JP5853253B2 - 間仕切壁の取付構造 - Google Patents
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Description
一方、建物の建築において建築確認申請時に提出する構造計算書等の作成に必要な構造計算では、所定の耐震性能基準を満たす必要がある。
一般的に、地震力や風圧力は水平力として各階の重心又は図心位置に作用する。水平方向(同一階層)において水平力を負担する間仕切壁が部分的に集中すると、剛性の中心位置(剛心又は図心)と、重心位置とがずれてくる場合がある。この剛心と重心との位置にずれがあると、剛心と重心との間に偶力が生じ、建物にねじりモーメントが作用する。また、上下方向の階の剛性のばらつきが大きいと剛性の低い階に応力が集中する。
特許文献1に示すような間仕切壁は床に固定されて天井に対しては可動するため、間仕切壁が水平方向からの力を支える耐力壁として作用しない。この間仕切壁は建物の剛性や剛心の位置に影響を及ぼす要素とならない。すなわち、間仕切壁の配置が建物の耐震性能に影響を及ぼさないことになる。仮に間仕切壁が偏在したとしても建物の剛性に偏りが発生しないため、建物の耐震性能を低下させることにならない。
一方、上述したように種々の自由な間取りを形成するためには、間仕切壁の位置を自由に変更する必要がある。しかし、上述したような従来技術では、間仕切壁の下端を強固に固定した箇所を取り外すとともに床に埋め込んだ下枠部材を取り外してフラットな床を設けることは容易ではなく、間仕切壁の配置の変更は容易ではなかったという問題点があった。
特にバリアフリーのフラットな床が要望されている場合には、上述したような床側に間仕切壁を固定したときの配置の変更には困難を伴い、間取りを自由に設定することが難しいものとなる。
請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の目的に加え、地震力等により間仕切壁が移動するような場合でも簡単な構造で床が間仕切壁と連動して移動するようなことが抑えられる間仕切壁の取付構造を提供することを目的とする。
請求項3記載の発明は、上記した請求項2記載の発明の目的に加え、間仕切壁を床に対してスムーズに移動させることができる間仕切壁の取付構造を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。すなわち、三角形の各辺に相当する位置にそれぞれ設けられている3本のフレーム部材50からなる三角形構造体40が複数個、隙間なく立体的に連設されることにより環状に形成された層構造部Lを複数層、積み重ねた階層構造によりドーム状に形成されているとともに、最下層の前記層構造部Lの上端付近の位置に2階の床650が設けられているドーム状構造物10において、少なくとも前記2階の室内の床650と、複数の三角形構造体40が連設されることで半球状を形成している天井660との間に設けられて室内を仕切る間仕切壁600の取付構造であって、前記間仕切壁600は、前記天井660を形成している前記複数の三角形構造体40と整合するように形成されることで、該天井660の下面に沿って配置される上枠630と、前記2階の床650の上面に沿って水平方向に配置される下枠610と、鉛直方向に沿って配置されて前記上枠630から前記下枠610に渡された壁面645とを備え、前記上枠630は前記天井660に吊り下げられた状態で強固に固定され移動が制限されるとともに前記下枠610は前記床650に対し移動可能に当接していることを特徴とする。
ここで、「前記下枠610は前記床650に対し移動可能に当接し」とは、前記下枠610が床650に対して当接していて強固には固定されていないから、下枠610が床650に対し相対的に移動可能な状態であることを意味する。なお、その移動方向は、少なくとも横方向(水平方向)であって、下枠610の長手方向に移動可能な状態であることが望ましい。
ここで、間仕切壁が天井及び床の両方に固定されて水平方向の力に抵抗する能力をもつ壁、いわゆる耐力壁に相当する場合には、耐震性に関する構造計算において、当該間仕切壁の配置を考慮した状態の建物全体の構造計算を実施する必要がある。かかる場合、間仕切壁以外の建物の構成が同一であって、間仕切壁の配置のみが異なる建物に対しても、その間仕切壁の配置を考慮した建物全体の構造計算を別途行う必要が生ずる。
