<第1実施形態>
<全体構成>
図1は本発明の一実施形態に係るスロットマシン100の外観斜視図、図2は前面扉102を開いた状態のスロットマシン100の外観斜視図である。スロットマシン100は、本体101と、本体101の正面にヒンジ部103を介して取り付けられ、本体101に対して開閉可能な前面扉102と、を備える。本体101は遊技装置を囲む箱体(キャビネット)であり、例えば、本体101の中央内部には、(図示省略)外周面に複数種類の図柄が配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。これらのリール110乃至112はステッピングモータ等の駆動装置により回転駆動される。
本実施形態において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形筒状の枠材に貼り付けられて各リール110乃至112が構成されている。リール110乃至112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110乃至112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。つまり、各リール110乃至112は複数種類の図柄の組合せを変動可能に表示する表示装置として機能する。なお、このような表示装置としてはリール以外にも液晶表示装置等の電子画像表示装置も採用できる。また、本実施形態では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
各々のリール110乃至112の背面には、図柄表示窓113に表示される個々の図柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。バックライトは、各々の図柄ごとに遮蔽されて個々の図柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。なお、スロットマシン100内部において各々のリール110乃至112の近傍には、投光部と受光部から成る光学式センサ(図示省略)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部の間をリールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン上に表示されるようにリール110乃至112を停止させる。
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ライン114を示すランプである。有効となる入賞ライン114は、遊技媒体としてベットされたメダルの数によって予め定まっている。入賞ライン114は5ラインあり、例えば、メダルが1枚ベットされた場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚ベットされた場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚ベットされた場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5ラインが入賞ラインとして有効になる。
なお、入賞ライン114の数については5ラインに限定されるものではなく、また、例えば、メダルが1枚ベットされた場合に、中段の水平入賞ライン、上段水平入賞ライン、下段水平入賞ライン、右下り入賞ラインおよび右上り入賞ラインの5ラインを有効な入賞ラインとして設定してもよく、ベット数に関係なく、一律に同一数の入賞ラインを有効な入賞ラインとして設定してもよい。
告知ランプ123は、例えば、入賞役の内部抽選において特定の入賞役(具体的には、ボーナス)に内部当選していること、または、ボーナス遊技中であることを遊技者に知らせるランプである。遊技メダル投入可能ランプ124は、遊技者が遊技メダルを投入可能であることを知らせるためのランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要であること)を遊技者に知らせるランプである。リールパネルランプ129は演出用のランプである。
ベットボタン131及び132は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダル(クレジットという)を所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施形態においては、ベットボタン132が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、ベットボタン131が押下されると3枚投入されるようになっている。以下、ベットボタン131はMAXベットボタンとも言う。なお、遊技メダル投入ランプ125は、投入されたメダル数に応じた数のランプを点灯させ、規定枚数のメダルの投入があった場合、遊技の開始操作が可能な状態であることを知らせる遊技開始ランプ121が点灯する。
