以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
図1は、本実施例のパチンコ機の遊技盤1の正面図である。なお、このパチンコ機の全体的な構成は公知技術に従っているので図示及び説明は省略する。図1に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には多数の遊技釘4が打ち付けられている。遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり擬似図柄を表示する。)の画面を臨ませる窓等を備えている。
センターケース5の下には、第1始動口11が配置され、更にその下には、第2始動口12が配置されている。第2始動口12は開閉可能な翼片を供えた普通電動役物を備えており、この翼片が開放しないと遊技球は第2始動口12に入球できない構成となっている。センターケース5の左方にはゲート17が配置されており、ここを遊技球が通過すると普通図柄が変動し、普通図柄が当り図柄で停止すると翼片が開放される。遊技領域の右下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、普通図柄保留数表示装置8と、特別図柄保留数表示装置18と、7セグメント表示装置からなる特別図柄表示装置9とが配置されている。
第2始動口12の下方にはアタッカー式の大入賞口14が配置されている。また、第1始動口11の左方には、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33及び第4左入賞口34が設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34が、常時、入球率が変化しない普通入賞口である。これら普通入賞口を総じて一般入賞口31ともいう。
本実施例のパチンコ機の電気的構成は、図2のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄を作動させるゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するための第1カウントスイッチ14a、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34に入球した遊技球を検出する入賞口スイッチ31a等の検出信号が入力される。なお、入賞口スイッチ31aの符号は第1左入賞口31に対応しているが、前記各一般入賞口、すなわち第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34に対してそれぞれ入賞口スイッチが設けられており、各一般入賞口に遊技球が入ったことを個別に検出可能に構成されている。
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている特別図柄表示装置9及び普通図柄表示装置7の表示、特別図柄保留数表示装置18、普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図2では普電役物ソレノイドと表記。以下、普電といえば普通電動役物を指すものとする)12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が外部接続端子78に出力されてホールメインコンピュータ87に送られる。主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を稼働させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出スイッチ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出スイッチ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
なお、払出制御装置81はガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してプリペイドカードユニットと交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、CRユニット端子板24は精算表示基板25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示基板25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン、精算を要求するための返却ボタン、残高表示器が接続されている。
また、払出制御装置81は、外部接続端子78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータに送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。なお本実施例では遊技球を払い出す構成であるが、入賞等に応じて発生した遊技球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
発射制御装置84は発射モータ30を制御して、遊技球を遊技領域3に遊技球を発射させる。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドルからの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。回動量信号は、遊技者が発射ハンドルを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルを触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射できないようになっている。
