することができる。また、原料肉を凹部に収容した状態で水中に潜入させる際に原料肉が存する凹部内部に連通孔を経て水を迅速かつ確実に進入させることができるので肉処理ステップの開始を容易ならしめると共に、肉処理ステップ終了後に水中から処理肉を取り出す際に処理肉が存する凹部からの排水を連通孔を経て迅速かつ円滑に行うことができ処理肉の水切りを容易ならしめる。
水中電極本方法の場合、原料肉と原料肉が浸漬された水とを収容する容器が電極となるものであってもよい。
原料肉と原料肉が浸漬された水とを収容する容器の内面のうち該水に接触する少なくとも一部を導電体によって構成し、かかる導電体構成部に交流電圧を印加するようにしてもよく、こうすることで容器とは格別の電極を設ける必要がないので本方法を簡単な構成にて実施することができる。
水中浸漬本方法の場合、肉処理ステップにおいて原料肉が浸漬される水を原料肉が浸漬される前に交流電界内に存在させる水処理ステップをさらに備えるものであってもよい。
肉処理ステップにおいて原料肉が浸漬される水は、通常の水(例えば、水道水、精製水、蒸留水等そのままの水)を用いてもよいが、予め、原料肉が浸漬される前に交流電界内に存在させる(水処理ステップ)ようにすれば、肉処理ステップにおける肉の異味及び/又は異臭の抑制効果を増加させたり、肉処理ステップの処理時間を短縮することができる。水処理ステップは、肉処理ステップと同様の装置にて肉処理ステップの条件に準じて行うことができる。
本方法においては、動物由来の原料肉が魚の血合い肉であってもよい。
マグロ、カツオ、ブリ等の魚の血合い肉は、そのまま又は通常の調理を行うと異味及び/又は異臭を有するので異味及び/又は異臭を消すような特殊な調理方法により調理され一部が食されていたが、大半は廃棄されてきた。このような廃棄されてきた魚の血合い肉を本方法に供することで、異味及び/又は異臭が抑制された美味しい食用肉を製造することができ、魚の血合い肉の有効利用を図ることができることに加え、魚の血合い肉が含む多くの栄養素を効果的に摂取することができる。
本発明は、本方法により製造されうる食用肉(以下、「本肉」という。)も提供する。即ち、本肉は、本方法により製造されうる食用肉であり、本方法の原料とした肉に比して異味及び/又は異臭が抑制されたものであり、これまで廃棄されていたような肉であっても特殊な調理方法によることなく美味しく食することができ、食用肉の有効利用を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る水処理ステップを実施するための装置を模式的に描いた図である。 水処理ステップ及び肉処理ステップに用いる高電圧発生装置の電気回路を示す回路図である。 高電圧発生装置に含まれる変圧器を説明する図である。 変圧器の二次巻線の状態を示す説明図である。 別の水処理槽を示す図である。 更なる別の水処理槽を示す図である。 本発明の一実施形態に係る肉処理ステップを実施するための装置を模式的に描いた図である。 別の肉処理槽を示す図である。 更なる別の肉処理槽を示す図である。 別の浸漬電極の例を示す図である。 官能検査報告書を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。しかしながら、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。
ここでの本発明に係る処理方法は、通常の水道水又は精製水を原料水として高電圧発生装置101による高電圧を印加することで特殊な水(以下、「特殊水」という)を調製するための水処理ステップと、水処理ステップにて調製された特殊水にマグロの血合い肉(動物由来の原料肉)を浸漬した状態で高電圧発生装置101による高電圧を印加することで肉を処理する肉処理ステップと、の2つのステップを含んでなる。
図1は、水処理ステップを実施するための装置を模式的に描いた図であり、図2は、図1中の高電圧発生装置101の電気回路を示す回路図である。
高電圧発生装置101は、水処理ステップ及び肉処理ステップの両方に使用するものであり、特許第3277015号公報に開示された装置と同様のものを用いることができる。高電圧発生装置101は、図2(特許第3277015号公報における第1図のうち高電圧発生装置101に該当する部分を記載している)に示す電気回路を有しており、詳細には、特許第3277015号公報の段落番号0015〜0028の説明を参照(適宜、本発明の内容に合致するよう修正しつつ引用した。)しつつ次のように構成されている。