メダル投入口133は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、ベットボタン131及び132により電子的に投入することもできるし、メダル投入口133から実際のメダルを投入(投入操作)することもでき、投入とは両者を含む意味である。貯留枚数表示器128は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技情報表示器127は、各種の内部情報(例えば、ボーナス遊技中のメダル払出枚数)を数値で表示するための表示器である。払出枚数表示器126は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。貯留枚数表示器128、遊技情報表示器127、および、払出枚数表示器126は、7セグメント(SEG)表示器とした。
スタートレバー135は、リール110乃至112の回転を開始させるためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口133に所望するメダル枚数を投入するか、ベットボタン131及び132を操作して、スタートレバー135を操作すると、リール110乃至112が回転を開始することとなる。スタートレバー135に対する操作を遊技の開始操作と言う。
ストップボタンユニット136には、ストップボタン136a乃至136cが設けられている。ストップボタン136a乃至136cは、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110乃至112を個別に停止させるためのボタン型のスイッチであり、各リール110乃至112に対応づけられている。以下、ストップボタン136a乃至136cに対する操作を停止操作と言い、最初の停止操作を第1停止操作、次の停止操作を第2停止操作、最後の停止操作を第3停止操作という。なお、各ストップボタン136a乃至136cの内部に発光体を設けてもよく、ストップボタン136a乃至136cの操作が可能である場合、該発光体を点灯させて遊技者に知らせることもできる。
メダル返却ボタン133aは、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。精算ボタン138は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル、ベットされたメダルを精算し、メダル払出口165から排出するためのボタンである。メダル払出装置161はメダル払出口165からメダルを一枚ずつ排出する装置である。ドアキー孔139は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。
ストップボタンユニット136の下部には、機種名の表示と各種証紙の貼付とを行うタイトルパネル140が設けられている。タイトルパネル140の下部には、メダル払出口165、メダルの受け皿160が設けられている。
音孔173はスロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。前面扉102の各部に設けられたランプ151乃至158、190は遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。前面扉102の上部には画像表示装置180が配設されている。画像表示装置180は例えば液晶表示装置であり演出が像を表示する。
係る構成のスロットマシン100では、遊技者がメダルを投入し、スタートレバー135に対して開始操作を行うと、リール110乃至112が一斉に回転すると共に入賞役の内部抽選が行われる。続いて、ストップボタン136a乃至136cに対する遊技者の各停止操作が行われると、対応するリールの回転を停止させる。このとき、内部抽選結果に応じたリールの停止制御が行われる。そして、全リール110乃至112停止時にこれらのリールにより表示された図柄の組み合わせがいずれかの入賞役に対応する図柄の組み合わせであった場合にはその入賞役に入賞し、入賞した入賞役にメダルの払い出しが定められている場合はメダルが払い出される。このようなスロットマシン100の遊技の制御は、CPU等を搭載した制御基板により行われる。
<本体101>
本体101の構成について図1乃至図3を参照して説明する。図3はスロットマシン100の背面図、側面図、平面図及び底面図である。本実施形態では本体101は、その天部を構成する天板101aと、その左右の側部を構成する側板101b、101bと、その底部を構成する底板101cと、その背部を構成する背板101dと、を備え、正面が開放した箱体をなしている。