サブ統合制御装置83はサブ制御装置に該当し、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを、演出中継端子板65を介して受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカからの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67、およびジョグダイヤル68が接続されており、遊技者がこれらを操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、演出図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面6aに表示させる。
メインルーチンを図3に従って説明する。メインルーチンは、約2ms毎のハード割り込みにより繰り返し実行される。本実施形態では、当該メインルーチンが1回起動されるごとにS10〜S65までの1回だけ実行される処理を「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS70の処理を「残余処理」と称する。「本処理」は上記割り込みにより定期的に実行されることになる。
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、たいていが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
正常割り込みでないと判断されると(S10:no)、初期設定(例えば前記メモリの所定領域への所定値を書き込み、特別図柄および普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み等)が為され(S15)、残余処理(S70)に移行する。
正常割り込みとの肯定判断がなされると(S10:yes)、初期値乱数更新処理が実行される(S20)。この処理は、初期値乱数の値についてこの処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、この処理実行前の初期値乱数の値に+1するが、この処理を実行する前の乱数値が最大値である「199」のときには次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「299」までの300個の整数を繰り返し昇順に作成する。
S20に続く大当り決定用乱数更新処理(S25)については、初期値乱数更新処理と同様に処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、最大値である「299」のときは次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「299」までの300個の整数を繰り返し昇順に作成する。なお、大当り決定用乱数の最初の値は、初期値乱数設定処理で設定された値となる。この値が150であったとすると、大当り決定用乱数は「150」「151」「152」・・・「299」「0」「1」・・・と更新されていく。
なお、大当り決定用乱数が一巡(300回、更新されること)すると、そのときの前記初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にする。大当り決定用乱数は、その初期値から+1されていく。そして、再び大当り決定用乱数が一巡すると、その時の初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にする動作を行なう。つまり、この一連の動作を繰り返し続けることになる。前述の例では大当り決定用乱数が「149」になると一巡であるから、「149」の次は前記初期値乱数の値となる。仮に初期値乱数の値が「87」だったとすると、「149」「87」「88」・・・「299」「0」「1」・・・「86」と変化していき、「86」の次は新たな前記初期値乱数の値となる。
大当り図柄決定用乱数更新処理(S30)は「0」〜「9」の10個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。S30に続く当り決定用乱数更新処理(S35)は、「0」〜「9」の10個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、当選することとなる値は、常に「7」である。この当り決定用乱数は普通図柄の抽選に使用し、初期値乱数、大当り決定用乱数、リーチ判定用乱数は特別図柄の抽選に使用し、大当り図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数は、普通図柄の抽選・特別図柄の抽選の双方に用いる。
リーチ判定用乱数更新処理(S40)は、「0」〜「228」の229個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。変動パターン決定用乱数更新処理(S45)は、「0」〜「119」の120個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。続く入賞確認処理(S50)では、第1始動口11、第2始動口12の入賞の確認、ゲート17の遊技球の通過の確認、及び本実施例のパチンコ機に設けられ主制御基板80に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。
本実施例では、遊技球が第1始動口11、第2始動口12に入賞すると大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数、リーチ判定用乱数など複数の乱数を取得されるのだが、保留記憶できる数を第1始動口11と第2始動口12を合わせて4個までとしており、保留記憶が満タンである4個のときに遊技球が対応する始動口に入賞しても賞球が払出されるだけで、前記複数の乱数は保留記憶されない構成になっている。
