JP5853473B2 - 光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
ところで、この種の画像形成装置では、温度変化や経時変化に伴って走査用光束の光量が変化し、最終的に出力される画像(出力画像)に濃度むらが発生する虞がある。
そこで、従来の端面発光レーザを用いた光走査装置では、端面発光レーザから後方に射出される光をモニタし、光出力の変動を抑制するAPC(Auto Power Controll)を行っていた。
面発光レーザを用いた場合の光量制御方法としては、面発光レーザから射出された光束の一部を、ビームスプリッタやハーフミラー等の光学素子を用いて分岐させて光検出器に導き、その光検出器の出力に基づいてAPCを行うという方法が一般的である。
特許文献2には、複数の発光源を主走査方向にモノリシックに配列した光源手段と、光源手段からの複数の光ビームを所定の集束状態に変換するカップリングレンズと、光源手段及びカップリングレンズを一体的に保持する支持部材とを備えるマルチビーム光源装置が開示されている。
このマルチビーム光源装置では、支持部材は、カップリングレンズを保持し、光源手段から射出される光軸を中心に回動調整可能となるようにして取り付けられた第1の部材と、光源手段を保持し、第1の部材の主走査断面における傾きが調整可能となるように取り付けられた第2の部材とを有している。
特許文献3には、VCSEL光源から射出された光束の最も光強度の大きい部分がそのほぼ中央を通る開口部を有し、該開口部の周囲に入射した光束をモニタ用光束として反射する分離光学素子と、該分離光学素子で反射されたモニタ用光束のビーム径を制限するための第2の開口部を通過したモニタ用光束を受光することにより、光束の光量を精度良く検出するモニタ装置が開示されている。
特許文献2に開示されているマルチビーム光源装置では、発散角の変動による影響が大きいという問題があった。
特許文献3に記載の構成では、書込に用いない光束を用いてモニタするため光利用効率が高く、且つ第2開口部により、発散角変動に対する光量検出精度劣化を抑えることができるが、光源ユニットは、光源、第1開口部(光路分岐)、第2開口、受光レンズ、受光部の多部品で構成され、光源〜受講部に到る光路長さが長くなるため、光源ユニットが大型化し、且つ高コストになるという問題があった。また、モニタ光束がPD上に良好に結像するように受光レンズ、PD位置の調整を高い精度で実施する必要があった。
1.3>[(√Sp/L)/(√Sa/f)]>0.7
アンプ内蔵のため、微弱光に対してもAPCに必要なモニタ信号が得られると共に、外部で増幅する方式に対してノイズ(配線の抵抗、浮遊容量による)が低減できる。
また、カバーガラスからの戻り光によるレーザ発振モードの不安定性を低減できる。
図1に示すように、本実施形態における面発光レーザ(VCSEL)2は、複数個の発光部(光源)4が1つの基板6上に形成された2次元アレイ構造を有している。
本実施形態では、40個の光源が傾斜角αをなして、2次元上に配列されている。各発光部は、780nm帯の垂直共振器型の面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)である。
すなわち、2次元アレイは、40個の発光部を有する面発光レーザアレイである。ここでは、2次元アレイの主走査方向(m方向)のサイズは、0.4mmである。
面発光レーザはその構造上、端面発光レーザのように後方への射出光が生じないため、面発光レーザをから出射した光束を分岐して、モニタ光を得る必要がある。
図1において、符号sは副走査方向を示している(他の図において同じ)。
図3に示すように、光源装置16は、密封構造を有する1つのモジュールとして構成されている。光源の損傷を防止し、酸化、吸湿等から保護するためのカバーガラス18が設定されている。
カバーガラス18はハーフミラーを構成し、ここでは約10%の光量の光束を反射し、モニタ用光束P2として反射(分岐)している。カバーガラス18を透過する約90%の光量の光束P1は書き込みに用いられる。
・構造上、後方への射出光をモニタ光として用いることができず、一般にハーフミラーなどでモニタ光を分岐するため光量ロスが大きいことと、
・VCSEL自体、端面発光よりも、1光源当たりの光出力が小さいこと、
が課題であった。