天板101aはその奥行き方向の幅が、底板101cの奥行き方向の幅よりも短くなっており、これに伴って側板101b、101bの正面側の辺が傾斜している。つまり、本体101の正面開口部は上下方向に対して天部側が後傾して斜めに形成されている。このため、図2に示すように前面扉102の回動方向は水平方向からやや斜め上向きに開閉する。これは、前面扉102を開閉する際、スロットマシン100の設置面に対して前面扉102の底部が擦れないという利点がある。
<取手部の構成>
側板101bには、スロットマシン100や本体101の運搬用の取手部200が設けられている。図4は取手部200を利用した本体101の運搬態様を例示している。図4(a)は本体101を正立状態で運搬する態様を、図4(b)は本体101を上下反転させた倒立状態で運搬する態様を、それぞれ示している。ここで、本体101を上下反転させて持ち上げる場合がある理由について説明する。
スロットマシン100の製造過程において、本体101はそれ単体で製造されて一旦保管され、その後、組立ラインに運ばれることになる。上記の通り、本体101の正面開口部は傾斜しているため、保管の際には、図5に示すように、正立状態と倒立状態とを繰り返して配置し、隣接する本体101の正面開口部を合わせることで、占有スペースを削減することになる。
したがって、保管状態から本体101を運搬する際、図4(a)に示すように正立状態で本体101が持ち上げられて運搬される場合と、図4(b)に示すように倒立状態で本体101が持ち上げられて運搬される場合とがある。また、図6(a)及び(b)に示すように倒立状態で持ち上げられた後、正立状態に持ち替えられる場合もある。
取手部200はカバー部材210によって構成される。図7(a)は側板101bの部分断面図、図7(b)はカバー部材210の側面図、図7(c)は孔部101b’に取り付けた状態でのカバー部材210の側面図である。
図7(a)に示すように、側板101bには取手部200の位置に孔部101b'が形成されている。本実施形態の場合、孔部101b'は側板101bをその厚み方向に貫通した孔である。孔部101b'の大きさ(開口面積)は、強度の低下や不正行為防止の点でなるべく小さいことが好ましく、例えば、横80〜90mm、縦30〜40mm程度に設けられる。このように大きさを設定することで、手を挿入することができても、手に何らかの器具(工具)を持った状態での挿入を困難にし、不正行為防止に寄与する。
カバー部材210は孔部101b'を塞ぐように孔部101b'に取り付けられ、主に作業者の指先保護を目的としている。孔部101b'はそれ自体取手部として利用できなくはない。しかし、一般に本体101は、MDF等の合板や板金により構成されることが一般的であり、合板は木くずの圧縮により形成されるため、孔部101b'の周縁は脆く、指をかけると木片が刺さる恐れがあり、板金の場合においては孔部101b'の切り欠きにより指を怪我する恐れがある。また、側板101bの厚さと作業者の指に荷重が加えられる面積とが比例するため、作業者の指先に加わる圧力を減少させるためには側板101bの厚さを厚くしなければならない。カバー部材210はこういった問題を解決することができる。
カバー部材210は基本的にスロットマシン100や本体101の運搬時にのみ必要となるので、孔部101b'に対して固定してもよいし、着脱自在としてもよい。本実施形態では弾性係合片215の孔部101b’に対する係合構造によって、カバー部材210を着脱自在としている。以下、カバー部材210の構成について説明する。
図8(a)及び(b)、図9(a)及び(b)は視点を変えたカバー部材210の斜視図である。図10(a)及び(b)はカバー部材210の分解斜視図である。本実施形態の場合、カバー部材210は、分割面を上下方向としてこれを半割とした二部品210A、210Bを互いに係合して構成されている。一部品の構成でもよいが二部品とすることで、一部に破損があっても、その部品のみ交換すれば足りる。
カバー部材210は、装着状態において側板101bに開口する開口部OPを一端に有する袋状の内部空間SPを有する中空体である。開口部OPは作業者の手の差込口を形成している。正立状態で本体101を持ち上げる際、作業者は内部空間SPの奥まで指を差し込んで本体101を把持することになる。
なお、本書においては、開口部0Pをカバー部材210の正面とし、側板101bでの装着状態を基準として上下方向、横方向(前後方向、左右方向)を規定することとする。以下、図12も合わせて参照してカバー部材210の構成を説明する。図12(a)はカバー部材210の正面図、(b)は図12(a)のA−A線切断面端面図、(c)は図12(a)のB−B線切断面端面図、(d)は図12(a)のC−C線切断面端面図である。