このため、間仕切壁600の配置に伴う剛性の偏りを構造計算に考慮しなくても良くなり、自由な間仕切壁600の配置ができる。
また、間仕切壁600の上枠630は天井660に固定されるとともに下枠610は床650に対し移動可能に取り付けられている。ここで間仕切壁の下端を床側に固定状態にした場合と比較して、間仕切壁600の下端を床650に可動状態にしている方が、間仕切壁600を設けていない元のフラットな床650の状態に比較的簡単に戻すことができる。すなわち、間仕切壁の下端を床に固定するものと比較して、間仕切壁600の配置を容易に変更することができる。
請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記下枠610にはその長手方向に沿って長孔612が設けられ、前記長孔612には前記下枠610と前記床650とを締結する締結具614が挿通され、前記長孔612に挿通された前記締結具614により前記下枠610と前記床650とが締結されることで、前記下枠610が前記長孔612の範囲内で前記長手方向へ移動可能に当接していることを特徴とする。
ここで、「下枠610にはその長手方向に沿って長孔612が設けられ」とは、下枠610の長手方向と、長孔612の長手方向とが平行となるように形成されていることを意味する。なお、長孔612の長手方向とは、長径及び短径を有して略楕円状に開口する長孔612の長径と平行な方向を意味する。
本発明では、下枠610に設けた長孔612が下枠610の長手方向に沿って設けられている。この長孔612に締結具614が挿通され、この締結具614により下枠610と床650とが締め付けられている。下枠610と床650とは締結具614により上下方向に締め付けられているだけで、水平方向に移動できないように固定されているものではない。長孔612に挿通された締結具614が長孔612の内部で移動できる範囲内で、下枠610と床650とが相対的に移動可能な状態となる。
これにより、間仕切壁600が下枠610の長手方向に対して移動するような場合でも、床650が間仕切壁600と連動して移動することが抑えられる。
結果として、この間仕切壁600は、上述したような簡単な構造で建築における地震や風などの水平方向の力(横からの力)に抵抗する能力をもつ壁(耐力壁)とはならないことになる。本発明では、間仕切壁600がそのような耐力壁に相当しないことにより間仕切壁600の配置に影響されることなく、耐震設計における建物の構造計算を実施することができる。
請求項3記載の発明は、上記した請求項2記載の発明の特徴点に加え、前記長孔612の幅が前記締結具614の径よりも大きいことを特徴とする。
ここで、「長孔612の幅」とは、長孔612の長手方向(いわゆる長径方向)に対して直交する方向(いわゆる短径方向)の長孔612の幅を意味する。
長孔612の幅が締結具614の径より大きいことで、長孔612の幅と締結具614の径との間に隙間(遊び)が形成される。このため、地震力等により建物に加わる水平方向の力が長孔612の長手方向に対して平行でない場合にも、締結具614と長孔612との間の摩擦力が大きくなって締結具614が長孔612の途中で引っ掛かるようなことを抑えることができる。
結果として、間仕切壁600を床650に対してスムーズに移動させることができ、間仕切壁600を確実に非耐力壁にすることができる。
請求項1記載の発明によれば、間仕切壁の配置に伴う剛性の偏りを考慮しなくても良くなり、自由な間仕切壁の配置ができる上に間仕切壁の配置の変更も容易な間仕切壁の取付構造を提供することができる。
請求項2記載の発明によれば、上記した請求項1記載の発明の効果に加え、地震力等により間仕切壁が移動するような場合でも簡単な構造で床が間仕切壁と連動して移動するようなことが抑えられる間仕切壁の取付構造を提供することができる。
請求項3記載の発明によれば、上記した請求項2記載の発明の効果に加え、間仕切壁を床に対してスムーズに移動させることができる間仕切壁の取付構造を提供することができる。
前記ドーム壁520は、三角形の各辺に相当する位置にそれぞれ設けられている3本のフレーム部材50からなる三角形構造体40が複数個、隙間なく立体的に連設されることによりドーム状に形成されている。