続いて、大当りか否かを判定する条件成立判定手段としての当否判定処理(S55)を行う。当否判定処理(S55)では、特別図柄および普通図柄のそれぞれに対応した当否判定や、当否判定に付随する図柄変動や特別遊技処理などの処理を行なう。この当否判定処理(S55)に続く不正監視処理(S60)は、普通入賞口(第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34)に対する不正が行われていないか監視する処理であり、所定時間内における入賞口への遊技球の入球が予め決定された規定数よりも多いか否かを判断して、多かった場合には不正と判断され、その旨を報知する処理である。つまり、不正判断手段は、主制御基板80に設けている。
続く画像出力処理等の各出力処理(S65)では、遊技の進行に応じて主制御基板80は演出図柄制御装置82、払出制御基板81、発射制御装置84、サブ統合制御装置83、大入賞口ソレノイド14b等に対して各々出力処理を実行する。即ち、入賞確認処理(S50)により遊技盤1上の各入賞口に遊技球の入賞があることが検知されたときには賞球としての遊技球を払い出すべく払出制御基板81に賞球信号を送信する処理を、遊技状態に対応したサウンドデータをサブ統合制御装置83に出力する処理を、パチンコ機に異常があるときにはエラー中であることを報知すべく演出図柄制御装置82にエラー信号を出力する処理を各々実行する。
本処理に続く前述の残余処理は、初期値乱数更新処理(S70)から構成されるが、前述したS20と全く同じ処理である。この処理は無限ループを形成し、次の割り込みが実行されるまで時間の許される限り繰り返し実行される。前述したS10〜S65までの本処理を実行するのに必要とされる時間は、大当り処理を実行するか否か、特別図柄の表示態様の相違等により割り込み毎に異なる。この結果、残余処理を実行する回数も割り込み毎に異なり、割り込み処理が1回実行されることにより初期値乱数に更新される値も一律ではなくなる。これにより、初期値乱数が大当り決定用乱数と同期する可能性は極めて小さくなる。大当り決定用乱数が一巡したときの、初期値乱数の値(0〜199の200通り)が、同程度に発生するとすれば、同期する確率はわずか1/200である。また、前述した当り決定用乱数更新処理(S35)も残余処理内において実行するよう構成しても良い。
始動入賞確認処理(S50)の概要を図4に示す。主制御装置80は、まず第1始動口スイッチ11a、第2始動口スイッチ12aの検出信号に基づいて、第1始動口11、第2始動口12に遊技球が入球したか否かを判断する(S100)。肯定判断なら(S100:yes)、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を該当の各カウンタから読み込んで、特別図柄の保留記憶が満杯(本実施例では4個)か否かを判断する(S105)。
保留記憶が満杯でなければ(S105:no)、上記の各乱数を保留記憶として記憶し、特別図柄保留数表示装置18の点灯態様を1増加させる(S110)。なお、特別図柄保留数表示装置18は2個のLEDの点灯または消灯させることにより2進法により保留記憶されている数を表す(ただし保留記憶数が4個の場合は2個のLEDを共に点滅させる)もので、「点灯態様を1増加させる」とは2進法で示される数を1つ増やすという意味である。また、S110では保留個数が更新されたことを示すコマンド(保留個数コマンド)をサブ統合制御装置83に送信する。こうして当処理を終了(リターン)する。第1始動口11、第2始動口12に遊技球が入球していない場合(S100:no)、又は保留記憶が満杯の場合(S105:yes)、はそのまま当処理を終了する。
S55の当否判定処理の内、特別図柄に係る当否判定などを行なう処理は、図5〜8に示すようなもので、主制御装置80は、特別電動役物が作動中か否かを大当りフラグに基づいて判断する(S200)。S200の判定が否定判断で、特別図柄が変動中でなく(S205:no)、確定図柄の表示中でもなければ(S210:no)、図6のS250に移行し、特別図柄の保留記憶(S110による保留記憶)があるか否かを判断する。この保留記憶があれば(S250:yes)、保留記憶数をデクリメントし(S255)、S270に進む。S270では保留記憶の中で最も古いものを読み込んで(その保留記憶は消去する)、確変フラグがセットされている(すなわち1)か否かを判定する。ここで確変フラグが1とは、現在のパチンコ機が高確率遊技状態(確変状態とも言う)であることを意味する。肯定判断であれば(S270:yes)、読み込んだ大当り決定用乱数を確変テーブルに記録されている当り値と照合する(S275)。ここで当り値の数は10で、7〜16である。つまり当り確率は1/30となる。S270が否定判断された場合(S270:no)は、S280にて当り決定用乱数を通常テーブルに記録されている当り値と照合する。ここで当り値は7のみである。つまり当り確率は1/300となる。
S275またはS280の判定が行なわれると、S285にて大当りか否かを判定(当否判定)し、肯定判定であれば(S285:yes)、大当り図柄決定用乱数によって特図の大当り図柄(単に当り図柄ともいう)を決定する(S290)。特図の大当り図柄について図14に示す。パチンコ機では図14に示すように大当り図柄として、16ラウンド(Rと表記)特定時短有図柄、10ラウンド特定時短有図柄、2ラウンド特定時短有図柄、10ラウンド通常時短有図柄の4種類が存在する。16ラウンド特定時短有図柄が特別図柄表示装置9に確定表示された場合には、これを起因として発生した大当り遊技において大入賞口14が16回開閉され、該大当り遊技の終了後に時短状態および確変状態が発生する。本実施例のパチンコ機では、時短状態において第2始動口12の翼片の開放時間の延長(開放延長)も行なわれる。