本実施形態の場合、開口部OPは隅丸の方形をなしている。開口部OPの大きさも(開口面積)、孔部101b'の場合と同様、不正行為防止の点でなるべく小さいことが好ましく、例えば、横80〜90mm(図12(a)のL2)、縦30〜40mm(図12(a)のL4)程度が好ましい。
開口部OPは、その周縁部を形成するフランジ部211により画定されている。フランジ部211は、開口部OPから外方へ突出し、孔部101b’に対して挿入方向のストッパとなっている。フランジ部211は、開口部OPの形状に合わせて隅丸の方形をなしており、上縁部211a、一対の側縁部211b、211b及び下縁部211cを有している。
本実施形態の場合、下縁部211cに延設部212が一体的に形成されている。延設部212は上側(開口部OP側)に延設されている。延設部212は、スロットマシン100或いは本体101を倒立状態で運搬する場合に、指先や運搬装置のフック等をひっかけるために設けられている。本実施形態の場合、延設部212は、フランジ部211のうち、下縁部211cにのみに設けられている。これにより、開口部OPが極端に狭くならないようにしている。また、延設部212は下縁部211cの一部に設けてもよいが、本実施形態では全域に設けている。これにより、ひっかける範囲を広くとれるともに、ひっかかった指やフック等が外れ難いようにしている。
図12(a)において、側縁部211bの幅L1、上縁部211aの幅L5、及び、下縁部211cと延設部212の合計の幅L3の関係は、L1≒L5<L3である。
内部空間SPは、前後方向から途中で上方向へ曲折したL字型をなしている。具体的には、内部空間SPは、開口部OPを有して前後方向へ延びる内部空間SP1と、内部空間SP1の開口部OPと反対側の端部から上側に延びる内部空間SP2と、を含む。
内部空間SPがL字型をなしていることで、正立状態で本体101を運搬する際、作業者の手のうち、内部空間SP1に指元が、内部空間SP2に指先が、それぞれ位置し易くなり、指をフック型に曲げて取手部200にひっかけることができ、運搬しやすくなる。逆に、倒立状態では内部空間SPに手が差し込み難くなる。そこで、延設部212に指先をひっかけることで作業者は倒立状態でも本体101を運搬し易くなる。
内部空間SP1は、フランジ部211と連続する上壁部213a、一対の側壁部213b、及び、底壁部213cにより画定されている。内部空間SP2は、上壁部214a、後壁部214b、前壁部214c及び一対の側壁部214dにより画定されている。
上壁部213aの内面SF1は内部空間SP1と内部空間SP2との境界部分において、内部空間SP1の上面を形成している。一方、上壁部214aは内部空間SPの最奥部を形成する最奥部形成部分であり、上壁部214aの内面SF2は内部空間SPの最奥端面を形成している。本実施形態では図11に示すように、内面SF1と内面SF2とが互いに平行であり、内部空間SPにおいて、フック型に曲げた作業者の指の座りがよくなる。
側壁部214dは、上下に真っすぐ延びる下部214dbと、下部214dbから左右方向中央側へ傾斜して真っすぐ延びる上部214daと、から構成されている。このため、図12(a)に示すように、上壁部214aの左右方向の幅L6と、一対の側壁部213b間の左右方向幅或いは下部214db間の左右方向の幅L7との関係は、幅L6<幅L7となっている。このため、内部空間SP2は、その奥側で左右方向の幅が狭い、台形柱形状の幅狭空間NSPとなっている。
幅狭空間NSPを設けたことで、作業者が内部空間SPに差し込んだ指に力をかけた場合に不必要に指の位置が動いてしまうことが抑制される。図13はその説明図である。まず、比較例として図13(a)は幅狭空間NSPが無い場合を示している。同図に示すように、指先の幅に対して内部空間SPの奥の幅が大きすぎるため、指先が左右に動いて不安定となる。開口部OPを含めて内部空間SP全体を狭くすると、手の抜き差しが不便になる。
一方、図13(b)に示すように本実施形態では、幅狭空間NSPが存在していることで、指先の位置が少し拘束され、指先が左右に動くことが抑制される。これにより、作業者は安定して力をかけ易く、スロットマシン100或いは本体101の運搬がより容易化する。また、幅狭空間NSPは内部空間SPの奥側の一部であるので、手の抜き差しを不便にすることもない。
本実施形態の場合、幅狭空間NSPは、その奥側に向かって徐々に幅狭となっている。このため、内部空間SPに手を差し込めば、上部214daの内面の案内によって作業者の指先が適切な位置に自然と導かれ、幅狭空間NSPにより作業者に違和感を与える事態を回避できる。また、手が大きい者と小さい者とでは指先が届く位置が異なるだけであって、いずれも幅狭空間NSPに手を差し入れることができ、より万人に対応できる。特に、本実施形態の場合、幅狭空間NSPは、その奥側中央部(上壁部214aの左右方向中央部)に向かって徐々に幅狭となっているため、指先の起伏(中指が最も長く、人差し指及び薬指、小指)に合わせて適切な位置に自然と導くことができる。