このドーム壁520の頂部には、キューポラ400が設けられている。このキューポラ400は、ドーム壁520の5角形の頂上部分から立ち上がる五角筒状の立設壁420と、この立設壁420の頂部間を覆う屋根440とを有している。
なお、本実施の形態に係るドーム状構造物10は、キューポラ400を有するものに限定されるものではなく、キューポラ400を有さないドーム状構造物10にも適用することができる。
キューポラ400の立設壁420は、五角形の縁から上方に向かって長方形状のものが5個、立設することにより全体として五角筒状に形成されている。
キューポラ400の屋根440は、5個の三角形構造体40を隙間なく五角錐状に組み合わせたものである。
前記ドーム状構造物10は、三角形構造体40を隙間なく連設することにより環状に形成された層構造部Lを5層、積み重ねた階層構造により形成されている。
そして、層構造部Lは、第1構造部11の立設壁420の下側に第1構造部11とは隙間なく連設されるものであって同一の球に内接する15個の三角形構造体40を隙間なく環状に組み合わせた形状の第2構造部12を有している。そして、層構造部Lは、第2構造部12の下側に第2構造部12とは隙間なく連設されるものであって同一の球に内接する25個の三角形構造体40を隙間なく環状に組み合わせた形状の第3構造部13を有している。そして、層構造部Lは第3構造部13の下側に第3構造部13とは隙間なく連設されるものであって同一の球に内接する30個の三角形構造体40を隙間なく環状に組み合わせた形状の第4構造部14を有している。そして、層構造部Lは、第4構造部14の下側に第4構造部14とは隙間なく連設されるものであって30個の三角形構造体40を隙間なく環状に組み合わせた形状の第5構造部15を有している。この第5構造部15はコンクリートからなる基礎30(図2参照)の上に固定されている。なお、三角形構造体40の個数は、上述したものに限定されるものではない。具体的にはたとえば第5構造部15に大きな出入り口や開口窓や当該三角形構造体40の室内を拡張する部屋等を設けるような場合には、隣接する複数(たとえば3個)の三角形構造体40を設けずにそのような機能を有するものを拡張して形成してもよい。
前記ドーム状構造物10は、フレーム部材50の端部同士を連結するとともに三角形構造体40の三角形の各頂点に相当する位置にそれぞれ設けられている固定手段70としてのコネクタ71を備えている。
そして、各三角形構造体40の各辺に相当する位置にそれぞれ設けたフレーム部材50と各三角形構造体40の各頂点に相当する位置にそれぞれ設けた固定手段70としてのコネクタ71とから、図1に示すドーム状のトラス骨格が構築されている。そして、このドーム状のトラス骨格がドーム状構造物10の構造躯体となる。
前記第5構造部15の下端に設けられるコネクタ71をベースコネクタ72とする。このベースコネクタ72は、第5構造部15の下端の頂点に集まるフレーム部材50の端部同士を連結するためのものである。また、ベースコネクタ72は、2本のフレーム部材50の端部同士を連結するための部材として機能するとともに、トラス骨格を基礎に接合するための部材としても機能する。
前記ベースコネクタ72及びビームコネクタ73以外のコネクタ71であって、5本のフレーム部材50の端部が集まる位置(5個の三角形構造体40の頂点が集まる位置)に設けられるコネクタ71を5アームコネクタ74とする。この5アームコネクタ74は、その位置に集まる5本のフレーム部材50の端部同士を連結するためのものである。
前記ベースコネクタ72及びビームコネクタ73以外のコネクタ71であって、6本のフレーム部材50の端部が集まる位置(6個の三角形構造体40の頂点が集まる位置)に設けられるコネクタ71を6アームコネクタ75とする。この6アームコネクタ75は、その位置に集まる6本のフレーム部材50の端部同士を連結するためのものである。なお、ドーム壁520上部の第1構造部11の五角形の各頂点部分には、この6アームコネクタ75が配置されてある。また、屋根440の五角形の中心部分には、この5アームコネクタ74が配置され、5個の三角形構造体40を形成する5本のフレーム部材50の端部が集まっている。