これにより、時短状態においては持玉が殆ど減らない状態となり、遊技者は有利に次の当りを狙うことができる。こうして発生した時短状態および確変状態は、特図が10000回変動するまで継続される。なお、特図が10000回転変動して当らないことは、たとえ当り確率が1/300であっても確率上、ほぼありえないので、10000回の時短状態とは、実質的に次の当りが発生することが保障されたことになる。10ラウンド特定時短有図柄が特別図柄表示装置9に確定表示された場合には、これを起因として発生した大当り遊技において大入賞口14が10回開閉され、該大当り遊技の終了後に時短状態および確変状態が発生し、これらは特図が10000回変動するまで継続される。2ラウンド特定時短有図柄が特別図柄表示装置9に確定表示された場合には、これを起因として発生した大当り遊技において大入賞口14が2回開閉され、該大当り遊技の終了後に時短状態および確変状態が発生し、これらは特図が10000回変動するまで継続される。10ラウンド通常時短有図柄が特別図柄表示装置9に確定表示された場合には、これを起因として発生した大当り遊技において大入賞口14が10回開閉され、該大当り遊技の終了後に時短状態が発生し、特図が100回変動するまで継続される。前記時短状態や確変状態の途中で特図が当選した場合には、該当選により決定された特図に基づいて、改めて時短回数および確変回数の上限が設定される。
図5に戻る。こうして大当り図柄が決定すると、変動パターン決定用乱数等によって変動パターンを決定し(S295)、大当り設定処理を行う(S300)。なお、S285において外れと判定された場合は、変動パターン決定用乱数等によって変動パターンを決定し(S305)、ハズレ設定処理(S310)を行なう。ハズレ設定処理では、確変回数のデクリメント(確変フラグが1のとき)が行なわれる。S300、又はS310に続いては、上述の抽選結果を示すデータ、具体的には通常大当り、確変大当り、リーチ外れ(外れであるがリーチ表示有り)、リーチ表示無しの外れのいずれかを示すデータと変動時間を指定する変動パターンのデータが含まれる変動開始コマンド(表示制御コマンド)をサブ統合制御装置83に出力する(S315)。なお、S315の処理により演出図柄表示装置6では演出図柄を設定し、その変動表示を開始するが、ほぼ同時に特別図柄の変動も主制御装置80によって開始される。また、特別図柄が変動する際には必ず演出図柄も変動され、且つ演出図柄が変動されるときには特別図柄も変動されるので、これらの図柄が変動することを単に「図柄が変動する」とも言う。
図5において特別図柄が変動中(S205:yes)と判定された場合には、図7のS350に移行し、図柄変動時間(S300、又はS305の変動パターンに基づく)が経過したか否かを判定する。否定判断(S350:no)であれば特別遊技処理を行い、肯定判断であれば確定図柄表示処理(S355)を行なってから特別遊技処理を行う。
図5において確定図柄を表示中と判定された場合(S210:yes)には、図8のS400に移行し、確定図柄の表示時間が終了したか否かを判定する。否定判断(S400:no)であれば特別遊技処理を行い、肯定判断であれば確定図柄表示終了処理(S405)を行なってから大当りになる組合せや否かを判定する(S410)。肯定判断なら確変フラグが1か否かを判定し(S415)、肯定判断なら(S415:yes)確変フラグを0にし(S420)、S425に移行する。否定判断なら(S415:no)そのまま、S425に移行する。
S425では、時短フラグが1か否かを判定する。時短フラグが1であれば(S425:yes)、S430にて時短フラグを0にし、S435に移行する。時短フラグが1でなければ(S425:no)、そのままS435に移行する。
S435では、条件装置作動開始処理により、大当りフラグをセットする。そしてS440にて役物連続作動装置を作動させ、S445にて大当り開始演出処理を行なう。大当り開始演出処理では、大当り遊技を開始するコマンド及び大当り遊技に係る情報(大当りのオープニング時間、開放パターン、大当りのエンディング時間、ラウンド数等)をサブ統合制御装置83に送信する。大当り開始演出処理が終了すると、特別遊技処理を行なう。
S410で、確定表示させた特別図柄が大当りになる表示でないと判定された場合は、S450に移行して確変フラグが1か否かを判定する。肯定判断(S450:yes)であれば、確変回数が0か否かを判定する(S455)。確変回数が0であれば(S455:yes)、S460にて確変フラグを0にし、S465に進む。確変フラグが1でないとき(S450:no)、または確変回数が0ではないとき(S455:no)は、そのままS465に移行する。S465では、時短フラグが1か否かを判定し、1であれば(S465:yes)、時短回数が0か否かを判定する(S470)。時短回数が0であれば(S470:yes)、S475にて時短フラグを0にしてS480に進む。時短回数が0ではないとき(S470:no)又は時短フラグが1でないとき(S465:no)はそのままS480に移行する。S480では、現在の遊技状態が確変中であるか否か、時短中であるか否か等の状態を示す状態指定コマンドをサブ統合制御装置83に送信し、特別遊技処理を実行する。図5のS200で特別電動役物が作動中と判定された場合も特別遊技処理を実行する。
図9〜11に示す特別遊技処理では、主制御装置80は、役物連続作動装置が作動中か否かを大当りフラグに基づいて判断する(S500)。役物連続作動装置が作動中なら(S500:yes)、大入賞口14が開放中か否かを判断する(S505)。大入賞口14の開放中ではない場合は(S505:no)、ラウンド間のインターバル中により大入賞口14が閉鎖しているのか判断する(S510)。インターバル中でもない場合は(S510:no)、大当り終了演出中であるか判断する(S515)。これも否定判断の場合は(S515:no)、大当り遊技を開始する演出に要する時間が経過したか否かを判定する(S520)。大当り開始演出時間が経過した場合は(S520:yes)、大入賞口開放処理(S525)を行なって当処理を終了(リターン)する。大当り開始演出時間が経過していない場合は(S520:no)、そのまま当処理を終了する。