加えて、本実施形態では、内部空間SPが左右方向の幅方向の中心線(図12(a)のA−A線)に対して左右対称であるため、作業者がスロットマシン100や本体101をその正面側から把持した場合の内部空間SPに対する指先の位置(図13(b))と、背面側から把持した場合の内部空間SPに対する指先の位置(図13(c))とが同じになり、作業者に違和感を与えることを回避できる。
次に、底壁部213cの内面は内部空間SP(特に内部空間SP1)の下面SFLを構成している。
下面SFLは、下縁部211cから奥側へ延びる前面部SF3、前面部SF3から奥側に延びる中面部SF4、SF4’、中面部SF4、SF4’から奥側に延びる後面部SF5を含む。中面部SF4、SF4’は、前面部SF3及び後面部SF5よりも奥側上方へ傾斜している。前面部SF3は水平であり、後面部SF5は奥側上方へ傾斜しているものの、傾斜の度合いは中面部SF4、SF4’よりも小さい。
中面部SF4’は中面部SF4の左右方向両側に位置している。中面部SF4’は底壁部213cに設けた凹部213c’の内面である。凹部213c’は弾性係合片215との干渉を避けるために設けられている。弾性係合片215は、その一端215aが底壁部213cに一体に接続され、その他端215bが底壁部213cの開放に位置する開放端となっている。他端215bは、スロットマシン100の側板101bに内側から係合する部分であり、本実施形態では図7(c)に示すように、孔部101b’の縁に係合する。
カバー部材210を孔部101b’を装着する際には、この弾性係合片215を弾性変形させる必要があり、凹部213c’はその可動範囲を確保する。図15は装着途中の状態を示している。同図に示すように、弾性係合片215は孔部101b’の内面を案内として、一端215aを回動中心として上側に弾性的に回動する。凹部213c’を設けたことで、弾性係合片215が十分に回動するスペースが確保される。
なお、弾性係合片215は部品210A、210Bにそれぞれ設けられている。したがって、弾性係合片215が破損した場合には、破損した側の部品を交換すればよいことになる。
凹部213c’を底壁部213cの左右方向に全域に渡って設けると、内部空間SP(特に内部空間SP1)を圧迫する。これは手の抜き差しを不便にする場合がある。そこで、本実施形態では、凹部213c’を底壁部213cの左右方向の両端部に配置すると共に、中央領域の内面には中面部SF4’よりも傾斜が浅い中面部SF4を形成した。両者の角度関係は、特に図14から理解される。これにより、内部空間SPが圧迫されることを軽減し、手の抜き差しを容易化している。
また、図12(c)及び(d)に示すように、延設部212と中面部SF4との間における前面部SF3の前後方向の幅L8と、延設部212と中面部SF4’との間における前面部SF3の前後方向の幅L9と、の関係は幅L8>幅L9となっている。幅L8を広くとることで、スロットマシン100或いは本体101を倒立状態で運搬する際、作業者の指が延設部212に引っ掛かる際に、指先が差し込まれるスペースを確保することができる。
延設部212には、作業者の指だけでなく、運搬装置のフック等を係止する部位として利用できる。つまり、延設部212は多様な運搬態様の対応に寄与する。
図16(a)はフック300を例示している。フック300は、その端部がコ字型に曲折されて、先端部301から隙間L11が形成されている。
ここで、図16(b)を参照して、本実施形態の場合、上壁部213aの内面である内部空間SP1の上面SF1は水平に形成されており、奥行き方向(前後方向)の幅L12は、L12>L11とされている。このため、図16(b)に示すように、フック300は上壁部213aには係止できない構成としている。一方、延設部212の奥行き方向(前後方向)の幅(厚み)L13は、L13<L11<L12の関係にある。なお、例えば、L11=10mm、L12=25mm、L13=4mmである。上面SF1は正立状態での把持時に指元、掌が当たる部分であるため、比較的広めであることが望ましい。
このため、図16(c)に示すように、フック300を延設部212に係止することができる。このようにフック300を用いた場合にも、図12(c)に示した幅L8を幅広とすることはフック300の先端部301が差し込まれるスペースの確保にも役立つ。なお、フック300を用いた運搬態様としては、本体101を倒立状態で吊り下げる場合の他、本体101を寝かした状態で滑面やローラ上を滑らせながら引っ張る等、各種の運搬態様が選択できる。
図17(a)及び(b)は別のフック310を例示している。フック310は、その端部が円弧型に曲折されている。ここで、開口部OPの上下方向の幅L4は、想定外の大型フック等が不意に用いられることを規制する役割を有しており、フック310はその幅L10が、L10>L4の関係にあり、フック310の先端部のみが内部空間SPに進入可能となっている。