図2において、1は交流高電圧発生用の変圧器であり、成層の鉄芯2を用いた外鉄形円形巻線タイプのものを用い、変圧器1の一次側回路の一次巻線3を交流電源(接続プラグ16を商用電源に接続する。ここでは100V、60Hz)に接続し、また変圧器1の二次側回路の二次巻線4の一端5aを絶縁するとともに、二次側回路の二次巻線4の他端5bを、電圧を印加すべき物Qに接続する(電圧を印加すべき物Qとしては、例えば、図1においては水処理槽201中の浸漬電極401)。また、接地9と変圧器1の一次側回路を電気回路によって接続する。
変圧器1は、図3(特許第3277015号公報における第2図に同じ)に示すように、鉄芯2の中央部に筒状の絶縁フィルム10を嵌め込み、さらに絶縁フィルム10の外周面に、前述した一次巻線3と二次巻線4とを巻き付ける。一次巻線3としては、たとえば直径0.6mmのポリエステルで被覆した導線を使用して230回巻とし、また二次巻線4としては、たとえば直径0.09mmのエナメルで被覆した導線を使用して40000回巻とし、この二次巻線4の40000回巻のうち、第一巻線群4イを22000巻とし、第二巻線群4ロを18000巻とするが、これらの導線の直径、種類、導線の巻数等は、高電圧発生装置101により処理すべき原料水やマグロの血合い肉の処理条件に応じて適宜決定する。しかし、通常の場合、これらの導線の直径は0.03〜3mmのものを用いることができ、また導線の種類はポリエステルやエナメルで被覆したもの以外に普通に導線として使用しているものを用いることができ、さらに導線の巻数等は、一次巻線3を200〜250巻とし、また二次巻線4を28000〜40000巻とするとともに、この二次巻線4のうち、第一巻線群4イを16800〜22000巻とし、第二巻線群4ロを11200〜18000巻としてもよい。二次巻線4の巻数のうち、第二巻線群4ロの巻数と第一巻線群4イの巻数に差をつけることによって、図4(特許第3277015号公報における第3図に同じ)に示すように、第二巻線群4ロの外径を第一巻線群4イの外径より小さくし、すなわち、第二巻線群4ロと鉄芯2とのキャップG2を、第一巻線群4イと鉄芯2とのキャップG1より1.5〜2倍大きくする。第一巻線群4イの外周面の引き出し線である二次巻線4の他端5bを、出力線として電圧印加物Q(電圧を印加すべき物)に接続すると共に、第二巻線群4ロの外周面の引き出し線である二次巻線4の一端5aを絶縁状態にすることは、前述した通りである。そして、変圧器1に交流を通電して変圧器1の一次電圧を100Vまで上昇させると、変圧器1内の二次側には、約18000Vの電圧が発生するが、二次側回路の二次巻線4の第二巻線群4ロの一端5aを絶縁しているので、二次巻線4の第一巻線群4イの外周面の引き出し線である二次巻線4の他端5bと接続している電圧印加物Qに500〜3500Vの電圧で、0.5〜1.5μAの電流を発生させる。即ち、電圧印加物Qと接地9との間に、処理すべき原料水やマグロの血合い肉を静電誘導して誘電分極(電子分極)発生に必要な交流電界を構成する。変圧器1内の二次側に発生した約18000Vの電圧が、電圧印加物Q(例えば、水処理槽201中の浸漬電極401)において500〜3500Vの電圧(0.5〜1.5μAの電流)になるのは、接地9から、前述した変圧器1の一次側回路の一次巻線3、変圧器1の二次側回路の二次巻線4を経て、二次巻線4の他端5bによって電圧印加物Qに接続させることによって形成した交流抵抗回路によるものである。以上述べたような交流抵抗回路によって発生させた、電圧印加物Qの電圧は500〜3500Vもあるが、電流が0.5〜1.5μAと小さいので人体に対して安全であり、感電や火災等のトラブルを起こすこともない。また、電圧印加物Qに発生させる電圧と電流は、処理すべき原料水やマグロの血合い肉の処理条件に応じて、交流電源側に設けた電圧調整器(スライダック)11によって適宜変更するが、通常の場合は、電圧を500〜3500V、電流を0.5〜1.5μAにすると、原料水やマグロの血合い肉を処理(静電誘導し誘電分極、電子誘導を行う)するのに適した交流電界を構成することができる。
二次巻線4の一端5aは、変圧器内において、その先端部分を絶縁テープを巻き付けた上、タールピッチ等の絶縁物を変圧器内に充填して二次巻線4の一端5aを覆い包むようにして絶縁するが、絶縁物としてはタールピッチ以外にも絶縁油、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等も用いることもできる。
なお、かかる高電圧発生装置101としては、いくつか市販されているものを用いることができ、一例を挙げれば、「株式会社エレクトロン」社製の商品名「エレクトロンチャージャー」(型番TU-100)の如くである。
また、後述の処理槽201、231、251、261、264、266は、いずれの場合も図1に示すような絶縁台301に載置されている。
絶縁台301は、接地9とされる基礎部303と、基礎部303に下端が取り付けられた電気的絶縁物である碍子305と、碍子305の上端に取り付けられた支持板307と、を有してなる。基礎部303と支持板307とは碍子305によって電気的に絶縁されている。この支持板307上面に処理槽201、231、251、261、264、266が載置される。