S505で大入賞口14が開放中であると判定された場合は、図10のS550に進み、大入賞口14に10個入賞したか否かを判定する。なお、本実施例では10個だが、9個、8個でもよく、特に限定するものではない。大入賞口14に10個入賞した場合(S550:yes)にはS560に進み、大入賞口閉鎖処理を行う。そして大当りインターバル処理(S565)を行なって、特別遊技処理を終了する。大入賞口14に10個入賞していない場合(S550:no)にはS555に進み、大入賞口14の開放時間が終了したか否かを判定する。本実施例では、各ラウンドの最大開放時間は29秒に設定している。無論、この秒数に限定するものではない。開放時間が終了した場合(S555:yes)には、S560に合流し、終了していない場合(S555:no)は特別遊技処理を終了する。
図9のS510でインターバル中であると判定された場合は、図10のS570に進み、大当りインターバル時間が経過したか否かを判定する。インターバル時間が経過している場合(S570:yes)は、直前に大入賞口14が開いていたのが最終ラウンドか否かを判定する(S575)。最終ラウンドであれば(S575:yes)、大当り終了演出処理(S580)を行い、特別遊技処理を終了する。最終ラウンドでなければ(S575:no)、再び大入賞口14を開放する処理(S585)を行い、特別遊技処理を終了する。なお、大当りインターバル時間が経過していないと判定された場合(S570:no)には、そのまま特別遊技処理を終了する。なお、大入賞口14を開放・閉鎖する処理においては、サブ統合制御装置83にも信号を送信する。サブ統合制御装置83は、その信号に基づいて、現在のラウンドを把握し、該ラウンドに応じた演出を行なう。
図9のS515で大当りの終了演出中であると判定された場合は、図11のS600に進み、大当り終了演出時間が経過したか否かを判定する。大当り終了演出時間が経過した場合には(S600:yes)、役物連続作動装置の作動を停止し(S605)、条件装置の作動を停止する(S610)。そしてS615にて大当り終了後に確変状態に移行するか否かを判定し、当り図柄が16ラウンド特定時短有図柄、10ラウンド特定時短有図柄、2ラウンド特定時短有図柄(これらを確変図柄と呼ぶことにする)のいずれかであれば肯定判断(S615:yes)され、確変回数設定処理(S620)を行なう。ここでは確変回数として10000回が設定される(図14参照)。そして確変フラグに1をセット(S625)し、S630に移行する。当り図柄が10ラウンド通常短有図柄であればS615は否定判断され、そのままS630に移行する。S630では大当り終了後に時短状態に移行するか否かを判定する。なお、本実施例のパチンコ機では当り図柄に依らず必ず時短は発生するので、S635に移行し、時短回数設定処理を行なう。当り図柄が16ラウンド特定時短有図柄、10ラウンド特定時短有図柄、2ラウンド特定時短有図柄のいずれかであれば時短回数は10000回であり、当り図柄が10ラウンド通常時短有図柄であれば時短回数は100回である。そして時短フラグに1をセット(S640)し、S645に移行する。本実施例のパチンコ機ではありえないがS630が否定判断された場合は、そのままS645に移行する。そして、大当り終了コマンドをサブ統合制御装置83に送信して(S645)、状態指定コマンド送信処理を実行(S650)し、特別遊技処理を終了する。状態指定コマンド送信処理(S650)の内容は、S480の処理と同様である。S600にて大当り終了演出時間が経過していないと判断された場合には、そのまま特別遊技処理を終了する。図9で役物連続作動装置が作動していないと判定された場合(S500:no)には特別遊技処理を終了(リターン)する。
S295の変動パターン決定処理、すなわち特図が当りの場合の変動パターンを決定する処理の概要を、図12に示す。当処理が起動されると、S700にて時短フラグが1、すなわち時短状態か否かを判定する。否定判断(S700:no)ならばラウンドカウンタをクリアする(S710)。ラウンドカウンタとは、時短中において発生された大当り遊技(ただし非時短状態において発生された大当り遊技(いわゆる初当り)も含む)のラウンド数を累積加算していくためのカウンタである。例えば、初当りが2ラウンド特定時短有図柄により発生し、続いて10ラウンド通常時短有図柄により大当りが発生した場合、この時点でのラウンドカウンタの値は2+10=12となる。なお、ここでは初当りが確変図柄(2ラウンド特定時短有図柄)と仮定したので、10ラウンド通常時短有図柄は時短状態において表示されたものとした。
ラウンドカウンタをクリアすると、S720にて変動テーブルフラグを2とする。ここで変動テーブルフラグとは、時短中に用いる特図の変動パターン選択テーブルとして、どれを用いるかを示すもので、2または3の値をとる。変動テーブルフラグが2の場合は、変動パターン選択テーブル2を用い、変動テーブルフラグが3の場合は、変動パターン選択テーブル3を用いる(いずれも特図が当りとなる場合は例外的に変動パターン選択テーブル1を用いる)。
変動パターン選択テーブルについて、図15に示す。変動パターン選択テーブル1は図15(a)に示すようなもので、主に非時短状態において特図の変動パターンを設定する場合に用いられる。前述のように時短状態であっても特図が当る場合には例外的に用いられる。変動パターン選択テーブル1で選択される変動パターンは変動パターン1〜5の5種類あり、変動時間がそれぞれ5秒、10秒、20秒、30秒、90秒となっている。変動パターン2〜5の選択割合は、それぞれ12/20、5/20、2/20、1/20となっており、この結果、変動パターン選択テーブル1を用いて設定される変動時間の平均値は18.5秒となる。なお、変動パターン1は特図の保留が4個になった場合に選択される変動パターンであり、選択率は不定であり、前記計算からも除外した。