本実施形態では、上面SF1は水平である一方、中面部SF4が奥側上方へ傾斜している。このため、内部空間SP1は、その奥側(前後方向後ろ側)に向かって上下方向の幅が徐々に狭くなっている(L4→L15)。内部空間SP1の最大斜め幅L16と入口幅L14との関係は、L4>L16であることが好ましい。これは、フック310を引く力が一時的に弱まることにより、フック310が内部空間SP奥側へずれて、その先端と延設部212との係合が解除されてしまう事態(外れる事態)を回避することに役立つ。
また、中面部SF4が奥側上方へ傾斜していることも、フック310の先端と延設部212との係合が解除されてしまう自体を回避することに役立つ。つまり、フック310を引く力が一時的に弱まることにより、フック310が内部空間SP奥側へずれようとするが、図17(c)に示すようにフック310の先端部は、破線と実線で示すように中面部SF4を乗り上げなければならず、傾斜が抵抗となる。これにより、フック310が外れる事態を回避することに役立つ。
次に、部品210Aと部品210Bとの係合構造について図8〜7及び図18を参照して説明する。部品210Aには、4つの係合部EG1〜EG4(総称するときは係合部EGという。)が形成されており、部品210Bには、係合部EG1〜EG4に対応する係合部eg1〜eg4(総称するときは係合部egという。)が形成されている。係合部EGは楔型をなしており、係合部egは係合部EGが挿嵌される門型をなしている。
本実施形態の場合、上記の通り分割面を上下方向としており、係合部EGと係合部egの係合方向は左右方向となっている。そして、側板101bの孔部101b’に対してカバー部材210を装着する方向は、係合方向と直交する方向である。部品210Aと部品210Bとの係合は装着前に事前に行われることを基本とするが、仮に、不十分であったとしても、孔部101b’に差し込む時に、部品210Aと部品210Bには、孔部101b’の内壁から左右方向に互いを締め付ける力が作用することになる。この結果、係合部EGと係合部egとが装着完了時には確実に係合されることになる。
係合部EG、egは、内部空間SP2の壁部にその多くが配置されており、特に、上壁部214aに配設されている(係合部EG1、eg1)。正立状態で本体101を運搬する場合、内部空間SP2の各壁部には指先の力が加わり易く、特に、上壁部214aに加わり易いと考えられることから、内部空間SP2の壁部に係合部EG、egを優先的に配置することで、部品210Aと部品210Bとが不意に分離する事態を回避できる。
また、本実施形態では、互いの接合部となる、部品210Aの周縁部EDAと、部品210Bの周縁部EDBとが互いに重ねられて部品間が係合されるように構成している。図18はその説明図である。図18(a)は部品210Aと部品210Bとを係合前後で平面視した図であり、図18(b)は係合前後での周縁部EDAと周縁部EDBの分離−重なり態様を示している。本実施形態の場合、周縁部EDAが内部空間SP側、周縁部EDBが外側で重ねられる。
このように、部品210Aの周縁部EDAと、部品210Bの周縁部EDBとを単に突き合わせて係合するのではなく重ねることで、外部からの不正行為を抑制する効果がある。例えば、針状の異物をカバー部材210を介してスロットマシン100内に侵入させようとした場合、部品210Aと部品210Bとの分割面が狙われるおそれがあるが、周縁部EDAと周縁部EDBとを重ねることで、異物を隙間に突き刺そうとしてもこれを困難にすることができる。
<第2実施形態>
側板101bの厚みには、個体差がある場合がある。或いは、異なる厚みの側板101bに対して共通のカバー部材210を利用できれば便利である。そこで、弾性係合片215の他端215bに係合部を複数設けてもよい。図19(a)はその一例を示す。同図の例では、他端215b’に階段状の係合部STPを設けている。そして、側板101bの厚みに応じて、係合部STPのうちのいずれかの段部が係合する。図19(b)及び(c)はその一例を示しており、図19(b)の例は側板101bが相対的に厚く、図19(c)の例は相対的に薄い。このように側板101bの厚さによって、孔部101b’の縁と係合する段部が異なり、異なる厚さに対応できる。
<第3実施形態>
上記各実施形態ではスロットマシン100への適用例を説明したが、他の遊技台への適用も可能である。図20はパチンコ機1への適用例を示す図である。パチンコ機1は、外部的構造として、外枠2と、内枠3と、前面枠扉4と、球貯留皿付扉5と、発射装置6と、遊技盤7と、をその前面に備える。
外枠2は、遊技機設置営業店に設けられた設置場所(島設備等)へと固定させるための縦長方形状から成る木製の枠部材であり、内枠3と共にパチンコ機1の本体を形成する。カバー部材210は外枠2の側部に設けられた不図示の孔部に取り付けられている。内枠3は、外枠2の内部に備えられ、ヒンジ部8を介して外枠2に回動自在に装着された縦長方形状の遊技機基軸体となる部材である。また、内枠3は、枠状に形成されている。