再び、図1を参照して、水処理ステップについて説明する。
ここで水処理ステップを実施する装置は、大まかには、前述の高電圧発生装置101と、原料水91を収容する水処理槽201と、水処理槽201を電気的に絶縁した状態で支持する前述の絶縁台301と、水処理槽201中に収容された原料水91に浸漬された浸漬電極401(電圧印加物Q)と、を備えてなる。
ここでは水処理槽201を絶縁台301と接地(アース)9によって絶縁状態になるように構成するとともに、接地9と変圧器1の一次側回路を電気回路によって接続している。浸漬電極401は電圧印加物Qとして二次巻線4の他端5bが接続されている。
水処理槽201は本体部201a及び蓋部201bを含んでなる。本体部201aは、ポリエチレン樹脂製の有底無蓋の中空の円筒形状の容器であり、約80リットルの原料水91(ここでは水道水)を収容している。蓋部201bは、本体部201aの上部の開口を閉じるための円盤形状をなしており、ポリエチレン樹脂や、木製又は金属製の板に発泡スチロール等の断熱材を貼り付けたもの等によって構成され、水処理槽201の保温と異物混入防止に資する。
浸漬電極401は、ステンレス鋼により形成され、有底無蓋の中空の直円柱(直径約20cm×高さ約50cmの直円柱)形状をなし(該直円柱の外側面及び内側面のいずれも原料水91と接触している)、ここでは浸漬電極401の内部には、原料水91から生成される特殊水の水質を改善し水質を安定させるため木炭(具体的には、馬目樫の備長炭)が装入されている。かかる浸漬電極401(電圧印加物Q)が、水処理槽201中に収容された原料水91に浸漬されると共に、前述の如く、高電圧発生装置101の二次側回路の二次巻線4の他端5bに電気的に接続されている(浸漬電極401は本体部201aと接触しないように原料水91中にて支持されている)。
このような水処理槽201中の浸漬電極401においては、浸漬電極401が正電荷になると、接地9に負電荷が誘電され、反対に浸漬電極401が負電荷になると、接地9に正電荷が誘電され、以後、交流電気の周波数に応じて、浸漬電極401は1秒間に波数分(50〜60回)だけ正電荷と負電荷が入れ替わり、これに応じて接地9の電荷も誘電されて正電荷と負電荷が入れ替わることになり、このような交流電界内に原料水91を存在させることで原料水91が処理され特殊水93となる(静電誘導による誘電分極と電子誘導)。
図5は、別の水処理槽231を示す図である。図5は、図1に比して水処理槽231が異なるのみでその余は同じであるので、水処理槽231について説明し、それ以外の説明は省略する(かかる場合も浸漬電極401が電圧印加物Qとなる)。
水処理槽231は、本体部231a及び蓋部231bを含んでなる。本体部231aは、ステンレス鋼製の有底無蓋の中空の円筒形状の容器であり、約80リットルの原料水91(ここでは水道水)を収容している。蓋部231bは、本体部231aの上部の開口を閉じるための円盤形状をなしており、ポリエチレン樹脂や、木製又は金属製の板に発泡スチロール等の断熱材を貼り付けたもの等によって構成され、水処理槽231の保温と異物混入防止に資する。なお、ここでも浸漬電極401は本体部231aと接触しないように原料水91中にて支持されている。
図6は、別の水処理槽251を示す図である。図6は、図1に比して水処理槽251が異なる点及び浸漬電極401を用いない点が異なるのみでその余は同じであるので、これらの点について説明し、それ以外の説明は省略する。
水処理槽251は、本体部251a及び蓋部251bを含んでなる。本体部251aは、ステンレス鋼製の有底無蓋の中空の円筒形状の容器であり、約80リットルの原料水91(ここでは水道水)を収容している。蓋部251bは、本体部251aの上部の開口を閉じるための円盤形状をなしており、ポリエチレン樹脂や、木製又は金属製の板に発泡スチロール等の断熱材を貼り付けたもの等によって構成され、水処理槽251の保温と異物混入防止に資する。
そして図6においては、浸漬電極401を用いずに、ステンレス鋼製の本体部251aが電圧印加物Qとして高電圧発生装置101の二次側回路の二次巻線4の他端5bに電気的に接続されている。
以上説明のように、水処理槽201とその中に配設された浸漬電極401(電圧印加物Q)とを用いる図1に記載の方法(以下、「絶縁槽内電極配設水処理法」という)と、水処理槽231とその中に配設された浸漬電極401(電圧印加物Q)とを用いる図5に記載の方法(以下、「導電槽内電極配設水処理法」という)と、水処理槽251(電圧印加物Q)を用い浸漬電極401を用いない図6に記載の方法(以下、「導電槽電極無し水処理法」という)と、のいずれの方法によっても原料水91を処理して特殊水93を調製することができる。