変動パターン選択テーブル2は図15(b)に示すようなもので、時短状態において変動パターンフラグが2の場合に特図の変動パターンを設定する際に用いられる。変動パターン選択テーブル2で選択される変動パターンは変動パターン1〜3の3種類あり、変動時間がそれぞれ1秒、3秒、5秒となっている。変動パターン1〜3の選択割合は、それぞれ3/6、2/6、1/6となっており、この結果、変動パターン選択テーブル2を用いて設定される変動時間の平均値は約2.33秒となる。
変動パターン選択テーブル3は図15(c)に示すようなもので、時短状態において変動パターンフラグが3の場合に特図の変動パターンを設定する際に用いられる。変動パターン選択テーブル3で選択される変動パターンは変動パターン1〜3の3種類あり、変動時間がそれぞれ5秒、10秒、15秒となっている。変動パターン1〜3の選択割合は、それぞれ3/6、2/6、1/6となっており、この結果、変動パターン選択テーブル3を用いて設定される変動時間の平均値は約8.33秒となる。つまり平均変動時間は、変動パターン選択テーブル1を用いて設定した場合が最も長く、続いて変動パターン選択テーブル3、変動パターン選択テーブル2の順となっている。
図12に戻る。S720で変動テーブルフラグに2がセットされるとS730に移行する。S700が肯定判断すなわち現在が時短中と判断された場合は、そのままS730に移行する。S730では、変動テーブルフラグが2か否かを判定し、肯定判断なら、S290にて決定された当り図柄を起因として発生される大当りのラウンド数をラウンドカウンタに加算する(S740)。続くS750にて、ラウンドカウンタの値がしきい値を超えていないか否かを判定する。ここでしきい値は50とする。しきい値はこの値に限るものではなく、パチンコ機の仕様などに応じて変更されうる。また、ここではしきい値を超えているか否かを判定しているが、パチンコ機の仕様などに応じ、しきい値以上であるか否かを判定しても勿論よい(以下のしきい値(ラウンドカウンタ以外のしきい値も含む)との比較においても同様)。S750が肯定判断された場合は、変動テーブルフラグを3とし(S770)、S780に移行する。S730が否定判断された場合、またはS750が否定判断された場合はS780に直行する。S780では変動パターン選択テーブル1を用いて変動パターンを決定し、当処理を終了(リターン)する。
S305の変動パターン決定処理、すなわち特図が外れの場合の変動パターンを決定する処理の概要を、図13に示す。当処理が起動されると、S800にて時短フラグが1、すなわち時短状態か否かを判定する。否定判断(S800:no)ならばS810に移行し、変動パターン選択テーブル1を用いて変動パターンを決定し、当処理を終了(リターン)する。S800が肯定判断された場合はS820に進み、変動テーブルフラグが2か否かを判定し、肯定判断なら、変動パターン選択テーブル2を用いて変動パターンを決定し、当処理を終了する。否定判断(S820:no)なら、変動パターン選択テーブル3を用いて変動パターンを決定し、当処理を終了する。
図12、図13の処理に基づいて変動パターンを決定することにより、連荘中のラウンド数の累積加算値がしきい値(本実施例では50)を超えると、時短中(当実施例では開放延長状態も併せて発生)の変動パターンの決定に用いる変動パターン選択テーブルとして平均変動時間が長い変動パターン選択テーブル3が選ばれる。この結果、単位時間当りの当り発生回数が低下することが期待でき、射幸性が過度に高まるのを抑えることができる。また、これにより大当り遊技による出玉や大当り遊技の回数が減少するわけではないので、出玉感を損なうことが無い。
ここで本実施例の構成・状態と、本発明の構成要件との対応関係を示す。S350〜S355の処理が本発明の「図柄制御手段」に相当し、S270〜S285の処理が本発明の「当否判定手段」に相当し、特別遊技処理が本発明の「特別遊技実行手段」に相当し、S630〜S640の処理が本発明の「特典付与手段」に相当し、S45の処理が本発明の「変動パターン決定用乱数発生手段」に相当し、変動パターン選択テーブル2が本発明の「第1時短用変動パターン選択テーブル」に相当し、変動パターン選択テーブル3が本発明の「第2時短用変動パターン選択テーブル」に相当し、S700〜S740の処理が本発明の「価値担体数推定手段」に相当し、S750〜S770の処理を受けて、S830またはS840の処理を行なう部分が本発明の「変動パターン決定手段」に相当する。
[参考例]
本発明の参考例について図16を用いて説明する。なお、本実施例は実施例1と共通点が多いため、異なる点のみを重点的に説明する。
図16は参考例の主制御装置80がS295において実行する変動パターン決定処理、すなわち特図が当りの場合の変動パターンを決定する処理の概要である。当処理が起動されると、S700にて時短フラグが1か否かを判定する。否定判断(S700:no)ならば残時短カウンタをクリアする(S715)。残時短カウンタとは、時短中において大当り遊技が発生した場合に、残りの時短回数(大当り終了後に遊技者に付与される時短回数の最大値(図15参照)から、当りが発生するのに要した特図の変動回数を差し引いた値。残時短回数と呼ぶことにする)を累積加算していくためのカウンタである。例えば、初当りが2ラウンド特定時短有図柄により発生し、その大当りが終了することにより発生した時短状態の50回目で、10ラウンド特定時短有図柄により大当りが発生し、その大当りが終了することにより発生した時短状態の30回目で、次の当り(当り図柄は任意)が発生した場合、この時点での残時短カウンタの値は(10000−50)+(10000−30)=19920となる。なお、当り図柄が10ラウンド通常時短有図柄だった場合に発生した大当りの終了後の時短において当った場合の残時短回数は、100と変動回数の差ではなく、10000と変動回数の差とする。また、初当りの場合は、残時短回数は0とする。