ドーム状構造物10のトラス骨格の中心には、このドーム状構造物10の2階の床650を支える主柱700が立設されている。この主柱700は、下端が基礎30に固定されているとともに上端が第4構造部14と第5構造部15との境界線の高さまで至るように立設されている。
前記中心柱部材710は、トラス骨格の中心に位置する基礎30に固定される柱脚部材720と、下端が柱脚部材720に固定されるとともに上端が第4構造部14と第5構造部15との境界線の高さまでに至るように立設された柱本体部材730とを備えている。この柱本体部材730は、横断面形状が四角形であって木質からなる集成材を用いて形成され、前記柱脚部材720及び中心梁受部材740は、建築用の鋼材を用いて形成されている。
図5に示すように、前記梁800は、ビームフレーム部材52の中間部に固定可能な第1梁受部材810と、一端を中心梁受部材740に他端を第1梁受部材810にそれぞれ固定可能な複数の第1梁部材820と、隣接する第1梁部材820間に渡された第2梁受部材830と、一端を第2梁受部材830に他端を第1梁受部材810に固定可能な第2梁部材840とを備えている。
本実施の形態に係る間仕切壁600を設ける箇所の床650であって、梁800が設けられてない箇所には、間仕切壁600用の間仕切受部材670が形成されている。間仕切壁600の下の梁800又は間仕切受部材670に下枠610の長孔612を挿通した締結具614がねじ込まれることで、間仕切壁600の下枠610が床650に取り付けられている。
なお、梁800の配置は、図5に示すものに限定されるものではない。具体的には、例えば、吹抜652の割合が種々異なるようなものでもよく、また階段のみ設けてその他の吹抜652を設けないようにしてもよい。また2階を設けずに1階のみとして、間仕切壁600は第2構造部12や第3構造部13等の天井660から1階の床650にまで形成されるようにしてもよい。
前記間仕切壁600は、天井660の下面に沿って配置される上枠630と、床650の上面に沿って水平方向に配置される下枠610と、鉛直方向に沿って配置されて下枠610及び上枠630を連結する連結部635としての縦枠640とを備えている。この縦枠640は、上枠630及び下枠610の両端間を連結する端縦枠641と、この端縦枠641間の間に位置して上枠630及び下枠610間を連結する中縦枠642とを備えている。
具体的には、下枠610には間仕切壁600の長手方向に沿って長孔612が設けられている。この長孔612には下枠610と床650とを締結する締結具614が設けられている。この締結具614は、具体的には、木ねじ用のねじが周囲に切られた軸部622と当該軸部622の基端側に位置してナットタイプの頭部621とからなるコーチスクリュー616が使用されている(図7参照)。もちろん、締結具614は、これに限定されるものではなく、下枠610及び床650を移動可能な状態で締結することができるものであれば釘や木ねじやボルト及びナット等からなるものでもよい。
前記床650には、平板状の木質からなるパネル材としての面状体680である下面状体681が形成されている(図7、図8参照)。この下面状体681の下であって、間仕切壁600の下には、締結具614を支持するための木質からなる間仕切受部材670が形成されている(図7、図8参照)。なお、間仕切壁600を設ける位置に梁800がある場合には、間仕切受部材670の代わりに梁800が締結具614の支持に用いられている。
上枠630は、締結具614で天井660に固定されている。この天井660には、平板状のパネル材としての面状体680である上面状体682が形成され、この上面状体682の上であって、間仕切壁600の上には、間仕切受部材670が形成されている(図8参照)。なお、間仕切壁600を設ける位置に梁800がある場合には、間仕切受部材670の代わりに梁800が締結具614の支持に用いられている。
長孔612は下枠610の表面に略楕円状に開口するものであって、その長径方向が間仕切壁600の長手方向と平行となるように形成されている。したがって、下枠610は、長孔612の長手方向に沿って移動可能な状態で固定されていることになる。