処理時間は、原料水91の量や電圧印加物Qの電圧や電流等に従って適宜決定するが、通常の場合は、高電圧発生装置101の電圧調整器(スライダック)11を調整し、電圧500〜3500V、電流0.5〜1.5μAとした状態で2〜8時間の処理を行えばよい。
図7を参照して、肉処理ステップについて説明する。
ここでは肉処理ステップにおいてはマグロの血合い肉601を処理する。マグロの血合い肉601は、図示しない生マグロを解体し、長さ20〜50cm(厚さ約2〜8cm)程度の大きさの複数の塊として得られた赤褐色の血合い肉(約10kg)を用いる。
肉処理槽261は本体部261a及び蓋部261bを含んでなる。本体部261aは、ポリエチレン樹脂製の有底無蓋の中空の直方体形状の容器(該容器の内部空間は縦60cm×横60cm×高さ30cmの直方体を略なす)であり、水処理ステップにより形成された特殊水93を約30リットルと、後で詳述する浸漬電極501と、浸漬電極501の内部に収容された約10kg(10個程度の塊)の血合い肉601と、を収容している。蓋部261bは、本体部261aの上部の開口を閉じるための四角形状の板状形状(両主表面たる上面及び下面が略正方形をなす板状形状)をなしており、ポリエチレン樹脂や、木製又は金属製の板に発泡スチロール等の断熱材を貼り付けたもの等によって構成され、肉処理槽261の保温と異物混入防止に資する。
肉処理槽261中に収容された特殊水93の温度を確認するための温度計263が配設されると共に、特殊水93を冷却するための氷嚢271(水を通さないプラスチックシートによって形成された袋の中に氷塊が収容されたもの)が特殊水93中に投入され、肉処理ステップ中は特殊水93の温度が約4℃に保たれることで血合い肉601の腐敗等を防止する。また、ここでは肉処理ステップ中の特殊水93温度の上昇を防止するため、肉処理槽261の外側面に沿って発泡スチロール製の断熱カバー281が装着されている。
かかる肉処理槽261中に収容された特殊水93には、浸漬電極501が浸漬されている。浸漬電極501は、ステンレス鋼により形成された複数本の線材(太さ約1mmの丸棒形状)が互いに所定間隔(具体的には約2mm)を隔てて略平行に配設された縦材と、ステンレス鋼により形成された複数本の線材(太さ約1mmの丸棒形状)が互いに所定間隔(具体的には約2mm)を隔てて略平行に配設された横材と、が互いに直交するように固定(縦材と横材とは交わる位置にて溶接により固定されている)された網目状のカゴ形状をなす(浸漬電極501がなすカゴ形状の内部空間は、縦約50cm×横約50cm×高さ約25cmの直方体形状を略なす。)。浸漬電極501は、電圧印加物Qとして高電圧発生装置101の二次側回路の二次巻線4の他端5bが電気的に接続されているので、浸漬電極501を構成する前述の縦材及び横材のいずれにも他端5bからの電圧が印加される(浸漬電極501は本体部261aと接触しないように特殊水93中にて支持されている。)。そして、カゴ状の浸漬電極501には、約10kg(10個程度の塊)の血合い肉601が収容されている。特殊水93は、カゴ状の浸漬電極501の内部(血合い肉601が存する)と、カゴ状の浸漬電極501の外部と、の間を自由に流通することができる。
血合い肉601、浸漬電極501、特殊水93及び氷嚢271等を収容したかかる肉処理槽261は、既述の絶縁台301の支持板307に載置される。絶縁台301は、前述と同様、接地(アース)9とされる基礎部303と支持板307とは碍子305によって電気的に絶縁されている。
ここで用いる高電圧発生装置101は、水処理ステップにて用いたものと同じものであるため説明を省略する。
このような肉処理槽261中の浸漬電極501においては、浸漬電極501が正電荷になると、接地9に負電荷が誘電され、反対に浸漬電極501が負電荷になると、接地9に正電荷が誘電され、以後、交流電気の周波数に応じて、浸漬電極501は1秒間に波数分(50〜60回)だけ正電荷と負電荷が入れ替わり、これに応じて接地9の電荷も誘電されて正電荷と負電荷が入れ替わることになり、このような交流電界内にマグロの血合い肉601が配置されることで処理される(静電誘導による誘電分極と電子誘導)。
図8は、別の肉処理槽264を示す図である。図8は、図7に比して肉処理槽264が異なるのみでその余は同じであるので、肉処理槽264について説明し、それ以外の説明は省略する(かかる場合も浸漬電極501が電圧印加物Qとなる)。