前面枠扉4は、ロック機能付きで且つ開閉自在となるようにパチンコ機1の前面側となる内枠3の前面に対しヒンジ部8を介して装着され、枠状に構成されることでその内側を開口部4aとした扉体である。なお、この前面枠扉4には、開口部4aにガラス製又は樹脂製の透明板部材4bが設けられ、背後の遊技盤7を遊技者が視認可能となっている。前面枠扉4の後面と遊技盤7の前面とで遊技領域を区画形成する。
球貯留皿付扉5は、パチンコ機1の前面において内枠3の下側に対して、施錠機能付きで且つ開閉自在となるように装着された扉体であり、球貯留皿付扉5の基部が、その向かって左側端部において内枠3に回動自在に支持されている。図16は球貯留皿付扉5を開放状態とした場合を示している。
球貯留皿付扉5には、複数の遊技球(以下、単に「球」と称する場合がある)が貯留可能で且つ発射装置6へと遊技球を案内させる通路が設けられている上皿5aや、上皿5aに貯留しきれない遊技球を貯留する下皿5c、遊技者の操作によって発射装置6へと案内された遊技球を遊技盤7の遊技領域へと打ち出す球発射ハンドル5b等が設けられている。
球貯留皿付扉5には、また、操作ユニット10が設けられている。操作ユニット10は、遊技者の操作を受け付けて演出態様に変化を与えるため等に用いるチャンスボタン、遊技店に設置されたカードユニット(CRユニット)に対して球貸し指示を行う球貸操作ボタン、カードユニットに対して遊技者の残高の返却指示を行う返却操作ボタン等を備えて構成される。
発射装置6は、球発射ハンドル5bが遊技者に操作されることによって回動する発射杆6aと、遊技球を発射杆の先端で打突する発射槌6bと、を備え、内枠3の下方に設けられている。発射装置6から発射された遊技球は、発射レールに沿って遊技領域へ発射される。遊技盤7の遊技領域には、入賞口や図柄表示装置等が配置され、入賞口に球が入球することで遊技者に何らかの特典が付与されることになる。
<実施形態のまとめ>
A1.上記実施形態の遊技台は、取手部(例えば、200)を備えた遊技台(例えば、100,1)であって、前記取手部は、前記遊技台の側部に開口した開口部(例えば、OP)を一端に有する袋状の内部空間(例えば、SP)を有するものであり、前記内部空間は、その奥側に、左右方向の幅が狭い幅狭空間(例えば、NSP)を有する。
この構成によれば、遊技台の運搬をより容易化にすることができる場合がある。
A2.上記A1の遊技台であって、前記内部空間は、前記開口部を有する第一内部空間(例えば、SP1)と、前記第一内部空間から上側に延びた第二内部空間(例えば、SP2)と、
を有するものであり、前記第二内部空間は、前記幅狭空間を有するものである。
この構成によれば、内部空間がL字型となり、指をフック型に曲げてひっかけることができ、運搬しやすくなる場合がある。
A3.上記A1又はA2の遊技台であって、前記幅狭空間は、その奥側に向かって徐々に幅狭である。
この構成によれば、作業者の指先が適切な位置に自然と導かれ、幅狭空間により作業者に違和感を与える事態を回避できる場合がある。
A4.上記A3の遊技台であって、
前記幅狭空間は、その奥側中央部(例えば、CR)に向かって徐々に幅狭である。
この構成によれば、作業者の指先が適切な位置に自然と導かれ、幅狭空間により作業者に違和感を与える事態を回避できる場合がある。
A5.上記A2の遊技台であって、前記第一内部空間と前記第二内部空間との境界部分における前記第一内部空間の上面(例えば、SF1)と、前記第二内部空間の最奥端面(例えば、SF2)と、が平行である。
この構成によれば、内部空間SPにおいて、フック型に曲げた作業者の指の座りがよくなる場合がある。
A6.上記A1乃至A5のいずれかの遊技台であって、前記内部空間が、幅方向の中心線(例えば、A-A線)に対して左右対称である。
この構成によれば、遊技台をその正面側から把持した場合と背面側から把持した場合とで内部空間に対する指先の位置が同じになり、作業者に違和感を与えることを回避できる場合がある。
A7.上記A1乃至A6のいずれかの遊技台であって、前記遊技台の側部に形成された孔部(例えば、101b')と、前記内部空間を形成する、前記孔部を塞ぐカバー部材(例えば、210)と、を備え、前記カバー部材は、互いに係合される二部品(例えば、210A,210B)によって構成されるものである。
この構成によれば、カバー部材の一部に破損があっても、その部品のみ交換すれば足りる場合がある。
A8.上記A7の遊技台であって、前記二部品の係合部(例えば、EG1〜4,eg1〜4)が、前記カバー部材のうち、少なくとも前記内部空間の最奥部形成部分(例えば、214a)に配設されている(例えば、EG1,eg1)。