間仕切壁600の内部空間には、何も充填されていない空間である。なお、これに限定されるものではなく、繊維状のグラスウールからなる吸音断熱材等を充填してもよい。また、間仕切壁600の内部空間に複数の補強材を縦枠640間等に設けてもよい。
図7に示すように、締結具614としてのコーチスクリュー616が長孔612に挿通されるとともにこのコーチスクリュー616の下端は下面状体681及び間仕切受部材670にねじ込まれている。このコーチスクリュー616の頭部621の下には、丸座金618が挟み込まれている。丸座金618の直径は、長孔612の短径方向の開口幅Pよりも大きく、かつ長孔612の長径方向の開口長さQよりも小さくなるように形成されている。また、コーチスクリュー616と長孔612との間の摩擦力が大きくならないようにコーチスクリュー616の軸部622の外径よりも長孔612の短径方向の開口幅Pが大きくなるように長孔612が開けられている。なお、締結具614は、長孔612の長手方向の開口長さQの略中央の位置で床650にねじ込まれている。
前記間仕切壁600の両側面には、壁面645がネジからなる固定具646により固定されている。
ドーム状構造物10の2階では、間仕切壁600の上部(具体的には上枠630)が2階の天井660に固定され、間仕切壁600の下部(具体的には下枠610)が2階の床650に対して移動可能な状態で取り付けられている。すなわち、2階の間仕切壁600は、2階の天井660に吊り下げられたものと同様の状態であって、地震力等による水平力は2階の天井660に作用する。
なお、ドーム状構造物10の2階に設けた間仕切壁600は2階の天井660が半球状であるため、間仕切壁600の上枠630は、その2階の天井660に形状に整合するように形成されている。具体的には、2階の天井660は、複数の三角形構造体40が連設されることで半球状を形成しているため、間仕切壁600の上枠630も、その複数の三角形構造体40の形状と整合するように形成されている。
一般的に、壁の上端及び下端が天井及び床に固定されて地震力や風圧力の水平方向の力(水平力)を支える耐力壁は、その壁の上端及び下端の長手方向に沿って平行な水平方向の外力に対して抵抗力を有している。一方、壁の上端又は下端を自由端にして長手方向に沿って自由に移動することできるならば当該壁は当該方向に抵抗力を有さず、水平方向の力を支える耐力壁として作用しないことになる。
本実施の形態では、図8に示すように、間仕切壁600の上枠630は締結具614により天井660に対して強固に固定され移動が制限されている。間仕切壁600の下枠610は長孔612を介して床650に対して可動可能な状態で取り付けられているだけで、下枠610と床650とは強固に固定されていない。
長孔612の短径方向の幅と締結具614の径との間に隙間(遊び)が形成されているため、地震力等により建物に加わる水平方向の力が長孔612の長手方向に対して平行でない場合にも、締結具614と長孔612との間の摩擦力が大きくなって締結具614が長孔612の途中で引っ掛かるようなことを抑えることができる。
すなわち、この間仕切壁600は、地震力等の水平力に対しては、天井660から吊り下げられているものとして作動するとともに天井660から吊り下げられた状態と同様の変形挙動をすることになる。なお、間仕切壁600への鉛直方向の荷重に対しては、当該間仕切壁600の上枠630が天井660に固定され、その下枠610が床650に当接(着地)しているため、鉛直方向の荷重は上下階に伝わることになる。
すなわち、この間仕切壁600は、地震力や風圧力の水平方向の力(水平力)に抵抗する能力を持つ耐力壁として寄与しない2次部材という位置づけとなり、水平力に対して建物の水平剛性には寄与しないものとなる。
これにより、本実施の形態に係る間仕切壁600は、当該間仕切壁600の位置や方向等の配置が異なっても、当該建物の耐震強度に対して影響を及ぼさないものとなる。
また、間仕切壁600の上枠630は天井660に固定されるとともに下枠610は床650に対し移動可能に取り付けられている。ここで間仕切壁の上端を可動状態にし且つ下端を床側に強固に固定状態にした場合と比較して、本実施の形態のように間仕切壁600の上端を固定状態にし且つ間仕切壁600の下端を床650に可動状態にしている方が、間仕切壁600を設けていない元のフラットな床650の状態に比較的簡単に戻すことができる。すなわち、間仕切壁の下端を床に強固に固定するものと比較して、間仕切壁600の配置を容易に変更することができる。