残時短カウンタをクリアすると、S720にて変動テーブルフラグを2とし、S730に移行する。S700が肯定判断すなわち現在が時短中と判断された場合は、そのままS730に移行する。S730では、変動テーブルフラグが2か否かを判定し、肯定判断なら、残時短回数を残時短カウンタに加算する(S755)。続くS765にて、残時短カウンタの値が上限値を超えていないか否かを判定する。ここで上限値は50000とする。上限値はこの値に限るものではなく、パチンコ機の仕様などに応じて変更されうる。S765が肯定判断された場合は、変動テーブルフラグを3とし(S770)、S780に移行する。S730が否定判断された場合、またはS765が否定判断された場合はS780に直行する。S780では変動パターン選択テーブル1を用いて変動パターンを決定し、当処理を終了(リターン)する。
図16の変動パターン決定処理を行なうことにより、連荘中の残時短回数の累積加算値が上限値(本実施例では50000)を超えると、時短中の変動パターンの決定に用いる変動パターン選択テーブルとして平均変動時間が長いものが選ばれる。平均変動時間が長いものが選ばれる結果、単位時間当りの当り発生回数が低下することが期待でき、射幸性が過度に高まるのを抑えることができる。そして第1実施例と同様、大当り遊技による出玉や大当り遊技の回数が減少するわけではないので、出玉感を損なうことも無い。
S700〜S755の処理が参考例の「価値担体数推定手段」に相当し、残時短カウンタが参考例の「残時短総数」に相当し、S765〜S770の処理を受けて、S830またはS840の処理を行なう部分が参考例の「変動パターン決定手段」に相当する。
[実施例2]
本発明の第2実施例について図17を用いて説明する。なお、本実施例も実施例1と共通点が多いため、異なる点のみを重点的に説明する。
図17は第2実施例の主制御装置80がS295において実行する変動パターン決定処理、すなわち特図が当りの場合の変動パターンを決定する処理の概要である。当処理が起動されると、S700にて時短フラグが1、すなわち時短状態か否かを判定する。否定判断(S700:no)ならばS710にてラウンドカウンタをクリアし、S715にて残時短カウンタをクリアし、S720にて変動テーブルフラグを2とし、S730に移行する。S700が肯定判断すなわち現在が時短中と判断された場合は、そのままS730に移行する。
S730では、変動テーブルフラグが2か否かを判定し、肯定判断なら、S290にて決定された当り図柄を起因として発生される大当りのラウンド数をラウンドカウンタに加算する(S740)。続くS750にて、ラウンドカウンタの値がしきい値を超えていないか否かを判定する。ここでしきい値は第1実施例と同様、50とする。しきい値はこの値に限るものではなく、パチンコ機の仕様などに応じて変更されうる。S750が肯定判断された場合は、変動テーブルフラグを3とし(S770)、S780に移行する。
S750が否定判断された場合は、残時短回数を残時短カウンタに加算する(S755)。続くS765にて、残時短カウンタの値が上限値を超えていないか否かを判定する。ここでの上限値はS750における値とは関係が無く、50000とする。この上限値もこの値に限るものではなく、パチンコ機の仕様などに応じて変更されうる。S765が肯定判断された場合は、S770に移行する。S730が否定判断された場合、またはS765が否定判断された場合はS780に直行する。S780では変動パターン選択テーブル1を用いて変動パターンを決定し、当処理を終了(リターン)する。
つまり図17の変動パターン決定処理は、図12に示した変動パターン決定処理と、図16に示した変動パターン決定処理を複合させたものとなっている。すなわち、連荘中のラウンド数の累積加算値がしきい値(本実施例では50)を超えると、時短中の変動パターンとして平均変動時間が長いものが選ばれる。仮に連荘中のラウンド数の累積加算値がしきい値以下であっても、連荘中の残時短回数の累積加算値が上限値(本実施例では50000)を超えると、時短中の変動パターンの決定に用いる変動パターン選択テーブルとして平均変動時間が長いものが選ばれる。この結果、たとえ発生した大当りが、ラウンド数の少ないものばかりであったとしても、それらが時短状態の初期に発生した場合(残時短カウンタの値が上限値を超えた場合)は、単位時間当りの当り発生回数が多くなることが予想されるので、これを抑えるべく、平均変動時間が長いものを選ぶことができる。
第2実施例においては、S700〜S740、およびS755の処理が本発明の「賞球数推定手段」に相当し、S750、S765、S770の処理を受けて、S830またはS840の処理を行なう部分が本発明の「変動パターン決定手段」に相当する。
[他の実施例]
前記何れの実施例(参考例も含む。以下同様)も、時短中の変動パターン選択テーブルは2種類であったが3種類以上に増やしても良い。第1実施例に適用した場合を例示すると、しきい値を複数備え、ラウンドカウンタが第1のしきい値を超えた場合は、変動テーブルフラグの値を変えた上で、当りが発生するごとにラウンド数の加算を続行し(第1実施例では、変動テーブルフラグの値を2から3に変えると加算は停止した(S730等を参照))、更にラウンドカウンタと第2しきい値との比較を行なっていく。こうすると、平均変動時間を長くしたにも係わらず、大当り後の早い時点で再び当ってしまった場合に、更に平均変動時間を長くするといったことが可能となる。