肉処理槽264は、本体部264a及び蓋部264bを含んでなる。本体部264aは、ステンレス鋼製の有底無蓋の中空の直方体形状の容器(該容器の内部空間は縦60cm×横60cm×高さ30cmの直方体を略なす)であり、水処理ステップにより形成された特殊水93を約30リットルと、前述の浸漬電極501と、浸漬電極501の内部に収容された約10kg(10個程度の塊)の血合い肉601と、を収容している。蓋部264bは、本体部264aの上部の開口を閉じるための四角形状の板状形状(両主表面たる上面及び下面が略正方形をなす板状形状)をなしており、ポリエチレン樹脂や、木製又は金属製の板に発泡スチロール等の断熱材を貼り付けたもの等によって構成され、肉処理槽264の保温と異物混入防止に資する。なお、浸漬電極501は本体部264aと接触しないように特殊水93中にて支持されている。
肉処理槽261とその中に配設された浸漬電極501(電圧印加物Q)とを用いる図7に記載の方法(以下、「絶縁槽内電極配設肉処理法」という)と、肉処理槽264とその中に配設された浸漬電極501(電圧印加物Q)とを用いる図8に記載の方法(以下、「導電槽内電極配設肉処理法」という)と、のいずれも、上述のようにステンレス鋼により形成された複数本の線材を所定間隔にて縦横に配置固定したカゴ形状の浸漬電極501を用いたが、浸漬電極501に替えて図10に示すような浸漬電極521を用いることもできる。図10(a)は浸漬電極521の正面図(図7及び図8において浸漬電極501を見ているのと同様の方向から見たところを示している)であり、図10(b)は浸漬電極521の平面図(図10(a)中の矢印K方向から見たところを示している)である。浸漬電極521は、ステンレス鋼製の板状部材(厚さ約1mm)を用いて形成された有底無蓋の容器をなしており、浸漬電極521の内部空間523は縦(C1)50cm×横(C2)約50cm×高さ(C3)約25cmの直方体形状を略なす。浸漬電極521を構成するステンレス鋼製板状部材には、縦横に沿って間隔1cm毎に開口525(直径5mmの円形)が穿設されている。浸漬電極521は、電圧印加物Qとして高電圧発生装置101の二次側回路の二次巻線4の他端5bが電気的に接続され、浸漬電極521のいずれの部分にも他端5bからの電圧が印加される。そして、カゴ状の浸漬電極521には、約10kg(10個程度の塊)程度の血合い肉601が収容できる。かかる浸漬電極521においても、特殊水93は、カゴ状の浸漬電極521の内部空間523(血合い肉601が収容される)と、カゴ状の浸漬電極521の外部と、の間を自由に流通することができる。
図9は、別の肉処理槽266を示す図である。図9は、図7に比して肉処理槽266が異なる点及び浸漬電極501を用いない点が異なるのみでその余は同じであるので、これらの点について説明し、それ以外の説明は省略する。
肉処理槽266は、本体部266a及び蓋部266bを含んでなる。本体部266aは、ステンレス鋼製の有底無蓋の中空の直方体形状の容器(該容器の内部空間は縦60cm×横60cm×高さ30cmの直方体を略なす)であり、水処理ステップにより形成された特殊水93を約30リットルと、特殊水93に分散した状態(浮遊状態)の血合い肉601(約10kg、10個程度の塊)と、を収容している。蓋部266bは、本体部266aの上部の開口を閉じるための四角形状の板状形状(両主表面たる上面及び下面が略正方形をなす板状形状)をなしており、ポリエチレン樹脂や、木製又は金属製の板に発泡スチロール等の断熱材を貼り付けたもの等によって構成され、肉処理槽266の保温と異物混入防止に資する。
そして図9においては、浸漬電極501を用いずに、ステンレス鋼製の本体部266aが電圧印加物Qとして高電圧発生装置101の二次側回路の二次巻線4の他端5bに電気的に接続されている(即ち、図9に示した肉処理ステップ用の装置は、図8に示す装置から浸漬電極501を取り除き(これにより、図8においては浸漬電極501内部に収容されていた血合い肉601は特殊水93に浮遊した状態となる)、図8に示す装置の本体部264aを電圧印加物Qとして高電圧発生装置101の二次側回路の二次巻線4の他端5bに接続したと同様のものである。)。
以上の通り、肉処理槽261とその中に配設された浸漬電極501(電圧印加物Q)とを用いる図7に記載の方法(以下、「絶縁槽内電極配設肉処理法」という)と、肉処理槽264とその中に配設された浸漬電極501(電圧印加物Q)とを用いる図8に記載の方法(以下、「導電槽内電極配設肉処理法」という)と、肉処理槽266(電圧印加物Q)を用い浸漬電極501を用いない図9に記載の方法(以下、「導電槽電極無し肉処理法」という)と、のいずれの方法によってもマグロの血合い肉601を交流電界内に配置し処理することができる。
肉処理ステップの処理条件としては、次の事項を考慮して適宜定められればよい。