また、図5に示すように、第1梁部材820及び第2梁部材840は、ビームコネクタ73に固定されるのではなくビームフレーム部材52の中間位置で第1梁受部材810により固定されている。仮に、第1梁部材820及び第2梁部材840の梁800をビームコネクタ73で固定すると、ビームコネクタ73の1点に、梁800(第1梁部材820及び第2梁部材840)、ビームフレーム部材52及び他の三角形構造体40のフレーム部材50が集中して、ビームコネクタ73への荷重負担が増大する。その結果、強度的にもビームコネクタ73が大型化することになり、梁800(第1梁部材820及び第2梁部材840)を支持するためにビームコネクタ73の構造も複雑化することになる。本実施の形態では、第1梁部材820及び第2梁部材840の梁800は、ビームコネクタ73に固定されずにビームフレーム部材52の中間位置の第1梁受部材810により固定されている。これにより、ビームコネクタ73へ加わる荷重を分散させて荷重負担を低減させることができ、ビームコネクタ73の小型化、単純化を図ることができる。結果として、ドーム状構造物10全体としての構造的な安定性を増すことができる。
11 第1構造部 12 第2構造部
13 第3構造部 14 第4構造部
15 第5構造部 20 交互層構造部
30 基礎 40 三角形構造体
41 逆三角形構造体 42 順三角形構造体
50 フレーム部材 52 ビームフレーム部材
70 固定手段 71 コネクタ
72 ベースコネクタ 73 ビームコネクタ
74 5アームコネクタ 75 6アームコネクタ
400 キューポラ 420 立設壁
440 屋根 520 ドーム壁
600 間仕切壁 601 越壁
602 垂れ壁 610 下枠
612 長孔 P 開口幅
Q 開口長さ 614 締結具
616 コーチスクリュー 618 丸座金
621 頭部 622 軸部
630 上枠 635 連結部
640 縦枠 641 端縦枠
642 中縦枠 645 壁面
646 固定具 650 床
652 吹抜 660 天井
670 間仕切受部材 680 面状体
681 下面状体 682 上面状体
700 主柱 710 中心柱部材
720 柱脚部材 730 柱本体部材
740 中心梁受部材 800 梁
802 根太 810 第1梁受部材
820 第1梁部材 830 第2梁受部材
840 第2梁部材
Claims (3)
- 三角形の各辺に相当する位置にそれぞれ設けられている3本のフレーム部材からなる三角形構造体が複数個、隙間なく立体的に連設されることにより環状に形成された層構造部を複数層、積み重ねた階層構造によりドーム状に形成されているとともに、最下層の前記層構造部の上端付近の位置に2階の床が設けられているドーム状構造物において、少なくとも前記2階の室内の床と、複数の三角形構造体が連設されることで半球状を形成している天井との間に設けられて室内を仕切る間仕切壁の取付構造であって、
前記間仕切壁は、
前記天井を形成している前記複数の三角形構造体と整合するように形成されることで、該天井の下面に沿って配置される上枠と、
前記2階の床の上面に沿って水平方向に配置される下枠と、
鉛直方向に沿って配置されて前記上枠から前記下枠に渡された壁面と
を備え、
前記上枠は前記天井に吊り下げられた状態で強固に固定され移動が制限されるとともに前記下枠は前記床に対し移動可能に当接していることを特徴とする間仕切壁の取付構造。 - 前記下枠にはその長手方向に沿って長孔が設けられ、
前記長孔には前記下枠と前記床とを締結する締結具が挿通され、
前記長孔に挿通された前記締結具により前記下枠と前記床とが締結されることで、前記下枠が前記長孔の範囲内で前記長手方向へ移動可能に当接していることを特徴とする請求項1記載の間仕切壁の取付構造。 - 前記長孔の幅が前記締結具の径よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の間仕切壁の取付構造。
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