この構成によれば、二部品が不意に分離する事態を回避できる場合がある。
A9.上記A7又はA8の遊技台であって、前記カバー部材は、その分割面を上下方向として、前記二部品に分割されるものである。
この構成によれば、二部品を孔部に差し込むことで、両者が確実に係合されることになる場合がある。
A10.上記A7乃至A9のいずれかの遊技台であって、前記二部品は、各々の周縁部(例えば、EDA,EDB)が互いに重ねられて係合されるものである。
この構成によれば、不正行為を抑制することができる場合がある。
B1.上記実施形態の遊技台は、取手部(例えば、200)を備えた遊技台(例えば、100,1)であって、前記取手部は、前記遊技台の側部に開口した開口部を一端に有する袋状の内部空間(例えば、SP)を有するものであり、前記開口部の下縁(例えば、211c)が、上側に延設された延設部(例えば、212)を有するものである。
この構成によれば、遊技台の多様な運搬態様に対応することができる場合がある。
B2.上記B1の遊技台であって、前記開口部の前記下縁は、その全域に渡って前記延設部を有するものである。
この構成によれば、ひっかける範囲を広くとれるともに、ひっかかった指やフック等が外れ難いようにすることができる場合がある。
B3.上記B1の遊技台であって、前記内部空間の下面(例えば、SFL)が、前記下縁から奥側へ延びる前面部(例えば、SF3)と、前記前面部から奥側に延びる中面部(例えば、SF4,SF4')と、前記中面部から奥側に延びる後面部(例えば、SF5)と、を含むものであり、前記中面部は、前記前面部及び後面部よりも、奥側上方へ傾斜しているものである。
この構成によれば、延設部にひっかかったフック等の引っ張りがゆるんだときに係合が解除されることを回避できる場合がある。
B4.上記B1乃至B3のいずれかの遊技台であって、前記遊技台の側部に形成された孔部(例えば、101b')と、前記内部空間を形成する、前記孔部を塞ぐカバー部材(例えば、210)と、を備え、前記カバー部材は、前記内部空間の下面を形成する壁部(例えば、213c)と、前記遊技台の側部に内側から係合する弾性係合片(例えば、215)と、を有するものであり、前記弾性係合片は、その一端(例えば、215a)が前記カバー部材に一体に接続され、その他端(例えば、215b)が前記遊技台の側部に内側から係合する開放端であり、前記開放端は、前記壁部の下方に位置しており、前記壁部は、前記開放端との干渉を避ける凹部(例えば、213c')を有するものである。
この構成によれば、弾性係合片の可動範囲を確保することができる場合がある。
B5.上記B1乃至B4のいずれかの遊技台であって、前記内部空間は、前記開口部を有する第一内部空間(例えば、SP1)と、前記第一内部空間から上側に延びた第二内部空間(例えば、SP2)と、を有するものであり、前記延設部の奥行き方向の幅(例えば、L13)が、前記第一内部空間の上面(例えば、SF1)の奥行き方向の幅(例えば、L12)よりも狭い。
この構成によれば、内部空間がL字型となり、指をフック型に曲げてひっかけることができ、運搬しやすくなる場合がある。また、フック等が想定外の部位にひっかかることを回避できる場合がある。
B6.上記B5の遊技台であって、
前記第一内部空間は、その奥側に向かって上下方向の幅(例えば、L4-L15)が徐々に狭いものである。
この構成によれば、延設部にひっかけているフック等が内部空間奥側へずれて、係合が解除されてしまう事態(外れる事態)を回避することに役立つ場合がある。
B7.上記B1乃至B5のいずれかの遊技台であって、前記内部空間が、幅方向の中心線(例えば、A-A線)に対して左右対称である。
この構成によれば、遊技台をその正面側から把持した場合と背面側から把持した場合とで内部空間に対する指先の位置が同じになり、作業者に違和感を与えることを回避できる場合がある。
B8.上記B4の遊技台であって、
前記カバー部材は、互いに係合される二部品(例えば、210A,210B)によって構成されるものである。
この構成によれば、カバー部材の一部に破損があっても、その部品のみ交換すれば足りる場合がある。
B9.上記B8の遊技台であって、
前記二部品の係合部が、前記カバー部材のうち、少なくとも前記内部空間の最奥部形成部分に配設されている(例えば、EG1,eg1)。
この構成によれば、二部品が不意に分離する事態を回避できる場合がある。
B10.上記B8又はB9の遊技台であって、
前記カバー部材は、その分割面を上下方向として、前記二部品に分割されるものである。
この構成によれば、二部品を孔部に差し込むことで、両者が確実に係合されることになる場合がある。
B11.上記B8乃至B10のいずれかの遊技台であって、
前記二部品は、各々の周縁部(例えば、EDA,EDB)が互いに重ねられて係合されるものである。
この構成によれば、不正行為を抑制することができる場合がある。