JP5857938B2 - 発泡性皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
本発明に用いる重炭酸塩としては、酸と反応して二酸化炭素を発生する重炭酸塩が使用される。好ましくは炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水酸化マグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸水素塩があげられこれらの1種又は2種以上が用いられる。これらのうちでも、程よい発泡力を実現し経皮吸収性を向上することができる点で、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
本発明に用いる酸性物質としては、有機酸、無機酸のいずれでもよく、これらの1種又は2種以上が用いられる。
本発明の水溶性物質は、水溶性で、皮膚外用剤として使用された場合に、美白、皮膚老化防止、あるいは抗酸化効果等の皮膚に対する有用な効果を奏するものであれば、特に限定されることなく、目的に応じ使用することができる。
本発明の二剤のうちいずれかを液剤とする場合には、該液剤には、少なくとも、上記の、重炭酸塩、あるいは重炭酸塩と反応して発泡を生じさせる酸性物質のいずれかと、水溶性有効成分が含まれ、これに加えて溶媒及びその他成分を含むこともできる。含有される成分について、以下に説明する。
本願発明の溶媒としては、精製水、エタノール、グリセリン、ジプロピレングリコール1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール等の多価アルコール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、植物油剤、生理食塩水等が挙げられる。精製水としては、通常、化粧品、医薬品等に用いられる水であれば、特に制限なく使用することができる。これらのうちいずれか2種以上を混合して使用することも可能である。
(2)その他成分
その他成分としては、消泡剤、pH調整剤、溶解補助剤、乳化剤、懸濁化剤、清涼化剤、香料、ハーブエキス等の各種植物エキス色素、pH調整剤、保湿剤、界面活性剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、殺菌剤、感触改良剤等が挙げられる。消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサン又はシリコン消泡剤等が挙げられる。pH調整剤としては、例えば、リン酸水素ナトリウム又はリン酸二カリウム等が挙げられる。溶解補助剤としては、例えばエタノール、ショ糖脂肪酸エステル又はマクロゴール等が挙げられる。清涼化剤としては、例えばl−メントール又はハッカ水等が挙げられる。上記懸濁化剤としては、例えば、カオリン、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、メチルセルロース又はトラガント等が挙げられる。
本発明の一剤を粘性剤とする場合又は二剤のうちいずれかを粘性剤とする場合には、該粘性剤には、少なくとも、上記の、重炭酸塩、あるいは重炭酸塩と反応して発泡を生じさせる酸性物質のいずれかと、水溶性有効成分及び増粘剤が含まれ、これに加えて水及びその他成分を含むこともできる。含有される各成分及び粘性剤の製造方法について、以下に説明する。
本願発明の増粘剤としては、皮膚外用剤に含まれる水分との相互作用の大きい親水性増粘剤であれば、通常の化粧料等で用いられる増粘剤が特に限定なく使用することができる。ただし、粘性剤中に酸性物質を含有する場合には、耐酸性の観点からスルホン化セルロース誘導体を用いることが好ましい。化粧料等で用いられる通常の増粘剤を用いた場合は、酸性物質を含有させた場合に粘度が低下して垂れ落ち、有効成分の経皮吸収が阻害される原因となることがある。
本願発明の水としては、通常、化粧品、医薬品等に用いられる水であれば、特に制限なく使用することができる。例えば、蒸留水、膜濾過水、イオン交換水、海洋深層水等が挙げられる。これらは、単独で使用することも、2種以上を混合して使用することも可能である。
本願発明の粘性剤には、目的に応じ、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ脂、硬化パーム油、合成トリグリセライド、月見草油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油等の油脂、香料、ハーブエキス等の各種植物エキス色素、アルコール等の有機溶媒、pH調整剤、保湿剤、界面活性剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、殺菌剤等を含有させることができる。
粘性剤の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記酸性物質と前記水とを含む溶液に増粘剤を混合して調製すればよい。粘性剤の態様としては、ジェル状、スラリー状等、特に制限なく設定できるが、使用感の観点から、ジェル状とすることが好ましい。
本発明の一剤を顆粒剤とする場合又は二剤のうちいずれかを顆粒剤とする場合には、該顆粒剤には、少なくとも、上記の、重炭酸塩、及び重炭酸塩と反応して発泡を生じさせる酸性物質、水溶性有効成分の全て又はいずれかが含まれ、これに加えて、マトリックスを構成する顆粒化剤、増粘剤等のその他成分を含むこともできる。顆粒剤に含有される各成分及び顆粒剤の製造方法について、以下に説明する。
顆粒剤に含有される、重炭酸塩及び/又は重炭酸塩と反応して発泡を生じさせる酸性物質の具体的な内容は、粘性剤の項で説明したものと同様である。
顆粒化剤としては、例えば、乳糖、粉糖、澱粉、デキストリン、キシリトール、D−ソルビトール、ブドウ糖、D−マンニトール、果糖、蔗糖、白糖、尿素等の紛体を、特に制限なく、単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