(1)肉処理槽に収容する血合い肉601(w1(単位g))と特殊水93(w2(単位g))との割合(w2/w1)は、あまり小さいと血合い肉601が特殊水93にうまく浸漬できないという問題(例えば、血合い肉601の一部が特殊水93に浸漬されず特殊水93からはみ出る問題)があり、あまり大きいと血合い肉601の旨みが減ずるという問題があるのでこれらを両立する範囲とされてもよく、通常下限として(血合い肉601の全部の部分が特殊水93に潜入する程度以上に該割合がされることがよい)、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは2以上であり、最も好ましく2.5以上であり、そして通常上限として、好ましくは6以下であり、より好ましくは5以下であり、最も好ましくは4以下である。
(2)血合い肉601のそれぞれの塊の大きさは、あまり小さいと旨味が低減すという問題があり、あまり大きいと血合い肉601の表面部分と中心部分との間に肉処理ステップの処理の程度に差が生じるという問題があるのでこれらを両立する範囲とされてもよく、好ましくは直径1cmの円形の穴を通過不可能であり、より好ましくは直径2cmの円形の穴を通過不可能であり、最も好ましくは直径3cmの円形の穴を通過不可能であり、そして好ましくは直径30cmの円形の穴を通過可能であり、より好ましくは直径25cmの円形の穴を通過可能であり、最も好ましくは直径20cmの円形の穴を通過可能である。
(3)高電圧発生装置101の電圧及び電流については、電圧調整器(スライダック)11を調節することで電圧を変化させることができ、この変化する電圧に電流が従属する。高電圧発生装置101の電圧調整器(スライダック)11を調節して、電圧印加物Qへの電圧500〜3500V(通常の場合、電界強度1.6〜9.2KV/m)、電流0.5μA〜1.5μAに設定すれば、肉処理ステップを円滑に進行できる。肉処理ステップの処理時間はあまり短いと血合い肉601の血合い臭さや味が消えないという問題があり、あまり長いと血合い肉601の旨みが減少するという問題があるのでこれらを両立する範囲とされてもよく、電圧調整器(スライダック)11を100Vとした場合であれば、好ましくは12時間以上であり、より好ましくは24時間以上であり、最も好ましくは36時間以上であり、そして好ましくは84時間以下であり、より好ましくは72時間以下であり、最も好ましくは60時間以下である。
(4)肉処理ステップ中の特殊水93の温度は、あまり高いと肉処理ステップ中に血合い肉601の鮮度が低下したり腐敗するという問題があり、あまり低いと特殊水93が凍結して処理をうまく行えないという問題があるのでこれらを両立する範囲とされてもよく、好ましくは1.5℃以上であり、より好ましくは2℃以上であり、最も好ましくは3℃以上であり、そして好ましくは7℃以下であり、より好ましくは6℃以下であり、最も好ましくは5℃以下である。
(水処理ステップ)
図1に示す装置によって(絶縁槽内電極配設水処理法)、約80リットルの水道水を原料水91として水処理槽201中に注入し、水処理ステップを実施した。接続プラグ16を商用電源(100V、交流60Hz)に接続し、高電圧発生装置101の電圧調整器(スライダック)11を調節して、二次側の電圧500〜3500V、電流0.5μA〜1.5μAに設定すれば、水処理ステップを円滑に進行できる。具体的には、ここでは高電圧発生装置101の電圧調整器(スライダック)11を調節して一次側は約100Vとし(このときの二次側の電圧3500V)、電流を1.5μAとした。この状態で原料水91(室温)を約5時間処理して特殊水93を調製した。
(肉処理ステップ)
図7に示す装置によって(絶縁槽内電極配設肉処理法)、肉処理ステップを実施した。上述の通り、約10kgの血合い肉601(10個程度の塊)を浸漬電極501の内部に装入すると共に、水処理ステップにより形成された特殊水93約30リットルを肉処理槽261に注入した。接続プラグ16を商用電源(100V、交流60Hz)に接続し、高電圧発生装置101の電圧調整器(スライダック)11を調節して、二次側の電圧500〜3500V、電流0.5μA〜1.5μAに設定すれば、肉処理ステップを円滑に進行できる。具体的には、ここでは高電圧発生装置101の電圧調整器(スライダック)11を調節して一次側は約100Vとし(このときの二次側の電圧3500V)、電流を1.5μAとした。この状態で血合い肉601を約48時間処理した。なお、前述の通り、血合い肉601の腐敗を防止する等のため、温度計263により特殊水93の温度が約4℃に保たれていることを確認しつつ処理した(特殊水93の温度を約4℃に保持するため、適宜、氷嚢271の個数を増減させたり、その中に含まれる氷を増減させた)。加えて、肉処理ステップの間、適宜(特殊水93に汚れが目立ってきたとき)、特殊水93を交換した。
このように高電圧発生装置101の電圧調整器(スライダック)11を約100V(一次側)(二次側電圧3500V、電流1.5μA)として約48時間の肉処理ステップを行った後、処理された血合い肉601を肉処理槽261から取り出した。