本発明ではモニタ用光量を得るためのハーフミラーでのロスをできるだけ最小限に抑えるため、カバーガラス18の第1面(入射面)での反射率を10%以下とし、且つ、受光素子(PD)での光量不足を補うためアンプ手段(後述)を内蔵した構造を採っている。
また、カバーガラス18の第2面(射出面)は無反射コーティングを施すことで、書き込みに用いる光量を確保すると共に、カバーガラス内での多重干渉を抑えている。
受光部10の受光素子20はPD(フォトダイオード)からなり、モニタ光に基づき光電変換された微弱電流が、アンプ手段としての電流増幅用オペアンプ22にて規定値まで増幅される。
一般に、アンプ無しでは約0.02mW程度を受光する必要があるが、通常、受光面積はΦ1.0mm2以上が要求される。本発明ではこれより面積の小さいPDを用いており、受光素子20に一体内蔵されたアンプにて規定値まで増幅している。
ここで、一体化することにより、PDと増幅部を結合する配線長さが最短ですむため、抵抗や浮遊容量による応答性劣化、ノイズ低減が可能となる。なお、アンプ内蔵のPDでも、暗電流ノイズの限界から、増幅倍率は20倍程度以下に抑えるのが望ましい。
そこで、カバーガラス18は光源からの光出射方向に垂直な面に対して、ここでは10°以上傾いて設定されているため、カバーガラスからの戻り光がVCSEL光源に到達することが避けられるため、レーザ発振モードの不安定性を低減でき、安定したAPC動作を行うことができる。
さらに上記のように、光源部(面発光レーザ2)、カバーガラス18、受光部10を1つのモジュールとして一体的に構成したたことを特徴としている。
本実施形態に係る光源装置は、特許文献3の構成に比べ、部品点数が少なく、光源部〜カバーガラス〜受光部に到る光路長さを短くできるため、光源装置を小型化でき、且つ低コストに実現することが可能となる。
また、光路長が短いため、各光学素子(光源、カバーガラス、PD)の位置精度は、比較的緩いアライメント精度でも、モニタ用PD上に良好に結像することができる。すなわち、高い調整精度は不要である。
CANパッケージ26には予め一定角度の傾きをもった設置面が形成されており、カバーガラス18は該設置面に接着剤等で固定される。光源部〜カバーガラス〜受光部に到る光路長は短いため、傾き精度は1°〜2°程度の一般公差でかまわない。
以上のように、光源部〜カバーガラス〜受光部までを一体化した光源ユニット(光源装置16)は、従来の端面発光レーザとほぼ同様の扱いで、2次元、多ビーム化を実現することができる。
また従来の面発光レーザからの光束を分割して別光学系でモニタする方式に対し、部品点数が少なく、小型、且つ調整容易なため大幅なコストダウンが狙える。
アパーチャ14は走査光学系全系の像面上(感光体上)で所望のビームスポット径が得られるよう設定されている。
受光素子(PD)上の照射ビームは、図8に示すように、長軸Dm、短軸Dsの楕円形状でPDを照射する。この光束を、受光素子20がPm×Ps、面積Spの矩形形状でモニタ光束として受光する。
本実施形態では、受光素子20の受光面積をSp[mm2]としたとき、以下の関係を満足することを特徴とする。
0.5[mm2]>Sp[mm2]>0.1[mm2] (式1)
・受光素子面積が大きいと、1パッケージに収納できず、小型化、低コスト化を実現できない。
・特に面発光レーザの環境温度、経時に伴う発散角特性の変動がある場合、図4において、走査光学系に設置されたアパーチャを透過した光束の光量Paと、受光素子上の光束の光量Ppとが等価でなくなり、APC動作が不正確となる。
という問題が生じる。
そこで、本実施形態では、アンプ手段内蔵の受光素子を採用し、且つ(式1)の条件を満足することにより、APCに必要な光量を確保しつつ、面発光レーザの環境温度、経時に伴う発散角特性の変動に対しても安定したAPC動作を行うことができ、小型・低コストのモニタ付き面発光レーザ方式の光源装置を実現することができる。
また、受光素子(PD)上の照射ビームは、図8に示すように、長軸Dm、短軸Dsの楕円形状でPDを照射する。この光束は、受光素子がPm×Ps、面積Spの矩形形状でモニタ光束P2を受光する。
ここでSaは、ビーム強度分布のピーク強度の1/e2強度での面積を示す。
・受光素子上のNAは、光源からカバーガラスで反射し、受光素子に至る光路長をLとしたとき、
受光素子上のNA:NAa=√(Sp/2L)