前記何れの実施例の大当り遊技の各ラウンドも、大入賞口が最大29秒開放し、出玉を望めるものであったが、第1実施例または第2実施例の態様において、出玉を得るのが難しいラウンド(例えば、最大開放時間が各0.3秒のラウンドのように、規定数の入賞が得られないラウンド。「賞球なしラウンド」と呼ぶことにする。本発明の「価値担体なし開閉動作」に相当)を含む大当りや賞球なしラウンドのみで構成された大当りがある遊技機においては、「賞球なしラウンド」を、S740におけるラウンドカウンタの加算対象から除外するとよい。こうすることにより、賞球数の増加に寄与するラウンドのみをカウントすることになるので、賞球数が許容値を上回るか否かの推定を、より適切に行うことができる。
前記何れの実施例も、時短中の変動パターンのみを、ラウンドカウンタや残時短カウンタに応じて、平均変動時間が長いものに変更するものであったが、通常状態の変動パターンも、ラウンドカウンタや残時短カウンタに応じて平均変動時間が長いものに変更するようにしてもよい。
参考例では、残時短回数として、時短の最大回数(前記参考例では10000)から、当りに要した特図の変動回数を差し引いていたが(10ラウンド通常時短有図柄を除く)、前記最大回数以外の値から差し引いても良い。例えば、確変中では殆ど発生しない程度の特図の回転数(例えば300)から当りに要した特図の変動回数を差し引いてもよい。こうすると、しきい値もこれに併せて小さくすることができ(例えば前記例では1回の時短状態あたり9700減らしているので、しきい値を1500とすることが考えられる)、演算も容易になる。例えば、しきい値が50000であれば、符号付2進数を用いる場合、3バイト以上を要するが、しきい値が1500であれば2バイトで済む。
第2実施例では、ラウンドカウンタがそのしきい値を超えた場合には、残時短カウンタの値に関わらず変動テーブルフラグを3に変更していたが、逆にしてもよい。すなわち、まず残時短カウンタがそのしきい値よりも大きいか否かを判定し、肯定判断なら、ラウンドカウンタの値に関わらず変動テーブルフラグを3に変更するように構成しても良い。
また、前記何れの実施例も、大当り図柄は4種類であったが、種類の数はこれ以外の値であっても構わない。また、大当りの終了後には必ず確変状態となる機種に本発明を適用しても良い。こうした機種では確変状態や時短状態の上限値が数十回〜100回程度とされるのが通常であるので、参考例に適用する場合には、しきい値は参考例のしきい値に比べて小さな値(例えば500程度)となることが予想される。また、残時短カウンタに代えて(またはこれに加えて)残確変カウンタを用いることも考えられる。参考例と同様、時短中における残確変カウンタの値がしきい値(確変状態専用のものでも良いし、確変と時短が常に同時に発生・消滅する仕様であれば時短のしきい値と共用(或いは時短のしきい値を廃止)してもよい)を超えたら変動テーブルフラグを切り替えるようにすると良い。
また、前記何れの実施例も、パチンコ機は払出制御装置81を備え、払出装置73により遊技球を払い出すものであったが、このような実体のある遊技球を払い出さずに、賞球数に対応する数値データを遊技者に付与する遊技機に本発明を適用しても良い。
また、前記何れの実施例においても、大当り遊技の終了後に発生する時短状態において用いられる変動パターン選択テーブルの選択(正確には変動テーブルフラグの変更)を、当否判定処理のS295、つまり大当り遊技の開始の直前とも言えるタイミングで行なっていたが、これを大当り遊技の終了後に行なっても良い。具体的には、特別遊技処理の中の図11に示した処理において、大当り終了演出の時間が経過したと判断(S600:yes)された以降に変動パターン選択テーブルを選択することが考えられる。この場合、S305では、大当り遊技の終了後に選択変動パターン選択テーブルされた変動パターン選択テーブルに基づいて、変動パターンが決定される。なお、変動パターン選択テーブル2、3は何れもS285において当りでないと判定された場合の変動パターンの決定で用いられるものであったが、当りの場合の変動パターンもこれらの変動パターン選択テーブル(何れか一方のみでも良い)に入れ、S295においてもこれらの変動パターン選択テーブルが用いられるようにしてもよい。この場合、変動パターン選択テーブル1は廃止してもよいし、非時短状態でのみ使用するようにしてもよいし、乱数などを用いた抽選により使用するか否(変動パターン選択テーブル2または3を用いる)かを決定してもよい。
また、前記何れの実施例においても、S700にて時短フラグが1ではないと判定された場合には、ラウンドカウンタや残時短カウンタをクリアしていた。すなわち、初当りの場合は、ラウンド数や残時短数(以下、ラウンド数で代表させる)の累積加算をやり直す構成となっていた。ただしこの構成では、時短状態の終了後、間もなく当り、更に該当りから連荘(第2連荘と呼ぶことにする。前記時短状態の終了により終わった連荘を第1連荘と呼ぶことにする)が発生した場合に、適切に価値担体数を推定できない可能性がある。すなわち、第1連荘のみ、或いは第2連荘のみでは、ラウンドカウンタはしきい値を超えないが、第1連荘と第2連荘の大当り遊技の各ラウンドカウンタを合計すると、ラウンドカウンタがしきい値を超える場合である。第1連荘の終了から第2連荘の発生まで、十分時間が経過していれば、単位時間当りの当り発生回数が少なくて済むが、第1連荘の終了から短時間で第2連荘が発生した場合は、単位時間当りの当り発生回数が過剰になる虞がある。そこで、連荘が終了してもラウンドカウンタをクリアせず、第1連荘の初当りから、所定時間が経過するまではラウンドカウンタをクリアしない構成とすることが考えられる。こうすると、第1連荘が終了した後に再び初当りが発生しても、第1連荘の初当りから前記所定時間の間であれば、ラウンドカウンタをクリアせずに、これらの累積加算を続行することになる。こうすると、第1連荘と第2連荘が短期間の間に続けて発生した場合にも、適切に価値担体数を推定し、単位時間当りの当り発生回数が過剰になるのを防ぐことができる。