(官能検査)
上記のように、高電圧発生装置101の電圧調整器(スライダック)11を約100V(一次側)(二次側電圧3500V、電流1.5μA)として約48時間の肉処理ステップを行い得られた血合い肉601を実施例とした。
一方、肉処理ステップに供する前の血合い肉601を約4℃の水道水中に約48時間浸漬したものを比較例とした。
以下、実施例を試料(1)(後述の図11中においては、数字「1」を円によって囲んだもので示している)とし、比較例を試料(2)(後述の図11中においては、数字「2」を円によって囲んだもので示している)として説明する。
試料(1)及び試料(2)をそれぞれ荒みじんに切断して均一にした。荒みじんに切断した15gの試料(1)をビニール袋に封入後、沸騰水浴中で2分間湯せんして官能検査の試料とした。同様に、荒みじんに切断した15gの試料(2)をビニール袋に封入後、沸騰水浴中で2分間湯せんして官能検査の試料とした。
官能検査のパネラーは、男性3名と女性9名との計12名とした。
(検査手順)予めA、B、Cと記された小皿に、湯せんした2種類の試料(試料(1)及び試料(2))から、それぞれ同種試料2点と異種試料1点の計3点を組み合わせて、6通り×2=12の組み合わせを用意し、湯せん直後の試料をランダムにパネラーに提供した。パネラーは、A、B、Cの順に各自で開封後、容器に移して口に含み、臭いをかいで評価し、3つのなかで異なる試料の番号を質問票に回答した。次いで、その異なる試料と他の2つの試料との比較から、血合い臭さの有無について回答した。試験の間、口すすぎ水には水道水を用いた。同一パネラーを対象に、同日、2度の検査を実施した。
(検査結果)結果を図11に示す。異なる試料を判断できたパネラーのうち、「試料(1)(図11中においては、数字「1」を円によって囲んだもの)について血合い臭さを感じない」又は「試料(2)(図11中においては、数字「2」を円によって囲んだもの)について血合い臭さを感じる」と回答した人数は、パネラー12名中9名であった。
(結論)肉処理ステップによる処理を血合い肉601に実施することで、マグロの血合い肉の血合い臭さが低減することが明らかになった(危険率1%で有意差有り)。
また、ここで用いた実施例(試料(1))は、絶縁槽内電極配設水処理法によって形成された特殊水93を用いて絶縁槽内電極配設肉処理法を実施することで得られたものであるが、水処理ステップとして絶縁槽内電極配設水処理法のみならず導電槽内電極配設水処理法や導電槽電極無し水処理法を用い、さらに肉処理ステップも絶縁槽内電極配設肉処理法のみならず導電槽内電極配設肉処理法や導電槽電極無し肉処理法を用いた場合についても肉処理ステップによって血合い肉601の血合い臭さを低減させることができることが明らかになった。
以上説明のマグロの血合い肉を用いた処理肉の製造方法は、異味及び/又は異臭(ここでは血合い肉が通常有する悪臭や悪味)が抑制(減少)された動物由来食用肉(マグロに由来する処理済み血合い肉)の製造方法であって、動物由来の原料肉(ここではマグロの血合い肉601)を交流電界内に配置する肉処理ステップを備えるものである、動物由来食用肉の製造方法である。
そして、ここでは肉処理ステップが、原料肉(血合い肉601)を水(ここでは特殊水93)中に浸漬した状態で行われるものである。
さらに、肉処理ステップが、原料肉(血合い肉601)が浸漬された水(特殊水93)に接触する電極(浸漬電極501)と、電極(浸漬電極501)に交流電圧を印加する電圧発生装置(高電圧発生装置101)と、を用いて行われるものである。
なお、ここでは肉処理槽261とその中に配設された浸漬電極501(電圧印加物Q)とを用いる図7に記載の絶縁槽内電極配設肉処理法によって肉処理ステップを行ったが、肉処理槽264とその中に配設された浸漬電極501(電圧印加物Q)とを用いる図8に記載の導電槽内電極配設肉処理法や、肉処理槽266(電圧印加物Q)を用い浸漬電極501を用いない図9に記載の導電槽電極無し肉処理法(導電槽電極無し肉処理法の場合、肉処理ステップが、原料肉(血合い肉601)が浸漬された水(特殊水93)に接触する電極(本体部266a)と、電極(本体部266a)に交流電圧を印加する電圧発生装置(高電圧発生装置101)と、を用いて行われる)によっても肉処理ステップを行うことができることは前述の通りである。
ここでの肉処理ステップにおける交流電界が、電極(浸漬電極501)に印加される500〜14000Vの電圧(ここでは具体的には3500V)と電流0.1μA〜2.5μAの電流(ここでは具体的には1.5μA)によって形成されるものである。
加えて、電圧発生装置(高電圧発生装置101)が、鉄芯2を用いた変圧器1の一次側回路の一次巻線3を交流電源(ここでは100V、60Hzの商用電源)に接続すると共に、変圧器1の二次側回路の二次巻線4の一端5aが絶縁され、その他端5bが電極(浸漬電極501)に接続されるものである。