顆粒剤の製造方法は本実施例に限定されることはなく、乾式破砕造粒法や湿式破砕造粒法、流動層造粒法、高速攪拌造粒法、押し出し造粒法等の常法に従い製造できる。
本願発明の皮膚外用剤の使用方法としては、特に限定することなく採用することができるが、例えば、顆粒形態の一剤式として供給し、使用時に水を混合して使用する態様、あるいは、粘性剤と顆粒剤等の二剤型として供給し、使用時にこれらを混合して使用する態様等がとられる。
本発明は、発明者が水溶性有効成分の経皮吸収性を向上すべく鋭意検討を行った結果、炭酸の気泡を生じる発泡剤存在下に水溶性物質が存在すると、その経皮吸収が促進されることを見出し発明するに至ったものである。水溶性物質の経皮吸収が促進される理由は未だ明らかではないが、以下に挙げるようなものが考えられる。
ヒト3次元培養皮膚モデルを用いて、水溶性物質の炭酸水による経皮吸収性促進効果の確認を行った。
<水溶性有効成分>
松樹皮抽出物(東洋新薬製)
<ヒト3次元培養皮膚モデル>
ヒト3次元培養皮膚モデル「LabCyte EPI―MODEL 24」(J−TEC製)を用いた。このヒト3次元培養皮膚モデル(以下「培養皮膚」という)は、ヒト正常皮膚細胞を用いて培養し重層化した、ヒト3次元培養表皮であり、形態的にヒト皮膚に類似した構造をしており、基底層・有棘層・顆粒層・角質層を有している。一般に、実験動物やヒトの表皮の代替材料として用いられている。
・炭酸水素ナトリウム水溶液
炭酸水素ナトリウムを超純水に溶解し、濃度7.5%(W/V)の溶液を作成した。
・クエン酸水溶液
クエン酸を超純水に溶解し、濃度がそれぞれ、0.5、1.5%(W/V)の2種類の溶液を作成した。
・松樹皮抽出物−炭酸水素ナトリウム水溶液
上記炭酸水素ナトリウム水溶液に松樹皮抽出物を溶解し、濃度2%(W/V)の溶液を作成した。
・松樹皮抽出物水溶液の作成
比較例として、超純水に松樹皮抽出物を溶解し、濃度1%(W/V)の溶液を作成した。
炭酸水素ナトリウム水溶液とクエン酸水溶液を混合することにより、炭酸を発生させた。炭酸水素ナトリウム過多としたため、クエン酸濃度が高くなるにつれ、炭酸の発生量も理論的に多くなる。
リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate Buffered Saline: PBS)に松樹皮抽出物を溶解し、濃度1%(W/V)の溶液を作成した。続いて、これを5倍に段階的に希釈し、0.2〜0.000064%の松樹皮抽出物PBS溶液を作成した。Foline−Denis法により、730nmの吸光度を測定し、松樹皮抽出物の検量線を作成した。
以下に、図1及び図2を用い、経皮吸収性評価手順について説明する。
(培養皮膚の順化工程)
(1)24個のウェル1を備えたアッセイプレート6の各ウェル1にアッセイ培地2を500μLずつ分注した。上記培養皮膚3が入った培養カップ4をアルミ包装より取り出し、アッセイ培地2の入った各ウェル1に、培養カップ4をその底面に気泡が入らないように注意して移した。上記培養皮膚3の入ったアッセイプレート6をCO2インキュベーター内で1時間以上前培養した。
(各ウェルの洗浄工程)
(2)順化工程にて発生した可能性のある不要物質を取り除くため、各ウェル1の洗浄作業を行った。具体的には、アッセイプレート6に備えられた24個の各ウェル1の内壁面とその中の培養カップ4の外壁面との間のアッセイ培地2をピペットで取り除き、各ウェル1を500μLのPBS(培養カップ4の8分目程を満たす量)で3回洗浄し、その後、各ウェル1に500μLのPBSを分注した。
(被検物質の評価工程)
(3)比較例として、50μLの上記松樹皮抽出物水溶液を培養カップ4中の培養皮膚3に添加した(n=3)。
(4)実施例として、25μLの上記松樹皮抽出物−炭酸水素ナトリウム水溶液を培養カップ4中の培養皮膚3に添加した後、さらに25μLの0.5、1.5%(W/V)の上記クエン酸水溶液を各培養カップ4に添加した(クエン酸濃度0.5、1.5ごとに、n=3)。そのまま、CO2インキュベーター内で30分間静置した。
(5)被検物質5の添加から30分後に、各ウェル1のPBSを全量回収し、再び、500μLのPBSを各ウェル1に分注した。そのまま、アッセイプレート6をCO2インキュベーター内で静置した。
(6)被検物質5の添加から1時間及び2時間後に、上記(5)と同様の操作を繰り返した。
(7)上記各時間ごと(被検物質5の添加から30分、1時間、2時間後)に採取したPBSを、減圧乾燥機を用いて乾固した後、乾固物を超純水100μLにて再溶解し、Foline―Denis法を用いて、再溶解液中に含まれる総松樹皮抽出物量を求め、平均値を算出した。
続いて、培養皮膚だけでなく、ヒトの皮膚を用いた場合においても、上記の検討と同様に、精製水よりも炭酸水を用いた方が、水溶性有効成分の経皮吸収性の向上を図ることができることを示すため、以下の実験を行った。
リボフラビン(Riboflavin)はビタミンB2のことであり、水に可溶で水溶液は黄色を示し、ビタミンとしての栄養成分として以外に、着色料(食品添加物)としても利用される。
リボフラビンの浸透量は分光蛍光光度計にて測定可能である。
塗布20分後にテープ・ストリップ法にて角質層8〜10層を採取し、リボフラビンの浸透量を測定し、それぞれ5人のリボフラビン浸透量の平均値を求めた。
2 アッセイ培地
3 培養皮膚
4 培養カップ
5 被験物質
6 アッセイプレート
Claims (1)
- 顆粒形態の重炭酸塩、前記重炭酸塩と反応して二酸化炭素を生じさせる顆粒形態の酸性物質及び顆粒形態の松樹皮抽出物を含有する発泡性化粧品であって、前記重炭酸塩と前記松樹皮抽出物とを水に溶解した溶液(第一剤)と、前記酸性物質を水に溶解した溶液(第二剤)とを混合し、前記松樹皮抽出物の経皮吸収を促進させることを特徴とする、発泡性化粧品(ただし、増粘剤の併用を除く)。
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