・一方、アパーチャ上のNAは、カップリングレンズの焦点距離をfとしたとき、
アパーチャ上のNA:NAp=√(Sa/2f)
そこで、本実施形態では、以下の関係を満足することを特徴とする。
1.3>[(√Sp/L)/(√Sa/f)]>0.7 (式2)
特に面発光レーザの環境温度、経時に伴う発散角特性の変動がある場合、図4において、走査光学系に設置されたアパーチャを透過した光束の光量Paと、受光素子上の光束の光量Ppとが等価でなくなり、APC動作が不正確となる。
アパーチャを透過して、書き込みに用いられる光パワー(エネルギー)Paと、受光素子でモニタされる光束のパワー(エネルギー)Ppを略等価とすることで安定したAPC動作を行うことが可能となる。
上式において、書き込みパワーとモニタパワーがほぼ等価になるのは1.0のときである。1.3〜0.7の範囲に設定することで、安定したAPC動作を行うことが可能となる。
すなわち、等価となるNA比に対し±30%程度の範囲であれば、出力画像の濃度むらが殆ど目立たない良好なAPC動作を行うことができる。
そこで、APC時の書き込みパワーとモニタパワーの比率を、モニタ光量比変動|(ΔPp/ΔPa)−1|と定義したとき、モニタ光量比変動を5%以下に抑えることが可能となり、濃度変動の殆ど目立たない出力画像を得ることができる。
したがって、発散角変動Δθに対するアパーチャ通過後の光量変動をΔPa、受光素子上の光量変動をΔPpとしたとき、
以下の関係を満足するようにした。
0.05>|(ΔPp/ΔPa)−1| (式3)
図9に受光素子(PD)面積を変えた時のモニタ光量比変動を示す。
この結果、0.5[mm2]以下の面積で5%以下のモニタ光量比変動に抑えることができる。
ただし、モニタ光量は非常に微弱となるため、アンプ手段による増幅との併用が必要となる。
発散角変動に対しても安定したAPC動作を行うためには、モニタ光量比変動を5%以下に設定する必要がある。これを超えると、出力画像の濃度変動が顕著となり、良好な画像を得ることができない。
・光源素子面〜カバーガラス入射面に到る光路長L:8.3mm
・カップリングレンズの焦点距離f:45mm
・アパーチャの主走査方向に対応する方向Am:5.5mm
・アパーチャの副走査方向に対応する方向As:1.2mm
・Sa=6.6[mm2]
・受光素子の主走査方向に対応する方向Pm:0.5mm
・受光素子の副走査方向に対応する方向Ps:0.5mm
・Sp=0.25[mm2]
に設定されている。
・光源素子面〜カバーガラス入射面に到る光路長L:10.5mm
・カップリングレンズの焦点距離f:45mm
・アパーチャの主走査方向に対応する方向Am:5.0mm
・アパーチャの副走査方向に対応する方向As:0.8mm
・Sa=4.0[mm2]
・受光素子の主走査方向に対応する方向Pm:0.7mm
・受光素子の副走査方向に対応する方向Ps:0.7mm
・Sp=0.49[mm2]
に設定されている。
この場合、(式1)は、
実施例1:Sp=0.25[mm2]
実施例2:Sp=0.49[mm2]
(式2)は、
実施例1:[(√Sp/L)/(√Sa/f)]=(√0.25/8.3)÷(√6.6/45)=1.06
実施例2:[(√Sp/L)/(√Sa/f)]=(√0.49/10.5)÷(√4/38)=1.26
また、環境温度変動(特に光発散角変動)Δθ(=2°)によるアパーチャ通過後の光量の変化をΔPa、受光素子の光量の変化をΔPpとした時、モニタ光量比変動を、|(ΔPp/ΔPa)−1|(%)と定義する。
上記の実施例1の条件にて、受光素子の面積Spのみを振ったときの、モニタ光量比変動のシミュレーション結果を図9に示す。この条件ではSpが0.25mm2近傍でモニタ光量比変動は最も低く、画像濃度変動が殆ど目立たない範囲5%を実現できるのは、受光面積0.5mm2近傍までである。
以上のように、本発明によれば、書き込み光量とモニタ光量が一定で、安定したAPCを行うことができ、且つ、モニタ内蔵の小型、低コストのVCSEL光源装置を提供できる。
偏向走査された光36は、走査光学系の一部をなすFθレンズ38を通り、同じく走査光学系の一部をなす折り返しミラー44で反射し、図示しない後述する感光体上に結像され静電潜像を作成する。
図10中、符号Xで示す矢印方向は、光の走査方向(主走査方向)を示している。なお、偏向走査された光線の一部は、ミラー40によって光センサ42へ導かれ、その信号により光源装置16から発する光線P1の変調を開始する。