そして、電極(浸漬電極501)が、原料肉(血合い肉601)を収容する凹部(浸漬電極501が形成する有底無蓋のカゴ形状の内部空間)を有し、原料肉(血合い肉601)が浸漬された水(特殊水93)中において支持されるものである。
電極(浸漬電極501)が、前記凹部(有底無蓋のカゴ形状の内部空間)の内部と外部とを連通させる連通孔(ここでは縦材同士及び横材同士の間に形成される隙間)を有するものである。
また、上の実施例ではそうしていないが、図9に記載の導電槽電極無し肉処理法においては、原料肉(血合い肉601)と原料肉(血合い肉601)が浸漬された水(特殊水93)とを収容する容器(本体部266a)が電極となるものである。
ここでは肉処理ステップにおいて原料肉(血合い肉601)が浸漬される水(特殊水93)を原料肉(血合い肉601)が浸漬される前に交流電界内に存在させる水処理ステップをさらに備えるものである。なお、ここでは水処理槽201とその中に配設された浸漬電極401(電圧印加物Q)とを用いる図1に記載の絶縁槽内電極配設水処理法によって水処理ステップを行ったが、水処理槽231とその中に配設された浸漬電極401(電圧印加物Q)とを用いる図5に記載の導電槽内電極配設水処理法や、水処理槽251(電圧印加物Q)を用い浸漬電極401を用いない図6に記載の導電槽電極無し水処理法によっても水処理ステップを行うことができることは前述の通りである。
そして、ここでは動物由来の原料肉が魚の血合い肉(マグロの血合い肉)である。
このような方法により製造される食用肉(マグロの血合い肉を用いた処理食用肉:試料(1))は、上述のように、血合い肉が通常有する悪臭や悪味が抑制(減少)されたものであり、そのまま又は通常の調理をして食用に供しても異味及び/又は異臭が減少しているので美味しく食すことができる。
1 交流高電圧発生用の変圧器
2 鉄芯
3 一次巻線
4 二次巻線
5a 一端
5b 他端
9 接地
10 絶縁フィルム
11 電圧調整器(スライダック)
16 接続プラグ
91 原料水
93 特殊水
101 高電圧発生装置
201 水処理槽
201a 本体部
201b 蓋部
231 水処理槽
231a 本体部
231b 蓋部
251 水処理槽
251a 本体部
251b 蓋部
261 肉処理槽
261a 本体部
261b 蓋部
263 温度計
264 肉処理槽
264a 本体部
264b 蓋部
266 肉処理槽
266a 本体部
266b 蓋部
271 氷嚢
281 断熱カバー
301 絶縁台
303 基礎部
305 碍子
307 支持板
401 浸漬電極
501 浸漬電極
521 浸漬電極
523 内部空間
525 開口
601 マグロの血合い肉

Claims (10)

  1. 異味及び/又は異臭が抑制された動物由来食用肉の製造方法であって、
    動物由来の原料肉を水中に浸漬した状態で交流電界内に配置する肉処理ステップを備えるものである、動物由来食用肉の製造方法。
  2. 肉処理ステップが、原料肉が浸漬された水に接触する電極と、電極に交流電圧を印加する電圧発生装置と、を用いて行われるものである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 肉処理ステップにおける交流電界が、電極に印加される500〜14000Vの電圧と電流0.1μA〜2.5μAの電流によって形成されるものである、請求項2に記載の製造方法。
  4. 電圧発生装置が、鉄芯を用いた変圧器の一次側回路の一次巻線を交流電源に接続すると共に、変圧器の二次側回路の二次巻線の一端が絶縁され、その他端が電極に接続されるものである、請求項2又は3に記載の製造方法。
  5. 電極が、原料肉を収容する凹部を有し、原料肉が浸漬された水中において支持されるものである、請求項2乃至4のいずれか1に記載の製造方法。
  6. 電極が、前記凹部の内部と外部とを連通させる連通孔を有するものである、請求項5に記載の製造方法。
  7. 原料肉と原料肉が浸漬された水とを収容する容器が電極となるものである、請求項2乃至4のいずれか1に記載の製造方法。
  8. 肉処理ステップにおいて原料肉が浸漬される水を原料肉が浸漬される前に交流電界内に存在させる水処理ステップをさらに備えるものである、請求項1乃至7のいずれか1に記載の製造方法。
  9. 動物由来の原料肉が魚の血合い肉である、請求項1乃至8のいずれか1に記載の製造方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1に記載の製造方法により製造されうる食用肉。
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