トナー像を形成するための像担持体としてのドラム形状の感光体64は、図示しないモータによって一定の周速度で時計回り方向に回転している。感光体64の表面は帯電装置50によって特定の極性に均一に帯電された後、光走査装置30からの光線(露光光)により露光され、画像情報に対応した静電潜像が形成される。
露光位置の感光体回転方向下流側には現像装置52が配置され、現像装置52により感光体64上の前記静電潜像が顕像化されてトナー像が形成される。被記録媒体である印刷用紙54は、搬送ローラ対56で搬送される。
転写後、転写されなかった感光体64上の残留トナーはクリーニング装置60によって除去され、次の画像形成プロセスに備えられる。
感光体64からトナー像が転写された印刷用紙54は定着装置62へ搬送される。定着装置62は、一定温度に加熱制御されたヒートローラ62aと、それに圧接する加圧ローラ62bとから構成されている。ヒートローラ62aと加圧ローラ62bの間を通過するとき、印刷用紙54上に保持されたトナー像は加圧溶融され印刷用紙54上に定着される。
定着処理後に印刷用紙54は、画像形成装置の外部に排出される。
8 ハーフミラー手段
10 受光部
12 カップリングレンズ
14 アパーチャ
16 光源装置
18 カバーガラス
20 受光素子
22 アンプ手段
30 光走査装置
34 光偏向手段
64 像担持体
Claims (4)
- 光源装置と、該光源装置から出射する光を収束するカップリングレンズと、該カップリングレンズからの光束の開口を制限するアパーチャと、該アパーチャを透過後の光束を偏向走査する光偏向手段と、該光偏向手段からの光を被走査面に結像する走査光学系とを有する光走査装置において、
前記光源装置は、複数の光源からなる面発光レーザと、
前記光源からの出射光束の一部を反射するハーフミラー手段と、
該ハーフミラー手段からの反射光束を受光する受光部と、
を有し、
前記ハーフミラー手段は、前記面発光レーザと前記受光部とを保護するカバーガラス上に構成され、且つ、前記光源の出射方向に垂直な面に対して傾けて設定され、ハーフミラーの反射率は10%以下であり、
前記受光部は、受光素子と、微弱電流を増幅するアンプ手段とを備え、
前記面発光レーザ、前記カバーガラス、前記受光部は、1つのモジュールとして一体的に構成され、
前記アパーチャの開口面積をSa、前記受光素子の受光面積をSp、前記光源から前記受光素子に至る光路長をL、前記カップリングレンズの焦点距離をfとしたとき、以下の関係を満足することを特徴とする光走査装置。
1.3>[(√Sp/L)/(√Sa/f)]>0.7 - 光源装置と、該光源装置から出射する光を収束するカップリングレンズと、該カップリングレンズからの光束の開口を制限するアパーチャと、該アパーチャを透過後の光束を偏向走査する光偏向手段と、該光偏向手段からの光を被走査面に結像する走査光学系とを有する光走査装置において、
前記光源装置は、
複数の光源からなる面発光レーザと、
前記光源からの出射光束の一部を反射するハーフミラー手段と、
前記ハーフミラー手段からの反射光束を受光する受光部と、を有し、
前記ハーフミラー手段は、前記面発光レーザと前記受光部とを保護するカバーガラス上に構成され、且つ、前記光源の出射方向に垂直な面に対して傾けて設定され、ハーフミラーの反射率は10%以下であり、
前記受光部は、受光素子と、微弱電流を増幅するアンプ手段とを備え、
前記面発光レーザ、前記カバーガラス、前記受光部は、1つのモジュールとして一体的に構成され、
発散角変動Δθに対する前記アパーチャを通過後の光量変動をΔPa、受光素子上の光量変動をΔPpとしたとき、以下の関係を満足することを特徴とする光走査装置。
0.05>|(ΔPp/ΔPa)−1| - 請求項1又は2に記載の光走査装置において、
前記受光素子の受光面積をSp[mm 2 ]としたとき、以下の関係を満足することを特徴とする光走査装置。
0.5[mm 2 ]>Sp[mm 2 ]>0.1[mm 2 ] - 像担持体に光を照射し、潜像を形成する光走査装置を備えた画像形成装置において、
前記光走査装置が、請求項1〜3の何れか1つに記載のものであることを特徴とする画像形成装置。
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